JP3205057B2 - 鞍乗型車両のフロントフォーク締結構造 - Google Patents

鞍乗型車両のフロントフォーク締結構造

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JP3205057B2
JP3205057B2 JP17180592A JP17180592A JP3205057B2 JP 3205057 B2 JP3205057 B2 JP 3205057B2 JP 17180592 A JP17180592 A JP 17180592A JP 17180592 A JP17180592 A JP 17180592A JP 3205057 B2 JP3205057 B2 JP 3205057B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自動二輪車等、鞍乗
型車両のフロントフォーク締結構造に関する。
【0002】
【従来の技術】自動二輪車では、一般に、車体フレーム
のヘッドパイプに上、下軸受が嵌入され、これら軸受に
よりステアリング軸が支承され、このステアリング軸に
前輪を支承するフロントフォークが締結されている。そ
して、これにより、上記フロントフォークが、上記ステ
アリング軸を介し、このステアリング軸の軸心回りに操
向自在にヘッドパイプに支承されることとなっている
(例えば、特開平2‐299993号公報)。
【0003】上記ステアリング軸に対するフロントフォ
ークの締結構造につき、図7を参照してより具体的に説
明する。
【0004】図7中、符号51はヘッドパイプに支承さ
れたステアリング軸で、その上端部はボルト52となっ
ている。また、フロントフォークが有するアッパブラケ
ット53とロアブラケットのうち、このロアブラケット
に上記ステアリング軸51の下端部が固定され、上記ア
ッパブラケット53には締結孔54が貫設されている。
この締結孔54が上記ステアリング軸51のボルト52
に嵌合させられており、このボルト52にねじ付けられ
たナット55で、上記アッパブラケット53とロアブラ
ケットとがステアリング軸51に締結されている。
【0005】上記ナット55の自由状態では、上記ステ
アリング軸51の軸方向で互いに対面する上記アッパブ
ラケット53とナット55の2つの締結面53a,55
aは、互いに平行とされている。56は座金である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、自動二輪車
は不整地を高速で走行することがあり、この場合には、
上記フロントフォークのアッパブラケット53、ロアブ
ラケット、およびステアリング軸51を介しヘッドパイ
プ側に大きい衝撃力が与えられる。
【0007】ここで、上記フロントフォークとステアリ
ング軸51とはこのステアリング軸51の径方向で離れ
ているため、上記衝撃力により、上記アッパブラケット
53にはこれを上方に曲げようとする曲げモーメントが
与えられると共に、このアッパブラケット53から上記
ステアリング軸51の上端部にこれを曲げようとする曲
げモーメントが与えられ、特に、上記ステアリング軸5
1の上端部とアッパブラケット53における締結孔54
の内周縁部とには大きい曲げ応力が生じようとする。こ
のため、これらステアリング軸51の上端部とアッパブ
ラケット53における締結孔54の内周縁部の強度を向
上させることが望まれている。
【0008】また、上記従来構成において、ステアリン
グ軸51に対し、フロントフォークのアッパブラケット
53を締結させようとして、ナット55をねじ付け、こ
のナット55の締結面55aをブラケット53の締結面
53aに座金56を介し押圧させると、ナット55の径
方向外端部は内端部に比べて上記押圧による撓みが大き
いことから、このナット55の締結面55aの外端部よ
りも内端部の方がアッパブラケット53の締結面53a
を大きい圧力で押圧することとなる。
【0009】よって、上記構成では、ナット55をねじ
付けたとき、両締結面53a,55aの間に片当りが生
じて、ナット55が強度上、有効に働かず、ステアリン
グ軸51に対し、フロントフォークが緩み易いという不
都合がある。
