JP2701732B2 - 超電導三端子素子 - Google Patents

超電導三端子素子

Info

Publication number
JP2701732B2
JP2701732B2 JP6032139A JP3213994A JP2701732B2 JP 2701732 B2 JP2701732 B2 JP 2701732B2 JP 6032139 A JP6032139 A JP 6032139A JP 3213994 A JP3213994 A JP 3213994A JP 2701732 B2 JP2701732 B2 JP 2701732B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
superconducting
oxide
layer
terminal element
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP6032139A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07240541A (ja
Inventor
良信 樽谷
宇紀 樺沢
徳海 深沢
塚本  晃
一正 高木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP6032139A priority Critical patent/JP2701732B2/ja
Publication of JPH07240541A publication Critical patent/JPH07240541A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2701732B2 publication Critical patent/JP2701732B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Superconductor Devices And Manufacturing Methods Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高速デジタル回路、アナ
ログデータ処理回路、センサ回路装置、微小磁場信号検
出装置等、超電導性を用いることにより特有の性能を発
揮する超電導エレクトロニクスの分野にかかわり、とく
に高速で低消費電力性能を有する超電導三端子素子の動
作方式、素子構造および製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の超電導三端子素子には、半導体の
電界効果トランジスタに対応した動作方式の素子が得ら
れている。超電導の電界効果トランジスタはソースとド
レイン電極間の超電導電流の振幅をゲート電圧によって
制御するものである。超電導の電界効果トランジスタは
超電導の近接効果と常伝導層のキャリア分布に対する電
界効果を利用するものである。近接効果とは超電導体と
常伝導体を接すると、超電導キャリアが超電導体から常
伝導体内にしみだす現象のことである。従って常伝導層
を介して2個の超電導電極を接続すると、超電導電極間
で超電導電流が流れる。この超電導電流はゲート電圧を
印加することにより、電界効果によって制御される。こ
のような素子の例はフィジカル・レビュー・レター、5
4巻、2449頁,1985年に述べられている。
(H.Takayanagi et al., Phy
s. Rev. Lett., Vol.54, 24
49 (1985)) さらに極薄超電導膜に対してゲート電極による電界を直
接加えることにより、臨界温度や臨界電流等の超電導特
性を増大、あるいは低減させる方法も知られている。上
記のごとく、ゲート電極から印加する電界によって制御
する超電導トランジスタとしては、超電導電極間の常伝
導層を電界効果トランジスタのチャネル層とする方式
と、超電導層そのものをチャネル層とする方式が考えら
れる。このような素子の例はフィジカル・レビュー・レ
ター、67巻、2099頁,1991年に述べられてい
る。(J.Mannhart et al., Phy
s.Rev. Lett., Vol.67, 209
9 (1991))
【0003】
【発明が解決しようとする課題】常伝導層をチャネル層
とする超電導三端子素子は超電導近接効果を生じさせる
ために、超電導電極間の距離を0.1ミクロン、あるい
はこれ以下の寸法にする必要がある。このような寸法を
実現するには極めて高度のパターン形成技術を必要とす
る。一方、超電導層そのものをチャネル層とする場合、
このようなチャネル層の長さや幅に関する寸法制約は存
在しない。主として、電界効果の及ぶ程度の、膜厚10
ナノメートル以下の極薄超電導膜を形成する技術を有す
れば、超電導層をチャネル層とする超電導三端子素子は
形成可能である。しかしながら、超電導層をチャネル層
とする超電導三端子素子には以下に述べる問題点があっ
た。 (1)超電導膜に直接電界を印加する場合、たとえ膜厚
