JP3222486B2 - 油圧式ラッシュアジャスタ - Google Patents

油圧式ラッシュアジャスタ

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JP3222486B2
JP3222486B2 JP14404691A JP14404691A JP3222486B2 JP 3222486 B2 JP3222486 B2 JP 3222486B2 JP 14404691 A JP14404691 A JP 14404691A JP 14404691 A JP14404691 A JP 14404691A JP 3222486 B2 JP3222486 B2 JP 3222486B2
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雅人 桧村
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Nittan Valve Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、内燃機関の動弁装置
において弁間隙を油圧及び弾性部材の弾発力により自動
的に補正する油圧式ラッシュアジャスタの改良に関す
る。
【0002】
【従来の技術】内燃機関における動弁機構は、一般に摩
耗や熱膨張の影響を受け易く弁間隙が運転中変化する。
そのため、この隙間を適切に補正する油圧式ラッシュア
ジャスタが用いられるようになった。
【0003】図6(a)(b)はこの油圧式ラッシュアジャス
タの一例を示しており、該油圧式ラッシュアジャスタ
は、ロッカアーム5に設けられたラッシュアジャスタ支
持孔20に嵌挿するように配されている。その構成を詳述
すると、油圧式ラッシュアジャスタのボディ21は、閉塞
した天井部21aと、その反対側に開口端を有する下端開
放型の筒体で構成され、その中空内にプランジャ23が嵌
装され、該プランジャ23はそれから外方へ伸びる部分を
有している。ボディ天井部21aとプランジャ23の間に
は、高圧室24が形成され、更に該高圧室24内に弾性体25
が介装され、プランジャ23をボディ21開口端へ付勢する
ようになしている。ボディ天井部21aには、作動油を外
方から導入するための油孔22が設けられており、又該油
孔22の開閉を司るチェックバルブ26と該チェックバルブ
26を保持するバルブスプリング27及びチェックバルブケ
ージ28とが高圧室24内に設けられている。更に、リザー
バ2がボディ天井部21aに隣接してロッカアーム5内部に
設けられ、油孔22を介して高圧室24と連通している。こ
のような油圧式ラッシュアジャスタに供給される作動油
は、ロッカシャフト50より延出したオイル供給路30を通
り更にオイル供給口3から前記リザーバ2上方に与えら
れ、該リザーバ2を経て高圧室24に導かれるようになっ
ている。
【0004】前記プランジャ23の外方端は、バルブ6と
接触して配置されているので機関の運転によってロッカ
アーム5が作動すると、前記油圧式ラッシュアジャスタ
を介してバルブ6を押し出す。この際、チェックバルブ2
6が前記油孔22を閉塞して、高圧室24内に閉じ込められ
た油に剛性を生ずると、以後プランジャ23はロッカアー
ム5と共に動いてバルブ6を押出し、開弁状態と成る。又
閉弁時にはロッカアーム5の回動と共にバルブ6は着座し
て弁ばね60のプランジャ23への力の作用はなくなる。従
って収縮状態にあった弾性体25の反発力によりプランジ
ャ23がボディ21開口端方向に摺動し、該油圧式ラッシュ
アジャスタは熱変形などの原因により発生した動弁機構
の隙間をゼロとするまで伸びをして補正する。
【0005】
【発明が解決しようとする問題点】内燃機関運転中に前
記オイル供給路30を通じオイル供給口3から供給されて
くる作動油はリザーバ2上方に流入する。通常リザーバ2
内は作動油で満たされているため、このリザーバ2内に
更に作動油が流入すると、そこで渦を作りながら、その
流入分に相当するリザーバ2中の作動油がオイル供給路3
0と連通しているエアー抜き孔4から余剰分として押し流
