JP3210260U - インナー放射線防護衣料及びインナー放射線防護衣料用縫製材 - Google Patents

インナー放射線防護衣料及びインナー放射線防護衣料用縫製材 Download PDF

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Abstract

【課題】 軽量で着心地がよく、かつ放射線遮蔽性能を有するインナー放射線防護衣料を実現する。【解決手段】放射線遮蔽芯材35が第1生地70と第2生地80との間に挟まれた状態で糸で縫製されてなるインナー放射線防護衣料用縫製材37を用いて構成され、放射線遮蔽芯材35は、基材10と、基材10の表面を覆うように設けられ、かつ金属粉22が配合されてなるコーティング膜20と、を有する、少なくとも1枚の放射線遮蔽シート30を備え、放射線遮蔽シート30は、収縮加工されることで凹凸が形成されてなる構造を有する収縮加工品であり、1枚の場合は、放射線遮蔽シートにおけるコーティング膜20が基材10よりも人体の側に位置するように配置され、複数枚の場合は、2枚を一対とし、一方の基材10と他方の基材10とが互いに背中合わせとなるように配置される。【選択図】 図3

Description

本考案は、下着(肌着)等の直接に肌に接する衣料の上に装着され、原子力関連施設の作業者、原子力発電所が立地する地域の住民等が着用可能なインナー放射線防護衣料、及びこれに用いられる縫製材(つまりインナー放射線防護衣料用縫製材)に関する。
例えば、特許文献1には、ファスナー付きのコートタイプの放射線防護衣が記載されており、また、特許文献2には、身体に巻いて使用するスカートタイプ、上着タイプの放射線防護衣が記載されている。また、特許文献3には、放射線防護のために、鉛に代えて、タングステン粉体を用いる技術が記載されている。
特開2012−132127号公報 特開2015−17809号公報 実用新案登録第3184220号公報
上記文献に記載の放射線防護衣は外衣に関するものである。インナー放射線防護衣料の場合、下着(肌着)等を介して人の肌の身近に装着されることから、人の肌に負担を与えず着心地がよいこと、ならびに軽量であることが、さらに高いレベルで要求される。
但し、放射線遮蔽性能を得るためには金属を使用する必要があり、快適な着用性及び軽量性と、実用に耐える放射線遮蔽性能と、を両立させることは困難である。
本考案の目的の一つは、軽量で着心地がよく、かつ放射線遮蔽性能を有するインナー放射線防護衣料を実現することにある。
(1)本考案のインナー放射線防護衣料の一態様では、直接に肌に接する衣料の上に装着されるインナー放射線防護衣料であって、放射線遮蔽芯材が第1生地と第2生地との間に挟まれた状態で、前記第1生地、前記放射線遮蔽芯材及び前記第2生地を貫通する糸で縫製されてなるインナー放射線防護衣料用縫製材を少なくとも1枚用いて構成され、前記インナー放射線防護衣料用縫製材における前記放射線遮蔽芯材は、基材と、前記基材の表面を覆うように設けられ、かつ金属粉が配合されてなる、放射線の遮蔽効果をもつコーティング膜と、を有する、少なくとも1枚の放射線遮蔽シートを備え、前記放射線遮蔽シートは、収縮加工されることで凹凸が形成されてなる構造を有する収縮加工品であり、前記収縮加工品としての前記放射線遮蔽シートが1枚である場合には、前記インナー放射線防護衣料が人体に装着された場合に、前記放射線遮蔽シートにおける前記コーティング膜が、前記基材よりも前記人体の側に位置するように配置され、前記収縮加工品としての前記放射線遮蔽シートが複数枚である場合には、2枚を一対とし、一方の基材と他方の基材とが互いに背中合わせとなるように配置される。
本態様では、収縮加工品としての放射線遮蔽シート(凹凸を有して立体的な断面形状を有する)を放射線遮蔽芯材とし、この放射線遮蔽芯材を、放射線遮蔽シートのコーティング膜が基材よりも人体側に位置するように配置して(また、放射線遮蔽シートが複数枚である場合には、2枚を一対とし、一方の基材と他方の基材とが互いに背中合わせとなるように配置して)、2枚の生地(第1生地、第2生地)で挟み、各部材を貫通する糸で縫製して縫製材(すなわち、インナー放射線防護衣料用縫製材)を作成し、この縫製材を少なくとも1枚用いることで、インナー放射線防護衣料が実現される。収縮加工品としての放射線遮蔽シートは、例えば縮緬状の微小な凹凸が表面に形成されることから、全方位に(つまり、特定方向に限定されることなく)伸縮が可能であり、インナー衣料の素材として用いることで、人の肌に柔軟に適応して違和感の少ないインナー衣料が得られる。放射線遮蔽シートは、例えば、ポリエステルなどの布(布帛)からなる基材と、基材上に設けられる、タングステン等の金属粉末が分散された、例えばアルコキシシラン等のシラン系化合物の樹脂からなるコーティング膜と、を備えているが、放射線遮蔽シートの製造過程において、コーティング膜の主材である樹脂等が基材の裏側にまで回り込む場合があり(いわゆる、バリが発生する場合がないとはいえない)、これに対して、コーティング膜の膜厚は厳密に制御されて安定した面(つまり、人体の肌に対する安全性がより高い面)である。また、例えば、基材が布製であり、その布が不織布等の布材であるときに、コーティング膜の塗工加工時に、その布(この場合は不織布等の布材であり、「布材」には、その布材の破片、断片を含むものとする)がコーティング膜の表面に付着することで、より安全な面となり、この安全な面が人体の肌に向くことから、さらに安全性が高まる。これらの点を考慮して、縫製材における芯材としての放射線遮蔽シートは、コーティング膜の方が、基材よりも人体の肌に近い側に位置するように配置される。よって、放射線遮蔽シートの、より安全性の高い面が肌に向くことから、肌に対してより優しい感触のインナー衣料が得られる。複数枚の縫製材(縫製品)を用いる場合は、2枚を一対とし、一方の基材と他方の基材とが互いに背中合わせとなるように配置することで、内側(肌に近い側)、外側(肌から遠い側)のいずれにおいても、放射線遮蔽シートの、より安全性が高い面が向くことから、この場合も、人に対する安全性の高いインナー衣料となる。放射線遮蔽シートはごく薄く、軽量であり、金属粉が含有されたコーティング膜によって放射線(例えば、コンプトン散乱したX線等)を遮蔽する効果があり、また、立体断面であることから、斜めから到来する放射線が複数回、放射線遮蔽シートを通過することになり、これによって放射線遮蔽効果が向上される。これらによって、軽量で着心地(着用感)がよく、かつ実用に耐える放射線遮蔽性能を有する、実用的なインナー放射線防護衣料を実現することができる。