が10ナノメートル以下の薄さであるとしても、電界に
よって制御できる範囲はたとえば超電導臨界温度にして
高々数度である。したがって、素子として利用するに
は、超電導膜の臨界温度を動作温度近傍にあわせ込む必
要がある。たとえあわせ込んだとしても、超電導状態と
常伝導状態間の転移幅が広ければ、膜全体に渡って超電
導になった状態と常伝導になった状態間をスイッチさせ
ることができないので、充分な利得を得ることができな
い。
【0004】(2)従来の超電導膜をチャネル層とする
三端子素子は電極として超電導膜ではなく、AuやA
g,Pt等の貴金属薄膜が用いられてきた。この理由は
極薄超電導膜の上に電極となす超電導膜を積層し、積層
した超電導膜のみに加工を施して電極とすることは極め
て困難である。このような加工工程で、下地の極薄超電
導膜までもがエッチングされる。エッチングの深さをナ
ノメートルあるいはこれ以下の寸法で制御するのは、電
極用超電導膜とチャネル用極薄超電導膜の膜厚比から判
断して、事実上不可能であるからである。エッチングの
問題以外に、加工による損傷により、極薄超電導膜の超
電導特性が損なわれる。
【0005】そこで本発明の課題は超電導層をチャネル
層とし、このチャネル層の伝導特性を電界によって制御
する超電導三端子素子に関して、回路素子として用いる
に十分な利得を有し、かつ回路中で超電導接続を行うた
めに、チャネル層の両側に一対の超電導電極を設けるの
を可能にするための、素子の動作方式、素子構造および
製造方法を与えるものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する電界
効果型の超電導三端子素子を得るために、以下の素子構
造、動作方式、および製造方法を与える。
【0007】超電導三端子素子を銅酸化物系の超電導層
と常伝導層との積層膜からなるチャネル層、銅酸化物か
らなる1対の超電導電極、これらに接する酸化物絶縁
層、および酸化物絶縁層を介して電界を印加するための
超電導あるいは常伝導電極によって構成し、動作方式と
して、電界制御による超電導層の超電導状態−絶縁体状
態間の転移を利用し、かつ超電導層からなるチャネル層
を1対の超電導電極より上部に配する構造とする。
【0008】チャネル層を構成する超電導層および超電
導電極としてY−Ba−Cu酸化物、Bi−Sr−Ca
−Cu酸化物、あるいはTl−Ba−Ca−Cu酸化物
等の銅酸化物、あるいはこれらの酸化物を構成する金属
元素の一部を他の希土類元素、アルカリ土類元素、遷移
金属元素等で置換した銅酸化物を用いる。
【0009】Y−Ba−Cu酸化物、Bi−Sr−Ca
−Cu酸化物、あるいはTl−Ba−Ca−Cu酸化物
等からなる超電導層によりチャネル層を構成し、かつそ
の結晶構造のc軸が膜面にたいして垂直である配向性を
有する酸化物薄膜を用いる。
【0010】チャネル層を超電導層と常伝導層の積層膜
により構成し、かつ常伝導層を超電導層と超電導電極と
の間に挿入された構造とする。
【0011】チャネル層を超電導層と2層の常伝導層の
積層膜により構成し、かつ超電導層が2層の常伝導層の
間に挿入された構造とする。
【0012】チャネル層を構成する超電導層の膜厚を1
0nm以下とし、かつ超電導層を構成する酸化物結晶の
ユニットセル以上の膜厚とする。
【0013】超電導状態から常伝導状態に転移したとき
の素子抵抗値が室温における値より高くなるように、チ
ャネル層を構成する超電導層の抵抗率、長さ、幅および
膜厚を設定する。
【0014】超電導状態から常伝導状態に転移したとき
の素子抵抗値が6キロオームより高くなるように、チャ
ネル層を構成する超電導層の抵抗値を設定する。
【0015】銅酸化物系の超電導層からなるチャネル層
の形成工程が銅酸化物からなる1対の超電導電極の形成
工程より後工程になるような、超電導三端子素子の製造
方法とする。
【0016】ソースおよびドレインとなる酸化物超電導
薄膜のチャネル側の膜端部で、45度以上のテーパを有
するような断面形状とする。
【0017】
【作用】以上の超電導三端子素子の構造および動作方式
は以下の理由により、回路素子として用いるに十分な利
得を有し、かつ回路中で超電導接続を行うために、チャ
ネル層の両側に一対の超電導電極を設けるのを可能にす
る。
【0018】本発明の動作原理は超電導体の超電導状態
と絶縁体状態間の相転移を利用するものである。すなわ
ち、常伝導状態での抵抗値が量子抵抗値より小さい場
合、超電導膜は抵抗が零の超電導状態に達する。量子抵
抗とは材料の寸法とは無関係に決まる量であり、プラン
ク定数をh、素電荷をeとして、h/(4exe)で表
され、この値は6キロオームである。一方、常伝導状態
での抵抗値が量子抵抗値より大きい場合、超電導膜は抵
抗が零の超電導状態に達することなく、逆に抵抗値が大
きくなり、絶対零度に向けて、絶縁体状態に達する。
【0019】酸化物超電導薄膜に電界を印加する場合、
酸化物中のキャリアがホールの場合、負電界を印加すれ