【0010】また、仮に、上記ステアリング軸51の上
端部の外周面と締結孔54の内周面との間に筒状スペー
サが介設される場合には、上記締結孔54の内径寸法が
大きくなって、上記アッパブラケット53の締結面53
aにおける上記締結孔54の開口縁部が上記ステアリン
グ軸51の外周面からその径方向外方に大きく離れがち
となり、この場合には、上記したようにナット55がそ
のねじ付けで大きく撓んだときには、このナット55の
締結面55aが上記締結孔54の開口縁部の角部に集中
的に片当りしがちとなって、十分な締結力の確保がし難
くなり、このため、上記ステアリング軸51に対し、フ
ロントフォークが更に緩み易くなるおそれがある。
【0011】
【発明の目的】この発明は、上記のような事情に注目し
てなされたもので、ステアリング軸の上端部と、フロン
トフォークのアッパブラケットにおける締結孔の内周縁
部の強度をより向上させて走行時の衝撃力に十分に対抗
できるようにすると共に、ステアリング軸に対し、フロ
ントフォークのアッパブラケットをナットにより締結さ
せた場合に、この締結に緩みが生じないようにすること
を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
のこの発明の特徴とするところは、車体フレーム2のヘ
ッドパイプ3に上、下軸受20,21を嵌入し、これら
軸受20,21によりステアリング軸19をヘッドパイ
プ3に支承する一方、フロントフォーク4が有するアッ
パ、ロアブラケット24,25のうち、このロアブラケ
ット25に上記ステアリング軸19の下端を固定し、上
記アッパブラケット24に締結孔26を貫設し、上記ス
テアリング軸19の上端が上記アッパブラケット24の
上面よりも上方に突出するよう上記締結孔26を上記ス
テアリング軸19の上端部に嵌合させ、同上ステアリン
グ軸19の上端部に形成したボルト28にねじ付けたナ
ット29で上記アッパブラケット24をステアリング軸
19に締結させるようにした鞍乗型車両のフロントフォ
ーク締結構造において、
【0013】1)上記ステアリング軸19への上記上軸
受20の嵌合部から上記ボルト28の上端に至るまでの
上記ステアリング軸19の径寸法をほぼ一定とし、上記
ステアリング軸19の上端部の外周面と上記締結孔26
の内周面との間に筒状スペーサ30を介設し、このスペ
ーサ30を上記ボルト28にねじ付ける一方、上記スペ
ーサ30の下端に鍔部31を形成してこの鍔部31を上
記アッパブラケット24の下面と、上記上軸受20のイ
ンナレースの上面との間に介設し、上記ステアリング軸
19の軸方向で上記ナット29と鍔部31とにより上記
アッパブラケット24を挟させ、
【0014】2)上記ナット29とスペーサ30とをね
じ付けた上記ボルト28の各ねじ部を、形状と寸法につ
き互いに同じにすると共に、互いに連続的に成形し、
【0015】3)上記ステアリング軸19の軸方向で、
上記ナット29に上記スペーサ30の上端を接近させ、
【0016】4)上記ステアリング軸19の軸方向で互
いに対面する上記アッパブラケット24とナット29の
2つの締結面24a,29aのうち、上記アッパブラケ
ット24の締結面24aよりも少し下方に上記スペーサ
30の上面を位置させ、上記ナット29の自由状態で、
上記両締結面24a,29aが同上ステアリング軸19
の径方向外方に進むに従い互いに漸次接近するよう、上
記ナット29の締結面29aを偏平な円錐台状の凹面に
形成した点にある。
【0017】
【作 用】上記構成による作用は次の如くである。
【0018】なお、下記した括弧内の用語は、特許請求
の範囲の用語に対応するものである。
【0019】自動二輪車(鞍乗型車両)1が不整地を高
速で走行する場合など、フロントフォーク4のアッパ、
ロアブラケット24,25、およびステアリング軸19
を介しヘッドパイプ3側に与えられるとき、上記ステア
リング軸19への上軸受20の嵌合部から上記ステアリ
ング軸19のボルト28へのナット29のねじ付け部に
至るステアリング軸19の上端部と、アッパブラケット
24における締結孔26の内周縁部とには大きい曲げ応
力が生じようとする。
【0020】そこで、1)上記ステアリング軸19への
