JP3301090B2 - 非線形超伝導素子 - Google Patents

非線形超伝導素子

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は超伝導応用技術に関し、
特に非線形超伝導素子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、超伝導素子といえば、弱結合型ジ
ョセフソン素子、トンネル接合型ジョセフソン素子、超
伝導体の超伝導遷移を利用するボロメータ等があった。
【0003】一方、近年発見された酸化物超伝導体の中
には、その超伝導遷移温度が液体窒素温度(77.3
K)を越えるものがあり、超伝導体の応用分野を大きく
広げることとなった。
【0004】その実用化の一つである超伝導素子につい
て、酸化物超伝導体を二つに割り、再びわずかに接触さ
せたジョセフソン素子、酸化物超伝導体を薄膜にし、小
さなくびれをつけたブリッジ型ジョセフソン素子、酸化
物超伝導体間をAu、Ag等の貴金属で接続したジョセ
フソン素子等、すべて弱結合型のジョセフソン素子とし
て試作されている。
【0005】
【発明が解決しようとしている課題】従来試作されてい
る超伝導素子、つまり弱結合型のジョセフソン素子、ト
ンネル接合型ジョセフソン素子等とは異なり、非線形性
が強く、他の新たな応用が可能な、新しい特性の超伝導
素子が望まれていた。
【0006】一方、酸化物超伝導体を用いた弱結合型の
ジョセフソン素子の電流電圧特性上の非線形領域は、電
圧軸上の0マイクロボルトから数百マイクロボルト程度
の低電圧領域であった。そのため例えば特性インピーダ
ンスの大きな周辺外部回路等との間で、インピーダンス
のミスマッチが大きいという課題があった。
【0007】さらに、弱結合型のジョセフソン素子の電
磁波への応答を利用するジョセフソンミキサーでは、電
磁波の周波数の選択性がほとんどなく、特に通信の分野
ではある特定の周波数にのみ応答できないという課題が
あった。
【0008】また、超伝導体自体を用い、赤外線領域の
電磁波に対してボロメトリックに応答させる素子では、
超伝導体の超伝導臨界温度付近でしか応答せず、雑音等
に起因する環境温度のゆらぎで、その動作が多大な影響
を受るという課題があった。また、動作温度の範囲が、
超伝導体の超伝導臨界温度付近のごく限られた狭い部分
であるという課題もあった。
【0009】また、超伝導集積回路の分野では、回路の
温度上昇をモニターしたいという要望があるが、従来の
白金センサーなどは、低温で温度分解能が低くなり、超
伝導回路には不向きであった。また、シリコンダイオー
ド、ゲルマニウム抵抗、カーボン抵抗などを用いたセン
サーは、低温での温度分解能は高いが、超伝導体と集積
化することが難しく、また低温での回路とセンサー間の
熱伝導をよくしなければ、正確な温度測定ができない、
などの課題があった。
【0010】本発明は、特性が安定で、しかも大きな素
子抵抗を有する非線形性の強い超伝導素子を提供するこ
とを目的とする。また、本発明は先の目的に加えて、特
定の周波数に応答する非線形超伝導素子を提供すること
も目的の一つである。さらに超伝導体の臨界温度以下よ
り、低温の広い温度領域で電磁波に応答する超伝導素子
を提供することを目的とする。さらに、超伝導体、ある
いは超伝導回路と、集積化が可能で、その超伝導体、あ
るいは超伝導回路の温度を正確にモニターできる超伝導
素子を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、超伝導体より
なるA電極およびB電極と、そのA電極、およびB電極
に接し、かつその抵抗率が温度に対して負の依存性を有
するチャネル層より構成される非線形超伝導素子によっ
て、かかる従来の課題を克服した。
【0012】
【作用】本発明は、超伝導体よりなるA電極およびB電
極と、そのA電極、およびB電極に接し、かつその抵抗
率が温度に対して負の依存性を有するチャネル層より超
伝導素子を構成することによって、弱結合型のジョセフ
ソン素子にくらべ、非線形性の強い超伝導素子、異なる
機能を持つ素子を構成した。
【0013】この構成を有することによって、何れか一
