JP3207206B2 - 強誘電体素子及びその製造方法 - Google Patents

強誘電体素子及びその製造方法

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JP3207206B2 JP50039898A JP50039898A JP3207206B2 JP 3207206 B2 JP3207206 B2 JP 3207206B2 JP 50039898 A JP50039898 A JP 50039898A JP 50039898 A JP50039898 A JP 50039898A JP 3207206 B2 JP3207206 B2 JP 3207206B2
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頼信 山田
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は強誘電体素子に関し、さらに詳しく述べる
と、インクジェットプリンタやその他のデバイスにおい
て圧電素子として有利に使用することのできる、特に薄
膜の形をした強誘電体素子に関する。本発明は、また、
そのような強誘電体素子の製造方法、そしてそのような
強誘電体素子の製造に有利に使用することのできる強誘
電体前駆体に関する。本発明は、また、そのような強誘
電体素子を圧電素子として使用したピエゾ方式のインク
ジェットヘッドに関する。ここで、「圧電体」と「強誘
電体」の位置づけについて説明しておくと、結晶に対し
て外力(外部からの応力)が加わった時に分極現象が発
生するものを圧電体と呼んでおり、また、この圧電体の
なかでも、外部電界によって分極を反転できるものを特
に強誘電体と呼んでいる。
背景技術 近年、ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ、
ファクシミリ装置などのオフィスオートメーション機器
や医療用計測機器などの各種の計測機器、その他の装置
において、それらの装置からの出力情報を高密度で印字
するためにインクジェットプリンタが広く用いられてい
る。インクジェットプリンタは、周知の通り、そのヘッ
ド部からインクの液滴を噴射させて記録紙等の記録媒体
に直接的に付着させ、モノクロあるいはカラーの印字を
行うためのものである。インクジェットプリンタは、記
録媒体が立体物などであっても印字が可能である、普通
紙を記録媒体に使用することができるのでランニングコ
ストが安い、ヘッドの装着が簡単であり、転写・定着等
の工程を必要としない、カラー化が容易で、鮮明なカラ
ー印字が可能である、などの多くの長所を有している。
インクジェットプリンタのヘッド部は、それからのイン
ク滴の噴射の駆動方式によっていくつかのタイプに区分
することができるというものの、典型的でありかつ有利
に使用されているものは、ピエゾ方式のインクジェット
ヘッドである。
ピエゾ方式のインクジェットヘッドは、通常、インク
流路とインクを吐出するための加圧室の役目を果たす、
等間隔で配置されている複数のインク室と、インク室の
先端に取り付けられたものであって、それぞれのインク
室に対応したインク吐出のためのノズルを装備したノズ
ル板と、印字の要求に応じて前記インク室内のインクを
加圧可能な加圧手段を含んで構成されている。加圧手段
は、圧電素子(ピエゾ素子とも呼ばれる)を含んで構成
され、この圧電素子による電歪効果を利用して、ヘッド
部のインクの充填されたインク室内に圧力波を生じさ
せ、これによってヘッド部のノズルからインクを吐出す
ることができる。
ピエゾ方式のインクジェットヘッドの構造について第
1図を参照してさらに詳しく説明すると、その一部を示
すインクジェットヘッド10は、インク流路とインクを吐
出するための加圧室の役目を果たす複数のインク室12が
形成されたインク室部材11を有している。インク室部材
11の先端には、それぞれのインク室12に対応して配置さ
れたノズルを有するノズル板(図示せず)が取り付けら
れる。ノズルの孔からは、インク室12内で加圧されたイ
ンクを液滴の形で噴射可能である。図示のインク室部材
11において、そのインク室12の開放面には加圧手段が取
り付けられる。図示の例では、加圧手段は、インク室12
の体積変化を行うための振動板の役目を果たすダイアフ
ラム15と、ダイアフラム15を歪ませるための駆動体であ
るところの圧電素子17と、その圧電素子17をサンドイッ
チしていて必要に応じて電圧を印加可能な上部電極16及
び下部電極18とから構成されている。
上記したようなインクジェットヘッドの圧電素子とし
て、あるいは例えばコンデンサ、アクチュエータ、メモ
リ、その他の素子として、強誘電体素子が広く用いられ
ている。強誘電体素子は、強誘電体あるいは強誘電体材
料から実質的に構成されるものである。典型的な強誘電
体材料は、一般に式ABO3によって表されかつ第2図に示
すような単純ペロブスカイト構造を有する酸化物型セラ
ミックス及び一般に式(A1,A2,…)(B1,B2,…)O3によ
って表される複合ペロブスカイト構造を有する酸化物型
セラミックスである。なお、本願明細書において「ペロ
ブスカイト構造」なる語を用いた場合、特に断りのある
場合を除いて、単純ペロブスカイト構造及び複合ペロブ
スカイト構造の両者を包含するものとする。かかるペロ
ブスカイト構造のセラミックスは、図示のように、金属
イオンA及びBをその構造中に有している。このような
構造を有する強誘電体材料として、さらに具体的には、
一般にPb(Zr,Ti)O3によって表されるチタン酸ジルコ
ン酸鉛(PZT)がある。特に、PZTをはじめとして、1金
属成分として鉛(Pb)を含む強誘電体は、一般に残留分
極、比誘電率、そして圧電定数が大きく、圧電性及び強
誘電性に優れていることが知られている。なお、本願明
細書では、特にPZTを参照して強誘電体材料を説明する
ことにする。
従来から、特に薄膜の形状を有するPZTの製造のため
の手法として、ゾル−ゲル法がよく知られている。PZT
の製造にゾル−ゲル法を使用することには、高純度のPZ
T薄膜を形成することができる、使用した原料の組成を
得られるPZT薄膜の組成に反映することができるので組
成の制御が容易である、スピンコートと焼成を繰り返す
ことで、表面平滑度の高いPZT薄膜を得ることができ
る、などの利点がある。
ゾル−ゲル法によるPZT薄膜の製造とそのPZT薄膜の圧
電素子としての使用に関してさらに説明すると、例え
ば、特開平6−112550号公報に記載のように、酢酸鉛を
酢酸に溶解し、30分間にわたって還流下に加熱する。得
られた溶液にジルコニウムテトラブトキシド及びチタン
テトライソプロポキシドを溶解し、水とジエチレングリ
コールを滴下し、充分に攪拌して加水分解させる。次い
で、このようにして得られたPZT前駆体のアルコール溶
液に対して、ポリエチレングリコールモノメチルエーテ
ルをPZT前駆体の10重量%の量で添加し、充分攪拌す
る。均質なゾルを上記のようにして形成した後、シリコ
ン基板上に白金電極を形成し、その電極の上に先に調製
しておいたゾルをスピンコートで塗布し、そして約350
℃に加熱する。このようにして、クラックのない多孔質
ゲル薄膜を2.5μmの膜厚で形成することができる。
次いで、上記したPZT原料と同じ原料を加水分解して
ゾルを形成する。しかし、この場合にはポリエチレング
リコールモノメチルエーテルを添加しない。得られたゾ
ルを上記の多孔質ゲル薄膜上にスピンコートで塗布し、
400℃に加熱して乾燥する。引き続いて、得られた薄膜
を酸素雰囲気中で15時間にわたって焼成(アニール)す
る。焼成温度は、通常、600〜700℃である。このような
一連の工程を経て、ペロブスカイト構造のPZT薄膜を得
ることができる。なお、上記したようなゾル−ゲル反応
は、一般式で示すと、第3図のようになる(図中、R
は、アルキル基である)。
また、主原料の水溶液からPZT薄膜を形成する方法と
して、水熱合成法が従来からよく知られている。水熱合
成法によるPZT薄膜の形成について説明すると、例え
ば、特開平6−112543号公報に記載されているように、
0.2モルの硝酸鉛、0.104モルのオキシ塩化ジルコニウ
ム、そして0.096モルの四塩化チタンを2規定の水酸化
カリウム水溶液に溶解する。得られた溶液に、シリコン
基板上に白金電極を形成したものを浸漬し、オートクレ
ーブを用いて160℃で30時間加熱する。オートクレーブ
から基板を取り出し、200℃で1時間乾燥させると、平
均粒径5μmの立方体状PZT薄膜を得ることができる。
別法として、水熱合成法を種結晶形成プロセス及び結
晶生長プロセスから構成することもできる。先ず、PZT
の種結晶の形成のため、水酸化鉛Pb(OH)及び水酸化
ジルコニウムZr(OH)を含む水中にチタン基板を浸漬
し、オートクレーブを用いて140〜200℃の温度で加熱す
る。この加熱により、引き続く成膜のための種結晶とし
て作用し得るPZT薄膜がチタン基板の表面に形成され
る。種結晶の形成後、Pb(OH)、Zr(OH)及び水酸
化チタンTi(OH)を含む水中にチタン基板を浸漬し、
オートクレーブを用いて80〜150℃の温度で加熱する。
この加熱により、先に形成されたPZT薄膜の上にそれよ
りもさらに厚膜の粗粒子状のPZTが形成される。
このような水熱合成法を使用したPZT薄膜の形成方法
には、例えば、200℃以下の低温条件下において厚膜化
が可能である、成膜直後において圧電性を発現するので
プロセスを煩雑にする追加の工程が不要である、下地の
基板との密着性に優れている、などの利点がある。
しかしながら、上記したような従来の強誘電体材料の
製造方法には解決されなければならない問題点が多く含
まれている。例えば、特開平6−112550号公報に記載の
ような、金属アルコキシドを主原料としてゾル−ゲル法
