JP3204560B2 - 組換えタンパクの製造方法 - Google Patents

組換えタンパクの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は組換え大腸菌を培養して
得られる不溶性顆粒状組換えタンパクの製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】抗原タンパク等の組換えポリペプチドを
工業的に製造する場合、組換え体の培養及び組換えポリ
ペプチドの大量発現が容易であることなどから大腸菌の
宿主ベクター系が好適に用いられている。組換え大腸菌
内で外来遺伝子を高発現させると該外来遺伝子の産物が
不溶性顆粒状として生産することが可能である。この様
にして生産した不溶性顆粒状組換えタンパクは(1)宿主
菌内で不溶性顆粒(inclusion body)を形成するため宿
主菌体内での安定性がよい、(2)不溶性顆粒を形成する
ので精製が容易である、等の利点があげられるという理
由で抗原タンパク等の組換えポリペプチドの生産に広く
利用されている。
【0003】しかしながら、不溶性顆粒として産生され
た組換えポリペプチドは菌体内では安定であるが、該組
換えポリペプチドを抽出、精製する段階で塩酸グアニジ
ン、尿素、ドデシル硫酸ナトリウム等で可溶化を行うと
菌体内のプロテアーゼの作用で酵素的分解を受けるとい
う問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】組換え大腸菌を培養し
て不溶性顆粒状組換えタンパクを生産する際、プロテア
ーゼ等による酵素的分解を回避するためにフェニルメタ
ンスルフォニルフルオリド(以下、PMSFとも略記する)
等のプロテアーゼ阻害剤を添加することで該酵素的分解
を回避しているが十分でなかった。そこで酵素的分解を
受けずに高収率且つ高純度で安定的に該不溶性顆粒状組
換えタンパクを可溶化し抽出する製造方法の開発が望ま
れていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記技術課題
を解決すべく鋭意研究を行ってきた。組換え大腸菌を培
養して不溶性顆粒状組換えタンパクを生産せしめついで
該タンパクを可溶化し抽出する過程において、不溶性顆
粒状組換えタンパクの抽出工程で加熱処理を施すことに
より組換えポリペプチドが酵素的分解を受けずに高収率
且つ高純度で安定的に得ることを見い出し、本発明を完
成するに至った。
【0006】即ち、本発明は、組換え大腸菌を培養して
不溶性顆粒状組換えタンパクを生産せしめた後菌体を破
砕し次いで抽出する組換えタンパクの製造方法におい
て、不溶性顆粒状組換えタンパクの抽出工程で加熱処理
を施すことを特徴とする前記製造方法である。
【0007】以下本発明を詳細に説明する。
【0008】本発明でいう組換え大腸菌とは大腸菌を宿
主として目的の外来遺伝子を発現用ベクターに挿入せし
めて形質転換を行い、該外来遺伝子のコードするポリペ
プチドを生産する能力を有する形質転換大腸菌のことを
いう。形質転換の宿主として用いる大腸菌は特に制限な
く利用できるが、遺伝子操作で一般によく利用される大
腸菌K−12株を利用することが好ましい。例えば、JM
83、JM109、JM109(DE3)、HB101、DH1、C600、MV1184、M
V1190などが利用できる。
【0009】形質転換の方法は、塩化カルシウム法など
の通常の形質転換方法を適用すればよい。
【0010】発現用ベクターは、外来遺伝子を大腸菌内
で高発現させる強力なプロモーターを有して遺伝子産物
を不溶性顆粒状組換えタンパクとして生産できるものな
らば特に限定されず、例えば、λPRプロモーターある
いはλPLプロモーターを有する市販のプラスミドベク
ターである一連のpUEXベクター(アマシャム製品)、一
連のpEXベクター(ベーリンガー・マンハイム製品)、l
acプロモーターを有するpUCベクター(宝酒造製)、一
連のpTVベクター(宝酒造製品)、一連のpTZベクター
(東洋紡績製品)あるいはtacプロモーターを有するpKK
ベクター等である。このようなベクターのプロモーター
の下流にある適当な制限酵素部位を利用して目的外来遺
伝子を挿入することにより、組換えベクターが作製され
る。
【0011】上記組換えベクターの中でも、特にプラス
