JP3204983B2 - 芳香族カーボネートの製造方法 - Google Patents

芳香族カーボネートの製造方法

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JP3204983B2
JP3204983B2 JP51260597A JP51260597A JP3204983B2 JP 3204983 B2 JP3204983 B2 JP 3204983B2 JP 51260597 A JP51260597 A JP 51260597A JP 51260597 A JP51260597 A JP 51260597A JP 3204983 B2 JP3204983 B2 JP 3204983B2
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aromatic
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carbonate
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conduit
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English (en)
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強介 小宮
正弘 東條
伸典 福岡
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Asahi Kasei Corp
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    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C69/00Esters of carboxylic acids; Esters of carbonic or haloformic acids
    • C07C69/96Esters of carbonic or haloformic acids
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C68/00Preparation of esters of carbonic or haloformic acids
    • C07C68/06Preparation of esters of carbonic or haloformic acids from organic carbonates

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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、芳香族カーボネートの製造方法に関する。
さらに詳しくは、ジアルキルカーボネート、アルキルア
リールカーボネート及びそれらの混合物よりなる群から
選ばれる出発物質と、芳香族モノヒドロキシ化合物、ア
ルキルアリールカーボネート及びそれらの混合物よりな
る群から選ばれる反応物質とを金属含有触媒の存在下に
エステル交換反応に付すことによって芳香族カーボネー
トを製造する方法において、出発物質、反応物質及び/
又はエステル交換反応の副生成物に起因する特定の芳香
族多価ヒドロキシ化合物及びその残基からなる群より選
ばれる少なくとも1種の芳香族基含有物質の、触媒の金
属に対する重量比(WR)を、エステル交換反応系内の触
媒含有液相混合物について測定して2.0以下に維持しな
がら上記エステル交換反応を行うことを特徴とする方法
に関する。本発明の方法によれば、反応器や配管におけ
る触媒の析出や付着など、好ましくない現象の発生を防
ぐことができ、それによって芳香族カーボネートを長期
間安定に製造することができる。
従来技術 芳香族カーボネートは、近年エンジニアリングプラス
チックとしてその有用性が高まりつつある芳香族ポリカ
ーボネートを、有毒なホスゲンを用いないで製造するた
めの原料等として有用である。芳香族カーボネートの製
法については、ジアルキルカーボネート、アルキルアリ
ールカーボネートまたはそれらの混合物を出発物質と
し、芳香族モノヒドロキシ化合物、アルキルアリールカ
ーボネートまたはそれらの混合物を反応物質とし、出発
物質と反応物質のエステル交換反応を行わせて対応する
芳香族カーボネートまたは芳香族カーボネート混合物を
製造する方法が知られている。
しかしながら、これらのエステル交換反応は全て平衡
反応であって、しかもその平衡が原系に偏っていること
に加えて、反応速度が遅いことから、この方法によって
芳香族カーボネート類を工業的に製造するのは多大な困
難を伴っていた。
これを改良するためにいくつかの提案がなされている
が、その大部分は、反応速度を高めるための触媒開発に
関するものであり、数多くの金属含有触媒が知られてい
る。ジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物
を反応させてアルキルアリールカーボネート、ジアリー
ルカーボネートまたはそれらの混合物を製造する方法で
は、このような触媒として、例えば、遷移金属ハライド
等のルイス酸又はルイス酸を生成させる化合物類〔日本
国特開昭51−105032号公報、日本国特開昭56−123948号
公報、日本国特開昭56−123949号公報(西独特許公開公
報第2528412号、英国特許第1499530号公報、米国特許第
4182726号公報に対応)〕、有機スズアルコキシドや有
機スズオキシド類等のスズ化合物〔日本国特開昭54−48
733号公報(西独特許公開公報第2736062号に対応)、日
本国特開昭54−63023号公報、日本国特開昭60−169444
号公報(米国特許第4554110号公報に対応)、日本国特
開昭60−169445号公報(米国特許第4552704号公報に対
応)、日本国特開昭62−277345号公報、日本国特開平1
−265063号公報〕、アルカリ金属又はアルカリ土類金属
の塩類及びアルコキシド類(日本国特開昭56−25138号
公報)、鉛化合物類(日本国特開昭57−176932号公
報)、銅、鉄、ジルコニウム等の金属の錯体類(日本国
特開昭57−183745号公報)、チタン酸エステル類〔日本
国特開昭58−185536号公報(米国特許第4410464号公報
に対応)〕、ルイス酸とプロトン酸の混合物〔日本国特
開昭60−173016号公報(米国特許第4609501号公報に対
応)〕、Sc、Mo、Mn、Bi、Te等の化合物〔日本国特開平
1−265064号公報(欧州特許公開第338760号公報、米国
特許公報第5034557号公報に対応)〕、酢酸第2鉄(日
本国特開昭61−172852号公報)等が提案されている。
また、アルキルアリールカーボネートの同一種分子間
エステル交換反応によってジアリールカーボネートとジ
アルキルカーボネートに不均化させてジアリールカーボ
ネートを製造する方法では、このような触媒として、例
えば、ルイス酸およびルイス酸を発生しうる遷移金属化
合物〔日本国特開昭51−75044号公報(西独特許公開第2
552907号公報、米国特許第4045464号公報に対応)〕、
ポリマー性スズ化合物〔日本国特開昭60−169444号公報
(米国特極第4554110号公報、西独特許公開第3445552号
公報に対応)〕、一般式R−X(=O)OH(式中XはSn
及びTiから選択され、Rは1価炭化水素基から選択され
る。)で表される化合物〔日本国特開昭60−169445号公
報(米国特許第4552704号公報に対応)〕、ルイス酸と
プロトン酸の混合物〔日本国特開昭60−173016号公報
(米国特許第4609501号公報に対応)〕、鉛触媒(日本
国特開平1−93560号公報)、チタンやジルコニウム化
合物〔日本国特開平1−265062号公報(米国特許第5166
393号公報に対応)〕、スズ化合物〔日本国特開平1−2
65063号公報(欧州特許公開第338760号公報、米国特許
公報第5034557号公報に対応)〕、Sc、Mo、Mn、Bi、Te
等の化合物〔日本国特開平1−265064号公報(欧州特許
公開第338760号公報、米国特許第5034557号公報に対
応)〕等が提案されている。
一方、反応方式を工夫することによって平衡をできる
だけ生成系側にずらし、芳香族カーボネート類の収率を
向上させる試みもなされている。例えば、ジメチルカー
ボネートとフェノールの反応において、副生してくるメ
タノールを共沸形成剤とともに共沸によって留去する方
法〔日本国特開昭54−48732号公報(西独特許公開第273
6063号公報、米国特許第4252737号公報に対応)、日本
国特開昭61−291545号公報〕、副生してくるメタノール
をモレキュラーシーブで吸着させて除去する方法〔日本
国特開昭58−185536号公報(米国特許第4410464号公報
に対応)〕が提案されている。
また、反応器の上部に蒸留塔を設けた装置によって、
反応で副生してくるアルコール類を反応混合物から留去
する方法も知られている〔この方法については、例え
ば、日本国特開昭56−123948号公報(米国特許第418272
6号公報に対応)、日本国特開昭56−25138号公報、日本
国特開昭60−169444号公報(米国特許第4554110号公報
に対応)、日本国特開昭60−169445号公報(米国特許第
4552704号公報に対応)、日本国特開昭60−173016号公
報(米国特許第4609501号公報に対応)、日本国特開昭6
1−172852号公報、日本国特開昭61−291545号公報、日
本国特開昭62−277345号公報を参照できる〕。
さらに好ましい方法として、本発明者らは、先に、ジ
アルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物を連続
的に多段蒸留塔に供給し、該塔内で連続的にエステル交
換反応させ、副生するアルコールを含む低沸成分を蒸留
によって塔の上部から連続的に抜き出すと共に、生成し
たアルキルアリールカーボネートを含む成分を塔下部よ
り抜き出す方法〔(日本国特開平3−291257号公報)
(米国特許第5,210,268号公報及び欧州特許公開第04612
74B1号公報に対応)〕、及びアルキルアリールカーボネ
ートを連続的に多段蒸留塔に供給し、該塔内で連続的に
エステル交換反応させ、副生するジアルキルカーボネー
トを含む低沸成分を蒸留によって塔の上部から連続的に
抜き出すと共に、生成したジアリールカーボネートを含
む成分を塔下部より抜き出す方法〔(日本国特開平4−
9358号公報)(米国特許第5,210,268号公報及び欧州特
許公開第0461274B1号公報に対応)〕等を提案した。こ
れらの方法は、芳香族カーボネート類を効率よく、かつ
連続的に製造する方法を初めて開示したものであり、そ
の後本発明者らの提案をベースとする同様な連続的製造
方法として、カラム型反応器内で接触エステル交換させ
る方法〔日本国特開平6−41022号公報(西独特許公開
第4218061号公報、欧州特許公開第572870号公報、米国
特許第5362901号公報に対応)、日本国特開平6−15742
4号公報(西独特許公開第4226755号公報、欧州特許公開
第582931号公報、米国特許第5334742号公報に対応)、
日本国特開平6−184058号公報(西独特許公開第422675
6号公報、欧州特許公開第582930号公報、米国特許第534
4954号公報に対応)〕や、複数の反応槽を直列につなぐ
方法〔日本国特開平6−234707号公報(西独特許公開第
4301899号公報、欧州特許公開第608710号公報、米国特
許第5463102号公報に対応)、日本国特開平6−263694
号公報〕、気泡塔反応器を用いる方法〔日本国特開平6
−298700号公報(西独特許公開第4316428号公報、欧州
