JP2003334936A - インクジェット記録装置、記録方法および電子線照射物 - Google Patents

インクジェット記録装置、記録方法および電子線照射物

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JP2003334936A
JP2003334936A JP2002144011A JP2002144011A JP2003334936A JP 2003334936 A JP2003334936 A JP 2003334936A JP 2002144011 A JP2002144011 A JP 2002144011A JP 2002144011 A JP2002144011 A JP 2002144011A JP 2003334936 A JP2003334936 A JP 2003334936A
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recording
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recording liquid
inkjet
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Akihiko Kizaki
昭彦 木崎
Yoshihiro Fuse
順弘 布施
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Toyo Ink Mfg Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、電子線を用いて、記録液を硬化させ
るインクジェット記録装置、方法および電子線照射物に
関する。 【解決手段】一次元ないし三次元に移動可能な真空管型
電子線照射装置を設けたインクジェット記録装置であ
り、真空管型電子線照射装置をインクジェットヘッドと
連動させて移動させるインクジェット記録装置である。
またインクジェット記録液が被記録体に着弾する前およ
びもしくは着弾した後に、該記録液を、一次元ないし三
次元に移動可能な真空管型電子線照射装置により電子線
照射するインクジェット記録方法である。さらには上記
インクジェット記録装置を用いて形成された電子線照射
物を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子線を用いて、
記録液を硬化させるインクジェット記録装置、方法およ
び電子線照射物に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録装置は、ノズルより
記録液の液滴を吐出し、記録媒体に画像を形成するもの
であり、低騒音、安価なランニングコスト等の特徴をも
ち、OA分野および産業用マーキング分野等において幅
広く利用されている。従来より、インクジェット用記録
液としては、酸性染料、直接染料、塩基性染料等の水溶
性染料をグリコール系溶剤と水に溶解したものがよく用
いられている(特開昭53−61412号公報、特開昭
54−89811号公報、特開昭55−65269号公
報)。
【0003】水溶性染料としては、記録液の安定性を得
るため、水に対する溶解性の高いものが一般的に用いら
れる。したがって、インクジェット記録物は、一般的に
耐水性が悪く、水をこぼしたりすると容易に記録部分の
染料のにじみを生じるという問題があった。このような
耐水性の不良を改良するため、染料の構造を変えたり、
塩基性の強い記録液を調製することが試みられている
(特開昭56−57862号公報)。また、被記録体と
記録液との反応をうまく利用して耐水性の向上を図るこ
とも行われている(特開昭50−49004号公報、特
開昭57−36692号公報、特開昭59−20696
号公報、特開昭59−146889号公報)。上記方法
は、特定の被記録体については著しい効果をあげている
が、被記録体の制約を受けるという点で汎用性に欠け、
特定の被記録体以外を用いた場合には、水溶性染料を使
用する記録液では記録物の充分な耐水性が得られないこ
とが多い。
【0004】また、記録物の耐水性が良好な記録液とし
ては、油溶性染料を高沸点溶剤に分散ないし溶解したも
の、油溶性染料を揮発性の溶剤に溶解したものがあり、
これらは耐水性の観点では良好な性能を示している。し
かしながら、これらの記録液は溶剤の浸透や蒸発による
定着を主体とするものであり、高速で記録する場合にお
いては、溶剤の浸透および乾燥による記録液の定着が遅
く、充分な記録液の乾燥が得られなかった。また、油溶
性染料を溶剤に溶解ないし分散した記録液を用いた記録
物は、溶剤に対する耐性も充分ではなく、耐溶剤性を要
求される用途においては、記録液の硬化による耐溶剤性
の向上も求められている。
【0005】記録液の乾燥スピードを向上させるため、
記録液に熱をかけて乾燥性をあげる方法や、紫外線の照
射により記録液の硬化を行う方法も考えられている。し
かしながら、これらの方法は、記録媒体に記録を行い、
記録物を搬送した後、加熱ないし紫外線の照射を行うも
のであり、吐出されて記録媒体に到達したばかりの記録