方の超伝導電極の超伝導遷移温度以下の温度において、
超伝導素子の電流電圧特性に負性抵抗特性が現出でき
る。この負性抵抗が現出する原因については定かではな
いが、超伝導素子を流れる電流によって、チャネル層温
度が局部的に上昇し、素子抵抗が低下するためと想定さ
れる。この負性抵抗特性のため、従来の弱結合型のジョ
セフソン素子にくらべ、非線形性が強く、またその負性
抵抗特性を用い、反転増幅素子、周波数変換素子、発信
素子を構成できる。
【0014】また、本発明に用いたチャネル層のよう
に、抵抗率が温度に対して負の依存性を有する材料は、
例えばホッピング伝導性の材料であり、通常抵抗率が大
きく、このため素子抵抗が大きなものとなる。このこと
により、本発明の非線形超伝導素子は、例えば特性イン
ピーダンスの大きな周辺外部回路等との間でも、インピ
ーダンスのマッチングがとり易くなる。
【0015】
【実施例】本発明は、超伝導体を一対の電極とし、この
両電極の間に、抵抗率が温度に対して負の依存性を有す
るチャネル層を設けた構造を有する非線形超伝導素子に
関し、両電極の超伝導体のどちらか一方の超伝導遷移温
度以下の温度において、本発明の超伝導素子の電流電圧
特性上に負性抵抗特性を示す領域を有することで、非線
形性の効果を顕著に示すものである。
【0016】本発明の非線形超伝導素子に供される超伝
導体としては、例えばニオブ、窒化ニオブ、鉛、アルミ
ニウム等の金属超伝導体、例えばY−B−Cu−O系、
Tl−Ba−Cu−O系、Bi−Sr−Ca−Cu−O
系等のいわゆる酸化物超伝導体でもよく、超伝導材料は
特に選ばないが、特に、主として2212相のBi系酸
化物超伝導体(Bi1-yPby2−Sr2−Ca1−Cu2
−Ox(ただし0≦y<0.5、xは任意)、もしくは主とし
て2223相のBi系酸化物超伝導体(Bi1- yPby
2−Sr2−Ca2−Cu3−Ox(ただし0≦y<0.5、xは
任意)の内何れか1種を用いると、素子作製が容易で、
基板上への積層化、他の酸化物超伝導体素子との集積
化、動作温度範囲の拡張、動作温度の上昇等、様々な利
点があるため好ましい。
【0017】またチャネル層の材料には、抵抗率が温度
に対して負の依存性を有する材料であれば、シリコン、
ゲルマニウム、炭素等の半導体材料、酸化物材料、窒化
物材料等でも良いが、特に、主として2212相の酸化
物(Bi1-yPby2−Sr2Ln 1−Cu2−O
x (ただし0≦y<0.5、xは任意、LnはY、およびラン
タノイド元素のうち少なくとも一つをさす)を用いる
と、抵抗率が高くでき、良好な非線形超伝導素子を構成
できるため好ましい。特にA、B両電極、およびチャネ
ル層とするBi系酸化物を、基板表面に対してその結晶
のc軸が垂直に配向するように成膜することにより、そ
のa、b各結晶方位の格子定数がほぼ一致するために良
好な結晶性を有し、A、B両電極において、より良好な
超伝導特性をもつ薄膜を実現できるため望ましい。
【0018】したがって、超伝導電極材料とチャネル層
材料とにこの組み合わせを用いると、素子作製が容易
で、基板上への積層化、他の酸化物超伝導体素子との集
積化、動作温度範囲の拡張、動作温度の上昇、チャネル
層としては、抵抗率が高くでき、良好な非線形超伝導素
子を構成できる等様々な利点がある。
【0019】また、本発明の非線形超伝導素子は、
(1)非線形超伝導素子の超伝導電極をアンテナ状の構
成とし、しかもチャネル層近傍の、超伝導電極をチャネ
ル層程度の幅にパターニングし、電流電圧特性の変化
で、外部から照射された電磁波の中のある特定の周波数
を計測する素子、または、(2)非線形超伝導素子のチ
ャネル層付近の超伝導電極の一部に、多数の結晶粒界を
含む多結晶薄膜設け、電流電圧特性の変化で、電磁波、
特に数ギガヘルツ以上の高周波の電磁波を計測する素
子、あるいは、(3)非線形超伝導素子の超伝導体の一
部が、他の超伝導体、あるいは超伝導素子、あるいは超
伝導体を構成要素に含む超伝導回路の一部に接触する
か、あるいは一部を共有するように集積化して設置し、
電圧電流特性の変化で、接している超伝導体、超伝導素
子、あるいは超伝導体を構成要素に含む超伝導回路の温