特許公開第614877号公報、米国特許第5523451号公報に
対応)〕、縦長反応槽を用いる方法(日本国特開平6−
345697号公報)等が出願されている。
また、芳香族カーボネート類を工業的に製造する場合
において、長期間安定に運転する方法についても提案さ
れている。日本国特開平6−157410号公報(欧州特許公
開第591923号公報、米国特許第5380908号公報に対応)
では、ジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合
物から芳香族カーボネート類を製造する際、蒸留塔を備
えた反応器に原料と触媒を連続的に供給し、反応器内の
脂肪族アルコール類の濃度を2重量%以下にするように
反応器に繋がった蒸留塔から脂肪族アルコールを連続的
に抜き出す方法が開示され、この方法によって安定した
連続運転ができる事が記載されている。該公報に記載さ
れている方法の目的は、蒸留塔内における触媒析出の問
題を生じさせないことにある。この公報に開示される方
法において蒸留塔内で触媒が析出しないのは、単に、触
媒を蒸留塔に入れないのが理由である。即ち、この公報
には、「反応器に触媒を供給するため蒸留塔の閉塞は観
察されなかった。」という記載があり、また、触媒を蒸
留塔に供給する場合には蒸留塔王の一部が閉塞すると記
載されている。蒸留塔に触媒を供給しない以上、蒸留塔
内での触媒の析出も起こらないのは当然のことである
が、該公報の方法では蒸留塔に触媒を供給して効率的に
反応を行う方法、即ち反応蒸留を行うことは不可能であ
る。また、反応器及び反応器周辺の配管やバルブ、触媒
分離手段等、エステル交換反応系内で触媒を含む液状物
が存在する箇所での触媒析出の問題についてはなんら解
決の指針を与えていない。なお、反応器内の脂肪族アル
コール濃度を2重量%以下にする理由について該公報で
は全く述べられていない。おそらく、平衡反応を生成系
側にずらすための反応上の理由によるものと推定される
が、脂肪族アルコール濃度と触媒析出の関係については
全く述べられていない。
また、日本国特開平6−116210号公報(欧州特許公開
第591923号公報、米国特許第5380908号公報に対応)に
は、アルキルアリールカーボネートからジアリールカー
ボネートを製造する際、蒸留塔を備えた反応器に原料と
触媒を連続的に供給し、反応器内のジアルキルカーボネ
ート類の濃度を2重量%以下にするように反応器に繋が
った蒸留塔からジアルキルカーボネート類を連続的に抜
き出す方法が開示され、この方法によって安定した連続
運転ができる事が記載されている。該公報も、蒸留塔内
における触媒析出の問題を生じさせないためのものであ
る。この公報に開示される方法において蒸留塔内で触媒
が析出しない理由は、単に、触媒を蒸留塔に入れないた
めである。即ち、この公報には、「反応器に触媒を供給
するため蒸留塔の閉塞は観察されなかった。」という記
載があり、また、触媒を蒸留塔に供給する場合には蒸留
塔の一部が閉塞すると記載されている。蒸留塔に触媒を
供給しない以上、蒸留塔内での触媒の析出も起こらない
のは当然のことであるが、該公報の方法では蒸留塔に触
媒を供給して効率的に反応を行う方法、即ち反応蒸留を
行うことは不可能である。また、反応器及び反応器周辺
の配管やバルブ、触媒分離手段等、エステル交換反応系
内で触媒を含む液状物が存在する箇所での触媒析出の問
題についてはなんら解決の指針を与えていない。
触媒を含む液状物から触媒が析出し、かつその触媒が
反応器や配管等への付着を起こす場合には、反応成績に
悪影響を生ずる。すなわち付着した触媒は例え反応器内
にあっても有効な触媒性能を示すことができない。また
触媒の析出及び付着は、反応器内の有効な触媒量の低下
を意味するために結果的に反応成績が低下する。
発明の概要 このような状況下にあって、本発明者らは、従来技術
の上記の問題を解決すべく、ジアルキルカーボネート、
アルキルアリールカーボネート及びそれらの混合物より
なる群から選ばれる出発物質と、芳香族モノヒドロキシ
化合物、アルキルアリールカーボネート及びそれらの混
合物よりなる群から選ばれる反応物質とを金属含有触媒
の存在下にエステル交換反応に付し、芳香族カーボネー
トを製造する方法について鋭意研究を行なった。その結
果、意外にも、出発物質、反応物質及びエステル交換反
応の副生成物よりなる群から選ばれる少なくとも1種に
起因する、エステル交換反応系内の芳香族多価ヒドロキ
シ化合物及びその残基から成る群より選ばれる少なくと
も1種の芳香族基含有物質の、触媒の金属に対する重量
比(WR)を、エステル交換反応系内の触媒含有液相混合
物について測定して2.0以下に維持しながら上記エステ
ル交換反応を行うことによって、前記の問題を容易に解
決できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完
成するに至った。
したがって本発明の主な目的は、ジアルキルカーボネ
ート、アルキルアリールカーボネート及びそれらの混合
物よりなる群から選ばれる出発物質と、芳香族モノヒド
ロキシ化合物、アルキルアリールカーボネート及びそれ
らの混合物よりなる群から選ばれる反応物質とを金属含
有触媒の存在下にエステル交換反応に付し、芳香族カー
ボネートを製造する際、触媒含有液相混合物からの、反
応器や配管等への触媒の析出及び付着等の好ましくない
現象を生じることなく、長期間安定に芳香族カーボネー
トを製造する方法を提供する事にある。
本発明の上記及び他の諸目的、諸特徴並びに諸利益
は、添付の図面を参照しながら述べる次の詳細な説明及
び請求の範囲の図面の記載から明らかになる。
図面の詳細な説明 図面において: 図1は、本発明を実施するためのプロセスの一例であ
る。
図2は、本発明を実施するためのプロセスの他の一例
である。
図3は、本発明を実施するためのプロセスの更に他の
一例である。
図4は、本発明を実施するためのプロセスの更に他の
一例である。
図1〜4において、同一及び類似の部材及び部品は、
同一及び類似の参照番号で示す。
符号の説明 1、101 連続多段蒸留塔 2、102 連続多段蒸留塔の塔頂部 6、106 連続多段蒸留塔の塔底 24 蒸留塔 100 反応釜 3、5、7、9、10、12、13、15、16、18、19、20、2
1、23、25、27、28、29、30、32、105、113、115、11
6、118、119、120、121、123、124、125、127、128、12
9、130、132、224 導管 4 予熱器 8、14、114 蒸発器 11、22、26、122、126 凝縮器 17、31、117、131 リボイラー 発明の詳細な説明 すなわち、本発明においては、一般式(1): で表されるジアルキルカーボネート、一般式(2): で表されるアルキルアリールカーボネート及びそれらの
混合物よりなる群から選ばれる出発物質と、一般式
(3): Ar1OH (3) で表される芳香族モノヒドロキシ化合物、一般式
(4): で表されるアルキルアリールカーボネート及びそれらの
混合物よりなる群から選ばれる反応物質〔但し、一般式
(1)〜(4)において、R1、R2及びR3の各々は独立に
炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10の脂環族基ま
たは炭素数6〜10のアラールキル基を表し、Ar1、Ar2
およびAr3の各々は独立に炭素数5〜30の芳香族基を表
す〕とを金属含有触媒の存在下にエステル交換反応に付
し、出発物質と反応物質とに対応する一般式(5)及び
一般式(6): よりなる群より選ばれる少なくとも1つの式によって表
わされるアルキルアリールカーボネート及びジアリール
カーボネートより選ばれる少なくとも1種の芳香族カー
ボネート(但し、R及びArは、それぞれ、出発物質及び
反応物質に対応してR1、R2、R3およびAr1、Ar2、Ar3
ら選ばれる)を製造する方法において、芳香族多価ヒド
ロキシ化合物及びその残基から成る群より選ばれる少な
くとも1種の芳香族基含有物質の、触媒の金属に対する
重量比(WR)を2.0以下に維持しながら上記エステル交
換反応を行い、該重量比(WR)はエステル交換反応系内
の触媒含有液相混合物について測定したものであり、該
芳香族基含有物質は、出発物質、反応物質及びエステル
交換反応の副生成物よりなる群から選ばれる少なくとも
1種に起因するものであって、 該芳香族多価ヒドロキシ化合物は下記の一般式
(7): Ar4OH) (7) 〔但し、式(7)において、Ar4はm価の芳香族基を表
わし、mは2以上の整数を表わし、各−OH基はAr4基の
芳香族環上のいずれの位置に結合していてもよい。) で表わされ、 該芳香族多価ヒドロキシ化合物の残基は下記の一般式
(8): OnAr4OH)m-n (8) 〔但し、式(8)において、Ar4とmは上記した通りで
あり、nは1〜mの整数であって、−OH基及び−O−基
は、各々、Ar4基の芳香族環上のいずれの位置に結合し
ていてもよい。) で表わされ、且つ、該触媒の金属、該ジアルキルカーボ
ネートまたは該アルキルアリールカーボネートに由来す
るアルコキシカルボニル基、該アルキルアリールカーボ
ネートまたは該ジアリールカーボネートに由来するアリ
ーロキシカルボニル基、及び該ジアルキルカーボネー
ト、該アルキルアリールカーボネートまたは該ジアリー
ルカーボネートに由来するカルボニル基よりなる群から
選ばれる少なくとも1種に化学的に結合した状態で存在
していることを特徴とする方法が提供される。
次に、本発明の理解を容易にするために、まず本発明
の基本的特徴及び諸態様を列挙する。
1.一般式(1): で表されるジアルキルカーボネート、一般式(2): で表されるアルキルアリールカーボネート及びそれらの
混合物よりなる群から選ばれる出発物質と、一般式
(3): Ar1OH (3) で表される芳香族モノヒドロキシ化合物、一般式
(4): で表されるアルキルアリールカーボネート及びそれらの
混合物よりなる群から選ばれる反応物質〔但し、一般式
(1)〜(4)において、R1、R2及びR3の各々は独立に
炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10の脂環族基ま
たは炭素数6〜10のアラールキル基を表し、Ar1、Ar2
およびAr3の各々は独立に炭素数5〜30の芳香族基を表
す〕とを金属含有触媒の存在下にエステル交換反応に付
し、出発物質と反応物質とに対応する一般式(5)及び
一般式(6): よりなる群より選ばれる少なくとも1つの式によって表
わされるアルキルアリールカーボネート及びジアリール
カーボネートより選ばれる少なくとも1種の芳香族カー
ボネート(但し、R及びArは、それぞれ、出発物質及び
反応物質に対応してR1、R2、R3およびAr1、Ar2、Ar3
ら選ばれる)を製造する方法において、芳香族多価ヒド
ロキシ化合物及びその残基から成る群より選ばれる少な
くとも1種の芳香族基含有物質の、触媒の金属に対する
重量比(WR)を2.0以下に維持しながら上記エステル交
換反応を行い、該重量比(WR)はエステル交換反応系内
の触媒含有液相混合物について測定したものであり、該
芳香族基含有物質は、出発物質、反応物質及びエステル
交換反応の副生成物よりなる群から選ばれる少なくとも
1種に起因するものであって、 該芳香族多価ヒドロキシ化合物は下記の一般式
(7): Ar4OH) (7) 〔但し、式(7)において、Ar4はm価の芳香族基を表
わし、mは2以上の整数を表わし、各−OH基はAr4基の
芳香族環上のいずれの位置に結合していてもよい。) で表わされ、 該芳香族多価ヒドロキシ化合物の残基は下記の一般式
(8): OnAr4OH)m-n (8) 〔但し、式(8)において、Ar4とmは上記した通りで
あり、nは1〜mの整数であって、−OH基及び−O−基
は、各々、Ar4基の芳香族環上のいずれの位置に結合し
ていてもよい。) で表わされ、且つ、該触媒の金属、該ジアルキルカーボ