され外部に放出される。又リザーバ2内の油量が不足す
る場合、供給されてくる作動油は該リザーバ2内に流入
することになる。
【0006】しかし、このようにしてリザーバ2内に流
入してくる作動油には、内燃機関側で生成した鉄粉(切
粉や摩耗粉)等の異物が混入していることが多く、該作
動油中から比重の大きい異物がリザーバ2内に沈降する
ことになる(特にリザーバ2内に前記渦の発生がある時
に著しい)。このようにして沈降した異物は油孔22の開
口部とチェックバルブ26の間に咬込まれてチェックバル
ブ機能を損なわせ、それにより高圧室24内に生ずべき作
動油の剛性を低下せしめたり、プランジャ23とボディ21
の摺動面部分にあるリークダウンクリアランスへこのよ
うな異物が侵入し、その面でかじりや摩耗を促進して正
常な作動油のリークダウン機能を阻害する結果となる。
【0007】本発明は従来技術の以上の様な問題に鑑み
創案されたもので、上記油圧式ラッシュアジャスタに供
給されてくる作動油中に含まれる異物がリザーバ内に沈
降しない構成を提供し、上記の問題の解決を図らんとす
るものである。
【0008】
【問題点を解決するための手段】そのため本発明は、上
記した構成と同様な構成を有するロッカアームに設けら
れる油圧式ラッシュアジャスタ、特に図1に示されるよ
うにリザーバ2上方に内燃機関から送られてくる作動油
の供給口となるオイル供給口3が設けられ、更にエアー
抜き用のエアー抜き孔4がこのオイル供給口3及びリザ
ーバ2につながっている油圧式ラッシュアジャスタにお
いて、該リザーバ2上方の少なくともオイル供給口3近
傍に、このオイル供給口3側と油孔22開口側とを隔て
る作動油の透過可能な部材1を設け、該オイル供給口3
から供給される作動油がこの部材1を透過してリザーバ
2の油孔22開口側に流入できるようにするとともに、
該部材1を、図2,3,4の符号10,12,13で示
されるように、該オイル供給口3に突出した状態に設置
するようにしたことを基本的特徴としている。
【0009】このような部材1(10,12,13)
しては、作動油が透過可能なラバー、濾紙、密なメッシ
ュ、金属パウダを焼結した焼結材、高分子材料、多孔質
エンジニアリングプラスチック、多孔質プラスチック等
が使用可能である。
【0010】
【作用】オイル供給口3からリザーバ2内への作動油の
流入がある時に、上記部材1があるために、該部材1が
じゃま板の役目を果たし、そこに渦を発生させることが
ない。そして該部材1を透過する作動油中に混入してい
た異物は、この透過中に部材1に捕獲され、作動油と分
離されるため、異物のない作動油がリザーバ2の油孔2
2開口側に供給されることになる。また、該部材1(1
0,12,13)は、オイル供給口3(30)に突出し
た状態に設置されているため、オイル供給口3(30)
を通ってオイル供給口3(30)から作動油が供給され
てくる時にそこに渦を発生させない。
【0011】
【実施例】以下本発明の具体的実施例につき、添付図面
に基づいて説明する。
【0012】図2はロッカアーム式動弁機構に取付けら
れた本発明の一実施例に係る油圧式ラッシュアジャスタ
の構造を示す断面図である。
【0013】図面中に示されたロッカアーム5は、前記
図6(a)(b)に示された構成と同様に、ロッカシャフトを
センタピボットとして、その回動でバルブ軸端部を押圧
開放する構成を採るものであるが、その内部にはロッカ
シャフト側から送給されてくる作動油をこの油圧式ラッ
シュアジャスタに導くオイル供給路30が設けられてい
る。
【0014】本実施例の油圧式ラッシュアジャスタは、
ロッカアーム5端部に穿設されたラッシュアジャスタ支
持孔20に嵌挿されており、天井部21aに油孔22を有する
下端開放型の円筒状のボディ21と、該ボディ21内に摺動
自在に嵌装され、前記天井部21aとの間に高圧室24を形
成するプランジャ23と、該高圧室24内に介装され、該プ
ランジャ23をボディ21下端開口側に付勢する弾性体25
と、同じく高圧室24内に設けられ、前記油孔22の開閉を
司るチェックバルブ26と該チェックバルブ26を保持する
バルブスプリング27及びチェックバルブケージ28とを有
