JP3221338B2 - 電子線照射方法および架橋または硬化方法、ならびに電子線照射物 - Google Patents

電子線照射方法および架橋または硬化方法、ならびに電子線照射物

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JP3221338B2
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irradiated
beam irradiation
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透 栗橋
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  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真空中で電子を電
圧にて加速し、この加速された電子を常圧雰囲気中に取
り出し、被照射物に対して電子線(EB)を照射する方
法および電子線を利用した架橋または硬化方法、ならび
に電子線照射物に関する。
【0002】
【従来の技術】基材に施された塗料、印刷インキ、接着
剤、粘着剤等の被覆剤、およびその他の樹脂製品の架橋
または硬化方法として電子線照射によるものが提案され
ており、これまでに多くの検討がなされている。この方
法は、真空中で電子を電圧にて加速し、この加速された
電子を空気中等の常圧雰囲気中に取り出し、物体に対し
て電子線(EB)を照射する方法である。
【0003】電子線照射による硬化および架橋の利点と
しては、次のようなものが挙げられる。 (1)希釈剤として有機溶剤を含有させる必要がないので
環境に優しい。 (2)硬化速度が速い(生産性大)。 (3)熱乾燥よりも硬化作業面積が少なくてすむ。 (4)基材に熱がかからない(熱に弱いものにも適用可
能)。 (5)後加工がすぐできる(冷却、エージング等が不要で
ある)。 (6)電気的作業条件を管理すればよいから、熱乾燥の際
の温度管理よりも管理しやすい。 (7)開始剤、増感剤がなくてもよいので、不純物の少な
いものができる(品質の向上)。
【0004】しかし、従来の電子線硬化技術は、大エネ
ルギーの電子線を照射して高速で被照射物全体を一様に
架橋および硬化するものであり、電子線を照射すること
により、架橋または硬化状態にバリエーションを持たせ
るといった発想はない。
【0005】また、装置が大型で初期投資が高いという
問題、酸素ラジカルの発生に起因する表面の反応阻害を
解消するために、ランニングコストの高い窒素等の不活
性ガスによるイナーティングが必要であるという問題、
さらに2次電子線のシールディングが必要であるという
問題等がある。
【0006】したがって、電子線硬化技術は、上述した
ように省エネルギーかつ溶剤を放出しない環境に優しい
プロセスとして注目を集めているものの、以上のような
問題から実用化が十分になされているとは言い難い状態
である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる事情に
鑑みてなされたものであって、照射物全体を一様に架橋
または硬化するのではなく、架橋または硬化等の状態
にバリエーションを持たせることができる電子線照射方
法、およびそのような硬化または架橋方法、ならびに電
子線照射物を提供することを目的とする。また、これに
加えて装置上等の問題が生じることのない電子線照射方
法、およびそのような硬化または架橋方法、ならびに電
子線照射物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、第1に、厚さ10〜300μmの被照射
物に所定の到達深度になるように加速電圧を調整した
子線を照射することにより、被照射物の厚さ方向に架橋
密度、硬度または改質度合いの分布を形成することを特
徴とする電子線照射方法を提供する。
【0009】第2に、厚さ10〜300μmの被照射物
所定の到達深度になるように加速電圧を調整した電子
線を照射することにより、被照射物を厚さ方向に対して
部分的に架橋、硬化または改質することを特徴とする電
子線照射方法を提供する。第3に、上記方法において、
被照射物の表面部分のみを架橋、硬化または改質するこ
とを特徴とする電子線照射方法を提供する。