ミドベクターとしてpUEXベクターを用いて作製される組
換えベクターが好適である。pUEXベクターが好適に選択
される理由として、(1)細胞当りのコピー数が低いた
め、産生されるポリペプチドによる宿主大腸菌の生育阻
害がなくプラスミドが安定に保持される、(2)融合タン
パク遺伝子を発現させるためのプロモーターはλPR
ロモーターであり、培養温度を上げるだけで簡単に組換
えタンパクを産生することができる、(3)産生された組
換えタンパクは、宿主菌内で不溶性顆粒(inclusion bo
dy)を形成するため宿主のプロテアーゼが働きにくく宿
主菌内での安定性がよい、(4)不溶性顆粒を形成した組
換えタンパクは精製が容易であるなどがあげられる。
【0012】本発明でいう培養とは、通常用いられる栄
養豊富な大腸菌用培地(L培地、TY培地など)で培養
すればよい。上記のようにして作製された組換えベクタ
ーは薬剤耐性遺伝子を有しており、その形質転換大腸菌
を培養する場合には、対応する薬剤を適当な濃度になる
ように培地に添加しておくことが望ましい。例えば、組
換え大腸菌HB101を宿主として目的外来遺伝子の挿入す
る発現用ベクターとしてpUEXを用いた形質転換大腸菌
(以下、pUEX組換え大腸菌とも略記する)を培養する場
合には、アンピシリンを20μg/ml〜200μg/mlの濃度に
なるように培地に添加しておけばよい。
【0013】融合タンパク遺伝子を発現させる場合は、
その上流のプロモーターを適当な方法で働かせて発現誘
導を行えばよい。pUCベクター、pTVベクターおよびpTZ
ベクターの場合には、適当な培地である程度の菌体量に
達するまで培養した後、IPTG(イソプロピルチオガ
ラクトシド)を添加して、遺伝子発現を開始させる方法
がとられる。遺伝子発現を効率的に行うためには、対数
増殖期の初期ないし中期にIPTGを添加することが望
ましい。pUEXベクター、pEXベクターのようにλPRプロ
モーターを有するベクターの場合には、λファージの温
度感受性リプレッサー(cI857リプレッサー)が機能す
る温度、具体的には室温ないし30℃の範囲である程度の
菌体量に達するまで培養した後、培養温度を上昇させる
ことにより遺伝子発現を開始させる。温度は、温度感受
性リプレッサーが不活性化される温度、具体的には40℃
ないし42℃の範囲である。培養温度を上昇させる時期
は、対数増殖期の初期ないし後期のいつでもよい。遺伝
子発現によって得られる組換えタンパクは、菌体量とほ
ぼ比例して得られるので、組換えタンパクを大量に得よ
うとする場合には、対数増殖期の後期に温度上昇を行っ
た方がよい。
【0014】発現誘導を行った後、さらに培養を継続し
て組換えタンパクを菌体内に蓄積させる。例えば、pUEX
組換え大腸菌の場合には、アンピシリンを添加したL培
地で30℃でOD540が1.5〜3.0に達するまで培養した後、
培養温度を42℃に上げてさらに2〜4時間培養すること
により、多くの菌体量が得られかつ組換えタンパクを高
収率で得ることができる。
【0015】本発明でいう不溶性顆粒状組換えタンパク
とは外来遺伝子を大腸菌にて高発現することによりしば
しば産生タンパクが菌体内で凝集することにより形成さ
れる不溶性の不活性な封入体のことをいう。例えば、pU
EXベクターを用いて生産されるβーガラクトシダーゼ遺
伝子と目的外来遺伝子の発現産物であるβーガラクトシ
ダーゼ融合タンパクなどである。該不溶性顆粒状組換え
タンパクは培養によって組換え大腸菌の細胞質内に存在
して大きさは0.5〜1.0μm、比重が1.2前後である。
【0016】該不溶性顆粒状組換えタンパクは、通常以
下のような5ステップで組換え大腸菌より分離精製して
可溶性の目的組換えタンパクを得る。(1)不溶性顆粒状
組換えタンパクを含む組換え大腸菌の破砕を行う工程
(以下、菌体破砕工程とも言う)。(2)遠心洗浄操作に
より不溶性顆粒状組換えタンパクと可溶性不純物と分画
する工程(以下、分画工程とも言う)。(3)遠心洗浄に
より不溶性顆粒状組換えタンパクの洗浄を行い可溶性不
純物を除去して純度を上げる工程(以下、洗浄工程とも
言う)。(4)不溶性顆粒状組換えタンパクを強力なタン
パク変性剤で可溶化処理をして可溶性の組換えタンパク
を得る工程(以下、抽出工程とも言う)。(5)タンパク