ネートまたは該アルキルアリールカーボネートに由来す
るアルコキシカルボニル基、該アルキルアリールカーボ
ネートまたは該ジアリールカーボネートに由来するアリ
ーロキシカルボニル基、及び該ジアルキルカーボネー
ト、該アルキルアリールカーボネートまたは該ジアリー
ルカーボネートに由来するカルボニル基よりなる群から
選ばれる少なくとも1種に化学的に結合した状態で存在
していることを特徴とする方法。
2.該芳香族多価ヒドロキシ化合物が、下記の(A)、
(B)及び(C)より選ばれる少なくとも1種であるこ
とを特徴とする上記項目1に記載の方法。
(A)反応物質としての芳香族モノヒドロキシ化合物の
酸化生成物、 (B)該エステル交換反応で得られるジアリールカーボ
ネートのフリース転移による生成物及びその酸化生成
物、 より選ばれる少なくとも1種、及び (C)反応物質としてのフェノールに由来し、下記の一
般式(9): (式中、Y1は、単結合、炭素数1〜30を有する2価のア
ルカン基、又は−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−S
O−及び−COO−から選ばれる2価の基を表す。) で表される芳香族ジヒドロキシ化合物及びその酸化生成
物、よりなる群より選ばれる少なくとも1種。
3.該重量比(WR)の2.0以下への維持を、該芳香族多価
ヒドロキシ化合物の含量をコントロールした芳香族モノ
ヒドロキシ化合物を反応物質として用い、且つ、該触媒
含有液相混合物の一部をエステル交換反応系から抜き出
すことによって行うことを特徴とする上記項目1または
2に記載の方法。
4.該芳香族モノヒドロキシ化合物中の該芳香族多価ヒド
ロキシ化合物の濃度が400重量ppm以下であることを特徴
とする上記項目3に記載の方法。
5.該少なくとも1種の芳香族カーボネートを連続的に製
造し、該少なくとも1種の芳香族カーボネートを含有し
且つ該触媒を含有するエステル交換反応混合物をエステ
ル交換反応の反応器から連続的に抜き出すことを特徴と
する上記項目1に記載の方法。
6.反応物質としての該芳香族モノヒドロキシ化合物が、
新たな供給原料としての芳香族モノヒドロキシ化合物
と、反応器からリサイクルされる未反応の芳香族モノヒ
ドロキシ化合物との混合物からなり、新たな供給原料と
しての芳香族モノヒドロキシ化合物中の該芳香族多価ヒ
ドロキシ化合物の濃度が400重量ppm以下であることを特
徴とする上記項目5に記載の方法。
7.反応器から抜き出される触媒を含む該反応混合物の一
部を蒸発させ、得られる触媒濃度を高めた濃縮液の少な
くとも一部をエステル交換反応系外へ抜き出すことによ
り、該重量比(WR)を2.0以下に維持することを特徴と
する上記項目5または6に記載の方法。
8.該出発物質と該反応物質とを連続多段蒸留塔内に連続
的に供給し、該蒸留塔内において金属含有触媒の存在下
に液相及び気−液相よりなる群より選ばれる少なくとも
1種の相で両物質間のエステル交換反応を行わせると同
時に、該少なくとも1種の芳香族カーボネートを含む高
沸点反応混合物を該蒸留塔の下部から液状で抜き出し、
一方生成する副生物を含む低沸点反応混合物を蒸留によ
って該蒸留塔の上部からガス状で連続的に抜き出すこと
を包含することを特徴とする上記項目5〜7のいずれか
に記載の方法。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で出発物質として用いられているジアルキルカ
ーボネートとは、一般式(1)で表されるものである。
ここで、R1は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜
10の脂環族基、炭素数6〜10のアラールキル基を表す。
このようなR1としては、例えば、メチル、エチル、プロ
ピル(各異性体)、アリル、ブチル(各異性体)、ブテ
ニル(各異性体)、ペンチル(各異性体)、ヘキシル
(各異性体)、ヘプチル(各異性体)、オクチル(各異
性体)、ノニル(各異性体)、デシル(各異性体)、シ
クロヘキシルメチル等のアルキル基;シクロプロピル、
シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シク
ロヘプチル等の脂環族基;ベンジル、フェネチル(各異
性体)、フェニルプロピル(各異性体)、フェニルブチ
ル(各異性体)、メチルベンジル(各異性体)等のアラ
ールキル基が挙げられる。なお、これらのアルキル基、
脂環族基、アラールキル基において、炭素数1〜0を超
えない範囲で、他の置換基、例えば低級アルキル基、低
級アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子等で置換され
ていてもよいし、不飽和結合を有していてもよい。
このようなR1を有するジアルキルカーボネートとして
は、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネ
ート、ジプロピルカーボネート(各異性体)、ジアリル
カーボネート、ジブテニルカーボネート(各異性体)、
ジブチルカーボネート(各異性体)、ジペンチルカーボ
ネート(各異性体)、ジヘキシルカーボネート(各異性
体)、ジヘプチルカーボネート(各異性体)、ジオクチ
ルカーボネート(各異性体)、ジノニルカーボネート
(各異性体)、ジデシルカーボネート(各異性体)、ジ
シクロペンチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボ
ネート、ジシクロヘプチルカーボネート、ジベンジルカ
ーボネート、ジフェネチルカーボネート(各異性体)、
ジ(フェニルプロピル)カーボネート(各異性体)、ジ
(フェニルブチル)カーボネート(各異性体)ジ(クロ
ロベンジル)カーボネート(各異性体)、ジ(メトキシ
ベンジル)カーボネート(各異性体)、ジ(メトキシメ
チル)カーボネート、ジ(メトキシエチル)カーボネー
ト(各異性体)、ジ(クロロエチル)カーボネート(各
異性体)、ジ(シアノエチル)カーボネート(各異性
体)等があげられる。また、これらの混合物も有用であ
る。
これらのジアルキルカーボネートの中で、本発明にお
いて好ましく用いられるのは、R1が炭素数4以下のアル
キル基からなるジアルキルカーボネートであり、特に好
ましいのはジメチルカーボネートである。
本発明で反応物質として用いられる芳香族モノヒドロ
キシ化合物とは、一般式(3) Ar1OH (3) (Ar1は炭素数5〜30の芳香族基を表す。)で表される
ものであって、芳香族基に直接ヒドロキシル基が結合し
ているものであれば、どの様なものであってもよい。こ
のようなAr1としては例えば、フェニル、トリル(各異
性体)、キシリル(各異性体)、トリメチルフェニル
(各異性体)、テトラメチルフェニル(各異性体)、エ
チルフェニル(各異性体)、プロピルフェニル(各異性
体)、ブチルフェニル(各異性体)、ジエチルフェニル
(各異性体)、メチルエチルフェニル(各異性体)、ペ
ンチルフェニル(各異性体)、ヘキシルフェニル(各異
性体)、シクロヘキシルフェニル(各異性体)等の、フ
ェニル基及び各種アルキルフェニル基類;メトキシフェ
ニル(各異性体)、エトキシフェニル(各異性体)、ブ
トキシフェニル(各異性体)等の各種アルコキシフェニ
ル基類;フルオロフェニル(各異性体)、クロロフェニ
ル(各異性体)、ブロモフェニル(各異性体)、クロロ
メチルフェニル(各異性体)、ジクロロフェニル(各異
性体)等の各種ハロゲン化フェニル基類;下記一般式
(10) 〔ただし、Aは単なる結合、又は−O−、−S−、−CO
−、−SO2−等の2価の基、又は 等のアルキレン基又は置換アルキレン基 (ここでR4、R5、R6、R7はそれぞれ水素原子、低級アル
キル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基
であって、場合により、ハロゲン原子、アルコキシ基で
置換されていてもよい。) 又は などのシクロアルキレン基(ここでkは3〜11の整数で
あって、水素原子は低級アルキル基、アリール基、ハロ
ゲン原子等で置換されていてもよい)を表わし、又芳香
環は低級アルキル基、低級アルコキシ基、エステル基、
ヒドロキシル基、ニトロ基、ハロゲン、シアノ基等の置
換基によって置換されていてもよい。〕 で示される各種置換フェニル基類;ナフチル(各異性
体)、メチルナフチル(各異性体)、ジメチルナフチル
(各異性体)、クロロナフチル(各異性体)、メトキシ
ナフチル(各異性体)、シアノナフチル(各異性体)等
のナフチル基及び各種置換ナフチル基類;ピリジル(各
異性体)、クマリル(各異性体)、キノリル(各異性
体)、メチルピリジル(各異性体)、クロルピリジン
(各異性体)、メチルクマリル(各異性体)、メチルキ
ノリル(各異性体)等の置換及び無置換の各種ヘテロ芳
香族基類等が挙げられる。
このようなAr1を有する芳香族モノヒドロキシ化合物
としては、例えば、フェノール、クレゾール(各異性
体)、キシレノール(各異性体)、トリメチルフェノー
ル(各異性体)、テトラメチルフェノール(各異性
体)、エチルフェノール(各異性体)、プロピルフェノ
ール(各異性体)、ブチルフェノール(各異性体)、ジ
エチルフェノール(各異性体)、メチルエチルフェノー
ル(各異性体)、メチルプロピルフェノール(各異性
体)、ジプロピルフェノール(各異性体)、メチルブチ
ルフェノール(各異性体)、ペンチルフェノール(各異
性体)、ヘキシルフェノール(各異性体)、シクロヘキ
シルフェノール(各異性体)等の各種アルキルフェノー
ル類;メトキシフェノール(各異性体)、エトキシフェ
ノール(各異性体)等の各種アルコキシフェノール類;
一般式(11) (Aは前記の通りの基である。)で表される各種置換フ
ェノール類;ナフトール(各異性体)及び各種置換ナフ
トール類;ヒドロキシピリジン(各異性体)、ヒドロキ
シクマリン(各異性体)、ヒドロキシキノリン(各異性
体)等のヘテロ芳香族モノヒドロキシ化合物類等が用い
られる。また、これらの混合物も有用である。
これらの芳香族モノヒドロキシ化合物の中で、本発明
において好ましく用いられるのは、Ar1が炭素数6〜10
の芳香族基からなる芳香族モノヒドロキシ化合物であ
り、特に好ましいのはフェノールである。
また、本発明で出発物質として用いられるアルキルア
リールカーボネートとは、一般式(2) で表されるものである。ここでR2はR1と同じでも異なっ
ていてもよく、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜
10の脂環族基、炭素数6〜10のアラールキル基を表し、
Ar2はAr1と同じでも異なっていてもよく、炭素数5〜30
の芳香族基を表す。このようなR2としては、前記のR1
例示したものと同様な基が挙げられ、またAr2として
は、前記のAr1に例示したものと同様なものが挙げられ
る。
このようなR2およびAr2を有するアルキルアリールカ
ーボネートとしては、例えば、メチルフェニルカーボネ
ート、エチルフェニルカーボネート、プロピルフェニル
カーボエート(各異性体)、アリルフェニルカーボネー
ト、ブチルフェニルカーボネート(各異性体)、ペンチ
ルフェニルカーボネート(各異性体)、ヘキシルフェニ
ルカーボネート(各異性体)、ヘプチルフェニルカーボ
ネート(各異性体)、オクチルトリルカーボネート(各
異性体)、ノニル(エチルフェニル)カーボネート(各
異性体)、デシル(ブチルフェニル)カーボネート(各
異性体)、メチルトリルカーボネート(各異性体)、エ
チルトリルカーボネート(各異性体)、プロピルトリル
カーボネート(各異性体)、ブチルトリルカーボネート
(各異性体)、アリルトリルカーボネート(各異性
体)、メチルキシリルカーボネート(各異性体)、メチ
ル(トリメチルフェニル)カーボネート(各異性体)、
メチル(クロロフェニル)カーボネート(各異性体)、
メチル(ニトロフェニル)カーボネート(各異性体)、