【0010】第4に、上記いずれかの方法において、前
記電子線の加速電圧が100kV以下であることを特徴
とする電子線照射方法を提供する。
【0011】第に、上記いずれかの方法において、前
記電子線の照射は、真空管型電子線照射装置によってな
されることを特徴とする電子線照射方法を提供する。第
に、上記いずれかの方法において、前記被照射物は基
体の上に形成されていることを特徴とする電子線照射方
法を提供する。
【0012】第に、厚さ10〜300μmの被照射物
に所定の到達深度になるように加速電圧を調整した電子
線を照射して、被照射物の厚さ方向に対して部分的に架
橋または硬化させた後、熱処理することにより架橋密度
または硬度の分布を形成することを特徴とする架橋また
は硬化方法を提供する。第に、上記方法において、被
照射物の表面部分のみを架橋または硬化した後に熱処理
することを特徴とする架橋または硬化方法を提供する。
【0013】第に、10〜300μmの厚さを有し、
所定の到達深度になるように加速電圧を調整した電子線
が照射されることによって、厚さ方向に架橋密度、硬度
または改質度合いの分布が形成された電子線照射物を提
供する。第10に、10〜300μmの厚さを有し、所
定の到達深度になるように加速電圧を調整した電子線が
照射されることによって、厚さ方向に対して部分的に架
橋、硬化または改質された電子線照射物を提供する。第
11に、上記電子線照射物において、表面部分のみが架
橋、硬化または改質された電子線照射物を提供する。第
12に、10〜300μmの厚さを有し、所定の到達深
度になるように加速電圧を調整した電子線が照射される
ことによって、厚さ方向に対して部分的に架橋または硬
化され、その後の熱処理により架橋密度または硬度の分
布が形成された電子線照射物を提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て具体的に説明する。図1は本発明を実施するための電
子線照射装置に用いられる、電子線発生部としての照射
管を示す模式図である。この装置は、円筒状をなすガラ
スまたはセラミック製の真空容器1と、その容器1内に
設けられ、陰極から放出された電子を電子線として取り
出してこれを加速する電子線発生部2と、真空容器1の
端部に設けられ、電子線を射出する電子線射出部3と、
図示しない給電部より給電するためのピン部4とを有す
る。電子線射出部3には薄膜状の照射窓5が設けられて
いる。電子線射出部3の照射窓5は、ガスは透過せずに
電子線を透過する機能を有しており、図2に示すよう
に、偏平状をなしている。そして、照射室内に配置され
た被照射物に照射窓5から射出された電子線が照射され
る。
【0015】すなわち、この装置は真空管型の電子線照
射装置であり、従来のドラム型の電子線照射装置とは根
本的に異なっている。従来のドラム型電子線照射装置
は、ドラム内を常に真空引きしながら電子線を照射する
タイプのものである。
【0016】このような構成の照射管を有する装置は、
米国特許第5,414,267号に開示されており、Am
erican International Technologies(AIT)社によ
りMin−EB装置として検討されている。この装置に
おいては、100kV以下という低加速電圧でも電子線
の透過力の低下が小さく、有効に電子線を取り出すこと
ができる。これによって、基材上の被覆材に対し低深度
で電子線を作用させることが可能となり、基材への悪影
響および2次電子線の発生量を低下させることができる
ようになり、大がかりなシールドは必ずしも必要としな
い。
【0017】また、電子線のエネルギーが低いため、酸
素ラジカルに起因する被覆剤表面での反応阻害を低減す
ることができるようになり、イナーティングの必要性が
小さくなる。
【0018】このように、シールドの小型化およびイナ
ーティングの低減化、また低加速電圧であるため電子線
発生部分の小型化が可能となることから、電子線照射装
置の飛躍的な小型化が可能となり、上記装置は種々の分
野への応用が期待されている。
【0019】また、上記装置は、低加速電圧であるた
め、電子線の到達深度が小さく、また加速電圧を容易に
制御することができるため、電子線の到達深度を容易に
制御することが可能である。
【0020】このことを図3に示す。図3は上記装置を
