JP3207645U - 簡易保護帽 - Google Patents

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泰章 佐藤
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Abstract

【課題】収納・保存時には扁平に折り畳むことが可能で、使用時には簡単かつ短時間に立体的な帽子形状に組み立てて装用することが可能であり、しかも安価に製造可能な簡易保護帽を提供する。【解決手段】主に平面状の部材を折り曲げて構成した、扁平な状態に折り畳んだ状態と立体的な帽子形状に自在に変形可能な簡易保護帽とする。その頭頂部には略長方形形状の平面要素(頂面2)を備え、これの前後に略長方形形状の平面要素(前面・後面4)を備え、さらにこれの左右に略三角形形状の平面要素(前右面・前左面6・後右面7・後左面8)を備えている。三角形要素同士は前後で平面要素を介して連接される。後面4において、平面状部材が重ね合わされ、固定リベット4cにより固定される。【選択図】図1

Description

本発明は、主に災害発生時などに使用される保護帽に関するものである。より詳しくは、未使用時には小さく折り畳み収納可能であり、災害発生時には容易に組み立てて装用し、落下物等から頭部を保護することすることができる簡易保護帽に関するものである。
従来から、平時には小さく折り畳んで収納し、災害時には帽子状に組み立てて装用して、避難時に落下物等から頭部を保護できる簡易保護帽が実用に供せられてきた。このような簡易保護帽は、合成樹脂を立体的に成型して得たものと比較すると強度等で見劣りする場合もあるものの、比較的低価格で製造できることや小さく折り畳んで身近に収納することが容易であることから、災害時に備えて家庭や職場に備えることが一般的になりつつある。
このような簡易保護帽の例として、本願考案者の考案に係る実用新案登録第3196406号登録実用新案公報の図1に開示された簡易保護帽を挙げることができる。この簡易保護帽は、頭頂部には略長方形形状の平面要素(頂面)を備え、前後に略長方形形状の平面要素(前面・後面)を備え、さらにこれらの左右には略三角形形状の平面要素(前右面・前左面・後右面・後左面)を備えている。三角形要素同士は前後で平面要素(右側面・左側面)を介して連接され、さらに顎紐等を備えている。このような構成とすることで、扁平な状態に折り畳んだ状態と立体的な帽子形状に開いた状態とに自在に変形可能な簡易保護帽とされている。
この簡易保護帽は平常時には扁平に折り畳んで家庭や職場にコンパクトに収納・常備し、災害発生時には立体的に組み立てて使用することができる。このような特徴は明らかに簡易的な防災具としての価値が高いものである。また、この簡易保護帽はダンボールのような平板材料を同公報図3に開示された展開図のように切断し、罫線に沿って折り曲げ、両側頭部で固定を行なって製造されるものである。このように、安価な材料を用い、かつ、ごく一般的な加工方法で組み立てることができることから明らかな通り、この簡易保護帽は安価に提供可能とすることも企図したものである。
実用新案登録第3196406号登録実用新案公報
しかしながら、実用新案登録第3196406号登録実用新案公報に開示された簡易保護帽は、両側頭部で平板部材同士を固定することで組み立てられ、この構造に起因する課題があった。具体的には、簡易保護帽の前面に前右面を介して連接する右側面1と、簡易保護帽の後面に後右面を介して連接する右側面2と、簡易保護帽の頂面に連接する右側面3の3つの部分をまとめて固定し、これと同様の固定を簡易保護帽の左半分に対しても行なう。しかし、比較的小さな面である右側面1、右側面2、右側面3を重ねて固定することは、固定時にずれなどを生じ易いなど作業性に難があるものであった。