ば蓄積層が形成され、キャリア濃度が増加し、この結果
として超電導臨界温度が上昇する。正電界を印加すれば
空乏層が形成され、キャリア濃度が減少し、この結果と
して超電導臨界温度が低下する。
【0020】酸化物超電導薄膜の常伝導状態、たとえば
室温での抵抗値が量子化抵抗より大きい場合、先に述べ
た条件にしたがえば、低温で抵抗値が発散するので、た
とえば液体窒素温度(77K)では三端子素子としてノ
ーマリオフの状態にある。したがって、負電界を印加し
てキャリア濃度を増大させ、抵抗値が量子化抵抗より低
くなるようにすれば、低温で超電導状態になり、抵抗値
も零になる。
【0021】逆に酸化物超電導薄膜の常伝導状態での抵
抗値が量子化抵抗より小さい場合、先に述べた条件にし
たがえば、低温で超電導状態になり、抵抗値が零になる
ので、たとえば液体窒素温度(77K)では三端子素子
としてノーマリオンの状態にある。したがって、正電界
を印加してキャリア濃度を減少させ、抵抗値が量子化抵
抗より大きくなるようにすれば、低温で抵抗値が増大し
て発散し、絶縁状態になる。
【0022】このようにして、本発明にかかる超電導三
端子素子は液体窒素温度近傍で超電導状態と絶縁体状態
間のスイッチングを行うので、従来の超電導膜の臨界温
度を調節する方式と比較して、大幅な利得の向上を得る
ことができる。ただし、電界を印加しない状態での酸化
物超電導薄膜の抵抗値が量子化抵抗に近い値であること
がスイッチングの利得を確保する上で望ましいことは明
らかである。
【0023】酸化物超電導薄膜用の材料として掲げたY
−Ba−Cu酸化物、Bi−Sr−Ca−Cu酸化物、
あるいはTl−Ba−Ca−Cu酸化物等の銅酸化物、
あるいはこれらの酸化物を構成する金属元素の一部を他
の希土類元素、アルカリ土類元素、遷移金属元素等で置
換した銅酸化物等は常伝導状態での抵抗率は10のマイ
ナス2乗から3乗オームセンチメートル前後である。全
体として微細なパターンを形成しやすい正方形のチャネ
ル層を想定すれば、量子化抵抗を得るには膜厚を10ナ
ノメートル以下にする必要がある。ただし、膜厚が1ユ
ニットセル以下では、キャリア濃度を増大させても超電
導状態に達しないので、1ユニットセル以上の膜厚とす
る必要がある。逆にこのような超電導薄膜の膜厚は超電
導膜の全体に渡って電界効果を及ぼすのに必要十分な寸
法である。
【0024】酸化物超電導薄膜をチャネル層とする超電
導三端子素子では、酸化物超電導薄膜そのものをソース
およびドレイン電極とすることもできるが、回路用の素
子として用いるには酸化物超電導薄膜より1桁膜厚の厚
い超電導配線に接続する必要がある。チャネル層の長さ
を決定づけるためにも、酸化物超電導薄膜より1桁、あ
るいはこれ以上膜厚の厚い酸化物超電導薄膜からなるソ
ースおよびドレイン電極に接続する必要がある。
【0025】しかしながら、従来技術により酸化物超電
導薄膜とソースおよびドレイン電極となる相対的に膜厚
の厚い酸化物超電導薄膜を積層化することは極めて困難
であり、本発明にかかる素子構造及び製造方法は以下の
理由により、チャネル層とソースおよびドレイン電極間
の積層を可能にする。
【0026】イオンエッチング等の加工によるパターン
形成工程での、深さ方向の加工精度は加工しようとする
膜厚の高々10%である。したがって、ソースおよびド
レイン電極となす超電導膜の対する加工誤差はチャネル
層となる酸化物超電導薄膜の膜厚を、場合によっては上
回ることになる。本発明ではソースおよびドレイン電
極、さらにはこれら電極につながる配線層の成膜とパタ
ーン形成のあとに、酸化物超電導薄膜からなるチャネル
層の成膜およびパターン形成が製造工程として組み込ま
れる。したがって、チャネル層としての酸化物超電導薄
膜はその形状が成膜された状態に保たれる。
【0027】チャネル層に供する酸化物超電導薄膜は膜
形状が保たれるだけでなく、結晶構造が本来の構造に維
持され、結晶方位も所定の方向に制御される必要があ
る。チャネル層に供する酸化物超電導薄膜と、ソースお
よびドレイン超電導膜の間に挿入された酸化物常伝導層
はソースおよびドレイン電極パターンの加工工程で生じ
た下地ダメージ層の影響を吸収し、結晶性を回復させる
役割を有する。たとえ酸化物超電導層が不連続になって
いたとしても、酸化物常伝導層によって超電導接続が確
保される。しかも酸化物常伝導層の膜厚が10ナノメー
トル以下の膜厚であれば、近接効果により、チャネル層
とソースおよびドレイン電極間は超電導状態で接続され
る。ソースおよびドレインとなる酸化物超電導薄膜のチ
ャネル側の膜端部を45度以上のテーパを有するような
断面形状とすれば、この上に形成されるチャネル層とな
るべき酸化物超電導薄膜はソースおよびドレイン電極の
上部および膜端部、さらには下地層上で結晶方位が一定
の方向に保たれる。
【0028】
【実施例】本発明を以下の実施例にもとづいて説明す
る。
【0029】〔実施例1〕図1に示すごとく、酸化物超
電導薄膜および酸化物常伝導薄膜よりなるチャネル層1
1、酸化物超電導薄膜よりなるソース電極12、および