用いて電子線照射した際の各加速電圧における電子線到
達深度と照射線量との関係を示すものである。この図か
ら明らかなように、加速電圧が低ければ、電子線が低深
度で有効に作用し、また加速電圧により到達深度を制御
できることが理解される。
【0021】本発明では、このように電子線照射の際の
加速電圧により電子線の到達深度を制御できることに着
目し、被照射物に電子線を照射することにより、照射物
の厚さ方向に架橋密度、硬度または改質度合いの分布を
形成する。
【0022】すなわち、被照射物に対して厚さ方向途中
の所定の深さまでの到達深度を有する加速電圧で電子線
を照射することにより、その部分までは架橋、硬化また
は改質するが、それよりも深い位置では架橋密度、硬度
または改質度合いがそれより上の部分よりも低くなる
か、または架橋、硬化もしくは改質していない部分とな
る。したがって、厚さ方向に架橋密度、硬度または改質
度合いの分布が形成されるのである。見方を変えれば、
被照射物の厚さ方向に対して部分的に架橋、硬化または
改質するということもできる。典型例としては、被照射
物の表面部分のみを架橋、硬化または改質することが挙
げられる。
【0023】このように、架橋密度または硬度の分布を
形成することにより、極めてバリエーションのある適用
が可能となる。具体的には、表面のみ硬度が高く、内部
が軟質の構造物、表面のみ硬度が低い構造物、架橋密度
または硬度が段階的に変化するグラデーション構造また
は層構造を形成することが可能である。なお、本発明に
おける架橋、硬化には、グラフト重合も含み、改質と
は、架橋、重合以外の、化学結合の切断、配向等を意味
する。
【0024】グラデーション構造または層構造をより確
実に形成するためには、被照射物の厚さ方向に対して部
分的に架橋または硬化させた後、熱処理して、未架橋ま
たは未硬化の部分をある程度架橋または硬化することに
より、架橋密度または硬度の分布を形成するようにする
ことが好ましい。
【0025】本発明の電子線照射方法を適用するための
装置は特に限定されないが、前述したような真空管型の
ものが制御性の観点から好ましい。すなわち、in−
EBに代表される真空管型電子線照射装置は、上述した
ように、低加速電圧でも電子線を有効に取り出すことが
できるので、制御性良くしかも低深度で電子線を作用さ
せることができ、到達深度の制御性も高い。
【0026】このような到達深度の制御性の観点から
は、電子線の加速電圧は150kV以下であることが好
ましく、100kV以下が一層好ましい。さらには10
〜70kVが好ましい。また、このような低加速電圧に
おいて本発明の電子線照射方法を実現するためには、被
照射物の厚さは10〜300μmであり、好ましくは1
0〜100μm程度の範囲である。
【0027】本発明が適用可能な被照射物としては、印
刷インキ、塗料、接着剤、粘着剤等、基材上に比較的薄
く形成されるものの他、湿布薬など有効成分を徐々に放
出する徐放性の素材、ゴルフボールなどが挙げられる。
【0028】これらのうち、基材上に形成される印刷イ
ンキおよび塗料は、表面部分のみをを架橋または硬化す
ることにより、基材に接する部分の硬化収縮を抑えて、
基材との接着性を高めるといった効果を得ることができ
る。また、接着剤や粘着剤の場合は、表面部分のみ架橋
・硬化させ、内部を柔らかい、接着効果を保ったままの
状態にしておくことにより、種々の用途への適用が可能
となる。
【0029】これらのうち、印刷インキとしては、凸版
インキ、オフセットインキ、グラビアインキ、フレキソ
インキ、スクリーンインキ等の紫外線や電子線硬化型イ
ンキが挙げられる。
【0030】また、塗料としては、アクリル樹脂系、エ
ポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系、ポリエステル樹脂系等
の樹脂、および各種光感応性モノマーを用いた紫外線ま
たは電子線硬化型塗料が挙げられる。
【0031】さらに、接着剤や粘着剤としては、ビニル
重合型(シアノアクリレート系、ジアクリレート系、不
飽和ポリエステル樹脂系)、縮合型(フェノール樹脂
系、ユリヤ樹脂系、メラミン樹脂系)、重付加型(エポ
キシ樹脂系、ウレタン樹脂系)などの反応硬化型(モノ
マー型、オリゴマー型)接着剤が挙げられる。接着剤の