メチル(メトキシフェニル)カーボネート(各異性
体)、メチルクミルカーボネート(各異性体)、メチル
(ナフチル)カーボネート(各異性体)、メチル(ピリ
ジル)カーボネート(各異性体)、エチルクミルカーボ
ネート(各異性体)、メチル(ベンゾイルフェニル)カ
ーボネート(各異性体)、エチルキシリルカーボネート
(各異性体)、ベンジルキシリルカーボネート等が挙げ
られる。また、これらの混合物も有用である。これらの
アルキルアリールカーボネートの中で、R2が炭素数1〜
4のアルキル基であり、Ar2が炭素数6〜10の芳香族基
であるものが好ましく用いられ、さらに特に好ましいの
はメチルフェニルカーボネートである。
また、本発明で反応物質として用いられるアルキルア
リールカーボネートとは、一般式(4) で表されるものである。ここでR3はR1、R2と同じでも異
なっていてもよく、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数
3〜10の脂環族基、炭素数6〜10のアラールキル基を表
し、Ar3はAr1、Ar2と同じでも異なっていてもよく、炭
素数5〜30の芳香族基を表す。このようなR3としては、
前記のR1に例示したものと同様な基が挙げられ、またAr
3としては、前記のAr1に例示したものと同様なものが挙
げられる。
このようなR3およびAr3を有するアルキルアリールカ
ーボネートとしては、前記の一般式(2)のアルキルア
リールカーボネートの場合に例示したものと同様なもの
が挙げられる。
これらのアルキルアリールカーボネートの中で、R3
炭素数1〜4のアルキル基であり、Ar3が炭素数6〜10
の芳香族基であるものが好ましく用いられ、さらに特に
好ましいのはメチルフェニルカーボネートである。
本発明の方法に包含される反応は次のような反応式
(I)、(II)、(III)、(IV)で代表される。
(R1、R2、R3およびAr1、Ar2、Ar3は上記に定義した通
りである。式(IV)において各Arは独立にAr2またはAr3
を示し、各Rは独立にR2またはR3を表す。式(IV)にお
いてR2=R3、Ar2=Ar3の場合、反応は同一種分子間エス
テル交換反応であって、通常不均化反応とも称され
る。) 本発明の方法により、式(I)、(II)、(III)、
及び(IV)の各反応を行う場合、出発物質のジアルキル
カーボネートおよびアルキルアリールカーボネートは、
それぞれ1種でもよいし、2種以上混合して用いてもよ
い。また反応物質の芳香族モノヒドロキシ化合物および
アルキルアリールカーボネートも、それぞれ1種でもよ
いし、2種以上混合して用いてもよい。
なお、式(IV)で表されるエステル交換反応において
R2=R3=R、Ar2=Ar3=Arである場合は、1種類のアル
キルアリールカーボネートの同一種分子間エステル交換
反応によりジアリールカーボネートとジアルキルカーボ
ネートが得られることになり、好ましい方法である。
さらに、式(I)および式(IV)において、R1=R2
R3=R、Ar1=Ar2=Ar3=Arである場合は、式(I)で
表される反応と式(IV)で表される反応とを組み合わせ
ることによって、下記式(V)及び式(VI)で表される
ようにジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ
化合物から、アルキルアリールカーボネートを経由して
ジアリールカーボネートが得られることになり、本発明
の特に好ましい実施態様といえる。
式(VI)で表される反応で副生してくるジアルキルカ
ーボネートを式(V)で表される反応の出発物質として
再循環すれば、結果的には1モルのジアルキルカーボネ
ートと2モルの芳香族モノヒドロキシ化合物から、1モ
ルのジアリールカーボネートと2モルの脂肪族アルコー
ルが得られることになる。
前記式(V)と式(VI)において、R=CH3、Ar=C6H
5の場合、最も簡単なジアルキルカーボネートであるジ
メチルカーボネートとフェノールから、ポリカーボネー
トや、イソシアネートの原料として重要なジフェニルカ
ーボネートが得られるため、特に重要である。
本発明で使用される金属含有触媒とは、上記式(I)
から式(IV)の反応を促進する金属含有触媒であり、例
えば下記の化合物から選択される。
(鉛化合物) PbO、PbO2、Pb3O4等の酸化鉛類;PbS、Pb2S等の硫化鉛
類;Pb(OH)、Pb2O2(OH)等の水酸化鉛類;Na2Pb
O2、K2PbO2、NaHPbO2、KHPbO2等の亜ナマリ酸塩類;Na2P
bO3、Na2H2PbO4、K2PbO3、K2[Pb(OH)]、K4PbO4
Ca2PbO4、CaPbO3等の鉛酸塩類;PbCO3、2PbCO3・Pb(O
H)等の鉛の炭酸塩及びその塩基性塩類;Pb(OCOCH3
、Pb(OCOCH3、Pb(OCOCH3・PbO・3H2O等の
有機酸の鉛塩及びその炭酸塩や塩基性塩類;Bu4Pb、Ph4P
b、Bu3PbCl、Ph3PbBr、Ph3Pb(又はPh6Pb2)、Bu3PbO
H、Ph3PbO等の有機鉛化合物類(Buはブチル基、Phはフ
ェニル基を示す);Pb(OCH3、(CH3O)Pb(OPh)、
Pb(OPh)等のアルコキシ鉛類、アリールオキシ鉛類;
Pb−Na、Pb−Ca、Pb−Ba、Pb−Sn、Pb−Sb等の鉛の合金
類;ホウエン鉱、センアエン鉱等の鉛鉱物類、及びこれ
らの鉛化合物の水和物; (銅族金属の化合物) CuCl、CuCl2、CuBr、CuBr2、CuI,CuI2,Cu(OAc)
Cu(acac)、オレイン酸銅、Bu2Cu(CH3O)2Cu、AgNO
3、AgBr、ピクリン酸銀、AgC6H6ClO4,Ag(ブルバレン)
ンNO3、[AuC≡C−C(CH3]n、[Cu(C7H8)C
l]等の銅族金属の塩及び錯体(OAcはアセチル基を、
acacはアセチルアセトンキレート配位子を表す); (アルカリ金属の錯体) Li(acac)、LiN(C4H9等のアルカリ金属の錯
体; (亜鉛の錯体) Zn(acac)等の亜鉛の錯体; (カドミウムの錯体) Cd(acac)等のカドミウムの錯体; (鉄族金属の化合物) Fe(C10H8)(CO)、Fe(CO)、Fe(C3H6)(C
O)、Co(メシチレン)(PEt2Ph)、CoC5F5(C
O)、Ni−π−C5H5NO、フェロセン等の鉄族金属の錯
体; (ジルコニウム錯体) Zr(acac)4,ジルコノセン等のジルコニウムの錯体; (ルイス酸またはルイス酸形成化合物) AlX3、TiX3、TiX4、VOX3、VX5、ZnX2、FeX3、SnX
4(ここでXはハロゲン、アセトキシ基、アルコキシ
基、アリールオキシ基である)等のルイス酸及びルイス
酸を発生する遷移金属化合物; (有機スズ化合物) (CH33SnOCOCH3、(C2H53SnOCOC6H5、Bu3SnOCOCH
3、Ph3SnOCOCH3、Bu2Sn(OCOCH3、Bu2Sn(OCOC11H
23、Ph3SnOCH3、(C2H53SnOPh、Bu2Sn(OC
H3、Bu2Sn(OC2H5、Bu2Sn(OPh)、Ph2Sn(O
CH3、(C2H53SnOH、Ph3SnOH、Bu2SnO、(C8H17
2SnO、Bu2SnCl2、BuSnO(OH)等の有機スズ化合物; 等が用いられる。
もちろん、これらの触媒成分が反応系中に存在する有
機化合物、例えば、脂肪族アルコール類、芳香族モノヒ
ドロキシ化合物類、アルキルアリールカーボネート類、
ジアリールカーボネート類、ジアルキルカーボネート類
等と反応したものであっても良いし、反応に先立って原
料や生成物で加熱処理されたものであってもよい。
これらの金属含有触媒は、反応系の液相への溶解度の
高いものであることが好ましい。好ましい金属含有触媒
としては、PbO、Pb(OH)及びPb(OPh)等のPb化合
物;TiCl4及びTi(OPh)等のTi化合物;SnCl4、Sn(OP
h)、Bu2SnO及びBu2Sn(OPh)等のSn化合物;FeCl3,
Fe(OH)及びFe(OPh)等のFe化合物、並びにこれ
らを出発物質や反応物質、又は生成物で処理したもの等
が挙げられる。
またこれらの金属含有触媒は、反応系の液相に完全に
は溶解しないものであってもよい。ただしその場合、反
応系の液相に溶解していない触媒がスラリー状等、反応
系内で触媒として有効に働く状態であることが工業的に
重要である。
上記のように、本発明において、出発物質、反応物質
及びエステル交換反応の副生成物よりなる群から選ばれ
る少なくとも1種に起因する芳香族多価ヒドロキシ化合
物及びその残基は、それぞれ下記式(7)と式(8)に
よって表わされる。
Ar4OH) (7) 〔但し、式(7)において、Ar4はm価の芳香族基を表
わし、mは2以上の整数を表わし、各−OH基はAr4基の
芳香族環上のいずれの位置に結合していてもよい。) OnAr4OH)m-n (8) 〔但し、式(8)において、Ar4とmは上記した通りで
あり、nは1〜mの整数であって、−OH基及び−O−基
は、各々、Ar4基の芳香族環上のいずれの位置に結合し
ていてもよい。) なお、式(8)の芳香族多価ヒドロキシ化合物の残基
は、−O−基において、該触媒の金属、該ジアルキルカ
ーボネートまたは該アルキルアリールカーボネートに由
来するアルコキシカルボニル基、該アルキルアリールカ
ーボネートまたは該ジアリールカーボネートに由来する
アリーロキシカルボニル基、及び該ジアルキルカーボネ
ート、該アルキルアリールカーボネートまたは該ジアリ
ールカーボネートに由来するカルボニル基よりなる群か
ら選ばれる少なくとも1種に化学的に結合した状態で存
在している。
式(7)と(8)のAr4の例としては、下記の式(1
2)、(13)、(14)、(15)、(16)で表わされる芳
香族基が挙げられる。
(式中、Y1は前記の通りである。) (式中、Y1は前記の通りである。各Y1は同じでも異なっ
ていてもよい。) (式中、Zは、炭素数1〜30を有する3価のアルカン
基、3価の芳香族基等の3価の基を表す。芳香環の1つ
以上の水素原子が、他の置換基、例えば、ハロゲン原
子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルコ
キシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ
基、エステル基、アミド基、ニトロ基等によって置換さ
れていてもかまわない。) このような、芳香族多価ヒドロキシ化合物の具体例と
しては、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、ト
リヒドロキシベンゼン(各異性体)、ビス−(ヒドロキ
シフェニル)−プロパン(各異性体)、ビス−(ヒドロ
キシフェニル)−メタン(各異性体)、ビス−(ヒドロ
キシフェニル)−エーテル(各異性体)、ビス−(ヒド
ロキシフェニル)−ケトン(各異性体)、ビス−(ヒド
ロキシフェニル)−スルホン(各異性体)、ビス−(ヒ
ドロキシフェニル)−スルフィド(各異性体)、ジヒド
ロキシジフェニル(各異性体)、ビス−(ジヒドロキシ
フェニル)メタン(各異性体)、2−(ヒドロキシフェ
ニル)−ヒドロキシプロピル−フェノール、ジヒドロキ
シ−(ヒドロキシフェニルジフェニル)(各異性体)、
トリ−(ヒドロキシフェニル)エタン(各異性体)、ト
リ−(ヒドロキシフェニル)−ベンゼン(各異性体)、
ジヒドロキシナフタレン(各異性体)、トリヒドロキシ
ナフタレン(各異性体)等が挙げられる。
これらの芳香族多価ヒドロキシ化合物及びその残基の
中でも、本発明の芳香族カーボネートを製造する際に製
造プロセス内に存在しやすいものは特に重要である。存
在しやすい芳香族多価ヒドロキシ化合物としては、下記
の(A)、(B)及び(C)より選ばれる少なくとも1
種を挙げることができる。
(A)反応物質としての芳香族モノヒドロキシ化合物の
酸化生成物、 (B)該エステル交換反応で得られるジアリールカーボ
ネートのフリース転移による生成物及びその酸化生成
