JP3206869B2 - 空気入りタイヤのトレッドパターン設定方法 - Google Patents

空気入りタイヤのトレッドパターン設定方法

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JP3206869B2
JP3206869B2 JP21766095A JP21766095A JP3206869B2 JP 3206869 B2 JP3206869 B2 JP 3206869B2 JP 21766095 A JP21766095 A JP 21766095A JP 21766095 A JP21766095 A JP 21766095A JP 3206869 B2 JP3206869 B2 JP 3206869B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、周方向長さが2種
類の模様構成単位をカオス的関数による数列に基づいて
配列することを基本として、走行時の騒音による不快感
を低減しうる空気入りタイヤのトレッドパターン設定方
に関する。
【0002】
【従来の技術】タイヤトレッドには、車両、路面の条件
に応じて、路面との摩擦力の維持のために、種々なトレ
ッドパターンが用いられる。また多くのトレッドパター
ンには、タイヤ軸方向の溝をタイヤ周方向に間隔を隔て
て形成し、またはリブ溝をタイヤ周方向にジグザグとす
るなど、ある模様の構成の単位、即ち模様構成単位をタ
イヤ周方向に繰り返すことにより、模様構成単位列とし
た繰り返しパターンからなるブロックパターン、リブパ
ターン、ラグパターンなどが採用される。
【0003】このような繰り返しパターンのタイヤにお
いては、各模様構成単位列の模様構成単位がタイヤの走
行により路面と順次に接地し、路面との間において繰り
返しの騒音を生じる。この模様構成単位に基づいて生じ
る音(以下ピッチ音という)は通常不快音となり、その
改善が望まれる。
【0004】この改善のために、従来、模様構成単位の
タイヤ周方向の長さ、即ちピッチが異なる複数種類の模
様構成単位をタイヤ周方向に配列することにより、騒音
を広い周波数帯に分散させ、ホワイトノイズ化するいわ
ゆるピッチバリエーション法を取られてきた。
【0005】このホワイトノイズ化する方法には、例え
ば特公昭58−2844号公報(特開昭55−8904
号)、特公平3−23366号公報(特開昭54−11
5801号)が提案するように、ピッチの配列を正弦関
数的な周期的配列とするものがある。また、特公昭62
−41122号公報(特開昭57−114706号)に
記述されているような模様構成単位のピッチ配列をラン
ダムとするものがある。
【0006】この前者のピッチの配列を正弦関数的な周
期的配列とするものは、ピッチが連続的に周期的に変化
するため、隣り合う模様構成単位の剛性の変化が小さく
異常摩耗が発生しにくい利点はある。しかしながら、模
様構成単位の剛性の変化がそのピッチ変化に対応して周
期的に変化する。このため、周期数に一致する特定の次
数成分で半径方向のフォースバリエーション(RFV)
が大きくなり、異常振動が生じ、むしろ不快音を増す場
合もある。
【0007】また、模様構成単位のピッチ配列をランダ
ムとするものは、周期的配列の場合とはまったく反対
に、周期的規則性がない。このため、フォースバリエー
ションの特定次数成分が大きくなることはなく、異常振
動、騒音を発生する場合は少ない。しかし、隣り合う模
様構成単位のピッチが比較的大きく変化するものがあ
り、異常摩耗が発生しやすいという課題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】なお、ピッチバリエー
ションによるタイヤの低騒音化のためには、通常、模様
構成単位のピッチの種類を3種類以上とするのが効果的
であるといわれている。しかしながら、種々な問題、例
えばタイヤ、金型の設計、製作の容易さなどから、より
少ないピッチ、即ち2種類のピッチを用いる場合も多
い。なお、これらの2つの種類のピッチの模様構成単位
からなる配列のタイヤを主体として、特公昭51−41
723号公報(特開昭50−20402号)、特開平4
ー363234号公報などのものが提案されている。
【0009】しかしながら、ピッチの種類が2つのもの
は、前記した利点は具える反面、異常摩耗の防止に、
長、短ピッチ長さの比をあまり大なしえず、従来の提案
のものは何れのものも、ピッチバリエーションの効果が
不充分であり、満足しうる程度のホワイトノイズ化が達
成されていない。従って、低騒音化について十分とはい
えず、新しい手法が望まれている。
【0010】本発明らは種々開発を行ったところ、タイ
ヤの低騒音のためには、模様構成単位について、 (1)模様構成単位列が具えるべき特性 ・ 不規則性(周期性がない) ・ ピッチ変化の連続性(近傍のピッチ間は関連性があ
る) ・ 類似した並びが発生しにくい (2)模様構成単位列が排除すべき特性 ・ 周期性 であることを見出した。かかる特性の模様構成単位の配
列を決定するべく、研究、開発を進めた結果、カオス関
数の特性に着目した。
【0011】カオスとは、「乱流や生体システムにおけ
るリズムなど自然界のいたるところに存在する決定論的
方程式が生み出す一見無秩序かつ予測不可能な現象」を
いう。またこのカオス理論とは、このようなカオスの複
雑な現象の背後に隠れた法則乃至それを明かそうとする
理論であり、またカオス関数とは、カオス的な擬似的信
