JP3207253B2 - 船舶推進機用カウリング構造 - Google Patents

船舶推進機用カウリング構造

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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】この発明は、船舶推進機用のカウ
リング構造に係わり、特に、その排水機構の改良に関す
る。
【０００２】
【従来の技術】従来、船舶推進機用のカウリング構造
は、ボトムカウリングと、このボトムカウリングの上方
から装着されたトップカウリングと、トップカウリング
の上部に装着されたエアダクトモールディングとを備え
ている。
【０００３】このようなカウリング構造では、トップカ
ウリングに略上方に突出しかつ開口する内側エアダクト
を形成し、カウリングの後部の外側エアダクトから吸入
された空気を、トップカウリングとエアダクトモールデ
ィングとの間に形成された吸気通路を介して、前記内側
エアダクトまで到達させ、次いで内側エアダクトからト
ップカウリング内に供給するようにしている。
【０００４】この種のカウリング構造では、内側エアダ
クトはエアダクトモールディングで覆われているため、
内側エアダクトに直接水が浸入しないようになってい
る。そして、外側エアダクトから水が入り込んでも、吸
気通路は外側エアダクトから上方に存在する内側エアダ
クトに至るように立ち上がって形成されているために、
この水分を内側エアダクトからトップカウリング内に浸
入しないようにしている。
【０００４】外側エアダクトから吸気通路に空気ととも
に入り込んだ水は、トップカウリングの壁面に付着して
水滴となり、外側エアダクトに向かって下方に傾斜して
いる、前記壁面を伝わって下降し、最終的には外側エア
ダクトよりカウリング外に排出される。したがって、水
分がトップカウリング内に浸入しないようにしているた
め、エンジンの焼付、発錆等の問題を防止しエンジンの
信頼性を向上することができる。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】従来の船舶推進機のカ
ウリング構造では、カウリングからのエンジン音の漏洩
を減少させるため、外側エアダクトと内側エアダクトの
少なくとも一つの開口面積を小さくする傾向に形成され
て来た。しかしながら、このような構成では、吸気通路
内での空気の流速が大きくなり、これに伴って吸気通路
の壁面に付着した水分がこの空気流に押されて壁に沿っ
て上昇し、内側エアダクトの壁を超えてその開口からト
ップカウリング内に落下してしまう問題があった。
【０００６】そこで、吸気通路を迷路化した例やトップ
カウリング内に浸入した水をエンジンインテークに至ら
ないようにして分離する例（特開昭６０−２２２３９４
号）も存在する。しかしながら、前者の例では、十分に
水の浸入を阻止することができないばかりか、カウリン
グの構造が複雑になってカウリングの製造が困難になる
問題がある。また、後者の例では、水がカウリング内に
浸入するため、カウリング内に存在するエンジン等の機
械装置に水が付着し、これらの信頼性を低下させるとと
もに、カウリング内の水分をカウリング外に排出するた
めの別の手段を必要とする。
【０００７】この発明は、このような従来技術の課題に
鑑みてなされたものであり、カウリングからのエンジン
音の漏洩を低減し、カウリング内への水入り防止特性に
も優れ、さらにカウリング構造も複雑にならず、カウリ
ング内に浸入した水分を排出するための特別な手段を必
要としない船舶推進用カウリング構造を提供することを
目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】本発明はこのような目的
を達成するために、エンジンを覆うトップカウリングに
略上方に突出しかつ開口するエアダクトを形成し、この
エアダクトの上方にエアダクトモールディングを配置
し、前記トップカウリングとエアダクトモールディング
との間に形成された吸気通路にカウリング外から吸入さ
れた空気を通過させて当該空気を前記エアダクトまで流
通させるとともに、前記吸気通路内の水分を当該吸気通
路から分離して、下方に延在することにより当該水分を