物、 より選ばれる少なくとも1種、及び (C)反応物質としてのフェノールに由来し、下記の一
般式(9): (式中、Y1は、単結合、炭素数1〜30を有する2価のア
ルカン基、又は−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−S
O−及び−COO−から選ばれる2価の基を表す。) で表される芳香族ジヒドロキシ化合物及びその酸化生成
物、よりなる群より選ばれる少なくとも1種。
上記の、芳香族モノヒドロキシ化合物の酸化生成物
(A)の例としては、下記式(17)及び(18)で表わさ
れる化合物を挙げることができる。
ジアリールカーボネートのフリース転移による生成物
(B)の例としては、下記の式(19)、(20)及び(2
1)で表わされる化合物を挙げることができる。
上記式(19)で表わされる化合物の酸化生成物の例と
しては、下式(22)及び(23)で表わされる化合物を挙
げることができ、また、上記式(20)及び(21)で表わ
される化合物のそれぞれの酸化生成物の例としては、下
記式(24)及び(25)で表わされる化合物を挙げること
ができる。
上記の、式(9)によって表わされる芳香族ジヒドロ
キシ化合物(C)の例としては、下記式(26)で表わさ
れる化合物を挙げることができる。
上記の式(26)で表わされる化合物の酸化生成物の例
としては、下記式(27)及び(28)で表わされる化合物
を挙げることができる。
(式中、Y1は前記の通りである。) (A)のタイプの芳香族多価ヒドロキシ化合物が、製
造プロセス内に存在する原因としては、芳香族カーボネ
ートを製造する際、系内への微量の酸素の混入により芳
香族モノヒドロキシ化合物が酸化されて生成することに
よって存在する場合や、原料の芳香族モノヒドロキシ化
合物中に含まれる不純物として反応系に混入することに
よって存在する場合等が挙げられる。(A)の芳香族多
価ヒドロキシ化合物の代表例としては、ジヒドロキシベ
ンゼン(各異性体)、ジヒドロキシジフェニル(各異性
体)等が挙げられる。
(B)のタイプのジアリールカーボネートのフリース
転移による生成物は、ジアリールカーボネートを製造す
る際に副反応により生成しやすい。(B)の多価ヒドロ
キシ化合物の例としては、2,2′−ジヒドロキシベンゾ
フェノン、2,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4′
−ジヒドロキシベンゾフェノン等が挙げられる。
(C)のタイプの芳香族ジヒドロキシ化合物は、一般
的に芳香族ポリカーボネートのモノマーとして用いられ
る化合物である。この芳香族ジヒドロキシ化合物とジア
リールカーボネートとのエステル交換により芳香族ポリ
カーボネートを製造することができるが、エステル交換
反応の際には芳香族モノヒドロキシ化合物が副生する。
副生する芳香族モノヒドロキシ化合物を本発明の原料と
して使用する場合には、(C)のタイプの芳香族ジヒド
ロキシ化合物が混入しやすい。このような多価ヒドロキ
シ化合物の代表例としては、2,2−ビス−(4−ヒドロ
キシフェニル)−プロパン等が挙げられる。
また、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プ
ロパン中に通常混在する下記の様な芳香族多価ヒドロキ
シ化合物も、本発明の芳香族多価ヒドロキシ化合物に含
まれる。
本発明においては、エステル交換反応系内の触媒含有
液相混合物について測定して得られる、芳香族多価ヒド
ロキシ化合物及びその残基よりなる群から選ばれる少な
くとも1種の芳香族基含有物質の、触媒の金属に対する
重量比(WR)を2.0以下に維持しながらエステル交換反
応を実施することが必要である。上記の重量比(WR)
は、好ましくは1.0以下、更に好ましくは0.5以下であ
る。「エステル交換反応系」とは、反応器のみならず、
反応器周辺の配管及び機器、触媒回収系の機器及び配管
等を含む系を示す。本発明の「触媒含有液相混合物」と
は、反応器に供給する触媒を含む液や、反応器中の触媒
を含む反応液、反応器から排出される触媒を含む反応
液、及びその反応液の一部を蒸発させ、得られる触媒濃
度を高めた濃縮液等を意味し、触媒が全て溶解している
場合もあり、スラリー状の場合もある。スラリー状の場
合には、スラリー中の溶解していない部分も「触媒含有
液相混合物」に含まれる。該重量比(WR)が2.0を越え
る場合には、金属含有触媒が、反応器や反応器周辺の配
管等に析出して付着し、反応成績の低下等をもたらすの
で安定な運転ができなくなることが明らかになった。こ
の理由については明らかではないが、上記の重量比(W
R)が2.0を越えると、触媒の金属成分と多価ヒドロキシ
化合物との反応により架橋構造を有する成分が形成さ
れ、反応液に不溶化して析出し、さらにこの析出物の反
応器や配管等への付着力が強いためであると推定され
る。
本発明によって芳香族カーボネートを製造する場合、
反応物質として用いる芳香族モノヒドロキシ化合物は、
新たな供給原料としての芳香族モノヒドロキシ化合物
と、反応器からリサイクルされる未反応の芳香族モノヒ
ドロキシ化合物に大別される。新たな供給原料としての
芳香族モノヒドロキシ化合物と反応器リサイクルされる
芳香族モノヒドロキシ化合物の割合に特に制限はない
が、通常重量比で100:0〜0.0001:99.9999の範囲であ
る。エステル交換反応系内の触媒含有液相混合物中につ
いて測って、該少なくとも1種の芳香族器含有物質の触
媒の金属に対する重量比(WR)を2.0以下に保つために
は、新たな供給原料としての芳香族モノヒドロキシ化合
物中に含まれる該芳香族多価ヒドロキシ化合物の濃度を
400ppm以下とする事が好ましく、300ppm以下とすること
が更に好ましく、200ppm以下とすることが特に好まし
い。
また、触媒含有液相混合物中の該少なくとも1種の芳
香族基含有物質の量をコントロールして上記の重量比
(WR)を本発明で規定する特定の範囲に保つ方法として
は、エステル交換反応系内の触媒含有液相混合物の抜き
出し操作を行う方法も好ましい。特に、反応器から抜き
出される触媒を含む反応混合物の一部を蒸発させ、得ら
れる触媒濃度を高めた濃縮液を反応器にリサイクルする
場合、リサイクルする前に該濃縮液の少なくとも一部を
エステル交換反応系外へ抜き出すことにより、該芳香族
基含有物質の系内での蓄積をさけることができる。その
他、反応系内等への空気の混入を極力避けることによっ
て、芳香族モノヒドロキシ化合物の酸化生成物としての
芳香族多価ヒドロキシ化合物の生成を抑制することも好
ましい方法である。
出発物質と反応物質としては、芳香族多価ヒドロキシ
化合物の含有量ができるだけ少ないものを使用すること
が有効である。
また、エステル交換反応系内への該芳香族基含有物質
の混入及び発生の量が多い場合には、その量に応じて、
上記の濃縮液の系外への抜き出しを開始する時間を早め
たり、また抜き出す濃縮液の量を多くしたりして、系内
での蓄積を避ける事が好ましい。このような抜き出し操
作を適切に行うため、例えば、反応器出口に接続する配
管にサンプリングノズルを設け、反応器から抜き出され
る触媒を含む液相混合物を一定時間毎にサンプリングし
て該芳香族基含有物質の量を測定することによってその
量をモニターし、その量が本願で規定する特定の範囲を
越えないように抜き出し開始時間及び抜き出し量を設定
することが好ましい。
上記抜き出し操作の方法の例を図1に参照して説明す
る。図1は、連続多段蒸留塔を用いた芳香族カーボネー
ト製造プロセスの一例である。シーブトレーを装着した
連続多段蒸留塔1の塔頂2に、ジメチルカーボネート、
フェノール、及び触媒からなる混合物を導管3より予熱
器4及び導管5を経て液状で連続的に供給し、連続多段
蒸留塔1内を流下させることによって反応及び蒸留が行
われる。連続多段蒸留塔1の塔底6には、ジメチルカー
ボネートを導管7より蒸発器8及び導管9を経てガス状
で供給する。塔頂2より留出するガス(メタノールとジ
メチルカーボネートを含む)は導管10を経て、凝縮器11
で凝縮されて導管12より連続的に抜き出される。塔底6
から連続的に抜き出された反応混合物(製造されたメチ
ルフェニルカーボネートと触媒、及び芳香族多価ヒドロ
キシ化合物と、カーボネートに由来するカルボニル基や
触媒に結合したその残基が含まれている)を導管13を経
て蒸発缶14へ導入し、メチルフェニルカーボネートを蒸
発させて濃縮液を得る。蒸発缶14の濃縮液(触媒と芳香
族多価ヒドロキシ化合物及びその残基が含まれる)は導
管15を通って、一部は導管16、リボイラー17、導管18を
経て蒸発缶14に循環される。蒸発缶に循環されない濃縮
液を、導管15と導管19を経て再び連続多段蒸留塔1へ供
給する。蒸発缶14の蒸発物(メチルフェニルカーボネー
トを含む)を導管21より凝縮器22を経て導管23より抜き
出す。導管19を通る濃縮液の一部を、導管20より系外に
抜き出す。系内の芳香族多価ヒドロキシ化合物及びその
残基の少なくとも一部が、この濃縮液の抜き出しにより
系外に抜き出され、エステル交換反応系内の触媒含有液
相混合物中の濃度を触媒の金属成分に対して重量比(W
R)で2.0以下にコントロールすることができるのであ
る。なお導管3より供給される触媒量は、導管20から系
外への抜き出し量に見合う量だけ供給され、エステル交
換反応系内の触媒含有液相混合物中の触媒濃度は一定に
コントロールされる。系外に抜き出す濃縮液の量に特に
制限はないが、通常製造する芳香族カーボネート類に対
して重量比で10-8〜0.1の範囲であり、好ましくは10-6
〜0.05の範囲である。
エステル交換反応系内の触媒含有液相混合物中の該芳
香族基含有物質の量の下限についてはとくに限定されな
いが、このような物質の量を極端に低くすることは、出
発物質や反応物質をエステル交換反応系内に導入する前
に分離精製する設備の負荷が大きくなったり、抜き出し
量が多くなりすぎたりするので好ましくない。従って、
系内の触媒含有液相混合物中の該芳香族基含有物質の量
は触媒の金属成分に対する重量比(WR)で、通常10-9
上、好ましくは10-8以上である。
芳香族カーボネートを製造する方式としてはバッチ式
と連続式のいずれでもよいが、連続方式がより好まし
い。連続方式の具体的方法としては、反応器内に出発物
質と反応物質とを連続的に供給し、該反応器内において
金属含有触媒の存在下に液相と気−液相より選ばれる少
なくとも1種の相で両物質間のエステル交換反応を行わ
せると同時に、製造される芳香族カーボネートまたは芳
香族カーボネート混合物を含む高沸点反応混合物を該反
応器の下部から液状で抜き出し、一方生成する副生物を
含む低沸点反応混合物を反応器の上部からガス状で連続
的に抜き出す方法が挙げられる。
連続方式の1つの具体例としては図2に示すような撹
拌機を備えた反応釜100を用いる方法がある。この場
合、出発物質と反応物質を導管3から連続的に供給し、
該反応釜100内において触媒の存在下に液相と気−液相
より選ばれる少なくとも1種の相でエステル交換反応を
行わせると同時に、製造される芳香族カーボネートと触
媒を含む反応混合物を反応釜100の底部から導管13を通
して抜き出し、一方生成する副生物を含む低沸点反応混
合物は、反応釜100の上部から導管30と蒸留塔24を経て
導管29から抜き出す。
また、連続方式の他の1つの具体例としては、図1に
示すような連続多段蒸留塔1からなる反応器を用いる方
法がある。この場合、出発物質と反応物質を連続多段蒸
留塔1の塔頂2及び/または塔底6に連続的に供給し、
該連続多段蒸留塔1内において触媒の存在下に液相と気
−液相より選ばれる少なくとも1種の相で両物質間のエ
ステル交換反応を行わせると同時に、製造される芳香族
カーボネートと触媒を含む高沸点反応混合物を蒸留塔1
の下部から導管13を通して連続的に抜き出し、一方生成
する副生物を含む低沸点反応混合物は蒸留塔1の上部か
ら導管10と凝縮器11を径て導管12から連続的に抜き出