によりPZT薄膜を形成する方法では、PZT前駆体の溶媒に
アルコールを使用しているので、その前駆体の粘度が大
気中の水分によって変化し、得られるPZT薄膜の特性に
バラツキが発生するという問題がある。また、このよう
な大気中の水分の悪影響を回避し、金属アルコキシドの
不溶化を避けるため、特定の雰囲気下で原料を混合しな
ければならないなどの制限もあり、取扱いが容易でな
い。さらに、ゾル−ゲル法では、得られるPZT薄膜の膜
厚を大きくするのが困難であるという難点もある。
水熱合成法も同様である。例えば特開平6−112543号
公報に記載の水熱合成法で形成したPZT薄膜は、その薄
膜のPZT粒子の平均粒径が大きいため、膜の表面の平滑
度が低く、上部電極を形成しにくいという難点がある。
また、水熱合成法では、PZT粒子が粗粒子であるので薄
膜の密度が低い、薄膜中にカリウムKが残留し、特性に
悪影響を及ぼす、などの問題がある。
本発明者らは、さらに、本発明を鋭意研究していくな
かで、本発明に従いアルコールに代えて水を使用する場
合にも、条件によっては問題が発生する可能性のあるこ
とを見い出した。
本発明は、以下に詳細に説明するように、好ましくは
硝酸鉛Pb(NO3、オキシ硝酸ジルコニウムZrO(N
O3、そしてチタンイソプロポキシドTi(O−i−C3
H7の3種類の金属塩あるいは金属アルコキシドを出
発物質として使用してPZT前駆体水溶液を調製するもの
である。次いで、PZT前駆体水溶液を所定の基板上に塗
布した後、得られたPZT塗膜を乾燥し、そして焼成する
ことによってPZT薄膜となす。ここで、発生の可能性の
ある第1の問題点は、PZT前駆体の塗膜の乾燥工程にお
ける鉛の会合の問題である。一般に、水に対する溶解度
を異にする成分を混合して水溶液を調製した場合、引き
続く工程においてその溶液を乾燥する過程で、溶液に含
まれるそれぞれの成分どうしの会合が発生する。この現
象は、上記したPZT前駆体の塗膜の乾燥工程においても
同様に発生し、特に鉛の会合が顕著である。その結果、
形成されたPZT薄膜の表面にクロスした筋状物質が顕著
に析出する可能性があり、具体的には第4図に顕微鏡写
真(倍率20倍)で示す通りである。鉛の会合が発生する
と、このように薄膜表面に不所望な欠陥が発生すること
にとどまらず、連鎖的に他の問題も発生することが考え
られる。
PZTセラミックスにおいて、それを構成する成分であ
るところのPb、Zr、Ti及びOの比率は、1:0.53:0.47:3
の時に最も大きな圧電性能を呈示し、これを外れると急
激に圧電性能が劣化するということが知られている。し
たがって、上記のようにして形成したPZT薄膜におい
て、それに含まれるPb、Zr、Ti及びOの比は、たとえ前
駆体の段階では上記のような望ましい比率となっていて
も、乾燥過程で発生した鉛の会合に原因して不所望な変
動を伴い、したがって、不均質な膜となり、圧電特性が
劣化する。さらに、膜の密度も低下する。
第2の可能性は、クラックやピンホールのような欠陥
の発生である。例えば、上記したようなPZT前駆体水溶
液をディップコート、スピンコート等の常用の技法によ
って基板上に塗布し、引き続いて乾燥、脱脂、そして焼
成を行ってPZT薄膜を形成する場合、その薄膜の膜厚が
1μm以上になるとクラックが発生してしまう可能性が
ある。このクラックの発生は、複数のより薄い膜を積層
することによりPZT薄膜を形成する場合であっても、回
避することができないであろう。PZT薄膜においてクラ
ックが発生すると、膜の密度が低下し、その膜の上部に
電極等の素子を形成することが不可能となり、したがっ
て、得られたPZT薄膜を例えばインクジェットヘッドの
圧電素子として利用することが不可能となる。また、こ
こで使用するPZT前駆体水溶液は数センチポイズのオー
ダーの低い粘度を有しているので、1回の塗布における
被覆量が僅かであるばかりでなく、ピンホール等も発生
しやすい。
クラックやピンホールの発生という問題の重要性に鑑
みて本発明者らが行った実験では、Pb:Zr:Ti:Oが1:0.5
3:0.47:3(上記した好適比率)となるような組成のPZT
前駆体水溶液をディップコートにより基板上に塗布した
後、150℃で乾燥を行ったところ、クロスした筋状物質
による凸部が形成された。この凸部は、結晶化のために
引き続いて行った700℃の焼成の後でもそのままであ
り、少しの消滅も認められなかった。この筋状物質によ
る凸部は、EDX(エネルギー分散型X線分析法)による
解析から、鉛を多く含むということが見い出された。さ
らに、鉛、ジルコニウム及びチタンのそれぞれの水溶液
を上記のようにして調製し、基板上に滴下して室温にて
放置したところ、鉛の水溶液においてのみ結晶が析出し
た。
また、上記のPZT前駆体水溶液から形成したPZT薄膜の
膜厚は、1回の塗布工程ごとに高々0.05μmであり、加
えてピンホールが発生した。さらに、塗布、乾燥、脱
脂、そして焼成の一連の工程を10回にわたって反復して
形成したPZT薄膜の膜厚は、0.5μmであり、クラックが
発生した。
発明の開示 本発明の第1の目的は、したがって、原料の取扱い及
び製造が容易であり、原料溶液の保存安定性に優れ、低
コストであり、薄膜として成膜することができ、そして
得られる薄膜の表面の粒子が微細かつ緻密であり、よっ
て表面平滑度が優れて良好な強誘電体素子を提供するこ
とにある。
本発明の第2の目的は、上記したような特性に加え
て、薄膜として成膜する時に、厚膜化が可能でありかつ
下地となる基板との密着性に優れた強誘電体素子を提供
することにある。
本発明の第3の目的は、薄膜として成膜する時に、そ
の表面に筋状物質の析出のような欠陥が発生せず、その
薄膜が緻密かつ均質であり、圧電特性に優れた強誘電体
素子を提供することにある。
本発明の第4の目的は、薄膜として成膜する時に、そ
の表面に筋状物質の析出のような欠陥が発生せず、その
薄膜が緻密かつ均質であり、圧電特性に優れるばかりで
なく、クラックやピンホールのような欠陥も発生するこ
とがない強誘電体素子を提供することにある。
本発明の第5の目的は、上記したような優れた強誘電
体素子の製造方法を提供することにある。
本発明の第6の目的は、上記したような優れな強誘電
体素子の製造に有利に使用することのできる強誘電体前
駆体を提供することにある。
本発明の第7の目的は、本発明の強誘電体素子を圧電
素子として使用したピエゾ方式のインクジェットヘッド
を提供することにある。
本発明のその他の目的は、以下の詳細な説明から容易
に理解することができるであろう。
本発明は、その1つの面において、少なくとも2種類
の金属を含む強誘電体材料からなり、そして前記金属の
塩のそれぞれの水溶液から増粘剤及び(又は)会合防止
剤の存在において形成されたものであることを特徴とす
る強誘電体素子を提供する。好ましくは、素子形成の際
の溶液作製法としてゾル−ゲル法が用いられる。
ここで、本発明の強誘電体素子を実質的に構成する強
誘電体材料は、好ましくは、すでに説明したような、単
純又は複合のペロブスカイト構造を有する酸化物型セラ
ミックス、さらに好ましくは、一般にPb(Zr,Ti)O3
よって表されるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)である。P
ZTセラミックスは、以下に記載するものに限定されない
というものの、好ましくは、大きな圧電性能及びその他
の優れた特性を得るためにPb:Zr:Ti:Oの比率が1:0.53:
0.47:3であるものである。なお、本願明細書においては
特にPZTセラミックスを参照して本発明の実施を説明す
るけれども、その他の強誘電体材料に対しても本発明を
有利に適用可能である。
本発明の強誘電体素子において、強誘電体前駆体の水
溶液中に加えられる増粘剤は、好ましくは、素子の形成
時、所定の温度を上回った時に熱分解可能な、特に脱脂
時に熱分解可能な水溶液の高分子材料である。適当な増
粘剤は、以下に列挙するものに限定されるわけではない
けれども、例えば、ヒドロキシアルキルセルロース(こ
こで、アルキル基は、好ましくは2〜4個の炭素原子を
有している)、例えばヒドロキシエチルセルコース又は
ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレンオキサイ
ド、ポリビニルアルコールなどである。これらの増粘剤
化合物は、単独で使用してもよくあるいは混合して使用
してもよい。
本発明の強誘電体素子において前記増粘剤と組み合わ
せてあるいは単独で用いられる会合防止剤は、好ましく
は、水溶性の多価アルコールである。適当な多価アルコ
ールは、以下に列挙するものに限定されるわけではない
けれども、例えば、ジエチレングリコール、ポリエチレ
ングリコール、グリセリンなどである。これらの多価ア
ルコールは、単独で使用してもよくあるいは混合して使
用してもよい。
本発明を実施するに当たっては、強誘電体前駆体の水
溶液中に、前記した増粘剤及び(又は)会合防止剤に加
えて、その強誘電体と同一もしくは類似の結晶構造を有
する強誘電体の粉末を存在させることが好ましい。
本発明の強誘電体素子は、好ましくは、上記したよう
な強誘電体前駆体の水溶液からゾル−ゲル法を用いた溶
液作製工程を経て形成された薄膜である。この薄膜は、
通常、単層であり、しかし、必要に応じて、2層もしく
はそれ以上の層からの積層構造であってもよい。
さらに、本発明の好ましい1態様において、このよう
な薄膜状の強誘電体素子の下地として、その素子の強誘
電体と同一もしくは類似の結晶構造を有するものであっ
て、その形成に必要とされる金属の水溶液から水熱合成
法によって形成された下地層が存在していてもよい。こ
こで、この下地層の強誘電体は、その上方の強誘電体と
比較した場合、より大きな粒径を有する粒子からなりか
つ低密度である。
本発明は、そのもう1つの面において、少なくとも2