上記上軸受20の嵌合部から上記ボルト28の上端に至
るまでの上記ステアリング軸19の径寸法をほぼ一定と
してある。
【0021】このため、上記ステアリング軸19のボル
ト28へのナット29のねじ付け部を径小にするなど、
上記ステアリング軸19の上端部の中途部に段差を設け
る場合に比べて、上記ステアリング軸19の上端部の強
度がより向上し、もって、上記したステアリング軸19
の上端部での大きい曲げ応力の発生が防止される。
【0022】また、上記ステアリング軸19の上端部の
外周面と上記締結孔26の内周面との間に筒状スペーサ
30を介設し、このスペーサ30を上記ボルト28にね
じ付ける一方、上記スペーサ30の下端に鍔部31を形
成してこの鍔部31を上記アッパブラケット24の下面
と、上記上軸受20のインナレースの上面との間に介設
し、上記ステアリング軸19の軸方向で上記ナット29
と鍔部31とを上記アッパブラケット24を挟させて
ある。
【0023】このため、上記アッパブラケット24は上
記スペーサ30の鍔部31により補強されてその厚さ方
向の強度がより向上し、もって、前記したアッパブラケ
ット24での大きい曲げ応力の発生が防止される。
【0024】また、2)上記ナット29とスペーサ30
とをねじ付けた上記ボルト28の各ねじ部を、形状と寸
法につき互いに同じにすると共に、互いに連続的に成形
してある。
【0025】このため、上記ボルト28にねじ付けられ
た上記ナット29と上記スペーサ30の鍔部31との上
記ステアリング軸19の軸方向における互いの対向面の
平行度は、高い精度にさせることができる。
【0026】よって、上記ナット29と鍔部31によ
り、上記アッパブラケット24はより強固に挟持され
て、上記ステアリング軸19へのアッパブラケット24
の締結がより強固になされ、また、上記鍔部31による
アッパブラケット24の補強がより確実になされる。
【0027】また、3)上記ステアリング軸19の軸方
向で、上記ナット29に上記スペーサ30の上端を接近
させてある。
【0028】このため、上記接近に伴い、ナット29を
ねじ付けた上記ボルト28のねじ部に対し、上記スペー
サ30をねじ付けた上記ボルト28のねじ部も接近させ
ることができ、その分、上記ボルト28の軸方向の全体
的なねじ部の長さを短くできる。
【0029】よって、前記したように、ボルト28の各
ねじ部を、形状と寸法につき互いに同じにすると共に、
互いに連続的に成形したことと相俟って、上記ボルト2
8の成形が容易かつ迅速にできる。
【0030】また、4)上記ステアリング軸19の軸方
向で互いに対面する上記アッパブラケット24とナット
29の2つの締結面24a,29aのうち、上記アッパ
ブラケット24の締結面24aよりも少し下方に上記ス
ペーサ30の上面を位置させ、上記ナット29の自由状
態で、上記両締結面24a,29aが同上ステアリング
軸19の径方向外方に進むに従い互いに漸次接近するよ
う、上記ナット29の締結面29aを偏平な円錐台状の
凹面に形成してある。
【0031】ここで、上記ステアリング軸19の上端部
の外周面と上記締結孔26の内周面との間に筒状スペー
サ30を介設すると、上記締結孔26の内径寸法が大き
くなって、上記アッパブラケット24の締結面24aに
おける上記締結孔26の開口縁部が上記ステアリング軸
19の外周面からその径方向外方に大きく離れがちとな
り、このため、上記ナット29がそのねじ付けで大きく
撓んだときには、このナット29の締結面29aが上記
締結孔26の開口縁部の角部に集中的に片当りしがちと
なる。
【0032】そこで、上記したように、ナット29の締
結面29aを円錐台状の凹面に形成してある。
【0033】このため、ステアリング軸19に対しアッ
パブラケット24を締結させようとして、ナット29を
ねじ付け、このナット29の締結面29aをアッパブラ
ケット24の締結面24aに押圧させると、上記ナット
29の径方向外端部は内端部に比べて上記押圧により大
きく撓むことから、上記押圧により両締結面24a,2
9aが互いにほぼ平行となって、これら両締結面24
a,29aが片当りなく互いに押圧し合うこととなる。
【0034】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面により説明す