度を計測する素子、の形態で、様々な応用化ができる。
【0020】すなわち、(1)の構成により、アンテナ
形状に依存する周波数の電磁波を吸収し、その吸収した
電磁波のエネルギーによって超伝導体の温度が上昇し、
超伝導素子の特性が変化する。このときチャネル層近傍
の超伝導体を細くパターニングすると、チャネル層部分
の熱伝導が一次元的になり、より効果的に電磁波に対し
応答する。また、アンテナの形状により、その超伝導素
子が電磁波の周波数選択性をもち、ある特定の周波数に
のみ応答する。
【0021】また、(2)の構成にすることにより、数
ギガヘルツから赤外線領域の周波数の電磁波に対し、そ
れら各々のジョセフソン結合の状態が変化し、多数の結
晶粒界を含む多結晶薄膜の熱伝導特性が変化し、それに
よって超伝導素子の特性が変化する。また、この効果
は、超伝導体の遷移温度から、極低温までの広い温度範
囲で起こる。このことにより、従来の超伝導体を用いた
赤外線ボロメータの持っていた、赤外線領域の電磁波に
対してボロメトリックに応答するものの、超伝導体の超
伝導臨界温度付近でしか応答せず、環境温度のゆらぎに
よる雑音が大きいこと、また、動作温度の範囲が、超伝
導体の超伝導臨界温度付近のごく限られた狭い部分であ
るという課題を解決した。
【0022】さらにまた、(3)の構成にすると、他の
超伝導体、超伝導素子、超伝導回路の温度と、本第1の
発明の超伝導素子との温度が同一となり、本第1の発明
の超伝導素子の特性変化によって、接触している超伝導
集積回路等の温度モニターが出来る。なお、超伝導体同
士を直接接触、あるいは一部を共有して集積化している
ため、熱伝導が超伝導体を介しておこなわれ、効率よく
温度計測が出来る。これにより、従来の白金センサーが
持っていた、低温で温度分解能が低くなるという課題、
また、シリコンダイオード、ゲルマニウム抵抗、カーボ
ン抵抗などを用いたセンサーが持っていた、低温での温
度分解能は高いが、超伝導体と集積化することが難し
く、また低温での回路とセンサー間の熱伝導をよくしな
ければ、正確な温度測定ができない、などの課題を解決
した。
【0023】なお、本発明の非線形超伝導素子の基板材
料としては、MgO等通常の基板材料が供される。
【0024】また、本発明の非線形超伝導素子の形成方
法としては、スパッタ法、抵抗加熱蒸着法等通常の薄膜
形成方法が供される。
【0025】以下に具体的実施例を挙げて、本発明をよ
り詳細に説明する。 (実施例1)図1は本発明の非線形超伝導素子の一実施
例を作製するプロセス図である。まず、図1(a)に示
したように、(100)MgO基板を基体3に用い、r
fマグネトロンスパッタリング法によって、主として2
212相の酸化物超伝導体を含むBi系酸化物超伝導体
Bi2−Sr2−Ca1−Cu2−Ox(ただしxは任意)
が堆積するように調整した酸化物粉末のターゲットを用
い、厚さ300nmのA電極1を堆積させた。ひき続き
同一真空中において、主として2212相のBi系酸化
物Bi2−Sr2−Nd1−Cu2−Ox(ただしxは任
意)が堆積するように調整した酸化物粉末のターゲット
よりチャネル層2を厚さ11nm堆積させた。
【0026】さらに図1(b)に示したように、B電極
4となる2212相の酸化物超伝導体を含むBi系酸化
物超伝導体Bi2−Sr2−Ca1−Cu2−Ox(ただ
し、xは任意)が堆積するように調整した酸化物粉末の
ターゲットを用いて、B電極4を200ナノメータ堆積
させ、最後に表面保護層5としてのPtを60nm堆積
させた。
【0027】ただし基板温度は表面保護層5のPtの堆
積を除き、いずれの場合も650℃である。表面保護層
5は、室温で堆積した。
【0028】その後、ネガレジスト6を用いたフォトリ
ソグラフィーおよびイオンミリングによりにより、図1
(c)に示したように、チャネル層2、B電極4、およ
び表面保護層5をトンネル接合形状にパターニングし
た。
【0029】その後、図1(d)に示したように、ネガ
レジスト6を除去せずに、電極間分離層7として250
ナノメータのCaF2を真空蒸着により堆積後、図1
(e)に示したようにトリクロロエタンによる超音波洗
浄、およびO2ガスプラズマ処理(1トール、13.5