種類の金属を含む強誘電体材料からなる強誘電体素子を
製造する方法であって、下記の工程: 前記金属の塩のそれぞれの水溶液を混合することによ
って強誘電体前駆体水溶液を調製し、 前記強誘電体前駆体水溶液に増粘剤及び(又は)会合
防止剤を添加し、そして、得られた溶液を基板上に塗布
した後、 形成された塗膜を乾燥及び焼成することにより前記強
誘電体材料を結晶化させること、 を含んでなることを特徴とする強誘電体素子の製造方法
を提供する。
また、本発明は、そのもう1つの面において、少なく
とも2種類の金属を含む強誘電体材料をゾル−ゲル法を
含む方法により製造する際に出発物質として使用するた
めの強誘電体前駆体であって、前記金属の塩のそれぞれ
の水溶液からなりかつ増粘剤及び(又は)会合防止剤を
含むことを特徴とする強誘電体前駆体を提供する。
さらに、本発明は、そのもう1つの面において、複数
個のインク吐出のためのノズル、前記ノズルに連通した
インクの流通及び加圧のためのインク室及び前記インク
室内のインクをその体積変化により前記ノズルより吐出
するための加圧手段を含むインクジェットヘッドであっ
て、 前記加圧手段が、少なくとも2種類の金属を含む強誘
電体材料からなり、そして前記金属の塩のそれぞれの水
溶液から増粘剤及び(又は)会合防止剤の存在において
ゾル−ゲル法を含む方法によって形成された強誘電体素
子を圧電素子として含んでなることを特徴とするインク
ジェットヘッドを提供する。
本発明のインクジェットヘッドは、基本的に、従来一
般的に用いられているピエゾ方式のインクジェットヘッ
ドと同様な構成を有することができ、記載の強誘電体薄
膜を圧電素子として使用している限りにおいて特に限定
されるものではない。適当なインクジェットヘッドは、
したがって、例えば先に第1図を参照して説明したよう
なインクジェットヘッドである。
図面の簡単な説明 第1図は、従来のピエゾ方式のインクジェットヘッド
の要部を示した断面図である。
第2図は、単純ペロブスカイト構造を有する酸化物型
セラミックスの構造を示した略示図である。
第3図は、従来のゾル−ゲル法によるチタン酸ジルコ
ン酸鉛(PZT)の製造プロセスを示したフローシートで
ある。
第4図は、従来の液相法によるPZT薄膜の形成におい
てその薄膜の表面に形成されるクロスした筋状物質を示
した顕微鏡写真である。
第5図は、本発明に従ってPZT前駆体水溶液を調製す
る工程の好ましい1例を示したフローシートである。
第6図は、第5図に記載のような工程に従って調製し
たPZT前駆体水溶液を出発物質としてPZT薄膜を形成する
工程の好ましい1例を示したフローシートである。
第7図は、本発明によるPZTの製造プロセスを示した
フローシートである。
第8図は、本発明の好ましい1態様に従いPZT前駆体
水溶液に代えてPZTペーストを調製する工程の好ましい
1例を示したフローシートである。
第9図は、本発明の別の好ましい態様に従い複合PZT
薄膜を形成する工程を順を追って示した断面図である。
第10図は、本発明に従いヒドロキシプロピルセルロー
スを増粘剤として使用して調製したPZT粉末のX線回折
パターンを示したグラフである。
第11図は、比較のために増粘剤を使用しないで調製し
たPZT粉末のX線回折パターンを示すグラフである。
第12図は、本発明に従いヒドロキシプロピルセルロー
スを増粘剤として使用して調製したPZT薄膜のX線回折
パターンを示したグラフである。
第13図は、本発明に従いポリエチレンオキシドを増粘
剤として使用して調製したPZT薄膜のX線回折パターン
を示したグラフである。
第14図は、本発明に従いポリビニルアルコールを増粘
剤として使用して調製したPZT薄膜のX線回折パターン
を示したグラフである。
第15図は、本発明に従いポリエチレングリコールを会
合防止剤として使用して調製したPZT薄膜の表面状態を
示した顕微鏡写真である。
第16図は、比較のために会合防止剤としてのポリエチ
レングリコールの添加量を減らして調製したPZT薄膜
(対照として)の表面状態を示した顕微鏡写真である。
発明を実施するための最良の形態 以下、本発明をその好ましい形態について特にチタン
酸ジルコン酸鉛(PZT)を参照してさらに詳しく説明す
る。また、以下においては本発明の強誘電体素子を特に
インクジェットヘッドの圧電素子として使用した例を説
明するけれども、その他のデバイスにおいても有利に適
用することが可能である。
本発明による強誘電体素子は、少なくとも2種類の金
属を含む強誘電体材料からなり、また、その形成は、強
誘電体を構成する金属の塩のそれぞれの水溶液を出発物
質として使用して行う。具体的には、強誘電体のための
選ばれた金属塩、好ましくは金属水酸化物の水溶液に増
粘剤及び(又は)会合防止剤を添加して前駆体水溶液と
なし、この水溶液をそのままかもしくは、必要に応じ
て、ペースト状物とした後、基板の上に塗布し、得られ
た塗膜を乾燥し、焼成する。
例えば、本発明の強誘電体素子の代表例であるPZT薄
膜は、鉛、ジルコニウム及びチタンのそれぞれの塩の水
溶液を調製した後、それらの水溶液を混合することによ
ってPZT前駆体水溶液とし、さらにその前駆体水溶液を
所定の基板に塗布し、引き続いて乾燥、焼成等の処理を
施すことによって形成することができる。
PZT薄膜形成のための上記のような一連の工程は、さ
らに具体的に説明すると、第5図及び第6図にフローシ
ートで示しかつ以下に順を追って説明する通りである。
なお、以下の説明はそれぞれの工程の好ましい1例を説
明するものであって、本発明の精神及び範囲で種々の変
更が可能である。
ここで説明するPZT薄膜の形成は、硝酸鉛Pb(N
O3、オキシ硝酸ジルコニウムZrO(NO3、そして
チタンイソプロポキシドTi(O−i−C3H7の3種類
の金属塩を出発原料として使用する。
チタン水溶液の調製 所定量のチタンイソプロポキシドTi(O−i−C3H7
を3規定の硝酸水溶液に溶解し、窒素雰囲気中で攪拌
下に混合する。ここで混合を窒素雰囲気中で行う理由
は、チタンイソプロポキシドは、空気中の水分と反応し
てTiO2となり、不溶化してしまうからである。次のよう
な反応により、均一なチタン水溶液が得られる。
Ti(O−i−C3H7+2H2O→ Ti(OH)+4C3H7OH ジルコニウム水溶液の調製 所定量のオキシ硝酸ジルコニウムを純水に溶解し、攪
拌下に混合する。次のような反応により、均一なジルコ
ニウム水溶液が得られる。
ZrO(NO3+2H2O→ Zr(OH)+2HNO3 混合 上記のようにして調製したチタン水溶液とジルコニウ
ム水溶液を攪拌下に混合し、均一な溶液とする。
鉛水溶液の調製 所定量の硝酸鉛を純水に溶解し、攪拌下に混合する。
次のような反応により、均一な鉛水溶液が得られる。
Pb(NO3+2H2O→ Pb(OH)+2HNO3 ここでは、硝酸鉛を使用したが、その代わり、例えば
酢酸鉛などの塩を使用してもよい。
PZT前駆体水溶液の調製 上記のようにして調製した鉛水溶液を、先の工程で調
製したチタンとジルコニウムを含む混合水溶液に攪拌下
に混合し、均一なPZT前駆体水溶液とする。PZT前駆体水
溶液の濃度は、特に限定されるものではなく、所望とす
る結果、成膜条件、その他のいろいろな条件を考慮に入
れて広く変更することができる。本発明者らの知見によ
れば、PZT前駆体水溶液中におけるPZTの濃度は、好まし
くは、約5〜20重量%、さらに好ましくは10重量%前後
である。PZT前駆体水溶液は、従来一般的に用いられて
きたPZT前駆体のアルコール溶液に較べて取扱いが容易
であり、また、安価である。このようにして、第5図に
示した一連の工程を終了する。引き続いて、PZT薄膜の
形成工程(第6図を参照されたい)に移行する。
増粘剤及び(又は)会合防止剤の添加 上記のようにして調製したPZT前駆体水溶液に、本発
明に従い、増粘剤及び会合防止剤を単独であるいは組み
合わせて添加する。これらの添加剤の添加の順序は、任
意である。なお、増粘剤及び会合防止剤については、以
下において詳細に説明する。
必要な添加剤の添加を完了した後、混合物を攪拌下に
入念に混合する。PZT薄膜形成のための塗布溶液が得ら
れる。また、もしも所望ならば、このような塗布溶液に
処理を加えて、ペースト化してもよい。
塗布(塗膜の形成) 上記のようにして調製した塗布溶液あるいはペースト
を所定の基板上に所望のパターンで塗布する。ここで使
用する塗布法は、常用の技法であることができ、例え
ば、スピンコート法、ディップコート法、スクリーン印
刷法などを挙げることができる。目的とするPZT薄膜の
タイプに応じて、最適な塗布法を選択することができ
る。塗布量、すなわち、形成される塗膜の膜厚も、同様
に、いろいろなファクタに応じて任意に選択することが
できる。例えば、得られるPZT薄膜をメモリやコンデン
サなどに使用する場合には、乾燥後の膜厚はサブミクロ
ンのオーダーで十分であり、また、アクチュエータとし
て使用する場合には、数10μmのオーダーで十分であ
る。
乾燥 引き続いて、上記のようにして形成した塗膜を乾燥
し、硬化させるとともに、余分な水分等を蒸発により除
去する。乾燥の温度及び時間は広い範囲で変更すること
ができるというものの、一般に、約100〜200℃、約5〜
30分間の範囲である。例えば、150℃で10分間の乾燥を
行うことができる。なお、この乾燥工程の途中で、塗膜
においてクラック等の欠陥が発生することはない。ま
た、ここでは図示しないけれども、乾燥工程と焼成工程
の間に脱脂工程、その他の常用の処理工程を介在させて
もよい。
焼成 最後に、乾燥後の塗膜を焼成する。この焼成工程は、
先に説明した乾燥工程と同様に、この技術分野において
一般的に用いられている技法に準じて実施することがで
きる。好ましい焼成温度は、約500〜900℃、さらに好ま
しくは約700〜800℃である。通常、500℃の前後で焼成
を行うことにより、所期の目的を達成することができ