(2)本考案のインナー放射線防護衣料の他の態様では、前記基材は布製であり、前記収縮加工品としての放射線遮蔽シートにおける前記コーティング膜の表面の少なくとも一部には、前記基材の材料である布材が付着しており、前記基材の裏面の少なくとも一部には、前記基材の表面に設けられる前記コーティング膜の材料が付着している。
放射線遮蔽シートの製造において、コーティング膜は、例えば、吹き付け、塗布、含浸(液状のものを基材に含浸させて固化する)等によって形成できるが、コーティング膜の主材である樹脂等が基材の裏側にまで回り込む場合があり(いわゆる、バリが発生する場合がないとはいえない)、バリの除去処理をしても完全には取り切れない場合には、現実的には、基材の裏面に樹脂等が付着したままとなる。万一、このような状態の放射線遮蔽シートであっても、上述のとおり、コーティング膜の表面が人体の肌の方を向いているため、かつ、塗工加工時に付着する基材の材料である布材(不織布等)により、特に肌への悪影響は生じない。つまり、バリが生じる可能性がある面が人体の肌に向かないことから、安全性が向上する。また、例えば、基材が布製であり、その布が不織布等の布材であるときに、コーティング膜の塗工加工時に、その布(この場合は不織布等の布材であり、「布材」には、その布材の破片、断片を含むものとする)がコーティング膜の表面に付着することで、より安全な面となり、この安全な面が人体の肌に向くことから、さらに安全性が高まる。特に肌への悪影響は生じない。よって、製造が容易で、かつ実用的なインナー衣料を得ることができる。
(3)本考案のインナー放射線防護衣料の他の態様では、前記収縮加工品としての前記放射線遮蔽シートは、熱収縮加工が施されて縮れている。
本態様では、収縮加工品として、熱収縮加工が施されて縮れを有する構造のものを使用する。例えば、熱収縮性の糸やフィルムを使用して放射線遮蔽シートに縮れを生じさせ、表面に縮緬状の凹凸が形成された構造(ちりめん加工された構造)としたものである。表面に、独特の凹凸(縮緬模様等)が生じるため、あらゆる方向に伸縮する可能性が担保され、衣料のごわごわ感をより低減することができる。
(4)本考案のインナー放射線防護衣料の他の態様では、前記インナー放射線防護衣料用縫製材はキルト加工が施されている。
本考案で使用される収縮加工品としての放射線遮蔽シートは、収縮率に応じた立体断面を有しすると共に、伸縮自在であり、この点に着目して、本態様では、縫製の際にキルト加工を施したものを用いる。放射線遮蔽シートのうちの、2枚の生地を糸で縫い合わせた部分(キルト部分)は容易に平坦化して厚みが減じられ、一方、その他の部分は立体的な断面を維持することから、例えば、適度なふくらみのある規則的な凹凸構造や生地重量の定着性を安定的に得ることができる。また、キルト加工によって、放射線遮蔽シートが生地にしっかりと固定されることから、例えば、インナー衣料が洗濯された場合でも安定した構造が維持されることになり、実用性が向上する。よって、着心地がよく、日常の繰り返しの使用にも耐えるインナー衣料が得られる。
(5)本考案のインナー放射線防護衣料の他の態様では、前記インナー放射線防護衣料用縫製材はキルト加工が施されることによって縫製された部分において前記第1生地と前記第2生地とが近接し、または接触し、これによって仕切りが形成され、前記仕切りによって仕切られることで形成される小袋状の部分の内部空間に前記放射線遮蔽芯材が詰められた状態となることで、前記小袋状の部分がふくらみを有し、前記小袋状の部分及び前記仕切りが繰り返されることで連続する凹凸が形成されて生地の持つ機能効果が安定保持される事となる。
本態様では、キルト加工によって、糸で縫製した部分(キルト部)により囲まれる小袋状の部分の内部空間に、立体的断面の放射線遮蔽シートが詰められた構造、つまり、肌への負担を軽減できる、よりインナー衣料に適した構造(例えば、適度なふくらみのある規則的な凹凸構造・生地重量の定着性)を得ることができる。
(6)本考案のインナー放射線防護衣料の他の態様では、前記インナー放射線防護衣料用縫製材としての、一対の前側シャツ部材及び後側シャツ部材を有し、前記前側シャツ部材及び後側シャツ部材の各々は留め具(例えば、ボタン、結び紐、面的に着脱可能な面ファスナー(面状留め具)等)を備えると共に、各部材が前記留め具によって一体化されることで構成されるシャツタイプの衣料である。
本態様では、着心地がよいシャツタイプの、放射線遮蔽効果をもつインナー衣料を得ることができる。
(7)本考案のインナー放射線防護衣料の他の態様では、前記インナー放射線防護衣料用縫製材は、帯状の縫製材であり、前記帯状の縫製材の端部に留め具が設けられ、首や腹等の人体の一部に巻き付けられた状態で前記帯状の縫製材の端部同士が前記留め具により固定される、帯状巻タイプの衣料である。
本態様では、着用感がよい、帯状巻タイプの放射線遮蔽効果をもつインナー衣料を得ることができる。
(8)本考案のインナー放射線防護衣料の他の態様では、人体の胴部に装着される環状の第1のゴム部と、人体の臀部に装着される第2のゴム部と、前記インナー放射線防護衣料用縫製材としての人体の局部を覆うパッド状の縫製材と、を有するパンツ又はふんどしタイプの衣料である。
本態様では、下着の上から着用感がよいパンツタイプ又はふんどしタイプ(ビキニタイプ等の下衣を含む広義の概念である)の、放射線遮蔽効果をもつインナー衣料を得ることができる。