ドレイン電極13、ゲート電極26およびゲート絶縁膜
25からなる超電導三端子素子を作製する。チャネル層
11は膜厚2.4ナノメートル、すなわち2ユニットセ
ルのY−Ba−Cu酸化物薄膜24と、その下層に膜厚
2.4ナノメートルで、やはり2ユニットセルのPr−
Ba−Cu酸化物薄膜23を重ねた構造の積層膜とす
る。ソース超電導電極12、およびドレイン超電導電極
13はY−Ba−Cu酸化物薄膜22とする。さらにゲ
ート絶縁膜25はチタン酸ストロンチウム、ゲート電極
はAu膜26とする。超電導三端子素子はチタン酸スト
ロンチウム単結晶21上に搭載される。
【0030】超電導三端子素子の製造方法は以下の通り
とする。表面を機械研磨および化学研磨によって平坦化
した面方位(100)のチタン酸ストロンチウム単結晶
を基板材21として用いる。チタン酸ストロンチウム単
結晶基板21上に、ソースおよびドレイン電極となる膜
厚100ナノメートル以下のY−Ba−Cu酸化物薄膜
をレーザ蒸着法により形成する。すなわち、圧力50パ
スカルまでの酸素を導入したレーザ蒸着装置を用いて、
フッ化クリプトンのエキシマレーザビームをY−Ba−
Cu酸化物ターゲットに照射し、500−700度に加
熱したチタン酸ストロンチウム基板上にc軸配向のY−
Ba−Cu酸化物薄膜22を堆積させる。つぎにソース
およびドレインとなるべきY−Ba−Cu酸化物層の電
極膜パターンを形成する。電子線描画法によってレジス
ト膜パターンの形成を行い、Arと酸素の混合ガスによ
るイオンビームエッチング法によりレジスト膜パターン
をY−Ba−Cu酸化物層に転写し、ソース12および
ドレイン超電導電極13とする。テーパエッチングによ
りY−Ba−Cu酸化物膜端部の角度を45度以下にす
る。
【0031】つぎにチャネル層となるべきPr−Ba−
Cu酸化物23とY−Ba−Cu酸化物24の積層膜を
やはりレーザ蒸着法によって堆積する。成膜条件はソー
スおよびドレイン電極と同一とする。つぎにチャネル層
となるべきY−Ba−Cu酸化物二層膜の矩形形状のパ
ターンを形成する。電子線描画法によってレジスト膜パ
ターンの形成を行い、Arと酸素の混合ガスによるイオ
ンビームエッチング法によりレジスト膜パターンをY−
Ba−Cu酸化物層に転写し、チャネル層11とする。
【0032】さらにソース電極およびドレイン電極にま
たがって、チタン酸ストロンチウムの層間絶縁膜25を
エキシマレーザを用いたレーザ蒸着法により形成する。
ソース電極12とドレイン超電導電極13の間にチタン
酸ストロンチウム層間絶縁膜を介してAu膜を形成し、
ゲート電極膜26とする。
【0033】以上の工程により、得られた超電導三端子
素子の特性は以下のとおりである。すなわち、図2に示
すごとく、ゲート電圧が零の場合(図2符号31)、液
体窒素温度でソースとドレイン間は超電導状態であり、
100K以上の高温では4キロオームの抵抗値を示す。
しかるにゲート電極に2V以上の正電圧を印加した場合
(図2符号32)、ソースとドレイン間は有限抵抗状態
になった。図3に示すごとく、この抵抗値は温度を下げ
るほど増大し、液体ヘリウム温度(4.2K)では室温
での抵抗値の10倍以上となった。
【0034】このようにチャネル部が超電導状態と絶縁
状態間の相転移を生じることにより、スイッチング動作
を行うことを示している。これによりスイッチングのオ
ン状態とオフ状態間が、超電導状態と絶縁体状態に対応
するので、高い利得が得られる。したがって、集積化し
て論理演算回路等の機能回路を組むのに適している。こ
のような超電導三端子素子はチャネル層、ソースおよび
ドレイン電極として、Bi−Sr−Ca−Cu酸化物、
あるいはTl−Ba−Ca−Cu酸化物等、他の銅酸化
物を用いることによっても同様に構成することができ
る。
【0035】〔実施例2〕図4に示すごとく、酸化物超
電導薄膜および酸化物常伝導薄膜よりなるチャネル層1
1、酸化物超電導薄膜よりなるソース電極12、および
ドレイン電極13、ゲート電極26およびゲート絶縁膜
25からなる超電導三端子素子を作製する。チャネル層
11は膜厚1.2ナノメートル、すなわち1ユニットセ
ルのY−Ba−Cu酸化物薄膜24の上下にそれぞれ膜
厚2.4ナノメートルで、2ユニットセルのPr−Ba
−Cu酸化物薄膜23を挾んだ構造の積層膜とする。ソ
ース超電導電極12、およびドレイン超電導電極13は
Y−Ba−Cu酸化物薄膜とする。さらにゲート絶縁膜
25はチタン酸ストロンチウム、ゲート電極はAu膜2
6とする。超電導三端子素子はチタン酸ストロンチウム
単結晶21上に搭載される。
【0036】超電導三端子素子の製造方法は実施例1と
同様である。得られた超電導三端子素子の特性は以下の
とおりである。すなわち、図4に示すごとく、ゲート電
圧が零の場合21、温度20Kでソースとドレイン間は
抵抗状態であり、100K以上の高温では10キロオー
ムの抵抗値を示す。この抵抗値は温度を下げるほど増大
し、液体ヘリウム温度(4.2K)では室温での抵抗値
