JP3141790B2 - 活性エネルギー線照射方法および活性エネルギー線照射物 - Google Patents
活性エネルギー線照射方法および活性エネルギー線照射物Info
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られる塗料、印刷インキ、接着剤等の被覆剤等に対し
て、真空中で電子を電圧にて加速し、この加速された電
子を常圧中に取り出して物体に電子線(EB)を照射
し、被覆剤等を硬化もしくは架橋する活性エネルギー照
射方法および活性エネルギー線照射物に関する。
剤等の被覆剤の硬化または架橋方法として電子線硬化が
提案されている。電子線硬化は、真空中で電子を電圧に
て加速し、この加速された電子を空気中等の常圧雰囲気
中に取り出し、物体に対して電子線(EB)を照射する
方法であり、加速電圧は通常300kV〜1MVであ
る。
しては、次のようなものが挙げられる。 (1) 希釈剤として有機溶剤を含有させる必要がないので
環境に優しい。
能)。
グ等が不要である)。 (6) 電気的作業条件を管理すればよいから、熱乾燥の際
の温度管理よりも管理しやすい。
不純物の少ないものができる(品質の向上)。 ところで、一般に工業的に利用されている電子線硬化装
置においては、被処理物に電子線を照射することによっ
て発生したラジカルにより重合反応を生じさせ、これに
よってポリマーが形成され硬化が進行する。この場合、
照射室内に酸素が存在していると、処理物中の成長ラジ
カルと電子線によって発生した酸素ラジカルとの反応に
より、ラジカル重合が阻害される。このため、一般に2
00kV程度の比較的低加速電圧においても、窒素等を
用いて、酸素濃度500ppm以下で照射しているのが
現状である。
と、酸素分子はオゾンに変わる。オゾンは人体に非常に
有害な物質であり、日本産業衛生学会の許容濃度の勧告
(1992年)によればオゾンの許容濃度は0.1pp
mと定められており、また日本空気清浄協会の設計基準
でもオゾン濃度は最高0.1ppm、平均0.05pp
m以下と定められている。従って、電子線照射時の作業
環境においては換気等に十分留意する必要がある。オゾ
ンの処理方法については、活性炭によりオゾンを分解
し、酸素分子に還元する方法も用いられているが、活性
炭の寿命が短い等の問題があり、実用上は問題が大き
い。
架橋技術は地球的問題である環境問題の面から、省エネ
ルギーかつ溶剤を放出しない環境に優しいプロセスとし
て注目を集めているものの、上述したような品質上の問
題と装置が大型で初期投資が高く、イナートガス(窒
素)の使用によるランニングコストが高い等の問題か
ら、実用化に至らない例が多数ある。
鑑みてなされたものであって、作業環境への悪影響が少
なく、不活性ガスによるイナーティングの程度を少なく
することができる活性エネルギー線照射方法および活性
エネルギー照射物を提供することを目的とする。
に、本発明は、第1に、電子線照射部の酸素濃度が、照
射する電子線の加速電圧が40kV以下の場合には、略
空気中の酸素濃度またはそれ以下の濃度、照射する電子
線の加速電圧が40kV超においては、加速電圧(k
V)をX、電子線照射部分の酸素濃度(%)をYとした
とき、(a)式で示される酸素濃度になるようにして被
照射物に電子線照射することを特徴とする活性エネルギ
ー線照射方法を提供する。
加速電圧が40kV以下の場合には、略空気中の酸素濃
度またはそれ以下の濃度、照射する電子線の加速電圧が
40kV超においては、加速電圧(kV)をX、電子線
照射部分の酸素濃度(%)をYとしたとき、(b)式で
示される酸素濃度になるようにして被照射物に電子線照
射することを特徴とする活性エネルギー線照射方法を提
供する。
0kV以下であることを特徴とする活性エネルギー線照
射方法を提供する。
し、次に電子線照射することを特徴とする活性エネルギ
ー線照射方法を提供する。第5に、空気中で、被照射物
に加速電圧が40kV以下の電子線照射し、次に紫外線
照射することを特徴とする活性エネルギー線照射方法を
提供する。
40kV以下の電子線照射を行った後、それより高い加
速電圧で電子線照射を行うことを特徴とする活性エネル
ギー線照射方法を提供する。
30kV以下の電子線照射を行った後、それより高い加
速電圧で電子線照射を行うことを特徴とする活性エネル
ギー線照射方法を提供する。
記被照射物は、基材に被覆剤が形成されて構成されてお
り、前記電子線の照射によりその被覆剤が硬化または架
橋することを特徴とする活性エネルギー照射方法を提供
する。第9に、上記いずれか記載の方法で電子線照射し
て得られた活性エネルギー線照射物を提供する。
て具体的に説明する。図1は本発明を実施するための電
子線照射装置を示す模式図である。この装置は、円筒状