している。又ロッカアーム5のラッシュアジャスタ支持
孔20の奥には、前記ボディ天井部21aに隣接してリザー
バ2が設けられている。そして、このリザーバ2上方隅部
に前記オイル供給路30がオイル供給口3を介して連通し
ており、該オイル供給路30により内燃機関側から作動油
が供給される。更にこのオイル供給路30はそのまま延出
してエアー抜き孔4が形成されている。
【0015】本実施例では、リザーバ2内周面に円筒体1
1を密着させ、更にその上端開口部に、キャップ状に成
形されたラバー10を嵌め込み固定している。このラバー
10は、多孔質の合成ゴムから成り、そのためオイル供給
口3側から供給されてくる作動油を透過せしめることが
可能である。但し、その場合でも、その透過抵抗はかな
り高くなる。従って円筒体11内部のリザーバ2内に負圧
を生ずると、その中央部を中心に内側に大きく凹むよう
に変形する。
【0016】更に本実施例では該ラバー10の上部の隅が
前記オイル供給口3部分に突出した状態に設置されてい
るため、オイル供給路30を通ってオイル供給口3から作
動油が供給されてくる時にそこに渦を発生させることが
ない。そしてリザーバ2内に作動油が十分満たされてい
る場合は、オイル供給路30を通って流れてくる作動油は
そのままエアー抜き孔4から外部に放出される。又はラ
バー10を透過してその一部がリザーバ2内に流入するこ
ともあるが、その場合でも同量分リザーバ2内にあった
作動油が逆にラバー10を透過してオイル供給口3側に押
し出され、同様にエアー抜き孔4から外部に放出される
ことになる。一方、リザーバ2内の油量が減少した場合
は、作動油はオイル供給口3からラバー10を透過してリ
ザーバ2内部に供給され、その内部が一杯になったとこ
ろで、再びエアー抜き孔4から余剰分は外部に放出され
る。
【0017】以上の様に作動油がラバー10を透過してリ
ザーバ2内部に流入する時に、該作動油中に混入してい
る異物はラバー10に捕獲され、リザーバ2内に侵入する
ことはない。又従来は作動油供給によってオイル供給口
3部分に作動油の渦を生じ、そこにエアーが混入すると
白濁化現象を起こしてリザーバ2内にエアー混入油を流
入せしめてしまうこともあったが、本実施例では前述の
ようにそこに渦を発生することがないため、リザーバ2
内にこのようなエアー混入油を流入せしめてしまうこと
がなくなる。更に前述のようにラバー10の作動油透過抵
抗が高いため、内燃機関停止時にもリザーバ2内の作動
油は該ラバー1から漏洩してしまうことがない。
【0018】一方、バルブがリフト状態で内燃機関が停
止した場合、本実施例の油圧式ラッシュアジャスタは最
も短縮された状態(ボトムド状態)となる。この状態か
ら内燃機関が再始動すると、油圧式ラッシュアジャスタ
は元の状態に戻ろうとしてプランジャ23を押し出すこと
になるが、高圧室24内に作動油漏洩分を補うため、リザ
ーバ2から油孔22を介して該高圧室24内に作動油が吸い
込まれる。従来はこの吸い込みの際に、作動油の粘性抵
抗が高いために、図3(a)に示される様に、リザーバ2内
の作動油中央部が凹んでその上方にあるエアーを吸い込
むことが多かった。しかし、本実施例の場合は、リザー
バ2上部側にラバー10が設けられているため、作動油吸
い込みの際、このラバー10が同図(b)に示されるように
その中央部を中心に凹み、上方のエアーを吸い込んでし
まうことがない。又、この作動油の吸い込みは、次のバ
ルブリフト状態になるまでに完了している必要がある
が、上記ラバー10の作動油透過抵抗が高いために、オイ
ル供給口3側からリザーバ2内へ該ラバー10を透過して作
動油が供給されるのに時間が掛かる。この時本実施例で
は、同図(b)に示される様にラバー10が変形し、作動油
透過不足分をこの変形で対応させて高圧室24内へ必要量
の作動油を供給せしめることができる。そしてその変形
後は、ラバー10が元の状態に戻ろうとする復元力とその
作動油の透過性により、該ラバー10が元の形状に復元す
るまでの間、作動油を継続してリザーバ2内に補給する
ことが可能となる。
【0019】図4及び図5は本発明の他の実施例を示す