の10倍以上となった。しかるにゲート電極に2V以上
の負電圧を印加した場合23、ソースとドレイン間は抵
抗零の超電導状態になった。
【0037】このようにチャネル部が超電導状態と絶縁
状態間の相転移を生じることにより、スイッチング動作
を行うことを示している。このような超電導三端子素子
はチャネル層、ソースおよびドレイン電極として、Bi
−Sr−Ca−Cu酸化物、あるいはTl−Ba−Ca
−Cu酸化物等、他の銅酸化物を用いることによっても
同様に構成することができる。さらに本実施例にかかる
超電導三端子素子のソースとドレイン電極は超電導回路
中の配線の一部として用いられる。したがって本超電導
三端子素子は集積化されて論理演算回路等の機能回路を
構成する。スイッチング速度に関しては、チャネル層の
面積、とくにソースとドレイン電極間の距離を短くする
ことにより高速化することができる。
【0038】
【発明の効果】以上実施例において述べたごとく、本発
明においては以下に述べる効果を有する。
【0039】(1)スイッチングのオン状態とオフ状態
間が、超電導状態と絶縁体状態に対応するので、高い利
得が得られる。したがって集積化して論理演算回路等の
機能回路を組むのに適している。
【0040】(2)ソースとドレイン電極が超電導回路
中の配線の一部として用いることができるので、本超電
導三端子素子を集積化して論理演算回路等の機能回路を
構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1にもとづく超電導三端子素子の素子構
造。
【図2】実施例1にもとづく超電導三端子素子のオン状
態−オフ状態間のスイッチング図。
【図3】実施例1にもとづく超電導三端子素子のオン状
態およびオフ状態の温度−抵抗特性。
【図4】実施例2にもとづく超電導三端子素子の素子構
造。
【図5】実施例2にもとづく超電導三端子素子のオン状
態−オフ状態間のスイッチング図。
【図6】実施例2にもとづく超電導三端子素子のオン状
態およびオフ状態の温度−抵抗特性。
【符号の説明】
11…チャネル層、12…ソース電極、13…ドレイン
電極、21…基板、22…Y−Ba−Cu酸化物薄膜、
23…Pr−Ba−Cu酸化物常伝導層、24…Y−B
a−Cu酸化物超電導層、25…ゲート絶縁膜、26…
ゲート電極、31…零ゲート電圧、32…正ゲート電
圧、33…負ゲート電圧。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 塚本 晃 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 高木 一正 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (56)参考文献 特開 平5−55648(JP,A) 特開 平5−152628(JP,A) 特開 平5−275759(JP,A)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に形成された一対の超電導電極、上
    記一対の超電導電極間を覆うように設けられたチャネル
    層、上記チャネル上に絶縁膜を介して形成されたゲ一卜
    電極とにより構成された超電導三端子素子において、上
    記チャネル層は、超電導層と常伝導層との積層膜より構
    成され、上記超電導層の膜厚は1.2〜2.4ナノメー
    トルであることを特徴とする超電導三端子素子。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の超電導三端子素子におい
    て、上記一対の超電導電極および上記チャネル層は、Y
    ーBaーCu酸化物、BiーSrーCaーCu酸化物あるいはTlーBa
    ーCaーCu酸化物等の銅酸化物、あるいはこれらの酸化物
    を構成する金属元素の一部を他の希土類元素、アルカリ
    土類元素、遷移金属元素等で置換した銅酸化物を用いる
    ことを特徴とする超電導三端子素子。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載の超電導三端子素
    子において、上記チャネル層の結晶構造のC軸は膜面に
    対して垂直である配向性を有することを特徴とする超電
    導三端子素子。
  4. 【請求項4】請求項1ないし3のいずれかに記載の超電
    導三端子素子において、上記積層膜は常伝導層が超電導
    層と上記超電導電極との間に挿入される構成となること
    を特徴とする超電導三端子素子。
  5. 【請求項5】請求項1ないし3のいずれかに記載の超電
    導三端子素子において、上記積層膜は、超電導層が2層
    の常伝導層の間に挿入された構造であることを特徴とす
    る超伝導三端子素子。