変性剤による可溶化処理により可溶性となった組換えタ
ンパクを遠心分離操作により不溶性夾雑物と分離する工
程(以下、分離工程とも言う)。
【0017】本発明でいう菌体とは組換え大腸菌をい
う。
【0018】本発明でいう破砕とは該菌体の破砕工程を
意味する。即ち、培養によって得られた組換え大腸菌を
集菌、水溶液に懸濁状態にした後、細胞壁を破砕する操
作である。培養した組換え大腸菌を懸濁する溶媒は水性
溶媒ならば特に限定されずpHも特に限定されないが、弱
酸性からアルカリ性のものが好適に用いられる。好まし
くはpH6.0〜10.0、さらに好ましくはpH6.5〜10.0の溶媒
が望ましい。このような溶媒として具体的には、生理食
塩水、0.87%塩化ナトリウム含有10mM燐酸緩衝液,pH7.2
(以下、PBSとも略記する)、0.1M塩化ナトリウム含有5
0mMトリス緩衝液,pH8.3(以下、TBSとも略記する)等が
挙げられる。該組換え大腸菌の細胞壁を破砕する方法も
公知の方法が特に限定されず採用される。例えば、超音
波破砕、フレンチプレス、リゾチーム処理、凍結融解法
等(以下、これらの処理を超音波破砕等とも略記する)
であるが超音波処理が好適に用いられる。破砕時の菌体
濃度は超音波処理等で破砕が可能な濃度ならばいずれで
も良く好適には0.2(g−菌体/ml−緩衝液)以下が
望ましい。超音波処理等で破砕した菌体破砕物を組換え
大腸菌破砕物とする。
【0019】該組換え大腸菌破砕物は続く分画工程で遠
心分離により夾雑物と分離して沈澱画分に不溶性顆粒状
組換えタンパクを得る。該組換え大腸菌破砕物を遠心分
画する際、該組換え大腸菌破砕物の溶媒への懸濁濃度は
特に限定されないが、0.05(gー組換え大腸菌破砕物/
mlー緩衝液)以下が望ましい。該溶媒は水性溶媒なら
ば特に限定されずpHも特に限定されないが、弱酸性から
アルカリ性のものが好適に用いられる。好ましくはpH6.
0〜10.0で、さらに好ましくはpH6.5〜10.0の溶媒が望ま
しい。このような溶媒として具体的には、生理食塩水、
PBS、TBS等が挙げられる。遠心分離の条件は可溶性不純
物と不溶性顆粒状組換えタンパクを分離できる条件なら
ば何ら限定されない。例えば、遠心加速度10,000g、20
分間等の条件が好適に採用される。
【0020】上記分画工程による分画操作に続き、該不
溶性顆粒状組換えタンパクの純度を高めるため不純物を
分離する洗浄工程を行う。該洗浄工程は公知の方法が特
に限定されず採用される。例えば、洗浄に用いる溶媒は
不溶性顆粒状組換えタンパクが可溶化状態にならないも
のを用いる。好ましくは3M以下の尿素または1M以下の塩
酸グアニジン、あるいは0.01%以下のTritonX-100などの
界面活性剤を含む緩衝液等を用いる。遠心分離の条件は
該不溶性顆粒状組換えタンパクを沈澱せしめる条件なら
ば特に限定されない。例えば、遠心加速度10,000g、20
分間等の条件が採用される。洗浄工程での該不溶性顆粒
状組換えタンパクの溶媒への懸濁濃度はいずれでも良い
が、0.05(gー組換え大腸菌破砕物/mlー緩衝液)以下
が望ましい。該洗浄工程により高純度の不溶性顆粒状組
換えタンパクが得られる。
【0021】本発明でいう抽出工程とは上記の洗浄工程
を終えた不溶性顆粒状組換えタンパクをタンパク変性剤
を用いて凝集状態から可溶化状態にする操作工程であ
る。該タンパク変性剤としては通常、6〜8M濃度の塩酸
グアニジンを含む緩衝液、8〜10M濃度の尿素を含む緩衝
液等が用いられる。抽出工程の時間はいずれでも良い。
抽出工程での不溶性顆粒状組換えタンパクの変性剤に対
する濃度は公知の濃度を用いることが出来る。
【0022】次いで、上記タンパク変性剤による可溶化
処理により可溶性となった組換えタンパクは、分離工程
により不溶性夾雑物と分離する。該分離工程の遠心操作
の条件は可溶性の組換えタンパクと不溶性不純物が分離
する条件であれば何ら限定されなく、例えば、遠心加速
度16,000g、30分間等の条件が好適に用いられる。
【0023】上記工程を経て可溶性の目的組換えタンパ
クを得ることが出来る。この可溶性組換えタンパクは、
タンパク変性剤を高濃度含んでいるので必要に応じて生
理食塩水などの緩衝液に対して透析等により除去を行っ
ても良い(以下、上記操作を変性剤除去工程とも言
う)。さらに該可溶性組換えタンパクは公知のタンパク