6MHz、400W)によるリフトオフ法で表面保護層
5を露出させた。
【0030】最後に、全面にコンタクト電極8用に、P
t150nmを堆積させ、ネガレジストを用いたフォト
リソグラフィーおよびイオンミリングによりによりB電
極の一部に接触させたコンタクト電極8を形成し、図1
(f)に示したような非線形超伝導素子を完成させた。
【0031】図2は本超伝導素子作製に用いたチャネル
層の抵抗率の温度依存性である。低温において急激に増
化し、温度に対して負の依存性を示している。ここでB
SNCO(2212)、BSECO(2212)は、そ
れぞれ、Bi2−Sr2−Nd 1−Cu2−Ox(ただし、
xは任意)、Bi2−Sr2−Er1−Cu2−Ox(ただ
し、xは任意)を表わし、BSNCO(2201)、B
SECO(2201)は、それぞれ、Bi系2201構
造の、Bi−Sr−Nd−Cu−O、Bi−Sr−Er
−Cu−Oを表わす。
【0032】図3に、この超伝導素子の温度を変えて測
定した電流電圧特性の一例を示す。特性上に強い非線形
性が確認され、低温にするにつれ負性抵抗領域が見ら
れ、非線形性が大きくなっていることを示している。ま
た、温度変化に対して、特に負性抵抗が現われる付近で
の特性が大きく変化した。素子抵抗は、従来作製された
同様の形状のジョセフソン素子よりも大きなものであ
り、外部回路とのインピーダンスマッチングに有利であ
った。
【0033】(実施例2)図4に本発明の非線形超伝導
素子の別の実施例の概略図を示す。また図5(a)に、
中心部分を拡大した上面図、また図5(b)にその断面
図を示す。本実施例では実施例1の非線形超伝導素子の
A電極をボウタイアンテナ9形状とし、その中央部を幅
10μm、長さ100μmに加工し、その中央部分に1
0μm角の非線形超伝導素子を形成した。
【0034】まず、実施例1と同様に、(100)Mg
O基板3上にA電極1、チャネル層2、B電極4、表面
保護層5をrfマグネトロンスパッタリングで成膜した
多層膜を用い、ネガレジストを用いたフォトリソグラフ
ィーと、イオンミリングによって、A電極1も含め中心
部分が幅10μm、長さ100μmにくびれた、ボウタ
イアンテナ9形状を作製した。その後、実施例1と同様
の手法で、ボウタイアンテナ9中心部に10μm角の非
線形超伝導素子を作製し、素子を完成させた。なお、A
電極1およびB電極4の材料には(Bi0.6Pb0.42
−Sr2−Ca2−Cu3−Ox(ただし、xは任意)を用
い、チャネル層2、表面保護層5等の材料は、実施例1
と同一である。
【0035】このようにして作製した非線形超伝導素子
に様々な周波数の電磁波を照射したところ、アンテナ形
状、サイズに依存する特定の周波数の電磁波を吸収し、
超伝導素子の電流電圧特性が変化した。また、この変化
は、その吸収した電磁波のエネルギーによって超伝導体
の温度が上昇し、超伝導素子の特性が変化することによ
って説明される。このことを利用して、各種のアンテナ
形状、サイズで、ある特定の周波数の電磁波に対して、
選択的に本実施例の非線形超伝導素子が応答した。さら
に、この応答は、非線形超伝導素子の負性抵抗部分で顕
著であった。
【0036】(実施例3)図6に本発明の非線形超伝導
素子の別の実施例の概略図を示す。また、図7(a)
に、本実施例の非線形超伝導素子部分を拡大した上面
図、図7(b)にその断面図を示す。本実施例では実施
例1と同様にして、(100)MgO基板3上にA電極
1、チャネル層2、B電極4、表面保護層5をrfマグ
ネトロンスパッタリングで成膜した多層膜を用い、ネガ
レジストを用いたフォトリソグラフィーと、イオンミリ
ングによって、表面保護層5、B電極4、チャネル層2
を非線形超伝導素子となる接合形状に形成した。ただ
し、A電極1およびB電極4の材料は、主として222
3相の酸化物超伝導体の(Bi0.9Pb0.12−Sr2
Ca 2−Cu3−Ox(ただし、xは任意)である。
【0037】次にその接合形状の近傍のA電極1の部分
に、酸素雰囲気中で赤外線レーザ光線を照射し、結晶化
温度以上に加熱し、多くの結晶粒界10を形成した。そ
の後、電極間分離層7、コンタクト電極8を形成し、超
