JP2907094B2 - 超電導トランジスタ - Google Patents

超電導トランジスタ

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JP2907094B2 JP8023660A JP2366096A JP2907094B2 JP 2907094 B2 JP2907094 B2 JP 2907094B2 JP 8023660 A JP8023660 A JP 8023660A JP 2366096 A JP2366096 A JP 2366096A JP 2907094 B2 JP2907094 B2 JP 2907094B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高速デジタル回路、
アナログデータ処理回路、センサ回路装置、微小磁場信
号検出装置等の超電導回路装置、即ち超電導性を用いる
ことにより特有の性能を発揮する超電導エレクトロニク
スの分野にかかわり、とくに高速で低消費電力性能を有
する超電導素子の素子構造および製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来の電界効果によって動作する超電導
トランジスタには2種類の構造がある。第1の超電導ト
ランジスタは図2に示されるように、超電導薄膜をチャ
ネル層として用いるものである。とくに酸化物超電導材
料は金属超電導材料と比較してキャリア濃度が低いの
で、酸化物超電導薄膜をチャネル層とした超電導トラン
ジスタが作製され、ゲート電圧による臨界温度や臨界電
流密度等の超電導特性、さらには抵抗等の常伝導特性の
変調が得られている。
【0003】第2の超電導トランジスタは図3に示され
るように、従来の半導体電界効果トランジスタの、ソー
スおよびドレイン電極に超電導材料を用いたものであ
る。この超電導トランジスタでは、チャネルに常伝導材
料を用いても、近接効果によってチャネルを介してソ−
スとドレイン電極間に超電導電流が流れる。この超電導
電流の大きさをゲート電圧によって制御する。
【0004】ところで近年、チャネル層を超電導体で形
成し且つその厚さを薄くした超電導トランジスタ(超電
導電界効果型素子)が、例えば特開平4−116875
号公報、特開平5−291637号公報、及び特開平6
−13667号公報にて発表されている。特開平4-116
875号公報は、キャリア密度の低い酸化物超電導体をチ
ャネルに用いる超電導デバイスに関し、完全なオン/オ
フ動作を達成するにはチャネルの厚さ即ち、ゲート電極
からの電界が印加されるチャネルの厚さ(深さ)を5n
m程度にすべきであることを開示する。その根拠は、特
開平5−291637号公報の従来技術の欄において次
のように記されている(図19参照)。ゲート電極20
6により超電導チャネル202に電界が印加されると超
電導チャネル202中の超電導粒子(クーパ対)がゲー
ト電極206から離れるように押しやられ、超電導粒子
の存在しない(超電導チャネルに形成される)空乏層中
の空間電荷と、ゲート電極206とゲート絶縁膜205
との間の電荷とが中性条件を満たすと考えられる。酸化
物超電導体は、キャリア密度が1020〜1021cm
3(上述の公報が開示する値による)と、半導体と金属
のちょうど中間の値であり、そのため、ゲート電極にボ
ルト単位の電圧を印加すると(オン状態)、この空乏層
の厚さは数nmに達する。即ち、酸化物超電導体からな
る超電導チャネル202の厚さを5nm程度にすれば、
空乏層が超電導チャネルを横断するように形成され、ソ
ース電極203とドレイン電極204との間の超電導粒
子の流れ、即ち超電導電流を遮断できるため、完全なオ
ン/オフ動作が達成できるというものである。即ち、こ
れらの公報に開示される超電導チャネルは、ゲート電極
206からの電界印加時に、印加電圧により超電導チャ
ネル202のゲート電極206直下を中心とした局所に
おいて臨界電流値を変化させて超電導―抵抗状態の遷移
を起こさせるものである。
【0005】上述の公報のうち、特開平4−11687
5号公報及び特開平6−13667号公報は、超電導チ
ャネルを薄くするに適した素子形状の発明に関するもの
であり、特開平5−291637号公報は薄い超電導チ
ャネルを有する超電導トランジスタの変調効率の向上に
適したソース電極とドレイン電極との配置の発明に関す
るものである。最も新しい特開平6−13667号公報
に開示された発明は、図19が示すように、SrTiO
3基板201に10〜30nmのPrBa2Cu37-x
からなる常伝導体の膜211を形成し、その上に形成さ
れる厚さ200nmのYBa2Cu37-xなる酸化物超
電導膜(第1の超電導膜)を好ましく配向させ、更に第
1の超電導膜の一部にGaイオンを打ち込んで非超電導
体215にして、この超電導膜をソース領域213とド
レイン領域214に分割した後、この2つの領域を接続
するように厚さ5nmのYBa2Cu37-xなる酸化物
超電導膜(第2の超電導膜)202を第1の超電導膜上
に形成するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記従来構造の超電導
トランジスタには以下に述べるような問題点があった。
【0007】第1の超電導トランジスタに関する問題点
は電気伝導特性の変調割合を大きくすることが困難なこ
とである。この理由はチャネルに用いる超電導薄膜のキ
ャリア面密度(即ち、チャネル中を流れる電流に略平行
な面の単位面積当たりに存在するクーパ対の量)が大き
いことに起因している。従来の拡散過程によってキャリ
アが伝導する材料では、電気伝導度はキャリア密度に比
例する。酸化物超電導材料の場合、臨界温度や臨界電流
密度等の超電導特性もキャリア密度に依存することが知
られている。したがって、電界効果によってこれらキャ
リア面密度の変調を通じて、超電導特性を制御できるは
ずである。しかるに、酸化物系の超電導材料であって
も、半導体と比較してキャリア密度が数桁大きい。たと
えばチャネルの膜厚を10nmの薄さにしても、YBa
Cu酸化物のキャリア面密度は1平方cm当り10の1
6乗程度である。一方、誘起キャリア面密度を高めるた
めにチタン酸ストロンチウム等の高誘電率材料を用いて
も、1平方cm当り10の14乗程度のキャリア面密度
を誘起するために、数10Vから100Vのゲート電圧
を必要とし、この結果得られる抵抗の変調割合は数%で
ある。したがって、第1の超電導トランジスタで1以上
の利得、すなわち入力ゲート電圧に対する出力電圧の比
が1以上になる条件を得て、スイッチング回路に用いる
ことはきわめて困難である。
【0008】第2の超電導トランジスタに関する問題点
は電気伝導特性の変調割合を大きくすることが困難なこ
とと、近接効果を得るためにソースとドレイン間の距離
を短くする必要があることである。変調割合を大きくす
ることが困難な理由は第1の超電導トランジスタと同様
に、チャネル層のキャリア面密度が高いからである。通
常酸化物系の超電導トランジスタのチャネル層には常伝
導相の酸化物が用いられるが、常伝導相酸化物のキャリ
ア濃度は超電導相酸化物と比べて高々1桁しか低くな
い。したがって、数10Vの高ゲート電圧を印加して
も、超電導特性や電気伝導特性は数%程度しか変調され
ない。第1の超電導トランジスタと同様、1以上の利得
を得ることはきわめて困難である。
【0009】さらに近接効果によって超電導特性を得る
には、ソースとドレイン間の距離を0.1ミクロン、あ
るいはこれ以下の寸法にする必要がある。このような微
細な寸法は電子線描画装置、あるいは収束イオンビーム
エッチング装置等の微細ビーム技術を用いることによ
り、はじめて実現される。
【0010】上述の各公開公報が開示する超電導トラン
ジスタは、以上の従来の超電導トランジスタに基づき、
これらの変調割合を改善すべくなされたものであるが、
その効果は充分とはいえない。
【0011】そこで本発明の目的および課題は従来の超
電導トランジスタと比較して高い変調割合が得られて、