JP6032139A 1994-03-02 1994-03-02 超電導三端子素子 Expired - Fee Related JP2701732B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6032139A JP2701732B2 (ja) 1994-03-02 1994-03-02 超電導三端子素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6032139A JP2701732B2 (ja) 1994-03-02 1994-03-02 超電導三端子素子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07240541A JPH07240541A (ja) 1995-09-12
JP2701732B2 true JP2701732B2 (ja) 1998-01-21

Family

ID=12350572

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6032139A Expired - Fee Related JP2701732B2 (ja) 1994-03-02 1994-03-02 超電導三端子素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2701732B2 (ja)

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0555648A (ja) * 1991-08-26 1993-03-05 Sumitomo Electric Ind Ltd 超電導素子
JP2773503B2 (ja) * 1991-11-30 1998-07-09 住友電気工業株式会社 超電導電界効果型素子およびその作製方法
JP3221037B2 (ja) * 1992-03-26 2001-10-22 セイコーエプソン株式会社 電流変調装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07240541A (ja) 1995-09-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5416072A (en) Superconducting device having an thin superconducting channel formed of oxide superconducting material
US5621223A (en) Superconducting device having a reduced thickness of oxide superconducting layer and method for manufacturing the same
US5446015A (en) Superconducting device having a reduced thickness of oxide superconducting layer
JP2701732B2 (ja) 超電導三端子素子
JPH0834320B2 (ja) 超電導素子
JP2614939B2 (ja) 超電導素子および作製方法
JP2867956B2 (ja) 超電導トランジスタ
JP2907094B2 (ja) 超電導トランジスタ
JP2738144B2 (ja) 超電導素子および作製方法
CA2052379C (en) Superconducting device having an extremely thin superconducting channel formed of oxide superconductor material
JP2641966B2 (ja) 超電導素子および作製方法
JP2614940B2 (ja) 超電導素子および作製方法
JP2599500B2 (ja) 超電導素子および作製方法
Sweeny et al. Materials and fabrication processes for Nb-Si-Nb SNAP devices
JP2597745B2 (ja) 超電導素子および作製方法
EP0487922B1 (en) High speed switching electron device
JP2691065B2 (ja) 超電導素子および作製方法
JP2647251B2 (ja) 超電導素子および作製方法
JP2641976B2 (ja) 超電導素子および作製方法
JP2599499B2 (ja) 超電導素子および作製方法
JP2731513B2 (ja) 超電導素子およびその製造方法
JP2597747B2 (ja) 超電導素子および作製方法
JPH0831625B2 (ja) 超電導三端子素子
JP2597743B2 (ja) 超電導素子の作製方法
JP2641970B2 (ja) 超電導素子および作製方法

Legal Events

Date Code Title Description
S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees