JP3217859B2 - 微生物によるs−(+)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキサミドの遺伝子工学的製造方法 - Google Patents
微生物によるs−(+)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキサミドの遺伝子工学的製造方法Info
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Description
よるS−(+)−2,2−ジメチルシクロプロパンカル
ボキサミドの新規な製造方法に関する。 これらの微生
物は、立体特異性加水分解酵素を形成する新規な遺伝子
で形質転換してあり、そのためにラセミ性R,S−
(±)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキサミ
ド中でR−(−)−異性体を相当する酸に生物変換する
ことができ、その際光学活性のS−(+)−2,2−ジ
メチルシクロプロパンカルボキサミドが沈殿する。
ルボキサミドを「2,2−DMCPCA」と、2,2−
ジメチルシクロプロパンカルボン酸を「2,2−DMC
PCS」と略称する。
CPCAは、腎臓における腎臓デヒドロペプチダーゼに
よる抗生物質の活性低下を防止するために、ペネム−な
いしカルバペネム抗生物質とともに投与される、デヒド
ロペプチダーゼ抑制剤であるシラスタチンを製造するた
めの原料として使用される(文献EP048301)。
R−(−)−2,2−DMCPCAのための立体特異
性加水分解酵素を形成する微生物の例としては、コマモ
ナス・アシドボランスA:18(DSM−No.635
1)、バクテリウムspVIII:II(DSM−N
o.6316)、シュードモナスsp.NSAK:42
(DSM−No.6433)およびコマモナス・アシド
ボランスTG308(DSM−No.6552)の種の
微生物、ならびにそれらの子孫および突然変異体があ
る。 これらの微生物はすでにヨーロッパ特許出願92
103780.0に詳細に記載されている。
水分解酵素−遺伝子の発現を既知の方法より著しく高め
ることができる新規な微生物を組換えDNA技術により
生産品種として提供することである。
−遺伝子に関して暗号付けする新規なDNAにより、こ
のDNAを含む新規なハイブリッドプラスミドにより、
このハイブリッドプラスミドで形質転換した新規な微生
物により、および新規な方法により解決される。
S−(±)−2,2−DMCPCA中でR−(−)−
2,2−DMCPCAを、立体特異性加水分解酵素を形
成する遺伝子で形質転換してある微生物によりR−
(−)−2,2−DMCPCSに生物変換し、その際光
学活性のS−(+)−2,2−DMCPCAが沈殿する
ので、これを分離するように行なう。
製造は、 a)本発明の加水分解酵素に関して暗号付けするDNA
を分離し、 b)この特殊な遺伝子配列を発現ベクター中に導入し、
その際ハイブリッドプラスミドが発生し、その際そのハ
イブリッドプラスミド中でさらに、効果的な発現を可能
にする変性を行なうのが有利な場合があり、 c)このハイブリッドプラスミドを形質転換により、本
発明にとって好適な d)微生物(宿主)中に導入し(形質転換e)、次いで
この形質転換した微生物が f)本発明の方法のための生産品種を(生物変換g)形
成することにより行なう。
離 加水分解酵素−DNA(以下、「加水分解酵素−DNA
(rad)」ないし「加水分解酵素−遺伝子(ra
d)」と呼ぶ)の供給源としては、たとえばすでにヨー
ロッパ特許出願92103780.0に記載されてい
る、微生物コマ モナス・アシドボランスA:18(DS
M−No.6315)またはコマモナス・アシドボラン
スTG308(DSM−No.6552)の染色体DN
Aを使用することができる。
シドボランスA:18を使用する。加水分解酵素−DN
Aは、コマモナス・アシドボランスA:18の直線遺伝
子バンクから、市販の遺伝子バンク−ベクターとしてB
LUESCRIPT(R)(BLUESCRIPT−K
S+またはBLUESCRIPT−SK+)(Stra
tagene Co.、納入業者Genofit S
A、Genfから入手可能)を有するエシェリシア・コ
リ(E.コリ)XL1−Blue(R)中に分離するこ
とができる。
ドボランスA:18の染色体DNAをR.H.チェスニ