(9)本考案のインナー放射線防護衣料の他の態様では、前記第1のすべり止め付ゴム部に、前記パッド状の縫製材を出し入れ可能なネットが取り付けられてなる。
本態様では、ネットに、パッド状の部分を出し入れして繰り返し使用することができ、よって、洗濯性にも優れたインナー衣料が実現される。パッド状の縫製材は、例えばキルト縫製等によって縫製され、適正な放射線遮蔽効果を有することから、人体の重要部分を効果的に保護することができる。パットは局部に合わせた動線裁断にて縫製されている。
(10)本考案のインナー放射線防護衣料の他の態様では、前記基材は、編物、織物、不織布、紙のうちのいずれかで構成される布帛、またはフィルム、またはシートで有ってもよい。
前記金属粉は、タングステン、バリウム、鉛、ビスマス、アンチモン、希土類金属、ホウ素、モリブデンから選ばれた少なくとも1種の単体、またはその合金、またはその化合物、または前記単体を他の材料で被覆したものの粉で有ってもよい。
記コーティング膜の主材は、樹脂類、または、シロキサン結合をもつ、あるいはアルコキシ基をもつシラン系化合物膜である。
基材の材料を選ぶことによって、例えば、放射線遮蔽シートの厚み、柔軟性、コーティング膜との密着性等を調整することができる。また、金属粉の材料を選ぶことによって、必要とする放射線遮蔽効果や重量等を調整することができる。また、コーティング膜の主材を選ぶことによって、コーティング膜に撥水性を付与したり、基材との密着性を調整したり、金属粉の均一な分散を実現させたりすることができる。なお、コーティング膜の主材としての樹脂膜の「樹脂」には、天然樹脂、合成樹脂の双方が含まれるが、特に、熱可塑性をもつ合成樹脂が望ましい。
(11)本考案のインナー放射線防護衣料用縫製材は、上記いずれかのインナー放射線防護衣料のためのインナー放射線防護衣料用縫製材である。
インナー衣料に適した縫製材であることから、この縫製材を素材として、より多様なインナー衣料への展開、応用が可能となる。
本考案により、軽量で着心地(着用感)がよく、かつ放射線遮蔽性能を有するインナー放射線防護衣料、ならびに、インナー衣料に適した縫製材(インナー放射線防護衣料用縫製材)を実現することができる。
(a)は、平坦状の放射線遮蔽シートを示す図、(b)は、収縮加工がほどこされた放射線遮蔽シートの凹凸状の立体断面および表面に形成される模様(縮緬模様)の例を示す図である。 (a)〜(c)は、コーティング膜の主材である、シロキサン結合をもつ、あるいはアルコキシ基をもつシラン系化合物膜の構造例を示す図である。 (a)は、インナー放射線防護衣料における放射線遮蔽シート(1枚)の位置付けの例、及び放射線遮蔽シートの配置例を示す模式的な断面図、(b)は、放射線遮蔽シート(2枚)の配置例を示す模式的な断面図である。 キルト加工品の構造の一例を示す斜視図である。 (a)、(b)は各々、シャツタイプのインナー放射線防護衣料の一例の正面図、背面図、(c)は、例えば首に巻いて使用する帯状のインナー放射線防護衣料の一例の斜視図である。 (a)は、パンツタイプのインナー放射線防護衣料の一例の正面図、(b)は、パンツのゴムに着脱可能なネットの正面図、(c)は、放射線遮蔽シートをキルト加工して得られるパッドの正面図、(d)は、二枚のパッドの縫製加工について説明するための図、(e)は、パンツタイプのインナー放射線防護衣料の全体の構成例を示す斜視図である。 (a)は、パンツタイプのインナー放射線防護衣料の着用例を示す要部の側面図、(b)は、要部の背面図である。
以下、本考案の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1(a)は、平坦状の放射線遮蔽シートを示す図である。放射線遮蔽シート30は、基材10と、基材10の表面を覆うように設けられ、かつ金属粉22が配合されてなる、放射線の遮蔽効果をもつコーティング膜20と、を有している。コーティング膜20は、塗布、吹き付け、含浸などで形成することができる。コーティング膜20は、基材10の表面を覆って密着固定されるのが好ましい。
基材10としては、編物、織物、不織布、紙のうちのいずれかで構成される布帛、またはフィルム、またはシートを用いることができ、金属粉22としては、タングステン、バリウム、鉛、ビスマス、アンチモン、希土類金属、ホウ素、モリブデン等から選ばれた少なくとも1種の単体、またはその合金、またはその化合物、または前記単体を他の材料で被覆したものの粉を用いることができ、また、コーティング膜20の主材としては、樹脂膜、または、シロキサン結合をもつ、あるいはアルコキシ基をもつシラン系化合物膜を用いることができる。但し、例示であり、これらに限定されるものではない。なお、コーティング膜の主材としての樹脂膜の「樹脂」には、天然樹脂、合成樹脂の双方が含まれるが、特に、熱可塑性をもつ分散液に分散させた合成樹脂が好ましい。
基材10の材料を選ぶことによって、例えば、放射線遮蔽シートの厚み、柔軟性、コーティング膜20との密着性等を調整することができる。また、金属粉22の材料を選ぶことによって、放射線遮蔽効果や重量等を調整することができる。また、コーティング膜20の主材を選ぶことによって、コーティング膜20に撥水性を付与したり、基材10との密着性を調整したり、金属粉22の均一な分散を実現させたりすることができる。
より具体的には、基材は、単位面積当たりの重さが100g/m以下のポリエステル繊維や合成繊維等からなる布帛を用いることが出来るが、それ以下、それ以上でも良い。
また、ガンマ線のコンプトン散乱線を効果的に遮蔽することを考慮すると、金属粉22として、金属タングステン粉を用いることができる。なお、本明細書において、「金属タングステン」というとき、純粋な「タングステン」の他、「タングステン合金(例えば、タングステンを主成分とし、バインダー層をニッケル、銅、鉄などで構成したもの等)」、「酸化タングステン等のタングステン化合物」、「タングステン粒子を他の材料で被覆したもの」を含むものとし、これらは、「タングステンを主体とする金属粉」と称することもできる。金属粉22の粒径は3μm〜10μm(より好ましくは3.5μm)程度が好ましく、単位面積あたりの重さが800g〜1100g/m(より好ましくは、900〜1000g/m)となるように配合されるのがよい。基布との接着機能剤としての使用では2〜3%の酸化チタンを充填しても良い。