また、組み立て時に右側面1、右側面2のどちらを最外層とすべきかを判別し難い為、しばしば、作業者が誤って組立を行ってしまうという課題があった。右側面1、右側面2のいずれが最外層になるかによる機能上の違いはほとんど生じないものの、外観上の問題は生じる。このため、誤った組み立てを行うと商品としての価値が毀損されてしまう。特に、右半分と左半分で異なる組立を行ってしまった場合には、外観上の違和感は非常に大きな問題となる。なお、右側面3は他の2つの側面(右側面1及び右側面2)との区別が視覚上明らかであるので、このような問題を発生することはほとんど無い。あくまでも、右側面1と右側面2が紛らわしく、かつ、これらを重ねる順番を違えても問題なく組み立て可能であるために、作業者に混乱を招くのである。
したがって、本考案が解決しようとする課題は、小さく扁平に折りたたんで収納することが可能かつ、災害時には容易に立体的な帽子形状に組み立てることができ、かつ低価格で製造可能である簡易保護帽を提供することである。
(1)上記課題を解決するため、本考案においては、
主に平面状の部材を折り曲げて組み立てられた簡易保護帽であって、
該簡易保護帽は扁平な状態に折り畳んだ状態と立体的な帽子形状に自在に変形可能とされており、
該簡易保護帽のほぼ頭頂部を構成する略長方形形状の頂面と、
該頂面の前辺である罫線を介して連接している略長方形形状の前面と、
該前面の右辺である罫線を介して連接している略三角形形状の前右面と、
該前右面の後辺である罫線を介して連接している略長方形形状の右側面と、
該右側面の後辺である罫線を介して連接している略三角形形状の後右面と、
該後右面の後辺である罫線を介して連接している略長方形形状の右後面と、
該前面の左辺である罫線を介して連接している略三角形形状の前左面と、
該前左面の後辺である罫線を介して連接している略長方形形状の左側面と、
該左側面の後辺である罫線を介して連接している略三角形形状の後左面と、
該後左面の後辺である罫線を介して連接している略長方形形状の左後面と、
該頂面の後辺である罫線を介して連接している略長方形形状の後面とを備え、
該右後面と該後面は重ね合わせて固定され、
該左後面と該後面は重ね合わせて固定されている
ことを特徴とする、簡易保護帽としている。
平面状の部材とは、数ミリメートル乃至1センチメートル程度の厚みの板状の部材であり、軽量でかつ一定の強度を有するものであれば任意のものが使用できるが、価格や入手性などの理由から、ダンボール、または、プラダン(ポリプロピレンなどの樹脂シートを用いて作ったダンボール状のシート)であることが好ましい。これらは、安価で容易に切断できるだけでなく、線状に押しつぶしておくことで容易に繰り返し折り曲げるすることができるなど、リビングヒンジ類似の機能を容易に実現できるため、本考案である折りたたみ可能な簡易保護帽の構成部材として適しているからである(本明細書中では、リビングヒンジのように繰り返し折り曲げることができるように線状に平面状の部材を押しつぶした部分を「罫線」と呼ぶことにしている)。また、紙製のダンボールは接着剤・粘着剤(両面テープ)による貼付組み立ても容易であり、プラダンも熱溶着による貼付組み立てが容易であることも好ましい理由である。また、本構成は簡易保護帽の帽体に当たるので強度が求められる。この為、ダンボールはAフルートのものが好ましく、さらにこれを重ねた強化ダンボールを使用することが、さらに好ましい。
簡易保護帽が扁平な状態に折り畳んだ状態と立体的な帽子形状に自在に変形可能であるとは、いくつかの罫線を深く折り曲げ、別の罫線をほぼ平らに広げることによって、簡易保護帽が小さく偏平で保存収納に適した形状になったり、立体的で装用可能な帽子形状になったりすることが可能であることを示している。従って、本考案に係る簡易保護帽は変形時に接着剤・粘着剤(両面テープ)を使用したり、紐を引き絞ったりという組立作業は不要であり、単に開くように変形させることが可能なように構成されている。