ーらの方法(J.Mol.Biol.130(197
9)、161〜173頁)に準じて分離する。 次い
で、このDNAを通常の分子生物学的方法により制限酵
素EcoRIで切断し、続いて前もって同様に切断して
おいた発現ベクター−DNA pBLUESCRIPT
−KS+R中に入れることができる。続いて、この結合
したDNA(ハイブリッドプラスミド混合物)をたとえ
ばS.フィードラーおよびR.ウィルスの方法〔Ana
lyt.Biochem.170(1988)、38〜
44頁〕により、好適な市販の微生物E.コリXL1−
Blue(R)中に形質転換することができる。
れ自体既知の方法により行なうことができる。 このた
めに、ハイブリッドプラスミド−クローンを、唯一のN
供給源としてR,S−(±)−2,2−DMCPCA、
通常のC供給源、好適な誘導物質および好適な抗生物質
を有する好適な培養基中で、その成長能力について検査
するのが有利である。 この「スクリーニング」によ
り、ハイブリッドプラスミド−DNA上に活性加水分解
酵素−遺伝子を含み、それによって好ましくは唯一のN
供給源としてR,S−(−)−2,2−DMCPCAを
利用できるハイブリッドプラスミド−クローンを選択す
る。 次いで、このハイブリッドプラスミド−クローン
がR,S−(−)−2,2−DMCPCAを相当する酸
に加水分解する。
の局在化を、発現ベクターpBLUESCRIPT−K
S+Rおよび約23kbのEcoRI−「挿入」からな
るハイブリッドプラスミドpCAR1(ハイブリッドプ
ラスミド−クローンから選択)中で行なうのが有利であ
る。
d)の局在化を、それ自体既知の「サザーン−ブロッ
ト」−ハイブリダイゼーション〔Current Pr
otocols in Molecular Biolo
gy 『分子生物学における現況』,ジョン・ウイリー
・アンド・サンズ,ニューヨーク,1987、2.9
章〕により行なう。 これにはまずハイブリッドプラス
ミドpCAR1を制限酵素BamH1、PstI、Pv
uIIおよびEcoRIで消化するのが有利である。そ
の際、生じたDNA−断片を好ましくは、加水分解酵素
のN−末端タンパク質配列に相当する、放射性標識を付
けたDNA−オリゴマーに対してハイブリダイゼーショ
ンする。 このようにして、2.3kb大のEcoRI
−BamHI−DNA−断片ないし1.85kb大のP
vuII−BamHI−DNA断片が、ハイブリッドプ
ラスミドpCAR1上に標識付けされる。
オリゴマーは、専門家には一般的な方法により得ること
ができる。 たとえば、立体特異性加水分解酵素をクロ
マトグラフィーにより濃縮し、N−末端アミノ酸を決定
し、次いで相当するDNA配列を合成し、放射性標識を
付ける。 ここで、立体特異性加水分解酵素(rad)
に関して暗号付けし、その制限地図を図1に示すDNA
断片も同様に本発明の構成要素であり、とりわけヌクレ
オチド配列の分析により遺伝コードを経由してアミノ酸
配列全体を決定するために、および本方法に好適な形質
転換微生物を製造するために、制限酵素BamHIおよ
びEcoRIないしBamHIおよびPvuIIにより
ハイブリッドプラスミドpCAR1から専門家には一般
的な方法により分離することができる。
立体特異性加水分解酵素活性を備えたポリペプチドに関
して暗号付けするDNA断片も、図3に示すDNA断片
でハイブリッド化し、このポリペプチドに関して暗号付
けするDNA断片も本発明の構成要素である。
列(加水分解酵素−遺伝子;rad)の結合 そのようにして得られた遺伝子配列を、通常の分子生物
学的技術により、前もって同じように切断しておいた発
現ベクター−DNAと結合させて、ハイブリッドプラス
ミドにすることができる。
調整可能なプロモーターを含む(発現制御配列)。 こ
のプロモーターの後に、好ましくは転写方向に一つ以上
の、制限酵素のための単一切断位置がある。 通常、こ
れらの切断位置に、発現させるべき望ましい遺伝子断片
を挿入する。
発現ベクターを使用するか、あるいは、たとえば市販の
発現ベクターpBLUESCRIPT−KS+Rを使用
することができる。 好ましくは発現ベクターとして、
プロモーターPLac(ラクトース−プロモーター)を
有するpBLUESCRIPT−KS+Rを使用する。
S+Rは、制限酵素EcoRIおよびBamHIまたは
PvuIIおよびBamHIで切断し、生じた制限末端
を、分離した、立体特異性加水分解酵素に関して暗号付
けするDNA断片(EcoRI−BamHIまたはPv