適用例としては、従来のものに加え、レンズの接着、ガ
ラスシートの接着など、熱に弱い基材にも適応すること
ができる。
【0032】これらを塗布する基材としては、処理、未
処理を問わずステンレス鋼(SUS)、アルミ等の金属
およびポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリエチレンナフタレート等のプラスチ
ック等が挙げられる。
【0033】上記のような印刷インキ、塗料、粘接着剤
においては、従来から使用されている各種添加剤を使用
することができる。各種添加剤の例としては、顔料、染
料、安定剤、溶剤、防腐剤、潤滑剤、活性剤等が挙げら
れる。
【0034】上記徐放性の材料としては、湿布薬の他、
人工臓器などが挙げられる。このように徐放性の材料を
得るために本発明を適用する場合には、被照射物に電子
線を照射して表面部分のみを硬化させる。そうすると、
表面部分の孔の割合が減少し、内部の成分が徐々に放出
することになるのである。この場合の硬化させる厚さは
20〜100μm程度が好ましい。
【0035】ゴルフボールも、反発力の観点から表面部
分が硬く、内部が柔らかい必要がある。したがって、や
はり本発明を適用して、表面部分の架橋密度を高くし
て、内部を架橋密度が低い柔らかい状態に保っておくこ
とにより、高性能のゴルフボールを得ることができる。
【0036】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。以
下の説明において、「部」、「%」は、それぞれ「重量
部」、「重量%」である。
【0037】(実施例1) ここでは、硬化性被覆組成物として金属塗料を用いた例
を示す。この塗料の作成は以下の処方で行った。 ポリウレタンアクリレート 35部 (東亜合成化学工業(株)社製 アロニックスM 6400) ビスフェノールA型エポキシアクリレート 10部 (ダイセル・ユーシービー社製 エベクリルEB600) イボロニルアクリレート 25部 ヒドロキシエチルアクリレート 30部 ルチル型酸化チタン 100部 (石原産業(株)社製 タイペークCR−95) 添加剤(BYK社製BYK−358) 0.5部
【0038】これらを混合し、サンドミルで1時間分散
して塗料を作成した。この塗料を、中塗りした金属板
(あらかじめ、エポキシプライマー塗料を塗装した鋼
板)に膜厚30μmに塗布し、電子線照射した。照射装
置としては、AIT社製Min−EB装置を使用した。
また、照射条件は、加速電圧50kV、電流値500μ
A、コンベアスピード10m/minとした。
【0039】評価については、塗膜硬度を鉛筆硬度に
て、塗膜密着性を碁盤目試験で、また塗膜の傷つき性に
ついては、学振型染色物摩擦堅牢度試験器(大栄科学機
器)を使用し、不織布を使用して荷重500gで500
回振とう後の塗膜の傷つき状態を目しで評価した。評価
基準は以下の通りとした。 傷つき性:(良好)5〜1(不良) 評価結果を表1に示す。
【0040】(実施例2)実施例1と同様の塗料を膜厚
20μmに塗布し、加速電圧を40kVに変更した以外
は実施例と同様の照射条件で電子線照射した。実施例1
と同じ評価項目について同様の評価基準で評価した。得
られた結果を表1に示す。
【0041】(実施例3)ここでは粘着シートに関する
例を示す。 アクリル酸n−ブチル 41部 アクリル酸2−エチルヘキシル 41部 酢酸ビニル 10部 アクリル酸 8部 をトルエン中で共重合させ、脱溶剤させてアクリル系重
合体を得た。 得られた共重合体 100部 N−ブチルカルバモイルオキシエチルアクリレート 60部 ポリエチレングリコールジアクリレート 3部 を混合し、電子線硬化性粘着剤組成物を得た。
【0042】得られた電子線硬化性粘着剤組成物を、セ
パレーター上に膜厚25μmで塗布し、実施例1と同様
の条件で電子線照射し、その後上質紙を貼り合わせて粘
着シートを得た。得られたシートの粘着力、タックおよ
び保持力を測定した。得られた結果を表2に示す。な
お、粘着シートの粘着力、タック、再剥離性および未反
応単体量の測定方法は以下の通りである。
【0043】(1)接着力の測定 試験片の幅を25mmとし、ステンレス板に粘着30分
後に、180度、引っ張り速度300mm/minで剥
離し、接着力を測定した。測定結果は、g/25mmを