図3は、本考案に係る簡易保護帽の一実施例の帽体部分の展開図であるので、これを参照すると本考案の構成の理解が容易である。もっとも、図3は一実施例に過ぎず、本考案に係る簡易保護帽の構成は必ずしも同図の記載に限られないことは言うまでもない。
本考案に係る簡易保護帽の帽体は、立体的な帽子形状を隣接する複数の平面構成要素によって構成するが、帽体のほぼ頭頂部に略長方形形状の頂面を備え、これの前後に略長方形形状の前面と後面を備える。これらの境界は、罫線(前記のとおり、線状に押しつぶしてリビングヒンジのように折り曲げ自在とされている箇所)となっており、これに沿って折り曲げ自在である。前面と後面は、それぞれ帽体の前頭部・後頭部の保護をすることになる。前面には、その左右に罫線を介しそれぞれて略三角形形状の前右面、前左面を備え、側頭部のやや前寄りの部分の保護をする。さらに、前右面と前左面には罫線を介してそれぞれ右側面、左側面を備えている。右側面と左側面は側頭部の保護をする。右側面と左側面には罫線を介してそれぞれ後右面、後左面を備え、これらは側頭部のやや後よりの部分の保護をする。
さて、後右面と後左面には罫線を介してそれぞれ右後面、左後面を備える。右後面と左後面は、それぞれ後面と重ね合わせてお互いに貼付される。これにより、平面状の部材は立体的な形状となり、帽体として使用可能になる。右後面と後面、及び、左後面と後面の貼付は接着剤・粘着剤によって行なってもよく、あるいは、平面状の部材が熱可塑性樹脂(例えばポリプロピレン)からなるプラダンである場合には熱溶着によって行なってもよい。また、ステープラーやはと目、リベット等による固定など、貼付手段は任意である。
また、後面が帽体の最外層となり、右後面や左後面は後面の内側に重ね合わせて貼付されることが好ましい。このようにすると、頂部と後面の間は罫線を介して連接することになり、継ぎ目のない美しい外観が得られるからである。また、機能的にも、後面と右後面や左後面とが重ねあわされた段差が帽体の外側に現れていると、落下物がこの段差に引っかかるなどしてより装用者に大きな衝撃が伝わってしまう恐れがある。一方、このような段差が外側に現れていなければ、落下物の多くが滑らかな帽体の表面に沿って落下することが期待される。従って、後面が帽体の最外層となるように組み立てられることが好ましい。
ところで、右後面と左後面のそれぞれを個別に後面に貼付しても、あるいは、右後面と左後面と後面のすべてを重ね合わせて一度に貼付してもかまわない。後者の場合には、ステープラーやはと目、リベット等のように3枚以上の平面部材を一括して固定できる手段を用いることが作業効率上好ましい。
さて、このような構成にすると、後面は、帽体の展開図上、頂部の後辺に連接する略長方形形状の面であって、これと紛らわしい面は他にはない。そして、後面に対して後右面と後左面を重ね合わせて貼付するのであるが、常に後面を最外層として組み立てればよく、従って、作業者が重ね合わせの順番に迷うような懸念は皆無である。また、貼付作業が後面1つのみに対して行なわれるので、作業性が頗る良好である。これら利点は、実用新案登録第3196406号登録実用新案公報に開示された簡易保護帽の場合と比較すると明白である。すなわち、左右二箇所に分かれた右側面と左側面でそれぞれ貼付作業を行なわなければならず、また、それぞれの貼付作業時に、一見しただけでは区別のつきにくい右側面1と右側面2(または左側面1と左側面2)のどちらを外装として組み立てるべきかを判断して貼付作業を行なわなければならなかったという課題が、本願に係る簡易保護帽では完全に解消しているのである。
なお、本考案に係る簡易保護帽においては、更なる平面要素を追加することも可能である。例えば後面の後部にさらに罫線を介して四角形形状の面を設けると、簡易保護帽として組み立てた際に頸部を保護することが可能となる。また、上記では簡易保護帽の前面が装用者頭部の前側を、後面が装用者頭部の後側を保護するような向きに装用されるとして説明したが、前後を交換した簡易保護帽としてもかまわない。つまり、簡易保護帽の前面が装用者頭部の後側を保護するような向きに装用されるようにしても何ら問題はない。
