JP3215817B2 - オレフィン系樹脂製多層フィルム又はシート - Google Patents
オレフィン系樹脂製多層フィルム又はシートInfo
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Description
ス類用、包装用、農業用、等として使用されるオレフィ
ン系樹脂からなる軟質多層フィルム又はシート(以下、
「フィルム・シート」と記すことがある)に関し、詳し
くは、高周波ウエルダー適性、耐傷性、耐熱性、裁断性
に優れたオレフィン系樹脂からなる軟質多層フィルム・
シートに関するものである。
装用、農業用、等として、合成樹脂からなる軟質フィル
ム・シートが使用されている。また、このフィルム・シ
ートとしては、エチレン−メチルメタクリレート共重合
樹脂やエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂からなる単層フ
ィルム・シート等が知られている。
ルメタクリレート共重合樹脂やエチレン−酢酸ビニル共
重合樹脂からなる単層フィルム・シートは、柔軟性があ
り、また、高周波ウエルダー適性に優れるという利点を
有する点では、二次加工を必要とすることが多い上記用
途での使用に適していると言えるが、反面、表面に傷が
付き易い(耐傷性に劣る)という欠点を有しており、従
来からこれを改善するための種々の提案、具体的には、
脂肪酸アマイドを添加したり、表面に塗膜を形成する等
の提案がなされている。
を改善しようとした場合、エチレン−メチルメタクリレ
ート共重合樹脂やエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂から
なるフィルム・シートが元来有している高周波ウエルダ
ー適性に優れるといったような特性を損なう場合が多
い。
重合樹脂やエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂からなる単
層フィルム・シートは、耐熱性に劣り、80〜90℃程
度の温度でも、変形が生じてしまい易いという欠点、或
いは、裁断性に劣り、裁断時に刃が入りにくいため、端
部(裁断することによってできる端部)近傍が伸びて変
形が生じ易いという欠点も有していた。
レン−メチルメタクリレート共重合樹脂やエチレン−酢
酸ビニル共重合樹脂からなるフィルム・シートの両面
に、ポリプロピレンからなる外層を形成することも検討
してみたが、一般に使用されているポリプロピレン、具
体的には、プロピレンの単独重合体であるホモポリプロ
ピレン、プロピレンとエチレンのランダム共重合体であ
るランダムポリプロピレン、プロピレンとエチレンのブ
ロック共重合体であるブロックポリプロピレン、等のポ
リプロピレンを用いた場合には、エチレン−メチルメタ
クリレート共重合樹脂やエチレン−酢酸ビニル共重合樹
脂からなるフィルム・シートの表面に、接着剤等を介さ
ずに直接積層することが実質的に不可能であった。
ロピレンからなる外層を、エチレン−メチルメタクリレ
ート共重合樹脂やエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂から
なるフィルム・シート表面に、通常使用される接着剤を
介して積層したとしても、得られるフィルム・シート
は、エチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂やエチ
レン−酢酸ビニル共重合樹脂からなる単層フィルム・シ
ートに比べて高周波ウエルダー適性が低下するという問
題もあった。
り、エチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂やエチ
レン−酢酸ビニル共重合樹脂からなるフィルム・シート
が元来有する高周波ウエルダー適性に優れるという特性
を損なうことなく、表面に耐傷性、耐熱性及び裁断性を
改善したフィルム・シートを提供するものである。
になされた本発明のフィルム・シートは、エチレン系樹
脂からなる中間層及びプロピレン系樹脂からなる外層と
から構成され、中間層を形成するエチレン系樹脂が、エ
チレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂及びエ
チレン−酢酸ビニル共重合樹脂から選ばれる一種以上を
主体とするエチレン系樹脂であり、外層を形成するプロ
ピレン系樹脂が、20〜80重量%のシンジオタクチッ
クポリプロピレンと80〜20重量%のプロピレン−エ
チレン−ブテン共重合体の混合物と、エチレン−(メ
タ)アクリル酸エステル共重合樹脂及びエチレン−酢酸
ビニル共重合樹脂から選ばれる一種以上とを、重量比で
95:5〜70:30の割合で混合してなる混合樹脂で
あることを特徴とするオレフィン系樹脂製多層フィルム
・シートである。
・シートの中間層を形成するエチレン系樹脂は、上記し
た通り、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合
樹脂及びエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂から選ばれる
樹脂を主体とするエチレン系樹脂、もしくは、これらか
ら選ばれる二種以上を混合したものを主体とするエチレ
ン系樹脂である。
重合樹脂は、エチレンと、アクリル酸エステル又は/及
びメタクリル酸エステルを共重合させたものであり、具
体的には、上記したエチレン−メチルメタクリレート共
重合樹脂の他、エチレン−メチルアクリレート共重合樹
脂、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂、等が使
用できる。
エステル共重合樹脂としては、(メタ)アクリル酸エス
テル成分が5〜30重量%のもの、特に高周波ウエルダ
ー適性の観点から15〜30重量%のものが好適であ
る。
エステル共重合樹脂としては、エチレンと共重合する
(メタ)アクリル酸エステルの種類やその含有量等が異
なるものを混合したものであってもよい。また、得られ
るフィルム・シートの特性を損なわない範囲であれば、
エチレン及び(メタ)アクリル酸エステル以外の単量体
成分が共重合したものであっても差し支えない。
は、酢酸ビニル成分が5〜30重量%のもの、特に高周
波ウエルダー適性の観点から15〜30重量%のものが
好適である。
脂は、酢酸ビニル含有量が異なるものを混合したもので
あってもよい。また、得られるフィルム・シートの特性
を損なわない範囲であれば、エチレン及び酢酸ビニル以
外の単量体成分が共重合したものであっても差し支えな
い。
リル酸エステル共重合樹脂及びエチレン−酢酸ビニル共
重合樹脂から選ばれる一種以上のエチレン系樹脂には、
必要に応じて、帯電防止剤、酸化防止剤、ヒンダードア
ミン系化合物等の光安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、無機
充填剤、顔料等の着色剤、等の各種添加剤を添加しても
よい。
・シートの中間層は、必要に応じて各種添加剤が添加さ
れたエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂
及びエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂から選ばれる一種
以上のエチレン系樹脂により形成されるものであるが、
得られるフィルム・シートの特性を損なわない範囲であ
れば、上記のエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共
重合樹脂及びエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂に、それ
以外の重合体、具体的には、低密度ポリエチレン、線状
低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリ
エチレン等のポリエチレン;ポリプロピレン(ホモポリ
プロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプ
ロピレン等);ポリブテン;エチレン系エラストマー;
オレフィン系ゴム;等を混合しても差し支えない。
・シートには、上記の中間層の両面にプロピレン系樹脂
からなる外層が形成される。この外層を形成するプロピ
レン系樹脂は、上記した通り、シンジオタクチックポリ
プロピレンとプロピレン−エチレン−ブテン共重合体と
の混合樹脂を主体とするプロピレン系樹脂である。
・シートを高周波ウエルダーにより接合したときの溶着
強度をより向上させるためには、上記のシンジオタクチ
ックポリプロピレンとプロピレン−エチレン−ブテン共
重合体との混合比率は、シンジオタクチックポリプロピ
レンが20〜80重量%、プロピレン−エチレン−ブテ
ン共重合体が80〜20重量%の範囲であり、特に好ま
しくはシンジオタクチックポリプロピレンが35〜60
重量%、プロピレン−エチレン−ブテン共重合体が65
〜40重量%の範囲である。
間層を形成するエチレン系樹脂と同様に、必要に応じ
て、帯電防止剤、酸化防止剤、ヒンダードアミン系化合
物等の光安定剤、滑剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸
収剤、無機充填剤、顔料等の着色剤、等の各種添加剤を
添加してもよい。
損なわない範囲であれば、上記のプロピレン系樹脂以外
の重合体、具体的には、低密度ポリエチレン、線状低密
度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチ
レン等のポリエチレン;エチレン−(メタ)アクリル酸
エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の
エチレン系共重合体;ポリプロピレン(ホモポリプロピ
レン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレ
ン);ポリブテン;エチレン系エラストマー;オレフィ
ン系ゴム;等を混合しても差し支えない。特に エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体及び/又はエチレン−(メタ)
アクリル酸エステル共重合体を混合した場合であって、
その混合割合が上記プロピレン系樹脂の5〜30重量%
のときには、得られるフィルム・シートの透明性、高周
波ウェルダー性が向上して好ましいものである。5重量
%未満では透明性や高周波ウェルダー性の向上がみられ
ず、30重量%を越えるとフィルム・シートの表面ベタ
ツキが大きくなる傾向があり好ましくない。
・シートは、中間層の両面に外層を形成してなるが、本
発明の多層フィルム・シートにおいては、中間層と外層
との層間接着性に優れ、両層の間に接着剤を介する必要
がないので、その形成手段として好ましくは、製造工程
が簡略である共押出法や共押出インフレーション法であ
る。勿論、中間層と外層とを、カレンダー法、押出法、
インフレーション法等の手段によって別々に成形し、そ
れらを熱ラミネートもしくは適宜の接着剤による接着等
の手段で積層する等によっても本発明の多層フィルム・
シートを得ることができる。
・シートの厚さについては、特に限定されるものではな
いが、上記用途として一般的には、0.03〜2.0m
m程度である。
ィルム・シートにおける中間層と各外層との厚さの比
は、それぞれ2:1〜40:1(すなわち、1/2/1
〜1/40/1)の範囲とするのが望ましい。中間層と
外層との厚さの比が、上記範囲を著しく逸脱した場合、
本発明の課題を解決し得る多層フィルム・シートを得る
ことができない。尚、両外層の厚さは必ずしも同じであ
ることを要しない。
・シートは、片面もしくは両面に、梨地や絹目等のエン
ボス絞を形成することもできるし、通常の印刷によるプ
リント模様を形成することもできる。また、水系、溶剤
系、紫外線硬化型等の各種塗料による塗膜を形成するこ
とも可能であるが、塗膜を形成した部分は、高周波ウエ
ルダー適性が著しく低下するので、塗膜を形成する場合
には、この点に留意する必要がある。勿論、プリント模
様を形成する場合も同様である。
樹脂製多層フィルム・シートは、軟質で、耐傷性、耐熱
性に優れており、また着色剤を含まない、或いは着色剤
の添加量が少ない場合(即ち、着色透明フィルム・シー
トとした場合)には、透明性にも優れるものである。ま
た、高周波ウエルダー適性や裁断性にも優れるので、二
次加工を要する用途への使用に好適である。
が、本発明は以下に挙げる実施例に限定されるものでは
ない。
す配合からなる中間層用エチレン系樹脂組成物及び外層
用プロピレン系樹脂組成物を用い、三層Tダイ押出機で
共押出して、全体厚さ0.3mm、中間層の厚さ0.2
5mm、各外層の厚さがそれぞれ0.025mmのオレ
フィン系樹脂製多層フィルムを得た。また、得られたフ
ィルムについて、高周波ウエルダー適性、高周波ウエル
ダー溶着部の溶着強度、耐傷性、透明性、層間接着性、
耐熱性、裁断性及び押出成形性を、下記基準にて評価し
た。結果を表1に併せて示す。
可能 △:ウエルダー刃を70℃以上の加熱することで溶着可
能 ×:高周波ウエルダー加工は実質的に不可能 (b)溶着強度 ◎:溶着部を引っ張ったとき、フィルム自体が破壊(溶
着部の剥がれなし) ○:溶着部を引っ張ったとき、溶着部の剥がれが僅かに
あり ×:溶着部を引っ張ったとき、溶着部で容易に剥がれる (c)耐傷性 学振型摩擦試験機(基布カナキン3号、擦り回数50
回)で擦過した後、JIS−K−6714に基づいてヘ
イズ値(単位%)を測定し、擦過前のヘイズ値と比較し
た。 ○:ヘイズ値増加が20%未満 ×:ヘイズ値増加が20%以上 (d)透明性 ◎:ヘイズ値が5%未満 ○:ヘイズ値が5%以上で10%未満 ×:ヘイズ値が10%以上 (e)層間接着性 ○:良好(高周波ウエルダー加工時、各層の層間で容易
に剥離せず) ×:不良(高周波ウエルダー加工時、各層の層間で容易
に剥離する) (f)耐熱性 ○:100℃中に1時間放置しても、変形が見られない ×:100℃中に1時間放置したとき、変形が見られる (g)裁断性 ○:フィルムを50枚重ねて裁断した時に、フィルム端
部の変形が見られない ×:フィルムを50枚重ねて裁断した時に、フィルム端
部に変形が見られる (h)押出成形性 ◎:90m/m押出機の吐出量が200Kg/hr以上 ○:90m/m押出機の吐出量が100Kg/hr以上
で200Kg/hr未満 ×:90m/m押出機の吐出量が100Kg/hr未満
脂組成物及び外層用プロピレン系樹脂組成物を表2に示
すものに代える以外は、実施例1〜5と同様にしてオレ
フィン系樹脂製多層フィルムを得た。また、得られたフ
ィルムについて、高周波ウエルダー適性、高周波ウエル
ダー溶着部の溶着強度、耐傷性、透明性、層間接着性、
耐熱性、裁断性及び押出成形性を、実施例1〜5と同様
にして評価した。結果を表2に併せて示す。
樹脂製多層フィルムの部分拡大断面図を図1に示す。図
中の符号1はオレフィン系樹脂製多層フィルムを、符号
11は中間層を、符号12(a)及び(b)は外層を、
それぞれ示している。
系樹脂製多層フィルム・シートは、高周波ウエルダー適
性、耐傷性、耐熱性、裁断性に優れ、文具用、各種ケー
ス類用、包装用、農業用、等として好適に使用できる。
また、着色剤の添加量が少ない場合や、着色剤を全く添
加しないような場合では、透明性にも優れるという利点
もある。
ィルム・シートは、中間層と外層との間に接着剤を介在
させなくても優れた層間接着性を有するので、共押出法
等により容易に製造できるものである。
脂が、20〜80重量%のシンジオタクチックポリプロ
ピレンと80〜20重量%のプロピレン−エチレン−ブ
テン共重合体の混合物と、エチレン−(メタ)アクリル
酸エステル共重合樹脂及びエチレン−酢酸ビニル共重合
樹脂から選ばれる一種以上とを、重量比で95:5〜7
0:30の割合で混合場合には、高周波ウエルダー加工
による溶着部の接着強度が更に向上するばかりでなく、
透明性も更に向上するという利点もある。
Claims (1)
- 【請求項1】 エチレン系樹脂からなる中間層及びその
両面に形成されたプロピレン系樹脂からなる外層とから
構成されるオレフィン系樹脂製多層フィルム又はシート
であって、 中間層を形成するエチレン系樹脂が、エチレン−(メ
タ)アクリル酸エステル共重合樹脂及びエチレン−酢酸
ビニル共重合樹脂から選ばれる一種以上を主体とするエ
チレン系樹脂であり、 外層を形成するオレフィン系樹脂が、20〜80重量%
のシンジオタクチックポリプロピレンと80〜20重量
%のプロピレン−エチレン−ブテン共重合体の混合物
と、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂
及びエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂から選ばれる一種
以上とを、重量比で95:5〜70:30の割合で混合
してなる混合樹脂である、オレフィン系樹脂製多層フィ
ルム又はシート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35429698A JP3215817B2 (ja) | 1998-12-14 | 1998-12-14 | オレフィン系樹脂製多層フィルム又はシート |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP35429698A JP3215817B2 (ja) | 1998-12-14 | 1998-12-14 | オレフィン系樹脂製多層フィルム又はシート |
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---|---|---|---|
JP2001140804A Division JP2001328217A (ja) | 2001-05-11 | 2001-05-11 | 高周波ウエルダー加工用オレフィン系樹脂多層フィルムまたはシート |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JP2000177073A JP2000177073A (ja) | 2000-06-27 |
JP3215817B2 true JP3215817B2 (ja) | 2001-10-09 |
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---|---|---|---|
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Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
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-
1998
- 1998-12-14 JP JP35429698A patent/JP3215817B2/ja not_active Expired - Fee Related
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