単位として表示した。用途により異なるが、1000g
/25mmを実用域とした。
【0044】(2)タックの測定 試験片の幅を25mmとし、球転法にて測定し傾斜角3
0度で止まる最大の鋼球番号で表示した。用途により異
なるが鋼球番号が7以上であれば実用域にあるものとし
た。
【0045】(3)再剥離性試験 前述の試験片をステンレス板に貼着し、23℃で7日間
放置した後、再剥離性、剥離面の被着体(ステンレス
板)糊残りを目視評価した。評価基準は以下の通りとし
た。 再剥離性…○:良好、△:一部剥離可、×:剥離不可 被着体糊残り …○:糊残りなし、△:一部糊残りな
し、×:全面に糊残り有り
【0046】(4)未反応単体量の測定 硬化後の粘着剤組成物を一定量、粘着シートから採取
し、これを50mlのテトラヒドロフランに加え、24
時間そのまま放置した。放置後濾過し、濾液をサンプル
としてグルパーミュレーションクロマトグラフィーによ
り測定し、硬化後の粘着剤組成物中の未反応の単量体N
−ブチルカルバモイルオキシエチルアクリレートの重量
(%)を決定した。硬化後の粘着剤組成物中の未反応単
量体の量が1.0%未満であれば実用域にあるとした。
これらの評価結果を表2に示す。
【0047】(実施例4)実施例3と同様の条件で粘着
剤組成物を作成し、加速電圧を60kVとした以外は実
施例3と同様の条件で電子線照射し、実施例3と同様の
方法で評価した。
【0048】(比較例1)実施例1に示す条件で塗装物
を作成し、電子線照射装置として日新ハイボルテージ社
製キュアトロンEBC 200 20 30を使用して
加速電圧200kV、電流値5mA、コンベアスピード
20m/minの条件で電子線照射した。得られた塗装
物の塗膜硬度、塗膜密着性および塗膜傷つき性について
実施例1と同様の基準で評価した。得られた結果を表1
に示す。
【0049】(比較例2)実施例3と同様に電子線硬化
性粘着剤組成物を塗布し、電子線照射装置として日新ハ
イボルテージ社製キュアトロンEBC−200−20−
30を使用して加速電圧200kV、電流値6mA、コ
ンベアスピード7.5m/minの条件で電子線照射し
た。得られた粘着シートの粘着力、タックおよび保持力
を測定し、実施例3と同様の基準で評価した。得られた
結果を表2に示す。
【0050】(比較例3)比較例2と同様に電子線硬化
性粘着剤組成物を塗布し、同じ電子線照射装置を用い、
加速電圧200kV、電流値6mA、コンベアスピード
22.5m/minの条件で電子線照射した。この際、
コンベアスピードを3倍にしたために、照射線量は約1
/3に低下した。得られた粘着シートについて実施例3
と同じ項目を同様の評価基準で評価した。得られた結果
を表2に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】表1から明らかなように、実施例1,2
は、いずれも塗膜密着性が良好であるのに対し、比較例
1は密着性が劣っていた。すなわち、実施例1,2で
は、厚さ方向に架橋密度分布を有しており、塗膜の金属
板に接する部分が架橋密度が低下したために、その部分
に硬化収縮が生じず、結果として塗膜密着性が良好にな
ったのに対し、比較例1では塗膜の金属板側まで架橋し
ているため(厚さ方向全体に亘って架橋密度が高くなっ
ているため。)金属板に接する部分に硬化収縮が生じ、
結果として密着性が劣化した。
【0054】また、表2から明らかなように、実施例
3,4は、被着体であるステンレス板との接着力、鋼球
によるタックおよび再剥離性がいずれも良好であり、未
反応単量体量も少なかった。このことから、実施例3,
4の粘着剤が架橋密度分布を有することが確認された。
これに対して、比較例2は、被着体であるステンレス板
との接着力および鋼球によるタッグが低くかった。この
ことから、比較例2の粘着剤が架橋密度分布を有してお
らず、厚さ方向全体で架橋密度が高いことがわかる。ま
た、比較例3ではコンベアスピードを3倍として照射線
量を約1/3に低下させた結果、架橋密度が低下し、接
着力およびタッグは向上した。しかし、未反応単量体が
多いことからもわかるように、架橋密度が厚さ方向全体
で低くなり、結果として再剥離性が不良となった。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