る。焼成時間は、焼成温度との関係などにおいて広く変
更することができるというものの、一般的に、約1〜60
分間の範囲である。この焼成の結果、高密度で緻密なPZ
T薄膜が形成される。また、上記したように焼成温度が
低いので、焼成中に鉛(Pb)が飛散してしまうというよ
うな不都合を回避することができ、よって、先に用意し
たPZT前駆体と同じ組成(Pb:Zr:Ti:O比)を維持したま
ま高品質なPZT薄膜を得ることができる。
上記したようなPZT薄膜の形成において、その途中の
状態について説明すると、第7図に示す通りである。先
に説明した第3図と対比することにより、本発明におけ
るゲル状態は、従来例のそれと構造的に区別されるとい
うことが理解されるであろう。
上記したようなPZT薄膜の形成において、PZT前駆体中
のPb、Zr、Ti及びOの比は、所望とする結果に応じて広
く変更することができるというものの、最高の圧電性能
を得るため、先にも述べたように、Pb:Zr:Ti:O=1:0.5
3:0.47:3とすることが推奨される。本発明では、上記し
たような組成比率をPZT前駆体において採用した場合、
その比率をそのままPZT薄膜においても再現することが
でき、したがって、均質で、高密度の圧電特性に優れた
PZT薄膜を容易に得ることができる。
ここで、従来の技術の項で触れたクラックやピンホー
ルのような欠陥の発生の可能性についてであるが、本発
明に従うと、PZT前駆体水溶液の調製段階で、上記した
増粘剤及び(又は)会合防止剤に加えてPZT粉末を添加
することによって効果的に防止することができる。ま
た、この場合、PZT前駆体は、好ましくは、水溶液の形
ではなくて、ペーストの状態である。
第8図は、この好ましい態様をフローシートで示した
ものである。PZT前駆体水溶液の調製までは第5図を参
照して先に説明した工程と同様に行うことができる。次
いで、第6図を参照して説明したように、増粘剤及び
(又は)会合防止剤を添加する。これらの添加剤の添加
と同時にあるいはその添加と前後して、PZT粉末を添加
する。これらの添加剤の添加の順序は、所望とする結果
やその他のファクタに応じて任意に変更可能である。な
お、ここで使用することのできるPZT粉末については、
以下において詳細に説明する。
必要な添加剤の添加を完了した後、得られた混合物を
例えば遊星ボールミルのようなミリング装置に入れ、数
分間にわたって攪拌する。なお、必要に応じて、PZT粉
末の添加をこのミリング工程において行ってもよい。引
き続いてスクリーン印刷等により塗布することができる
均一なペーストが、得られる。得られたペーストは、好
ましくは、ロータリーポンプなどで数分間にわたって真
空脱泡を行った後に塗布を行うことができる。塗布、乾
燥、そして焼成の工程は、先に第6図を参照して説明し
た手法に準じて実施することができる。
本発明の実施において、PZT前駆体水溶液は、増粘剤
を含有することができる。増粘剤は、好ましくは、上記
したように前駆体水溶液を調製した後に添加することが
でき、その作用は、例えば、得られるPZT薄膜における
結晶性の向上や、PZT粉末を併用する場合の、そのPZT粉
末の均一な分散などである。増粘剤はまた、その作用の
面から、バインダと呼ばれることもある。適当な増粘剤
は、水溶性の高分子材料でありかつ、素子の形成時(す
なわち、焼成を行う時)、所定の温度を上回った時に熱
分解可能であるものである。有利に使用することのでき
る増粘剤の例を列挙すると、以下に示すものに限定され
るわけではないけれども、ヒドロキシアルキルセルロー
ス、好ましくはアルキル部分が2〜4個の炭素原子を有
しているもの(例えば、ヒドロキシプロピルセルロー
ス)、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール
などがある。これらの増粘剤は、単独で使用してもよく
あるいは組み合わせて使用してもよい。増粘剤の使用量
は、所望とする効果などのファクタに応じて広く変更す
ることができるというものの、通常、PZT前駆体水溶液
の全量を基準にして約0.1〜50重量%の量である。好ま
しくは、使用する増粘剤がヒドロキシプロピルセルロー
スである場合、その使用量は、一般的に、PZT前駆体水
溶液の全量を基準にして約0.5〜10重量%の量である。
また、PZT粉末を均一に分散させることが目的であるな
らば、増粘剤を多めに使用することが好ましい。
本発明の実施に当たっては、上記したような増粘剤と
組み合わせて、あるいはそれとは独立して、会合防止剤
がPZT前駆体水溶液中で用いられる。会合防止剤は、そ
れを前駆体水溶液中に含ませた場合、水溶液中に含まれ
る鉛(Pb)元素に配位結合し、従来の技術で問題となっ
ていた鉛元素どうしの会合を効果的に防止することがで
きる。適当な会合防止剤は水溶性の多価アルコールであ
り、また、有利に使用することのできる多価アルコール
の例は、以下に列挙するものに限定されるわけではない
けれども、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコ
ール、グリセリンなどがある。これらの会合防止剤は、
単独で使用してもよくあるいは組み合わせて使用しても
よい。会合防止剤の使用量は、所望とする効果などのフ
ァクタに応じて広く変更することができるというもの
の、通常、PZT前駆体水溶液の全量を基準にして約5〜2
0重量%の量である。
本発明では、上記したような増粘剤、会合防止剤を添
加した時に得られるそれらの添加剤に特有の効果はもち
ろんのこと、すでに言及し、説明したように、PZT前駆
体をアルコールに代えて水に溶解することの効果も得る
ことができる。すなわち、アルコールを溶媒とした時に
認められた、大気中の水分によって前駆体の粘度が変化
してしまうという問題を回避することができるので、前
駆体を極めて安定な状態で容易に使用することができ、
また、この前駆体を使用してゾル−ゲル法を実施するこ
とにより、緻密で圧電特性に優れたPZT薄膜を形成する
ことができる。
本発明の実施において、PZT前駆体の水溶液の使用に
原因してクラックやピンホールの発生が懸念される場合
には、あるいは、そのような懸念がなくても、PZT前駆
体の水溶液中に前記の増粘剤及び(又は)会合防止剤を
添加することに加えて、そのPZTと同一もしくは類似の
結晶構造を有する別のPZTの粉末を存在させることが好
ましい。ここで添加するPZT粉末は、いろいろな注目す
べき作用を同時に発揮することができる。例えば、PZT
粉末は、乾燥後のPZT塗膜を焼成する時、添加した粉末
の体積分だけ塗膜の収縮量を減少させることができ、よ
って、クラックの発生を防止することができる。また、
このようなPZT粉末を添加すると、1回当たりのPZTの塗
布量を増加させることができるので、得られるPZT薄膜
の厚膜化をはかることができる。ここで、添加するPZT
粉末の量は、所望とする効果などのファクタに応じて広
く変更することができるというものの、通常、PZT前駆
体水溶液の全量を基準にして約5〜20重量%の量であ
る。なお、上記したような効果は、ここでは特にPZT粉
末の添加を例に挙げて説明したけれども、PZT以外の強
誘電体素子の製造の場合にも、対応の強誘電体の粉末を
添加することによって、遜色のない効果を得ることがで
きる。
さらに、本発明を実施するに当たって、すでに先に説
明したように、上記したようなPZTの粉末に組み合わせ
て増粘剤も存在させることが好ましい。増粘剤を添加す
ると、PZT前駆体のペーストの粘度を制御することがで
き、したがって、得られるPZT薄膜の膜厚も制御するこ
とができる。また、添加に続けてミリングなどの攪拌操
作を行うことにより、混合したPZT粉末を均一に分散さ
せることができ、また、PZT粉末が沈降するのを効果的
に防止することができる。さらに、増粘剤の添加の結果
として、PZTペーストの基板への濡れ性を改善でき、焼
成後に得られるPZT薄膜の基板に対する密着性を改善で
きる。PZT粉末を併用する時、使用する増粘剤の量は、
ペーストにおいて所望とされる粘度、所望とする効果な
どのファクタに応じて広く変更することができるという
ものの、通常、PZT前駆体水溶液の全量を基準にして約
1〜30重量%の量である。
ここで、出発物質としてのPZT前駆体は、上記したよ
うな追加の添加剤をさらに添加したことの結果、溶液の
状態からペーストの状態に変化する。得られるPZTペー
ストは、先に示したようなスピンコート法、ディップコ
ート法などで塗布してもよく、しかし、その粘性を考慮
した場合、塗膜形成の分野で一般的に行われているよう
に、スクリーン印刷法などを使用して有利に塗布するこ
とができる。スクリーン印刷法を使用すると、所望のパ
ターンでPZT塗膜を形成することと、その塗膜の厚膜化
が容易に可能である。
以上により、PZT前駆体水溶液に対して増粘剤及び
(又は)会合防止剤に加えてPZT粉末を添加することに
より、保存安定性に優れ、PZT濃度の高いPZTペーストを
提供することができ、また、これを使用して成膜を行う
ことにより、ピンホール、クラック等のない圧電特性に
優れたPZT薄膜を提供することができる。
本発明は、そのもう1つの好ましい態様において、水
熱合成法とゾル−ゲル法を組み合わせて、PZT薄膜等の
強誘電体素子を製造することを提供する。ここで、水熱
合成法は、基本的に、従来常用の技法を使用して、強誘
電体素子の第1層(すなわち、強誘電性下地層)を形成
するために用いられ、また、ゾル−ゲル法は、基本的に
上記した本発明の方法に従って、すなわち、少なくとも
増粘剤及び(又は)会合防止剤を含みかつ必要に応じて
強誘電体粉末を含む強誘電体前駆体水溶液を出発物質と
して使用して、強誘電体素子の第2層(上方の強誘電体
層)を形成するために用いられる。
すなわち、この好ましい態様に従う強誘電体素子は、