をなすガラスまたはセラミック製の真空容器1と、その
容器1内に設けられ、陰極から放出された電子を電子線
として取り出してこれを加速する電子線発生部2と、真
空容器1の端部に設けられ、電子線を射出する電子線射
出部3と、図示しない給電部より給電するためのピン部
4とを有する。電子線射出部3には薄膜状の照射窓5が
設けられている。電子線射出部3の照射窓5は、ガスは
透過せずに電子線を透過する機能を有しており、図2に
示すように、偏平状をなしている。そして、照射室内に
配置された被照射物に照射窓5から射出された電子線が
照射される。
第5,414,267号に開示されており、American I
nternational Technologies (AIT)社によりMin
−EB装置として検討されている。この装置において
は、低加速電圧でも電子線の透過力の低下が小さく、有
効に電子線を取り出すことができる。これによって、基
材上の被覆材に対し低深度で電子線を作用させることが
可能となり、基材への悪影響および2次電子線の発生量
を低下させることができるようになり、大掛かりなシー
ルドは不必要となる。
への励起作用を大幅に低減し、酸素ラジカルに起因する
被覆剤表面での反応阻害を低減することができる。した
がって、窒素ガス等によるイナーティングの程度を従来
よりも少なくする可能性がある。
おいて、照射する電子線の加速電圧と許容される酸素濃
度について鋭意検討を重ねた。その結果、加速電圧が4
0kV超においては、加速電圧(kV)をX、電子線照
射部分の酸素濃度(%)をYとしたとき、以下の(a)
式で示される酸素濃度になるようにして被照射物に電子
線照射すれば、酸素ラジカルに起因する被覆剤表面での
反応阻害が生じず、所定の硬化性能を得ることができる
ことが判明した。
前後、即ちイナーティングをしなくても電子線照射が可
能であることが判明した。
kV以下の場合には、略空気中の酸素濃度またはそれ以
下の濃度で電子線照射を行い、40kV超においては、
加速電圧をX、電子線照射部分の酸素濃度をYとしたと
き、上記(a)式で示される酸素濃度になるように被照
射物に電子線照射することとしている。
応阻害を考慮した場合には、酸素濃度の下限はないが、
窒素置換によるランニングコスト等の観点から、以下の
(b)式の範囲内であることが好ましい。
発生量も大幅に低減することが判っている。
線照射することは、ランニングコストを低下させる等の
メリットがある。本発明では、このことを考慮して、空
気中の電子線照射で問題となる酸素ラジカルによる重合
阻害を防ぐために、まず被照射物に対して表層部分のみ
を硬化させる程度の紫外線照射を行い、その後電子線照
射を行う。これにより、酸素による重合阻害が生じず、
より完全な硬化物を得ることができる。
0kV以下の電子線照射し、次に紫外線照射することに
よっても、同様に、酸素による重合阻害が生じず、より
完全な硬化物を得ることができる。
40kV以下の電子線照射した後に、それよりも高い加
速電圧で電子線照射を行うことによっても同様の効果を
得ることができる。この場合に、最初に加速電圧が30
kV以下の電子線照射した後に、それより高い加速電圧
で電子線照射を行うことがより好ましい。
に示すように、上述した構成を有する電子線照射装置1
0を複数本合わせてアレイ11を構成し、アレイ11の
下方にある照射室12において、所定の速度で搬送され
る被照射体13に対し、アレイ11を構成する各電子線
照射装置10から電子線を照射する方法が挙げられる。
なお、図中参照符号14はX線シールド、15はコンベ
アシールドである。
被覆剤を塗布などにより形成したものが挙げられる。被
覆剤を塗布する基材としては、処理、未処理を問わず印
刷用紙、またポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ナイ
ロン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のプラスチックフ
ィルム、さらにアルミニウムやスチールの金属缶および
ポリエステルフィルム被覆絞り金属缶等が挙げられる。
塗料、接着剤が挙げられる。これらのうち印刷インキと
しては、凸版インキ、オフセットインキ、グラビアイン
キ、フレキソインキ、スクリーンインキ等の紫外線や電
子線硬化型インキが挙げられる。
ポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系、ポリエステル樹脂系等
の樹脂、および各種光感応性モノマーを用いた紫外線ま
たは電子線硬化型塗料が挙げられる。
(シアノアクリレート系、ジアクリレート系、不飽和ポ
リエステル樹脂系)、縮合型(フェノール樹脂系、ユリ
ヤ樹脂系、メラミン樹脂系)、重付加型(エポキシ樹脂
系、ウレタン樹脂系)などの反応硬化型(モノマー型、