液をすみやかに乾燥させるものではなく、必ずしも必要
とする乾燥性の向上を果たしているものとはいえなかっ
た。
【0006】また、紫外線で記録液を硬化させる場合に
は、記録液の紫外線の透過性により硬化の速度が異なる
ため、墨の記録液においては、光開始剤や増感剤を過剰
に入れる必要があった。さらに、光開始剤や増感剤を過
剰に入れた記録液は、高価な材料を多く使用するため価
格的に不利であり、記録物から光開始剤や増感剤のマイ
グレーションが起こりやすくなる等の問題も心配され
る。
【0007】一方、電子線照射による硬化または架橋技
術は、紫外線硬化と同様に地球的問題である環境問題の
面から、省エネルギーかつ溶剤を放出しない環境に優し
いプロセスとして注目を集めており、基材に施された塗
料、印刷インキ、接着剤等の被覆剤の硬化または架橋方
法が提案されており、これまでに多くの検討がなされて
いる。この方法は、真空中で電子を電圧にて加速し、こ
の加速された電子を空気中等の常圧雰囲気中に取り出
し、物体に対して電子線を照射する方法である。
【0008】電子線照射による硬化および架橋の利点と
しては、次のようなものが挙げられる。 (1)希釈剤として有機溶剤を含有させる必要がないので
環境に優しい。 (2)硬化速度が速く生産性大で、冷却、エージング等が
不要のため後加工がすぐにできる。 (3)熱乾燥よりも硬化作業面積が少なく、熱乾燥の際の
温度管理などよりも作業管理しやすい。 (4)常温硬化のため基材の熱ダメージがない。 (5)開始剤、増感剤が不要のため、硬化物の耐候性や安
定性が向上し、低臭気である。 (6)濃度の濃さに関係なく硬化できるため、高濃度印刷
が可能。
【0009】しかしながら、従来の電子線照射装置は、
加速電圧が通常300kV〜1MVと高く、2次X線の
シールディングおよびイナーティングも大掛かりで、装
置は非常に大型になり、また走査型と称するものも、電
子線発生部にスキャンコイルを使用して電子線の方向を
走査させるもので、照射装置は固定して使用せざるを得
ないものであった。よって、インクジェット記録装置に
組込み、インクジェットヘッドと同じように容易に照射
装置そのものを動かして利用するといったものでは到底
ありえなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる事情に
鑑みてなされたものであって、被記録体の表面処理およ
びもしくは記録物の最適な硬化乾燥、また記録物の高耐
性付与により良好な品質の記録物を与えるために、容易
に移動が可能な電子線照射装置を備えたインクジェット
記録装置、記録方法およびこのように電子線を照射して
得られる電子線照射物を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、第1に、一次元ないし三次元に移動可能
な真空管型電子線照射装置を設けたことを特徴とするイ
ンクジェット記録装置である。
【0012】第2の発明は、真空管型電子線照射装置を
インクジェットヘッドと連動させて移動させることを特
徴とするインクジェット記録装置である。
【0013】第3の発明は、インクジェット記録液が被
記録体に着弾する前およびもしくは着弾した後に、該記
録液を、一次元ないし三次元に移動可能な真空管型電子
線照射装置により電子線照射することを特徴とするイン
クジェット記録方法である。
【0014】第4の発明は、インクジェット記録液が被
記録体に着弾する前に飛翔中の記録液に電子線照射する
ことを特徴とするインクジェット記録方法である。
【0015】第5の発明は、インクジェット記録液が電
子線照射により硬化することを特徴とするインクジェッ
ト記録方法である。
【0016】第6の発明は、上記インクジェット記録装
置を用いて形成されたことを特徴とする電子線照射物で
ある。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て具体的に説明する。図1は本発明を実施するためのイ
ンクジェット記録装置に設けられた電子線照射装置に用
いられる、電子線発生部としての照射管を示す模式図で
ある。この装置は、円筒状をなすガラスまたはセラミッ
ク製の真空容器1と、その容器1内に設けられ、陰極か
ら放出された電子を電子線として取り出してこれを加速
する電子線発生部2と、真空容器1の端部に設けられ、
電子線を射出する電子線射出部3と、図示しない給電部
より給電するためのピン部4とを有する。電子線射出部
3には薄膜状の照射窓5が設けられている。電子線射出
部3の照射窓5は、ガスは透過せずに電子線を透過する
機能を有しており、図2に示すように、偏平状をなして
いる。そして、照射室内に配置された被照射物に照射窓
5から射出された電子線が照射される。本発明における
真空管型電子線照射装置は、従来のドラム型の電子線照
射装置のごとく、電子線発生部であるドラム内を常に真
空引きしながら電子線を照射するタイプの装置と異な
り、電子線発生部を真空引きする必要がないため、小型
で、移動可能とできる装置である。なお、真空管型電子
線照射装置としては、通常、円柱状の形状を有する照射
