JP3213204B2 - 超伝導体を用いた高周波回路装置 - Google Patents

超伝導体を用いた高周波回路装置

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JP3213204B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸化物超伝導体の高周
波応用に関し、とくに酸化物超伝導体を用いた高周波回
路装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の高周波回路で薄膜伝送線路を用い
た主なものは、マイクロ波ハイブリッド回路とMMIC
(マイクロ波モノリシックIC)に代表される集積回路
型である。薄膜伝送線路とはとはすなわち、ストリップ
ライン型、マイクロストリップライン型、コプレーナ型
などの薄膜伝送線路であり、マイクロ波ハイブリッド回
路では、誘電損の小さい基板上にこれら伝送線路を形成
し、その基板上に高周波用の半導体素子、キャパシタ、
抵抗体など個別の素子を半田づけ、あるいはボンディン
グ等の方法で接続した構成をとる。一方、MMICで
は、移動度の高いGaAs基板や、Si基板などを用
い、その基板上に、薄膜伝送線路や他の高周波素子要素
を、集積回路の技術を用いて形成したものである。
【0003】これら従来の高周波回路中で、薄膜伝送線
路は、AuやCuなどの電気伝導性の良い(抵抗率の小
さい)材料で形成されるのが普通である。さらに、マイ
クロ波ハイブリッド回路中の抵抗素子は通常チップ抵抗
が用いられ、基板に半田付けされるのが普通である。一
方MMICでは、抵抗成分は薄膜抵抗体を用いることが
一般的で、その抵抗値は、薄膜抵抗体の膜厚を一定と
し、平面的な形状(縦横比)に依存するシート抵抗(面
抵抗)で決定される。
【0004】一般に高周波回路上の、インピーダンスが
異なる点では高周波電力の反射が生じ、伝送線路上に不
要な定在波が生じる。これは伝送特性上好ましくなく、
回路設計の上では高周波電力の不用な反射を抑えるため
に、各点でのインピーダンスの整合(各素子間、および
それらと外部回路との間のインピーダンス整合など)が
重要となる。また外部回路、伝送線路、回路素子相互間
のインピーダンスを一致させる必要もある。通常高周波
回路は50オームで設計されるため、それに接続される
伝送線路、回路素子、終端抵抗素子などの入力インピー
ダンスも50オームにするのが普通である。このことよ
り、従来の高周波回路では、抵抗素子として、マイクロ
波ハイブリッド回路においてはチップ抵抗、MMICに
おいては薄膜抵抗体を用いていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】超伝導状態は、直流抵
抗がゼロであり、高周波における表面抵抗も金属に比べ
小さい。このことより高周波装置の伝送線路系に超伝導
体を用いることは、高周波素子の抵抗成分による伝送損
失を低減することに有効である。さらに、超伝導素子で
は電流電圧特性上の非線形性が強く、高周波分野での能
動素子として期待されている。一方、超伝導素子は通常
低インピーダンスであり、高周波応用する際にはインピ
ーダンス整合を実現するために種々の方策を施す必要が
あった。特に酸化物超伝導体を用いた超伝導素子は、弱
結合型の素子、すなわち低インピーダンスの素子が主流
であり、酸化物超伝導体を用いた素子を含む高周波回路
構成の上で有効なインピーダンス整合の方法が望まれて
いた。
【0006】酸化物超伝導体を用いた高周波回路におい
て抵抗素子を用いる場合、従来の方法のようにチップ抵
抗や、薄膜抵抗体を用いることが考えられる。しかしな
がら、酸化物超伝導体の伝送線路と通常の金属を接続す
ると、従来金属の伝送線路と接続する際には無視できる
程に小さかった界面の接触抵抗が大きく生じ、接続面積
のずれや接続界面の状態で抵抗値がばらついたり、設計
通りの抵抗素子が実現しない等の問題点があった。ま
た、チップ抵抗は装置小型化には不向きであるという問
題があった。
【0007】本発明は、前記従来の問題を解決するた
め、酸化物超伝導体を用いた高周波回路における抵抗素