伝導素子を構成した。ここで形成したA電極1上の結晶
粒界10は、各々相互にジョセフソン結合を形成してい
た。
【0038】このようにして作製した超伝導素子を冷却
し、A電極1に赤外線を照射したところ、超伝導素子の
電流電圧特性が変化した。また、数十ギガヘルツの電磁
波に対しても応答した。この応答は、超伝導素子を構成
する超伝導体の超伝導遷移温度より低温全域で観測し
た。また、従来の超伝導体を用いたボロメータでは、超
伝導体の超伝導遷移温度付近でしか応答しなかったが、
本発明の非線形超伝導素子の特性変化は、超伝導遷移温
度より十分低温の方が大きく、また雑音も少なく安定で
あった。さらに、この応答は非線形超伝導素子の負性抵
抗部分で顕著であった。
【0039】(実施例4)図8に本発明の非線形超伝導
素子の他の実施例の概略図を示す。また、図9(a)
に、本実施例の非線形超伝導素子部分を拡大した上面
図、図9(b)にその断面図を示す。実施例1と同様に
して、(100)MgO基板3上にA電極1、チャネル
層2、B電極4、表面保護層5をrfマグネトロンスパ
ッタリングで成膜した多層膜を用い、ネガレジストを用
いたフォトリソグラフィーと、イオンミリングによっ
て、表面保護層5、B電極4、チャネル層2を非線形超
伝導素子となる接合形状を複数個形成した。ただし、A
電極1およびB電極4の材料は、主として2212相の
酸化物超伝導体のBi2−Sr2−Ca1−Cu2−O
x(ただし、xは任意)である。
【0040】形成した多数の接合は、実施例1で述べた
非線形超伝導素子であるが、その多数の接合の内、ひと
つは温度計測用の超伝導素子として、また他の接合はそ
れぞれ並列に抵抗で接続し、磁場応答を調べるための超
伝導回路11として、電極間分離層7、コンタクト電極
8を形成し、非線形超伝導素子、および超伝導回路11
を構成した。ここで形成した非線形超伝導素子と、超伝
導回路はA電極1を共通としており、超伝導回路11の
動作による温度変化によって、非線形超伝導素子の特性
が変化した。また、超伝導回路11で発生した熱は、主
として超伝導体、ここではA電極1を伝導するため、A
電極1の回路部分と、非線形超伝導素子のA電極1との
温度差はなく、良好な温度モニタができた。
【0041】なお、各発明の実施例では、チャネル層の
材料として(Bi1-yPby)2−Sr2−Nd1−Cu2−
Ox(ただし0≦y<0.5、xは任意)を用い説明したが、
主として2212相の下記酸化物(Bi1-yPby2
Sr2Ln 1−Cu2−Ox(ただし0≦y<0.5、xは任
意、LnはY、およびランタノイド元素のうち少なくと
も一つをさす)のうち一種を用いても、同様に抵抗率が
温度に対して負の依存性を有する特性をもち、良好な負
性抵抗特性を示す非線形超伝導素子が作製できた。ま
た、このことは、抵抗率が温度に対して負の依存性を有
する材料であれば、何でも良いことは言うまでもない。
【0042】さらに実施例としては酸化物超伝導体を用
いたが、金属超伝導体でも同様な非線形超伝導素子が形
成できることは言うまでもない。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、超伝導体よりなる
A電極およびB電極と、そのA電極、およびB電極に接
し、かつその抵抗率が温度に対して負の依存性を有する
チャネル層より超伝導素子を構成することによって、ど
ちらか一方の超伝導体の超伝導遷移温度以下の温度にお
いて、電流電圧特性上に負性抵抗特性が現れ、この非線
形性を用いると、反転増幅素子、周波数変換素子、発信
素子を構成できる効果がある。
【0044】また、本発明に用いたチャネル層のよう
に、抵抗率が温度に対して負の依存性を有する材料は、
抵抗率が大きく、素子抵抗が大きなものとなり、特性イ
ンピーダンスの大きな周辺外部回路、あるいは室温の回
路との間で、インピーダンスのマッチングがとり易くな
る効果がある。
【0045】さらに、本発明の非線形超伝導素子を超伝
導電極をアンテナ状の構成とし、またチャネル層近傍の
超伝導体をチャネル層程度の幅にパターニングすると、
アンテナ形状に依存し、選択的周波数の電磁波に応答す
る超伝導素子を構成できる効果がある。
【0046】また、本発明の超伝導素子のチャネル層の