す。
上記からも明らかなように、本発明においては、用い
る反応器の形式に特に制限はなく、攪拌槽方式、多段攪
拌槽方式、多段蒸留塔を用いる方式、及びこれらを組み
合わせた方式等、公知の種々の方法が用いられる。これ
らの反応器はバッチ式、連続式のいずれにも使用でき
る。平衡を生成系側に効率的にずらすという点で、多段
蒸留塔を用いる方法が好ましく、多段蒸留塔を用いた連
続法が特に好ましい。多段蒸留塔とは、蒸留の理論段数
が2段以上の多段を有する蒸留塔であって、連続蒸留が
可能なものであるならばどのようなものであってもよ
い。このような多段蒸留塔としては、例えば泡鐘トレ
イ、多孔板トレイ、バルブトレイ、向流トレイ等のトレ
イを使用した棚段塔方式のものや、ラシヒリング、レッ
シングリング、ポールリング、ベルルサドル、インタロ
ックスサドル、ディクソンパッキング、マクマホンパッ
キング、ヘリパック、スルザーパッキング、メラパック
等の各種充填物を充填した充填塔方式のものなど、通
常、多段蒸留塔として用いられるものならばどのような
ものでも使用することができる。さらには、棚段部分と
充填物の充填された部分とをあわせもつ棚段−充填混合
塔方式のものも好ましく用いられる。なお、多段蒸留塔
を用いた芳香族カーボネートの連続的製造方法について
は、例えば、米国特許第5,210,268号公報及びそれに対
応する欧州特許公開第0461274B1号公報を参照すること
ができる。
多段蒸留塔を用いて連続法を実施する場合の1つの好
ましい態様においては、出発物質と反応物質とを連続多
段蒸留塔内に連続的に供給し、該蒸留塔内において金属
含有触媒の存在下に液相と気−液相よりなる群より選ば
れる少なくとも1種の相で両物質間のエステル交換反応
を行わせると同時に、製造される芳香族カーボネートま
たは芳香族カーボネート混合物を含む高沸点反応混合物
を該蒸留塔の下部から連続的に液状で抜き出し、一方生
成する副生物を含む低沸点反応混合物を蒸留によって該
蒸留塔の上部からガス状で連続的に抜き出すことによ
り、芳香族カーボネート類を連続的に製造する。
本発明で用いる触媒の量は、使用する触媒の種類、原
料の種類やその量比、反応温度並びに反応圧力などの反
応条件の違いによっても異なるが、原料の合計重量に対
する割合で表して、通常0.0001〜30重量%で使用され
る。
本発明で行われる反応の反応時間(連続法の場合は滞
留時間)に、特に制限はなく通常0.001〜50時間、好ま
しくは0.01〜10時間、より好ましくは0.05〜5時間であ
る。
反応温度は、用いる原料化合物の種類によって異なる
が、通常50〜350℃、好ましくは100〜280℃の範囲で行
われる。また反応圧力は、用いる原料化合物の種類や反
応温度などにより異なるが、減圧、常圧、加圧のいずれ
であってもよく、通常0.1mmHg〜200kg/cm2の範囲で行わ
れる。
本発明においては、必ずしも溶媒を使用する必要はな
いが、反応操作を容易にする等の目的で適当な不活性溶
媒、例えば、エーテル類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭
化水素類、ハロゲン化脂肪族炭化水類、ハロゲン化芳香
族炭化水素類等を反応溶媒として用いることができる。
発明の実施するための最良の形態 以下に実施例および比較例によって本発明を具体的に
説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものでは
ない。
触媒の金属濃度はICP(高周波誘導結合型プラズマ発
光分析計;日本国、セイコー電子工業(株)製JY38P I
I))を用いて分析した。反応の組成及び成分の濃度
は、高速液体クロマトグラフにより測定した。この方法
により反応混合物中の芳香族多価ヒドロキシ化合物及び
その残基であって出発物質、反応物質または目的生成物
としての芳香族カーボネートに由来するカルボニル含有
基に結合しているもの、芳香族モノヒドロキシ化合物、
芳香族カーボネート、アニソール等が測定できる。ま
た、触媒に結合している芳香族多価ヒドロキシ化合物の
残基の濃度については、トリフルオロ酢酸で配位子交換
した後、高速液体クロマトグラフで測定した。
濃度は全て重量濃度で表した。
実施例1 (触媒の調製) フェノール30kg、メチルフェニルカーボネート10kg、
及びジブチル錫オキシド8kgを180℃で10時間加熱し、生
成する水をフェノールと共に留去した。その後残存する
フェノールやメチルフェニルカーボネートの大部分を減
圧で留去し、窒素雰囲気下で放冷することにより触媒A
を調製した。
(芳香族カーボネートの製造) 塔高1m塔径4インチの蒸留塔24〔ディクソンパッキン
グ(6mmφ)を充填したもの〕と、攪拌機を備えた200リ
ットルの反応釜100よりなる図2に示した装置を用いて
芳香族カーボネートの製造を行った。
ジメチルカーボネート、フェノール(フェノール中の
多価ヒドロキシ化合物としての4,4′−ジヒドロキシジ
フェニルの濃度:100重量ppm)、及び触媒Aからなる混
合物を反応釜100に導管3から液状で連続的に20kg/hrで
供給し、反応を行った。上記混合物中のジメチルカーボ
ネートとフェノールの重量比は50/50であり、触媒A
は、導管13におけるSsn濃度が0.4重量%になるような量
を用いた〔上記Sn濃度は導管13上に設けたサンプリング
グノズル(図示しない)より抜き出した反応混合物を用
いて測定することができる〕。反応釜の温度は200℃、
蒸留塔24の塔頂圧力は6.2kg/cm2−Gであった。反応釜1
00において形成されたメタノール及びジメチルカーボネ
ートを含むガスを導管30より蒸留塔24に導入した。蒸留
塔24から、ジメチルカーボネートを導管32を経て反応釜
100に還流した一方、蒸留塔24の塔頂より留出するメタ
ノールとジメチルカーボネートを含むガスを導管25を経
て、凝縮器26で凝縮させた。得られた凝縮物の一部を還
流比50で導管27及び導管28より還流させ、残りを導管29
より2.3kg/hrで連続的に抜き出した。目的生成物である
メチルフェニルカーボネート、触媒及び、芳香族多価ヒ
ドロキシ化合物及びその残基を含む反応混合物を、導管
13から17.7kg/hrで連続的に抜き出し蒸発器14へ導入し
た。蒸発器14のメチルフェニルカーボネートを含む蒸発
物を導管21より凝縮器22を経て導管23より16.67kg/hrで
抜き出した。一方、蒸発器14中では触媒、及び芳香族多
価ヒドロキシ化合物及びその残基を含む濃縮液が形成さ
れた。この濃縮液の一部を導管15及び導管16からリボイ
ラー17に導入し、導管18より蒸発器14に循環した。濃縮
液の残りを、蒸発器14から導管15、導管19及び導管3を
経て再び反応釜100へ1kg/hrで供給した。蒸発器14で形
成された上記の濃縮液の一部を、運転開始後300〜2,000
時間の間、導管20より0.03kg/hrで連続的に系外に抜き
出した。触媒を、導管20からの系外への抜き出し量に見
合う量、つまり導管13でのSn濃度が0.4重量%に維持で
きる量を、導管3より供給した。運転は2000時間行っ
た。その間触媒析出や触媒の付着等のトラブルはなく、
各導管の流量、組成共安定に運転された。運転開始500
時間、1000時間、1500時間、2000時間の各時間の経過し
た時点で導管13に備けた上記サンプリングノズルから反
応釜100から抜き出される反応混合物のサンプルを取り
出した。各サンプルにおける芳香族基含有物質(すなわ
ち、芳香族多価ヒドロキシ化合物及びその残基)として
ジヒドロキシジフェニル及びジヒドロキシベンゾフェノ
ン及びその残基の濃度を測定した。運転開始後500時
間、1000時間、1500時間及び2000時間で得た、各サンプ
ルの芳香族基含有物質のSnに対する重量比(WR)は、そ
れぞれ0.19、0.19、0.20及び0.20であった。また、運転
開始2000時間経過した時点の導管13中の、反応混合物の
組成は、フェノール(以下しばしばPhOH)51重量%、メ
チルフェニルカーボネート(以下しばしばMPC)6重量
%、ジフェニルカーボネート(以下しばしばDPC)0.4重
量%、アニソール(以下しばしばANS)0.6重量%、Sn
0.4重量%であった。運転を停止した後、系内の開放点
検を行った結果、反応釜100、蒸発器14、リボイラー17
や周辺の配管等のいずれにも触媒の付着は認められなか
った。
比較例1 蒸発器14で形成された触媒、及び芳香族多価ヒドロキ
シ化合物及びその残基を含む濃縮液の導管20からの系外
への抜き出を行わないこと以外は、実施例1と実質的に
同様に運転を行った。運転開始500時間、1000時間、150
0時間、2000時間の各時間の経過した時点で導管13に備
けた上記サンプリングノズルから反応釜100から抜き出
される反応混合物のサンプルを取り出した。各サンプル
における芳香族基含有物質(すなわち、芳香族多価ヒド
ロキシ化合物及びその残基)としてジヒドロキシジフェ
ニル及びジヒドロキシベンゾフェノン及びその残基の濃
度を測定した。運転開始後500時間、1000時間、1500時
間及び2000時間で得た、各サンプルの芳香族基含有物質
のSnに対する重量比(WR)は、それぞれ0.4、1.0、1.5
及び2.1であった。また、運転開始2000時間経過した時
点の導管13中の、反応混合物の組成は、PhOH:53重量
%、MPC:3.5重量%、DPC:0.1重量%、ANS:0.5重量%、S
n:0.3重量%であった。運転を停止した後、系内の開放
点検を行った結果、反応釜100、蒸発器14及び周辺の配
管の一部に触媒の付着が認められた。
比較例2 4,4′−ジヒドロキシジフェニルを600重量ppm含むフ
ェノールを用いる以外は実施例1と実質的に同様に反応
を行った。運転開始500時間、1000時間、1500時間、200
0時間の各時間の経過した時点で導管13に備けた上記サ
ンプリングノズルから反応釜100から抜き出される反応
混合物のサンプルを取り出した。各サンプルにおける芳
香族基含有物質(すなわち、芳香族多価ヒドロキシ化合
物及びその残基)としてジヒドロキシジフェニル及びジ
ヒドロキシベンゾフェノン及びその残基の濃度を測定し
た。運転開始後500時間、1000時間、1500時間及び2000
時間で得た、各サンプルの芳香族基含有物質のSnに対す
る重量比(WR)は、それぞれ0.9、1.5、2.0及び2.6であ
った。また、運転開始2000時間経過した時点の導管13中
の、反応混合物の各組成は、PhOH:53重量%、MPC:3.3重
量%、DPC:0.1重量%、ANS:0.5重量%、Sn:0.3重量%で
あった。運転を停止した後、系内の開放点検を行った結
果、反応釜100、蒸発器14及び周辺の配管の一部に触媒
の付着が認められた。
実施例2 (触媒の調製) フェノール40kg、及び四塩化チタン8kgを窒素流通下5
0℃で10時間加熱し、生成する塩化水素を留去した。そ
の後残存するフェノールの大部分を減圧で留去し、窒素
雰囲気下で放冷することにより触媒Bを調製した。
(芳香族カーボネートの製造) 触媒として触媒Bを導管13におけるTi濃度が0.2重量
%になるような量用いる以外は、実施例1と実質的に同
様にして反応を行った。運転は2000時間行なった。その
間触媒析出や触媒の付着等のトラブルはなく、各導管の
流量、組成共安定に運転された。運転開始500時間、100
0時間、1500時間、2000時間の各時間の経過した時点で
導管13に備けた上記サンプルノズルから反応釜100から
抜き出される反応混合物のサンプルを取り出した。各サ
ンプルにおける芳香族基含有物質(すなわち、芳香族多
価ヒドロキシ化合物及びその残基)としてジヒドロキシ
ジフェニル及びジヒドロキシベンゾフェノン及びその残
基の濃度を測定した。運転開始後500時間、1000時間、1
500時間及び2000時間で得た、各サンプルの芳香族基含
有物質のTiに対する重量比(WR)は、それぞれ0.37、0.