る。
【0035】図2において、符号1は鞍乗型車両である
自動二輪車で、図中矢印Frはその前方を示している。
また、下記する左右とは上記前方に向っての方向をいう
ものとする。
【0036】上記自動二輪車1の車体フレーム2は、そ
の前端にヘッドパイプ3を有し、このヘッドパイプ3に
フロントフォーク4が操向自在に支承されている。この
フロントフォーク4の下端には車軸6により前輪7が支
承され、同上フロントフォーク4の上端にはハンドル8
が取り付けられている。
【0037】一方、上記車体フレーム2の後下部にはリ
ヤアーム10が上下揺動自在に枢支され、このリヤアー
ム10の揺動端に後輪11が支承されている。12は緩
衝器、12aはリンク機構である。また、同上車体フレ
ーム2にはエンジン13が取り付けられ、このエンジン
13には動力伝達装置13aが連設されている。そし
て、上記エンジン13の動力が上記動力伝達装置13a
とチェーン巻掛機構14を介し上記後輪11に伝えられ
るようになっている。その他、15は燃料タンク、16
はシート、17はフートレストである。
【0038】図2と図3において、前記ヘッドパイプ3
内には、このヘッドパイプ3と同軸上にステアリング軸
19が嵌入されると共に、上、下軸受20,21が嵌入
され、上記ステアリング軸19はテーパベアリングであ
る上記上、下軸受20,21によって、上記ヘッドパイ
プ3にその軸心回りに回動自在に支承されている。
【0039】一方、前記フロントフォーク4は左右一対
のフォークパイプ22,22を有し、これら両フォーク
パイプ22,22の各上部に、アッパブラケット24と
ロアブラケット25とが固定され、上記アッパブラケッ
ト24に前記ハンドル8が取り付けられている。
【0040】上記ロアブラケット25の左右方向の中央
に前記ステアリング軸19の下端が溶接により固定され
ている。また、上記アッパブラケット24の左右方向の
中央には締結孔26が貫設されている。この締結孔26
は上記ステアリング軸19の上端部に形成されたボルト
28に嵌合し、上記ステアリング軸19の上端は上記ア
ッパブラケット24の上面よりも上方に突出させられて
おり、上記ボルト28の上端部に締結具であるナット2
9がねじ付けられている。
【0041】上記ステアリング軸19への上記上軸受2
0の嵌合部から上記ボルト28の上端に至るまでの上記
ステアリング軸19の径寸法がほぼ一定とされている。
【0042】上記締結孔26の内周面と、ステアリング
軸19の上端部のボルト28の外周面との間には筒状ス
ペーサ30が介設され、このスペーサ30は上記ボルト
28にねじ付けられている。このスペーサ30の下端に
は鍔部31が形成され、この鍔部31はアッパブラケッ
ト24の下面と、上記上軸受20のインナレースの上面
との間に介設され、上記ステアリング軸19の軸方向で
上記ナット29と鍔部31とが上記アッパブラケット2
4を挟持している。更に、上記鍔部31と上記上軸受2
0のインナレースの上面との間には円環状のシール体3
2が介設され、これは上記上軸受20の上面を閉じてい
る。
【0043】上記の場合、ナット29とスペーサ30と
をねじ付けた上記ボルト28の各ねじ部は、形状と寸法
につき互いに同じにされると共に、互いに連続的に成形
されている。また、上記ステアリング軸19の軸方向
で、上記ナット29に上記スペーサ30の上端が接近さ
せられている。
【0044】そして、上記構成により、上記ステアリン
グ軸19にアッパブラケット24が締結され、つまり、
ステアリング軸19に対しフロントフォーク4が締結さ
れている。この状態で、ハンドル8を操向操作すれば、
上記ステアリング軸19がその軸心回りに回動し、これ
により回動するフロントフォーク4によって、前輪7が
操向されるようになっている。
【0045】図1において、上記ステアリング軸19の
軸方向で互いに対面する上記アッパブラケット24とナ
ット29の2つの締結面24a,29aのうち、上記ア
ッパブラケット24の締結面24aよりも少し下方に上
記スペーサ30の上面が位置させられている。また、上
記両締結面24a,29aの間には、厚さが均一の座金