号を発生する関数をいう。
【0012】なお、カオス、乃至カオス関数に関して、
特開平4−86814号公報、及び特開平4−2219
37号公報はカオス発生装置を提案し、また特開平4−
335730号公報はカオス方程式を用いるランダム暗
号化通信方式を、また特開平6−44294号公報はカ
オス関数を用いて実際の現象に近い外乱信号を発生させ
る装置を提案している。
【0013】また社団法人システム総合研究所発行の
「システム総合研究 No169」の平成5年7月16
日の大阪会場発表用資料の第35頁〜48頁の三洋電機
(株)情報通信システム綜合研究所による「カオス理論
の実用化動向を民生機器への応用」の38頁には、次の
数1のカオス関数が例示されている。なおこの数1によ
り得られる図形を図1(a)に示している。なおカオス
関数を以後X(n+1)=fc(Xn)の形で表す。
【0014】
【数1】
【0015】又、他のカオス関数の例として、数2のも
のが知られている(図1(b)に示す)。
【数2】
【0016】なお、本明細書において、n、i、その他
が変数の場合においても、混乱が生じるおそれがないと
きには、式の簡略化のために、要すれば、変数を囲む
( )を省略している。
【0017】前記した数1、2のような、カオス関数
は、以下の(a)、(b)、(c)と言う特性がある。 (a) 近傍の数値間では連続的な変化をする傾向があ
る。 (b) 離れた数値間の関係は無相関になる (c) 初期値が非常に近接していても時間が経過する
に従い、互いに離散する。
【0018】タイヤの低騒音のための模様構成単位の配
列が具えるべき特性は、前記のように「不規則性」、
「ピッチ変化の連続性」である。排除すべき特性は、前
記「周期性」である。
【0019】カオス関数では「近傍の数値間は連続的に
変化すること」が、模様構成単位の配列の前記「ピッチ
長変化の連続性(近傍のピッチ間発明関連性がある)」
に相応する。またカオス関数の「離れた数値間が無相関
であること」が、模様構成単位の配列における前記「不
規則性(周期性がない)」に相応する。さらに「初期値
が近接しても離散すること」は模様構成単位の配列にお
ける「類似した並びが発生しにくいこと」に相当する。
これは、模様構成単位の配列において、模様構成単位の
並びの繰り返しを予防しうることを意味する。この点に
おいても、カオス関数に基づいて模様構成単位の配列を
定めることにより、前記したピッチ音を分散し、ホワイ
トノイズ化することにより、耳触りなピーク音を減じう
ることが考えられる。このように、カオス関数の基本的
考えを採用することにより、タイヤを低騒音化するため
の模様構成単位の配列を求めうることを予想した。
【0020】しかしながら、前記数1、2のカオス関数
式をそのまま模様構成単位の配列を決定するのに用いる
ことは得策ではない。例えば、数1のカオス関数は、図
1(a)、(b)にも示したように、横軸の0〜0.5
及び0.5〜1.0の2つの区画で夫々別個に定義され
ている各1つの曲線、直線しか存在していない。このた
め、2種類のピッチの模様構成単位列に用いる場合にあ
っても、このままでは、タイヤの低騒音化に適した配列
となる好ましい数列を発生させ難いのが判明した。
【0021】従って、本発明は、2つの種類の長さのピ
ッチからなる模様構成単位において、カオス関数を変形
しタイヤの低騒音化に適した配列となる数列を発生させ
るカオス的数列発生関数(本明細書においてカオス的関
数と呼んでいる)をうるとともに、このカオス的関数を
用いて生じさせた数列に基づいた模様構成単位列にさら
に種々な検定を加えることにより、低騒音化しうる空気
入りタイヤのトレッドパターン設定方法の提供を目的と
している。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明は、周方向の長さ
であるピッチが短ピッチP1と、この短ピッチP1より
も長い長ピッチP2の2種類の長さの模様構成単位がタ
イヤ周方向に配列されてなる模様構成単位列により、タ
イヤトレッドのトレッドパターンを形成する空気入りタ
イヤのトレッドパターン設定方法であって、直角座標に
おいて横軸、縦軸をこの横軸、縦軸と各直角かつ原点か
ら一方向に2つに区画することにより座標面に4つの矩
形の領域を形成する縦方向の区画線、横方向の区画線を
設け、かつ横軸、縦軸の各区画に前記原点から、短ピッ
チP1,長ピッチP2の順番に割り当てるとともに、前
記長ピッチP2と短ピッチP1との比P2/P1を1.
05以上、かつ1.50以下とするとともに、前記横軸
をXn、前記縦軸をX(n+1)として、X(n+1)
=fc(Xn)で表すカオス的関数fcの定義領域を、
横軸の2つの各区画ごとに、縦方向に並ぶ2つの領域の
領域和とするとともに、この定義領域において横軸の各
区画ごとに定まり、かつ以下の、の要件を充足する
前記カオス的関数によって順次えられる前記X(n+
1)の関数値の数列に基づく模様構成単位列に、以下の
の検定を行ないえられる被検定の模様構成単位列
を具えることを特徴とする空気入りタイヤのトレッドパ
ターン設定方法である。 カオス的関数fcは全ての
横軸の各区画で導関数f′c≧1である。 最短のピ
ッチと最長のピッチとが定義されている横軸の区画で
は、区画の小さい側の始点(Xc)、大きい側の終点
(Xe)において 最短のピッチの区画では f′c(Xe)>f′c(Xc) 最長のピッチの区画では f′c(Xc)>f′c(Xe) 8次までの各次数での不規則性指数Vrが2よりも