38、0.39及び0.40であった。また、運転開始2000時間経
過した時点の導管13中の、反応混合物の各組成は、PhO
H:51重量%、MPC:6重量%、DPC:0.4重量%、ANS:0.4重
量%、Ti:0.2重量%であった。運転を停止した後、系内
の開放点検を行った結果、反応釜100、蒸発器14、リボ
イラー17や周辺の配管等のいずれにも触媒の付着は認め
られなかった。
実施例3 (触媒の調整) フェノール40kgと一酸化鉛8kgを180℃で10時間加熱
し、生成する水をフェノールと共に留去することにより
触媒Cを調製した。
(芳香族カーボネートの製造) 段数20のシーブトレーを装着した塔高6m塔径6インチ
の棚段塔からなる連続多段蒸留塔1よりなる図1に示し
た装置を用いて芳香族カーボネートの製造を行なった。
連続多段蒸留塔1の塔頂2から0.5mの位置へジメチル
カーボネート、フェノール(フェノール中の多価ヒドロ
キシ化合物としての4,4′−ジヒドロキシジフェニルの
濃度:150重量ppm)、及び触媒Cからなる混合物を導管
3から予熱器4及び導管5を経て液状で連続的に32kg/h
rで供給し、連続多段蒸発塔1内を流下させることによ
って反応を行った。上記混合物中のジメチルカーボネー
トとフェノールの重量比は62/38であり、触媒Cは、導
管13におけるPb濃度が0.1重量%になるような量を用い
た〔上記Pb濃度は導管13上に設けたサンプリングノズル
(図示しない)より抜き出した反応混合物を用いて測定
することができる〕。連続多段蒸留塔1の塔底6には、
ジメチルカーボネートを導管7より蒸発器8に導入し、
ガス状にしたジメチルカーボネートを導管9より26kg/h
rで供給した。連続多段蒸留塔1の塔底温度は203℃、塔
頂圧力は6.5kg/cm2−Gであった。塔頂2より留出する
ガスを導管10を経て、凝縮器11で凝縮して導管12より25
kg/hrで連続的に抜き出した。塔底6から34kg/hrで連続
的に抜き出した、目的生成物であるメチルフェニルカー
ボネート、触媒及び、芳香族多価ヒドロキシ化合物及び
その残基を含む反応混合物を導管13を経て蒸発器14へ導
入した。蒸発器14のメチルフェニルカーボネートを含む
蒸発物を導管21より凝縮器22を経て導管23より32.95kg/
hrで抜き出した。一方、蒸発器14中では触媒、及び芳香
族多価ヒドロキシ化合物及びその残基を含む濃縮液が形
成された。この濃縮液の一部を導管15及び導管16からリ
ボイラー17に導入し、導管18より蒸発器14に循環した。
濃縮液の残りを、蒸発器14から導管15、導管19、及び導
管3を経て再び連続多段蒸留塔1へ1kg/hrで供給した。
蒸発器14で形成された濃縮液の一部を、運転開始後400
時間〜3000時間の間、導管20より0.05kg/hrで連続的に
系外に抜き出した。触媒を導管20からの系外への抜き出
し量に見合う量つまり導管13でのPb濃度が0.1重量%に
維持できる量を、導管3より供給した。運転は3000時間
行なった。その間触媒析出や触媒の付着等のトラブルは
なく、各導管の流量、組成共安定に運転された。運転開
始500時間、1200時間、2100時間、3000時間の各時間の
経過した時点で導管13に備けた上記サンプリングノズル
から連続多段状蒸留塔1から抜き出される反応混合物の
サンプルを取り出した。各サンプルにおける芳香族基含
有物質(すなわち、芳香族多価ヒドロキシ化合物及びそ
の残基)としてジヒドロキシジフェニル及びジヒドロキ
シベンゾフェノン及びその残基の濃度を測定した。運転
開始後500時間、1200時間、2100時間及び3000時間で得
た、各サンプルの芳香族基含有物質のPbに対する重量比
(WR)は、それぞれ0.11、0.11、0.12及び0.12であっ
た。また、運転開始3000時間経過した時点の導管13中
の、反応混合物の各組成は、PhOH:31重量%、MPC:9重量
%、DPC:0.5重量%、ANS:0.1重量%、Pb:0.1重量%であ
った。運転を停止した後、系内の開放点検を行った結
果、連続多段蒸留塔1、蒸発器14、リボイラー17や周辺
の配管等のいずれにも触媒の付着は認められなかった。
比較例3 蒸発器14で形成された触媒、及び芳香族多価ヒドロキ
シ化合物及びその残基を含む濃縮液の導管20からの系外
への抜き出しを行わないこと以外は、実施例3と実質的
に同様に反応を行った。運転開始500時間、1200時間、2
100時間、3000時間の各時間の経過した時点で導管13に
備けた上記サンプリングノズルから連続多段蒸留塔1か
ら抜き出される反応混合物のサンプルを取り出した。各
サンプルにおける芳香族基含有物質(すなわち、芳香族
多価ヒドロキシ化合物及びその残基)としてジヒドロキ
シジフェニル及びジヒドロキシベンゾフェノン及びその
残基の濃度を測定した。運転開始後500時間、1200時
間、2100時間及び3000時間で得た。各サンプルの芳香族
基含有物質のPbに対する重量比(WR)は、それぞれ0.
2、0.7、1.4及び2.1であった。また、運転開始3000時間
経過した時点の導管13中の、反応混合物の各組成は、Ph
OH:33重量%、MPC:6.5重量%、DPC:0.2重量%、ANS:0.1
重量%、Pb:0.1重量%であった。運転を停止した後、系
内の開放点検を行った結果、連続多段蒸留塔1、蒸発器
14、及び周辺の配管の一部に触媒の付着が認められた。
比較例4 ジフェニルカーボネートとビスフェノールAとのエス
テル交換法でポリカーボネートを製造する際副生するフ
ェノールを原料として使用する以外は、実施例3と実質
的に同様に反応を行った。但し、フェノール中には、ジ
フェニルカーボネートが15重量%、ビスフェノールAが
500重量ppm含まれていた。運転開始500時間、1200時
間、2100時間、3000時間の各時間の経過した時点で導管
13に備けた上記サンプリングノズルから連続多段蒸留塔
1から抜き出される反応混合物のサンプルを取り出し
た。各サンプルにおける芳香族基含有物質(すなわち、
芳香族多価ヒドロキシ化合物及びその残基)としてジヒ
ドロキシジフェニル及びジヒドロキシベンゾフェノン及
びその残基の濃度を測定した。運転開始後500時間、120
0時間、2100時間及び3000時間で得た、各サンプルの芳
香族基含有物質のPbに対する重量比(WR)は、それぞれ
0.7、1.7、2.6及び4.0であった。また、運転開始3000時
間経過した時点の導管13中の、反応混合物の組成は、Ph
OH:34重量%、MPC:5.8重量%、DPC:0.2重量%、ANS:0.1
重量%、Pb:0.1重量%であった。運転を停止した後、系
内の開放点検を行った結果、連続多段蒸留塔1、蒸発器
14、及び周辺の配管の一部に触媒の付着が認められた。
実施例4 実施例3で得た触媒Cを用い、段数20のシーブトレー
を装着した塔高6m塔径4インチの棚段塔からなる連続多
段蒸留塔1よりなる図3に示した装置を用いて、メチル
フェニルカーボネートからジフェニルカーボネートを製
造した。
連続多段蒸留塔1の塔頂2から2.0mの位置へメチルフ
ェニルカーボネート及び触媒Cからなる混合物を導管3
から予熱器4及び導管5を経て液状で連続的に10kg/hr
で供給し、連続多段蒸留塔1内で流下させて反応を行っ
た。触媒Cは、導管13におけるPb濃度が0.1重量%にな
るような量を用いた〔上記Pb濃度は導管13上に設けたサ
ンプリンググノズル(図示しない)より抜き出した反応
混合物を用いて測定することができる〕。連続多段蒸留
塔1の塔底温度は195℃、塔頂圧力は194mmHgであった。
塔頂2より留出するガスは導管25を経て凝縮器26で凝縮
されて、一部は導管27及び導管28より塔頂2に再循環
し、残りの凝縮液を導管27及び導管29より2.4kg/hrで連
続的に抜き出した。連続多段蒸留塔1の塔底6の反応混
合物の一部を、導管30からリボイラー31及び導管32を経
て塔底6に再循環し、残りの反応混合物は導管13から7.
6kg/hrで蒸発器14へ供給した。蒸発器14のジフェニルカ
ーボネートを含む蒸発物を導管21より凝縮器22を経て導
管23より5.55kg/hrで抜き出した。一方、蒸発器14中で
は触媒、及び芳香族多価ヒドロキシ化合物及びその残基
を含む濃縮液が形成された。この濃縮液の一部を導管15
及び導管16からリボイラー17及び導管18を経て蒸発器14
に循環した。濃縮液の残りを、蒸発器14から導管15、導
管19及び導管3を経て再び連続多段蒸留塔1へ、2kg/hr
で供給した。蒸発器14で形成された上記の濃縮液の一部
を、運転開始後400〜3000時間の間、導管20より0.05kg/
hrで連続的に系外に抜き出した。触媒を、400時間以降
は導管20からの系外への抜き出し量に見合う量つまり導
管13のPb濃度が0.1重量%に維持できる量を、導管3よ
り供給した。運転は3000時間行なった。その間触媒詰ま
り等のトラブルはなく、各導管の流量、組成共安定に運
転された。運転開始500時間、1200時間、2100時間、300
0時間の各時間の経過した時点で導管13に備けた上記サ
ンプリングノズルから連続多段蒸留塔1から抜き出され
る反応混合物のサンプルを取り出した。各サンプルにお
ける芳香族基含有物質(すなわち、芳香族多価ヒドロキ
シ化合物及びその残基)としてジヒドロキシジフェニル
及びジヒドロキシベンゾフェノン及びその残基の濃度を
測定した。運転開始後500時間、1200時間、2100時間及
び3000時間で得た、各サンプルの芳香族基含有物質のPb
に対する重量比(WR)は、それぞれ0.20、0.21、0.21及
び0.21であった。また、運転開始後3000時間経過した時
点の導管13中の、反応混合物の各組成は、MPC:24.1重量
%、DPC:75.6重量%、Pb:0.1重量%であった。運転を停
止した後、系内の開放点検を行った結果、連続多段蒸留
塔1、蒸発器14、リボイラー17や周辺の配管等のいずれ
にも触媒の付着は認められなかった。
実施例5 実施例3で得た触媒Cを用い、図4に示した装置を用
いて、ジフェニルカーボネートを製造した。
段数40のシーブトレーを装着した塔高12m塔径8イン
チの棚段塔からなる連続多段蒸留塔1の塔頂2から0.5m
の位置へジメチルカーボネート、フェノール(フェノー
ル中の芳香族多価ヒドロキシ化合物としての4,4′−ジ
ヒドロキシジフェニルの濃度:200重量ppm)、及びメチ
ルフェニルカーボネートからなる混合物を導管3から予
熱器4及び導管5を経て液状で連続的に31kg/hrで供給
し、連続多段蒸留塔1内を流下させることによって反応
を行った。上記混合物の各成分は、運転時の導管5にお
ける液(導管5の液は、蒸発器14から回収される導管19
の液と、連続多段蒸留塔101から回収される導管129の
液、導管3から導入する上記混合物が集合して形成され
る)の組成が、ジメチルカーボネート49.9重量%、フェ
ノール44.7重量%、メチルフェニルカーボネート4.9重
量%になるような量用いた。連続多段蒸留塔の塔底6に
は、ジメチルカーボネートを導管7より蒸発器8に導入
してガス状にしたジメチルカーボネートを導管9を経て
55kg/hrで供給した。なお触媒Cは、導管13におけるPb
濃度が0.2重量%になるような量を触媒導入の為の導管2
24より供給した〔上記Pb濃度は導管13上に設けたサンプ
リンググノイズ(図示しない)より抜き出した反応混合
物を用いて測定することができる〕。連続多段蒸留塔1
の塔底温度は203℃、塔頂圧力は6.5kg/cm2−Gであっ
た。なお、連続多段蒸留塔1は、断熱材で保温してお
り、一部はヒーター(図示しない)で加熱した。塔頂2
より留出するガスを導管10を経て、凝縮器11で凝縮させ
て導管12より55kg/hrで連続的に抜き出した。塔底6か
ら31kg/hrで連続的に抜き出した反応混合物は導管13を
経て蒸発器14へ導入した。蒸発器14では触媒、及び芳香
族多価ヒドロキシ化合物及びその残基を含む濃縮液が形
成された。この濃縮液の一部を導管15及び導管16からリ
ボイラー17及び導管18を経て蒸発器14に循環した。濃縮
液の残りを、蒸発器14から導管15、導管19及び導管3を
経て再び連続多段蒸発塔1へ、1kg/hrで供給した。蒸発
器14で形成された上記の濃縮液の一部は、運転開始後40