uII−BamHI)と、たとえばT4−DNA−リガ
ーゼで結合するのが有利である。
水分解酵素−遺伝子配列(rad)を含むハイブリッド
プラスミドに関する。
暗号付けするDNA配列を、選択した微生物中で複製し
発現させることができる、すべてのハイブリッドプラス
ミドが適している。
来の発現ベクターから、完全なレプリコン、およびその
ハイブリッドプラスミドにより形質転換した微生物を表
現型特徴に基づいて選択および確認できる標識遺伝子を
含む。 好適な標識遺伝子は微生物にたとえば抗生物質
に対する耐性を付与する。
を達成するには、加水分解酵素−遺伝子(rad)が正
しく(「相」の中で)プロモーターと配列しているのが
有利である。
させるのに好適な、そのようなハイブリッドプラスミド
の例は、標識遺伝子bla(アンピシリンに対する耐性
を与える;Ap(R))およびプロモーターPLacを
有するハイブリッドプラスミドpCAR5およびpCA
R6である。 好ましくはpCAR5 は、2.3kb
大のEcoRI−BamHI−DNA−断片(制限地図
図1)および発現ベクターpBLUESCRIPT−
KS+からなる。 好ましくはpCAR5は、1.85
kb大のPvuII−BamHI−DNA−断片(制限
地図 図1)および発現ベクターpBLUESCRIP
T−KS+からなる。
ドプラスミドpCAR6を使用するのが有利であるが、
その場合加水分解酵素−遺伝子(rad)の発現は、イ
ソプロピルチオガラクトシド(IPTG)を有する宿主
品種により誘導される。
991年6月6日にDSM−No.6551でE.コリ
XL1−Blue(R)中で、1992年4月21日に
DSM−No.7053でE.コリDH5中で、ドイチ
ェン・ザムルング・フュア・ミクロオルガニズメン・ウ
ント・ツェルクルトゥーレン・GmbH,マシェローデ
ヴェーク1b,D−3300,ブラウンシュバイクに寄
託してある。 図2はハイブリッドプラスミドpCAR
6の図式を示す。
主品種に導入する。
ラスミドの場合には、基質耐性および抽出物耐性の高い
宿主品種、たとえばシュードモナス、コマモナス、アシ
ネトバクター、リゾビ ウム、アグロバクテリウムまたは
エシェリシア 属の微生物を使用するのが有利である。
宿主範囲のせまいハイブリッドプラスミド、たとえば
ハイブリッドプラスミドpCAR6の場合には、通常、
それが複製する特殊な宿主品種を使用する。
スミドpCAR6にはエシェリシア属の微生物、特に表
1に示すE.コリ品種の微生物を使用する。
質転換は、既知の方法によって行なう。 次いで形質転
換した宿主品種の分離は、ハイブリッドプラスミド中に
含まれる標識遺伝子が耐性を与える抗生物質を加えた選
択性栄養培養基から行なうのが好ましい。 bla−遺
伝子を含むハイブリッドプラスミドpCAR6を使用す
るのが好ましい場合、それに応じて栄養培養基にアンピ
シリンを加える。
素−遺伝子を含むハイブリッドプラスミドで形質転換し
たすべての宿主品種を使用できる。 好ましくは、表1
に示す、ハイブリッドプラスミドpCAR6で形質転換
したE. コリ品種の微生物ならびにそれらの子孫および
突然変異体を生産品種として使用する。E.コリXL1
−Blue(DSM−No.6551)およびE.コリ
DH5(DSM−No.7053)は、上記のように寄
託してある。
〔Mol.Gen.Genet.192,1983,2
93〜294頁に記載されている〕を宿主品種として使
用する場合、立体選択性加水分解酵素−遺伝子の発現
は、lacオペロン(ラクトースオペロン)における欠
失((argF−la c)U169の欠失)に基づき、
プロモーターPLac構成(永久)の管理の下で行な
う。従って、lac抑制遺伝子は形成されない(抑制遺
伝子陰性微生物)。 たとえば表1から、E.コリK1
2(DSM−No.498で得られる)またはE.コリ
HB101〔H.W.ボイヤーおよびD.ロウランド−
デュッソー,J.Mol.Bio.41(1969),
459〜472頁〕を宿主品種として使用する場合、加
水分解酵素−遺伝子(rad)の発現は、抑制遺伝子l
acIがないために、IPTGにより誘導される(抑制
遺伝子−陽性微生物)。
で形質転換してあり、したがって立体特異的にR−
(−)−2,2−DMCPCAを酸に加水分解するすべ
ての微生物(生産品種)を使用できる。
に示す加水分解酵素−遺伝子(rad)で形質転換した
微生物で行なう。立体特異性加水分解酵素活性を有する