その主たる部分を構成する上方の強誘電体層の下側に、
その強誘電体層を構成する強誘電体材料と同一もしくは
類似の結晶構造を有するものであって、その形成に必要
とされる金属の水溶液から水熱合成法によって形成され
た強誘電性下地層をさらに有していることを特徴とする
ものである。このような複合強誘電体素子において、強
誘電性下地層の強誘電体材料は、好ましくは、その上方
の強誘電体層の強誘電体材料に比較して大きな粒径を有
する粒子からなりかつ低密度である。
上記したような複合強誘電体素子は、好ましくは、例
えば複合PZT薄膜について説明すると、例えば第9図に
順を追って示す方法で製造することができる。
先ず、工程Aに示すように、基板1を用意する。ここ
で、基板の種類、形状などは、目的とする複合PZT薄膜
の使途などのファクタに応じて広く変更することができ
る。適当な基板は、例えば、セラミック基板、例えばシ
リコン基板、チタン基板など、ガラス基板等の常用の基
板であり、その上に絶縁膜などの層や配線、電極などが
作り込まれていてもよい。なお、本例ではチタン基板を
使用する。
次いで、工程Bで、チタン基板1の上にPZTの種結晶
層2を形成する。この成膜は、例えば、水酸化鉛Pb(O
H)及び水酸化ジルコニウムZr(OH)を含む水中に
チタン基板1を浸漬し、オートクレーブを用いて140〜2
00℃の温度で加熱するにより実施することができる。
種結晶層2の形成が完了した後、工程Cで、種結晶層
2の上にさらに第1PZT層(下地層)3を形成する。この
PZT層3の形成は、例えば、Pb(OH)、Zr(OH)
び水酸化チタンTi(OH)を含む水中にチタン基板1を
浸漬し、オートクレーブを用いて80〜150℃の温度で加
熱することにより実施することができる。これにより、
先に形成された種結晶層2の上にそれよりもさらに厚膜
の、図示のように粗粒子状のPZT層3が形成される。得
られるPZT層3は、低温条件下で厚膜化が可能であるば
かりでなく、成膜直後の状態で早くも圧電性を発現し、
そしてチタン基板1との密着性も良好である。
最後に、工程Dで、本発明に従い上記したようなPZT
前駆体水溶液あるいはペーストを用いて第2PZT層4を形
成する。このPZT層4を上層に配置したことで、下地のP
ZT層3の粗面状態を平滑に変更することができる。得ら
れる複合PZT薄膜の表面が平滑であるので、その上にさ
らに電極等を形成する作業を容易にかつ高信頼度で実施
することができる。このような2層構造の場合、得られ
る複合PZT薄膜においてクラックやピンホールといった
欠陥が入るのも防止することができる。
本発明による強誘電体素子は、ピエゾ方式のインクジ
ェットヘッドにおいて、すなわち、複数個のインク吐出
のためのノズル、前記ノズルに連通したインクの流通及
び加圧のためのインク室及び前記インク室内のインクを
その体積変化により前記ノズルより吐出するための加圧
手段を含むインクジェットヘッドにおいて、その加圧手
段を構成するために有利に使用することができる。
インクジェットヘッドそのものは、先に説明したよう
に、この技術分野において一般的に用いられているピエ
ゾ方式のインクジェットヘッドと同様な構成を有するこ
とができる。再び第1図を参照して本発明のインクジェ
ットヘッドについて説明する。
インクジェットヘッド10のインク室12は、インク室部
材11に所定のパターンで形成されている。インク室部材
11は、インク室12の形成方法などのファクタに応じてい
ろいろな材料から形成することができる。一例を示す
と、例えばガラス、プラスチック材料、例えばポリエス
テル樹脂(PETなど)、アクリル樹脂(PMMAなど)な
ど、石英、その他の基板を用意し、その上方に、例えば
フォトリソグラフィなどの技法により、樹脂材料をパタ
ーニングしてインク室に相当する溝を形成することがで
きる。
図示のインク室部材11において、そのインク室12の開
放面には、インク室12の体積変化を行うための振動板の
役目を果たすダイアフラム15(本発明でいう加圧手段の
1構成要素)が取り付けられている。ダイアフラム15
は、上記したインク室部材11の形成の時にそれと一体成
形で形成してもよく、さもなければ、接着剤によりイン
ク室部材11に接合してもよい。ダイアフラム15に適当な
材料は、例えば、剛性の高いセラミックス、例えばZrO2
などである。ダイアフラム15には、それに当接させて加
圧手段の残りの要素を取り付ける。
加圧手段の残りの要素は、図示の例の場合、ダイアフ
ラム15を歪ませるための駆動体であるところの圧電素子
17、そしてその圧電素子17をサンドイッチしていて必要
に応じて電圧を印加可能な上部電極16及び下部電極18で
ある。圧電素子17は、上記したような本発明の方法に従
って形成することができ、そして、電極16及び18は、そ
れぞれ、常法に従って、例えばスパッタリング、スクリ
ーン印刷、蒸着などの常用の技法を使用して所望のパタ
ーンで形成することができる。
図示のインクジェットヘッドの運転は、次のようにし
て行うことができる。インク室12にヘッド10のインク供
給口(図示せず)からインクを供給し、充満させる。こ
のような状態で、電極16及び18の間に電圧を印加する
と、それらの電極に挟まれた圧電素子17が、その圧電特
性により変位せしめられ、圧電素子17に当接して配置さ
れたダイアフラム15をインク室12の側に押し出す。その
結果、インク室12に充満せしめられているインクの体積
が減少するので、インク室12に連通したノズル(図示せ
ず)から、体積減少量に相当する量のインクがドット状
に吐出せしめられる。
実施例 引き続いて、本発明をその実施例を参照して説明す
る。しかし、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではないことを理解されたい。
例1 0.014モルのテトライソプロポキシチタンを30gの3規
定硝酸水溶液に溶解してチタン水溶液とした。また、0.
016モルのオキシ硝酸ジルコニウムを20gの純水に溶解し
てジルコニウム水溶液とした。さらに、0.03モルの硝酸
鉛を20gの純水に溶解して鉛水溶液とした。
上記のようにして調製した3種類の水溶液を混合して
PZT前駆体水溶液を調製した。ここで、PZT中のZrとTi組
成比は得られる強誘電性と密接に関係するので、上記の
ように水溶液を調製しかつここでそれらの水溶液を混合
するに当たってもこの点を配慮し、最終的に得られるPZ
T薄膜に所望の組成比(Pb:Zr:Ti:O=1:0.53:0.47:3)と
なるように調製及び混合を行った。
最初に、チタン水溶液とジルコニウム水溶液を室温で
混合し、十分に攪拌した。攪拌の完了後、得られた混合
物に鉛水溶液を混合した。得られた混合物を室温で十分
に攪拌した後、100℃以上の温度で還流下に加熱し、加
水分解した。各水溶液中に含まれるそれぞれの金属イオ
ンは、水溶液を室温で混合した時点では、それに対応す
る金属水酸化物を形成するだけで、金属イオンどうしの
結合度は小さいものであった。ところが、引き続いて還
流及び加水分解を行うと、それぞれの金属イオン、すな
わち、チタン、ジルコニウム、鉛イオンが、酸素を介し
て互いに結合可能である。つまりここで、Pb−O−Ti−
O−Zrなる結合ができ、ゾル状態となる。また、このよ
うなゾル状態にある水溶液のことを、本発明では特に
「PZT前駆体水溶液」と呼んでいる。
PZT前駆体水溶液を室温に戻した後、水と少量(約0.5
重量%)のヒドロキシプロピルセルロースを添加して室
温で約1時間にわたって十分に攪拌した。白濁や沈殿物
を含まない透明で均一な溶液が得られた。
ここで、PZT前駆体水溶液に添加したヒドロキシプロ
ピルセルロースは、いろいろな作用を生じることが確認
された。ヒドロキシプロピルセルロースは、先ず、比較
的に低粘度のPZT前駆体水溶液の粘度を上げ、よって、
後段の塗布工程においてそれを基板上に塗布する時、厚
膜で塗布することを可能にした。ヒドロキシプロピルセ
ルロースはまた、粘度を上昇させる作用を有するばかり
でなく、Pb−O−Ti−O−Zr結合を強固にし、また、そ
れぞれの金属イオンのイオン間距離を近づける働きも有
している。この働きは完全に解明されていないけれど
も、本発明者らの考察によれば、主鎖となっているヒド
ロキシプロピルセルロースにそれぞれの金属イオンや酸
素が複雑に絡み合った結果として導かれていると考えら
れる。その結果、成膜時の焼成温度を低下させ、得られ
る薄膜の結晶性を向上させることができる。
上記のようなヒドロキシプロピルセルロースの優れた
働きをさらに確認するために本発明者らが行った実験の
結果を以下に示す。
上記のようにして調製したPZT前駆体水溶液をるつぼ
に入れ、所定の温度で一定の時間にわたって焼成した。
淡黄色のPZT粉末(試料1)が得られた。比較のため、
ヒドロキシプロピルセルロース(増粘剤)を使用しない
以外は上記した手法を繰り返して同じく淡黄色のPZT粉
末(試料2)を調製した。得られた試料のそれぞれにつ
いてX線回折パターンを測定したところ、第10図(試料
1)及び第11図(試料2)に示すような結果が得られ
た。
第10図及び第11図に示すX線回折パターンにおいて、
X線回折角度、2θ=29゜付近に見られるピークは、パ
イロクロア層と呼ばれるPZTの結晶化が不完全である時
に見られるピークである。このピークの強度を、PZT回
折ピークのなかで一番回折強度の高い(101)面のピー
ク強度と比較することによって、PZTの結晶性を定量的
に表すことができる。本発明例である試料1(第10図)
ではパイロクロア層の割合が1.3%であり、一方、比較
例である試料2(第11図)ではパイロクロア層の割合が
11.6%であった。つかり、増粘剤であるヒドロキシプロ
ピルセルロースを添加したほうが、より完全なPZT結晶
になっていることがわかる。
例2 前記例1において調製したPZT前駆体水溶液からPZT薄
