JP3209760B2 - 排気熱回収用熱交換器 - Google Patents

排気熱回収用熱交換器

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、排気熱回収用熱交換器
に関し、詳しくは、車両のエンジンの排気系に装着さ
れ、排気ガスと水など媒体を熱交換し、排気熱を回
収してエアコンなどの熱源として利用するための排気熱
回収用熱交換器に関する。
【0002】
【従来の技術】車両のエンジンの排気系から排気ガスの
排気熱を回収して、エアコンなどの熱源として利用する
試みがなされている。この排気熱回収手段としては、エ
ンジンから延びた排気系の触媒コンバータの下流側に排
気熱回収用熱交換器を装着し、この排気熱回収用熱交換
器において流通する排気ガスと熱交換媒体である水など
との間で熱交換を行ない、前記水等の熱交換媒体を自動
車用空気調和装置のヒータコアの熱源として利用するよ
うにしたものである。
【0003】しかし、この排気熱回収用熱交換器には、
種々の要請があり、一般的な熱交換器をそのままの状態
で利用することはできないと言われている。例えば、排
気ガス中には窒素酸化物あるいは硫黄酸化物等が含まれ
ているが、これらが熱交換中に生じるドレン水に混入す
ると、極めて酸性度の高いドレン水が生成される虞れが
あることから、耐蝕性に優れたものであることが好まし
い。また、この熱交換器は、車両の下面等のように狭少
なスペースに搭載されるため、その全体形状はコンパク
トなものでなければならない。
【0004】以下、図9乃至図13を参照して具体的に
説明する。図9は、最も一般的に使用されているシェル
アンドチューブ型の熱交換器の断面図である。このシェ
ルアンドチューブ型の熱交換器の場合には、シェル1内
に導入する排気ガス(白抜き矢印)を図の左方から右方
に流し、シェル1内を平行に延びるチューブ2内に導く
一方、水などの媒体(実線矢印)をチューブ2の周囲に
流し、これにより、排気熱を水などの媒体により回収し
ている。しかし、シェルアンドチューブ型の熱交換器で
は、同一熱交換量の場合に、外形寸法が大きくなり、コ
ンパクト化の要請に反するという問題がある。
【0005】図10,11は、エンジンオイルや自動変
速機のオイルの冷却に主として用いられている積層型熱
交換器であり、シェルを破断した状態の図と、この図1
0の11−11線に沿う断面図である。積層型熱交換器
は、2つのプレート3,4により密閉された空間を形成
し、この空間内にインナーフィン5を介装し、排気ガス
は空間内をインナーフィン5と接触しながら流れ、水な
どの媒体はプレート3,4の外周に沿って流されてい
る。この積層型熱交換器は、排気ガス側から水側への熱
伝達が悪く、熱交換効率が悪いといった問題がある。ま
た、排気ガスの冷却により生成した硫酸などの凝縮水の
処理も困難となるという問題もある。
【0006】図12,13は、シェルを破断したフィン
アンドチューブ型の熱交換器の断面図、図13は、図1
2の13−13線に沿う断面図である。このフィンアン
ドチューブ型の熱交換器は、図12の左方から右方にシ
ェル7内に排気ガスを流す一方、排気ガスの流れ方向に
垂直に延びるチューブ8内に水などを流している。特
に、チューブ8の外周にはフィン9が設けてあるため、
上記のものに比べて熱交換効率が良い。しかし、シェル
7は、ロー付け又は溶接により接合された合せ面7aを
有しており、排気ガスが冷却されることにより生成され
る酸性度の高いドレン水が、シェル7の合せ面7aに貯
留し、この合せ部7aを腐蝕させるという問題がある。
加えて、排気ガスはフィン9により効率良く冷却されて
も、このフィン9は、反面、排気ガスにより急激に加熱
されることになる結果、フィン9が膨脹し、このフィン
膨脹量だけチューブ8が曲げ変形を受け、これが繰り返
し行なわれると熱疲労を起すという問題もある。
【0007】
【発明が解決すべき課題】上述したように、一般的な熱
交換器を排気熱回収用熱交換器に適用しようとすれば、
酸性度の高いドレン水の処理あるいは耐蝕性に関する問
題、コンパクト化の問題、フィンの膨脹に起因するチュ
ーブの熱疲労の問題などがあり、かかる問題を全て解決
するような排気熱回収用熱交換器の早期出現が期待され
ているというのが実状である。
【0008】本発明の目的は、上記課題を解決するため
になされたものであって、十分な耐蝕性を有し、コンパ
クトであり、フィンの膨脹に起因するチューブの熱疲労
の生起を軽減でき、しかも、低コストである排気熱回収
用熱交換器を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明は、エンジンから排出された排気ガスが流通す
る排気系の流路途上に設けられたシェルと、このシェル
内に前記排気ガスの流れに対し略垂直に設けられ、内部
を熱交換媒体が流通する複数のチューブと、これらチュ
ーブが挿通して設けられかつ当該チューブ間に中折れ状
の折曲部が形成されたプレート状の伝熱フィンと、前記
シェルの下流側端部に形成した凹部に設けられたドレン
パイプとを有する排気熱回収用熱交換器において、前記
シェルは上下一対の半体を合体し合せ面を接合したもの