なお、金属粉22の配合重量の単位としてg/mを用いているが、これは、服地などは、サイズ(面積)がmで表されることが多いことを考慮したものである。
基材10の厚みT1は例えば0.1mm以下、コーティング膜の厚みT2は例えば0.4mm以下に設定される。この場合、全体の厚みが0.5mm以下となり、ごく薄の、ある程度の柔軟性をもつ放射線遮蔽シート30を構築できる。
次に、図1(b)を参照する。本考案では、図1(a)の平坦な形状のものは使用せず、図1(b)のような、凹凸を有する立体的な断面形状のもの(スモッキング型の放射線遮蔽シート)を使用する。
図1(b)の放射線遮蔽シート30は収縮加工が施された収縮加工品であり、例えば熱収縮性のフィルムが貼付され、かつ全体的に縮緬状の凹凸が形成されている。熱収縮加工が施され、縮んだ放射線遮蔽シートを、本明細書では、「スモッキング型」、または「スモッキング」と称する。放射線遮蔽シート30の断面は、山と谷が交互に繰り返される、先端が丸みを帯びた波形状の断面形状を有しており、例えば、図1(b)の(iii)に示されるものは、山と谷が一方向に沿って延びている、とみることができる。
スモッキングは、表面に縮緬状の凹凸、つまり独特の縮緬模様が生じるためフイルムなどの加工行程材を除去されると、塗工生地のみであるので、あらゆる方向に伸縮する可能性が担保され、衣料のごわごわ感をより低減することができる。また、立体的構造であるため、斜め上方から到来する放射線は、複数回、放射線遮蔽シート30を通過することになり、その通過毎に放射線が弱められることから、放射線遮蔽効果が向上するという効果も得られる。
図1(b)の上側に示される参照符号600は、縮緬模様が生じている領域を示す。(i)に示す例では、縮緬模様は、ひも状の立体的な部分602、603等が複雑に入り組んだ模様を呈している。(ii)に、ひも状の立体的な部分603の拡大断面を示す。このようなちりめん模様は、例えば、放射線遮蔽シート30に、熱収縮性、若しくは水溶解性の糸で刺繍を施し、加熱して糸を収縮させ、放射線遮蔽シート30(基材10およびコーティング膜20)を縮れさせる、あるいは、パターニングされた熱収縮性のフィルムを熱で収縮させることで、形成することができる。水溶解縫製糸は流失させ放射線遮蔽シート30は、図4の上側に例示されるように、不規則な波が連なる立体的な形状となっている。
また、(iii)の例では、放射線遮蔽シート30に、網目状(格子状)に熱収縮性の糸(例えば、熱収縮率が異なる糸)が縫い込まれ、熱処理によって糸を収縮させることによって、例えば(iv)に示されるような、豆腐状の立体的部分604を生じさせることができる。なお、縮緬状の凹凸の態様は並びに形状作成方法は、これらに限定されない。(ii)、(iv)からも明らかなように、本考案におけるちりめん模様は、上面(平らな上面、または、やや丸みを帯びた平面に近い上面)をもつため、生地との接触面積を増やすことができ、構造的に安定であり、また、あらゆる方向に安定して伸縮することが可能である。また、あらゆる方向から斜めに到来する放射線に対して立体的な断面を有することから、指向性をもたない放射線遮蔽効果を得ることもできる。
次に、図2(a)〜(c)を参照する。図2(a)〜(c)は、コーティング膜の主材である、シロキサン結合をもつ、あるいはアルコキシ基をもつシラン系化合物縮合反応構造例を示す図である。
コーティング膜20の主材であるシロキサン結合をもつシラン系化合物として、図2(a)に示される立体的構造をもつ化合物を使用することができる。上記化合物中、RはHまたはCnH2n+1である。また、図2(b)に示される2官能アルコキシシラン膜、または、図2(c)に示される3官能アルコキシシラン膜を使用することもできる。
図2(a)〜(c)のシラン系化合物は官能基構造に自由度が与えられるため、しなやかになり、また、表面にRを形成することで撥水性を発揮させることができる。よって、放射線遮蔽シートに撥水性(防水性)を付与することができる。よって、雨等に強い被服を実現することができる。また、図2(a)〜(c)の化合物のポリマーは、立体的自由度の高い結合構造をもつことから、金属の微粒子表面は、金属表面のOH基がシロキサンやアルコキシシランから構成されるポリマーの立体的な分子結合により間隙反応、配合されて均一に分散され、膜の全体に放射線遮蔽のための高度な均等バリアが形成され、放射線遮蔽効果を堅固な物にするという効果も得られる。
また、金属タングステン粉の粒径は3μm〜10μmが好ましく、例えば、3.5μmである。この粒径の金属タングステン微粒子は、コンプトン散乱線の吸収効果が大きく、また、図2(a)〜(c)に示される化合物のポリマー(立体的な構造をもつ)の分子間隙に配合されて均一に分散され、放射線遮蔽効果を発揮する。
なお、金属タングステンが配合されたアルコキシシラン膜等の、基材(ポリエステルの基布)に設ける方法はとしては、例えば、塗付、吹きかけを採用することもできる。
スモッキングは、例えば、ポリエステルの基材に、上記のアルコキシシラン膜等(あるいは、アクリル樹脂と金属タングステンを混合したもの)を塗布し、熱収縮性糸を縫い込み、加熱して収縮させ、縮緬(ちりめん)加工を施すことで作成することもできる。
放射線遮蔽シートは、金属タングステンを含んでいるためガンマ線およびエックス線の遮蔽効果を発揮し、特に、これらの散乱線に対しては、かなり高い遮蔽機能が得られる。
次に、図3を参照する。図3(a)は、インナー放射線防護衣料における放射線遮蔽シート(1枚)の位置付けの例、及び放射線遮蔽シートの配置例を示す模式的な断面図、(b)は、放射線遮蔽シート(2枚)の配置例を示す模式的な断面図である。