33が介設されている。また、上記ナット29をねじ込
む前の自由状態で、上記両締結面24a,29aは、上
記ステアリング軸19の径方向外方に進むに従い互いに
漸次接近するよう、互いにわずかの角度θで傾斜させら
れている。
【0046】より詳しくは、アッパブラケット24の締
結面24aはステアリング軸19の軸心に直交する平坦
面とされている。一方、ナット29の締結面29aは、
同上ステアリング軸19と同軸上に位置する偏平な円錐
台状の凹面とされている。
【0047】そして、前記したようにステアリング軸1
9に対しアッパブラケット24を締結させようとして、
ナット29をねじ付け、このナット29の締結面29a
を上記座金33を介しアッパブラケット24の締結面2
4aに押圧させると、上記ナット29の径方向外端部は
内端部に比べて上記押圧により大きく撓むことから、上
記押圧により両締結面24a,29aが互いにほぼ平行
となって、これら両締結面24a,29aが片当りなく
互いに押圧し合い、上記ナット29が強度上有効に働く
こととなる。
【0048】図2、および図4から図6において、前記
フロントフォーク4の下部には、前記前輪7を制動する
油圧式のディスクブレーキ36が設けられている。
【0049】上記ディスクブレーキ36は上記前輪7と
共に回転するブレーキディスク37と、このブレーキデ
ィスク37を油圧により挟み付けて上記前輪7を制動さ
せるキャリパ38とを備え、このキャリパ38は左側の
フォークパイプ22の下端にボルト39,39によりね
じ止めされている。
【0050】41は圧油ホースで、その一端側は、前記
ハンドル8に向って延びブレーキレバー側に連結されて
いる。また、同上圧油ホース41の他端側は左側のフォ
ークパイプ22の前面に沿って下方に延び、前記車軸6
の下方を迂回した後、同上左側のフォークパイプ22の
下端と、上記ブレーキディスク37との間を通って、上
記キャリパ38に連結されている。
【0051】上記各フォークパイプ22の下部前面を覆
うプロテクタ42が設けられている。これらプロテクタ
42の下部は、それぞれボルト43によってフォークパ
イプ22の下端に着脱自在にねじ止めされている。
【0052】上記圧油ホース41の上下中途部は、上記
左側のフォークパイプ22とプロテクタ42との間に収
納されている。また、上記プロテクタ42の後面(内
面)には上下に4つの係止片44が突設されており、こ
れら係止片44に上記圧油ホース41の上下中途部が係
脱自在に係止されている。
【0053】図6において、上記係止片44は、プロテ
クタ42の後面から後方に突出した後、車体の幅方向中
央側に向って円弧状に折り曲げられ、これに、上記した
ように圧油ホース41が係止されている。
【0054】上記ディスクブレーキ36を制動動作させ
ようとして、ブレーキレバーを操作すると、圧油ホース
41内の油圧が上昇して、この圧油ホース41が、車体
外側方に向って曲がろうとする。この場合の圧油ホース
41の動作は、上記係止片44への係止勝手となり、こ
の係止片44から不意に外れることが防止される。つま
り、上記構成の係止片44によれば、圧油ホース41の
係止が確実になされることとなる。
【0055】
【発明の効果】この発明によれば、車体フレームのヘッ
ドパイプに上、下軸受を嵌入し、これら軸受によりステ
アリング軸をヘッドパイプに支承する一方、フロントフ
ォークが有するアッパ、ロアブラケットのうち、このロ
アブラケットに上記ステアリング軸の下端を固定し、上
記アッパブラケットに締結孔を貫設し、上記ステアリン
グ軸の上端が上記アッパブラケットの上面よりも上方に
突出するよう上記締結孔を上記ステアリング軸の上端部
に嵌合させ、同上ステアリング軸の上端部に形成したボ
ルトにねじ付けたナットで上記アッパブラケットをステ
アリング軸に締結させるようにした鞍乗型車両のフロン
トフォーク締結構造において、
【0056】1)上記ステアリング軸への上記上軸受の
嵌合部から上記ボルトの上端に至るまでの上記ステアリ
ング軸の径寸法をほぼ一定とし、上記ステアリング軸の
上端部の外周面と上記締結孔の内周面との間に筒状スペ
ーサを介設し、このスペーサを上記ボルトにねじ付ける
一方、上記スペーサの下端に鍔部を形成してこの鍔部を