(2)上記課題を解決するため、本考案においては、
主に平面状の部材を折り曲げて組み立てられた簡易保護帽であって、
前記右側面の上辺である罫線を介して連接する右側頂面と、
前記左側面の上辺である罫線を介して連接する左側頂面とを備えている
ことを特徴とする、(1)に記載の簡易保護帽としている。
本願に係る簡易保護帽では、頂面と右側面、及び、頂面と左側面の間は接続されていない。この為、簡易保護帽を装用可能な状態に組み立てた際に、この部分に僅かながら隙間を生じる可能性がある。簡易保護帽の帽体に隙間があると、割れたガラスのように細く尖った落下物がこの隙間から進入し、装用者を傷つけてしまう恐れが高まることになる。
そこで、右側面及び左側面のそれぞれの上辺に罫線を介して連接する右側頂面と左側頂面を備えることとし、簡易保護帽を装用可能な状態に組み立てた際にこれらの面が頂面と確実に重なり合って隙間を作らないようにすることで、前記のような危険を防止するのである。
(3)上記課題を解決するため、本考案においては、
内側に主に平面状の弾性部材を折り曲げて組み立てられた内装体を備えた
ことを特徴とする、(1)または(2)に記載の簡易保護帽としている。
簡易保護帽に求められる第一の機能は落下物からの頭部の保護であるが、(1)や(2)に記載の簡易保護帽の構成では、帽体、すなわち、保護帽の外殻の部分しか備えていない。この構成であってもダンボールやプラダンによって構成された帽体によって、尖った落下物による刺傷や、鋭いエッジのある落下物による切傷に対して頭部を保護する機能は期待することができる。しかし、重量のある落下物による衝撃からの保護という点では不十分な場合がある。この為、発泡スチロールや発泡ウレタンのような弾性に特徴のある弾性部材によって構成した内装体を帽体の内側に備えることがしばしば行われ、本簡易保護帽においてもこのような内装体を適用できる。弾性に富む内装体が落下物の衝撃を吸収し、頭部への衝撃を緩和してくれるからである。本簡易保護帽においてはより好ましくは、弾性部材として、ダンボールやプラダン、発泡ポリエチレンシートのような比較的薄い平面状の弾性部材によって内装体を構成することが好ましい。これら素材は、中芯または気泡がつぶれることで衝撃を吸収する作用に優れており、また、薄く曲げやすいために簡易保護帽を小さく折り畳み可能とするためにも都合がよい。
(4)上記課題を解決するため、本考案においては、
前記内装体は、
前記前面と前記後面の少なくとも二点で取り付けられている、
ことを特徴とする、(3)に記載の簡易保護帽としている。
落下物が簡易保護帽に当たった際の衝撃からどの程度装用者を保護できるかは、内装体を帽体にどのように取り付けるかによっても大きく変化する。本考案に係る簡易保護帽では、小さく折畳むことができなければならないので、内装体も薄いシート状の素材で構成することが好ましいが、薄いシート状の素材を単に帽体に貼付したのでは、当然ながら十分な弾性が得られず、衝撃の吸収力が不十分になってしまう。そこで、本考案に係る簡易保護帽では、例えば短冊形状の弾性シートの一端を前面に、他端を後面に固定する。そして、短冊形状の弾性シートの中央部はどこにも接続されない状態としておく。ここで、短冊形状の弾性シートの長さを適切に選ぶと、簡易保護帽を装用可能な状態に広げると、短冊形状の弾性シートが前面と後面によって引っ張られて帽体内部で張った状態となる。この状態では短冊形状の弾性シートと帽体頂部の間には空間が出来るので、重量のある落下物が衝突した場合でも、帽体頂部が壊れつつ衝撃が吸収されるので、装用者に伝わる衝撃が緩和されることになる。
(5)上記課題を解決するため、本考案においては、