小であること。 自己相関係数Ruが、u>5のとき
0.5よりも小さいこと。 最大分散係数PSDrm
axが次の式を充足すること。 PSDrmax≦{100/(P2/P1)10}×(1/Rn) +5×{(1/Rn)+1} ここで、RnはNp/60、Npは模様構成単位列での
模様構成単位の総個数 同一ピッチの模様構成単位が連続して並ぶその最大
の個数SQmaxと、前記総個数Npとの比SQmax
/Npが0.15以下であること。 模様構成単位列
において短ピッチP1、又は長ピッチP2の模様構成単
位が連続することなく単独で存在する個数の総計Rsp
と、模様構成単位の前記総個数Npとの比Rsp/Np
が0.1以下であること。
【0023】また、請求項2の発明は、カオス的関数
が、横軸の各区画において、前記原点側の左のカオス的
関数Fcuと、それと反原点側に離れて通る右のカオス
的関数Fcdとの各2つのカオス的関数からなることを
特徴とする。
【0024】さらに請求項2に記載の発明は、横軸の短
ピッチP1の区画において、先に定められた関数値X
(n+1)が横軸の短ピッチP1の区画で生じるとき、
又は初期値であるときには左のカオス的関数Fcuで次
の関数値X(n+2)が生じ、先に定められた関数値X
(n+1)が横軸の長ピッチP2の区画で生じるときに
は右のカオス的関数Fcdで次の関数値X(n+2)が
生じるとともに、横軸の長ピッチP2の区画において、
先に定められた関数値X(n+1)が横軸の長ピッチP
2の区画で生じるときには右のカオス的関数Fcdで次
の関数値X(n+2)が生じ、先に定められた関数値X
(n+1)が横軸の短ピッチP1の区画で生じるときに
は左のカオス的関数Fcuで次の関数値X(n+2)が
生じることを特徴とする。
【0025】請求項3、4の発明は、タイヤトレッドが
タイヤ周方向の模様構成単位の総数は同じであるが、模
様構成単位の配列が異なる2種以上の模様構成単位列を
具え、乃至タイヤ周方向の模様構成単位の総数が異なる
2種以上の模様構成単位列を具えることを特徴としてい
る。
【0026】本発明においては、模様構成単位の周方向
の長さであるピッチの種類数が2つの模様構成単位の配
列において、カオス関数の特性を採用しつつ模様構成単
位の配列を定めることを着想し、このような着想に基づ
いて、カオス関数を、模様構成単位の配列の設定のため
に応用し変形して、模様構成単位の配列の設定のための
カオス的数列を発生しうる前記カオス的数列発生関数
(カオス的関数)とした。さらに、えられた数列による
模様構成単位列を、低騒音化を図りうる模様構成単位列
をうるために検定する検定手順を着想したことを基本と
しているのである。
【0027】
【発明の実施の形態】
(1)まず、図2に示すように、原点0の直角座標にお
いてカオス的関数に適するように、横軸Xn、縦軸X
(n+1)とする。この横軸Xn、縦軸X(n+1)と
各直角かつ原点から正方向に夫々前記ピッチの種類数2
に区画する縦方向の区画線K0〜K2、横方向の区画線
K0〜K2(各K0は、夫々横軸、縦軸を通る)を設け
ることにより、横軸Xn、縦軸X(n+1)を、ピッチ
の種類数2に夫々区画している。このように区画するこ
とにより、直角座標の正座標面には、前記縦軸、横軸の
各区画が交わる部分に、各縦方向の区画線K0〜K2、
横方向の区画線K0〜K2に囲まれる小矩形の4つの領
域に区分される。
【0028】(2)次に横軸Xn、縦軸X(n+1)の
前記区画に、原点Oから、長さが小から大となる順番
に、短ピッチP1、長ピッチP2の模様構成単位を割り
当てる。なおピッチとは前記のごとく、模様構成単位の
周方向の長さをいう(ピッチが特に長さであることを意
味することを明らかとしたいとき「ピッチ長さ」という
ことがある。特に図において、誤解のないときは、簡略
のために、模様構成単位を単にピッチと称することがあ
る)。
【0029】その結果、横軸Xnの各区画(ピッチP1
〜P2)には、縦軸X(n+1)の方向、即ち縦方向
に、夫々短ピッチP1、長ピッチP2の2つの区画の領
域が並ぶこととなる。なお、短ピッチP1、長ピッチP
2は、区画線K0〜K2により、K0<P1<K1、K
1≦P2<K2として原点側から割当てられる。
【0030】(3) さらに、前記長ピッチP2と短ピ
ッチP1の比P2/P1を1.05以上、かつ1.50
以下としている。このように、前記長ピッチP2と、短
ピッチP1との比P2/P1を、1.5以下とするの
は、図3に示すように、トレッドにおけるピッチの変化
は、隣合う模様構成単位の剛性の変化を生じ、接地面内
のストレスの分布が均等でなくなり異常摩耗を発生する
場合があるからである。又、過大としても、音の分散効
果を大して高めない。なおピッチバリエーションの見地
から、1.05以上、好ましくは1.1以上とする。
【0031】図3は、本発明者らが、ピッチが2種類で
タイヤ周方向に交互に変化するタイヤについて、H/T
摩耗(ヒールアンドトウ摩耗)を測定した結果を示
す。。このテストタイヤにおいては、ピッチの比P2/
P1を変化させ、かつドラム試験により測定した。2種
類のピッチの比と、H/T摩耗量の比との関係として図
示している。
【0032】なおタイヤサイズは205/65R15で
あって、標準内圧、荷重を負荷し、かつ基準となる模様
構成単位のピッチを30.0mmとした。この図3から、
H/T摩耗量の周上のバラツキが、引き金となって多角
形摩耗等の異常摩耗を発生するため、ピッチの比は1.