管を用いるものであり、1本ないし複数本の照射管を使
用した装置である。
【0018】このような構成の照射管を有する装置は、
米国特許第5、414、267号に開示されており、Us
hio International Technologies(UIT)社によりM
in−EB装置として知られている。この装置において
は、低加速電圧でも電子線の透過力の低下が小さく、有
効に電子線を取り出すことができる。これによって、低
深度で電子線を作用させることが可能となり、基材への
悪影響なく被記録体や被記録体上の記録液を効率的に処
理または硬化させることができる。また、低加速電圧、
低エネルギーにより2次電子線の発生量を低下させるこ
とができるようになり、大がかりなシールド構造を必要
としない。
【0019】このように、電子線発生部分の小型化が可
能となることから、電子線照射装置の飛躍的な小型化が
実現した。これによって照射装置(照射管)をインクジ
ェット記録装置に組込み、照射装置を単独、またはイン
クジェットヘッドと連動させて照射することが可能な本
発明に至った。本発明で使用される電子線照射装置の加
速電圧はインクジェットにより記録された膜厚の処理を
考えた場合、被照射物の薄膜層で効率よくエネルギーが
利用されて基材へのダメージが少ない100kV以下、
好ましくは10〜90kVとすることが望ましい。
【0020】なお、本発明では、「電子線照射装置」と
して照射管を含む装置の場合、実質的に照射管のみの場
合、いずれも意味している。例えば、インクジェットヘ
ッドと連動させるには、出来るだけ小型の装置であるこ
とが望ましいため、実質的に照射管のみをインクジェッ
トヘッドに組み込む。
【0021】本発明においては、電子線発生部である上
記照射管を備えた電子線照射装置をインクジェット記録
装置に設けて、被記録体およびもしくは記録物に電子線
を照射するにあたり、上記照射管自体を、多関節アーム
を有する3次元機構により、一次元、ニ次元または三次
元方向に自由に移動させたり、またインクジェットヘッ
ドの適当な位置に装着し、インクジェットヘッドと連動
して走査させたりして、インクジェット記録液が被記録
体に着弾する前に被記録体に照射し表面処理を行う、ま
たは記録液が着弾した後に着弾部を電子線照射する、ま
たはインクジェット記録液が被記録体に着弾する前の飛
翔中の記録液に電子線照射させるものである。
【0022】特にインクジェット記録液が被記録体に着
弾する前に被記録体に照射したり、または記録液が着弾
した後に着弾部を電子線照射する場合、電子線が有する
エネルギーによって被記録材と記録液の密着性を向上さ
せるという効果も期待できる。これは紫外線照射では得
られない電子線の特徴であり、電子線によるグラフト重
合などはその好例である。電子線照射管を一次元ないし
三次元に走査させる場合、電子線の透過深度を考慮し、
電子線処理を施したい膜厚に効率よく照射されるよう高
さを調整したり、被照射物の起伏に合わせて電子線照射
と被照射物間の距離を一定に保ったり、また被照射物の
形状にあわせて斜めや横方向から側面に照射したりする
などより最適な照射方法が選ばれる。当然走査しながら
の連続照射以外に断続的な照射や、また処理される面積
にあわせ必要な個所のみ部分的に照射することが可能な
ことは言うまでもない。照射面との距離を最適に設定す
るためには、電子線照射管に光センサーなどの位置セン
サーを取り付けるのが好ましい。このようにインクジェ
ット記録方法において、任意の個所に任意のタイミング
で照射できる電子線をインクジェット記録ヘッドと組合
せることによりで、最も良好な画像品質や物性が付与さ
れた電子線照射記録物を得ることができる。
【0023】次に、本発明の実施に用いるインクジェッ
ト記録装置の具体的な構成側面図を図3に示す。図中参
照符号6はインクジェットヘッドでこの中に収められた
単一または複数のノズルから記録液が吐出され基材11
に着弾する。7は電子線照射装置(照射管)であり、多
関節伸縮アーム8の先端に取り付けられている。このア
ームはアーム駆動ロボットにより駆動され、コントロー
ルユニット9で制御されている。本体部分に取り付けら
れた光センサー10により、被照射物表面と照射窓5と
の距離を検出し、コントロールユニットにフィードバッ
クし、硬化ムラの防止や、硬化深度を考慮した、より効
率よく電子線を照射するために最適な距離に制御され
る。
【0024】次に、インクジェットヘッドの両側に電子
線照射装置を2個装着したものを図4に示す。インクジ
ェットヘッド6の走査と連動して照射管が移動し適宜照
射される。基本的な動作は以下のとおりである。即ちイ
ンクジェットヘッドを右から左に走査し記録液を基材1
1に吐出する場合は、インクジェットの左側に設けた電
子線照射装置7aから、記録液が着弾する前の基材に対
して電子線が照射される。またインクジェットの右側に
設けた電子線照射装置7bからは、記録液が吐出し着弾
した後の基材に対して電子線が照射される。記録前の基
材に対しては電子線照射が必ずしも必要でない場合もあ
り、照射の有無やタイミングは最適な記録物が得られる
よう制御される。
【0025】記録液の吐出は、インクジェット記録にお