図3(a)に示されるように、収縮加工品としての放射線遮蔽シート30は、現実の使用において、直接に人体40の肌に接する衣料(下着あるいは肌着)50の上に装着され、また、アウター(最も外側に位置する衣料)90の内側に位置して使用されることが想定されるインナー放射線防護衣料である。
アウター90としては、例えば、放射線防護服(放射線防護外衣)が想定される。この場合、放射線防護効果をもつインナー衣料と重ね着することになるため、放射線から人体をより効果的に保護することが可能となり、インナーと、アウター防護服の併用により、超高度の放射線防護効果を呈する事になりうる可能性を持つ。アウターの防護服だけでは重量が重く行動がしにくい場合でも、軽量に製作されたインナーを併用するだけで軽量で行動しやすい放射線防護材となりうる。但し、放射線防護機能を有するのがインナー衣料のみであったとしても、放射線遮蔽効果を得ることができ、このような使用例も想定され得る。インナーの上に他の防塵服を着て、その後放射線防護衣(アウター)を切る事で、作業者の人体へ放射線遮蔽機能はより高い効果を得ることが出来る。
収縮加工品としての放射線遮蔽シート30は、放射線遮蔽芯材(単に芯材ということもある)35として機能し、この放射線遮蔽芯材35が第1生地70と第2生地80との間に挟まれた状態で、第1生地70、放射線遮蔽芯材35及び第2生地80の各々を貫通する糸で縫製されることで、インナー放射線防護衣料用縫製材(単に縫製材ということもある)37が得られる。このインナー放射線防護衣料用縫製材37を少なくとも1枚用いてインナー放射線防護衣料が構成される。
収縮加工品としての放射線遮蔽シート30が1枚である場合には、図3(a)のように、インナー放射線防護衣料が人体に装着された場合に、放射線遮蔽シート30におけるコーティング膜20が、基材10よりも人体40の側に位置するように配置される。
上述のとおり、コーティング膜20は、例えば、吹き付け、塗布、含浸(液状のものを基材に含浸させて固化する)等によって形成できるが、コーティング膜20の主材である樹脂等が基材の裏側にまで回り込む場合があり(いわゆる、バリが発生する場合がないとはいえない)、バリの除去処理をしても完全には取り切れない場合には、現実的には、基材の裏面に樹脂等が付着したままとなる。万一、このような状態の放射線遮蔽シート30であっても、上述のとおり、コーティング膜20の表面が人体40の肌の方を向いており、かつ、塗工加工時に付着する基材の材料である布材(不織布等)により、特に肌への悪影響は生じない。つまり、バリが生じる可能性がある面が人体の肌に向かないことから、安全性が向上する。また、例えば、基材が布製であり、その布が不織布等の布材であるときに、コーティング膜の塗工加工時に、その布(この場合は不織布等の布材であり、「布材」には、その布材の破片、断片を含むものとする)がコーティング膜の表面に付着することで、より安全な面となり、この安全な面が人体の肌に向くことから、さらに安全性が高まる。よって、製造が容易で、かつ実用的なインナー衣料を得ることができる。
また、図3(b)の場合は、内側(肌に近い側)、外側(肌から遠い側)のいずれにおいても、放射線遮蔽シートの、より安全性が高い面が向くことから、この場合も、人に対する安全性の高いインナー衣料となる。
次に、図4を参照する。図4は、キルト加工品の構造の一例を示す斜視図である。図4の例では、インナー放射線防護衣料用縫製材37にキルト加工を施す。本考案で使用される収縮加工品としての放射線遮蔽シート30は、収縮率に応じた立体断面を有しすると共に、伸縮自在であり、この点に着目して、縫製材37にキルト加工を施して、より実用性の高いものを得るものである。
図4に示されるように、キルト加工によって、放射線遮蔽シート30のうちの、2枚の生地(70、80)を糸81で縫い合わせた部分(これをキルト部82という)は容易に平坦化して厚みが減じられ、一方、その他の部分は立体的な断面を維持することから、例えば、適度なふくらみのある規則的な凹凸構造を得ることができる。また、キルト加工によって、放射線遮蔽シートが生地にしっかりと固定されることから、例えば、インナー衣料が洗濯された場合でも安定した構造が維持されることになり、実用性が向上する。よって、着心地がよく、日常の繰り返しの使用にも耐えるインナー衣料が得られる。
より具体的には、図4に示されるように、キルト加工が施されることで、糸81によって縫製された部分(キルト部分)82において、第1生地70と第2生地80とが近接し、または接触し、これによって仕切りが形成され、この仕切りによって仕切られることで形成される小袋状の部分84(i)、84(ii)の内部空間に、放射線遮蔽芯材35としての放射線遮蔽シート30の立体断面を維持している部分30(i)、30(ii)が詰められた状態となり、これによって、小袋状の部分84(i)、84(ii)がふくらみを有し、小袋状の部分及び仕切りが繰り返されることで、連続する凹凸が形成されてなる構造が得られる。なお、キルト加工には、羽根布団等において用いられる、いわゆる立体キルト(表生地と裏生地の間にマチと呼ばれる布が介在して、羽毛布団等を厚みのある立体的構造に仕立てるキルト)を含むものとする。
このように、キルト加工によって、糸で縫製した部分(キルト部)により囲まれる小袋状の部分の内部空間に、立体的断面の放射線遮蔽シートが詰められた構造、つまり、肌への負担を軽減できる、よりインナー衣料に適した構造(例えば、適度なふくらみのある規則的な凹凸構造・生地重量の定着性)を得ることができる。
次に、図5〜図7を用いて、インナー放射線防護衣料の実施例について説明する。まず、図5を参照する。図5(a)、(b)は各々、シャツタイプのインナー放射線防護衣料の一例の正面図、背面図、(c)は、例えば柔軟で肌になじみ、首に巻いて使用する帯状のインナー放射線防護衣料の一例の斜視図である。
図5に示されるシャツタイプのインナー放射線防護衣料は、インナー放射線防護衣料用縫製材(図3における符号37)としての、一対の前側シャツ部材(図5(a)の符号102a)及び後側シャツ部材(図5(b)の符号102b)を有し、前側シャツ部材102a及び後側シャツ部材102bの各々は留め具を備える。図5(a)、(b)では、留め具の例として、テープ状の留め具110、ひも状の留め具120a、120bを記載している。