0〜3000時間の間、導管20より0.05kg/hrで連続的に系外
に抜き出した。触媒Cを、導管20からの系外への抜き出
し量に見合う量、つまり導管13でのPb濃度が0.2重量%
に維持できる量を、導管224より供給した。一方、蒸発
器14の蒸発物を導管21より凝縮器22にて凝縮し、得られ
た凝縮物を導管23、導管105を経て、段数20のシーブト
レイを装着した塔頂6m塔径10インチの棚段塔からなる連
続多段蒸発塔101に、塔頂102から2.0mの位置に供給し、
連続多段蒸留塔101内で反応を行った。導管105の液(導
管105の液は、導管23と蒸発器114から回収される導管11
9の液が集合して形成される)の組成は、ジメチルカー
ボネート43.1重量%、フェノール24.5重量%、メチルフ
ェニルカーボネート27.1重量%、ジフェニルカーボネー
ト4.5重量%であった。なお触媒は、導管113におけるPb
濃度が0.2重量%になるような量を導管124より供給し
た。〔上記Pb濃度は導管113上に設けたサンプリングノ
ズル(図示しない)より抜き出した反応混合物を用いて
測定することができる〕連続多段蒸留塔101の塔底温度
は198℃、塔頂圧力は280mmHgであった。塔頂102より留
出するガスを導管125を経て凝縮器126で凝縮させて、一
部は導管128より塔頂102にリサイクルさせ、残りの凝縮
液は導管127及び導管129より予熱器4、導管5を経て、
連続多段蒸留塔1に再循環させた。導管129から、連続
多段蒸留塔1へのリサイクルを開始させてからは、導管
5の液組成が上述の組成になるように、導管3からフェ
ノールを新たに供給した。新たに供給するフェノール中
に芳香族多価ヒドロキシ化合物として、4,4′−ジヒド
ロキシジフェニルが200重量ppm含まれていた。連続多段
蒸留塔の塔底106の反応混合物の一部を、導管130からリ
ボイラー131及び導管132を経て塔底106に再循環させ、
残りの反応混合物を導管113から6.9kg/hrで蒸発器114へ
供給させた。蒸発器114では触媒、及び芳香族多価ヒド
ロキシ化合物及びその残基を含む濃縮液が形成された。
この濃縮液の一部を導管115及び導管116からリボイラー
117及び導管118を経て蒸発器114に循環させた。濃縮液
の残りを、蒸発器114から導管115、導管119及び導管105
を経て再び連続多段蒸留塔101へ2kg/hrで供給させた。
蒸発器114で形成された上記の濃縮液の一部は、運転開
始後400〜3000時間の間、導管120より0.1kg/hrで系外に
抜き出した。触媒を導管120からの系外への抜き取り量
に見合う量、つまり導管113におけるPb濃度が0.2重量%
に維持できる量を導管124から供給した。蒸発器114の蒸
発物を導管121より凝縮器122を経て導管123より6.8kg/h
rで抜き出した。導管123の液組成は98%がジフェニルカ
ーボネートであった。運転は3000時間行なった。この間
触媒詰まり等のトラブルはなく、各導管の流量、組成共
安定に運転された。運転開始500時間、1200時間、2100
時間、3000時間の各時間の経過した時点で導管13及び導
管113に備けたサンプリングノズルから連続多段蒸留塔
1及び101からそれぞれ抜き出される反応混合物のサン
プルを取り出した。各サンプルにおける芳香族基含有物
質(すなわち、芳香族多価ヒドロキシ化合物及びその残
基)としてジヒドロキシジフェニル及びジヒドロキシベ
ンゾフェノン及びその残基の濃度を測定した。運転開始
後500時間、1200時間、2100時間及び3000時間で得た、
各サンプルの芳香族基含有物質のPbに対する重量比(W
R)は、導管13において、それぞれの時間で0.40、0.4
1、0.42、0.42であり、導管113においては、それぞれの
時間で0.16、0.17、0.17、0.18であった。運転を停止し
た後、系内の開放点検を行った結果、連続多段蒸留塔
1、蒸発器14、リボイラー17や周辺の配管等のいずれに
も触媒の付着は認められなかった。
産業上の利用可能性 本発明によれば、金属含有触媒の存在下での出発物質
と反応物質とのエステル交換反応により芳香族カーボネ
ートを製造する方法において、出発物質、反応物質及び
/又はエステル交換反応の副生成物に起因する特定の芳
香族多価ヒドロキシ化合物及びその残基からなる群より
選ばれる少なくとも1種の芳香族基含有物質の、触媒の
金属に対する重量比(WR)を、エステル交換反応系内の
触媒含有液相混合物について測定して2.0以下に維持し
ながら上記エステル交換反応を行う。本発明の方法によ
れば、反応器や配管における触媒の析出や付着など、好
ましくない現象の発生を防ぐことができ、それによって
芳香族カーボネートを長期間安定に製造することができ
る。
本発明の方法は、芳香族ポリカーボネートの原料など
として重要な芳香族カーボネート製造のためのエステル
交換反応をバッチ式あるいは連続式のいずれの方式で行
なう際にも有用である。特に連続式により芳香族カーボ
ネートの製造を行なう場合、該触媒含有液相混合物の一
部をエステル交換反応系から抜き出すことによって、芳
香族カーボネートの連続的製造を長期間に亘って極めて
効率的に実施することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 68/06 C07C 69/96

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1): で表されるジアルキルカーボネート、一般式(2): で表されるアルキルアリールカーボネート及びそれらの
    混合物よりなる群から選ばれる出発物質と、一般式
    (3): Ar1OH (3) で表される芳香族モノヒドロキシ化合物、一般式
    (4): で表されるアルキルアリールカーボネート及びそれらの
    混合物よりなる群から選ばれる反応物質〔但し、一般式
    (1)〜(4)において、R1、R2及びR3の各々は独立に
    炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10の脂環族基ま
    たは炭素数6〜10のアラールキル基を表し、Ar1、Ar2
    およびAr3の各々は独立に炭素数5〜30の芳香族基を表
    す〕とを金属含有触媒の存在下にエステル交換反応に付
    し、出発物質と反応物質とに対応する一般式(5)及び
    一般式(6): よりなる群より選ばれる少なくとも1つの式によって表
    わされるアルキルアリールカーボネート及びジアリール
    カーボネートより選ばれる少なくとも1種の芳香族カー
    ボネート(但し、R及びArは、それぞれ、出発物質及び
    反応物質に対応してR1、R2、R3およびAr1、Ar2、Ar3
    ら選ばれる)を製造する方法において、芳香族多価ヒド
    ロキシ化合物及びその残基から成る群より選ばれる少な
    くとも1種の芳香族基含有物質の、触媒の金属に対する
    重量比(WR)を2.0以下に維持しながら上記エステル交
    換反応を行い、該重量比(WR)はエステル交換反応系内
    の触媒含有液相混合物について測定したものであり、該
    芳香族基含有物質は、出発物質、反応物質及びエステル
    交換反応の副生成物よりなる群から選ばれる少なくとも
    1種に起因するものであって、 該芳香族多価ヒドロキシ化合物は下記の一般式(7): Ar4OH) (7) 〔但し、式(7)において、Ar4はm価の芳香族基を表
    わし、mは2以上の整数を表わし、各−OH基はAr4基の
    芳香族環上のいずれの位置に結合していてもよい。) で表わされ、 該芳香族多価ヒドロキシ化合物の残基は下記の一般式
    (8): OnAr4OH)m-n (8) 〔但し、式(8)において、Ar4とmは上記した通りで
    あり、nは1〜mの整数であって、−OH基及び−O−基
    は、各々、Ar4基の芳香族環上のいずれの位置に結合し
    ていてもよい。) で表わされ、且つ、該触媒の金属、該ジアルキルカーボ
    ネートまたは該アルキルアリールカーボネートに由来す
    るアルコキシカルボニル基、該アルキルアリールカーボ
    ネートまたは該ジアリールカーボネートに由来するアリ
    ーロキシカルボニル基、及び該ジアルキルカーボネー
    ト、該アルキルアリールカーボネートまたは該ジアリー
    ルカーボネートに由来するカルボニル基よりなる群から
    選ばれる少なくとも1種に化学的に結合した状態で存在
    していることを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】該芳香族多価ヒドロキシ化合物が、下記の
    (A)、(B)及び(C)より選ばれる少なくとも1種
    であることを特徴とする請求項1に記載の方法。 (A)反応物質としての芳香族モノヒドロキシ化合物の
    酸化生成物、 (B)該エステル交換反応で得られるジアリールカーボ
    ネートのフリース転移による生成物及びその酸化生成
    物、 より選ばれる少なくとも1種、及び (C)反応物質としてのフェノールに由来し、下記の一
    般式(9): (式中、Y1は、単結合、炭素数1〜30を有する2価のア
    ルカン基、又は−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−S
    O−及び−COO−から選ばれる2価の基を表す。) で表される芳香族ジヒドロキシ化合物及びその酸化生成
    物、よりなる群より選ばれる少なくとも1種。
  3. 【請求項3】該重量比(WR)の2.0以下への維持を、該
    芳香族多価ヒドロキシ化合物の含量をコントロールした
    芳香族モノヒドロキシ化合物を反応物質として用い、且
    つ、該触媒含有液相混合物の一部をエステル交換反応系
    から抜き出すことによって行うことを特徴とする請求項
    1または2に記載の方法。
  4. 【請求項4】該芳香族モノヒドロキシ化合物中の該芳香
    族多価ヒドロキシ化合物の濃度が400重量ppm以下である
    ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】該少なくとも1種の芳香族カーボネートを
    連続的に製造し、該少なくとも1種の芳香族カーボネー
    トを含有し且つ該触媒を含有するエステル交換反応混合
    物をエステル交換反応の反応器から連続的に抜き出すこ
    とを特徴とする請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】反応物質としての該芳香族モノヒドロキシ
    化合物が、新たな供給原料としての芳香族モノヒドロキ
    シ化合物と、反応器からリサイクルされる未反応の芳香
    族モノヒドロキシ化合物との混合物からなり、新たな供
    給原料としての芳香族モノヒドロキシ化合物中の該芳香
    族多価ヒドロキシ化合物の濃度が400重量ppm以下である
    ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】反応器から抜き出される触媒を含む該反応
    混合物の一部を蒸発させ、得られる触媒濃度を高めた濃
    縮液の少なくとも一部をエステル交換反応系外へ抜き出
    すことにより、該重量比(WR)を2.0以下に維持するこ
    とを特徴とする請求項5または6に記載の方法。
  8. 【請求項8】該出発物質と該反応物質とを連続多段蒸留
    塔内に連続的に供給し、該蒸留塔内において金属含有触
    媒の存在下に液相及び気−液相よりなる群より選ばれる
    少なくとも1種の相で両物質間のエステル交換反応を行
    わせると同時に、該少なくとも1種の芳香族カーボネー
    トを含む高沸点反応混合物を該蒸留塔の下部から液状で
    抜き出し、一方生成する副生物を含む低沸点反応混合物
    を蒸留によって該蒸留塔の上部からガス状で連続的に抜
    き出すことを包含することを特徴とする請求項5〜7の
    いずれかに記載の方法。
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