前記内装体に顎紐を備えている
ことを特徴とする、(4)に記載の簡易保護帽としている。
簡易保護帽に求められる第一の機能は落下物からの頭部の保護であるが、災害発生時の避難中には混乱も想定され、せっかく装用した簡易保護帽が脱げ落ちてしまうことも考えられる。この為、本考案に係る簡易保護帽では内装体に顎紐を備えて、簡単には脱げ落ちることがないようにした。顎紐を使用して簡易保護帽を装用すると、顎紐によって簡易保護帽が装用者の頭部に引き寄せられ、これによって簡単には脱げ落ちないこととなる。しかし、帽体が頭部に引き寄せられて密着しすぎると、重量のある落下物が帽体に衝突した際の衝撃が装用者の頭部にそのまま伝わってしまう。そこで、顎紐によって引き寄せられるのはあくまでも内装体とし、内装体と帽体の間の空間は維持される構成とした。これにより、重量のある落下物が帽体に衝突した場合でも、帽体が壊れつつ衝撃を吸収するという機能が良好に発揮される。
なお、顎紐の素材や太さは、一般的な帽子の顎紐で採用される通常の紐や、保護帽で採用されるナイロン糸や綿糸であまれたバンド状のものなど任意のものを使用可能である。しかし、簡易保護帽における顎紐の役割は紛失防止ではなく頭部への固定であるので、装用者に応じて適切な長さに顎紐の長さを調整できるよう、アジャスターを備えることが好ましい。
(6)上記課題を解決するため、本考案においては、
前記前面と前記前右面との境界である罫線と、該前面と前記前左面の境界である罫線と、前記右後面と前記後右面の境界である罫線と、前記左後面と前記後左面の境界である罫線とをほぼ平面状に広げた状態とし、
その他の前記罫線をほぼ直角に折り曲げた状態とすることで、扁平な状態に折り畳むことが可能とされた
ことを特徴とする、(1)乃至(5)のいずれか一に記載の簡易保護帽としている。
すでに説明した通り、本考案に係る簡易保護帽の帽体を構成する平面要素の境界部分は罫線とされているため、リビングヒンジのように折り曲げ自在である。そして、本考案に係る簡易保護帽は、前面と前右面、前面と前左面、右後面と後右面、左後面と後左面の境界である罫線を平面状に広げ、その他の罫線をほぼ直角に折り曲げることで偏平で収納保管に適した形状に畳むことができるように構成される。簡易保護帽は、災害発生時に身近に利用可能な状態で無ければその価値は半減してしまうため、収納保管性が優れていることが求められるが、偏平に畳むことができると、少ないスペースに多数を容易に収納できるので頗る都合が良い。また、災害時にたたまれた簡易保護帽を装用可能な立体的な帽子形状に組み立てるには、単純にたたまれた簡易保護帽を開くだけで良い。災害時などには、簡易保護帽の装用者が冷静な状態を保つことは必ずしも期待できないため、きわめて簡単に装用可能な状態を回復できる本考案の特徴は実用性に優れているといえる。
(7)上記課題を解決するため、本考案においては、
少なくとも外面に難燃処理を施されている
ことを特徴とする、(1)乃至(6)のいずれか一に記載の簡易保護帽としている。
本考案に係る簡易保護帽の目的は第一には災害時に落下物から頭部を保護することであるが、火災時にはダンボールやプラダンで構成される本考案に係る簡易保護帽が引火してしまう危険がある。そのため、少なくとも外面に難燃処理を施してこのような危険を低減することが好ましい。難燃処理とは具体的には、金属箔の貼付や金属・セラミックコーティング、耐火塗料による塗装等を行うことができる。
(1)平面状の部材を折り曲げて組み立てる構成であることから、入手性・加工性に優れたダンボールやプラダン等の材料で製造することが可能であり、安価で軽量かつ必要な強度を備えた簡易保護帽とすることができる。また、罫線を介して複数の平面要素が連接した構造としたため、扁平な形状に小さく折り畳み可能で収納・保存に適したものとなる。また、罫線部を折り曲げるのみで立体的な帽子形状に復元可能であり、使用時の組み立てが極めて簡単かつ短時間に行なえるという効果がある。