5以下であるのが好ましいのが判る。
【0033】定義領域の設定と、短ピッチP1、長ピッ
チP2のピッチ比については直接の関係がない。また、
ピッチの種類数が2よりも多いときには、その最短のピ
ッチと最長のピッチとの比は、3.0以下とされるが、
2つの種類のピッチを用いる本発明では、そのピッチ比
を前記の如く設定する。
【0034】(4) 前記のごとく、横軸Xnの各ピッ
チP1、P2の各区画において、縦方向に並ぶピッチP
1、P2の合計領域が、前記カオス的関数の定義領域と
して定義される。なおカオス的関数fcは、前記のよう
に、横軸をXn、前記縦軸をX(n+1)とし、X(n
+1)=fc(Xn)で表わされる。
【0035】定義領域におけるカオス的関数が具えるべ
き特性は、以下の通りである。第1に横軸の区画の各ピ
ッチP1,P2において、各2つ以上のカオス的関数が
設定されるのがよい。これは、その1に、2種以上のカ
オス的関数を使い分けることによりピッチ配列に多様な
特性を付与できること。その2として、短、長のピッチ
P1,P2の模様構成単位が単独(1個)で並ぶ確率を
減じるのに役立つことである。この点については、図1
5に関して後述するが、連続して同じピッチの模様構成
単位が並ばない単独ピッチの模様構成単位の数が増加す
るに伴い、実車によるドライバの官能評価の結果が低下
する。そのため、単独ピッチの模様構成単位の総数に対
する模様構成単位の総個数に対する比率Rsp/Npを
0.1以下とする。
【0036】第2に、各区画のカオス的関数fc(X
n)が、全ての区画で導関数f′c(Xn)≧1である
こと。これはカオス的関数fc(Xn)が、図4のよう
に、X(n+1)=Xnの直線と交わる場合がある。こ
の交点の付近において、f′c(Xn)<1であるとき
には、数列がこの交点 (Xn+1=Xn)で収束し、
無限数列を発生できなくなるためである。
【0037】第3にカオス的関数が具えるべき特性は、
横軸Xnの短ピッチP1、長ピッチP2の各区画におい
て、以下の関係を充足することである。即ち、区画にお
ける小さい側(即ち原点側)の始点をXc、大きい側
(即ち原点とは反対となる側)の終点をXeとすると
き、 短ピッチP1の区画では f′c(Xe)>f′c(Xc) 長ピッチP2の区画では f′c(Xc)>f′c(Xe)
【0038】これは、短ピッチP1の区画を例にとる
と、図5に示すように、f′c(Xe)>f′c(X
c)とするのが短ピッチP1の区画に数列が滞留する確
率が高い。即ち、短ピッチP1の模様構成単位が連続し
て並ぶ確率が高くなる。他方、短ピッチP1の区画にお
いて、f′c(Xc)>f′(Xe)とするときには、
図6に示したごとく、短ピッチP1が連続して並ぶ確率
が小となることによる。
【0039】長ピッチP2の区間のときには、短ピッチ
P1の場合と逆の関係となり、長ピッチP2でもある程
度連続させるために前記のように、f′c(Xc)>
f′c(Xe)の関係とするのがよい。
【0040】このことは、図7にも示されるように、短
ピッチ及び長ピッチの模様構成単位を適度に連続させる
配列のがよい。なお図7では、短ピッチP1の区画では
f′c(Xe)>f′c(Xc)、長ピッチP2の区
画では f′c(Xc)>f′c(Xe)の要件を充足
する数列の配列を左欄に示し、充足しない場合を右欄に
示している。なお、図7におけるピッチ配列の選択の仕
方については後述する。このような配列のタイヤのピッ
チ音を官能評価によりテストしたところ、左欄の前記条
件を充足するカオス的関数によるものが結果がよいこと
が判る。このように、ピッチ音の分散という観点から
は、短ピッチP1、長ピッチP2ものがある程度連続す
るのがよい。しかし、後記するように、過度に連続する
ことも好ましくない。
【0041】(5)前記第1〜3の条件を充足するカオ
ス関数の例は以下に示す通りであり、各式の関数曲線を
図8に示している。 A) 横軸Xnの短ピッチP1の区間(K0<Xn<K
1)
【0042】
【数3】
【0043】
【数4】
【0044】数3は図8の曲線Fcu1を、また数4は
図8の曲線Fcd1を示す。但し、数3、4において、
Z1,Z2は1よりも大であってかつZ2>Z1とす
る。 B) 横軸Xnの長ピッチP2の区間(K1≦Xn<K
2)
【0045】
【数5】
【0046】
【数6】
【0047】数5は図8の曲線Fcd2を、数6は図8
の曲線Fcu2を示す。但し、数5、6において、Z
1,Z2は1よりも大であってかつZ2>Z1とする。
なお、Z1は、通常1.0〜2.0,Z2は、通常2.
0〜20.0に設定される。なお本例ではZ1は1.1
0〜1.15,Z2は、5.0〜10.0である。
【0048】このように、各数3〜6は、前記した第1
の条件とともに、導関数f′c(Xn)≧1である第2
の条件、短ピッチP1の区画では f′c(Xe)>
f′c(Xc)、長ピッチP2の区画では f′c(X
c)>f′c(Xe)とする第3の条件を充足してい
る。
【0049】また前記のように、数4、6のべき常数Z
2を、数3、5のべき常数Z1よりも大きくしている。
このために、数4の関数Fcd1は曲率が大となり、数
3の関数Fcu1に比して得られる数列が区画P1に滞
留する確率を高くする。また数6の関数Fcu2も、数
5の関数Fcd2よりも曲率が大きく、得られる数列が
区画P2に滞留する確率を増大させる。
【0050】(6) 本例では下記条件により、左右2
つのカオス的関数Fcu、Fcd(Fcu1、Fcd
1、Fcu2、Fcd2)の一方を選択する。 第1条件 横軸のピッチP1の区画において、先に定め
られた関数値X(n+1)が横軸のピッチP1の区画で
生じるとき、又は初期値であるときには左のカオス的関
数Fcu1で次の関数値X(n+2)が生じる。 第2条件 横軸のピッチP1の区画において、先に定め
られた関数値X(n+1)が横軸のピッチP2の区画で
生じるときには右のカオス的関数Fcd1で次の関数値
X(n+2)が生じる。 第3条件 横軸のピッチP2の区画において、先に定め
られた関数値X(n+1)が横軸のピッチP2の区画で
生じるときには右のカオス的関数Fcd2で次の関数値
X(n+2)が生じる。 第4条件 横軸のピッチP2の区画において、先に定め
られた関数値X(n+1)が横軸のピッチP1の区画で
生じるときには左のカオス的関数Fcu2で次の関数値
X(n+2)を生じさせる。即ち、区画P1から区間P
2に、区画P2から区間P1に、区画P2と区間P1と
の間で数列が変化するときのみ、曲率の大きい数4、6
の関数Fcd1、Fcu2を使用する。これにより、数
列の区間変化に際して、多くの場合、区間P1では関数
Fcd1から関数Fcu1、区間P2では関数Fcu2
から関数Fcd2への各同一区間内での変化をを伴なわ
せる。そのため、ピッチ長さP1、P2の模様構成単位
が単独で(1個)で並ぶ確率を低下させる。
【0051】なお、前記した区画P1の数3、4の関数
Fcu1、Fcd1は、定義領域の縦方向中間高さ点
(縦軸Xn+1でのK1)を通る横方向の仮想線Ha
(図9に示す)と、横軸でのその区画の中央点Xaより
も原点と離れる側でともに交わって通る。又区画P2で
は、ともに関数Fcu2、Fcd2は原点側を通る。し
かしながら、各区画において、中央点Xaよりも原点側
を通る左のカオス的関数Fcuと、その反対側を通る右
のカオス的関数Fcdとの各2つのカオス的関数を用い
ることができるなど、前記条件を満足する他のカオス的
関数も本発明のタイヤにおいて採用することができ、こ
れらを用いる場合も本発明の技術的範囲に包含される。
【0052】(7) さて、カオス的関数を用いて数列
を発生させ、それを模様構成単位のピッチ配列に変換す
る手順を説明する。図8を拡大して図9に示している。
前記縦、横方向の区画線K0〜K2において、その区画
が等分であるとして、図9において、K0を0、K1を
1、K2を2としている。
【0053】初期値X1として0.49をとる(乱数発
生器、乱数表などを用いて自在に設定しうる)。前記第
1条件により、数3の関数Fcu1により、X2=0.