前側シャツ部材102a、後ろ側シャツ部材102bの各々は、図4に示されるキルト加工によって縫製されており、キルト部82が前面(もしくは背面)に模様として表れており、また、上述したように、規則的な凹凸が表面(もしくは背面)に形成されており、よって、肌に優しく、着心地がよく、軽量で、洗濯が可能で、日常において繰り返し使用でき、かつ放射線遮蔽機能を有する、シャツタイプのインナー衣料が実現される。図5(a)と(b)とを比べることで明らかなように、後ろ側シャツ部材102bの方が、前側シャツ部材102aよりも丈が長くなっている。これは、脾臓等も効果的に保護しようとするものである。
前側シャツ部材102a、後ろ側シャツ部材102bが、留め具(110、120a、120b)によって一体化されることでシャツタイプの衣料が構成される。
なお、テープ状の留め具(面的に着脱可能な面ファスナー等)110、ひも状の留め具120a、120bは、いずれか一方が備わっていればよい。また、その他の種類の留め具を使用してもよい。また、図5(a)、(b)の例では、ランニングシャツタイプであるが、長袖タイプのもの、ベストタイプのもの、あるいは、首(特に甲状腺の部分)や下半身(妊婦)を覆う部分を有するタイプのものとすることもできる。
図5(c)は、例えば首に巻いて使用する(つまり、特に甲状腺を保護するための)帯状(かつ巻きタイプ)のインナー放射線防護衣料200が示されている。図5(c)の例では、インナー放射線防護衣料用縫製材(図3の参照符号37)は、帯状の部分202を有し、帯状の部分202の端部(図中、破線で示される符号206の箇所)に留め具(不図示)が設けられている。帯状の部分202が人体の首に巻き付けられた状態で、帯状の部分202の端部同士(符号206で示される箇所)が留め具により固定され、これによって、首巻タイプのインナー衣料が構成される。なお、図5(c)のインナー衣料においても、キルト加工が施されているが、図5(c)では、キルト部は省略している。
なお、図5(c)の例では、帯状の部分202の内部空間204に、冷却材等を入れることができる袋状の部分208が設けられている。つまり、暑さ対策としての工夫もなされており、利便性が高い。
図5(c)のインナー衣料は、肌に優しく、着用感がよく、軽量で、洗濯が可能で、日常において繰り返し使用でき、かつ放射線遮蔽機能を有する、首巻タイプのインナー衣料である。なお、首巻(襟巻)タイプとしているが、例えば、腹巻のように腹に巻く(例えば、脾臓の保護のため)、あるいは、腰に巻く、という適用例も考えられる。
次に、図6を参照する。図6(a)は、パンツタイプのインナー放射線防護衣料の一例の正面図、(b)は、パンツのゴムに着脱可能なネットの正面図、(c)は、放射線遮蔽シートをキルト加工して得られるパッドの正面図、(d)は、二枚のパッドの縫製加工について説明するための図、(e)は、パンツタイプのインナー放射線防護衣料の全体の構成例を示す斜視図である。
図6(a)、(e)に示されるように、パンツタイプのインナー放射線防護衣料310は、人体の胴部に装着される環状の第1のゴム部310と、人体の臀部に装着される第2のゴム部(ここでは、第1のゴム部310から下方に円弧状に延びる2本のゴム部)320、330と、インナー放射線防護衣料用縫製材としての人体の局部を覆うパッド状部分(パッド状の縫製材)400と、を有する。図6の例では、パッド状部分(パッド状の縫製材)400は、ネット340内に出し入れ可能に収容されている(但し、これに限定されるものではない)。つまり、第1のゴム部310には、パッド状部分(パッド状の縫製材)400を出し入れ可能なネット340が取り付けられている。ネット340の取り付けの態様としては、着脱自在の取り付けでもよく、固定式の取り付けであってもよい。
第2のゴム部としての2本のゴム部320、330は、上端が第1のゴム部310に固定され、また、各ゴム部320、330の下端同士は縫製等によって固定され、また、ネット340の上端は第1のゴム部310に取り付けられて固定され(但し、取り外し自在の取付としてよい)、また、ネット340の下端は、各ゴム部320、330の下端同士が固定されている箇所に接続されて固定され、これによって、2本の脚の各々を通す穴(開口部)を有するパンツタイプのインナー衣料が構成される。なお、図6において、破線で囲まれて示される符号350の箇所は、第1、第2のゴム部310、320、及びネット340の各々の下端部が共通に固定されている箇所を示す。また、ネット340が用いられない場合は、パッド状部分(パッド状の縫製材)400の上端が第1のゴム部に取り付けられ(取り外し可能であってもよく、固定であってもよい)、下端が第2のゴム部の下端に取り付けられる。
なお、上記の構成は一例であり、種々、変形が可能である。例えば、ネット340に対向するように背面のパッド部(放射線遮蔽効果をもつパッド部でもよく、あるいは、幅広のゴムで形成してもよい)を設け、背面のパッド部の上端を第1のゴム部310に取り付けて固定し、その下端をネット340の下端に接続して固定することで、人体の前後の双方にパッド部を有する、より安定した構造を得ることができる。また、上記の例では、臀部に装着される第2のゴム部として2本のゴム部を用いているが、尻の割れ目に沿って装着される1本の(幅広の)ゴム部を設けて、ふんどしタイプ(あるいはビキニタイプ)の衣料としてもよい。なお、ふんどしタイプとする場合、1本のゴム部の上端は第1のゴム部に取り付けられて固定され(取り外し可能でもよい)、下端は、ネット340(又はパッド状の縫製材400の下端に直接に)取り付けられる。なお、ふんどしタイプの衣料においても、2本の足の各々を通すための穴(開口部)が設けられる。