膜を形成するとともに、そのPZT薄膜を、圧電素子とし
て、第1図に示した構造を有するピエゾ方式のインクジ
ェットヘッドに組み込んだ。
薄板状のセラミックからなるダイアフラムを用意し、
その所定の領域に白金電極をスパッタリングにより形成
した。さらにこの白金電極の上に、前記例1で調製した
PZT前駆体水溶液2000rpmでスピンコートした。次いで、
白金電極上のPZT塗膜を150℃で10分間乾燥し、さらに55
0℃で1時間にわたって仮焼成した。この仮焼成の結
果、PZT塗膜中に含まれていたヒドロキシプロピルセル
ロースが分解し、飛散せしめられた。
引き続いて、白金電極上のPZT塗膜を700℃で1分間に
わたって焼成した。PZTの結晶化が進行し、ペロブスカ
イト構造を有するPZT薄膜が得られた。このPZT薄膜は、
白金電極やダイアフラムに対する良好な密着力を示すば
かりでなく、そのPZT薄膜の上にさらに白金電極をスパ
ッタリングする時にも、満足し得る密着力を示した。ま
た、ここで形成したPZT薄膜の焼成には比較的に低い温
度を適用することができるので、下地となるダイアフラ
ムの選定に幅をもたせることができた。
第12図は、上記のようにして形成したPZT薄膜のX線
回折パターンである。このX線回折パターンにおいて、
PZT以外の回折ピークを認めることができないことか
ら、白金電極上にPZT薄膜が形成されていることがわか
る。
例3 前記例2に記載の手法を繰り返した。しかし、本例の
場合、前記例1に記載の手法に従ってPZT前駆体水溶液
を調製する際、増粘剤として、ヒドロキシプロピルセル
ロースに代えて、ポリエチレンオキシド(試料3)及び
ポリビニルアルコール(試料4)を使用した。前記例2
において得られたPZT薄膜に比較可能な満足し得るPZT薄
膜が得られた。
得られたPZT薄膜のX線回折パターンは、第13図(試
料3)及び第14図(試料4)に示す通りである。これら
のX線回折パターンでは、PZT薄膜の膜厚が薄いので、
2θ=40゜、47゜、そして67゜の付近において白金電極
のピークを認めることができる。また、白金のピークを
除くとPZTの回折ピークのみとなり、PZT薄膜が形成され
ていることがわかる。
例4 0.014モルの四塩化チタンをアンモニア水溶液に溶解
し、生成した水酸化チタンを濾過し、洗浄した。得られ
た水酸化チタンを3規定硝酸水溶液に溶解してチタン水
溶液とした。また、0.016モルのオキシ硝酸ジルコニウ
ムを20gの純水に溶解してジルコニウム水溶液とした。
さらに、0.03モルの硝酸鉛を20gの純水に溶解して鉛水
溶液とした。
上記のようにして調製した3種類の水溶液を混合して
PZT前駆体水溶液を調製した。最初に、チタン水溶液と
ジルコニウム水溶液を室温で混合し、十分に攪拌した。
攪拌の完了後、得られた混合物に鉛水溶液を混合した。
得られた混合物を室温で十分に攪拌した後、100℃以上
の温度で還流下に加熱し、加水分解した。得られたPZT
前駆体水溶液を室温に戻した後、水と少量(約0.5重量
%)のヒドロキシプロピルセルロースを添加して室温で
約1時間にわたって十分に攪拌した。白濁や沈殿物を含
まない透明で均一な溶液が得られた。
例5 前記例4において調製したPZT前駆体水溶液からPZT薄
膜を形成するとともに、そのPZT薄膜を、圧電素子とし
て、第1図に示した構造を有するピエゾ方式のインクジ
ェットヘッドに組み込んだ。
薄板状のセラミックからなるダイアフラムを用意し、
その所定の領域に白金電極をスパッタリングにより形成
した。さらにこの白金電極の上に、前記例4で調製した
PZT前駆体水溶液2000rpmでスピンコートした。次いで、
白金電極上のPZT塗膜を150℃で10分間乾燥し、さらに50
0℃で1時間にわたって仮焼成した。この仮焼成の結
果、PZT塗膜中に含まれていたヒドロキシプロピルセル
ロースが分解し、飛散せしめられた。
引き続いて、白金電極上のPZT塗膜を650℃で1時間に
わたって焼成した。PZTの結晶化が進行し、ペロブスカ
イト構造を有するPZT薄膜が得られた。このPZT薄膜は、
白金電極やダイアフラムに対する良好な密着力を示すば
かりでなく、そのPZT薄膜の上にさらに白金電極をスパ
ッタリングする時にも、満足し得る密着力を示した。
例6 本例では、出発原料として、硝酸鉛Pb(NO3、オ
キシ硝酸ジルコニウムZrO(NO3、そしてチタンイソ
プロポキシドTi(O−i−C3H7を使用した。
先ず、4.03gのチタンイソプロポキシドを23.3gの2.8
規定の硝酸水溶液に溶解し、窒素雰囲気中で攪拌下に混
合した。チタン水溶液が得られた。次いで、4.27gのオ
キシ硝酸ジルコニウムを18gの純水に溶解し、攪拌下に
混合した。ジルコニウム水溶液が得られた。チタン水溶
液とジルコニウム水溶液を調製した後、それらの水溶液
を攪拌下に混合し、均一な溶液とした。別に、10gの硝
酸鉛を32gの純水に溶解し、攪拌下に混合した。得られ
た鉛水溶液を、先に調製したチタンとジルコニウムを含
む混合水溶液に攪拌下に混合した。最後に、得られた混
合物に対してその混合物の10重量%の量のポリエチレン
グリコール(重量平均分子量=200)を添加した。均一
なPZT前駆体水溶液が得られた。
上記のようにして調製したPZT前駆体水溶液におい
て、PZTの濃度は9重量%であり、また、含まれる金属
元素の組成(モル比)は、Pb:Zr:Ti=1:0.53:0.47であ
った。なお、このようなモル比は、多くのPZTのなか
で、誘電率、圧電定数等において最大値を示すものであ
った。
引き続いて、上記のようにして調製したPZT前駆体水
溶液をPi/Ti/Si基板上にスピンコートし、150℃で10分
間にわたって乾燥し、500℃で60分間にわたって仮焼成
し、そして800℃で60分間にわたって焼成した。膜厚100
nmの緻密なPZT薄膜が得られた。得られたPZT薄膜を検査
したところ、その表面には筋状物質の析出が認められな
かった。
さらに、PZT前駆体水溶液の経時変化を評価するため
に、大気中で室温で1ヵ月にわたって放置したけれど
も、何らの変化も認められなかった。なお、本例におい
て会合防止剤として使用したポリエチレングリコール
は、TG−DTA(熱重量分析−示差熱分析)の測定から300
℃で脱脂可能な物質であることが判明しているので、先
の仮焼成工程で完全に脱脂ができていると考えられる。
例7 前記例6に記載の手法を繰り返した。しかし、本例で
は、鉛水溶液の調製のため、硝酸鉛に代えて同量の酢酸
鉛を使用した。前記例6において得られたPZT薄膜に比
較可能な満足し得るPZT薄膜が得られた。
例8 PZT前駆体水溶液における鉛(Pb)に対する会合防止
剤を影響を評価するため、再び前記例6に記載の手法を
繰り返した。しかし、本例では、会合防止剤として使用
するポリエチレングリコールの使用量を10重量%から5
重量%に減量した。前記例6(10重量%の会合防止剤を
使用)の時には鉛の会合を認めることができなかったの
に、本例(5重量%の会合防止剤を使用)では、顕著な
鉛の会合が認められた。
上記の結果から考察するに、今回使用したポリエチレ
ングリコールは、平均分子量が200でありかつその単分
子量は63であるので、4量体が多く存在することがわか
る。ここで、分子の長さを比較してみると、Pb2+は1.2
Åであり、4量体のポリエチレングリコールは数十Åで
あるので、Pb2+と比較してポリエチレングリコールの分
子はかなりの長さである。1分子のポリエチレングリコ
ールに対して数分子のPb2+が配位結合し、Pbの会合が防
止されていると考えられる。
例9 前記例6に記載の手法を繰り返した。しかし、本例で
は、会合防止剤として、ポリエチレングリコールに代え
てグリセリンを使用した。筋状物質の析出がない膜厚10
0nmの緻密なPZT薄膜が得られた。
さらに、前記例8に記載の手法を繰り返した。得られ
た評価結果から、若干の差異はあるというものの、前記
例6の場合と同様に鉛の会合を効果的に防止することが
できたことがわかった。
例10 前記6に記載の手法を繰り返した。しかし、本例で
は、会合防止剤として、ポリエチレングリコールに代え
てジエチレングリコールを使用した。筋状物質の析出が
ない膜厚100nmの緻密なPZT薄膜が得られた。
さらに、前記例8に記載の手法を繰り返した。得られ
た評価結果から、若干の差異はあるというものの、前記
例6の場合と同様に鉛の会合を効果的に防止することが
できたことがわかった。
例11 本例では、出発原料として、硝酸鉛Pb(NO3、オ
キシ硝酸ジルコニウムZrO(NO3、そしてチタンイソ
プロポキシドTi(O−i−C3H7を使用した。
先ず、4.03gのチタンイソプロポキシドを23.3gの2.8
規定の硝酸水溶液に溶解し、窒素雰囲気中で攪拌下に混
合した。チタン水溶液が得られた。次いで、4.27gのオ
キシ硝酸ジルコニウムを18gの純水に溶解し、攪拌下に
混合した。ジルコニウム水溶液が得られた。チタン水溶
液とジルコニウム水溶液を調製した後、それらの水溶液
を攪拌下に混合し、均一な溶液とした。別に、10gの硝
酸鉛を32gの純水に溶解し、攪拌下に混合した。得られ
た鉛水溶液を、先に調製したチタンとジルコニウムを含
む混合水溶液に攪拌下に混合した。最後に、得られた混
合物に対してその混合物の10重量%の量のポリエチレン
グリコール(重量平均分子量=200)を添加した。均一
なPZT前駆体水溶液が得られた。
上記のようにして調製したPZT前駆体水溶液におい
て、PZTの濃度は9重量%であり、また、含まれる金属
元素の組成(モル比)は、Pb:Zr:Ti=1:0.53:0.47であ
った。なお、このようなモル比は、多くのPZTのなか
で、誘電率、圧電定数等において最大値を示すものであ
った。
次いで、得られたPZT前駆体水溶液に対して、そのPZT
と同じ組成のPZT粉末及びヒドロキシプロピルセルロー