また、後面に後右面及び後左面を重ね合わせて固定する構成としたので、簡易保護帽の組み立てが一つの面での加工で完了するので作業性が良い。さらに、後面と紛らわしい面はなく、後面に対して後右面と後左面を重ね合わせて貼付する作業も常に後面を最外層として組み立てればよく、従って、作業者が重ね合わせの順番に迷うような事態は発生しない。これにより、作業性の更なる向上及び組み立てミスの低減が図れ、より安価に簡易保護帽を提供できるようになる。
(2)右側面の上辺である罫線を介して右側頂面を備え、左側面の上辺である罫線を介して左側頂面を備えることとしたので、頂面と右側頂面及び左側帳面が重なり合うことになり、頂面と右側面の間及び頂面と左側面の間に隙間が発生しない。これによって、細く尖った落下物がこの隙間から進入して装用者を傷つけてしまうという事態が防止される。
(3)弾性部材を折り曲げて組み立てた内装体を備えたので、落下物による刺傷や切傷から頭部を保護するのみならず、重量ある落下物による衝撃からをも頭部を保護することが可能になるという効果が得られる。
(4)薄いシート状の素材で構成した内装体を、前面及び後面の少なくとも二点で取り付けることとしたので、簡易保護帽を装用可能な状態に広げた際に、内装体シートと帽体頂部の間に空間ができ、重量のある落下物が衝突した場合でも、帽体が壊れつつ衝撃が吸収されるので、装用者に伝わる衝撃が緩和されるという効果が得られる。
(5)顎紐を備えることで、使用時に脱げ落ちてしまうことが無く安全に使用できる簡易保護帽になるという効果が得られる。また、顎紐を内装体に備えることとしたので、顎紐を強く締めても内装体と帽体の間の空間は維持され、重量のある落下物が衝突した場合でも、帽体が壊れつつ衝撃が吸収されるという効果が維持される。
(6)一部の罫線をほぼ平面状に広げ、その他の罫線をほぼ直角に折り曲げることで扁平な状態に折り畳むことが可能な簡易保護帽としたことから、扁平な形状への折り畳み及び立体的形状への組み立てが極めて直感的に分かりやすく行え、使用に習熟をほとんど必要としないという効果が得られる。また、立体的に組み立てた簡易保護帽を再び扁平に折り畳むことも極めて容易である。
(7)簡易保護帽の外側が難燃処理されたことにより、簡易保護帽が容易には着火することが無くなり、火災時のような着火元が存在する環境においてもより安全に使用できるという効果が得られる。
本考案の一実施例である簡易保護帽を組み立てた状態を示した説明図である。 本考案の一実施例である簡易保護帽を折り畳んだ状態を示した説明図である。 本考案の一実施例である簡易保護帽の帽体を展開した状態を示した説明図である。 本考案の一実施例である簡易保護帽の内装体を展開した状態を示した説明図である。
以下、図面を用いて本考案について詳細な説明を行う。
図1は、本考案の一実施例である簡易保護帽を組み立てた状態を示した説明図であり、図2は同簡易保護帽を扁平に畳んだ状態を示した説明図である。さらに、図3は同簡易保護帽の帽体を展開した状態を示す説明図であり、図4は同簡易保護帽の内装体を展開した状態を示す説明図である。
本簡易保護帽の帽体は、Aフルートのダンボールシートを素材としており、図3における実線は切断線、点線は罫線を示している。切断加工と罫線加工はトムソン加工等で行なうことができるがこれに限られない。例えば、切断にはレーザー加工などを用いることができる。
頂面(2)は、図1に現れている通り帽体のほぼ頭頂部を構成する略長方形形状の平面要素であり、これにそれぞれ略長方形形状の前面(3)と後面(4)が罫線を介して連接している。罫線に沿ってダンボールが折り曲げられるが、左側面(10)と後左面(8)間の罫線を例にとれば、図2に現れている通り、帽体を折り畳んだ際にはこの罫線部はほぼ直角に折れ曲げられており、図1に現れている通り、帽体を立体的に組み立てた際にはこの罫線部は約45度程度開かれて135度程度となる。他の罫線についての状況も図面を参照して理解できる通りである。前面(3)と後面(4)は組み立てた際にそれぞれ前頭部・後頭部を保護する。
