JP3219869U - 放射線の防護衣 - Google Patents
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Abstract
【課題】頭部CT撮影中に患者が動いても体から出来る限り離脱せず、しかも患者への着脱が容易な放射線の防護衣を提供する。
【解決手段】放射線の防護衣1は略長方形状の長さ方向の中央部で折返して2枚重ねとし、中央部に着用者が頭部を通すための開口部4を設けている。また、折返された中央部から前面に開口部4から2分割された左右の前身頃2、後面に後身頃3を形成し、該左右の前身頃2が重なり合うよう接合手段7、8で着脱自在に接合する。
【選択図】図1
【解決手段】放射線の防護衣1は略長方形状の長さ方向の中央部で折返して2枚重ねとし、中央部に着用者が頭部を通すための開口部4を設けている。また、折返された中央部から前面に開口部4から2分割された左右の前身頃2、後面に後身頃3を形成し、該左右の前身頃2が重なり合うよう接合手段7、8で着脱自在に接合する。
【選択図】図1
Description
本考案は、放射線防護のために患者が着用する放射線の防護衣、詳しくは、頭部CT撮影時に放射線散乱線から患者を防護するための放射線の防護衣に関するものである。
従来より、頭部CT撮影は、患者の放射線被曝を避けるため検査台に寝た患者に放射線防護用の掛布を掛けた状態で頭部撮影が行われる。頭部CT撮影時に使用される放射線防護用掛布は放射線遮蔽性を有する鉛や、粉末状のアンチモン系材料、ビスマス系材料、タングステン系材料等を含有させたシート状の放射線防護体を所望の形状に裁断し、プラスチックシートや繊維編織物、不織布に包むか、あるいは表裏にシート状体を貼り合わせ一体化させた掛布である(例えば株式会社保科製作所 X線防護用品カタログ34頁参照)。
しかし小児や閉所恐怖症の患者の場合、CT撮影中に身体を動かすことがある。身体を動かすと、掛布が体から離脱することがあるが、放射線は照射野等から患者の体内外に散乱するため撮影中の防護用掛布の体からの離脱は出来る限り避けなければならない。特に、小児用の防護衣では放射線被曝量低減とともに、緊急な着脱に対応できることが求められている。
しかし小児や閉所恐怖症の患者の場合、CT撮影中に身体を動かすことがある。身体を動かすと、掛布が体から離脱することがあるが、放射線は照射野等から患者の体内外に散乱するため撮影中の防護用掛布の体からの離脱は出来る限り避けなければならない。特に、小児用の防護衣では放射線被曝量低減とともに、緊急な着脱に対応できることが求められている。
株式会社保科製作所 X線防護用品カタログ34頁
しかしながら、従来の放射線防護用掛布は上記問題を解消した、患者を防護するための防護衣は未だ提案されていない。
したがって、本考案の目的は、CT撮影中に患者が動いても体から出来る限り離脱せず、しかも患者への着脱が容易な放射線の防護衣を提供することである。本考案者らは患者を防護するための防護衣の形状について徹底的に検討した結果、頭を出すための頭出し穴を生地の中央部に開けただけの簡素な構造のポンチョに着目し、更に検討した結果本考案に到達したものである。
すなわち、本考案は、(1)熱可塑性樹脂及び粉末状の放射線遮蔽材料を含有する略長方形状の放射線防護体の表面及び裏面に合成樹脂又は繊維からなるシート状体を積層して一体化した放射線の防護衣であって、該防護衣は略長方形状の長さ方向の中央部で折返して2枚重ねとし、該中央部に着用者が頭部を通すための開口部を設けて、該中央部から前面に該開口部から2分割された左右前身頃、後面に後身頃を形成するとともに、該左右の前身頃が重なり合うよう接合手段で着脱自在に接合するよう構成したことを特徴とする放射線の防護衣である。
該接合手段が左右いずれか一方の前身頃の端部に横方向、もう一方の前身頃の端部に縦方向に取付けられた面ファスナーであることを特徴とする上記(1)記載の放射線の防護衣である。
本考案の放射線の防護衣は、ポンチョ形状のため診察中に患者が動いても患者から離脱することはない。また、右前身頃と左前身頃が重ね合わされて接合されるため接合部からの放射線の出入を防ぎ、患者の放射線被曝が低減できる。また、ポンチョ形状のため患者への着脱も容易である。