被照射物の全体を一様に架橋または硬化するのではな
く、厚さ方向に架橋密度または硬度の分布を形成する、
ないしは厚さ方向に対して部分的に架橋または硬化する
ので、架橋または硬化状態にバリエーションを持たせる
ことができる。また、真空管型電子線照射装置を用いる
ことにより、従来の装置上の問題を解決することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するための電子線照射装置を示す
模式図。
【図2】図1の装置の電子線射出部を示す図。
【図3】真空管型電子線照射装置を用いて電子線照射し
た際の各加速電圧における電子線到達深度と照射線量と
の関係を示す図。
【符号の説明】
1……真空容器 2……電子線発生部 3……電子線射出部 4……ピン部 5……照射窓
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−141036(JP,A) 特開 昭62−34927(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 3/28

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 厚さ10〜300μmの被照射物に所定
    の到達深度になるように加速電圧を調整した電子線を照
    射することにより、被照射物の厚さ方向に架橋密度、硬
    度または改質度合いの分布を形成することを特徴とする
    電子線照射方法。
  2. 【請求項2】 厚さ10〜300μmの被照射物に所定
    の到達深度になるように加速電圧を調整した電子線を照
    射することにより、被照射物を厚さ方向に対して部分的
    に架橋、硬化または改質することを特徴とする電子線照
    射方法。
  3. 【請求項3】 被照射物の表面部分のみを架橋、硬化ま
    たは改質することを特徴とする請求項2に記載の電子線
    照射方法。
  4. 【請求項4】 前記電子線の加速電圧が100kV以下
    であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいず
    れか1項に記載の電子線照射方法。
  5. 【請求項5】 前記電子線の照射は、真空管型電子線照
    射装置によってなされることを特徴とする請求項1ない
    し請求項のいずれか1項に記載の電子線照射方法。
  6. 【請求項6】 前記被照射物は基体の上に形成されてい
    ることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか
    1項に記載の電子線照射方法。
  7. 【請求項7】 厚さ10〜300μmの被照射物に所定
    の到達深度になるように加速電圧を調整した電子線を照
    射して、被照射物の厚さ方向に対して部分的に架橋また
    は硬化させた後、熱処理することにより架橋密度または
    硬度の分布を形成することを特徴とする架橋または硬化
    方法。
  8. 【請求項8】 被照射物の表面部分のみを架橋または硬
    化した後に熱処理することを特徴とする請求項に記載
    の架橋または硬化方法。
  9. 【請求項9】 10〜300μmの厚さを有し、所定の
    到達深度になるように加速電圧を調整した電子線が照射
    されることによって、厚さ方向に架橋密度、硬度または
    改質度合いの分布が形成された電子線照射物。
  10. 【請求項10】 10〜300μmの厚さを有し、所定
    の到達深度になるように加速電圧を調整した電子線が照
    射されることによって、厚さ方向に対して部分的に架
    橋、硬化または改質された電子線照射物。
  11. 【請求項11】 表面部分のみが架橋硬化または改質
    された請求項10に記載の電子線照射物。
  12. 【請求項12】 10〜300μmの厚さを有し、所定
    の到達深度になるように加速電圧を調整した電子線が照
    射されることによって、厚さ方向に対して部分的に架橋
    または硬化され、その後の熱処理により架橋密度または
    硬度の分布が形成された電子線照射物。
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