いて一般的な各種の方式により行うことができる。記録
液の吐出方式としては、連続噴射方式(バイナリーディ
フレクション方式、マルチディフレクション方式、ヘル
ツ方式等)、インクオンデマンド方式(ピエゾ方式、バ
ブルジェット(キヤノン社登録商標)方式、サーマルジ
ェット方式、電磁弁方式等)を例示することができる。
【0026】記録物は、インクジェット記録装置により
基材の上に記録液が吐出されるが、所望の性能を得るた
めに、適宜記録液を吐出する前に記録液の受容性や密着
性を上げるために基材にアンダーコートを施したり、ま
た基材に記録液が着弾した後に記録物を保護するために
オーバーコートを施してもなんら問題ない。アンダーコ
ートおよびオーバーコートはどのような印刷方式で施さ
れても構わないが、電子線硬化型のインクジェット記録
方式とすることにより、記録液と同様にインクジェット
ヘッドのノズルから供給されるため、本発明の記録装置
へ効果的に組込まれる。すなわちアンダーコート用塗液
やオーバーコート用塗液を記録液が印字される前後の工
程でインクジェットヘッドノズルから塗出させる場合、
電子線はその工程間のどの段階で照射されてもよく、各
液の塗出毎に電子線が照射される場合をはじめ、すべて
ウェット状態で最終段階のみ電子線が照射される場合ま
で、最も効果的に被照射物が処理される工程が選択され
る。更には電子線の被照射物への透過深度や、被照射物
に与えられる吸収線量を制御することにより、より精密
に層間の密着性や架橋分布を制御することも可能とな
る。また最適な記録物を得るために、電子線照射と、紫
外線方式や熱方式を併用したハイブリッド方式としても
なんら問題ない。
【0027】上記基材としては、一般にインクジェット
記録方式で用いられる普通紙、専用紙、特殊紙の他、処
理、未処理を問わずステンレス鋼(SUS)、アルミ等
の金属およびセラミック、ガラス、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレ
ンナフタレート等のプラスチック等が挙げられる。
【0028】本発明で用いる記録液は、電子線により硬
化する電子線硬化性の記録液であり、電子線硬化性化合
物、熱重合禁止剤に、着色剤、粘度調整用の溶剤等の成
分を適宜配合し、吐出方式の特性に応じて調整したもの
である。本発明で用いる記録液は、紫外線により硬化す
る記録液と異なり、光開始剤や増感剤は含まなくてもよ
い。連続噴射式装置においては、伝導度調整用の添加剤
を必要に応じ添加する。着色剤としては、染料および顔
料のいずれも使用できるが、耐光性を始めとする諸耐性
の向上の点から、顔料を使用することが好ましい。
【0029】顔料としては、酸化チタン、チタンブラッ
ク、酸化鉄、カーボンブラック、炭酸カルウム等の無機
顔料、およびキナクリドン系有機顔料、フタロシアニン
系有機顔料、ベンズイミダゾロン系有機顔料、イソイン
ドリノン系有機顔料、アゾ系有機顔料等の有機顔料を使
用できる。吐出の安定性および記録液の安定性、色彩の
透明性や鮮明性を得るため、記録液中の顔料の平均粒径
は、10〜200nmであることが好ましい。着色剤
は、記録液中に固形分で0.1〜10重量%含まれるこ
とが好ましく、記録液の粘度は0.8〜30センチポイ
ズ(25℃)が好ましい。
【0030】電子線硬化性化合物としては、エチレン性
不飽和二重結合を有するモノマー、オリゴマー、プレポ
リマー等を用いることができる。電子線硬化性化合物と
して具体的には、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ
ート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレン
グリコールジアクリレート、1、6-ヘキサンジオールジ
(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリア
クリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げら
れる。これらの電子線硬化性化合物は、一種または必要
に応じて二種以上用いてもよい。
【0031】記録液には、必要な物性に応じて、電子線
硬化性化合物との相溶性に優れた熱硬化性または熱可塑
性樹脂を用いることができる。熱硬化性または熱可塑性
樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)
アクリル酸エステル、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹
脂、セルロース誘導体(例えば、エチルセルロース、酢
酸セルロース、ニトロセルロース)、塩ビ−酢ビ共重合
体、ポリアマイド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ジ
アリルフタレート樹脂、ブタジエンーアクリルニトリル
共重合体のような合成ゴム等が挙げられる。これらの樹
脂は、一種または二種以上用いることができる。
【0032】また、記録液の経時での安定性、記録装置
内での安定性を得るため、記録液は熱重合防止剤を0.