次に、本考案の放射線防護衣の一実施例について図面にて説明する。図1はシートの中央部で折り畳んだ状態の放射線防護衣1の写真である。展開した状態では略長方形状の1枚のシートである。略長方形状とは後身頃に向かって細くなる台形状も含む。該略長方形状の1枚のシートは前身頃となる前身頃部2と後身頃となる後身頃部3に分割された2枚のシートを面ファスナーなどで接合一体化して1枚のシート(図示せず)にしてもよい。このシートは着用状態において前身頃となる前身頃部2と後身頃となる後身頃部3との間に患者の頭部を通すための開口部4が設けられている。前身頃部2は開口部4から左右に分割された右前身頃5と左前身頃6で形成されている。左右の前身頃5、6を接合手段で接合するときは、接合部から放射線が出入しないようにする必要がある。接合手段の一つである面ファスナーは図1に示すように右前身頃5に横方向に取付け、左前身頃6に縦方向に取付けると左右の前身頃を隙間なく容易に接合できるため好ましく使用される。7は右前身頃に取付けられた面ファスナーであり、8は左前身頃に取付けられた面ファスナーである。ボタンホックでは雄ホックを左前身頃6の端部、雌ホックを右前身頃5の端から離れた位置に取付ける。ジッパーは左右の前身頃5、6の端部に雄雌ジッパーを取り付け、ジッパーを十分覆う被覆部を右前身頃5の端部に設けるとよい。また分割された右前身頃5または左前身頃6の少なくとも一方にポケットが(図示せず)が設けられている。
放射線はポンチョ型の放射線の防護衣の前身頃2と後身頃3の重ね合せ部からも出入するため図1のように放射線の防護衣1の長さと幅は患者が動いても隙間ができないように広くすることが重要である。また甲状腺や生殖部など重要な臓器及び照射野から近い胸部を保護するため前身頃2の甲状腺及び生殖部、胸部を覆う部位はシート状の放射線防護体を積層して放射線の遮蔽性能を向上させることが好ましい。
本考案の防護衣1は1枚のシートで患者の前面及び背面を一度に覆い、かつ、患者の頭部を通すための開口部を有しているため肩や首回りに形成される隙間を減少させることができる。該頭部を通すための開口部4にゴム紐などのゴム状体(図示せず)を取り付けて開口部を患者の首回りに密着させると首回りに形成される隙間を更に減少できる。また、開口部に詰襟を取り付けてその上端部にゴム状体を取り付けると更に好ましい。
特に小児用の防護衣1は、感染防護の観点から清潔さが求められるが、本考案の防護衣1は構造が簡単であるため、再使用する場合には汚染された表面包装材のみを取り外して新しく交換し、常に表面を清潔に保つことも出来る。更に、表面包装材を単回使用として全体を滅菌品にして、手術処理に使用することも可能である。
次に本考案の放射線の防護衣1の装着方法を説明する。図2に示すように検査台(図示せず)上に防護衣1を展開した状態で敷いてその上に患者(乳幼児のマネキンで代替)Mをその頭部Hが防護衣に形成された開口部4に位置するように寝かせた後、図3に示すように左右の前身頃5、6を開口部4から患者の頭部Hを通した状態で折返す。その後面ファスナーで左右の前身頃5、6を接合する。
前身頃となる前身頃部と後身頃となる後身頃部に分割された2枚のシートを面ファスナーなどで接合一体化した放射線の防護衣の場合は、検査台上に後身頃部を敷き、その上に患者をその頭部が防護衣に形成された開口部に位置するように寝かせた後、患者の体に前身頃部を掛けて前身頃部と後身頃を面ファスナーで接合する。この2枚のシートからなる防護衣は患者への着脱がさらに容易である。
放射線の防護衣1はその機能を保持するために気密性が要求されるが、それに伴って生じる患者の発汗及びこれに起因する蒸れが問題である。かかる問題は図4の断面図に示すように放射線の防護体9の裏面に被覆するシート状体11に繊維布を使用すると軽減できるが、シート状体11に通気性を有するメッシュや三次元立体編物(特許第3943011号参照)を積層するとさらに蒸れが軽減できる。
放射線の防護衣1は、図4の断面図に示すように熱可塑性樹脂及び粉末状の放射線遮蔽材料を含有するシート状の放射線の防護体9の表面及び裏面に、シート状体10、11が被覆されている。該放射線の防護体の表面に被覆されたシート状体10は着色されていてもよい。シート状の放射線の防護体9及びシート状体10、11は放射線の防護衣1の動作を妨げることのないよう可撓性を有する。シート状体10、11は、ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂その他の柔軟な合成樹脂シート、天然繊維、合成繊維の織布、不織布、編物等の繊維布、あるいは合成樹脂シートの上面に繊維布を被覆して一体化したシートである。シート状体10、11の厚さは特に限定されるものではないが、通常、厚みは0.01〜1.0mm程度である。繊維布を放射線防護体9の裏面に積層すると通気性が若干発生して蒸れが減少し、発汗しても汗が繊維布に吸収される利点がある。