ス(バインダとして)をそれぞれそのPZT前駆体水溶液
に関して10重量%の量で添加し、遊星ボールミルを用い
て3分間ミリングした。PZT前駆体ペーストが得られ
た。
引き続いて、上記のようにして調製したPZT前駆体ペ
ーストを金属マスク及びドクターブレードによりPt/Ti/
Si基板上に塗布し、150℃で10分間にわたって乾燥し、5
00℃で60分間にわたって脱脂し、そして800℃で60分間
にわたって焼成した。膜厚3μmの緻密なPZT薄膜が得
られた。得られたPZT薄膜では、クラックの発生が認め
られなかった。
さらに、異なる膜厚(2〜4μm)を有するPZT薄膜
を得るため、先の工程で使用した10重量%のポリエチレ
ングリコール及び10重量%のPZT粉末の量をそれぞれ変
更して前記の手法を繰り返した。先の工程と同様に、ク
ラックのない緻密なPZT薄膜が得られた。
第15図は、上記のようにして得られたPZT薄膜(膜厚
3μm)の表面状態を示す顕微鏡写真(倍率20倍)であ
る。この写真は、その表面にクラッチやピンホール、そ
して筋状物質がないことを示している。
さらに、PZT前駆体水溶液の経時変化を評価するため
に、大気中で室温で1ヵ月にわたって放置したけれど
も、何らの変化も認められなかった。なお、本例におい
て会合防止剤として使用したポリエチレングリコール
は、TG−DTAの測定から300℃で脱脂可能な物質であるこ
とが判明しているので、先の脱脂工程で完全に脱脂がで
きていると考えられる。
例12 PZT前駆体水溶液における鉛(Pb)に対する会合防止
剤を影響を評価するため、再び前記例11に記載の手法を
繰り返した。しかし、本例では、会合防止剤として使用
するポリエチレングリコールの使用量を10重量%から5
重量%に減量した。前記例11(10重量%の会合防止剤を
使用)の時には鉛の会合を認めることができなかったの
に、本例(5重量%の会合防止剤を使用)では、顕著な
鉛の会合が認められた。第16図のPZT薄膜の顕微鏡写真
(倍率20倍)に表れている多数の筋状の欠陥は、この鉛
の会合の発生を示すものである。なお、このPbの会合の
防止についての考察は、前記例8に記載のものに同じで
ある。
例13 前記例11に記載の手法を繰り返した。しかし、本例で
は、PZT前駆体ペーストの塗布をドクターブレードに代
えてへら塗りで実施した。前記例11の場合と同様、クラ
ックのない緻密なPZT薄膜(膜厚3μm)が得られた。
このPZT薄膜の結晶構造をX線回折により評価したとこ
ろ、PZTの単一相からなることが判明した。
例14 前記例11に記載の手法を繰り返した。しかし、本例で
は、会合防止剤としてポリエチレングリコールに代えて
ジエチレングリコールを使用した。前記例11の場合と同
様、筋状物質の析出やクラックのない緻密なPZT薄膜
(膜厚3μm)が得られた。すなわち、ジエチレングリ
コールを会合防止剤として使用しても、前記例11と同様
に安定性に優れた強誘電体前駆体を調製することがで
き、また、この前駆体を基板上に塗布して焼成を行うこ
とにより、緻密で圧電特性に優れた強誘電体素子を製造
できることを示している。
例15 前記例11に記載の手法を繰り返した。しかし、本例で
は、会合防止剤としてポリエチレングリコールに代えて
グリセリンを使用した。前記例11の場合と同様、筋状物
質の析出やクラックのない緻密なPZT薄膜(膜厚3μ
m)が得られた。すなわち、グリセリンを会合防止剤と
して使用しても、前記例11と同様に安定性に優れた強誘
電体前駆体を調製することができ、また、この前駆体を
基板上に塗布して焼成を行うことにより、緻密で圧電特
性に優れた強誘電体素子を製造できることを示してい
る。
例16 本例では、複合PZT薄膜の形成について説明する 最初に、次のような手順により第1PZT薄膜(下地層)
を調製した。0.00682モルの硝酸鉛水溶液、0.00273モル
のオキシ塩化ジルコニウム水溶液及び0.05モルの水酸化
カリウム水溶液を混合した。得られた混合溶液にチタン
基板を浸漬して150℃で24時間にわたって水熱処理し
た。チタン基板の表面にPZTの結晶核が生成した。次い
で、0.00682モルの硝酸鉛水溶液、0.00273モルのオキシ
塩化ジルコニウム水溶液、0.00252モルの四塩化チタン
水溶液及び0.05モルの水酸化カリウム水溶液を混合した
後、得られた混合溶液に先の工程で調製しておいたPZT
結晶核付きのチタン基板を浸漬し、120℃で48時間にわ
たって水熱処理した。平均粒径が5μmであり、表面平
滑度が極めて低い第1PZT薄膜が得られた。
次いで、上記のようにしてチタン基板上に形成した第
1PZT薄膜に、PZT前駆体水溶液からゾル−ゲル法によっ
て第2PZT薄膜を形成した。以下にその手順を説明する。
先ず、0.014モルのテトライソプロポキシチタンを30g
の3規定硝酸水溶液に溶解してチタン水溶液とした。ま
た、0.016モルのオキシ硝酸ジルコニウムを20gの純水に
溶解してジルコニウム水溶液とした。さらに、0.03モル
の硝酸鉛を20gの純水に溶解して鉛水溶液とした。な
お、それぞれの金属塩の水溶液を調製するに当たって、
PZT中のZrとTiの組成比は、強誘電特性と密接な関係に
あり、また、この組成比は、それぞれの金属塩のモル比
により決定されるので、それぞれの水溶液を調製する時
点で所望のモル比で混合を行うように配慮した。
チタン水溶液とジルコニウム水溶液を室温で混合して
十分に攪拌した後、この混合液に鉛水溶液を添加し、混
合した。本発明者らの知見によれば、金属塩水溶液の添
加は、本発明の実施に当たってこの順序で行うことが好
ましい。得られた混合物を室温で十分に攪拌し、混合し
た後、100℃以上の温度で還流下に加熱し、加水分解し
た。それぞれの金属塩水溶液中の金属イオンは、室温で
混合した時点では、それぞれの金属イオンに対応する金
属水酸化物を形成するだけで、金属イオンどうしの結合
度は小さかったけれども、引き続いて還流及び加水分解
を行ったことにより、それぞれの金属イオン、すなわ
ち、チタン、ジルコニウム、鉛イオンを、酸素を介して
互いに結合させることができた。つまりここで、Pb−O
−Ti−O−Zr結合が形成され、ゾル状態になった。この
ゾル状態の水溶液が、本発明でいうところのPZT前駆体
水溶液である。
PZT前駆体水溶液を室温に戻し、水と少量のヒドロキ
シプロピルセルロースを滴下し、十分に攪拌した。ここ
で添加したヒドロキシプロピルセルロースは、比較的粘
度の低いPZT前駆体水溶液の粘度を上げ、基板上に塗布
して成膜する時に得られる塗膜の膜厚を大きくするため
のものである。また、ヒドロキシプロピルセルロース
は、上記のように粘度を上昇させるだけでなく、Pb−O
−Ti−O−Zr結合を強固にし、また、それぞれのイオン
の距離を近付けるという働きも有している。その結果、
成膜時の焼成温度を低下させかつ膜の結晶性を向上させ
ることができる。ヒドロキシプロピルセルロースを添加
した後のPZT前駆体水溶液は、白濁、沈殿物などのない
透明で均一な溶液であった。
上記のようにして調製したPZT前駆体水溶液を、先に
形成しておいた第1PZT薄膜付きの基板の上にスピンコー
トにより塗布した。ここで、第1PZT薄膜付きの基板に塗
布したPZT前駆体溶液は、そのままの状態ではPZTに結晶
化していないため、150℃で10分乾燥した後、500℃以上
の温度で一旦焼成し、先に添加したヒドロキシプロピル
セルロースを分解させた。
ヒドロキシプロピルセルロースの分解のための焼成が
完了した後、基板を650℃で1時間にわたって焼成し
た。このようにして、膜の表面平滑度が顕著に高められ
た第2PZT構造が得られた。このようにして、第1薄膜と
第2薄膜との間で境目のない、より緻密な複合PZT薄膜
が形成された。
上記したような一連の工程を経て形成されたPZT薄膜
は、インクジェットヘッドの製造時、PZT薄膜からなる
圧電素子に接合されるべきダイアフラムや電極との密着
性が良く、接着剤を用いることなく一体成形できる。ま
た、上記したように水熱合成法とゾルゲル法を組み合わ
せて用いているために、従来の固相法に比べ焼成温度が
比較的に低温にでき、よって、ダイアフラムである基板
の選定にも幅を持たせることができる。
例17 前記例16に記載の手法を繰り返した。しかし、本例で
は、第2PZT薄膜の形成を次のような手順で実施した。
0.014モルの四塩化チタンとアンモニア水溶液に溶解
し、生成した水酸化チタンを濾過、洗浄して取り出し
た。回収した水酸化チタンを3規定の硝酸水溶液に溶解
させ、チタン水溶液とした。次いで、0.016モルのオキ
シ硝酸ジルコニウムを20gの純水に溶解してジルコニウ
ム水溶液とした。また、0.03モルの硝酸鉛を20gの純水
に溶解して鉛水溶液とした。
チタン水溶液とジルコニウム水溶液を室温で混合し、
十分に攪拌した後、得られた混合物に鉛水溶液を添加
し、混合した。得られた混合溶液を室温で十分に攪拌し
た後、100℃以上の温度で還流下に加熱し、加水分解し
た。さらに、加水分解後の混合溶液を室温に戻し、水と
少量のヒドロキシプロピルセルロースを滴下して十分に
攪拌した。均一なPZT溶液が得られた。
上記のようにして調製したPZT溶液を、先に調製して
おいた第1PZT薄膜付きのチタン基板の上にスピンコート
により塗布した。形成された塗膜を150℃で10分間にわ
たって乾燥した後、500℃以上の温度で一旦焼成し、添
加したヒドロキシプロピルセルロースを分解させた。最
後に650℃で1時間焼成し、第2PZT薄膜の形成が完了し
た。
本例において調製した複合PZT薄膜薄膜も、前記例16
のそれと同様、満足し得るものであった。
産業上の利用可能性 本発明では、強誘電体を構成するそれぞれの金属水酸
化物の水溶液を調製し、水溶液の状態でそれぞれ混合し
たものを前駆体とし、また、これに増粘剤、会合防止剤
等の本発明に固有の添加剤を添加したので、従来の技術