カウリング外に排出するようにした排水通路を有する船
舶推進機用カウリング構造を内容とするものである。
【０００９】
【作用】吸気通路内に入った水分が吸気通路の壁面を伝
わって空気流により上昇させられても、当該水分は吸気
通路から排水通路に分離される。この結果、吸気通路内
の水分がエアダクトに至る以前に当該水分を取り除くこ
とができるため、カウリングからのエンジン音の漏洩を
低減する目的で、エアダクトの開口面積を小さくして吸
気通路内での吸気空気の流速が増大することになって
も、カウリング内への水入りを確実に防止することがで
きる。また、排水通路を形成するだけで、エンジン音の
漏洩防止およびカウリング内への水入り防止を達成でき
るため、カウリング構造も複雑にならず、かつカウリン
グ内に浸入した水分を排出するための特別な手段も必要
としない。排水通路を、トップカウリングの外周面とエ
アダクト内周面とで形成したので、トップカウリングの
内側に排水通路を形成する必要がなく、トップカウリン
グ内に収容されたエンジンと排水通路とが干渉すること
がない。また、排水通路の出口を、吸気通路の入口より
も下方に位置させたので、排水通路から排出される水
が、吸気通路の入口から空気が入ってくるのを邪魔する
ことがない。
【００１０】
【実施例】次に本発明の実施例について説明する。図１
は、本発明の一実施例に係わるカウリング構造を備えた
船外機の全体を示すものであって、トップカウリング１
０はボトムカウリング１２に対して上方から装着され、
両者の間には防水用の合面シール１４が形成されてい
る。このトップカウリング１０の上部にはエアダクトモ
ールディング１６が装着され、このエアダクトモールデ
ィングの後端面には、外側エアダクト１８が形成されて
いる。
【００１１】そして、船外機１は、船体の船尾板２０に
クランプブラケット２２を介して取付られている。さら
に詳しくは、スイベルブラケット２４がクランプブラケ
ット２２に対してチルト軸２６の回りに回動可能に取付
けられて、スイベルブラケット２４に対し船外機１のド
ライブユニット２８が連結されている。スイベルブラッ
ト２４をチルトダウンまたはチルトアップし、図示しな
いステアリング軸の回りでスイベルブラケット２４に対
してドライブユニット２８を回動させ、ステアリングを
行う。
【００１２】図２はカウリング構造の平面図を示し、図
３は図２のＩＩ−ＩＩ断面を示すものであり、前記トッ
プカウリング１０の後方の上部には、上方に向かって矩
形状に突出する内側エアダクト３０が形成され、この内
側エアダクトは矩形状の開口３２を有している。トップ
カウリングの後端は、エアダクトモールディングとの装
着部３３より上方の前記内側エアダクトに向かった傾斜
壁３４になっており、この傾斜壁３４および内側エアダ
クト３０を覆うようにエアダクトモールディング１６が
トップカウリング１０に装着されている。３６は、トッ
プカウリング１０内に配置されたエンジンを示す。
【００１３】このエアダクトモールディング１６の後端
面３８の中央には、比較的広い幅を持って外側エアダク
ト１８が形成されている。この外側エアダクトの上端
は、前記内側エアダクト３０より下方に位置している。
前記エアダクトモールディング１６の後端の壁面３８
は、前記外側エアダクト１８の開口の下端においてトッ
プカウリング１０側に略直角に曲折し、さらに、比較的
小さな間隙を保って前記トップカウリングの傾斜壁３４
に沿って上方に立ち上がり、前記外側エアダクト１８の
開口の上端と同一高さで終端した内壁４０となってい
る。この結果、トップカウリング１０とエアダクトモー
ルディング１６との間の空間に該内壁によって二つの通
路が画成される。
【００１４】この二つの通路のうち、エアダクトモール
ディング１６の壁面と内壁４０の上面とで画成される通
路は、空気が流通する吸気通路４２であり、内壁の下面
とトップカウリングの傾斜壁３４とで画成される通路
は、水分を排出するための通路４４である。この排出通
路４４の出口は、エアダクトモールディングをトップカ
ウリングに装着した際に形成される僅かな隙間４６を利
用して形成されている。
【００１５】次に本発明の実施例について説明する。船
外機１のエンジン３６が駆動すると、図の矢印で示され
るように燃焼用空気４８が前記外側エアダクト１８から