81をうる。さらに第1条件により、数3の関数Fcu
1により、X3=1.56を生成する。このX3は横軸
Xnでは区画P2に入るため、P2の区画で定義されて
いる左のカオス的関数Fcu2、又は右のカオス的関数
Fcd2を使うことになる。しかし、この先の関数値X
3が、短ピッチの区画P1で生じている。ゆえに、前記
第4条件により、左のカオス的関数Fcu2で次の関数
値X(n+1)、即ちX4=1.51が生じる。又同区
画P2では、第3条件によって右のカオス的関数Fcd
1で次の関数値X5=1.14が生成される。同じくX
6=0.40を生じる。
【0054】X6は、横軸Xnの短ピッチP1の区画に
入るためその区画で定義されている左のカオス的関数F
cu1、又は右のカオス的関数Fcd1を使うことにな
る。しかし、X6は、区画P2で生じているため、第2
条件により、右のカオス的関数Fcd1で次の関数値X
(n+1)、即ちX7=0.46が生じる。さらに第1
条件により、X8=0.74を関数Fcu1により生じ
る。このように、順次数列を生成させる。
【0055】(8) 次に、この数列をピッチ配列に変
換するには、各々の区画を各々の異なるピッチに対応さ
せることにより可能となる。図9の例では、前記のよう
に、0<Xn<1の区画がP1に、1≦Xn<2の区画
がP2にそれぞれ対応させている。これにより、0.4
9、0.81、1.56、1.51、1.14、0.4
0、0.46、0.74……という数列は、P1、P
1、P2、P2、P2、P1、P1、P1……というよ
うな模様構成単位のピッチ配列に変換することができ
る。
【0056】(9) しかしながら、前記のように、こ
れらのことは、タイヤの低騒音化のためには、必要条件
とはいえるが、十分条件を充足しているとはいいえない
場合がある。これは、カオス的関数により生成される数
列は非常に不規則であり(予測できない)、他方、模様
構成単位列における模様構成単位の総数、即ちピッチ総
個数(Np)はそれ程大きくないため、生成された数列
に偏りが混入している可能性がある。タイヤの低騒音化
のためには、このような偏りを排除して最適な配列を選
択する必要がある。種々検討した結果、つぎの事項につ
いて検定するのがよいことが判明した。
【0057】・ 不規則性指数Vrが2よりも小である
こと(請求項1のに相当)。 ・ 自己相関係数Ruが、u>5のとき0.5よりも小
さいこと(請求項1のに相当)。 ・ 最大分散係数PSDr maxが次の式を充足すること
(請求項1のに相当)。 PSDrmax≦{100/(Ps/P1)10}×(1
/Rn)+5×{(1/Rn)+1} ここでRnはピッチ総個数Npを無次元化した値、Rn
=Np/60である。 ・ 同一ピッチの模様構成単位が連続に並ぶその最大の
個数SQ maxと、模様構成単位のタイヤ周方向の前記ピ
ッチ総個数Npとの比SQ max/Npが0.15以下で
あること(請求項1のに相当)。 ・ 同一ピッチの模様構成単位列において模様構成単位
が連続することなく単独で存在する個数の総計Rsp
と、前記ピッチ総個数Npとの比Rsp/Np(ピッチ
単独係数という)が0.1以下であること(請求項1の
に相当)。を充足させる。
【0058】これから検定を充足することによって、カ
オス性の確認、偏りの排除、諸性能の最適化ができる。
このように、本発明のタイヤでは、カオス的関数に基づ
いてえられた模様構成単位列に、前記した検定を加えた
被検定の模様構成単位列をえて、これを採用する。
【0059】(10)不規則性指数Vrについて 不規則性指数Vrは、ピッチ列に特定の周期性がないこ
とを確認するものであり、8次の次数まで行う。周期性
のチェックを8次までとしたのは表1に示すように、タ
イヤ転動時の半径方向力変化(RFV)の各次数成分が
原因となって発生する振動、騒音は、概ね8次までであ
る。8次までに特定の周期性がなければ、問題が発生し
ないと考えられるからである。
【0060】
【表1】
【0061】本明細書において、不規則性指数Vrと
は、以下の数7において定義される値をいい、この不規
則性指数Vrが2よりも小とする。なお、数7のar,
brは、次の数8、9により求める。
【0062】
【数7】
【0063】
【数8】
【0064】
【数9】
【0065】又式において、djとは、模様構成単位列
におけるj番目の無次元化されたピッチをいう。 dj=Pj/平均ピッチ Pj:模様構成単位列におけるj番目の模様構成単位の
ピッチ 平均ピッチ:タイヤ全周長さCL/模様構成単位列のピ
ッチ総個数Np(図10参照) Xj:j番目のピッチの位置。
【0066】不規則性指数Vrとは前記のように、r次
成分の周期性の程度を示す指標である。不規則性指数V
rが大きくなるに従って、r次の周期性が大なることを
示す。さらに図11に示すように、不規則性指数Vr
と、前記RFVのr次成分の大きさには正相関がある。
前記RFVに起因する振動、騒音を生じないためには、
不規則性指数Vrが2よりも小とするのがよいと判明し
た。さらに好ましくは1.7以下、より好ましくは、
1.5以下がよい。但し、一般には0とはならず、Vr
は、0より大である。
【0067】(11) 自己相関係数Ruについて 自己相関関数Ruとは、本明細書において、次の数10
で定義される係数をいう。数10でのAは、数11によ
り求める。
【0068】
【数10】
【0069】
【数11】
【0070】前記数10において、模様構成単位の短ピ
ッチP1を1とし、長ピッチP2を2として各模様構成
単位列の模様構成単位に整数1、2を割り当てる。模様
構成単位列におけるピッチ配列をこのような整数で表し
たものを、PQ(j)として定義される。即ち、模様構
成単位のピッチ配列が、P1,P1,P2,P2,P1
……であったとすると、PQ(1)=1,PQ(2)=
1,PQ(3)=2,PQ(4)=2,PQ(5)=1