断面図であり、そのうち図4の構成ではボディ天井部21
aにその開口下端部を接地させて、リザーバ2内周面を覆
うようにラバー12が該リザーバ2内に装嵌された状態を
示している。このラバー12はもちろん作動油の透過が可
能な素材で構成されており、その基本的機能は前実施例
のラバー10と同じであるが、全体が同素材で構成されて
いるため、高圧室24への作動油の吸い込み時に、該ラバ
ー12の凹み変形が大きく採れ、上述の効果がより効率的
に得られることになる。
【0020】又図5の構成ではジャバラ状のラバー乃至
濾紙等で構成される部材13がリザーバ2内に装嵌された
ものが示されている。
【0021】
【発明の効果】以上詳述したように本発明の油圧ラッシ
ュアジャスタによれば、作動油の透過が可能な部材によ
り、リザーバ内に供給される作動油から異物が分離され
ることになるため、高圧室内への作動油の吸い込みに伴
なって油孔の開口部とチェックバルブの間に異物が咬込
まれてチェックバルブ機能を損なわせ、それにより高圧
室内に生ずべき作動油の剛性を低下せしめたり、プラン
ジャとボディ摺動面間リークダウンクリアランスへこの
異物が侵入し、その面でかじりや摩耗を促進して正常な
作動油のリークダウン機能を阻害するということがなく
なる。また、オイル供給口部分に渦を発生することがな
いため、リザーバ内にエアー混入油を流入せしめてしま
うことがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本構成を理解するために示す参考
明図である。
【図2】本発明の一実施例に係る油圧式ラッシュアジャ
スタがロッカアーム式の動弁機構に組み込まれた状態を
示す断面図である。
【図3】同図(a)は高圧室への作動油の吸い込み時に
リザーバの作動油中央に凹みを生じてエアー吸い込みが
行なわれる状態を示す説明図であり、同図(b)は、本
実施例における作動油吸い込み時にラバー中央部に凹み
を生じた状態を示す説明図である。
【図4】他の実施例に係る油圧式ラッシュアジャスタの
構成を示す説明図である。
【図5】同じく別の実施例構成を示す説明図である。
【図6】ロッカシャフトをセンタピボットとしたロッカ
アーム式の動弁機構に設置される従来の油圧式ラッシュ
アジャスタの状態を示す断面図である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロッカーアームに下向きに取付けられ、
    天井部に油孔を有する下端開放型筒状のボディと、該ボ
    ディ内に揺動自在に嵌装され前記天井部との間に高圧室
    を形成するプランジャと、該高圧室内に介装され該プラ
    ンジャをボディ下端開放側に付勢する弾性体と、同じく
    該高圧室内に設けられ前記油孔の開閉を司るチェックバ
    ルブと、該チェックバルブを保持するバルブスプリング
    及びチェックバルブケージと、前記ボディ天井部側上方
    前記ロッカーアームに穿設され、該ボディ天井部の油
    孔を介して高圧室内への作動油の補給を行なうことがで
    きるリザーバと、リザーバ上方に設けられ、内燃機関
    側から送られてくる作動油をそこから前記リザーバ内に
    供給するオイル供給口と、該オイル供給口及び前記リザ
    ーバに連通して作動油中のエアー抜きを行なうことがで
    きるエアー抜き孔と、を有する油圧式ラッシュアジャス
    タにおいて、前記リザーバ上方の少なくとも前記オイル
    供給口近傍には、このオイル供給口側と前記リザーバの
    前記油孔開口側とを隔てる、作動油の透過可能な部材を
    設けた構成であって、該部材は前記オイル供給口部分に
    突出した状態に設置されたことを特徴とする油圧式ラッ
    シュアジャスタ。
  2. 【請求項2】 請求項第1項記載の油圧式ラッシュアジ
    ャスタにおいて、作動油の透過可能な部材として、ラバ
    ーを用いることを特徴とする請求項第1項記載の油圧式
    ラッシュアジャスタ。
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