により構成し、このシェル内で排気ガスが水平方向に流
れるように前記伝熱フィンを略水平に設け、前記チュー
ブの下端を支持する支持部は前記伝熱フィンに対し少な
くとも表面が前記排気ガスの流れ方向で下流側が低くな
るように傾斜した傾斜面としたことを特徴とする排気熱
回収用熱交換器である
【0010】
【作用】本発明では、チューブの下端開口が装着される
支持部は、伝熱フィンに対し少なくとも表面が排気ガス
の流れ方向で下流側が低くなる傾斜面とされ、この支持
部の下方側となる位置にドレンパイプが配設されてい
る。このため、排ガスが冷却されて酸性度の高いドレン
水が生成されたとしても、このドレン水は支持部の表面
に沿ってドレンパイプに流れ、このドレンパイプを通し
て外部に排出される。しかも、シェルは上下に二分割さ
れる一対の半体から構成されているため、シェルの合せ
面にドレン水が貯留することはなく、従来のものに比べ
て、耐蝕性が著しく向上することになる。また、シェル
は上下に二分割される一対の半体から構成されているた
め、部品点数を削減でき、溶接箇所も減少できるため、
コストを低く抑えることができる。
【0011】
【実施例】以下、図面を参照しつつ本発明の一実施例に
ついて説明する。図1は、本発明の一実施例に係る排気
熱回収用熱交換器の断面図であり、図2は、図1に示す
排気熱回収用熱交換器の下方部の拡大断面図であり、図
3は、図1に示す排気熱回収用熱交換器を側方から見た
側面図であり、図4は、図1に示す排気熱回収用熱交換
器に装着されるフィンの平面図であり、図5は、図4の
5−5線に沿う断面図である。
【0012】本実施例に係る排気熱回収用熱交換器は、
エンジンの排気系の触媒コンバータの下流側に接続さ
れ、この排気系から取り入れた排気ガスと水などの媒体
とを熱交換し、排気ガスの熱を回収するように構成した
ものである。図1に示すように、本熱交換器20は、入
口部21より排気ガスを受け入れ、内部をほぼ水平方向
に流通させた後、出口部22より排気ガスを放出するシ
ェル23を備えている。このシェル23は、図3に示す
ように、上下に二分割されプレス一体成型された一対の
半体23a,23bからなっている。上側の半体23a
と下側の半体23bとの合せ面23c(図3)は、溶接
若しくはロー付けにより取付けられている。また、入口
部21および出口部22は、排気系と接続するためのフ
ランジ21a,22aを有し、前記半体23a,23b
に溶接若しくはロー付けにより取付けられている。
【0013】このシェル23内には、排気ガスと熱交換
する水などの媒体を流通するための多数個のチューブ2
4が垂直方向に平行に配設されている。このチューブ2
4は、丸管若しくは偏平チューブのいずれであってもよ
い。このチューブ24の上端開口および下端開口は、各
々、シェル23の上側の半体23aおよび下側の半体2
3bに装着されている。このチューブ24が装着された
上側の半体23a(簡単のため、支持部25と称す)
は、水などの媒体を供給する供給管27が連結された入
口ヘッダ28により覆われており、また、下側の半体2
3bのチューブ24が装着された部分(簡単のため、支
持部26と称す)も、水などの媒体を一時的に貯留する
出口ヘッダ29が溶接により取付けられ、この出口ヘッ
ダ29には排出管30が連結されている。このチューブ
24が装着された前記支持部25及び/又は26の内面
には、固定板33が溶接またはロー付け等により固定さ
れ、これら支持部25,26を補強しかつチューブ24
の支持を確実にしている。
【0014】さらに、図2に拡大して示すように、下側
の半体23bの支持部26は、左方の方が右方よりΔh
だけ高くなるような傾斜面に形成されていると共に、こ
の傾斜面の下方側となる部位には、ドレンパイプ31が
取付具32を介して取付けられている。このドレンパイ
プ31の取付は、前記シェル23の端部に形成された凹
部Oに設けることが好ましい。
【0015】図2,4,5に示すように、チューブ24
の外周域には、多数枚のフィンfが設けられている。こ
のフィンfはリング部材34によりチューブ24に取付
けられており、このフィンfには、チューブ24間で下
方が凸となるように図5のS寸法だけ所定角度曲げられ
た折曲部rが形成されている。また、フィンfのリング
部材34は、図4に示すように、チューブ24の配置関
係に対応して配置されている。
【0016】このように構成されているので、フィンf
が排気ガスにより急激に加熱されて線膨張した場合、図
1に符号a,aで示す位置では、フィンfは、図6
に示すように、aに近いほど多く、aに近づくほど
少なく、この線膨脹量δだけチューブ24に排気ガスの
流れ方向に曲げ変形が生じる虞れがある。しかし、本実
施例では、フィンfには、折曲部rが形成されているた
め、線膨張はこの折曲部rにより吸収され、チューブ2
4が曲げ変形する虞れが少なくなり、チューブ24が繰
返し荷重を受けて熱疲労することを著しく軽減できる。
【0017】チューブ24の下端開口が装着された下側
の半体23bの支持部26はテーパ状に形成されると共
に、この支持部26近傍でこのテーパ状の下方側となる
位置にドレンパイプ31が配設されている。このため、