上記アッパブラケットの下面と、上記上軸受のインナレ
ースの上面との間に介設し、上記ステアリング軸の軸方
向で上記ナットと鍔部とにより上記アッパブラケットを
させてある。
【0057】ここで、鞍乗型車両が不整地を高速で走行
する場合など、フロントフォークのアッパ、ロアブラケ
ット、およびステアリング軸を介しヘッドパイプ側に与
えられるとき、上記ステアリング軸への上軸受の嵌合部
から上記ステアリング軸のボルトへのナットのねじ付け
部に至るステアリング軸の上端部と、アッパブラケット
における締結孔の内周縁部とには大きい曲げ応力が生じ
ようとする。
【0058】そこで、上記したように、ステアリング軸
への上記上軸受の嵌合部から上記ボルトの上端に至るま
での上記ステアリング軸の径寸法をほぼ一定としてあ
る。
【0059】このため、上記ステアリング軸のボルトへ
のナットのねじ付け部を径小にするなど、上記ステアリ
ング軸の上端部の中途部に段差を設ける場合に比べて、
上記ステアリング軸の上端部の強度がより向上し、もっ
て、上記したステアリング軸の上端部での大きい曲げ応
力の発生が防止され、上記ステアリング軸の上端部は走
行時の衝撃力に十分に対抗できる。また、このステアリ
ング軸の構造が簡単である分、その成形も容易にでき
る。
【0060】また、上記したように、ステアリング軸の
上端部の外周面と上記締結孔の内周面との間に筒状スペ
ーサを介設し、このスペーサを上記ボルトにねじ付ける
一方、上記スペーサの下端に鍔部を形成してこの鍔部を
上記アッパブラケットの下面と、上記上軸受のインナレ
ースの上面との間に介設し、上記ステアリング軸の軸方
向で上記ナットと鍔部とにより上記アッパブラケットを
させてある。
【0061】このため、上記アッパブラケットは上記ス
ペーサの鍔部により補強されてその厚さ方向の強度がよ
り向上し、もって、前記したアッパブラケットでの大き
い曲げ応力の発生が防止され、上記アッパブラケットも
走行時の衝撃力に十分に対抗できる。
【0062】また、2)上記ナットとスペーサとをねじ
付けた上記ボルトの各ねじ部を、形状と寸法につき互い
に同じにすると共に、互いに連続的に成形してある。
【0063】このため、上記ボルトにねじ付けられた上
記ナットと上記スペーサの鍔部との上記ステアリング軸
の軸方向における互いの対向面の平行度は、高い精度に
させることができる。
【0064】よって、上記ナットと鍔部により、上記ア
ッパブラケットはより強固に挟持されて、上記ステアリ
ング軸へのアッパブラケットの締結がより強固になさ
れ、また、上記鍔部によるアッパブラケットの補強がよ
り確実になされて、前記したアッパブラケットでの大き
い曲げ応力の発生がより確実に防止される。
【0065】また、3)上記ステアリング軸の軸方向
で、上記ナットに上記スペーサの上端を接近させてあ
る。
【0066】このため、上記接近に伴い、ナットをねじ
付けた上記ボルトのねじ部に対し、上記スペーサをねじ
付けた上記ボルトのねじ部も接近させることができ、そ
の分、上記ボルトの軸方向の全体的なねじ部の長さを短
くできる。
【0067】よって、前記したように、ボルトの各ねじ
部を、形状と寸法につき互いに同じにすると共に、互い
に連続的に成形したことと相俟って、上記ボルトの成形
が容易かつ迅速にでき、つまり、ステアリング軸の成形
が容易かつ迅速にできる。
【0068】また、4)上記ステアリング軸の軸方向で
互いに対面する上記アッパブラケットとナットの2つの
締結面のうち、上記アッパブラケットの締結面よりも少
し下方に上記スペーサの上面を位置させ、上記ナットの
自由状態で、上記両締結面が同上ステアリング軸の径方
向外方に進むに従い互いに漸次接近するよう、上記ナッ
トの締結面を偏平な円錐台状の凹面に形成してある。
【0069】ここで、上記ステアリング軸の上端部の外
周面と上記締結孔の内周面との間に筒状スペーサを介設
すると、上記締結孔の内径寸法が大きくなって、上記ア
ッパブラケットの締結面における上記締結孔の開口縁部
が上記ステアリング軸の外周面からその径方向外方に大
きく離れがちとなり、このため、上記ナットがそのねじ
付けで大きく撓んだときには、このナットの締結面が上
記締結孔の開口縁部の角部に集中的に片当りしがちとな