01〜5重量%含むことが好ましい。熱重合防止剤とし
ては、ハイドロキノン、p-メトキシフェノール、t-ブチ
ルカテコール、ピロガロール等の芳香族誘導体が用いら
れるが、芳香族以外の化合物を併用しても差し支えな
い。記録液は、電子線硬化性化合物、熱重合禁止剤、着
色剤を含む濃縮状態の分散液をあらかじめ分散させたの
ち、添加剤を加えて希釈し、孔径1μm以下、さらには
0.5μm以下のフィルターにて濾過して製造すること
が好ましい。
【0033】本発明で用いる電子線硬化型のアンダーコ
ート、オーバーコート用液は、上記電子線硬化性化合物
が基本的には用いられ、アンダーコートの場合は基材と
の密着性および記録液の受理性等、オーバーコート溶液
の場合は記録面との密着性および要求される表面硬度等
により適宜選択される。
【0034】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を説明する。な
お、例中「部」とは重量%を示す。 実施例1 図4に示したインクジェットヘッドの両側に電子線照射
装置を2個装着した装置により、未処理の12μ厚のポ
リプロピレン基材に基材処理を行いながら記録物を作成
した場合の効果を示す。
【0035】2個の電子線照射装置から電子線を照射し
ながらインクジェットヘッドから印字情報に基づき印字
を実施した。すなわち、インクジェットヘッドの走査方
向の前側に位置する電子線照射装置(右から左の場合は
7a、右から左の場合7b)から照射した電子線(照射
線量60KGy)により未処理の基材表面の処理を行っ
た後、インク受理性を改善した基材に対してインクジェ
ットヘッドからインクを吐出させて印字を行い、ヘッド
の走査方向の後方に位置する電子線照射装置(右から左
の場合は7b、左から右の場合は7a)により電子線を
照射(照射線量30KGy)し、インクを硬化させ記録
物を作成した。なお、電子線照射装置は米国UIT社製
の真空管型電子線照射装置を使用し酸素濃度500pp
mの雰囲気下で行った。また照射線量は膜厚10μmの
線量計フィルムで測定した。印字物の基材に対する性能
をインキ受理性と密着性の観点で評価した結果、基材上
でのインキのハジキがなく良好な密着性(評価○)を有
する印字物であった。 〔基材密着性評価方法〕印字した画像にセロテハンテー
プを貼り指圧で完全に密着させた後、垂直方向に引き剥
がしたときの基材へのインク層の密着性を目視で評価し
た。○:はがれなし、△:一部剥離、×:完全剥離 〔電子線硬化型インキ〕 顔料:カーボンブラック(「Printex 150
T」デグサ社製) 2部 トリメチロールプロパントリアクリレート(「KS-TMPT
A」日本化薬社製)55部 N−ビニルホルムアミド(ビームセット770)荒川化
学社製) 40部 脂肪族変性系分散剤(「ソルスパーズ24000」アビ
シア社製) 0.5部 顔料分散剤(「ソルスパーズ5000」アビシア社製)
0.05部 上記各成分を混合し、サンドミルで4時間分散を行った
後、3μmのメンブランフィルターにて加圧ろ過を行い
電子線硬化型インキを調整した。 実施例2 実施例1と同様に、図4に示したインクジェットヘッド
の両側に電子線照射装置を2個装着した装置により、未
処理の25μ厚のPET基材に電子線硬化型アンダーコ
ート層を塗布した後、記録物を作成する場合の効果を示
す。
【0036】図示しないスクリーン印刷機で30メッシ
ュのスクリーンを用いて下記電子線硬化型白色アンダー
コートインキを基材に塗布し15μのアンダーコート層
を形成した。その後、インクジェットヘッドの走査方向
の前側に位置する電子線照射装置(右から左の場合は7
a、右から左の場合7b)から照射した電子線(照射線
量30KGy)により未硬化のアンダーコート層を硬化
させインク受理性を付与した後、インクジェットヘッド
から上記インクを吐出させて印字を行い、ヘッドの走査
方向の後方に位置する電子線照射装置(右から左の場合
は7b、左から右の場合は7a)により電子線を照射
(照射線量30KGy)し、インクを硬化させ記録物を