利得が向上し、かつ微細なパターン形成技術をとくに必
要としない超電導トランジスタの動作原理、動作方式、
素子構造および製造方法を得ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する超電
導トランジスタを得るために以下に述べる動作方式、素
子構造および製造方法を講じた。
【0013】すなわち本発明は、超電導性の(即ち超電
導体からなる)ソースおよびドレイン電極、ソース電極
とドレイン電極の間に生じる信号電流の経路となるチャ
ネル、チャネルに対して電圧信号を印加するゲート電
極、およびゲート電極とチャネルを絶縁するゲート絶縁
膜からなり、チャネルには材料固有の性質として超電導
性を有する材料(所謂、超電導材料)を使用した従来の
超電導トランジスタに対して、このチャネルを形成する
超電導材料の膜厚条件を、当該チャネルが室温あるいは
これ以下の温度範囲で、当該チャネルの面抵抗値が量子
面抵抗値より高い値になるように設定するものである。
本発明の基礎となる従来の超電導トランジスタにおいて
は、チャネルは層状に形成されることもあり、この場合
当該チャネルをチャネル層と呼ぶことがある。
【0014】本発明はまた、上述の従来の超電導トラン
ジスタに対して、上述の素子構成上の特徴とは別に、チ
ャネルの超電導材料の膜厚条件を、チャネルが室温ある
いはこれ以下の温度範囲で、抵抗の高いオフ状態でチャ
ネルの面抵抗値が量子面抵抗より高い値にあり、抵抗の
低いオン状態で量子面抵抗値より低い値にあって、チャ
ネル材料固有の臨界温度より低い温度で超電導性を示
し、かつスイッチング操作によって量子面抵抗を過ぎる
ように設定するものでもある。この構成において、チャ
ネルの面抵抗値は当該チャネルに絶縁膜を介して設けら
れたゲート電極から印加される電界(印加電界=0Vを
含む)に応じて変化する。例えば、チャネルへの印加電
界の変化により、チャネルにキャリア(上述の超電導粒
子等)の空乏層が形成されると面抵抗値は上がり、キャ
リアの蓄積層が形成されると面抵抗値は下がる。このよ
うにチャネルへの印加電界によりチャネル中のキャリア
の量を変化させる超電導トランジスタのスイッチング操
作において、本発明はチャネルの面抵抗値が量子面抵抗
を過ぎって変化するように当該チャネルの膜厚を設定す
るところに特徴がある。換言すれば、ここで説明した構
成の超電導トランジスタは、ゲート電極からの印加電界
に対するチャネルの面抵抗値の変化範囲が量子面抵抗を
含むように当該チャネルの膜厚が設定されている点に特
徴を有するものである。
【0015】以上のように、本願発明の超電導トランジ
スタは2種類の基本的な構成上の特徴を有する。上述の
チャネル層の面抵抗は、この層を流れる電流(の方向)
に略平行な面における抵抗値であり、固有の抵抗率を有
する材料をある厚み(電流方向に略平行な面に対して直
交する寸法)で形成するときに決まる値である。一方、
量子面抵抗は、hをプランク定数(6.626×10
-34J・sec.)、eを電気素量(1.602×10
-19C)としたとき、h/4e2として定義される定数で
あり、その値は約6.5キロオーム(kΩ)である。上
述の超電導トランジスタにて、チャネル層の膜厚をその
面抵抗値が量子面抵抗より高くなるように設定すべき理
由については後述するが、この規定を換言すれば、チャ
ネル層の膜厚をその面抵抗値が6.5キロオームより高
くなるように設定することになる。上述の超電導トラン
ジスタにおいて、ソース電極、ドレイン電極およびチャ
ネル層を同一の超電導材料によって構成してもよく、こ
の場合、チャネル層の厚みをソースおよびドレイン電極
より薄くする構造とするのが望ましい。ソース電極、ド
レイン電極およびチャネル層を同一の超電導材料によっ
て構成し、かつチャネル層の厚みをソースおよびドレイ
ン電極より薄くする場合、チャネル層を薄くし易くする
ために、表面に段差を有する基板を用い、該チャネル層
を基板の当該段差部の上部に形成する構造とするとよい
(チャネル層をソース及びドレイン電極とは異なる材料
で形成する場合も、勿論有効である)。
【0016】一方、本発明の超電導トランジスタを構成
するチャネル層には、材料固有の性質として超電導性を
有する材料を使用し、該チャネル層の膜厚を薄くするこ
とによって面抵抗が量子面抵抗すなわち6.5キロオー
ムを上回ることにより、室温あるいはこれ以下の温度範
囲で、ゲート電圧を印加しない場合の抵抗値が量子面抵
抗より高い値にあり、チャネル層材料固有の臨界温度よ
り低い温度にあっても、非超電導性を示すような材料を
用いる。
【0017】更に、本発明の超電導トランジスタを、チ
ャネル層に材料固有の性質として超電導性を有する材料
を使用し、当該チャネル層の膜厚をその面抵抗が量子面
抵抗すなわち6.5キロオームを上回るように薄く設定
して、当該チャネル層がこれを構成する材料固有の臨界
温度より低い温度でも非超電導性を示すように構成しな
がら、一方でチャネル長(即ち、ソース電極とドレイン
電極との間の距離)を縮小することにより、上述のチャ
ネル層の抵抗値が温度低下とともに再度減少するように
構成してもよい。ここで説明する超電導トランジスタ
は、本発明のトランジスタの基本構成として先に説明し
た2種類の素子とは若干効果を異にするものであり、換
言すれば、本発明の第3の基本構成といえる。この構成
では、ソース電極とドレイン電極という2つの超電導電
極の距離が重要であり、その値を夫々の超電導電極から
チャネル層に滲み出す超電導領域の長さ(所謂、キャリ
ア局在長)に近づけることが要請される。各々の超電導
電極からのキャリア(クーパ対)は、各々の電極とチャ
ネルとの境界面からチャネル内部に滲み出して超電導領
域を形成するが、滲み出せる距離は例えばチャネルに印
加される電界の強度によって制限されるため、キャリア
はチャネルの超電導電極近傍に局在する。このキャリア
がチャネルに滲み出し得る長さとして、キャリア局在長
(以下、局在長)が決まる。本発明の第3の基本構成で
は、ゲート電極からの印加電界に対するチャネルの面抵
抗値が量子面抵抗以下を示す条件において、ソース電極
とドレイン電極との距離は、局在長より小であることが
望ましい。
【0018】以上に述べてきた本発明の超電導トランジ
スタの各々において、チャネル層を構成する材料とし
て、材料固有の性質として超電導性を示し且つ結晶性
(結晶構造)を有する超電導材料を用い、この材料を1
ユニットセル以上で且つ非超電導状態を保つ厚みにチャ
ネル層を形成して超電導トランジスタを構成するのが望
ましい。即ち、結晶性を有する材料がこの材料固有の特
性として超電導性を示すには、1ユニットセルの厚みが
最低限必要であるからである。一方、ユニットセルを繰
り返してチャネル層を形成すると、ある厚みで非超電導
状態を保てない、換言すればこの材料が超電導性を示す
臨界温度以下の状態で超電導状態に転移してしまう。チ
ャネル層が非超電導状態を保つには、上述のようにチャ
ネル層の面抵抗値が量子面抵抗より大きくなるような厚
みに設定することが重要である。
【0019】またチャネル層を構成する材料として、
Y,Ba,及びCuで構成される酸化物、Bi,Sr,
CaおよびCuで構成される酸化物、又はTl,Ba,
Ca及びCuで構成される酸化物等のいずれかの所謂結
晶性を有する酸化物に、この酸化物を構成しない元素を
新たに添加し又はこれで当該酸化物の構成元素の一部を
置換することにより、固有の性質として超電導性を有す
るが、該超電導材料が1ユニットセル、あるいはこれ以
上の厚みで非超電導状態になる酸化物材料を用いてもよ
い。この様な酸化物材料でソース、ドレイン電極および
チャネル層を一体形成しても良く、この場合、チャネル
層の厚みを当該超電導材料が1ユニットセル又はこれ以
上の膜厚で非超電導状態を維持し得る厚みに形成し、ソ
ース電極及びドレイン電極は当該超電導材料がその臨界
温度以下で超電導状態を示す厚みに形成することが望ま
しい。
【0020】本発明の超電導トランジスタは、表面に段