吸入され、この空気は吸気通路４２を通過して前記内側
エアダクト３０からトップカウリング１０内に吸入され
る。
【００１６】空気が吸気通路４２を通過する際に空気と
ともに当該通路内に入り込んだ水分５０は、前記内壁４
０の上面に付着して水滴となる。ここで、前記外側エア
ダクト１８の開口面積は、エンジン音の漏洩を防止する
ために、比較的小さく形成されているために、吸気通路
４２内での空気の流速が比較的大きくなる。このため
に、内壁４０の上面に付着した水滴が、空気の流れに押
されて上方に進行しても、内壁４０は前記内側エアダク
ト３０の下方で終端しており、水滴が内壁の終端を超え
た時点で前記排水通路４４に向かって落下する。落下し
た水滴は、この排水通路４４を流れ落ちて最終的には、
前記出口４６からカウリング外に排出される。
【００１７】この結果、空気とともに水分が内側エアダ
クト３０からトップカウリング１０内に浸入することを
防ぐことができる。ここで、前記排水通路の出口４６の
幅は、前記外側エアダクト１８の開口面積よりも小さく
形成されているために（本実施例では３ｍｍ）、この出
口４６から排出通路内に空気が吸入されるとしても僅か
であり、水滴が排水通路４４を伝わって上方に向けて移
動し、内側ダクト ３０を超えてトップカウリング内に浸
入することはない。
【００１８】本実施例によれば、外側エアダクト１８の
開口面積を小さくしても、内側エアダクトから水分が浸
入しないようにできるため、エンジン音の漏洩防止特性
に優れ、そしてトップカウリング内への水入り防止特性
にも優れたものとなる。しかも、水滴を分離するための
排水通路は、エアダクトモールディング１６の後端の壁
面をトップカウリング１０側に配向した内壁４０を形成
するだけの簡単な構成で済むことになる。尚、以上の実
施例では、前記内壁をエアダクトモールディングから形
成した例について説明したが、トップカウリングから前
記内壁を形成することもできる。
【００１９】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
吸気通路内に入った水分が吸気通路の壁面を伝わって空
気流により上昇させられても、水分がエアダクトに至る
以前に当該水分を取り除くことができるため、カウリン
グからのエンジン音の漏洩を低減する目的で、エアダク
トの開口面積を小さくして吸気通路内の空気の流速が増
大することになっても、カウリング内への水入りを確実
に防止することができる。そして、排水通路を形成する
だけで、エンジン音の漏洩防止およびカウリング内への
水入り防止を達成できるため、カウリング構造も複雑に
ならず、かつカウリング内に浸入した水分を排出するた
めの特別な手段も必要としない。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施例に係わるカウリング構造を備
えた船外機の全体図である。
【図２】図１のカウリング構造の平面図である。
【図３】図２のＩＩＩ−ＩＩＩ断面図である。
【符号の説明】
１ 船外機 １０ トップカウリング １６ エアダクトモールディング １８ 外側エアダクト ３０ 内側エアダクト ４２ 吸気通路 ４４ 排水通路

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 エンジンを覆うトップカウリングに略上
    方に突出しかつ開口するエアダクトを形成し、このエア
    ダクトの上方にエアダクトモールディングを配置し、前
    記トップカウリングと前記エアダクトモールディングと
    の間に形成された吸気通路にカウリング外から吸入され
    た空気を通過させて当該空気を前記エアダクトまで流通
    させるとともに、前記吸気通路内の水分を前記吸気通路
    から分離して、下方に延在させることにより当該水分を
    カウリング外に排出するようにした排水通路を有し、前
    記排水通路が前記トップカウリングの外周面と前記エア
    ダクトモールディングの内周面との間に形成され、該排
    水通路の出口が前記吸気通路の入口よりも下方に位置す
    る、船舶推進機用カウリング構造。
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