オリゴマー型)接着剤が挙げられる。接着剤の適用例と
しては、従来のものに加え、レンズの接着、ガラスシー
トの接着など、熱に弱い基材にも適応することができ
る。
ら使用されている各種添加剤を使用することができる。
各種添加剤の例としては、顔料、染料、安定剤、溶剤、
防腐剤、潤滑剤、活性剤等が挙げられる。
下の説明において、「部」、「%」は、それぞれ重量
部、重量%である。ここでは、硬化性被覆組成物として
オフセットインキを用いた例を示す。このオフセットイ
ンキの調整は以下の手順で行った。
ヘキサアクリレート69.9%、ハイドロキノン0.1
%を仕込み、100℃に昇温し、その後DT150(東
都化成製ジアリルフタレート樹脂)30部を徐々に仕込
み、溶解した時点でくみ出した。このとき粘度は210
0ポイズ(25℃)であった。
混合し、3本ロールにて分散させ、オフセット印刷用イ
ンキとした。
業界で一般的に使用されている簡便印刷機)にて厚さ約
2μmに印刷した。
することが可能なAIT社製Min−EB装置を用いて
EB照射を行った。照射条件は加速電圧40〜150K
V、電流値600μA、コンベアスピート10m/mi
nとした。イナーティングは窒素を使用して行った。ま
た、酸素濃度は窒素流量を調整し変化させた。またこの
際、酸素濃度は酸素濃度計(東レエンジニアリング製ジ
ルコニア式 LC−750H)を使用して測定した。
およびセロテープ剥離による密着性によって行った。評
価基準は以下のとおりとした。 乾燥性:(完全硬化)5〜1(未硬化) 密着性: (良好) 5〜1(不良) 得られた結果を、表1に示した。
る酸素濃度の範囲を加速電圧毎に把握した。その結果を
図4に示す。この図に示すように、加速電圧が40KV
以上においては、加速電圧(kV)をX、電子線照射部
分の酸素濃度(%)をYとしたとき、酸素濃度Yが図の
(1)式で示される直線の下の領域、すなわち(a)式
の領域において被照射物(基材に設けられた被覆物)に
電子線照射することが有効であることが確認された。
の間の領域、すなわち(b)式の領域がより好ましいこ
とが確認された。 1.19×102 ×exp(−4.45×10-2×X)≧Y≧0.05…… (b)
作業環境への悪影響が少なく、不活性ガスによるイナー
ティングの程度を少なくすることができる活性エネルギ
ー線照射方法および活性エネルギー照射物が提供され
る。
模式図。
るための図。
Claims (9)
- 【請求項1】 電子線照射部の酸素濃度が、 照射する電子線の加速電圧が40kV以下の場合には、
略空気中の酸素濃度またはそれ以下の濃度、 照射する電子線の加速電圧が40kV超においては、加
速電圧(kV)をX、電子線照射部分の酸素濃度(%)
をYとしたとき、(a)式で示される酸素濃度になるよ
うにして被照射物に電子線照射することを特徴とする活
性エネルギー線照射方法。 Y≦1.19×102 ×exp(−4.45×10-2×X)……(a) - 【請求項2】 電子線照射部の酸素濃度が、 照射する電子線の加速電圧が40kV以下の場合には、
略空気中の酸素濃度またはそれ以下の濃度、 照射する電子線の加速電圧が40kV超においては、加
速電圧(kV)をX、電子線照射部分の酸素濃度(%)
をYとしたとき、(b)式で示される酸素濃度になるよ
うにして被照射物に電子線照射することを特徴とする活
性エネルギー線照射方法。 1.19×102 ×exp(−4.45×10-2×X)≧Y≧0.05…… (b) - 【請求項3】 加速電圧が150kV以下であることを
特徴とする請求項1または請求項2に記載の活性エネル
ギー線照射方法。 - 【請求項4】 空気中で、被照射物に紫外線照射し、次
に電子線照射することを特徴とする活性エネルギー線照
射方法。 - 【請求項5】 空気中で、被照射物に加速電圧が40k
V以下の電子線照射し、次に紫外線照射することを特徴
とする活性エネルギー線照射方法。 - 【請求項6】 空気中で、被照射物に加速電圧が40k
V以下の電子線照射を行った後、それより高い加速電圧
で電子線照射を行うことを特徴とする活性エネルギー線
照射方法。 - 【請求項7】 空気中で、被照射物に加速電圧が30k
V以下の電子線照射を行った後、それより高い加速電圧
で電子線照射を行うことを特徴とする請求項6に記載の
活性エネルギー線照射方法。 - 【請求項8】 前記被照射物は、基材に被覆剤が形成さ
れて構成されており、前記電子線の照射によりその被覆
剤が硬化または架橋することを特徴とする請求項1ない
し請求項7に記載の活性エネルギー照射方法。 - 【請求項9】請求項1ないし請求項8いずれか記載の方
法で電子線照射して得られた活性エネルギー線照射物。
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