……であることを意味する。又変数uは基準となるピッ
チ配列PQ(j)のjからのずれ量である。
【0071】又数10において、分子が一般的に言われ
る自己相関関数であり、分母は正規化定数である。正規
化定数で除しているのは、一般的な自己相関関数では振
幅の大小により、周期の不規則の度合いを判断しえない
ためである。
【0072】なお、自己相関係数Ruは、ピッチ列の変
化が正弦波的(完全な周期性があること)であって、ず
れ量uが周期長さに一致したときなどの場合、Ruが1
となる。周期性が減じ、不規則さが増し、かつずれ量u
が大きくなるに従い、Ruが0に近づく。これは、離れ
たピッチ間が無相関であり、配列が不規則であることを
意味する。
【0073】自己相関係数Ruは、u>5の範囲におい
て求めたRu値におけるその最大値Ruによって判別す
る。本発明者らは、u>5の範囲において最大の自己相
関係数Ru<0.5と設定することによって、好ましい
程度のピッチ配列の不規則さが得られることを見出した
のである。なおさらに好ましくは1/3以下とするのが
よい。なお自己相関係数Ruの最大値は、0以上とな
る。
【0074】(12)最大分散係数PSDr maxについ
て 本発明において、最大分散係数PSDr maxとは、次の
数12で求められる値の内、次数rが150以下の範囲
における最大値として定義している。なお数12におけ
るAr,Brは、数13、14によって求める。CLは
タイヤ全周長さ、Xjはj番目のピッチの位置を示す。
【0075】
【数12】
【0076】
【数13】
【0077】
【数14】
【0078】ピッチ音の分散(ホワイトノイズ化)はピ
ッチ配列を数12で次数解析したときのPSDrmax
値と関係がある。PSDrmaxが大きくなると、音の
分散が悪くなり、純音的な音に近づくために、図12に
示すように、官能試験の評点(官能評点)が悪くなる。
一方、PSDrmaxは、短ピッチP1と長ピッチPs
の比(P2/P1)、およびピッチ総個数Npに依存す
る。従ってP2/P1を例えば0.1ごとに1.1〜
1.7の範囲、Rn(=Np/60)を例えば0.6
7、1.17、1.67の3種の値とし、その組合わせ
ごとにカオス的関数を用いてピッチ配列を求めた。
【0079】計算はコンピュータ処理により各組合わせ
ごとに50個のピッチ配列を求めた。又そのピッチ配列
から前記数32によりPSDrmaxを求めた。各組合
わせにおける各50個のピッチ配列のPSDrmaxの
内、最小のPSDrmaxの値を取出して図13に記載
している。この図13には得られた各値と、各値に対し
て好ましい猶予範囲を与えた曲線、、を示してい
る。
【0080】ピッチ配列についてPSDrmaxについ
ての検定は、例えば前記曲線、、を参酌して定め
た次の式を充足させることにある。この検定により、各
組合わせに応じて、比較的小さいPSDrmaxのピッ
チ配列を選択したことになる。即ち与えられたP2/P
1、Rn(=Np/60)についてPSDrmaxを以
下の式で検定し、この式を充足させる。 PSDrmax≦{100/(P2/P1)10}×(1
/Rn)+5×{(1/Rn)+1} ここでRnはピッチ総個数Npを無次元化した値であ
り、Rn=Np/60である。
【0081】(13) 同一ピッチの模様構成単位が連
続するその模様構成単位の個数SQ maxと、模様構成単
位列における模様構成単位のピッチ総個数Npとの比S
Q max/Npが0.15以下であること、短ピッチP1
と長ピッチP2とは、適度に連続して配列するのが良い
ことを記述した。しかし、過度に同一ピッチが連続しす
ぎるとワウ音と呼ばれる「ワウワウワウ」というような
脈動音が発生し、耳障りとなる。ワウ音と同一ピッチの
連続数最大値SQ maxとピッチ数Npの比との関係を図
14に示す。SQ max/Npが大きくなると、ワウ音は
悪化して官能評価を低下し、従って、SQ max/Np≦
0.15の範囲が良好であるのがわかった。なお、SQ
max/Npは、0よりも大きい。
【0082】(14) 単独ピッチ比Rsp/Np、即
ち、同一ピッチ(短ピッチP1、又は長ピッチP2)の
模様構成単位列において模様構成単位が連続することな
く単独で存在する個数の総計Rspと、前記ピッチ総個
数Npとの比Rsp/Npが0.1以下であることを検
定する。ここで、総数Rspとは、さらに詳細には、短
ピッチP1の模様構成単位が2つ以上連続することなく
単独で存在するしている短ピッチP1の総数(単独P1
ピッチ数)と、長ピッチP2の模様構成単位が2つ以上
連続することなく単独で存在するしている長ピッチP2
の総数(単独P2ピッチ数)との和である。さらにNp
とは前記のように、ピッチ総個数である。
【0083】これは、ピッチの種類が2つしかないため
に、この比が0.1をこえると、単独のピッチの模様構
成単位が多数存在することとなり、ノイズ性能が低下す
ることが判明している。このため、前記単独ピッチ比R
sp/Npを0.1以下としている。なお0以上である
が、好ましくは、0.04〜0.08の比率程度で混在
させる。
【0084】(15) 以上述べたように、本発明の空
気入りタイヤは、模様構成単位の配列を、以下の手順で
求める。 カオス的関数により数列を生成する。 数列を模様構成単位のピッチ配列に変換する。 Vr、Ru、PSDr max、SQ max/Np、Rs
p/Npの適合性を確認し検定する。
【0085】なおでの検定が適合しない場合、に戻
り、異なる初期値で数列を生成させ、工程を繰り返す。
このような手順は、カオス的関数を用いて数列を図16
のプログラムのフローチャートに従いコンピュータを使
用して繰り返し自動計算される。なお図16におけるス
テップ「PSDr max≦Fe(Rn、P2/P1)」で
のFe(Rn、P2/P1)とは、前記した「{100
/(P2/P1)10}×(1/Rn)+5×{(1/R