る。
【0070】そこで、上記したように、ナットの締結面
を円錐台状の凹面に形成してある。
【0071】このため、ステアリング軸に対しアッパブ
ラケットを締結させようとして、ナットをねじ付け、こ
のナットの締結面をアッパブラケットの締結面に押圧さ
せると、上記ナットの径方向外端部は内端部に比べて上
記押圧により大きく撓むことから、上記押圧により両締
結面が互いにほぼ平行となって、これら両締結面が片当
りなく互いに押圧し合い、上記ナットが強度上有効に働
くこととなる。
【0072】よって、上記したように、アッパブラケッ
トの補強のために、締結孔内にスペーサを設けてこのス
ペーサに鍔部を形成した場合に、上記締結孔の内径寸法
が大きくなるとしても、上記ステアリング軸に対するフ
ロントフォークの締結に、緩みが生じることは防止され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図3の部分拡大断面図である。
【図2】自動二輪車の全体側面図である。
【図3】図2の部分拡大断面図である。
【図4】図2の部分拡大図である。
【図5】図4で示したものの正面図である。
【図6】図4の7‐7線矢視断面図である。
【図7】従来例で、図1に相当する図である。
【符号の説明】
1 自動二輪車(鞍乗型車両) 2 車体フレーム 3 ヘッドパイプ 4 フロントフォーク 19 ステアリング軸 20 上軸受 21 下軸受 24 アッパブラケット 24a 締結面 25 ロアブラケット 26 締結孔 28 ボルト 29 ナット 29a 締結面 30 スペーサ 31 鍔部 51 ステアリング軸 53 アッパブラケット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B62K 19/32,21/06,21/18 F16B 39/284

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体フレームのヘッドパイプに上、下軸
    受を嵌入し、これら軸受によりステアリング軸をヘッド
    パイプに支承する一方、フロントフォークが有するアッ
    パ、ロアブラケットのうち、このロアブラケットに上記
    ステアリング軸の下端を固定し、上記アッパブラケット
    に締結孔を貫設し、上記ステアリング軸の上端が上記ア
    ッパブラケットの上面よりも上方に突出するよう上記
    結孔を上記ステアリング軸の上端部に嵌合させ、同上ス
    テアリング軸の上端部に形成したボルトにねじ付けたナ
    ットで上記アッパブラケットをステアリング軸に締結さ
    せるようにした鞍乗型車両のフロントフォーク締結構造
    において、1) 上記ステアリング軸への上記上軸受の嵌合部から上
    記ボルトの上端に至るまでの上記ステアリング軸の径寸
    法をほぼ一定とし、上記ステアリング軸の上端部の外周
    面と上記締結孔の内周面との間に筒状スペーサを介設
    し、このスペーサを上記ボルトにねじ付ける一方、上記
    スペーサの下端に鍔部を形成してこの鍔部を上記アッパ
    ブラケットの下面と、上記上軸受のインナレースの上面
    との間に介設し、上記ステアリング軸の軸方向で上記ナ
    ットと鍔部とにより上記アッパブラケットを挟させ、2)上記ナットとスペーサとをねじ付けた上記ボルトの
    各ねじ部を、形状と寸法につき互いに同じにすると共
    に、互いに連続的に成形し、 3)上記ステアリング軸の軸方向で、上記ナットに上記
    スペーサの上端を接近させ、 4) 上記ステアリング軸の軸方向で互いに対面する上記
    アッパブラケットとナットの2つの締結面のうち、上記
    アッパブラケットの締結面よりも少し下方に上記スペー
    サの上面を位置させ、上記ナットの自由状態で、上記両
    締結面が同上ステアリング軸の径方向外方に進むに従い
    互いに漸次接近するよう、上記ナットの締結面を偏平な
    円錐台状の凹面に形成した鞍乗型車両のフロントフォー
    ク締結構造。
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