において予想し得なかった多くの利点を得ることができ
る。例えば、本発明によると、金属水酸化物の水溶液を
前駆体として出発しているので、取扱いや製造が容易で
あるばかりでなく、原料溶液の保存安定性に優れ、会合
防止剤を添加することによってその前駆体の安定性を高
めることができ、強誘電体素子の製造が低コストで容易
に可能であり、薄膜として成膜することができ、そし
て、得られる薄膜の表面の粒子が微細かつ緻密であるの
で、優れて良好な表面平滑度を達成することができる。
また、本発明によると、強誘電体粉末、有機バインダ
等を添加して前駆体のペーストを調製し、それから強誘
電体薄膜を形成しているので、その表面に筋状物質の析
出のような欠陥が発生せず、その薄膜が緻密かつ均質で
あり、よって、優れた圧電特性を確保することができ
る。また、このような手法によると、薄膜表面における
クラックの発生も防止することができる。
さらに、本発明によると、水熱合成法で作成した第1
の強誘電体薄膜の上に第2のゾル−ゲル法で作成した強
誘電体薄膜を積層しているので、本発明の強誘電体素子
の特徴を生かしつつ、素子の厚膜化が可能でありかつ下
地となる基板との良好な密着性も得ることができる。
さらに加えて、本発明の強誘電体素子を圧電素子とし
てピエゾ方式のインクジェットヘッドに適用した場合に
は、優れた圧電特性を得ることができるのはもちろんの
こと、その圧電素子の上への電極の形成も欠陥を伴わず
に容易に行うことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平8−263105 (32)優先日 平成8年10月3日(1996.10.3) (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 土岐 元幸 京都府京都市西京区大枝東新林町3−5 19棟206 (72)発明者 會澤 守 京都府京都市伏見区羽束師古川町192 ピアレジデンス羽束師305 (56)参考文献 特開 平5−221643(JP,A) 特開 平6−119811(JP,A) 特開 平9−223831(JP,A) 特開 平5−319826(JP,A) 特開 平6−112550(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01B 13/32 C01G 25/00 B41J 2/045 CA(STN)

Claims (25)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも2種類の金属を含む強誘電体材
    料からなり、そして前記金属の水酸化物のそれぞれの水
    溶液から増粘剤及び(又は)会合防止剤の存在において
    ゾル−ゲル法を含む方法によって形成されたものである
    ことを特徴とする強誘電体素子。
  2. 【請求項2】前記増粘剤が水溶性の高分子材料でありか
    つ、素子の形成時、所定の温度を上回った時に熱分解可
    能であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の強
    誘電体素子。
  3. 【請求項3】前記増粘剤が、ヒドロキシアルキルセルロ
    ース、ポリエチレンオキサイド及びポリビニルアルコー
    ルからなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物であ
    ることを特徴とする請求の範囲第2項に記載の強誘電体
    素子。
  4. 【請求項4】前記会合防止剤が水溶性の多価アルコール
    であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の強誘
    電体素子。
  5. 【請求項5】前記多価アルコールが、ジエチレングリコ
    ール、ポリエチレングリコール及びグリセリンからなる
    群から選ばれた少なくとも1つの化合物であることを特
    徴とする請求の範囲第4項に記載の強誘電体素子。
  6. 【請求項6】前記増粘剤及び(又は)会合防止剤に加え
    て、前記強誘電体材料と同一もしくは類似の結晶構造を
    有する強誘電体材料の粉末を存在させたことを特徴とす
    る請求の範囲第1項〜第5項のいずれか1項に記載の強
    誘電体素子。
  7. 【請求項7】前記強誘電体材料がペロブスカイト構造を
    有するセラミックスでありかつ前記金属の1つが鉛であ
    ることを特徴とする請求の範囲第1項〜第6項のいずれ
    か1項に記載の強誘電体素子。
  8. 【請求項8】前記鉛の塩が硝酸鉛又は酢酸鉛であること
    を特徴とする請求の範囲第7項に記載の強誘電体素子。
  9. 【請求項9】前記セラミックスがチタン酸ジルコン酸鉛
    であることを特徴とする請求の範囲第7項に記載の強誘
    電体素子。
  10. 【請求項10】薄膜の形を有していることを特徴とする
    請求の範囲第1項〜第9項のいずれか1項に記載の強誘
    電体素子。
  11. 【請求項11】前記強誘電体材料と同一もしくは類似の
    結晶構造を有するものであって、その形成に必要とされ
    る金属の水溶液から水熱合成法によって形成された強誘
    電性下地層をさらに有していることを特徴とする請求の
    範囲第1項〜第10項のいずれか1項に記載の強誘電体素
    子。
  12. 【請求項12】前記下地層の強誘電体材料はその上方の
    強誘電体材料に比較して大きな粒径を有する粒子からな
    ることを特徴とする請求の範囲第11項に記載の強誘電体
    素子。
  13. 【請求項13】少なくとも2種類の金属を含む強誘電体
    材料からなる強誘電体素子を製造する方法であって、下
    記の工程: 前記金属の水酸化物のそれぞれの水溶液を混合すること
    によって強誘電体前駆体水溶液を調製し、 前記強誘電体前駆体水溶液に増粘剤及び(又は)会合防
    止剤を添加し、そして、得られた水溶液を基板上に塗布
    した後、 形成された塗膜を乾燥及び焼成することにより前記強誘
    電体材料を結晶化させること、 を含んでなることを特徴とする強誘電体素子の製造方
    法。
  14. 【請求項14】前記増粘剤が水溶性の高分子材料であり
    かつ前記強誘電体材料の結晶化工程で熱分解可能である
    ことを特徴とする請求の範囲第13項に記載の強誘電体素
    子の製造方法。
  15. 【請求項15】前記会合防止剤が水溶性の多価アルコー
    ルであることを特徴とする請求の範囲第13項に記載の強
    誘電体素子の製造方法。
  16. 【請求項16】前記増粘剤及び(又は)会合防止剤の添
    加の工程において、前記強誘電体材料と同一もしくは類
    似の結晶構造を有する強誘電体材料の粉末をさらに添加
    することを特徴とする請求の範囲第13項〜第15項のいず
    れか1項に記載の強誘電体素子の製造方法。
  17. 【請求項17】前記強誘電体前駆体をその水溶液から導
    かれたペーストの形で添加する工程をさらに含むことを
    特徴とする請求の範囲第13項〜第16項のいずれか1項に
    記載の強誘電体素子の製造方法。
  18. 【請求項18】前記基板の上に、前記強誘電体材料と同
    一もしくは類似の結晶構造を有する下地層をその形成に
    必要とされる金属の水溶液から水熱合成法によって形成
    する工程をさらに含むことを特徴とする請求の範囲第13
    項〜第17項のいずれか1項に記載の強誘電体素子の製造
    方法。
  19. 【請求項19】前記強誘電体材料がペロブスカイト構造
    を有するセラミックスでありかつ前記金属の1つが鉛で
    あることを特徴とする請求の範囲第13項〜第18項のいず
    れか1項に記載の強誘電体素子の製造方法。
  20. 【請求項20】前記セラミックスがチタン酸ジルコン酸
    鉛であることを特徴とする請求の範囲第19項に記載の強
    誘電体素子の製造方法。
  21. 【請求項21】少なくとも2種類の金属を含む強誘電体
    材料をゾル−ゲル法を含む方法により製造する際に出発
    物質として使用するための強誘電体前駆体であって、前
    記金属の水酸化物のそれぞれの水溶液からなりかつ増粘
    剤及び(又は)会合防止剤を含むことを特徴とする強誘
    電体前駆体。
  22. 【請求項22】前記強誘電体材料と同一もしくは類似の
    結晶構造を有する強誘電体材料の粉末をさらに含むこと
    を特徴とする請求の範囲第21項に記載の強誘電体前駆
    体。
  23. 【請求項23】複数個のインク吐出のためのノズル、前
    記ノズルに連通したインクの流通及び加圧のためのイン
    ク室及び前記インク室内のインクをその体積変化により
    前記ノズルより吐出するための加圧手段を含むインクジ
    ェットヘッドであって、 前記加圧手段が、少なくとも2種類の金属を含む強誘電
    体材料からなり、そして前記金属の水酸化物のそれぞれ
    の水溶液から増粘剤及び(又は)会合防止剤の存在にお
    いてゾル−ゲル法を含む方法によって形成された強誘電
    体素子を圧電素子として含んでなることを特徴とするイ
    ンクジェットヘッド。
  24. 【請求項24】前記強誘電体材料がペロブスカイト構造
    を有するセラミックスでありかつ前記金属の1つが鉛で
    あることを特徴とする請求の範囲第23項に記載のインク
    ジェットヘッド。
  25. 【請求項25】前記セラミックスがチタン酸ジルコン酸
    鉛であることを特徴とする請求の範囲第24項に記載のイ
    ンクジェットヘッド。
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