差を有する基板を用い、その上部に作製するのが工程上
簡単であり望ましい。即ち、超電導トランジスタを構成
するソース電極、ドレイン電極およびチャネル層を同一
の超電導材料を用い、かつチャネル層の厚みをソースお
よびドレイン電極より薄く形成する場合、チャネル層を
上記基板の段差部の上部に位置するように形成すれば、
ソース、ドレイン電極およびチャネル層を1回の成膜工
程によって超電導トランジスタが作製できる。
【0021】本発明の超電導トランジスタはソース、ド
レイン電極およびチャネル層を同一の超電導材料によっ
て構成し、超電導材料の一部を加工して膜厚を減少さ
せ、膜厚を減少させた部分をチャネル層とし、それ以外
の即ち膜厚を減少させていないチャネル層の両側部分
(即ち、チャネルで分割された部分)の一方をソ−スと
して、他方をドレイン電極として作製しても良い。
【0022】上述のいずれかの方法で超電導トランジス
タを作製するにあたり、ゲート絶縁膜を介してチャネル
層に重なる位置にゲート電極を配し、かつゲート電極の
長さをチャネル層の長さより長くし、かつチャネル層全
域にわたってゲート電極が重なるようにするとよい。
【0023】本発明の超電導トランジスタにより構成さ
れる超電導回路装置等の回路においては、ソース電極お
よびドレイン電極につながる配線を超電導薄膜とし、か
つソースおよびドレイン電極と同一の酸化物薄膜より構
成するとよい。
【0024】このような超電導トランジスタは、これを
用いたデジタルプロセッサ回路装置、アナログデータ処
理回路装置、センサ信号処理回路装置、微小磁場信号処
理回路装置等の所謂超電導回路装置の基本回路に応用で
きる。
【0025】次に、本発明の超電導トランジスタの機能
的な特徴について説明する。
【0026】本発明の超電導トランジスタに関する動作
方式、素子構造(特に、上述の2種類の基本構成のいず
れか)および製造方法によれば、以下に述べる理由によ
り、高い変調割合が得られて、利得が向上し、かつ微細
なパターン形成技術をとくに必要とすることなく、この
ような性能を有する超電導トランジスタを得ることがで
きる。
【0027】単一の超電導膜をチャネルとする超電導ト
ランジスタで、電界を印加することにより、チャネルの
超電導特性や電気伝導度を制御することができるが、そ
の変調割合が僅かであることは発明が解決しようとする
課題の項で述べたところである。通常電界効果によって
電気伝導度の変調される割合はキャリア面密度の変調割
合に相当する。
【0028】この理由は以下のとおりである。すなわ
ち、通常の金属的な、あるいはオーミックな電気伝導特
性を示すキャリア系では、伝導度Sはキャリアの電荷を
e,キャリア密度をn,平均速度をvとして、envに
等しい。ゲート絶縁膜を介して電界が印加され、キャリ
ア密度がdnだけ変調されたとすると、伝導度の変調量
dSはevdnである。すなわち、伝導度の変調割合d
S/Sはキャリア密度の変調割合dn/nに等しい。
【0029】本発明にかかる超電導トランジスタでは、
チャネルでの超電導と絶縁体間の転移現象、および絶縁
相の高い変調割合によって高い利得を得る。超電導と絶
縁体間の転移現象とは、図4に示されるように、超電導
体であっても、臨界温度より高い温度で面抵抗が量子面
抵抗すなわち6.5キロオームを越える場合、温度を臨
界温度より十分低くしても、抵抗が零にならずに室温に
おける値より増大し、一種の絶縁体(高抵抗の導体とも
いえる)になることである。即ち、ここでの絶縁体とは
電圧を印加した場合、測定にかかる電流値がほとんど零
であるという意味での絶縁体ではなく、温度を低くする
にしたがって抵抗値が増大する性質を指す。図4が示す
現象は、本発明者が実験的に導出した現象であり、膜状
の超電導体(正確に言えば、超電導性を示す物質)に膜
面に略平行に超電導電流を流すようにデバイスを構成し
たとき、その膜の厚さを室温又はそれ以下にて当該膜の
面抵抗値が量子面抵抗値より高くなるように設定すると
当該膜の抵抗値は温度低下とともに高くなり、超電導性
を示し得る物質ながらその臨界温度以下においても非超
電導性(抵抗体としての常伝導性)を保つことは、上述
の公開公報のいずれも示唆し得ない事実である。
【0030】超電導と絶縁体間の転移現象を利用すれ
ば、チャネル層の面抵抗が量子面抵抗すなわち6.5キ
ロオームより大きい場合、低温で抵抗値が増大して、絶
縁体状態が実現される。一方、チャネル層の面抵抗が量
子面抵抗すなわち6.5キロオームより小さい場合、低
温で抵抗値が減少、あるいは場合によっては零になる。
抵抗が零にならない場合も含めて、抵抗値が減少する状
態を超電導相とする。これは通常の(例えば、上述の公
開公報に記載の)電界効果によって生じる抵抗変化がキ
ャリア面密度の変調割合とほぼ等しいことと比較する
と、十分大きい伝導特性の変調割合に相当する。超電導
と絶縁体間の転移現象は量子面抵抗を基準値として、抵
抗変化によって生じるものであるから、電界効果によっ
て引き起こすことができる。このように超電導と絶縁体
間の転移現象を利用することにより、キャリア面密度の
変調割合を大幅に越えて、チャネルの電気伝導度の変調
割合を増大させることができる。
【0031】しかるに、金属系超電導材料の場合、この
ような超電導と絶縁体間の転移現象の生じる膜厚はきわ
めて薄く、1nm以下である。この理由は金属系超電導
材料の抵抗率が低いことによるものである。一方、Y,
Ba,およびCuで構成される酸化物、Bi,Sr,C
aおよびCuで構成される酸化物、あるいはTl,B
a,CaおよびCuで構成される酸化物等の高温超電導
材料でも、それぞれ1ユニットセルの厚みまで膜厚を薄
くしても、量子面抵抗すなわち6.5キロオームを越え
て絶縁体状態に転移しない。これ以上膜厚を薄くした場
合、超電導としての性質がまったく失われてしまう。
【0032】Y,Ba,およびCuで構成される酸化
物、Bi,Sr,CaおよびCuで構成される酸化物、
あるいはTl,Ba,CaおよびCuで構成される酸化
物等にこれら酸化物を構成しない元素を添加あるいは置
換することにより、超電導特性を維持しつつ抵抗率を増
大させれば、これらの酸化物薄膜で膜厚を薄くすること
により、超電導−絶縁体転移を生じさせることができ
る。しかもこれら元素の添加あるいは置換量を調節する
ことにより、超電導−絶縁体転移の生じる膜厚を任意の
値に設定することができる。
【0033】チャネル層材料として、固有の特性として
超電導性を有するが、超電導−絶縁体転移現象によって
絶縁体状態にある条件を利用することにより、素子構造
が簡略化される。すなわち、ソースおよびドレイン電極
にはチャネル層と同一の材料を用い、固有の超電導特性
を発揮するのに十分な膜厚を与えることにより、トラン
ジスタ動作時に超電導特性を保たせることができる。ソ
ースおよびドレイン電極とチャネル層が同一の材料で構
成されていれば、チャネル層と電極間で接触抵抗に起因
する素子特性の劣化等の問題を生じない。したがって、
作製工程上の困難を生じることなく、トランジスタを作
製することができる。
【0034】ソースおよびドレイン電極に、チャネル層
と同一の材料を用いることのできる利点は具体的な素子
構造としても発揮できる。例えば図1に示されるごと
く、段差を有する基板上に、固有の特性として超電導性
を有する薄膜を成膜すれば、基板の平坦部で膜厚が厚
く、段差部で膜厚の薄い薄膜構造が得られる。すなわ
ち、平坦部で薄膜の面抵抗が低く、段差部で面抵抗の低
い抵抗状態を単一膜内に作り込むことができる。ここで
基板の段差角度、薄膜の膜厚等の成膜条件、および抵抗
率を調節して、平坦部での面抵抗が量子面抵抗すなわち
6.5キロオーム以下であり、段差部での面抵抗が量子
面抵抗以下となるように調節すれば、超電導性のソース
およびドレイン電極と、絶縁性のチャネルを一回の膜形
成のみで得ることができる。このような動作方式と素子
構造を採用することにより、トランジスタの製造工程を
大幅に簡略化することができる。
【0035】本発明に係る超電導トランジスタの動作原
理はさらに電界効果に関しての新たな実験的知見に基づ
くものである。金属、半導体および超電導性の酸化物を
含めて、通常の条件下での電気伝導度はキャリア濃度に
ほぼ比例する。先に述べたごとく、電界効果によってチ
ャネル層の電気伝導特性を制御する場合、抵抗値の変調
割合はチャネル層への電界印加で誘起されたキャリア密
度と零電界下でのキャリア密度の比にほぼ等しいことが
一般的によく知られた事実であった。ところが、固有の
特性として超電導性を有し、膜厚を薄くすることによ
り、面抵抗が量子面抵抗すなわち6.5キロオームを越
える絶縁相状態にある酸化物薄膜の場合、電界効果によ
って誘起されるキャリア密度と零電界下でのキャリア密
度の比に対して、これより数十倍大きい抵抗値の変化を
得られることが図1のような薄膜の電界効果を調べる素
子を用いることにより、明らかとなった。
【0036】YBaCu酸化物のYサイトの一部をPr
原子によって置換した(YPr)BaCu酸化物薄膜
で、膜厚を10nmと薄くしたために、面抵抗が量子面
抵抗すなわち6.5キロオーム以上となり、超電導状態
にはならない薄膜の電界効果によるdR/Rとdn/n
の比は図5(a)に示されるように、1より十分大きく
なることが実験的にわかった。図でYの割合50%以上
の組成が固有の性質として超電導特性を有する酸化物で
ある。
【0037】さらに図5(b)に示されるように、YB
aCu酸化物のYサイトの10パーセントをPr原子に
よって置換した、固有の特性としては導電性を有する
が、膜厚を5nmと薄くしたために、面抵抗が量子面抵
抗すなわち6.5キロオーム以上となり、超電導状態に
はならない性質を示す(YPr)BaCu酸化物薄膜
の、電界効果による抵抗値の変調割合dR/Rは30パ
ーセントを越えている。一方、同一のゲート電圧での誘
起キャリア密度と零電界下でのキャリア密度の比dn/
nは1パーセント程度であった。すなわち、電界効果に
よってdR/Rとdn/nの比は50に達した。
【0038】しかるに、膜厚10nmで面抵抗が量子面
抵抗すなわち6.5キロオーム以下となり、超電導状態
になるYBaCu酸化物薄膜の、電界効果による抵抗値
の変調割合は、誘起されるキャリア密度と零電界下での
キャリア密度の比と大差がなかった。このように、誘起
されたキャリア密度と零電界下でのキャリア密度の比に
対して、抵抗値の変調割合が大幅に大きい値を示すの
は、固有の特性として超電導性を有し、膜厚を薄くする
ことにより、面抵抗が量子面抵抗すなわち6.5キロオ
ームを越える絶縁相状態にある酸化物薄膜に特有の現象
である。従って、上述の本発明の基本構成として説明し
た2種類の超電導トランジスタでは、チャネルの膜厚を
その面抵抗値が量子面抵抗より大となるように設定する
ことで、電界効果による抵抗値の変調(以下、抵抗変
調)ならではの、高い変調割合が達成できる。
【0039】固有の特性として超電導性を有し、膜厚を
薄くすることによって、面抵抗が量子面抵抗すなわち
6.5キロオームを越える絶縁相状態にある薄膜に関し
て、電極間隔を短くする(上述の本発明の第3の基本構
成とする)ことにより、再度低温で抵抗が減少させるこ
とができる。この理由は以下のとおりである。量子面抵
抗を越えた抵抗を有する薄膜では、キャリア系が局在化
しているために絶縁体状態にある。すなわちキャリア系
の波動関数の拡がりが十分ではなく、実空間で試料の全
面にわたって連続的ではない状態にある。したがって、
チャネル長(即ち、ソース電極とドレイン電極とがチャ
ネルを介して対向し合う距離)を短くして局在長以下に
すれば、波動関数が連続的つながった状態が実現され
る。この状態になると、チャネルを介してソース電極と
ドレイン電極との間でクーパ対が流れ超電導電流が発生
する。しかしゲート電極からの印加電界の変化により、
チャネルの面抵抗値が高まると、局在長は小さくなり、
2つの超電導電極からの波動関数は分断される。本発明
の特徴とする膜厚を有するチャネルでは、印加電界の変
化によりチャネルの面抵抗を量子面抵抗より大となる状
態に転移できる。局在長に従いチャネル中のキャリア密
度は変化するが、このキャリア密度はまたチャネルの抵
抗値に影響を及ぼす。従って、2つの超電導電極間の距
離を縮めると局在長の変化に応じたキャリア密度の増減
が著しくなる。このことから、局在長によるキャリア密
度変化が上述の抵抗変調を更に高めることは明らかであ
る。このような効果を得るには、チャネルに接合される
2つの超電導電極、即ちソース電極とドレイン電極との
距離を、当該チャネルがその面抵抗値が量子面抵抗より
大となる厚さに形成されていながら温度の低下に対し抵
抗値が低くなるように設定することが必要である。ま
た、その距離を局在長以下とすると、さらに高い変調割
合が達成できる。
【0040】以上述べた理由により、本発明にかかる動
作方式、素子構造および製造方法によれば、高い変調割
合を示す超電導トランジスタが得られる。
【0041】上述のように本発明の超電導トランジスタ
は、チャネル層の膜厚の薄さに特徴がある点で、上述の
公開公報の技術に酷似するが、チャネル層の面抵抗値が
室温又はそれ以下の温度下において量子面抵抗値より大
である特徴を有する点で明確に異なる。即ち、チャネル
層が薄くとも、その面抵抗が量子面抵抗以下であると、
上述の卓越した変調効果を奏し得ないからである。
【0042】
【発明の実施の形態】本発明の具体的な実施の形態を、
以下の実施例並びに図面に基づいて詳細に説明する。
【0043】<実施例1>本発明に係る図6に示すごと
き超電導トランジスタを、図7に示すような工程で作製
する。
【0044】工程(a)のように、(100)面方位の
チタン酸ストロンチウムの単結晶31を基板として、こ
の上にYBaCu酸化物(YBa2Cu37-x)薄膜を
形成する。膜厚は10nmから100nmの範囲とす
る。成膜はYBaCu酸化物の焼結体をターゲットとし
た、酸素ガス雰囲気中でのエキシマレーザを用いた蒸着
法によって行う。工程(b)のように、YBaCu酸化
物薄膜に対して、ソース33、ドレイン電極34および
配線としてのパターンを形成する。光学的な露光法によ
り、ソース、ドレイン電極および配線パターンを有機レ
ジスト膜に形成する。Arガスを用いたイオンビームエ
ッチング法によってYBaCu酸化物薄膜の加工を行
い、レジスト膜パターンをYBaCu酸化物薄膜に転写
し、超電導性のソース、ドレイン電極および配線膜を得
る。この上に成膜する極薄チャネル層がYBaCu酸化
物薄膜の端部で電気的に、あるいは結晶的に不連続にな
るのを防止するために、イオンビームエッチング時にY
BaCu酸化物薄膜の端部に45度、あるいはこれ以上
のテーパを持たせるものとする。イオンビームエッチン
グはチタン酸ストロンチウム基板まで達するようにし
て、YBaCu酸化物薄膜パターン間の絶縁性を十分な
ものとする。
【0045】工程(c)に示されるように、ソース、ド
レイン電極および配線膜の上から、Yサイトの10パー
セントをPr原子によって置換した、(YPr)BaC
u酸化物((Y0.9Pr0.1)Ba2Cu37-x)薄膜を
5nmの膜厚で形成する。この(YPr)BaCu酸化
物薄膜は固有の特性としては超電導性を有するが、膜厚
を5nmと薄くしたために、面抵抗が量子面抵抗すなわ
ち6.5キロオーム以上となり、超電導状態にはならな
い特性を有する条件を与える。なお、エックス線回折測
定で検出されるラウエ振動より、(YPr)BaCu酸
化物薄膜の膜厚を評価すると、4ユニットセルの厚みに
相当した。
【0046】この(YPr)BaCu酸化物薄膜上に塗
布した有機レジストにチャネル層32としてのパタ−ン
を形成する。Arガスを用いたイオンビームエッチング
法により、レジストパタ−ンを(YPr)BaCu酸化
物薄膜に転写する。
【0047】工程(d)に示されるように、この上にゲ
−ト絶縁層35としてのチタン酸ストロンチウム膜を酸
素雰囲気中でのレーザ蒸着法により成膜する。さらに工
程(e)のように、ゲート電極36としてのAu膜を真
