JP2954562B2 - 超伝導平面回路及びその製造方法 - Google Patents

超伝導平面回路及びその製造方法

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JP2954562B2 JP10013825A JP1382598A JP2954562B2 JP 2954562 B2 JP2954562 B2 JP 2954562B2 JP 10013825 A JP10013825 A JP 10013825A JP 1382598 A JP1382598 A JP 1382598A JP 2954562 B2 JP2954562 B2 JP 2954562B2
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博紀 星崎
雅志 布施
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超伝導平面回路及
びその製造方法に関し、詳しくは高温超伝導平面回路の
給電部における電極構造及び接続構造と、その製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、超伝導特性を利用したフィルタ回
路やアンプ回路等の超伝導平面回路に関する研究、開発
が盛んに行われている。このような超伝導平面回路は、
特定の温度条件下で電気抵抗をほぼ0とすることができ
るため、移動体通信や衛星通信等で用いられるマイクロ
波集積回路に適用することにより、信号損失の大幅な低
減や周波数応答性の向上等、金属配線を用いた回路には
ない優れた特性を実現することができる。
【0003】ところで、上述したように、超伝導平面回
路において超伝導特性を実現するためには、例えば超伝
導フィルタ回路部分を所定の温度条件下に保持する必要
がある。そのため、通常の金属配線部分と、超伝導フィ
ルタ回路との接続構造としては、金属配線側からの熱伝
導を抑制しつつ、伝達される信号の整合性を確保する必
要がある。
【0004】従来技術に係る超伝導平面回路の電極構造
及び接続構造について、図5を参照して説明する。図5
(a)において、例えば超伝導フィルタ回路10は、酸
化マグネシウムの基板1上に図示を省略した所定の回路
パターン2が形成され、その端部2aにおいて、基板外
部から延在するコネクタ電極4との電気的な接続が行わ
れる。
【0005】具体的には、図5(b)に示すように、酸
化マグネシウム(MgO)の基板1上にイットリウム
(Y)、バリウム(Ba)、銅オキサイド(CuO)か
らなるY−Ba−Cu−O系(以下、YBCO系と記
す)等の超伝導薄膜により、フィルタ回路のパターン2
が形成される。そして、フィルタ回路のパターン2の端
部2aにおいて、超伝導薄膜上から基板1上に延在する
金(Au)単層からなる電極層を形成することにより、
フィルタ回路を構成する超伝導薄膜をAuによりメタラ
イズ化するとともに、基板1上に延在する電極パッド3
を形成する。
【0006】さらに、電極パッド3と同等の幅を有し、
Auからなるリボン状の配線6を電極パッド3及び基板
1外部から延在するコネクタ電極4にボンディングする
ことにより、基板1外部から所定の電位を超伝導フィル
タ回路10に供給する給電部が形成される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような高温超伝導フィルタ回路の電極構造及び接続構
造においては、以下のような問題を有している。 電極パッド3を構成するAuと、超伝導薄膜の密着性
は非常に悪い。また、電極パッド3を構成するAuと、
基板1を構成するMgOとの密着性も悪い。この基板1
との密着性を改善する目的で、電極パッド3を構成する
金属にTi(チタン)等の活性金属を用いると、超伝導
薄膜との電気接続がとれなくなる。 超伝導回路と、所定の給電電位を供給するコネクタ電