近傍の超伝導体を、ジョセフソン結合をした多数の結晶
粒界を含む多結晶薄膜とすることによって、数ギガヘル
ツから赤外線領域の周波数の電磁波に応答する超伝導素
子を形成できる効果がある。この動作は、低温で顕著で
あり、動作温度のマージンを大きくできる効果がある。
【0047】さらにまた、本発明の超伝導素子を用い、
その超伝導素子の一部を、他の超伝導体、超伝導素子、
あるいは超伝導回路と共有させるか、接触させると、本
発明の超伝導素子の特性変化によって、他の超伝導体、
超伝導素子、超伝導回路の温度を正確に計測する超伝導
素子を形成できる効果がある。
【0048】現在電気通信の分野では、自動車電話の普
及、デジタル画像情報の伝送、情報ネットワークの普及
などにより、大量の信号を伝達する手段として、より高
周波を用いた通信手段が望まれていた。本発明による超
伝導素子は、従来使用できなかった高周波の電波の信号
処理、検知に利用できるため、これら電気通信分野の電
波周波数の利用範囲を拡大できる。さらに高感度である
ため、電波障害の問題も低減出来る可能性がある。ま
た、他の超伝導集積回路の温度を簡単に、しかも集積さ
れた一つの素子で計測でき、超伝導集積回路の誤動作防
止に利用できる。これらの点で本発明の実用的効果は、
電気情報通信分野で大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の非線形超伝導素子の一実施例の作製工
程図であり (a)はA電極上にチャネル層を形成する工程 (b)はB電極上に表面保護層を形成する工程 (c)はトンネル接合形状にパターニングした工程 (d)は電極間分離層を形成する工程 (e)はリフトオフ工程 (f)はコンタクト電極形成工程
【図2】本発明の非線形超伝導素子の一実施例のチャネ
ル層の材料の抵抗率の温度依存性
【図3】本発明の非線形超伝導素子の一実施例の電流電
圧特性図
【図4】本発明の非線形超伝導素子の別の実施例の概略
【図5】(a)は本発明の非線形超伝導素子の別の実施
例の要部拡大上面図 (b)は本発明の非線形超伝導素子の別の実施例の要部
拡大断面概略図
【図6】本発明の非線形超伝導素子の他の実施例の概略
【図7】(a)は本発明の非線形超伝導素子の他の実施
例の要部拡大上面図 (b)は本発明の非線形超伝導素子の他の実施例の要部
拡大断面概略図
【図8】本発明の非線形超伝導素子の別の実施例の概略
【図9】(a)は本発明の非線形超伝導素子の別の実施
例の要部拡大上面図 (b)は本発明の非線形超伝導素子の別の実施例の要部
拡大断面概略図
【符号の説明】
1 A電極 2 チャネル層 3 基体 4 B電極 5 表面保護層 6 ネガレジスト 7 電極間分離層 8 コンタクト電極 9 ボウタイアンテナ 10 結晶粒界 11 超伝導回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 市川 洋 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−21677(JP,A) 特開 平2−134881(JP,A) 特開 昭63−148689(JP,A) 特開 昭64−89475(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 39/22 H01L 39/24 H01L 39/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超伝導体よりなるA電極およびB電極
    と、前記A電極、および前記B電極に接するチャネル層
    より構成され、前記チャネル層の抵抗率が温度に対して
    負の依存性を有し前記A電極と前記B電極間に負性抵抗
    特性を示す超伝導素子であって、少なくともA電極また
    はB電極の一部が、超伝導素子の一部、あるいは超伝導
    体を構成要素に含む超伝導回路の一部に接触または共有
    し、前記超伝導体、あるいは前記超伝導回路の温度を計
    測することを特徴とする非線形超伝導素子。
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