前面(3)の右辺・左辺である罫線にて連接してそれぞれ略三角形形状の前右面(5)と前左面(6)が備えられる。これらは、頭部の斜め前部を保護する。そして、後面(4)に重ねあわされて固定されている右後面(4a)と左後面(4b)のそれぞれの辺である罫線に連接してそれぞれ略三角形形状の後右面(7)と後左面(8)が設け備えられ、これらは、頭部の斜め後部を保護する。
ところで、右後面(4a)と左後面(4b)と後面(4)は図2に明瞭に表れている通り、重ねあわされて固定されているが、この固定は、ステープラーによる固定やホットメルト接着剤による固定など任意の定法を使用することができる。本実施例では短時間の加工で強固な固定が可能な固定リベット(4c)を用いて固定しているので、図3には固定リベット軸を挿入する固定リベット下穴(4d)が現れている。
前右面(5)と後右面(7)の間に罫線を介して挟まれている略長方形形状の右側面(9)は頭部の右側部を、前左面(6)と後左面(8)の間に罫線を介して挟まれている略長方形形状の左側面(10)は頭部の左側部を、それぞれ保護していることは図から明らかなとおりである。さらに、右側面(9)と左側面(10)のそれぞれには、上辺である罫線を介してそれぞれ右側頂面(9a)と左側頂面(10a)が設けられている。これらは、簡易保護帽を組み立てた際に、頂面(2)と右側面(9)の間、あるいは、頂面(2)と左側面(10)の間に、わずかな隙間が発生することを防いでいる。これらの位置に隙間が発生していると、割れたガラス片のように細くとがった落下物がこの隙間から侵入し、装用者を傷つける恐れがあるので、これを防止しているのである。
内装体(13)は、厚さが約1mm程度の発泡ポリエチレン製の板を切断加工し、穴加工したものである。本実施例では内装体(13)の備える内装体固定リベット下穴(14)を前面(3)および後面(4)の備える固定リベット下穴(4d)と重ね、ここに固定リベットの軸を通してかしめることにより取り付けを行っている。固定リベットを利用する理由は、強固な固定が得られることの他に、図面から明らかなとおり、内装体(13)の取り付け時に同時に後面(4)と右後面(4a)および左後面(4b)の固定も行うことができ、短時間で固定作業を行うことができるからである。ただし、ステープラーのようなものや、接着剤や両面テープによる貼付を含め、他の固定方法を利用することも自由である。
また、本実施例では固定リベット下穴(4d)は4か所に設けられているが上部の2か所は前面(3)に、下部の2か所は後面(4)に対応するので、実質的には上部と下部の2か所で簡易保護帽本体(帽体)と固定されていることになる。このようにすると、内装体(13)と頂部(2)の間に空間ができ、重量のある落下物が衝突した場合でも、頂部(2)が破壊されつつ衝撃を吸収する働きが得られ、装用者の頭部の良好な保護を図れる。
また、内装体(13)には顎紐取付穴(12)も設けている。内装体(13)に顎紐(11)を取り付けることとすれば、顎紐(11)を強く締めても内装体(13)と頂部(2)の間の空間が維持され、すでに説明した重量のある落下物の衝撃から装用者を保護する機能が維持されるからである。
また、簡易保護帽(1)の表面には、耐火塗料による塗装を実施しており、火災時に使用しても容易に着火してしまわないようにしている。また、図示していないが、耐火塗料による塗装と同時に、夜光塗料による塗装や目立ち易い意匠を施すことで、簡易保護帽の装用者が第三者から視認され易くすることも可能である。
以上、図面を参照しながら本考案に係る簡易保護帽の実施形態について説明を行った。ただし、本考案は上記実施形態に限定されるものではなく、当業者にとって自明な範囲での変形形態や改良形態を包含するものであることは言うまでもない。