極4との間でインピーダンス整合させるため、超伝導回
路の線路幅(回路パターンの幅)と等しいリボン幅を持
つリボン状配線6の応力が電極パッド3に直接印加され
るため、温度変化が繰り返される冷熱時に、基板1から
電極パッド3が剥離して回路装置の耐久性が劣化する。
【0008】本発明の目的は、上記課題を解決し、超伝
導平面回路の耐久性及び動作特性を向上させることがで
きる超伝導平面回路及びその製造方法を提供することに
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述の目的を
達成するためになされたものであって、外部と熱的に遮
断された系内で用いられ、該系内の所定の熱的雰囲気内
でのみ超伝導特性を示す超伝導平面回路の端部に設けら
れたメタライズ層に一部が重なり、所定の線路幅で前記
超伝導平面回路が形成された基板上に延在する第1の電
極部と、前記基板外部から延在して設けられ、前記超伝
導平面回路への給電電位が印加される第2の電極部と、
前記第1の電極部及び前記第2の電極部とを電気的に接
続する金属ワイヤと、を有する超伝導平面回路の改良技
術である。
【0010】請求項1記載の発明は、上述の超伝導平面
回路において、前記第1の電極部の線路幅をw、前記金
属ワイヤの線径をd、前記第1の電極部の線路幅あたり
の前記金属ワイヤの本数をnとした場合、2≦w/nd
≦5の関係を満たす条件で前記金属ワイヤを前記第1の
電極部の線路幅に対し、分散して配置したことを特徴と
している。
【0011】また、請求項記載の発明は、請求項
載の超伝導平面回路において、前記超伝導平面回路が形
成された基板は、酸化マグネシウムの単結晶基板であっ
て、前記第1の電極部は、前記基板との密着性が高い第
1の金属層と、前記金属ワイヤとの接合性が高い第2の
金属層と、前記第1の金属層及び前記第2の金属層との
間に介在して、拡散バリアとなる第3の金属層と、から
構成されていることを特徴としている。
【0012】また、請求項記載の発明は、請求項
載の超伝導平面回路において、前記第1の金属層は、少
なくともチタン、アルミニウム、クロムのいずれか1種
類の金属であり、前記第2の金属層は、少なくとも金、
白金のいずれか1種類の金属であり、前記第3の金属層
は、少なくともニッケル、白金のいずれか1種類の金属
であり、前記メタライズ層は、少なくとも金、白金のい
ずれか1種類の金属であり、前記金属ワイヤは、金ワイ
ヤであることを特徴としている。
【0013】そして、請求項記載の発明は、酸化物系
の基板上に超伝導薄膜を形成する工程と、前記超伝導薄
膜上の任意の領域にメタライズ層を形成する工程と、前
記メタライズ層の形成領域と連続する所定の回路パター
ンに対応した第1のレジスト膜を形成する工程と、前記
第1のレジスト膜をマスクとして前記基板上の前記メタ
ライズ層及び前記超伝導薄膜をエッチングし、前記超伝
導薄膜からなり、両端に前記メタライズ層が形成された
前記回路パターンを形成する工程と、前記メタライズ層
及びその近傍領域を露出する第2のレジストを形成する
工程と、前記基板上の全域に複数の金属層を順次積層す
る工程と、前記第2のレジストを除去し、前記メタライ
ズ層上及びその近傍領域に延在する前記複数の金属層を
形成する工程と、前記近傍領域に延在する前記複数の金
属層と、前記基板外部の所定の電極とを金属ワイヤによ
りボンディングする工程と、を有することを特徴として
いる。
【0014】また、請求項記載の発明は、請求項
載の超伝導平面回路の製造方法において、前記近傍領域
に延在する前記複数の金属層の幅をw、前記金属ワイヤ
の線径をd、前記第1の電極部の線路幅あたりの前記金
属ワイヤの本数をnとした場合、2≦w/nd≦5の関
係を満たす条件で前記金属ワイヤを前記複数の金属層の
幅に対し、分散して配置したことを特徴としている。
【0015】また、請求項記載の発明は、請求項
記載の超伝導平面回路の製造方法において、前記基