図6(b)のように、ネット340の上部には、パッド状部分400を出し入れするための開閉自在の開口部344が設けられている。また、ネット部340には取付部342が設けられており、この取付部342が、第1のゴム部310に取り付けられる(例えば、縫製によって固定される、あるいは、テープ状の留め具で固定される)ことで、パンツ状のインナー衣料の構成要素となる。このネット340は、インナー放射線防護衣料用の縫製材としてのパッド状部分400を出し入れ可能(言い換えれば、取り外し可能)に保持するネットである。
よって、ネット340に、パッド状部分400を出し入れして繰り返し使用することができ、よって、洗濯性にも優れた、清潔で安全なインナー衣料が実現される。
図6(c)に示されるように、インナー放射線防護衣料用の縫製材としてのパッド状部分(パッド)400は、人体の局部を覆うカップの役目を果たし得る適切な形状を有しており、キルト加工品であり、キルト部82が表面に模様として表れている。このパッド状部分(パッド)400としては、図6(d)に示すように、例えば、2枚のパッド状部分(パッド)400a、400bを重ね合わせて、縫製等によって固定したものを用いることもできる。この場合、放射線遮蔽機能が向上する。なお、図6(d)では、重ね合わされたパッド状部分(パッド)400a、400bを縫製にて固定しており、図中、この縫製加工を破線の矢印で示している。
図6(e)に示されるように、パッド状部分(パッド状の縫製材)400が、ネット340の開口部344を介してネットの内部に収容(収納)され、開口部344が閉じられることで、パンツ状のインナー衣料が構成される。なお、パンツ状、ふんどし状という表現は例示であり、広義に解釈されるものとする。例えば、ビキニパンツタイプ、ひも状タイプ等の下衣を広く含む概念である。
図7(a)は、パンツタイプのインナー放射線防護衣料の着用例を示す要部の側面図、(b)は、要部の背面図である。図中、符号500は下着(肌着)を示す。図7(a)、(b)に示されるように、パンツタイプのインナー衣料は、ゴムによって、人体に安定的装着されることができ、また、人体の局部が、パッド状部分400(及びネット400)によって覆われて、放射線から効果的に保護される。
なお、上記の例では、インナー放射線防護衣料用縫製材としてのパッド状部分(パッド)400を、ネット340に収納するタイプとしているが、これに限定されるものではなく、パッド状部分(パッド)400を、直接的に第1ゴム部310(及び第2ゴム部320、330)に縫製等で固定してもよい。
図6、図7の例では、人体の重要部分である局部を効果的に放射線から保護でき、肌に優しく、着用感がよく、軽量で、洗濯が可能で、日常において繰り返し使用でき、清潔で安全な、パンツタイプ(ふんどしのような下衣を広く含む)のインナー衣料を実現することができる。
また、本考案のインナー放射線防護衣料用縫製材(図3の符号37で示されるもの、図4に示されるキルト加工品、図6のパッド状部分(パッド)400等)は、上記のインナー放射線防護衣料を製造するために、ならびに、さらに他の類の放射線防護衣料(例えば、手袋、靴下、手甲、脚絆等の小物類等)を製造するために利用することができる。上述のとおり、インナー衣料に適した縫製材であることから、この縫製材を素材として、より多様なインナー衣料への展開、応用が可能となる。
本考案のインナー放射線防護衣料は、例えば、放射線量が高い環境下での作業に従事する原子力発電施設や原子炉の解体・廃炉作業などに携わる作業等における作業者、除染作業時等の比較的放射線量が低い環境下での作業に従事する作業者等が簡単に着用することができるものであり、また、軽量であることから、原子力発電施設の周囲の住民や避難弱者(女性、老人、子ども等)も着用することができるものである。本考案のインナー放射線防護衣料を、例えば、下着(肌着)の上に装着することで、放射線から身体の重要部分(局部等)を効果的に保護することが可能である。
このように、本考案のインナー放射線防護衣料は、簡単に装着可能であり、軽量であり、放射線汚染の可能性のある環境下の作業者、住民等に広く適用することができ、作業者や住民等の安心と安全を確保できるものである。
特に、高いレベルの放射線環境下で作業を行う作業者は、例えば、下着(肌着)の上に本考案のインナー衣料を装着し、さらに、その上に放射線防護服等を着装することで、内側と外側の双方の衣料で放射線が遮蔽され、よって、かなり高いレベルの放射線からも有効に保護されることになる。また、人体(身体)の重要部分を確実に保護することができる。また、繰り返し使用でき、洗濯も容易であることから、清潔を保つことができる。また、本考案のインナー放射線防護衣料は、汚染物質から身を守るという点でも効果を発揮する。
本考案は、例えば、シャツ状のインナー衣料、パンツ状(カップ型、ふんどし型を含む)、首巻(襟巻)や腹巻のような巻型のもの、手袋、靴下、手甲、脚絆などの小物類型のもの等、種々のタイプのインナー衣料として、広く利用することができる。また、以上の説明では、原子力施設等に関連する使用例を述べたが、これに限定されるものではなく、本考案は、例えば、医療の分野における被ばく対策としても利用可能である。例えば、帯状のインナー放射線防護衣料を、妊婦のX線撮影時における被ばく軽減のための腹巻(ベルト)として使用することも可能である。
本考案は、軽量で着心地(着用感)がよく、かつ放射線遮蔽性能を有するインナー放射線防護衣料、ならびに、インナー衣料に適した縫製材(インナー放射線防護衣料用縫製材)として有用であり、原子力関連、医療関連の分野で、広く利用することができる。本考案は、ここに提案された液剤、粉体、基布とともに、人体、環境に負荷を与えない材料によって、考案・制作されたものである。
10 基材
20 コーティング膜
22 金属粉
30 放射線遮蔽シート(又は収縮加工品としての放射線遮蔽シート)
40 人体
50 下着(肌着)等の、直接に肌に接する衣料
35 放射線遮蔽芯材
37 インナー放射線防護衣料用縫製材
70 第1生地
80 第2生地
81 縫製用の糸
82 キルト部
84(i)、84(ii) 小袋状の部分の内部空間
90 アウター衣料(最も外側に装着される衣料)
100 シャツタイプのインナー放射線防護衣料