以上説明したとおり、本考案は災害時に避難する際などに使用される簡易保護帽であって、扁平に折り畳むことが可能とされている為に収納・保存性にすぐれ、きわめて簡単かつ短時間に立体的な帽子形状に開いて装用することが可能であり、しかも、安価に供給することが可能であるという優れた特徴を有するものであり、産業上の利用価値はきわめて高い。
1 簡易保護帽
2 頂面
3 前面
4 後面
4a 右後面
4b 左後面
4c 固定リベット
4d 固定リベット下穴
5 前右面
6 前左面
7 後右面
8 後左面
9 右側面
9a 右側頂面
10 左側面
10a 左側頂面
11 顎紐
12 顎紐取付穴
13 内装体
14 内装体固定リベット下穴

Claims (7)

  1. 主に平面状の部材を折り曲げて組み立てられた簡易保護帽であって、
    該簡易保護帽は扁平な状態に折り畳んだ状態と立体的な帽子形状に自在に変形可能とされており、
    該簡易保護帽のほぼ頭頂部を構成する略長方形形状の頂面と、
    該頂面の前辺である罫線を介して連接している略長方形形状の前面と、
    該前面の右辺である罫線を介して連接している略三角形形状の前右面と、
    該前右面の後辺である罫線を介して連接している略長方形形状の右側面と、
    該右側面の後辺である罫線を介して連接している略三角形形状の後右面と、
    該後右面の後辺である罫線を介して連接している略長方形形状の右後面と、
    該前面の左辺である罫線を介して連接している略三角形形状の前左面と、
    該前左面の後辺である罫線を介して連接している略長方形形状の左側面と、
    該左側面の後辺である罫線を介して連接している略三角形形状の後左面と、
    該後左面の後辺である罫線を介して連接している略長方形形状の左後面と、
    該頂面の後辺である罫線を介して連接している略長方形形状の後面とを備え、
    該右後面と該後面は重ね合わせて固定され、
    該左後面と該後面は重ね合わせて固定されている
    ことを特徴とする、簡易保護帽。
  2. 主に平面状の部材を折り曲げて組み立てられた簡易保護帽であって、
    前記右側面の上辺である罫線を介して連接する右側頂面と、
    前記左側面の上辺である罫線を介して連接する左側頂面とを備えている
    ことを特徴とする、請求項1に記載の簡易保護帽。
  3. 内側に主に平面状の弾性部材を折り曲げて組み立てられた内装体を備えた
    ことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の簡易保護帽。
  4. 前記内装体は、
    前記前面と前記後面の少なくとも二点で取り付けられている
    ことを特徴とする、請求項3に記載の簡易保護帽。
  5. 前記内装体に顎紐を備えている
    ことを特徴とする、請求項4に記載の簡易保護帽。
  6. 前記前面と前記前右面との境界である罫線と、該前面と前記前左面の境界である罫線と、前記右後面と前記後右面の境界である罫線と、前記左後面と前記後左面の境界である罫線とをほぼ平面状に広げた状態とし、
    その他の前記罫線をほぼ直角に折り曲げた状態とすることで、扁平な状態に折り畳むことが可能とされた
    ことを特徴とする、請求項1乃至請求項5のいずれか一に記載の簡易保護帽。
  7. 少なくとも外面に難燃処理を施されている
    ことを特徴とする、請求項1乃至請求項6のいずれか一に記載の簡易保護帽。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023095897A1 (ja) * 2021-11-26 2023-06-01 Dic株式会社 安全帽

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