板は、酸化マグネシウムの単結晶基板であって、前記複
数の金属層は、前記基板との密着性が高い第1の金属層
と、前記金属ワイヤとの接合性が高い第2の金属層と、
前記第1の金属層及び前記第2の金属層との間に介在し
て、拡散バリアとなる第3の金属層と、から構成されて
いることを特徴としている。
【0016】また、請求項記載の発明は、請求項
載の超伝導平面回路の製造方法において、前記第1の金
属層は、少なくともチタン、アルミニウム、クロムのい
ずれか1種類の金属であり、前記第2の金属層は、少な
くとも金、白金のいずれか1種類の金属であり、前記第
3の金属層は、少なくともニッケル、白金のいずれか1
種類の金属であり、前記メタライズ層は、少なくとも
金、白金のいずれか1種類の金属であり、前記金属ワイ
ヤは、金ワイヤであることを特徴としている。以上
【0017】すなわち、本発明に係る超伝導平面回路及
びその製造方法は、超伝導平面回路の電極パッドを3層
構造とし、基板と直接接する第1の金属層として、基板
との密着性が高い金属を使用し、ワイヤボンディングさ
れる第2の金属層として、ワイヤ金属との接合性の高い
貴金属を使用し、第1の金属層及び前記第2の金属層と
の間に介在する第3の金属層として、第1及び第2の金
属層に使用される金属相互の(ワイヤボンディング時
の)拡散を防止する金属を使用することを特徴としてい
る。
【0018】また、上記3層構造の電極パッドと、超伝
導平面回路(基板)外部のコネクタ電極間を所定の条件
を満たす線径及び本数の金属ワイヤでボンディング接続
することを特徴としている。したがって、本発明によれ
ば、基板と電極パッドとの密着性を向上させることがで
き、また、ワイヤ状の配線により電極パッドとコネクタ
電極とがボンディング接続されているため、温度変化の
繰り返しによる応力の集中を抑制して、電極パッドの剥
離を防止することができ、回路装置の耐久性を向上させ
ることができる。
【0019】また、電極パッドとコネクタ電極とが所定
の線径及び本数のワイヤ状の配線によりボンディング接
続されているため、基板とコネクタ電極との間のインピ
ーダンス整合を確保しやすくなり、超伝導平面回路の動
作特性を保持することができる。また、第1の金属層
は、酸化物の基板との間の密着性に優れた材料が用いら
れるが、非常に酸化しやすいため、酸化物系超伝導体と
接触すると、超伝導体から酸素を奪って酸化し、酸素を
奪われた超伝導体の超伝導特性を劣化させる。
【0020】本発明の製造方法によれば、基板との密着
性の高い第1の金属層が超伝導薄膜に直接接触すること
がないため、超伝導薄膜との電気接続を損なうことなく
(上記特性の劣化を生じることなく)、基板との密着性
を上げることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基
づいて説明する。まず、本発明に係る超伝導平面回路の
一実施例について、図1を参照して説明する。図1にお
いて、超伝導平面回路を構成する高温超伝導フィルタ回
路10は、所定のフィルタ回路のパターン2が一面側に
形成されるフィルタ基板1と、超伝導薄膜による形成さ
れたフィルタ回路のパターン2と、フィルタ回路のパタ
ーン2の端部に設けられたメタライズ層(以下、端部メ
タライズ層という)8上からフィルタ基板1上に延在し
て設けられた電極パッド3と、フィルタ基板1外部から
フィルタ回路に所定の給電電位を供給するコネクタ電極
4と、電極パッド3とコネクタ電極4とをボンディング
接続するAuワイヤ5と、を有して構成されている。
【0022】ここで、回路パターン2の端部メタライス
層8は給電配線部を構成し、電極パッド3は第1の電極
部を構成し、コネクタ電極4は第2の電極部を構成す
る。フィルタ基板1は、従来技術において示したよう
に、例えば、MgO基板であって、基板1上面にはYB
CO系超伝導薄膜により所定のフィルタ回路のパターン
2が形成されている。