ポリペプチドに関して暗号付けする、アミノ酸配列を図
3に示すDNA断片で形質転換した微生物も好適であ
る。 同様に、図3に示すDNA断片でハイブリッド化
し、立体特異性加水分解酵素活性を有するポリペプチド
に関して暗号付けするDNA断片で形質転換した微生物
も好適である。
ブリッドプラスミドpCAR5またはpCAR6で形質
転換した品種E.コリ(表1)の微生物、特にハイブリ
ッドプラスミドpCAR6で形質転換した微生物がとく
に好適である。
(立体特異性加水分解酵素)も、同様に好適である。
これらの無細胞酵素は、専門家にとっては通常の微生物
細胞の溶解により得られる。 これにはたとえば超音波
法、フレンチ−プレス法またはリゾチーム法を使用する
ことができる。
ために、専門家にとっては一般的な方法により、好適な
キャリヤー物質上に固定することができる。
長していない細胞)で行なうが、それらの細胞を前もっ
てそれらの発現機構に応じて誘導しておく。 すなわ
ち、本方法に抑制遺伝子−陽性微生物、たとえばハイブ
リッドプラスミドpCAR6で形質転換したE.コリX
L1−BlueまたはE.コリDH5を使用する場合、
誘導はIPTGで行なう。 本方法にE.コリ種の抑制
遺伝子−陰性(すなわち抑制遺伝子の欠如)微生物、た
とえばE.コリMC4100を使用する場合、加水分解
酵素遺伝子(rad)永久(構成)の発現が起る。
異的加水分解酵素活性はC1〜C4アルコールにより高め
られる。 C1〜C4アルコールとしては、たとえばメタ
ノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール
またはブタノールを使用できる。 好ましくはメタノー
ルまたはエタノールを使用する。
分野で一般的な媒体、たとえば低分子リン酸塩緩衝液、
クラら,Arch.Microbiol.1 35,(1
983),1〜7頁による鉱物塩媒体、またはHEPE
S緩衝液(N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−2’
−エタンスルホン酸)を使用できる。 好ましくは、本
方法は低分子リン酸緩衝液中で行なう。
−(±)−2,2−DMCPCAを0.2〜5重量%、
好ましくは0.2〜2重量%の量で含むのが有利であ
る。
くはpH6.5〜10の範囲で行なうのが有利である。
0〜40℃の温度で行なうのが有利である。
時間の変換の後、R−(−)−2,2−DMCPCAは
完全に相当する酸に変換され、その際光学的に純粋なS
−(+)−2,2−DMCPCAが沈殿する。 そのよ
うにして形成されたS−(+)−2,2−DMCPCA
は、たとえば抽出、電気透析または乾燥により得られ
る。
N Aの調製 新しい一晩培養基(100ml栄養酵母肉汁、30℃)
中のコマモ ナス・アシドボランスA:18の染色体DN
Aを、R.H.チェスニーら〔J.Mol.Biol.
130(1979),161〜173頁〕の方法の変形
により分離した、すなわち遠心分離した細胞(15分
間、6,500Xg、4℃)をトリス−HCl−緩衝液
(2.25ml、0.05モル/l)、pH8.0、1
0%(w/v)サッカロースに再分散させた。
ml 0.25モル/l トリス−HCl−緩衝液、p
H8.0)および900μlの0.1モル/l EDT
A、pH8.0を加えた後、この分散液を氷上で10分
間冷却した。 次いで450μlの5%(w/v)SD
Sおよび50μlのリボヌクレアーゼ(10mg/ml
H2O)を加え、37℃で30分間培養した。 へら
先端分のプロテイナーゼKおよび400μlのプロナー
ゼ(20ml/ml H2O)を加えた後、培養を2時
間続行した。
離し(30分間、40,000Xg、20℃)、250
μlの臭化エチジウム(10mg/ml)を加え、超遠
心機(VTi65.2−小管)中で遠心分離した(8時
間以上、246,000Xg、20℃)。 長波長UV
光の下で、小管からDNA帯を吸引分離した。 4倍量
のTE緩衝液(10mmol/l トリス−HCl、p
H8.0、1mmol/l EDTA)を加えた後、臭
化エチジウムを水で飽和したn−ブタノールで3回抽出
した。 DNAをイソプロパノールで沈殿させ、TE緩
衝液に採り、65℃で15分間培養した。
−No.6315)−DNAおよび4.5μgのベクタ
ー−DNA(pBLUESCRIPT−KS+R)を、
それぞれ20単位の制限酵素EcoRIで100μlの