排ガスがフィンfまたはチューブ24に接触して冷却さ
れて硫酸などを含む酸性度の高いドレン水が生成された
としても、このドレン水は傾斜面とされた支持部26に
沿って自然とドレンパイプ31に導かれ、このドレンパ
イプ31を通して外部に排出される。しかも、シェル2
3は上下に二分割されプレス一体成型された一対の半体
23a,23bを合体することにより構成されているた
め、シェル23の合せ面にドレン水が貯留されることが
ない。したがって、従来に比べて、耐蝕性が著しく向上
することになる。さらに、シェル23は上下に二分割さ
れる一対の半体23a,23bから構成されているた
め、部品点数を削減でき、溶接箇所も減少できるため、
コストを低く抑えることができる。
【0018】また、図7には、図1に符号aからa
で示す位置における排気ガスの温度分布が示されてい
る。水などの媒体との熱交換により、当初tg1であっ
た排気ガス温度がtg2に変化する。図8には、図1に
符号b,cからb,cで示す位置における水な
どの媒体の温度分布が示されている。排気ガスとの熱交
換により、当初tw1であった水などの媒体の温度が、
,cの位置において、各々、tw2,tw3に変
化する。この加温された水などの媒体は、自動車用空気
調和装置のヒータコアに導かれ、車室内を暖房する場合
の熱源として利用される。なお、本発明は、上述した実
施例に限定されるものではなく、実用新案登録請求の範
囲内で種々変形可能である。例えば、シェルの形状、チ
ューブの形状及び本数、中折れ状に折曲された伝熱フィ
ンの波形のピッチ等は、適宜選択することができる。
【0019】
【発明の効果】以上述べたように、本発明では、チュー
ブの下端開口が装着される支持部は、伝熱フィンに対し
少なくとも表面が排気ガスの流れ方向で下流側が低くな
る傾斜面とされ、この傾斜面の下方側となる位置にドレ
ンパイプを配設したため、酸性度の高いドレン水が生成
されても、外部に容易に排出でき、しかも、シェルは上
下に二分割される一対の半体から構成されているため、
シェルの合せ面にドレン水が貯留されることがない。し
たがって、従来のものに比べて耐蝕性が著しく向上す
る。また、シェルは上下に二分割される一対の半体から
構成されているため、部品点数を削減でき、溶接箇所も
減少できるため、コストを低く抑えるこことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は本発明に係る排気熱回収用熱交換器の断面
図、
【図2】は同排気熱回収用熱交換器の下方部の拡大断面
図、
【図3】は同排気熱回収用熱交換器を側方から見た側面
図、
【図4】は同排気熱回収用熱交換器に装着されるフィン
の平面図、
【図5】は図4の5−5線に沿う断面図、
【図6】はフィンが排気ガスにより加熱された場合の線
膨張量を示すグラフ、
【図7】は図1に符号aからaで示す位置における
排気ガスの温度分布を示すグラフ、
【図8】は本図(a)(b)は、図1に符号b,c
からb,cで示す位置における水などの媒体の温度
分布を示すグラフ、
【図9】は一般的なシェル・アンド・チューブ型の熱交
換器の断面図、
【図10】は積層型のの熱交換器の断面図、
【図11】は図23の11−11線に沿う断面図、
【図12】はフィン・アンド・チューブ型の熱交換器の
断面図、
【図13】は図12の13−13線に沿う断面図であ
る。
【符号の説明】
20…排気熱回収用熱交換器、 23…シェ
ル、23a,23b…半体、 23c
…合せ面、24…チューブ、 26…
支持部、31…ドレンパイプ、 f
…伝熱フィン、r…折曲部、
O…凹部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F28F 9/00 - 9/26 F01N 5/02 F28D 7/16 F28F 1/32

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンから排出された排気ガスが流通
    する排気系の流路途上に設けられたシェル(23)と、この
    シェル(23)内に前記排気ガスの流れに対し略垂直に設け
    られ、内部を熱交換媒体が流通する複数のチューブ(24)
    と、これらチューブ(24)が挿通して設けられかつ当該チ
    ューブ(24)間に中折れ状の折曲部(r)が形成されたプレ
    ート状の伝熱フィン(f)と、前記シェル(23)の下流側端
    部に形成した凹部(O)に設けられたドレンパイプ(31)と
    を有する排気熱回収用熱交換器(20)において、 前記シェル(23)は上下一対の半体(23a,23b)を合体し合
    せ面(23c)を接合したものにより構成し、このシェル(2
    3)内で排気ガスが水平方向に流れるように前記伝熱フィ
    ン(f)を略水平に設け、前記チューブ(24)の下端を支持
    する支持部(26)は前記伝熱フィン(f)に対し少なくとも
    表面が前記排気ガスの流れ方向で下流側が低くなるよう
    に傾斜した傾斜面としたことを特徴とする排気熱回収用
    熱交換器。
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