【0023】電極パッド3は、フィルタ回路のパターン
2の所定の端部、すなわちフィルタ基板1の外部から所
定の給電電位が供給される給電端に設けられ、パターン
2を構成する超伝導薄膜の所定の端部メタライズ層8上
からフィルタ基板1上へ延在して形成されている。ここ
で、電極パッド3は、後述するように、チタン(T
i)、白金(Pt)及び金(Au)からなる3層構造を
有している。
【0024】コネクタ電極4は、フィルタ基板1の外部
にあって、例えば3本の金(Au)ワイヤに接続された
電極パッド3を介してフィルタ回路に所定の給電電位を
供給する。次に、上述した実施例における電極パッドの
構造について、図2を参照して説明する。
【0025】図2に示すように、電極パッド3は、フィ
ルタ基板1上に形成された超伝導薄膜による回路パター
ン2の所定の端部メタライズ層8上からフィルタ基板1
上に延在して形成される。そして、電極パッド3は、例
えば3層構造を有し、フィルタ基板1と直接接する最下
層(第1の金属層)としてTiの薄膜層3a、Auワイ
ヤ5によりボンディング接続される最上層(第2の金属
層)としてAuの薄膜層3b、Ti及びAuの薄膜層3
a、3b間の中間層(第3の金属層)としてPtの薄膜
層3cを積層して形成されている。
【0026】すなわち、Tiの薄膜層3aは、フィルタ
基板1のMgOとの密着性を確保し、Auの薄膜層3b
は、Auワイヤ5との接合性を確保する。また、中間層
のPtの薄膜層3cは、Ti及びAuの薄膜層3a、3
b相互の密着性を高めるとともに、ワイヤボンディング
時の相互の金属原子の拡散を防止する拡散バリアとして
機能する。
【0027】なお、回路パターン2と電極パッド3の最
下層のTiの薄膜層3aとの境界面は、回路パターン2
を構成する超伝導薄膜を、Au等により予めメタライズ
化して形成した層(メタライズ層8)を介することによ
り、良好な電気伝導性が確保されている。Auワイヤ5
は、ワイヤの線径をd、ワイヤの本数をn、電極パッド
3の線路幅をwとした場合、次の関係を満たすように設
定される。
【0028】 2≦w/nd≦5 ・・・(1) そして、上記条件の関係を満たす線径dのn本のAuワ
イヤ5は、電極パッド3の線路幅wに対して、分散して
配置するように電極パッド3及びコネクタ電極4にボン
ディング接続される。次に、(1)式に示した金属ワイ
ヤ2と電極パッドとの関係について、さらに詳しく説明
する。
【0029】まず、上記(1)式を導出するために行っ
た実験の条件を表1に示す。 (以下余白)
【0030】
【表1】
【0031】表1に示すように、本実施例のフィルタ回
路の評価のために設定した実験の条件は、フィルタ基板
1として、60×50×0.5mmのMgO基板を用
い、フィルタ回路を構成する超伝導薄膜として、膜厚4
00nmのYBa2Cu37-X(以下、YBCO膜と記
す)を用いた。そして、フィルタ回路のパターン2とし
て、線路幅(w)0.5mmのマイクロストリップライ
ン11段を用い、図3に示すようなフィルタ特性を、通
過帯域824〜849MHz、挿入損失0.05dBと
なるように設定した。
【0032】一般に、常温で動作する通常のフィルタ回
路においては、フィルタの挿入損失が大きいため、フィ
ルタリップルは挿入損失に対して十分に小さい。一方、
超伝導フィルタにおいては、フィルタの挿入損失が非常
に小さくなるため、フィルタリップルは挿入損失と同程
度の値となり、挿入損失を上回ることもある。また、シ
ャープスカートなフィルタ通過特性を得るために、多段
化を進めることもフィルタリップルの増大要因となる。
しかしながら、フィルタリップルが挿入損失に対し、極
端に大きくなると、超伝導フィルタの低損失性が損なわ
れ、実用性に劣るため、超伝導フィルタのフィルタリッ
プルは、図3に示すように、挿入損失と同程度に抑える
必要がある。
【0033】また、回路パターン2の端部には、Au7
00nmのメタライズ層8を設定した。さらに、電極パ
ッド3として、40nmのTi、50nmのPt、10
00nmのAuを順次積層した3層構造とし、コネクタ
電極4に接続するためのAuワイヤ5の線径(d)を5
0μmと設定した。
【0034】上記実験条件により、フィルタリップル及
び冷熱耐久性能を測定した実験結果を表2に示す。 (以下余白)
【0035】
【表2】
【0036】表2に示す従来1の例は、図5に示したよ
うな、回路幅と同じ幅0.5mm、厚さ50μmのリボ
ン状配線6によりAu単層の電極パッド3と基板外部の
コネクタ電極4とを接続する従来の構成において、フィ
ルタリップル特性及び冷熱耐久性能を検証したものであ
る。従来1の構成においては、電極パッド3の線路幅と
同等の幅のリボン状配線6により接続されていたため、
(線路幅/ワイヤ幅)比率は1となり、線路幅とのイン
ピーダンスの整合性が良好であるため、フィルタリップ
ルが0.07dBとなって、挿入損失の0.05dBと
同程度に収まっている。
【0037】一方、電極パッド3が基板1を構成するM
gOと密着性の悪いAuの単層構造であり、リボン幅が
大きいため、冷熱時に電極パッド3に印加される繰り返
し応力も大きくなり、温度変化を繰り返す冷熱耐久性能
がわずか2サイクルと、極めて低い性能結果しか得られ
なかった。一般に、高温超伝導フィルタ回路において
は、少なくとも10サイクル以上の冷熱耐久性能が必要
とされており、10サイクルより小さい場合には実用に
適さない。
【0038】また、従来2の例は、図5における電極パ
ッド3を、Auの単層構造から図2に示したAuのメタ
ライズ層8を介してチタン(40nm)/Pt(50n
m)/Au(1000nm)の3層構造に変更し、回路
幅と同じ幅0.5mm、厚さ50μmのリボン状配線6
により電極パッド3と基板外部のコネクタ電極4とを接
続する構成において、フィルタリップル特性及び冷熱耐
久性能を検証したものである。
【0039】フィルタリップルは、従来1と同様に、
0.07dBで挿入損失と同程度に収まっているが、冷
熱耐久性能は5サイクルであって、基板1との密着性が
向上したことにより従来1の例よりも改善されてはいる
ものの、未だ実用性に劣る。次に、線径50μmのAu
ワイヤを用い、ワイヤ本数nを変えて、w/ndで表さ
れる(線路幅/ワイヤ幅)比率を順次変化させて従来例
より大きくしたときのフィルタリップル特性及び回路装
置の耐久性を検証した。
【0040】(線路幅/ワイヤ幅)比率が大きくなる
程、フィルタリップルの値が大きくなるが、(線路幅/
ワイヤ幅)比率が5以下の場合には、線路幅とのインピ
ーダンスの整合が確保されており、フィルタリップルは
0.09dB以下であるので、従来例の挿入損失とほぼ
同等となり、挿入損失0.05dBの2倍以内に収まっ
て実用に寄与することができる。
【0041】一方、(線路幅/ワイヤ幅)比率が5より
大きくなると、フィルタリップルが急激に増大し、フィ
ルタリップルが挿入損失の10倍以上になって、もはや
実用に適さない。また、冷熱耐久性能については、(線
路幅/ワイヤ幅)比率を2以上に大きくし、ワイヤを分
散配置したことで、冷熱時に電極パッド3に印加される
繰り返し応力が小さくなり、いずれも100サイクル以
上の冷熱耐久性能を示した。
【0042】以上の結果より、(線路幅/ワイヤ幅)比
率について、上記(1)式に示した2≦w/nd≦5の
関係を満たす範囲で、フィルタリップル特性及び冷熱耐
久性能が実用範囲を満たすことが見出された。このよう
に、フィルタ回路のパターン2と基板1外部のコネクタ
電極4との電気的接続を行う電極パッド3の構造を、基
板1と密着性の良い金属層と、Auワイヤ5との接合性
の良い金属層と、これらの金属層間に設けられた拡散拡
散バリアとしての金属層を含む、積層構造とすることに
より、基板1と電極パッド3との密着性を向上させるこ
とができるとともに、電極パッド3とコネクタ電極4と
をボンディング接続するAuワイヤ5の線径及び本数
を、上記(1)式に基づいて設定することにより、フィ
ルタ基板1とコネクタ電極4間のインピーダンス整合を
確保することができ、フィルタ回路の動作特性を向上さ
せることができ、かつ、冷熱時の応力の集中を抑制し
て、電極パッド3の剥離を防止することができ、回路装
置の耐久性を向上させることができる。
【0043】次に、本発明に係る超伝導平面回路の製造
方法の一実施例について、図4を参照して説明する。ま
ず、図4(a)に示すように、0.5mm厚のMgO基
板1の両面に、YBa2Cu37-X(YBCO膜)2
b、7を膜厚400nmで成膜する。次いで、図4
(b)に示すように、基板1の上面側の所定の領域(後
述するフィルタ回路の給電端に相当する領域)にのみA
u8aを蒸着し、YBCO膜2bをメタライズ化する。
このとき同時に、基板1の下面全域にAuを蒸着してY
BCO膜7をメタライズ化し、グランド面電極8bとす
る。
【0044】次いで、図4(c)に示すように、基板1
上面側に形成する所定のフィルタ回路のパターンに対応
させて、フォトレジスト9aをパターニング形成する。
この際、図4(b)において形成したYBCO膜2bの
メタライズ層(Au8a)が、フィルタ回路の給電端と
なるため、フォトレジスト9aは、メタライズ層(Au
8a)を含む回路パターン上に形成される。
【0045】次いで、図4(d)に示すように、パター
ニング形成されたフォトレジスト9aをマスクとして、
基板1上面のYBCO膜2b及びメタライズ層(Au8
a)をエッチング除去する。フォトレジスト9aを除去
することにより、基板1上面に、YBCO膜による回路
パターン2が構成され、給電端にAuによるメタライズ
層8が形成された所定のフィルタ回路が形成される。
【0046】次いで、図4(e)に示すように、フィル
タ回路の給電端のメタライズ層8とその近傍領域、すな
わち、図1及び図2に示した電極パッド3に相当する領
域を露出したリフトオフ用レジスト9bをパターニング
形成する。次いで、図4(f)に示すように、基板1上
面のレジスト9b上及び露出領域に、Tiを膜厚40n
m、Ptを膜厚50nm、Auを膜厚100nm順次ス
パッタリング法を用いて成長させ、さらにAuを膜厚9
00nm蒸着して、Ti−Pt−Auから構成される3
層構造の金属層3a、3c、3bを形成する。
【0047】次いで、図4(g)に示すように、リフト
オフ法を用いて、レジスト9b上に積層された金属層3
a、3c、3bをレジスト9bともに除去し、フィルタ
回路の給電端のメタライズ層8上から近傍の基板1上に
延在する電極パッド3を形成する。次いで、図4(h)
に示すように、基板1上面に延在する電極パッド3と基
板1外部のコネクタ電極4とを、上記(1)式に基づい
て線径及び本数が決定されたAuワイヤ5によりボンデ
ィング接続する。
【0048】ここで、電極パッド3を構成する第1の金
属層(Ti)の膜厚は20〜50nm、第2の金属層
(Au)の膜厚は500〜1000nm、第3の金属層
(Pt)の膜厚は50〜100nmであることが、上述
した表2と同等の評価結果を得るうえで有効である。ま
た、電極パッド3を構成する回路パターン2上の金属層
3と、基板1上に延在した金属層3とは、電気的に接続
されるように連続的に形成されていることはいうまでも
ない。
【0049】なお、上述した実施例においては、メタラ
イズ層8の金属としてAuを使用した例を示したが、本
発明はAuのメタライス層に限定されるものではない。
すなわち、メタライズ層は超伝導薄膜との良好な電気接
続が可能な材料であれば、Ptであってもよく、また、
これらの化合物や複合層であってもよい。また、上述し
た実施例においては、第1の金属層としてTi、第2の
金属層としてAu、第3の金属層としてPtを使用した
例を示したが、本発明はこれらの金属による積層構造に
限定されるものではない。すなわち、第1の金属層は、
基板を構成するMgOやLaO等の酸化物系の基板に対
して、良好な密着性を有するものであれば、アルミニウ
ム(Al)やクロム(Cr)等の金属であってもよい
し、これらの化合物であってもよい。
【0050】また、第2の金属層は、コネクタ電極と電
気的に接続するための金属ワイヤと接合性が高い貴金属
であれば、Pt等の金属であってもよいし、その化合物
であってもよい。さらに、第3の金属層は、第1の金属
層と第2の金属層を構成する金属相互の拡散を抑制し、
かつ相互の密着性を向上させることができる金属であれ
ば、ニッケル(Ni)等の金属であってもよいし、その
化合物であってもよい。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る超伝
導平面回路及びその製造方法によれば、電極パッドの構
造が、基板との密着性が高い金属を第1の金属層とし、
ワイヤ金属との接合性の高い貴金属を第2の金属層と
し、第1及び第2の金属層に使用される金属相互の拡散
を防止する金属を第3の金属層として構成した3層構造
を有し、また、電極パッドとコネクタ電極との接続構造
が、所定の条件を満たす線径及び本数の金属ワイヤでボ
ンディング接続する構成を有している。
【0052】したがって、金属ワイヤの線径及び本数に
より、基板とコネクタ電極との間のインピーダンス整合
を確保しやすくなり、超伝導平面回路の動作特性を確保
することができるとともに、基板と電極パッドとの密着
性を向上させることができ、冷熱時の応力の集中を抑制
して、電極パッドの剥離を防止することができ、回路装
置の耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る超伝導平面回路の一実施例を示す
概略斜視図である。
【図2】本発明に係る超伝導平面回路の電極パッドを示
す要部断面図である。
【図3】フィルタ特性を示す図である。
【図4】本発明に係る超伝導平面回路の製造方法の一実
施例を示す製造工程図である。
【図5】従来技術に係る超伝導平面回路の概略図であ
る。
【符号の説明】
1 MgO基板 2 回路パターン 2a 端部 2b、7 YBCO膜 3 電極パッド 3a Tiの薄膜層 3b Auの薄膜層 3c Ptの薄膜層 4 コネクタ電極 5 Auワイヤ 6 リボン状配線 8 メタライズ層 8a Au層 8b グランド面電極 9a、9b レジスト 10 高温超伝導フィルタ回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H05K 1/03 610 H05K 1/03 610B 1/09 1/09 A 1/11 1/11 A 3/40 3/40 A (56)参考文献 特開 平7−302932(JP,A) 特開 平3−12941(JP,A) 特開 平3−41782(JP,A) 特開 平7−297608(JP,A) 特開 平7−122788(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 39/02 H01L 39/24 H01P 1/203 H01L 39/00 H01L 39/22 H01L 39/06

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】外部と熱的に遮断された系内で用いられ、
    該系内の所定の熱的雰囲気内でのみ超伝導特性を示す超
    伝導平面回路の端部に設けられたメタライズ層に一部が
    重なり、所定の線路幅で前記超伝導平面回路が形成され
    た基板上に延在する第1の電極部と、前記基板外部から
    延在して設けられ、前記超伝導平面回路への給電電位が
    印加される第2の電極部と、前記第1の電極部及び前記
    第2の電極部とを電気的に接続する金属ワイヤと、を
    する超伝導平面回路において前記第1の電極部の線路幅をw、前記金属ワイヤの線径
    をd、前記第1の電極部の線路幅あたりの前記金属ワイ
    ヤの本数をnとした場合、 2≦w/nd≦5 の関係を満たす条件で前記金属ワイヤを前記第1の電極
    部の線路幅に対し、分散して配置した ことを特徴とする
    超伝導平面回路。
  2. 【請求項2】前記超伝導平面回路が形成された基板は、
    酸化マグネシウムの単結晶基板であって、 前記第1の電極部は、前記基板との密着性が高い第1の
    金属層と、前記金属ワイヤとの接合性が高い第2の金属
    層と、前記第1の金属層及び前記第2の金属層との間に
    介在して、拡散バリアとなる第3の金属層と、から構成
    されていることを特徴とする請求項記載の超伝導平面
    回路。
  3. 【請求項3】前記第1の金属層は、少なくともチタン、
    アルミニウム、クロムのいずれか1種類の金属であり、
    前記第2の金属層は、少なくとも金、白金のいずれか1
    種類の金属であり、前記第3の金属層は、少なくともニ
    ッケル、白金のいずれか1種類の金属であり、 前記メタライズ層は、少なくとも金、白金のいずれか1
    種類の金属であり、前記金属ワイヤは、金ワイヤである
    ことを特徴とする請求項記載の超伝導平面回路。
  4. 【請求項4】酸化物系の基板上に超伝導薄膜を形成する
    工程と、 前記超伝導薄膜上の任意の領域にメタライズ層を形成す
    る工程と、 前記メタライズ層の形成領域と連続する所定の回路パタ
    ーンに対応した第1のレジスト膜を形成する工程と、 前記第1のレジスト膜をマスクとして前記基板上の前記
    メタライズ層及び前記超伝導薄膜をエッチングし、前記
    超伝導薄膜からなり、両端に前記メタライズ層が形成さ
    れた前記回路パターンを形成する工程と、 前記メタライズ層及びその近傍領域を露出する第2のレ
    ジストを形成する工程と、 前記基板上の全域に複数の金属層を順次積層する工程
    と、 前記第2のレジストを除去し、前記メタライズ層上及び
    その近傍領域に延在する前記複数の金属層を形成する工
    程と、 前記近傍領域に延在する前記複数の金属層と、前記基板
    外部の所定の電極とを金属ワイヤによりボンディングす
    る工程と、 を有することを特徴とする超伝導平面回路の製造方法。
  5. 【請求項5】前記近傍領域に延在する前記複数の金属層
    の幅をw、前記金属ワイヤの線径をd、前記第1の電極
    部の線路幅あたりの前記金属ワイヤの本数をnとした場
    合、 2≦w/nd≦5 の関係を満たす条件で前記金属ワイヤを前記複数の金属
    層の幅に対し、分散して配置したことを特徴とする請求
    記載の超伝導平面回路の製造方法。
  6. 【請求項6】前記基板は、酸化マグネシウムの単結晶基
    板であって、 前記複数の金属層は、前記基板との密着性が高い第1の
    金属層と、前記金属ワイヤとの接合性が高い第2の金属
    層と、前記第1の金属層及び前記第2の金属層との間に
    介在して、拡散バリアとなる第3の金属層と、から構成
    されていることを特徴とする請求項又は記載の超伝
    導平面回路の製造方法。
  7. 【請求項7】前記第1の金属層は、少なくともチタン、
    アルミニウム、クロムのいずれか1種類の金属であり、
    前記第2の金属層は、少なくとも金、白金のいずれか1
    種類の金属であり、前記第3の金属層は、少なくともニ
    ッケル、白金のいずれか1種類の金属であり、 前記メタライズ層は、少なくとも金、白金のいずれか1
    種類の金属であり、前記金属ワイヤは、金ワイヤである
    ことを特徴とする請求項記載の超伝導平面回路の製造
    方法。
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