を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の超伝導体を用いた高周波回路装置は、高周
波伝送線路と、酸化物超伝導体よりなる超伝導素子と、
酸化物超伝導体と、金属材料との接合構造よりなる抵抗
素子を含む高周波回路において、前記金属材料がAu、
Ag、Pt、Cu、In、Sn、Mo、Al、Pbおよ
びNbから選ばれる少なくとも一つの金属もしくはこれ
ら材料を含む合金であることを特徴とする。
【0009】本発明の別の高周波回路装置は、高周波伝
送線路と、酸化物超伝導体よりなる超伝導素子と、酸化
物超伝導体と酸化物との接合構造よりなる抵抗素子を含
む高周波回路において、前記酸化物材料がRuO 2 であ
ることを特徴とする。また前記構成においては、抵抗素
の酸化物が、前記酸化物に接する酸化物超伝導体と同
一もしくは類似の結晶構造を持つことが好ましい。
【0010】また前記構成においては、酸化物材料がR
uO2、もしくはNbをドープしたSrTiO3であるこ
とが好ましい。
【0011】また前記構成においては、酸化物超伝導材
料が、Ln1Ba2Cu37-a(ただし、LnはY及びラ
ンタノイド元素から選ばれる少なくとも一つの元素であ
り、Prを除く。aは0≦a≦1.0である。)であ
り、酸化物材料が、(Ln1-xPrx1Ba2Cu37-a
(ただし、LnはY及びランタノイド元素から選ばれる
少なくとも一つの元素であり、0<x≦1.0、aは0
≦a≦1.0である。)であることが好ましい。
【0012】また前記構成においては、酸化物超伝導材
料が、(Bi1-xPbx2Sr2Can-1Cun2(n+2)+a
(ただし、0≦x≦0.5、n=1,2,3,4,
5)、酸化物材料が、(Bi1-yPby2Sr2(Ca
1-zLnzn-1Cun2(n+2)+a(ただし、0≦y≦0.
5、0<z≦1.0、n=1,2,3,4,5、aは0
≦a≦1.0である。)で示されることが好ましい。
【0013】
【作用】前記した本発明の構成によれば、酸化物超伝導
体と、金属材料または酸化物との接合構造により、酸化
物超伝導体を用いた高周波回路における抵抗素子を実現
できる。すなわち、酸化物超伝導体上に金属を成膜、ま
たは蒸着すると、その接合部分には比較的大きな接触抵
抗が生じる。これは成膜した金属材料が酸化物超伝導体
の酸素と結合して酸化したり、界面の電気的な特性の違
いによると考えられる。前者は酸素と結合しやすい活性
な金属材料で顕著であり、後者は貴金属材料を酸化物超
伝導体上に成膜した際の接触抵抗の起因と考えられる。
また、接合作製時の酸化物超伝導体薄膜の表面状態にも
依存する。
【0014】本発明者はこれら接合の接触抵抗の値を、
接合作製時の条件を詳細に管理することで再現性良く制
御できることを見いだした。これを利用し、接合面積を
規定することで任意の抵抗値の接合を形成できることを
見いだした。またこのことにより、酸化物超伝導体と金
属材料とが接合した高周波伝送線路中で、酸化物超伝導
体が超伝導状態となった(抵抗値が極端に低くなった)
際、接合部が抵抗素子として有効に機能することを見い
だした。
【0015】特に伝送線路をAu、Pt、Ag、Cuな
どで形成し、酸化物超伝導体素子を接続するような回路
構成で、超伝導素子のインピーダンスに抵抗成分を付加
したい場合、超伝導素子の一部と伝送線路の一部をA
u、Pt、Ag、Cu、In、Sn、Mo等の金属とで
接合することで抵抗成分を付加することが可能であるこ
とを見いだした。これら材料は電気抵抗率が比較的低
く、金属材料自体より、接合部分での接触抵抗が有効に
抵抗体として機能する。特にAu、Pt、Ag、Cuは
金属伝送線路との接触抵抗が無視できる程小さくなるた
め、抵抗成分が酸化物材料との接合部分に主として存在
するような集中定数成分として考えられるため実用的で
あることを見いだした。またIn、Sn、Moでは接触
抵抗が大きくなりすぎず、適当な値となるので回路設計
に有利である。これはこれら材料の酸化物が絶縁性でな
く電気伝導性であるためと考えられる。逆に酸化物超伝
導体を伝送線路に用いて、超伝導素子をその伝送線路に
接続する際もその間に金属材料との接合を挿入すること
が有効である。これらの構成は従来例である薄膜抵抗体
と外見上似ているが、薄膜抵抗体では薄膜を形成した材
料の本質的な抵抗値を用いて抵抗体とするため、その膜
厚と、薄膜の形状(例えば縦横比の異なる矩形パター
ン:シート抵抗の概念になる)で抵抗値が規定される。
それに対し、本発明の構成では膜厚は任意であり、しか
も形状も任意である。ただ規定する必要があるのは接合
部の接触面の面積のみであり、高周波回路パターン設計
に多くの余裕度が生まれる利点があることを見いだし
た。
【0016】さらに伝送線路を金属超伝導体で構成し酸
化物超伝導体素子を結合したり、逆に酸化物超伝導体で
形成した伝送線路に、金属超伝導体素子を結合する際、
超伝導線路、超伝導素子の超伝導体で形成したリード部
分は超伝導遷移するため抵抗値がきわめて低くなる。こ
のことは低損失の伝送線路としては有利であるが、回路
構成上、抵抗素子が必要な場合、別途抵抗成分を挿入す
ることが必要となる。本発明者らは、酸化物超伝導体
と、超伝導性を示すAl、Pb、Nb、あるいはこれら
をベース金属とした各種合金(NbAl、NbSn、N
bTi、Nb3Geなどの合金)や、NbN、NbCN
などの化合物との接合構造を用いることで、抵抗成分を
形成できることを見いだした。接触抵抗の値はAu、P
t等との接合構造に比べ大きなものであるが、金属超伝
導体が超伝導転移する低温では、接合部分のみが抵抗成
分となり、回路設計上、集中定数で考えることができ回
路設計が簡便になり有効である。
【0017】前記の金属超伝導体と酸化物超伝導体とを
含む高周波回路に対応して、酸化物超伝導体を用いた高
周波伝送線路と、酸化物超伝導体を用いた素子の高周波
回路では、酸化物超伝導体間で有効な抵抗成分を形成す
ることが必要となる。上記のように酸化物超伝導体間を
金属材料で結合する(酸化物超伝導体と金属の接合を挿
入する)のに対し、抵抗性の酸化物薄膜を挿入すること
で抵抗成分が実現できることを見いだした。特に酸化物
超伝導体は結晶性の材料であり、成膜は結晶化温度以上
で行われる。この際に同様の温度範囲で結晶化し、しか
も結晶構造が酸化物超伝導体に類似の材料を用いること
で、その酸化物上に成膜される酸化物超伝導体の結晶性
が向上し、良好な超伝導性をもつ超伝導体とともに、抵
抗性の薄膜接合を形成できることを見いだした。具体的
には、酸化物超伝導体の格子定数に近い格子定数を有す
る電気伝導性酸化物材料が良く、例えば、RuO2、N
bをドープしたSrTiO3などである。さらに類似の
系列の材料中で酸化物超伝導体と、酸化物を選択するこ
とが可能である。例えば、123系あるいはY系酸化物
超伝導体材料では、Yあるいはランタノイド元素の一部
をPrで置換したり、種々の元素をわずかにドープする
と、超伝導遷移温度Tcが低下し、高周波素子の動作温
度で超伝導性を示さない薄膜が各種得られる。この結晶
構造は123構造(Y系酸化物超伝導材料)と同一であ
り、この材料とY系材料を積層することにより良好な結
晶性を持つ抵抗体が形成できる。なおこの構成はY系酸
化物超伝導体と、類似構造の酸化物とを用いた積層構造
のジョセフソン素子と同様であるが、本発明では(1)
中間の抵抗体となる酸化物薄膜の厚みを、ジョセフソン
効果の生じない厚み以上に厚くする、ジョセフソン効果
が生じるような中間層の抵抗体の厚みでも、直列に多数
結合し高周波伝送線路に接続する、あるいは直流電流を
接合に流し、抵抗状態で使用することで良好な抵抗成分
を形成できることを見いだした。これは、酸化物超伝導
体と酸化物の積層構造で得られる非線形の電流電圧特性
上においては、直流電流を変化することにより、異なる
抵抗値に動作点を定められる特性を利用した方法であ
る。また、Y系材料(Yはランタノイド元素でも良い)
はその構成元素や、ドープ元素、ドープ量によってその
特性が変わり、多くの材料が存在するが、抵抗体を形成
する原理には不変性があり同様に考えることができる。
すなわち酸化物超伝導材料が、Ln1Ba2Cu3
7-a(LnはYおよび希土類元素、ただしCe、Pr、
Tmを除く。aは0≦a≦1.0である。)である場
合、酸化物材料を、(Ln1-xPrx1Ba2Cu37-a
(LnはYおよび希土類元素、ただしCe、Pr、Tm
を除く、0<x≦1.0、aは0≦a≦1.0であ
る。)とするような、Y系材料のさまざまな組み合わせ
で本発明の抵抗素子は形成可能であることは明らかであ
る。
【0018】一方、Y系と同様にBi系でも、同系列の
材料で超伝導体や非超伝導体が存在する。すなわちBi
系材料は一般に(Bi1-xPbx2Sr2Can-1Cun
2(n+2)+a(0≦x≦0.5、n=1,2,3,4,5、
aは0≦a≦1.0である。)と表されるが、各nの値
に対して、Caの一部またはすべてをランタノイド元素
で置換したり、Cuの一部をCoや他の元素で置換する
ことで超伝導遷移温度の異なる種々の材料が得られる。
これらすべてにわたり本発明の有効性を確認にすること
は不可能にちかいが、原理的にはY系を例とした説明と
同様に抵抗性の接合を形成できる。すなわちY系材料と
同様に、Bi系材料では酸化物超伝導材料が、(Bi
1-xPbx2Sr2Can-1Cun2(n+2)+a(0≦x≦
0.5、n=1,2,3,4,5、aは0≦a≦1.0
である。)である場合、酸化物材料を、(Bi1-y
y2Sr2(Ca1-zLnzn-1Cun2(n+2)+a(0
≦y≦0.5、0<z≦1.0、n=1,2,3,4,
5、aは0≦a≦1.0である。)とすることも有効な
手段であることは明らかである。
【0019】
【実施例】本発明は前記酸化物超伝導体を用いた素子に
おける高周波回路における抵抗成分形成の課題を2つの
方法で解決する。それらはの基本的な要素は(1)酸化
物超伝導体と金属材料との接合構造、あるいは(2)酸
化物超伝導体と酸化物との接合構造で、抵抗成分を構成
することである。前記(1)の酸化物超伝導体と金属材
料の接合構造では、金属材料として通常酸化しにくいA
u、Ptなどの貴金属や、酸化してもその酸化物が電気
伝導性であるAg、In、Sn、Mo、あるいはこれら
の合金等を用いるものである。また、酸化物を形成しや
すく、その酸化物も絶縁体となるものでも、低温で超伝
導性を示すAl、Pb、Nb、またはこれらをベース金
属とした各種合金(NbAl、NbSn、NbTi、N
3Geなどの合金)や、NbN、NbCNなどの化合
物と酸化物超伝導体の接合構造も有効な手段となる。一
方前記(2)の酸化物超伝導体と酸化物の接合構造で抵
抗成分を形成する方法では、高周波回路の使用温度で超
伝導性を示さない酸化物を接合部分に用いる。また、酸
化物超伝導体と同一もしくは類似の結晶構造を持つ酸化
物材料や、RuO2等の電気伝導性酸化物、Nbをドー
プしたSrTiO3なども用いることも有効な手段であ
る。
【0020】以下、電気回路的説明および具体的実施例
を用いて本発明を説明する。
【0021】図1は一実施例を示す概念平面図(a)と
等価電気回路(b)である。接地面4は酸化物超伝導体
薄膜であり、Au、Pt等の金属パターンの中心線路を
もつコプレーナ型線路2の終端部で、酸化物超伝導体で
形成したジョセフソン素子3を接地面との間に形成した
回路である。終端部(ジョセフソン素子挿入部)では金
属薄膜と酸化物超伝導体の接合部を設けて抵抗成分とし
た。ジョセフソン素子は、超伝導電極を2つ有する2端
子素子であり、この例ではその一方にコプレーナ型伝送
線路2を接触させた構造となる。ジョセフソン素子と接
触面4の接触部分には抵抗は発生せず、コプレーナ型伝
送線路2とジョセフソン素子の接触部分にのみ抵抗成分
が生じる。
【0022】図1において、1は厚さ0.5mmのMg
O基板を示している。等価電気回路(b)では、伝送線
路21、抵抗22、超伝導素子20であり、ジョセフソ
ン素子3は超伝導素子20に対応し、コプレーナ型伝送
線路2は伝送線路21に対応する。
【0023】図2は別の実施例を示す電気回路の概念図
である。図1の実施例とほぼ同様の構成であるが、コプ
レーナ型伝送線路2、接地面4共に酸化物超伝導体薄膜
で構成され、伝送線路の一部にジョセフソン素子3が形
成され、その一方の電極が接地された構成である。ジョ
セフソン素子3とコプレーナ型伝送線路2間には酸化物
薄膜を挿入し、抵抗成分を構成した。等価電気回路
(b)では、ジョセフソン素子3は超伝導素子20に対
応し、コプレーナ型伝送線路2は伝送線路21に対応す
る。
【0024】一般に高周波回路系では、伝送線路の特性
インピーダンスを50オームに設計することが多い。本
実施例でも、外部の高周波回路系の入力インピーダンス
が50オームであるため、伝送線路の特性インピーダン
スは50オームとなるように設計した。一方超伝導素子
はその設計、構成により素子抵抗の値は変化する。例え
ばトンネル型ジョセフソン素子で、良好な素子特性が得
られるよう、微小接合とし、実用的な超伝導臨界電流値
を持つものとすると、接合抵抗は100オームのオーダ
ーになり、また一方、弱結合型や常伝導体を用いた積層
型ジョセフソン素子では、素子抵抗は50オームより小
さいものが多い。本発明はこれら超伝導素子のうち、図
1〜2に示したような伝送線路中を伝搬している高周波
電力の超伝導素子部分での反射を最小にするインピーダ
ンス整合部を設けたものである。前記したように、この
インピーダンス整合部は、酸化物超伝導体と金属の接合
構造、あるいは酸化物超伝導体と酸化物の接合構造で提
供され、超伝導素子の抵抗値は、超伝導素子の設計デザ
イン(面積、素子構成など)で変化するため、それに併
せて抵抗成分となる接合部の面積、あるいは金属材料、
酸化物材料の組成、接合作製時の酸化物表面処理方法な
どを変化させ全体として設計した抵抗値となるように調
節する。実用的には金属材料の組成、酸化物超伝導体と
の接合構造作製プロセスあるいは表面処理方法は同一に
し、接合面積により抵抗値の調整をする方法が簡便であ
る。特にこの方法では、高周波回路装置作製後、抵抗値
のずれを、接合面積のトリミングにより調整できる利点
を有している。
【0025】なお図1〜2では特性インピーダンスが5
0オームのコプレーナ線路として記述しているが、他の
平面回路(マイクロストリップ線路、ストリップ線路
等)、同軸線路でも本発明の意図する本質は変わらな
い。現実の装置構成では、外部回路と本発明の高周波回
路装置間は同軸線路で接続し、高周波回路基板上では平
面回路とするのが実際的である。また図1〜2では、接
合構造で実現できる抵抗成分は、任意であり伝送線路中
で設計された任意の抵抗値のコンポーネントとしても用
いることができる。また直流的に接地している図である
が、高周波的には容量結合で接地しても良い。さらに本
発明は抵抗成分に酸化物超伝導体と金属との接合構造、
あるいは酸化物超伝導体と酸化物の接合構造を含むこと
が基本であり、他の容量性、誘導性のコンポーネントと
組み合わせ伝送線路の伝送特性を最適化(マッチング回
路を構成)することも可能である。
【0026】本発明をさらに具体的実施例を用いて説明
する。
【0027】(実施例1) 図3は、本実施例の高周波回路装置の概念平面図であ
る。伝送線路はPt薄膜よりなるコプレーナ型伝送線路
2であり、Bi系酸化物超伝導体を用いた積層型のジョ
セフソン素子3(例えば参考文献:Koichi Mizuno 他 I
EICE Trans.Electron., Vol.E75-C,935-942, 1992 に記
載)を集積化したものである。7はフッ化カルシウムか
らなる層間絶縁膜(厚さ:0.6μm)である。ジョセ
フソン素子3は接地面(酸化物超伝導体薄膜)4の上に
形成され、さらにその上にコプレーナ型伝送線路2と直
流バイアス線5が形成されている。層間絶縁膜7は、コ
プレーナ型伝送線路2と接地面(酸化物超伝導体薄膜)
4の間を電気的に絶縁するとともに、コプレーナ型伝送
線路2と直流バイアス線5の間も電気的に絶縁してい
る。この高周波回路装置は、伝送線路を伝搬する異なる
2つの高周波(局部発振電力と信号電力)から、その差
の周波数あるいは和の周波数を取り出す周波数変換機能
(ミキシング動作)を示すものである。これらの機能は
それぞれダウンコンバート、アップコンバートと呼ば
れ、ジョセフソン素子の電流電圧特性の非線形性を利用
している。50オームに設計した高周波伝送線路と素子
抵抗が50オームより小さいジョセフソン素子とを効率
良く結合し、高周波信号と超伝導素子の結合を効率的に
するため、あるいは周波数変換後の高周波を効率よく外
部に取り出すために、伝送線路と接地間にジョセフソン
素子を挿入した回路構成とした。このタイプのジョセフ
ソン素子のインピーダンスは0.1オームから1オーム
と小さいため、従来の同様の装置では超伝導素子、伝送
線路間にチップ抵抗を接続する必要があった。本発明者
らは、この従来方法におけるチップ抵抗に対して、伝送
線路とジョセフソン接合の電極である酸化物超伝導体と
の接合構造を抵抗とする装置構成を見出した。本実施例
では、接合作製プロセス中、超伝導薄膜の保護層及び電
極として導入したPt薄膜と、Bi系酸化物超伝導体と
の接点に生じる接触抵抗で抵抗成分を実現している。な
お、参考文献に示したように保護層はBi形酸化物超伝
導薄膜作製後、同一真空中で成膜しており、Bi系酸化
物超伝導薄膜表面の状態、Ptの保護層との界面状態は
良好で、接触抵抗の再現性も高いものとなっている。
【0028】一方、この接触抵抗の絶対値は伝送線路と
接合の接する面積で制御可能であり、超伝導素子の接合
抵抗に応じて任意に設定できた。また高周波回路装置形
成後、イオンエッチング、レーザーエッチング等のトリ
ミング法でPtとBi系酸化物超伝導体との接合面積を
修正することで整合抵抗値を変化させ、高周波特性を改
善することができた。さらに高周波回路装置の動作とし
ては、低温に冷却し酸化物超伝導体を超伝導状態にした
際、20GHz帯での良好なミキシング動作(ダウンコ
ンバート)を確認した。なおこの動作はより高周波でも
可能であった。
【0029】(実施例2) 図4は、本実施例の高周波回路装置の電気回路図であ
る。この実施例はジョセフソン素子アレイを用いたジョ
セフソン発振器を設計した例である。基板は厚み0.5
mmのMgO単結晶を用い、伝送線路はAu薄膜よりな
るマイクロストリップ型伝送線路とした。従って基板裏
面全面にAu薄膜を形成し接地面を形成している。超伝
導素子は、いわゆる123構造のY系酸化物超伝導体を
用いたステップエッジ型のジョセフソン素子(参考文
献:Yoshito Fukumoto 他 Jpn .J.Appl.Phys.30(1991)3
907-3910 で報告されているものと同様の構造)であ
り、基板表面に加工した段差を利用して素子を形成して
いる。この素子構造は接合を直列あるいは並列にアレイ
化するのに適した素子構造であり、図4に示すように本
実施例は10個のジョセフソン素子3を直列に形成し、
ジョセフソン発振器として動作するよう設計したもので
ある。この発振電力を有効に外部に取り出すためには、
素子のインピーダンスを50オームとする必要がある。
直列にする素子数を増しインピーダンスを大きくするこ
とが一つの方法ではあるが、通常単一の素子では1オー
ム以下の素子抵抗となり、また素子特性の再現性がそれ
ほど良くないため、多数直列接続することは現実的でな
く、外部でのインピーダンス整合が必要である。本実施
例では、伝送線路のAu電極とY系酸化物超伝導体の接
合構造で抵抗22を直列に挿入し、さらにスタブを適宜
配置し、設定周波数帯域でのインピーダンス整合を改善
し、高周波伝送特性の向上を確認した。
【0030】(実施例3) 本実施例は、Bi系酸化物超伝導体を用いた積層型ジョ
セフソン素子を用いた高周波回路をミキシング動作用に
設計したものである。伝送線路はPtとAuの2層の薄
膜よりなるマイクロストリップ型伝送線路であり裏面に
Auの接地面を配した、特性インピーダンスが50オー
ムの伝送線路として設計した。あらかじめ伝送線路に挿
入される超伝導素子のインピーダンスを仮定して、スタ
ブ、ラディアルスタブを配しインピーダンス整合回路を
形成し回路用マスクを作製した。素子特性の設計変更に
際して、また、伝送線路に挿入される超伝導素子インピ
ーダンスが0.1オームから1オームと小さく、またロ
ット間で若干変動するのに対応するため、超伝導素子と
伝送線路間の接合抵抗をトリミングすることにより、同
一のマスクパターンを用いたプロセスで作製された回路
においても簡便に良好な特性を示す高周波回路装置を作
製できた。トリミングはイオンエッチング、レーザーエ
ッチング等のトリミング法で接合面積を修正することで
実現した。整合回路中の抵抗の絶対値はPt/Au薄膜
とBi系酸化物超伝導体との接する面積で制御可能であ
り、超伝導素子の接合抵抗に応じて任意に設定できた。
【0031】(実施例4) 本実施例4は、ジョセフソン素子を伝送線路中に挿入し
た周波数変換回路(ミキシング回路)のインピーダンス
整合回路についてである。伝送線路は酸化物超伝導体薄
膜の伝送線路を用いたコプレーナ型であり、超伝導素子
はBi系酸化物超伝導体あるいはY系酸化物超伝導体を
用いたエッジ接合型ジョセフソン素子で形成した。図2
のような等価回路としたが、超伝導素子の一方の電極は
接地面に接しなくてはならない。伝送線路は超伝導素子
の超伝導電極と共通でありその上部にPrBaCuO薄
膜、Y系超伝導薄膜の2層構造、あるいはBi系220
1構造か希土類置換の2212構造のBi系酸化物、さ
らにBi系酸化物超伝導体を積層し、この中間層を抵抗
体として抵抗成分を形成した。この中間層(抵抗体)に
接して接地面とを酸化物超伝導体で接続することで良好
な回路特性が得られた。この構成では伝送線路が超伝導
体であり高周波抵抗成分が非常に小さくなるため高周波
的に伝送損失が小さくなるほか周波数分散が小さくなる
などの利点が多い。さらに抵抗値を中間層の組成や膜厚
を変化させることで調整できるという製造上の利点もあ
る。なお、接合部分の面積で抵抗値を調整できること
や、製造後接合面積をトリミングできる利点も同じくあ
てはまる。
【0032】
【発明の効果】酸化物超伝導体は高周波応用に際し非常
に低損失である利点がある。酸化物超伝導体を伝送線路
や、超伝導高周波素子に利用する高周波回路素子でも、
従来通常の高周波回路で用いられていた抵抗素子が必要
である。本発明のような、酸化物超伝導体と、金属材料
の接合構造、あるいは酸化物超伝導体と酸化物材料の接
合構造を用いると、酸化物超伝導体を用いた高周波回路
で、実用的な抵抗素子を形成できる効果がある。特にこ
の発明は、単一の基板上に、酸化物超伝導体を用いた超
伝導素子、酸化物超伝導体を用いた伝送線路、あるいは
金属伝送線路を用いた伝送線路を形成するモノリシック
的な超伝導高周波回路技術で有効性が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る一実施例の高周波回路装置の概
念平面図(a)と、電気的等価回路(b)である。
【図2】 本発明に係る一実施例の高周波回路装置の概
念平面図(a)と、電気的等価回路(b)である。
【図3】 本発明に係る実施例1の概略平面図である。
【図4】 本発明に係る実施例2の電気的回路図であ
る。
【符号の説明】
1 基板 2 コプレーナ型伝送線路 3 ジョセフソン素子 4 接地面(酸化物超伝導体薄膜) 5 直流バイアス線 6 電源 7 層間絶縁膜 20 超伝導素子 21 伝送線路 22 抵抗
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−246601(JP,A) 特開 平4−315305(JP,A) 特開 平2−91985(JP,A) 特開 平5−90651(JP,A) 特開 平4−302179(JP,A) 特開 平5−343754(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 39/22 - 39/24 H01L 39/00 H01P 3/02 H01C 7/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高周波伝送線路と、酸化物超伝導体より
    なる超伝導素子と、酸化物超伝導体と、金属材料との接
    合構造よりなる抵抗素子を含む高周波回路において、前
    記金属材料がAu、Ag、Pt、Cu、In、Sn、M
    o、Al、PbおよびNbから選ばれる少なくとも一つ
    の金属もしくはこれら材料を含む合金であることを特徴
    とする高周波回路装置。
  2. 【請求項2】 高周波伝送線路と、酸化物超伝導体より
    なる超伝導素子と、酸化物超伝導体と酸化物との接合構
    造よりなる抵抗素子を含む高周波回路において、前記酸
    化物材料がRuO 2 であることを特徴とする高周波回路
    装置。
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