放射線の防護体9は熱可塑性樹脂と粉末状の放射線遮蔽材料を含むものであって、熱可塑性樹脂は放射線の防護体の基材となるとともに、放射線遮蔽性を有する粉末状の金属材料のバインダーとなる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂等を使用することができる。 ポリオレフィン系樹脂のうち、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)は、シート化する際の成形加工性が良好であるため好ましい。
放射線遮蔽性を有する金属材料としては、例えば、鉛、錫、ビスマス、アンチモン、亜鉛、タングステンやこれらの酸化物などがある。硫酸バリウムを用いることもできる。放射線遮蔽性を有する金属材料はその1つを単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
放射線遮蔽性を有する金属材料の平均粒子径は、1〜300μmである。金属材料をこの範囲にすることにより、熱可塑性樹脂に対して分散性もよく、熱可塑性樹脂になじみやすくなるという効果が発揮される。
放射線の防護体は、熱可塑性樹脂、放射線遮蔽性金属及び必要により添加した添加剤を必要量計量した上で、混合攪拌機で混合させ、必要に応じて、未分散物を取り除く目的で濾過すること、あるいは気泡を取り除く目的で減圧脱泡等の処理を行い、得られた組成物を、押出成形、プレス成形等の公知の手段によってシート状に成形加工して製造することができる。かかるシート状の放射線の防護体9は、単層でも複数層を重ね合わせて積層化してもよい。
放射線遮蔽性能を備えた放射線の防護衣1は、図3のようにシート状の放射線防護体9を所望の形状に裁断し、シート状体10、11に包むか、あるいは表裏にシート状体10、11を貼り合わせ一体化させて放射線の防護衣1とすることができる。放射線防護体9をシート状体10、11と縫い合わせる場合には、縫合糸13を用いて放射線防護体9とシート状体10、11をミシン加工により縫い付ける。縁部を保護するために縁取りテープ12を設けることもある。これにより、可撓性の放射線防護体9とシーと状体10、11が一体化される。ミシン加工の代わりに放射線防護体9とシート状体10、11の縁部を溶着や接着により一体化してもよい。
本考案の放射線の防護衣は、ポンチョ形状のため撮影中に患者が動いても患者から離脱しないため、照射野等から患者の体内外に散乱する放射線の被曝が低減できる。また、ポンチョ形状のため緊急な着脱に対応でき医療分野での利用可能性が高い。
1、放射線の防護衣
2、前身頃
3、後身頃
4、開口部
5、右前身頃
6、左前身頃
7、8 面ファスナー
2、前身頃
3、後身頃
4、開口部
5、右前身頃
6、左前身頃
7、8 面ファスナー
Claims (4)
- 熱可塑性樹脂及び粉末状の放射線遮蔽材料を含有する略長方形状の放射線防護体の表面及び裏面に合成樹脂又は繊維からなるシート状体を積層して一体化した放射線の防護衣であって、該防護衣は略長方形状の長さ方向の中央部で折返して2枚重ねとし、該中央部に着用者が頭部を通すための開口部を設けて、該中央部から前面に該開口部から2分割された左右前身頃、後面に後身頃を形成するとともに、該左右の前身頃が重なり合うよう接合手段で着脱自在に接合するよう構成したことを特徴とする放射線の防護衣。
- 該接合手段が左右いずれか一方の前身頃の端部に横方向、もう一方の前身頃の端部に縦方向に取付けられた面ファスナーであることを特徴とする請求項1記載の放射線の防護衣。
- 該防護衣の甲状腺や生殖部及び照射野から近い胸部を覆う部位は放射線防護体が積層されてなることを特徴とする請求項1乃至2記載の放射線の防護衣。
- 少なくとも該左右の前身頃の一つにポケットが取り付けられてなる請求項1乃至3記載の放射線の防護衣。
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JP2021081301A (ja) * | 2019-11-19 | 2021-05-27 | 株式会社アドエッグ | 放射線遮蔽材 |
JP2023100587A (ja) * | 2022-01-06 | 2023-07-19 | 隆太郎 和田 | 被ばくと防護負荷を低減する複合化した防護機器・器具 |
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EP4064296A4 (en) * | 2019-11-19 | 2023-11-01 | Adegg Co., Ltd. | RADIATION PROTECTION MATERIAL |
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