空蒸着法によって形成することにより、超電導トランジ
スタを得る。
【0048】このようにして作製した超電導トランジス
タの特性は以下のとおりであった。すなわち、図8に示
されるごとく、ソース−ドレイン間の抵抗は6.5キロ
オーム以上であり、温度を下げるにしたがって抵抗値が
増大した。材料本来の特性として超電導状態になる温度
以下でも、抵抗値が零にならず、減少もしなかった。ソ
ース−ドレイン間の抵抗はゲート電圧信号によって変調
された。抵抗の変調割合は動作温度を低くするにしたが
って増大した。さらに、ゲート電圧を高めて、誘起キャ
リア面密度を増大させるにしたがって、誘起キャリア面
密度と零ゲート電圧下での、チャネル層キャリア面密度
の比より大きい抵抗の変調割合が得られた。
【0049】本実施例では、チャネル層32にYBaC
u酸化物のYサイトの10パーセントをPr原子によっ
て置換した(YPr)BaCu酸化物を用いたが、本発
明者が理論的知見から計算して得たチャネル層の膜厚の
最大値(所謂、臨界膜厚)を図20に示す。図20は、
YBaCu酸化物のYサイトをPr原子で置換して(Y
Pr)BaCu酸化物を形成する場合の、置換率に対す
る臨界膜厚の変化を示すが、臨界膜厚値は膜が形成され
る下地(基板、絶縁膜等)の平坦性や結晶性するため、
幅を持って示してある。例えば、下地が平坦なほど臨界
膜厚は薄くなり、下地の表面が粗くなるほど厚くなる。
因みに、YBaCu酸化物YBa2Cu37-xのYサイ
トをPr原子で10パーセント置換して形成した(YP
r)BaCu酸化物である(Y0.9Pr0.1)Ba2Cu3
7-xの臨界膜厚は5〜10nm、20パーセント置換
して形成した(Y0.8Pr0.2)Ba2Cu37-xの臨界
膜厚は10〜25nm、40パーセント置換して形成し
た(Y0.6Pr0.4)Ba2Cu37-xの臨界膜厚は25
〜50nmである。ここで留意すべきは、膜厚を10n
m以下にした場合、膜厚の変化により実際の抵抗率が材
料固有の抵抗率より増大することで、図20に示すデー
タはこの膜厚範囲において抵抗率の膜厚依存性を含んで
いる。
【0050】<実施例2>本発明に係る図9のごとき超
電導素子は図7に示される工程図と同様にして作製され
る。まず、(100)面方位のチタン酸ストロンチウム
の単結晶41を基板として、この上にYBaCu酸化物
YBa2Cu37-x薄膜を形成する。膜厚は10nmか
ら100nmの範囲とする。Y,BaおよびCuの3種
類の金属元素をそれぞれの蒸発源から一定の速度で蒸発
させ、酸素プラズマの雰囲気に曝した基板にYBaCu
酸化物薄膜の成膜を行う。YBaCu酸化物薄膜に対し
て、ソース43、ドレイン電極44および配線としての
パターンを形成する。
【0051】電子線描画法により、ソース、ドレイン電
極および配線パターンを有機レジスト膜に形成し、0.
2ミクロン(μm)程度のソース、ドレイン間隔を得
る。イオンビームエッチング法によってYBaCu酸化
物薄膜の加工を行い、超電導性のソース、ドレイン電極
および配線膜を得る。この上に成膜する極薄チャネル層
の電気的特性がYBaCu酸化物薄膜の端部で劣化する
のを防止するために、YBaCu酸化物薄膜の端部に4
5度、あるいはこれ以上のテーパを持たせるものとす
る。イオンビームエッチングはチタン酸ストロンチウム
基板まで達するようにして、YBaCu酸化物薄膜パタ
ーン間の絶縁性を十分なものとする。
【0052】ソース、ドレイン電極および配線膜の上か
ら、Cuと酸素の原子鎖中のCuサイトの一部をCo原
子によって置換した、YBa(CuCo)酸化物薄膜
を、YBaCu酸化物薄膜と同様の蒸着法によって、5
nmの膜厚で形成する。このYBa(CuCo)酸化物
薄膜は固有の特性としては超電導性を有するが、膜厚を
5nmと薄くしたために、面抵抗が量子面抵抗すなわち
6.5キロオーム以上となり、超電導状態にはならない
特性を有する条件を与える。なお、エックス線回折測定
で検出されるラウエ振動より、(YPr)BaCu酸化
物薄膜の膜厚を評価すると、4ユニットセルの厚みに相
当した。
【0053】このYBa(CuCo)酸化物薄膜上に塗
布した有機レジストに,チャネル層44としてのパター
ンを形成する。Arガスを用いたイオンビームエッチン
グ法により、レジストパターンをYBa(CuCo)酸
化物薄膜に転写する。
【0054】この上にゲート絶縁層45としてのチタン
酸ストロンチウム膜を酸素雰囲気中でのレーザ蒸着法に
より成膜する。さらにゲート電極46としてのAu膜を
真空蒸着法によって形成する。ゲート電極のパターンは
チャネル長より長くし、チャネル部全体を覆うような形
状にする。以上の作製工程を経ることにより、超電導ト
ランジスタを得る。
【0055】このようにして作製した超電導トランジス
タでは、ソースとドレイン電極の間隔が短いために、図
10に示すごとく、その抵抗値は量子面抵抗より低かっ
た。ゲート電圧信号を印加することにより、ソースとド
レイン間の抵抗を量子面抵抗の上下で変化させることが
できた。動作温度を低くするにしたがい、ゲート電圧信
号の振幅に対するソースとドレイン間の抵抗変化が増大
した。
【0056】本実施例では、YBaCu酸化物(YBa
2Cu37-x)のCuサイトの一部をCo原子によって
置換して面抵抗値が量子面抵抗より大きいチャネル層4
2を形成したが、Cuサイトの一部をCo原子に代え
て、Fe,Cr,Ti,Al,Zn,Niのいずれかの
原子で置換することによっても、本実施例のチャネル膜
厚にてYBaCu酸化物の面抵抗値を量子面抵抗より大
きくすることができる。 <実施例3>本発明に係る図1に示されるごとき、超電
導トランジスタを図11に示すごとき手順で作製する。
【0057】工程(a)のように、(100)面方位の
チタン酸化ストロンチウム1の単結晶を基板として用い
る。基板上にSi膜と有機レジストの2層膜をマスクと
して、光学的な露光法およびイオンビームエッチング法
により、チタン酸ストロンチウム基板に段差を設ける。
工程(b)のように、この上にYサイトの10パーセン
トをPr原子によって置換した、(YPr)BaCu酸
化物薄膜を形成する。基板の位置をターゲットの真上か
らずらせ、段差の高い面をターゲット側になるように配
置する。これにより、基板の段差面はターゲットを見込
む方向と平行に近い角度となる。このような配置のもと
で、(YPr)BaCu酸化物の焼結体をタ−ゲットと
した、酸素ガス雰囲気中でのエキシマレーザを用いた蒸
着法によって成膜を行う。
【0058】(YPr)BaCu酸化物薄膜に対して、
段差を挾んでソース3、ドレイン電極4および配線とし
てのパターンを形成する。光学的な露光法により、ソー
ス、ドレイン電極および配線パターンを有機レジスト膜
に形成する。Arガスを用いたイオンビームエッチング
法によって(YPr)BaCu酸化物薄膜の加工を行
い、レジスト膜パターンを(YPr)BaCu酸化物薄
膜に転写し、超電導性のソース、ドレイン電極および配
線膜を得る。イオンビームエッチングはチタン酸ストロ
ンチウム基板まで達するようにして、(YPr)BaC
u酸化物薄膜パターン間の絶縁性を十分なものとする。
(YPr)BaCu酸化物薄膜の段差部分をチャネル層
5とする。
【0059】工程(c)のように、この上にゲート絶縁
層5としてのチタン酸ストロンチウム膜を酸素雰囲気中
でのレーザ蒸着法により成膜する。さらに工程(d)の
ように、ゲート電極6としてのAu膜を真空蒸着法によ
って形成することにより、超電導トランジスタを得る。
【0060】基板面上の(YPr)BaCu酸化物薄膜
は膜厚が10nmであり、超伝導特性を示した。一方、
段差部の(YPr)BaCu酸化物薄膜は膜厚が5nm
以下であった。この膜厚では本来抵抗値が量子面抵抗よ
り大きいが、ソースとドレイン電極の間隔が短いため
に、図10と同様に、その抵抗値は量子面抵抗より低か
った。ゲート電圧信号を印加することにより、ソースと
ドレイン間の抵抗を量子面抵抗の上下で変化させること
ができた。動作温度を低くするにしたがい、ゲート電圧
信号の振幅に対するソースとドレイン間の抵抗変化が増
大した。即ち、本実施例の超電導トランジスタは、課題
を解決するための手段の項で説明した本発明の第3の基
本構成によるものである。
【0061】<実施例4>本発明に係る図12に示され
る超電導トランジスタを、図13に示すごとき手順で作
製する。
【0062】工程(a)のように、(100)面方位の
酸化マグネシウムの単結晶5を基板として、この上にY
サイトの10パーセントをPr原子によって置換した、
(YPr)BaCu酸化物薄膜を形成する。膜厚は10
nm以上とする。成膜は(YPr)BaCu酸化物の焼
結体をターゲットとした、酸素ガス雰囲気中でのエキシ
マレーザを用いた蒸着法によって行う。
【0063】工程(b)のように、(YPr)BaCu
酸化物薄膜に対して、ソース53、ドレイン電極54,
チャネル52および配線としてのパターンを形成する。
光学的な露光法により、パタ−ンを有機レジスト膜に形
成する。Arガスを用いたイオンビームエッチング法に
よって(YPr)BaCu酸化物薄膜の加工を行い、レ
ジスト膜パターンを(YPr)BaCu酸化物薄膜に転
写し、ソース、ドレイン電極、チャネルおよび配線膜パ
ターンを得る。イオンビームエッチングはチタン酸スト
ロンチウム基板まで達するようにして、(YPr)Ba
Cu酸化物薄膜パターン間の絶縁性を十分なものとす
る。
【0064】つぎに光学的な露光法により、チャネル層
以外の部分にレジストが覆われたパターンを形成する。
この上からArガスを用いたイオンビームエッチング法
により、再度(YPr)BaCu酸化物薄膜のチャネル
部をエッチングする。チャネル層部分の膜厚として約5
nmを残して、エッチングを終了する。チャネル部の
(YPr)BaCu酸化物薄膜は固有の特性としては超
電導性を有するが、膜厚を5nmと薄くしたために、面
抵抗が量子面抵抗すなわち6.5キロオーム以上とな
り、超電導状態にはならない特性を有する。
【0065】工程(c)のように、この上にゲート絶縁
層55としてのチタン酸ストロンチウム膜を酸素雰囲気
中でのレーザ蒸着法により成膜する。さらに工程(d)
のように、ゲート電極56としてのAu膜を真空蒸着法
によって形成することにより、超電導トランジスタを得
る。
【0066】このようにして作製した超電導トランジス
タの特性は以下のとおりであった。ソース及びドレイン
電極は超電導性を示し、低温で抵抗値が零になった。一
方、図8に示されるのと同様、ソース−ドレイン間の抵
抗は6.5キロオーム以上であり、温度を下げるにした
がって抵抗値が増大した。材料本来の特性として超電導
状態になる温度以下でも抵抗値が零にならず、減少もし
なかった。ソース−ドレイン間の抵抗はゲート電圧信号
によって変調された。抵抗の変調割合は動作温度を低く
するにしたがって増大した。さらに、ゲート電圧を高め
て、誘起キャリア面密度を増大させるにしたがって、誘
起キャリア面密度と、零ゲート電圧下でのチャネル層キ
ャリア面密度の比より大きい抵抗の変調割合が得られ
た。
【0067】<実施例5>本発明に係る図14のような
超電導トランジスタを、図13と同様の手順で作製す
る。
【0068】(100)面方位のチタン酸ストロンチウ
ムの単結晶61を基板として、この上にCuサイトの7
パーセントから10パーセントをFe原子によって置換
した、YBa(CuFe)酸化物薄膜を形成する。膜厚
は10nm以上とする。成膜はYBa(CuFe)酸化
物の焼結体をターゲットとした、酸素ガス雰囲気中での
エキシマレーザを用いた蒸着法によって行う。
【0069】YBa(CuFe)酸化物薄膜に対して、
ソース、ドレイン電極,チャネルおよび配線としてのパ
ターンを形成する。光学的な露光法により、パターンを
有機レジスト膜に形成する。Arガスを用いたイオンビ
ームエッチング法によってYBa(CuFe)酸化物薄
膜の加工を行い、レジスト膜パターンをYBa(CuF
e)酸化物薄膜に転写し、ソース63、ドレイン電極6
4、チャネル62および配線膜パターンを得る。イオン
ビームエッチングはチタン酸ストロンチウム基板まで達
するようにして、YBa(CuFe)酸化物薄膜パター
ン間の絶縁性を十分なものとする。
【0070】つぎに電子線描画法を用いた露光法によ
り、チャネル層以外の部分にレジストが覆われたパター
ンを形成する。この上からArガスを用いたイオンビー
ムエッチング法により、再度YBa(CuFe)酸化物
薄膜のチャネル部を100nm、あるいはこれ以下の幅
でエッチングする。
【0071】チャネル層部分の膜厚として約5nmを残
して、エッチングを終了する。チャネル部のYBa(C
uFe)酸化物薄膜は膜厚が5nmであるから、充分長
いチャネル長であれば、面抵抗が量子面抵抗すなわち
6.5キロオーム以上となり、超電導状態にはならない
特性を有する。しかるにチャネル長が100nm、ある
いはこれ以下と短いために、チャネル部では超電導特性
を示す。
【0072】この上にゲート絶縁層65としてのチタン
酸ストロンチウム膜を酸素雰囲気中でのレーザ蒸着法に
より成膜する。さらにゲート電極66としてのAu膜を
真空蒸着法によって形成することにより、超電導トラン
ジスタを得る。
【0073】このようにして作製した超電導トランジス
タの特性は以下のとおりであった。すなわち、図10
(実施例3)に示されたのと同様に、その抵抗値は量子
面抵抗より低かった。ゲート電圧信号を印加することに
より、ソースとドレイン間の抵抗を量子面抵抗の上下で
変化させることができた。抵抗の変調割合は動作温度を
低くするにしたがって、さらにゲート電圧を高めて、誘
起キャリア面密度を増大させるにしたがって、増大し
た。
【0074】<実施例6>図14に示されるような、ソ
ースおよびドレインと、チャネル層の厚みが異なる超電
導トランジスタを作製した。ソースおよびドレインと、
チャネル層は(YPr)BaCu酸化物薄膜により構成
した。(YPr)BaCu酸化物は本来超電導性を有す
るものであり、ソースおよびドレイン電極は有限の臨界
温度を示す。チャネル層は厚みが2nm以上で5nm以
下の範囲に薄くしてあるために、十分長い寸法であれば
抵抗値が量子面抵抗以上である。チャネル長を0.2ミ
クロン(μm)にしたので、ソースとドレイン間の抵抗
は量子面抵抗以下の値になった。超電導トランジスタは
チャネル層の上部にチタン酸ストロンチウムのゲート絶
縁膜、およびAuのゲート電極を積層することにより作
製した。Auゲート電極はチャネル層全体を覆うような
寸法とした。
【0075】この超電導トランジスタのソースとドレイ
ン間の抵抗から計算される面抵抗は量子面抵抗より低か
った。ゲート電圧の印加によって、ソース−ドレイン間
の抵抗値が変調された。抵抗の変調割合は動作温度を低
くするにしたがって増大した。さらに、ゲート電圧を高
めて、誘起キャリア面密度を増大させるにしたがって、
抵抗の変調割合が増大した。
【0076】図15(a)の等価回路に示されるよう
に、このような超電導トランジスタ101、102、1
03を直列に、負荷抵抗104を並列に接続した回路を
作製した。回路は図15(a)の構造図に示されるよう
に、基板108上に形成された。超電導トランジスタか
ら抵抗につながる配線108はトランジスタのソース1
05およびドレイン電極106と共通の超電導薄膜と
し、配線での抵抗が発生しないようにした。図16に示
されるように、任意の1個の超電導トランジスタにゲー
ト電圧信号が印加されて抵抗値が増大することにより、
負荷抵抗に流れる電流が増大して、両端の電圧値が増加
し、出力電圧特性が得られた。これにより、OR動作が
実現された。
【0077】<実施例7>図1に示されるような、段差
を有する基板の平面上にソースおよびドレイン電極を、
段差上にチャネル層を形成する。ソース、ドレイン電極
およびチャネル層はYBa(CuCo)酸化物薄膜によ
り構成する。ソースおよびドレイン電極は超電導性を示
す。段差部に形成されたチャネル層は十分長い寸法であ
れば抵抗値が量子面抵抗以上である。チャネル長が0.
1ミクロンで短いために、ソースとドレイン間の抵抗は
量子面抵抗以下の値になった。チャネル層の上部にチタ
ン酸ストロンチウムのゲート絶縁膜、およびAuのゲー
ト電極を積層することにより、超電導トランジスタを製
作した。
【0078】この超電導トランジスタのソースとドレイ
ン間の抵抗から計算される面抵抗は量子面抵抗より低か
った。ゲート電圧を印加することにより、ソース−ドレ
イン間の抵抗値が変調された。抵抗の変調割合は動作温
度を低くするにしたがって増大した。さらに、ゲート電
圧を高めて、誘起キャリア面密度を増大させるにしたが
って、抵抗の変調割合が増大した。
【0079】超電導トランジスタに並列に負荷抵抗を接
続し、電源電流を通じた状態で、正のゲート電圧を印加
した。超電導電流の大きさが減少したために、超電導ト
ランジスタの抵抗が量子面抵抗より増大し、電源電流は
超電導トランジスタから負荷抵抗に転送された。図17
に示されるように、複数個の超電導トランジスタ11
1、112、113を並列に、かつ負荷抵抗114を並
列に接続した回路を作製した。図18に示されるよう
に、並列に配列されたすべての超電導トランジスタにゲ
ート電圧信号を印加した場合、全超電導トランジスタの
抵抗が量子面抵抗に相当する値より増大したことによ
り、負荷抵抗に電流が転送されて、出力電圧信号が得ら
れた。これにより、AND動作が実現された。
【0080】OR,AND動作以外に、インバータ等、
論理回路を組むのに必要な基本論理ゲートが得られた。
ここではTBaCu系酸化物をチャネルに用いた例につ
いて述べたが、BiSrCaCu系酸化物あるいはTl
BaCaCu系酸化物の構成元素の一部を置換した酸化
物薄膜をチャネル層に用いた超電導トランジスタを作製
しても、同様の結果が得られる。
【0081】
【発明の効果】以上実施例において述べたごとく、本発
明に係る超電導トランジスタにおいては以下に述べる効
果を有する。
【0082】(1)とくにチャネルの絶縁相状態を利用
することにより、ソース−ドレイン間の超電導、あるい
は常伝導特性に関して、ゲート入力電圧信号によって誘
起されるキャリア面密度と、零ゲ−ト電圧下でのチャネ
ル層キャリア面密度の比より大きい、変調割合が得られ
る。このために超電導トランジスタとしての利得が大幅
に向上する。
【0083】(2)6.5キロオームを境界値とした超
電導相と絶縁体相間の転移現象を利用するので、同一の
ゲート電圧信号に対する出力電圧の振幅が増大する。
【0084】(3)ソースおよびドレイン電極と、チャ
ネル層に同一の超電導薄膜を用いることができるので、
素子構造が簡略化される。
【0085】(4)ソースおよびドレイン電極と、チャ
ネル層を構成する超電導薄膜を1回の成膜工程によって
同時に形成できるので、超電導トランジスタの作製が容
易になる。
【0086】(5)段差構造等を利用するので、パター
ン形成工程が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる段差形超電導トランジスタの平
面および断面構造を示す図である。
【図2】従来形の薄膜超電導トランジスタの断面構造を
示す図である。
【図3】従来形の近接効果形超電導トランジスタの断面
構造を示す図である。
【図4】超電導と絶縁体間の転移を示す温度−抵抗特性
の例を示す図である。
【図5】(YPr)BaCu酸化物薄膜に関し、(a)
はこの薄膜をチャネル層に用いてゲート電圧を印加した
ときの誘起キャリア密度の割合と抵抗の変化割合の比の
Y濃度依存性を示す図であり、(b)はこの薄膜からな
るチャネル層をYBaCu酸化物のYサイトの10パー
セントをPr原子によって置換して形成し、これにゲー
ト電圧を印加したときの誘起キャリア密度の割合(ΔN
/N)と抵抗の変化割合(ΔR/R)の比の温度依存性
を示す図である。
【図6】実施例1に示される超電導トランジスタの平面
および断面構造を示す図である。
【図7】実施例1に示される超電導トランジスタの作製
工程を示す図である。
【図8】実施例1に示される超電導トランジスタのソー
ス−ドレイン間の抵抗を示す図である。
【図9】実施例2に示される超電導トランジスタの平面
および断面構造を示す図である。
【図10】実施例2に示される超電導トランジスタのソ
ース−ドレイン間の電圧−電流特性を示す図である。
【図11】実施例3に示される超電導トランジスタの作
製工程を示す図である。
【図12】実施例4に示される超電導トランジスタの平
面および断面構造を示す図である。
【図13】実施例4に示される超電導トランジスタの作
製工程を示す図である。
【図14】実施例5に示される超電導トランジスタの平
面および断面構造を示す図である。
【図15】実施例6に関し、(a)は本実施例における
超電導トランジスタを用いたOR基本ゲートの等価回路
を示す図であり、(b)はこのOR基本ゲートの回路構
造を示す図である。
【図16】実施例6に示されるOR基本ゲートのスイッ
チング波形を示す図である。
【図17】実施例7に示される超電導トランジスタを用
いたAND基本ゲートを示す図である。
【図18】実施例7に示されるAND基本ゲートのスイ
ッチング波形を示す図である。
【図19】特開平6−13667号公報に開示された従
来の超電導電界効果素子の概略断面図を示す。
【図20】(YPr)BaCu酸化物の臨界膜厚のY−
Pr組成に対する変化を示す図である。
【符号の説明】
1,11,21,31,41,51,61、108…基
板、2、12、22、32、42、52、62…チャネ
ル層、3、13、17、23、33、43、53、6
3、105…超電導ソース電極、4、14、18、2
4、34、44、54、64、106…超電導ドレイン
電極、5、15、25、35、45、55、65…ゲー
ト絶縁層、6、16、26、36、46、56、66…
ゲート電極、107…配線。
フロントページの続き (72)発明者 杉井 信之 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 長谷川 晴弘 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 高木 一正 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (56)参考文献 特開 平7−240541(JP,A) 特開 平4−206785(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 39/00 H01L 39/22 - 39/24

Claims (18)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】超電導材料からなるソースおよびドレイン
    電極、該電極間の信号電流の経路となるチャネル、該チ
    ャネルに電圧信号を印加するゲート電極、および該チャ
    ネルと該ゲート電極の間に形成されるゲート絶縁膜から
    なる超電導トランジスタにおいて、上記チャネルは超電
    導性を示す材料からなり且つその膜厚は室温又はこれ以
    下の温度範囲で該チャネルの面抵抗値が量子面抵抗より
    高い値を示すように設定されており、 上記チャネルは、基板の上部に形成された超電導膜の一
    部の膜厚を薄く加工して形成され、該チャネルにより分
    割された該超電導膜の一方を上記ソース電極に、他方を
    上記ドレイン電極として夫々用 いることを特徴とする超
    電導トランジスタ。
  2. 【請求項2】超電導材料からなるソースおよびドレイン
    電極、該電極間の信号電流の経路となるチャネル、該チ
    ャネルに電圧信号を印加するゲート電極、および該チャ
    ネルと該ゲート電極の間に形成されるゲート絶縁膜から
    なる超電導トランジスタにおいて、上記チャネルは超電
    導性を示す材料からなり且つその膜厚は室温又はこれ以
    下の温度範囲で該チャネルの面抵抗値が6.5キロオー
    ムより高い値を示すように設定されており、 上記チャネルは、基板の上部に形成された超電導膜の一
    部の膜厚を薄く加工して形成され、該チャネルにより分
    割された該超電導膜の一方を上記ソース電極に、他方を
    上記ドレイン電極として夫々用 いることを特徴とする超
    電導トランジスタ。
  3. 【請求項3】超電導材料からなるソースおよびドレイン
    電極、該電極間の信号電流の経路となるチャネル、該チ
    ャネルに電界を印加するゲート電極、および該チャネル
    と該ゲート電極の間に形成されるゲート絶縁膜からなる
    超電導トランジスタにおいて、上記チャネルは超電導性
    を示す材料からなり且つその膜厚は室温又はこれ以下の
    温度において上記ゲート電極からの印加電界に対する該
    チャネルの面抵抗値の変化範囲が量子面抵抗を含むよう
    に設定されており、 上記チャネルは、基板の上部に形成された超電導膜の一
    部の膜厚を薄く加工して形成され、該チャネルにより分
    割された該超電導膜の一方を上記ソース電極に、他方を
    上記ドレイン電極として夫々用 いることを特徴とする超
    電導トランジスタ。
  4. 【請求項4】超電導材料からなるソースおよびドレイン
    電極、該電極間の信号電流の経路となるチャネル、該チ
    ャネルに電界を印加するゲート電極、および該チャネル
    と該ゲート電極の間に形成されるゲート絶縁膜からなる
    超電導トランジスタにおいて、上記チャネルは超電導性
    を示す材料からなり且つその膜厚は室温又はこれ以下の
    温度において上記ゲート電極からの印加電界に対する該
    チャネルの面抵抗値の変化範囲が6.5キロオームを含
    むように設定されており、 上記チャネルは、基板の上部に形成された超電導膜の一
    部の膜厚を薄く加工して形成され、該チャネルにより分
    割された該超電導膜の一方を上記ソース電極に、他方を
    上記ドレイン電極として夫々用 いることを特徴とする超
    電導トランジスタ。
  5. 【請求項5】上記チャネルは、これを構成する超電導材
    料の臨界温度以下においても非超電導状態であることを
    特徴とする請求項1又は2に記載の超電導トランジス
    タ。
  6. 【請求項6】上記チャネルは、上記ソース電極又はドレ
    イン電極と同一の超電導材料で形成されることを特徴と
    する請求項1乃至4のいずれかに記載の超電導トランジ
    スタ。
  7. 【請求項7】上記チャネルは、上記ソース電極及びドレ
    イン電極より薄い膜厚を有することを特徴とする請求項
    6に記載の超電導トランジスタ。
  8. 【請求項8】上記チャネルは、段差部を有する基板の該
    段差部の上方に形成されることを特徴とする請求項1乃
    至7のいずれかに記載の超電導トランジスタ。
  9. 【請求項9】上記チャネルは、上記ゲート電極から電圧
    を印加しない場合において量子面抵抗より高い面抵抗値
    を示し、且つ該チャネルを構成する材料固有の臨界温度
    より低い温度にあっても非超電導性を示すことを特徴と
    する請求項1に記載の超電導トランジスタ。
  10. 【請求項10】上記チャネルを介して対向する上記ソー
    ス電極と上記ドレイン電極との距離は、該チャネルの抵
    抗値が温度の低下に従い減少するように設定されている
    ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の超
    電導トランジスタ。
  11. 【請求項11】上記ソース電極と上記ドレイン電極との
    距離は、上記ゲート電極からの印加電界に対する上記チ
    ャネルの面抵抗値が量子面抵抗以下を示す条件におい
    て、該ソース電極と該ドレイン電極から夫々該チャネル
    に滲み出した超電導領域の長さより小であることを特徴
    とする請求項10に記載の超電導トランジスタ。
  12. 【請求項12】上記チャネルは、超電導性を有する結晶
    材料からなり、その厚みは1ユニットセル以上で且つ該
    結晶材料の臨界温度以下で非超電導状態を示すように設
    定されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれ
    かに記載の超電導トランジスタ。
  13. 【請求項13】上記チャネルを構成する材料は、Y,B
    a,およびCuで構成される酸化物、Bi,Sr,Ca
    およびCuで構成される酸化物、あるいはTl,Ba,
    CaおよびCuで構成される酸化物のいずれか一に該酸
    化物に含有されない元素を添加あるいは置換した酸化物
    材料であり、且つ該酸化物材料は超電導性を示すことを
    特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の超電導
    トランジスタ。
  14. 【請求項14】上記ソース電極、ドレイン電極及びチャ
    ネルを構成する材料は、Y,Ba,およびCuで構成さ
    れる酸化物、Bi,Sr,CaおよびCuで構成される
    酸化物、あるいはTl,Ba,CaおよびCuで構成さ
    れる酸化物のいずれか一に該酸化物に含有されない元素
    を添加あるいは置換した酸化物材料であり、且つ該酸化
    物材料は超電導性を示すことを特徴とする請求項1乃至
    12のいずれかに記載の超電導トランジスタ。
  15. 【請求項15】上記ゲート電極は、上記チャネル層より
    長く、かつ該チャネル層の全域にわたって重なるように
    形成されていることを特徴とする請求項1乃至14のい
    ずれかに記載の超電導トランジスタ。
  16. 【請求項16】上記ソース電極、上記ドレイン電極およ
    び上記チャネル層は、段差部を有する基板の上部に同一
    の超電導材料からなる膜を1回の成膜工程によって形成
    され、該チャネルは該段差部の上部に該ソース電極およ
    び該ドレイン電極より厚さが薄くなるように形成されて
    いることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載
    の超電導トランジスタ。
  17. 【請求項17】請求項1乃至1のいずれかに記載の超
    電導トランジスタを含み、上記ソース電極又は上記ドレ
    イン電極につながる配線は該ソース電極又は該ドレイン
    電極と同一の超電導材料よりなることを特徴とする超電
    導回路装置。
  18. 【請求項18】請求項1乃至1のいずれかに記載の超
    電導トランジスタを含めてデジタルプロセッサ回路、ア
    ナログデータ処理回路、センサ信号処理回路、及び微小
    磁場信号処理回路のいずれかの基本回路を構成したこと
    を特徴とする超電導回路装置。
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