総量制限緩衝液中で切断した(37℃において6.5時
間)。 DNAをエタノールで沈殿させ、スピード・バ
ック(R)濃縮機で乾燥させた。 沈殿物を結合緩衝液
(20mmol/l トリス−緩衝液、10mmol/
l DDT(ジチオトレイトール)、10mmol/l
MgCl2、0.6mol/l ATP(アデノシン
トリリン酸塩、pH7.2)に採り、一つに合わせた
(結合体積100μl)。1単位のT4−DNA−リガ
ーゼを加えた後、13℃で一晩培養した。
沈殿させ、形質転換のために30μlの水中に入れた。
形質転換お よび選択 E.コリXL1−Blue (R )の適正細胞をエレクト
ロポレーションにより、S.フィードラーおよびR.ウ
ィルスの方法〔Analyt.Biochem.170
(1988),38〜44頁〕に従って結合混合物で形
質転換した。プラスミド確認のために、栄養寒天上にア
ンピシリン(100μg/ml)、また「挿入」確認の
ために、0.5mmol/lのIPTG(イソプロピル
−β−D−チオガラクトシド)およびx−Gal(30
μg/ml、5−ブロム−4−クロロ−3−インドリル
−β−D−ガラクトピラノシド)で37℃の培養で選択
した。 1.7x108cfu/ml(「コロニー形成
単位」=生きている細胞)の形質転換頻度で、ほとんど
すべてのクローンがEcoRI−「挿入」を有し
シドボランスA:18−遺伝子バンクのスクリーニング ハイブリッドプラスミド(EcoRI−「挿入」)を有
するクローンを、寒天最少培地上で、H.クラら〔Ar
ch.Microbiol.135(1983),1−
7〕により、C供給源として0.2%(v/v)グリセ
リン、唯一のN供給源として0.15%(w/v)の
R,S−(±)−2,2−DMCPCA、およびlac
プロモーターの誘導物質として0.5mmol/lのI
PTG、ならびにプラスミド安定化のためのアンピシリ
ン(5μg/ml)で、その成長能力を試験した。 完
全な加水分解酵素−遺伝子radをプラスミド中のDN
A−「挿入」上に含むクローンだけがR−(−)−2,
2−DMCPCAをN供給源として利用し、これを必要
とするR−酸に変換し、この最少培地上で成長すること
ができた。そのようにして選択したクローンはすべてベ
クターpBLUESCRIPT−KS+Rからのハイブ
リッドプラスミドを含み、EcoRI−「挿入」は約2
3kbであった。
査した。
特 異性加水分解酵素の分離およびN−末端ペプチド分析 a)無細胞抽出物の調製 あらかじめR,S−(±)−2,2−DMCPCAで誘
導した、37℃における加水分解酵素活性が0.6gR
−(−)−2,2−DMCPCS/l/h/650nm
における光学密度(OD650)=1のコマモナス・アシ
ドボランスA:18(DSM−No.6315)の無細
胞分散物16リットルを、700ml(OD650=3
3.5)に濃縮した。 続いて細胞を何度も遠心分離
し、HEPES緩衝液中に再分散させ、その後HEPE
S緩衝液(40ml)中に採ったが、その際、細胞分散
物全体の体積は95ml(OD650=210)になっ
た。 加水分解酵素活性は30℃で測定して、0.34
g生成物/l/h/OD650=1であった。 続いて細
胞をフレンチプレス中で1200バールの圧力で2回溶
解させた。 無細胞抽出物を得るために、この分散物を
20000Xgで20分間遠心分離した。 タンパク質
量(ブラッドフォード法で測定)が39.3mg/ml
で、加水分解酵素活性が30℃で12.5gR−(−)
−2,2−DMCPCS/l/h/mgタンパク質の抽
出物が、50ml得られた。
(0.1mol/l、pH7.5)に対して平衡化した
Q−セファロース(ファーマシア)充填カラムの上に置
いた。 このカラムを同じ緩衝液でさらに2回流し、次
いでタンパク質をHEPES−緩衝液−勾配(0.1〜
1mol/l)で溶離させた。 全部で、HEPES緩
衝液(1mol/l)で140mlの加水分解酵素活性
を有するタンパク質溶液が溶離したので、これを限外濾
過(アミコン−薄膜YM10)により濃縮した。 この
酵素溶液のタンパク質量は131mg/mlで、加水分
解酵素活性は1μmol/分/ngタンパク質になっ
た。
EPES緩衝液(0.1mol/l、pH7.5)に対
して平衡化したセファロース−12(ファーマシア)充
填カラムの上に置いた。 この緩衝液で合計36mlの
タンパク質溶液が溶離した。この溶液も同様に限外濾過
(アミコン−薄膜YM10)により濃縮した。 タンパ
ク質量は20.1mg/mlで、加水分解酵素活性は
1.2μmol/分/ngタンパク質になった。
質溶液を、HEPES緩衝液(0.1mol/l、pH
7.5)に対して平衡化した、アニオン交換樹脂Liキ
ロスファー2000TMAE(トリメチルアンモニウム
−エチル塩)(メルク)を充填したカラムの上に置い
た。 このカラムを同じ緩衝液で流した後、このタンパ
ク質溶液を同じ緩衝液中NaCl−勾配(0〜1mol
/l)で溶離させた。タンパク質濃度は15mg/ml
で、加水分解酵素活性は1.2μmol/分/ngタン
パク質になった。
水分解酵素の確認 粗製細胞抽出物中で、加水分解酵素−タンパク質をSD
S−PAGEにより確認した。 その際、誘導していな
いものを、誘導した細胞抽出物でSDS−PAGE上で
比較した(R,S−(±)−2,2−DMCPCAで誘
導)。
6000のタンパク質帯が確認された。 クロマトグラ
フィーにより得られた、加水分解酵素活性を有するタン
パク質画分も同様にSDS−PAGEにより分析した。
分子量が約46000のタンパク質をこのクロマトグ
ラフィー精製により濃縮したが、その際3回目のクロマ
トグラフィーの後で約80%に濃縮された。 次いで、
この80%純度の試料を2次元電気泳動(2−D SD
S−PAGE)により分析した。 この方法により、加
水分解酵素の分子量に相当する約46000の分子量を
有するタンパク質の「スポット」が確認された。
「スポット」をPVDF(ポリニフッ化ビニリデン)−
薄膜上にブロットし、薄膜から切り取った。 続いて、
このタンパク質を、ホッホシュトラッサーらの方法〔A
pplied and Theoretical Ele
ctrophoresis 『応用および理論電気泳
動』1,73〜76頁,1988,「プラズマおよび脳
脊髄液中のHDL粒子に伴うタンパク質」〕により直接
配列化した。 この方法により、N−末端アミノ酸配列
の21個のアミノ酸(AS)が確認された。
酵素遺伝子(rad)の局在化 4.1pCAR1の大まかな制 限地図 従来の方法〔『分子生物学の現況』ジョン・ウイリー・
アンド・サンズ、ニューヨーク,1987,第2章〕に
よる制限分析により、EcoRV、PvuII、Ksp
I、SmaI、PstuI、BamHIに関する大まか
な制限地図を作成した。
列に基づく 混合DNAオリゴマーの形成 遺伝子暗号に基づいて、コマモナス・アシドボランス
A:18加水分解酵素のN−末端ペプチド配列に対して
2種の混合DNAオリゴマーを構成し、DNA合成機械
により合成することができた。
ロ ット−ハイブリダイゼーション」 pCAR1の種々の制限(BamHI、PstI、Ec
oRI)により得られたアガロースゲル−電気泳動
(0.6%)で分離したDNA断片を既知の「サザーン
ブロット法」によりニトロセルロース上に移した。
〔『分子生物学における現況』ジョン・ウイリー・アン
ド・サンズ,ニューヨーク,1987、第2章9頁以
降〕。
TPで同様に末端標識を付けた。すなわち、400ng
のDNAオリゴマー、22μCi32P−ガンマ−AT
P、11単位のポリヌクレオチドキナーゼ無リン酸塩
を、合計25μlのポリヌクレオチドキナーゼ緩衝液
(0.05mol/l トリス−HCl、pH7.5、
0.01mol/l MgCl2、5mmol/l D
DT)中で37℃で30分間培養した。 その後、セフ
ァデックスG−25−ゲル濾過(ファーマシア)により
精製し、既知の方法(上記の文献)により「サザーンブ
ロット」に対してハイブリダイゼーションした。
オチド−オリゴマーに対するハイブリダイゼーションに
より、ハイブリッドプラスミドpCAR1上の2.3k
b大のEcoRI−BamHI−DNA−断片または
1.85kb大のPvuII−BamHI−DNA−断
片を標識付けすることができた。
ーニング化 コマモナス・アシドボラン ス A:18からのR−特異性
加水分解酵素に関して暗号付けする、2.3kb大のE
coRI−BamHI−DNA−断片、または1.85
kb大のPvuII−BamHI−DNA−断片を、同
じように消化したベクター−DNA pBLUESCR
IPT−KS+RまたはpBLUESCRIPT−SK
+R中に挿入した。
のただ一つの指向だけがクローン中でIPTG誘導の後
必要とする加水分解酵素活性を示した。
DNA−断片を有するpBLUESCRIPT−KS+
RをハイブリッドプラスミドpCAR6と呼ぶ。 1.
85kb大のPvuII−BamHI−DNA−断片を
有するpBLUESCRIPT−KS+Rをハイブリッ
ドプラスミドpCAR5と呼ぶ。
の活性測定 加水分解酵素の活性測定を行なうために、微生物分散物
の光学密度を650nmで0.5に調節した。 媒体と
して、0.2重量%のR,S−(±)−2,2−DMC
PCAを含むリン酸塩緩衝液(10mmol/l)、p
H7.0を使用した。 この分散物を振とうしながら3
0℃で4時間培養した。 加水分解酵素により放出され
たNH4+またはR−(−)−2,2−DMCPCAを
測定し、1mmolの形成されたNH4+=1mmol
の変換されたR−(−)−2,2−DMCPCAに相当
するとして、活性を、変換されたR−(−)−2,2−
DMCPCAのg/l/h/650nmにおける光学密
度として表わした。
12は、0.2%(v/v)のグリセリンおよび0.1
5重量%のR,S−(±)−2,2−DMCPCAを含
む鉱物塩媒体中で、IPTG誘導後に1.2gR−
(−)−2,2−DMCPCS/l/h/OD650の特
異的加水分解酵素活性を示した。 R−(−)−2,2
−DMCPCAのR−(−)−酸への変換はNH4+放
出およびGC分析により証明された。 目的とする物質
S−(+)−2,2−DMCPCAはラセミ性混合物中
に変化せずに存在していた。
生物を培養したが、変換結果を表1に示す。
4)24h後のプラスミド安定性、抗生物質の選択な
し、nt=試験せず、5)誘導せず
使用し、37℃で、0.5%R,S−2,2−DMCP
CAにより、10mMリン酸カリウム緩衝液中でpH
7.0で行なった。 比較試料は溶剤を使用せず、試験
は5〜16体積%の溶剤を使用した。 特異活性の計算
は実施例5に記載するようにして行なった。
2−DMCPCA(37℃、10mM、リン酸カリウム
緩衝液、pH7.0)による生物変換で、5〜7.5体
積%のメタノールまたはエタノールを加えることによ
り、変換時間を短縮し、S−(+)−2,2−DMCP
CAの収量を高くすることができた(選択性の増加)。
同じ効果は、加水分解酵素遺伝子を有するE.コリ品
種XL1−Blueでも観察された。 結果を表2にま
とめて示す。
水分解酵素の固定 28mgタンパク質/mlを含み、37℃で0.29μ
mol R,S−2,2−DMCPCA/分・mgタン
パク質の加水分解酵素活性を有するE. コリXL1−B
lue/pCAR6の無細胞抽出物(288ml)を、
まずカラムクロマトグラフィーを通してQ−セファロー
ス(ファーマシア)で精製した。 次いでトリス−HC
l−緩衝液(0.1モル、pH7.5)中NaCl勾配
(0〜1mol/l)で加水分解酵素−タンパク質を溶
離させた。 次いで、40%〜80%のNaCl勾配で
溶離した、加水分解酵素活性を有するタンパク質を限外
濾過(アミコン薄膜YM10)により濃縮し、ゲル濾過
(PD−10、セファデックスG−25M、ファーマシ
アLKB)で脱塩した。 最終体積はリン酸塩緩衝液
(0.1モル、pH7.0)中47mlで、37℃で
0.69μmol R−(−)−2,2−DMCPCA
/分・mgタンパク質の加水分解酵素活性を有する67
mgタンパク質/mlを含んでいた。 続いて、この前
精製した立体特異性加水分解酵素を、キャリアー物質と
してユーペルギットC(ローム・ファーマGmbH,ヴ
ァイターシュタット,ドイツ)上に固定した。 このた
めに、不溶性キャリヤー物質のオキシラン基を加水分解
酵素−タンパク質の遊離アミノ基に共有結合させた。
この固定化はリン酸カリウム緩衝液(1モル、pH8.