102a、102b 前側シャツ部材と後ろ側シャツ部材
100 テープ状の留め具
120a、120b ひも状の留め具、
200 首巻(襟巻)タイプのインナー放射線防護衣料
202 帯状部分(帯状の縫製材)
204 帯状部分(帯状の縫製材)の内部空間
206 留め具が設けられる部分
208 冷却材等を入れることができる袋状の部分
300 パンツタイプのインナー放射線防護衣料
310 第1のゴム部
320、330 第2のゴム部
340 ネット(ネット部)
342 ネットの取付部
344 ネットに設けられる開閉自在の開口部
400 インナー放射線防護衣料用縫製材としてのパッド状部分(パッド状の縫製材)
500 下着(肌着)

Claims (11)

  1. 直接に肌に接する衣料の上に装着されるインナー放射線防護衣料であって、
    放射線遮蔽芯材が第1生地と第2生地との間に挟まれた状態で、前記第1生地、前記放射線遮蔽芯材及び前記第2生地を貫通する糸で縫製されてなるインナー放射線防護衣料用縫製材を少なくとも1枚用いて構成され、
    前記インナー放射線防護衣料用縫製材における前記放射線遮蔽芯材は、基材と、前記基材の表面を覆うように設けられ、かつ金属粉が配合されてなる、放射線の遮蔽効果をもつコーティング膜と、を有する、少なくとも1枚の放射線遮蔽シートを備え、
    前記放射線遮蔽シートは、収縮加工されることで凹凸が形成されてなる構造を有する収縮加工品であり、
    前記収縮加工品としての前記放射線遮蔽シートが1枚である場合には、前記インナー放射線防護衣料が人体に装着された場合に、前記放射線遮蔽シートにおける前記コーティング膜が、前記基材よりも前記人体の側に位置するように配置され、
    前記収縮加工品としての前記放射線遮蔽シートが複数枚である場合には、2枚を一対とし、一方の基材と他方の基材とが互いに背中合わせとなるように配置されるインナー放射線防護衣料。
  2. 請求項1に記載のインナー放射線防護衣料であって、
    前記基材は布製であり、前記収縮加工品としての放射線遮蔽シートにおける前記コーティング膜の表面の少なくとも一部には、前記基材の材料である布材が付着しており、前記基材の裏面の少なくとも一部には、前記コーティング膜の材料が付着しているインナー放射線防護衣料。
  3. 請求項1又は2に記載のインナー放射線防護衣料であって、
    前記収縮加工品としての前記放射線遮蔽シートは、熱収縮加工が施されて縮れているインナー放射線防護衣料。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のインナー放射線防護衣料であって、
    前記インナー放射線防護衣料用縫製材はキルト加工が施されているインナー放射線防護衣料。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のインナー放射線防護衣料であって、
    前記インナー放射線防護衣料用縫製材はキルト加工が施されることで、糸によって縫製された部分において前記第1生地と前記第2生地とが近接し、または接触し、これによって仕切りが形成され、前記仕切りによって仕切られることで形成される小袋状の部分の内部空間に前記放射線遮蔽芯材が詰められた状態となることで、前記小袋状の部分がふくらみを有し、前記小袋状の部分及び前記仕切りが繰り返されることで連続する凹凸が形成されてなるインナー放射線防護衣料。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のインナー放射線防護衣料であって、
    前記インナー放射線防護衣料用縫製材としての、一対の前側シャツ部材及び後側シャツ部材を有し、前記前側シャツ部材及び後側シャツ部材の各々は留め具を備えると共に、各部材が前記留め具によって一体化されることで構成されるシャツタイプの衣料であるインナー放射線防護衣料。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のインナー放射線防護衣料であって、
    前記インナー放射線防護衣料用縫製材は、帯状の縫製材であり、前記帯状の縫製材の端部に留め具が設けられ、首や腹等の人体の一部に巻き付けられた状態で前記帯状の縫製材の端部同士が前記留め具により固定される、帯状巻タイプの衣料であるインナー放射線防護衣料。
  8. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のインナー放射線防護衣料であって、
    人体の胴部に装着される環状の第1のゴム部と、人体の臀部に装着される第2のゴム部と、前記インナー放射線防護衣料用縫製材としての人体の局部を覆うパッド状の縫製材と、を有するパンツ又はふんどしタイプの衣料であるインナー放射線防護衣料。
  9. 請求項8に記載のインナー放射線防護衣料であって、
    前記第1のゴム部に、前記パッド状の縫製材を出し入れ可能なネットが取り付けられてなるインナー放射線防護衣料。
  10. 請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のインナー放射線防護衣料であって、
    前記基材は、編物、織物、不織布、紙のうちのいずれかで構成される布帛、またはフィルム、またはシートであり、
    前記金属粉は、タングステン、バリウム、鉛、ビスマス、アンチモン、希土類金属、ホウ素、モリブデンから選ばれた少なくとも1種の単体、またはその合金、またはその化合物、または前記単体を他の材料で被覆したものの粉であり、
    前記コーティング膜の主材は、樹脂膜、または、シロキサン結合をもつ、あるいはアルコキシ基をもつシラン系化合物膜であるインナー放射線防護衣料。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載のインナー放射線防護衣料のためのインナー放射線防護衣料用縫製材。
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