n)+1}」式を意味している。
【0086】(16) さらに好ましくは、各ピッチの
模様構成単位の数を予期値と一致させるように繰り返し
計算するのもよい。例えば、模様構成単位列の模様構成
単位のピッチ総個数Npを64とし、各ピッチP1,P
2の数を予め設定するなどの条件が付加されるときに
は、かかる条件を充足するまで計算を繰り返す。そのと
き、初期値を順次変化するのもよい。また用いるカオス
的関数、定数を変えることもできる。
【0087】さらには、前記実施例では、数列からピッ
チ配列への変換に際して、各区画線K0〜K2に整数値
を割当て、横軸、縦軸の区画を全て同じ長さとした。し
かし各区画において長さを変化させるのもよい。
【0088】以下、具体例を説明する。空気入りタイヤ
は、図17に示す如く、周方向の長さであるピッチPが
異なる2つの種類数sの模様構成単位1A,1B(総称
するとき模様構成単位1という)……がタイヤ周方向に
配列されてなる模様構成単位列2A,2A,2B,2B
(総称するとき模様構成単位列2という)を、タイヤト
レッドに、かつタイヤ赤道を通るセンタリブ3の両側に
対称に配置している。
【0089】又本実施例では、前記模様構成単位1A,
1Bがブロックからなるブロックパターンとしている。
しかし、リブパターン、ラグパターン、乃至それらの組
合せとすることができる。そのとき、ジグザグのリブ溝
の1つの山部、ラグ溝の間などが模様構成単位1をな
す。また、空気入りタイヤは、ラジアルタイヤ、バイア
スタイヤとしても、さらに乗用車用タイヤの他、トラッ
ク・バス用タイヤ、二輪車用タイヤなどとしても構成し
うる。
【0090】図17に示すブロックパターンにおいて、
本実施例では、模様構成単位列2A,2A,模様構成単
位列2B,2Bは、ともに模様構成単位の総数、模様構
成単位の配列を同じとし、位相のみを異ならせている。
しかし、タイヤ周方向の模様構成単位の総数は同じとし
て模様構成単位の配列を異ならせることもできる。
【0091】さらに、模様構成単位列2A,2A,模様
構成単位列2B,2Bの、タイヤ周方向の模様構成単位
の総数を異ならせることもできる。また模様構成単位列
の本数は、1以上で自在に変化しうるが2〜7本程度が
好ましい。前記模様構成単位列2は、いずれも前記した
ように、コンピユータプログラムを用いて計算する。
【0092】また、ピッチとは、模様構成単位1のタイ
ヤ周方向の長さであり、ブロックパターンの場合には、
そのブロックと、一方の横溝との合計長さとして定義し
ている。なお、模様構成単位を単に、ピッチと称する場
合がある。
【0093】
【実施例】1) タイヤサイズ205/65R15のラジ
アルタイヤを試作しテストした。図17の模様構成単位
列2A,2A,模様構成単位列2B,2Bが、ともに模
様構成単位の総数、模様構成単位の配列を同じとし、位
相のみを平均ピッチの約1/3程度異ならせた。仕様を
表2、表3に示す。また表4,表5に示す比較例品1ー
1、1ー2、2ー1、2ー2を試作した。ともに、不規
則性指数Vr、自己相関係数Ru、最大分散係数PSD
r max、SQ max/Np、Rsp/Npを検定し、かつ
RFVの次数解析を行うとともに、ピッチ音について官
能評価を行った。その結果を合わせて表2、3(なお各
表において模様構成単位をピッチと記載している)に示
している。
【0094】
【表2】
【表3】
【0095】
【表4】
【表5】
【0096】表4の比較例1−1は、前記特開平4−3
63234号公報の図3の場合を示している。比較例1
−2は、前記公報の図4の場合を示している。さらに比
較例2−1は、前記特開昭50−20402号公報の図
4の場合、比較例2−2は、前記公報の図9の場合を示
している。
【0097】なお前記したコンピユータプログラムによ
る繰り返し演算でも、前記特開平4−363234号公
報、前記特開昭50−20402号公報に記載されるピ
ッチ列は生じることがなかった。このように、本発明の
空気入りタイヤは、従来のタイヤとトレッドパターンに
おいて判別できる。
【0098】なお、各官能評価は、前記サイズのタイヤ
を2.5リットルのFR車に装着し、空気圧200kp
aで使用した。車内音の官能評価は5点法を用い3以上
が良好なレベルである。また100kphよりエンジン
オフで惰行させて評価した。RFVの測定はJASO
C607「自動車用タイヤのユニフオミテイ試験方法」
に準じ実施した。
【0099】表2の実施例1、2は、表3の比較例1−
1〜2−2とほぼ同じピッチ比を用いているが、ピッチ
音の官能テストの評価結果は、大幅に向上している。ま
た表2の実施例3、4は、ピッチ比を1・111と比較
的小さくしているため、前記ピッチ音の官能テストの結
果は、低下しているが、比較的良好なレベルといえる。
実施例のものはいずれもRFVの特定次数は大きいもの
ではなかった。
【0100】
【発明の効果】このように、本発明の空気入りタイヤ
は、ピッチ長さが長短2種類の模様構成単位をカオス的
関数の特性を利用しつつ配列し模様構成単位列を定めて
いる。これにより、タイヤの設計、金型の製作を容易と
する他、カオス的配列を具えることとなり、しかも、不
規則性指数Vr、自己相関係数Ru、最大分散係数PS
Dr max、SQ max/Np、Nsp/Npが検定される
ことにより、異常摩耗、不快音因子をなくした被検定の
模様構成単位列となり、ピッチ音の分散(ホワイトノイ
ズ化)が良くなり、タイヤの低騒音化できかつユニフオ
ミテイに優れたタイヤとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)、(b)は、カオス関数の一例を示す線
図である。
【図2】カオス的関数の定義領域を示す線図である。
【図3】ピッチの比とH/T摩耗の関係を示す線図であ
る。
【図4】カオス的関数を説明する線図である。