5)中、室温で90時間かけて行なった。 37℃で
1.5μmol R−(−)−2,2−DMCPCA/
分・g湿重量ユーペルギットCの加水分解酵素活性を有
する、10.2mg固定タンパク質/g湿重量ユーペル
ギットCが得られた。37℃におけるリン酸カリウム緩
衝液(10mmol、pH8.5)中に0.5重量%
R,S−(±)−2,2−DMCPCAを含む固定加水
分解酵素の安定性を表3に示す。
る、遺伝子のアミノ酸配列ならびにDNA配列。
Claims (19)
- 【請求項1】 S−(+)−2,2−ジメチルシクロプ
ロパンカルボキサミドの製造方法であって、コマモナス
属、シュードモナス属、およびバクテリウム属の微生物
の少なくとも一に由来し、かつ2.3kbのDNA断片
を示す下記の制限地図(図1)により特徴付けられる、
立体特異性加水分解酵素を形成する遺伝子で形質転換し
た微生物により、ラセミ性R,S−(±)−2,2−ジ
メチルシクロプロパンカルボキサミド中でR−(−)−
2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキサミドを、R
−(−)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸
に生物変換し、これにより光学活性のS−(+)−2,
2−ジメチルシクロプロパンカルボキサミドを得、これ
を分離することを特徴とする方法。 【図1】 - 【請求項2】 生物変換を、立体特異性加水分解酵素活
性を有し、図3に示すアミノ酸配列を有するポリペプチ
ドをコードするDNA断片により形質転換した微生物で
行なうことを特徴とする請求項1記載の方法。 - 【請求項3】 生物変換を、エシェリシア、シュードモ
ナス、コマモナス、アシネトバクター、リゾビウムまた
はアグロバクテリウム属の微生物で行なうことを特徴と
する請求項1または2に記載の方法。 - 【請求項4】 生物変換を、エシェリシア・コリ種の微
生物で行なうことを特徴とする請求項1〜3の何れか1
項記載の方法。 - 【請求項5】 生物変換を、ハイブリッドプラスミドp
CAR6で形質転換したエシェリシア・コリXL1−B
lue(DSM−No.6551)種の微生物またはそ
れらの子孫、または前記微生物(即ち、寄託された微生
物)と同じ立体特異性加水分解酵素活性を有する前記微
生物のランダムな突然変異体で行なうことを特徴とする
請求項1〜4の何れか1項記載の方法。 - 【請求項6】 生物変換を、ハイブリッドプラスミドp
CAR6で形質転換したエシェリシア・コリDH5(D
SM−No.7053)種の微生物またはそれらの子
孫、または前記微生物(即ち、寄託された微生物)と同
じ立体特異性加水分解酵素活性を有する前記微生物のラ
ンダムな突然変異体で行なうことを特徴とする請求項1
〜4の何れか1項記載の方法。 - 【請求項7】 生物変換を、固定化した立体特異性加水
分解酵素で行なうことを特徴とする請求項1〜6の何れ
か1項記載の方法。 - 【請求項8】 生物変換を、ラセミ性R,S−(±)−
2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキサミドを0.
2〜5重量%の量で含む媒体中で行なうことを特徴とす
る請求項1〜7の何れか1項記載の方法。 - 【請求項9】 生物変換を、pH6〜7、および温度1
5〜55℃で行なうことを特徴とする請求項1〜8の何
れか1項記載の方法。 - 【請求項10】 コマモナス属、シュードモナス属、お
よびバクテリウム属の微生物の少なくとも一に由来し、
かつ2.3kbのDNA断片を示す下記の制限地図(図
1)により特徴付けられる、立体特異性加水分解酵素を
コードするDNA。 【図1】 - 【請求項11】 立体特異性加水分解酵素活性を有し、
図3に示すアミノ酸配列を有するポリペプチドをコード
するDNA断片。 - 【請求項12】 エシェリシア・コリXL1−Blue
(DSM−No.6551)中に寄託された、ハイブリ
ッドプラスミドpCAR6中の、請求項10または11
記載のDNAまたはDNA断片。 - 【請求項13】 エシェリシア・コリDH5(DSM−
No.7053)中に寄託された、ハイブリッドプラス
ミドpCAR6中の、請求項10または11記載のDN
AまたはDNA断片。 - 【請求項14】 発現ベクターからなり、その中に挿入
された請求項10または11記載のDNAまたはDNA
断片を有するハイブリッドプラスミド。 - 【請求項15】 請求項10または11記載のDNAま
たはDNA断片および発現ベクターpBLUESCRI
PT−KS+からなり、エシェリシア・コリXL1−B
lue(DSM−No.6551)中に寄託されたハイ
ブリッドプラスミドpCAR6。 - 【請求項16】 請求項10または11記載のDNAま
たはDNA断片および発現ベクターpBLUESCRI
PT−KS+からなり、エシェリシア・コリDH5(D
SM−No.7053)中に寄託されたハイブリッドプ
ラスミドpCAR6。 - 【請求項17】 請求項14、15または16記載のハ
イブリッドプラスミドで形質転換した微生物。 - 【請求項18】 ハイブリッドプラスミドpCAR6で
形質転換したエシェリシア・コリXL1−Blue(D
SM−No.6551)種の、請求項17記載の微生物
またはそれらの子孫、または前記微生物(即ち、寄託さ
れた微生物)と同じ立体特異性加水分解酵素活性を有す
る前記微生物のランダムな突然変異体。 - 【請求項19】 ハイブリッドプラスミドpCAR6で
形質転換したエシェリシア・コリDH5(DSM−N
o.7053)種の、請求項17記載の微生物またはそ
れらの子孫、または前記微生物(即ち、寄託された微生
物)と同じ立体特異性加水分解酵素活性を有する前記微
生物のランダムな突然変異体。
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