作成した。なお、電子線照射装置は実施例1と同様の装
置で実施した。印字物の基材に対する性能をインキ受理
性と密着性の観点で評価した結果、アンダーコート層の
インキの受理性は良好で密着性(評価○)も問題ない印
字物であった。 〔電子線硬化型白色アンダーコート組成物〕 酸化チタン:(「タイペークCR−58」石原産業社
製) 30部 ウレタンアクリレートオリゴマー:(「フォトグレーズ
B367−40」ロードコーポレーション社製) 4
0部 トリプロピレングリコールジアクリレート:(「TPG
DA」30部 アクリル系樹脂:(「パラロイドB66」ロームアンド
ハース社製)10部 シランカップリング剤(「サイラエースS−330」チ
ッソ社製)0.0006部 上記組成物を混合した後サンドミルで1時間分散し電子
線硬化型アンダーコートインキを調整した。 実施例3 図5に示した電子線照射装置を3個、インックジェット
ヘッド4個を装着した装置により、未処理の25μm厚
のPET基材に電子線硬化型アンダーコート層を塗布し
た後、記録液の印字、オーバーコート層の塗布を行い、
記録物を作成した場合の効果を示す。
【0037】以下ヘッドの走査方向が右から左の場合で
説明する。実施例2と同様にアンダーコート層を塗布し
た後、インクジェットヘッドの走査方向の前側に位置す
る電子線照射装置7a(左から右の場合は7c)から照
射した電子線(照射線量30KGy)により未硬化のア
ンダーコート層を硬化させインク受理性を付与し、イン
クジェットヘッド6a(左から右の場合は6c)からイン
クを吐出させて印字を行い、照射装置7bから電子線を
照射(照射線量30KGy)し、インキを硬化させた
後、インクジェットヘッド6d(左から右の場合は6
b)から下記オーバーコート組成物を塗布し10μのオ
ーバーコート層を形成した後、照射装置7c(左から右
の場合は7a)から照射した電子線(照射線量25KG
y)によりオーバーコート層を硬化させて記録物を作成
した。なお、電子線照射装置は実施例1と同様の装置で
実施した。印字物の性能は密着性、グロス、硬度の観点
で評価した結果、良好な密着性(評価○)、光学濃度の
上昇、良好な硬度(鉛筆硬度2H)、が得られた。 〔硬度の評価〕JISK5400における方法で鉛筆硬
度を測定した。 〔光学濃度の測定〕マクベス濃度計(RD918)を用
いてオーバーコート塗布前(実施例2)と塗布後(実施
例3)の光学濃度(OD値)を測定しその差で評価し
た。 〔電子線硬化型オーバーコート組成物〕 ペンタエリスリトールポリアクリレート:(「ビームセ
ット710」荒川化学社製)10部 N−ビニルホルムアミド:(「ビームセット770」荒
川化学社製)90部 上記組成物を各割合で配合し均一になるまで混合攪拌し
電子線硬化型オーバーコート層組成物を得た。 実施例4 図6に示した電子線照射装置3個、インクジェットヘッ
ド6個を装着した装置により、ポリカーボネート基材
に、電子線硬化型アンダーコート層、記録液、オーバー
コート層の順にインクジェットヘッドから塗布し記録物
を作成した場合の効果を示す。
【0038】実施例3と同様にヘッドの走査方向が右か
ら左の場合で説明する。インクジェットヘッド6e(左
から右の場合は6f)から下記電子線硬化型クリアーア
ンダーコート組成物を塗布した後、電子線照射装置7a
(左から右の場合は7c)から照射した電子線(照射線
量25KGy)により未硬化のアンダーコート層を硬化
させ15μのアンダーコート層を形成し、インクジェッ
トヘッド6a(左から右の場合は6c)から上記インクを
吐出させて印字を行い、照射管7bから電子線を照射
(照射線量30KGy)し、インキを硬化させ、インク
ジェットヘッド6d(左から右の場合は6b)から上記
オーバーコート組成物を塗布し10μのオーバーコート
層を形成した後、照射装置7c(左から右の場合は7
a)から照射した電子線(照射線量25KGy)により
オーバーコート層を硬化させて記録物を作成した。な
お、電子線照射装置は実施例1と同様の装置で実施し
た。また、印字物の性能評価は実施例3と同様の評価を