【図5】短ピッチ区間のカオス的関数の特性を説明する
線図である。
【図6】他の特性を説明する線図である。
【図7】カオス的関数を説明する線図である。
【図8】採用しうる各2つのカオス的関数を説明する線
図である。
【図9】カオス的関数を用いて数列をうる方法を例示す
る線図である。
【図10】不規則性指数VrのXjについて説明する線
図である。
【図11】不規則性指数VrとRFVのr次成分の関係
を示す線図である。
【図12】PSDr maxとピッチ音の官能評価の結果を
示す線図である。
【図13】P2/P1と、Rnとの組み合わせにおける
PSDrmaxの最小値の関係を例示する線図である。
【図14】SQ maxとワウ音との官能評価の結果を示す
線図である。
【図15】単独の模様構成単位の総数と模様構成単位の
総個数との比を変化させたときのピッチ音の官能評価の
結果を示す線図である。
【図16】ピッチの種類数sが2のときの数列を求める
コンピユータプログラムのフローチャートである。
【図17】本発明の実施例のトレッドパターンを示す平
面図である。
【符号の説明】
1,1A,1B,1C 模様構成単位 2,2A,2B,2C 模様構成単位列 P1 短ピッチ P2 長ピッチ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60C 11/03 B60C 19/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】周方向の長さであるピッチが短ピッチP1
    と、この短ピッチP1よりも長い長ピッチP2の2種類
    の長さの模様構成単位がタイヤ周方向に配列されてなる
    模様構成単位列により、タイヤトレッドのトレッドパタ
    ーンを形成する空気入りタイヤのトレッドパターン設定
    方法であって、 直角座標において横軸、縦軸をこの横軸、縦軸と各直角
    かつ原点から一方向に2つに区画することにより座標面
    に4つの矩形の領域を形成する縦方向の区画線、横方向
    の区画線を設け、 かつ横軸、縦軸の各区画に前記原点から、短ピッチP
    1,長ピッチP2の順番に割り当てるとともに、 前記長ピッチP2と短ピッチP1との比P2/P1を
    1.05以上、かつ1.50以下とするとともに、 前記横軸をXn、前記縦軸をX(n+1)として、X
    (n+1)=fc(Xn)で表すカオス的関数fcの定
    義領域を、横軸の2つの各区画ごとに、縦方向に並ぶ2
    つの領域の領域和とするとともに、 この定義領域において横軸の各区画ごとに定まり、かつ
    以下の、の要件を充足する前記カオス的関数によっ
    て順次えられる前記X(n+1)の関数値の数列に基づ
    く模様構成単位列に、以下の〜の検定を行ないえら
    れる被検定の模様構成単位列を具えることを特徴とする
    空気入りタイヤのトレッドパターン設定方法。 カオ
    ス的関数fcは全ての横軸の各区画で導関数f′c≧1
    である。 最短のピッチと最長のピッチとが定義され
    ている横軸の区画では、区画の小さい側の始点(X
    c)、大きい側の終点(Xe)において 最短のピッチの区画では f′c(Xe)>f′c(Xc) 最長のピッチの区画では f′c(Xc)>f′c(Xe) 8次までの各次数での不規則性指数Vrが2よりも
    小であること。 自己相関係数Ruが、u>5のとき
    0.5よりも小さいこと。 最大分散係数PSDrm
    axが次の式を充足すること。 PSDrmax≦{100/(P2/P1)10}×(1/Rn) +5×{(1/Rn)+1} ここで、RnはNp/60、Npは模様構成単位列での
    模様構成単位の総個数 同一ピッチの模様構成単位が連続して並ぶその最大
    の個数SQmaxと、前記総個数Npとの比SQmax
    /Npが0.15以下であること。 模様構成単位列
    において短ピッチP1、又は長ピッチP2の模様構成単
    位が連続することなく単独で存在する個数の総計Rsp
    と、模様構成単位の前記総個数Npとの比Rsp/Np
    が0.1以下であること。
  2. 【請求項2】横軸の短ピッチP1の区画において、先に
    定められた関数値X(n+1)が横軸の短ピッチP1の
    区画で生じるとき、又は初期値であるときには左のカオ
    ス的関数Fcuで次の関数値X(n+2)が生じ、先に
    定められた関数値X(n+1)が横軸の長ピッチP2の
    区画で生じるときには右のカオス的関数Fcdで次の関
    数値X(n+2)が生じるとともに、 横軸の長ピッチP2の区画において、先に定められた関
    数値X(n+1)が横軸の長ピッチP2の区画で生じる
    ときには右のカオス的関数Fcdで次の関数値X(n+
    2)が生じ、先に定められた関数値X(n+1)が横軸
    の短ピッチP1の区画で生じるときには左のカオス的関
    数Fcuで次の関数値X(n+2)が生じることを特徴
    とする請求の範囲第1項記載の空気入りタイヤのトレッ
    ドパターン設定方法。
  3. 【請求項3】前記タイヤトレッドは、タイヤ周方向の模
    様構成単位の総数は同じであるが、模様構成単位の配列
    が異なる2種以上の模様構成単位列を具えることを特徴
    とする請求の範囲第1項記載の空気入りタイヤのトレッ
    ドパターン設定方法。
  4. 【請求項4】前記タイヤトレッドは、タイヤ周方向の模
    様構成単位の総数が異なる2種以上の模様構成単位列を
    具えることを特徴とする請求の範囲第1項記載の空気入
    りタイヤのトレッドパターン設定方法。
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