実施した。 〔電子線硬化型クリアーアンダーコート組成物〕 トリメチロールプロパントリアクリレート(「KS-TMPT
A」日本化薬社製)60部 N−ビニルホルムアミド(ビームセット770)荒川化
学社製)40部 上記組成物を各割合で配合し均一になるまで混合攪拌し
電子線硬化型クリアーアンダーコートインキを調整し
た。 比較例1 実施例1においてヘッド走査方向の照射装置からの電子
線照射を実施しなかった以外は実施例1と同様の方法で
印字物を作成した。得られた印字物は基材上でのインキ
のハジキが激しく光学濃度の低下も大きかった。また、
基材の密着性も悪く、密着性試験において完全に剥離が
起こった。 比較例2 電子線硬化型インキ組成に光重合開始剤として「イルガ
キュア907」チバガイギー社製4部、「カヤキュアー
ITX」日本化薬社製1部溶解しUV硬化型インキを作
成した。25μm厚のPET基材に実施例2の電子線硬
化型アンダーコート層を塗布した後、電子線を照射しイ
ンキ受理性を付与した基材に、作成したUV硬化型イン
クをインクジェットヘッドを用いて印字を行い、株式会
社東芝製UV照射装置によりランプ出力120W/c
m、搬送速度5m/minで紫外線照射を行い記録物を
作成した。印字物を評価したところ基材がUV照射の熱
で収縮が起こり、かつ、白インキの隠蔽性が高いため内
部硬化が不十分であった。
【0039】以下、実施例1から4、比較例1および2
の結果を表1にまとめて示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
インクジェット記録装置に容易に移動可能な電子線照射
装置を設けることにより、任意のタイミングで被記録体
に電子線を照射することができ、最良の印字品質や物性
の付与された電子線照射物がインクジェット記録方式に
より得られるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】は本発明を実施するためのインクジェット記録
装置に設けられた電子線照射装置に用いられる、電子線
発生部としての照射管を示す側面図である。
【図2】は照射管の底面図である。
【図3】は本発明の実施に用いるインクジェット記録装
置の具体的な構成を示す概略側面図である。
【図4】、
【図5】および
【図6】は本発明の装置、方法を示す斜視図である。
【符号の説明】
1は照射管の容器、2は電子線発生部、3は電子線射出
部、4はピン部、5は照射窓、6はインクジェットヘッ
ド、7は電子線照射装置(照射管)、8は多関節伸縮ア
ーム、9はコントロールユニット、10は光センサー、
11は基材、をそれぞれ示す。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一次元ないし三次元に移動可能な真空管型
    電子線照射装置を設けたことを特徴とするインクジェッ
    ト記録装置。
  2. 【請求項2】真空管型電子線照射装置をインクジェット
    ヘッドと連動させて移動させることを特徴とする請求項
    1記載のインクジェット記録装置。
  3. 【請求項3】インクジェット記録液が被記録体に着弾す
    る前およびもしくは着弾した後に、該記録液を、一次元
    ないし三次元に移動可能な真空管型電子線照射装置によ
    り電子線照射することを特徴とするインクジェット記録
    方法。
  4. 【請求項4】インクジェット記録液が被記録体に着弾す
    る前に飛翔中の記録液に電子線照射することを特徴とす
    る請求項3に記載のインクジェット記録方法。
  5. 【請求項5】インクジェット記録液が電子線照射により
    硬化することを特徴とする請求項3または請求項4に記
    載のインクジェット記録方法。
  6. 【請求項6】請求項1または請求項2記載のインクジェ
    ット記録装置を用いて形成されたことを特徴とする電子
    線照射物。
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