の精製方法、例えばゲル濾過、イオン交換などの各種カ
ラムクロマトグラフィーによる精製方法を適用すること
によりさらに精製することができる。
【0024】本発明でいう組換えタンパクとは組換え大
腸菌により生産される目的外来遺伝子由来のポリペプチ
ドをいう。
【0025】本発明でいう加熱処理とは組換え大腸菌内
に存在して組換えタンパクを酵素的に分解するプロテア
ーゼを変性させるために行う熱失活操作をいい、該加熱
処理の温度はプロテアーゼを熱失活できる温度であれば
よく、好ましくは50℃以上120℃以下、さらに好ましく
は60℃以上100℃以下である。
【0026】加熱処理の時間は特に限定されないが該不
溶性顆粒状組換えタンパクが設定温度となってから1分
間以上が好ましい。さらに好ましくは5分間以上1時間以
下である。
【0027】組換え大腸菌内のプロテアーゼは菌体破砕
工程以前では上記加熱処理に対して非常に安定である。
加えてプロテアーゼは不溶性顆粒状組換えタンパクには
作用せず、該不溶性顆粒状組換えタンパクを可溶化した
時点で速やかに作用を開始する。
【0028】従って、該加熱処理の時期は不溶性顆粒状
組換えタンパクの分離精製において菌体破砕工程から抽
出工程の間で選定することが必要であるが、本発明で
は、特に不溶性顆粒状組換えタンパクを可溶化するため
にタンパク変性剤を添加する抽出工程で該加熱処理を行
【0029】上記抽出工程で加熱処理することにより、
組換えタンパクの酵素的分解をより高度に回避すること
ができる。
【0030】該加熱処理は不溶性顆粒状組換えタンパク
の抽出工程の間であるならば複数回行うことも可能であ
るが、好ましくは1回である。
【0031】加熱処理を施す手段としては公知の方法が
何ら制限なく採用される。例えば、上記段階の不溶性顆
粒状組換えタンパクを含む懸濁液をガラス瓶に入れて恒
温水槽等で加熱処理する、あるいは不溶性顆粒状組換え
タンパクを含む懸濁液をガラス瓶に入れ高圧蒸気滅菌器
で加熱する等である。
【0032】加熱処理時の圧力も特に限定されず、好ま
しくは大気圧から2気圧までである。
【0033】
【発明の効果】本発明により、プロテアーゼ等による酵
素的分解を受けずに高収率且つ高純度で安定的に不溶性
顆粒状組換えタンパクより目的の組換えタンパクを得る
ことができる。
【0034】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。ただし、これらの実施例により本発明が何ら限定さ
れるものではない。
【0035】実施例1 組換え大腸菌HB101[pHCX01]
の培養によるC型肝炎ウイルス(以下、HCVとも略記
する)抗原活性を有する組換えタンパクの製造 (1−1)凍結保存菌の調製 組換え大腸菌HB101[pHCX01](特願平4-198806、微工
研菌寄第13056号)をLB+Amp培地[Bacto trypton
e 1.0%, Yeast extract 0.5%, NaCl 0.5%, アンヒ゜シリン(Am
p)50μg/ml]で30℃で一晩培養し、最終濃度が15%と
なるようにグリセリンを添加して−80℃で凍結保存し
た。
【0036】(1−2)組換え大腸菌の培養 組換え大腸菌HB101[pHCX01]の凍結保存菌体1mlを、
1リットルのLB+Amp培地に接種し30℃にて一晩培養し
た。続いて上記培養物を、20リットルのLB+Amp培地に
植菌し30℃でOD540が1.5となるまで培養し、培養温度
を42℃に上昇させて引き続き3時間培養した。培養後、
遠心分離により集菌し57gの湿菌体を得た。
【0037】(1−3)菌体破砕工程、分画工程、洗浄
工程 該湿菌体を2リットルの、0.6M尿素を含むTNE緩衝液(50mM
Tris・HCl(pH8.3), 100mM NaCl, 1mM EDTA)に懸濁し、
超音波処理により破砕した。上記菌体破砕物を遠心加速
度10,000g、20分間の遠心分離により、組換えタンパク
を含む不溶性顆粒状組換えタンパクを沈澱画分に回収し
た。上記沈澱物を、再び2リットルの0.6M尿素を含むTNE緩
衝液に懸濁して不溶性顆粒状組換えタンパクを洗浄し、
遠心分離することにより沈澱を回収した。更に上記沈澱
物を、2リットルの3M尿素を含むTNE緩衝液に懸濁し、室温
で30分間攪はんすることにより不溶性顆粒状組換えタン
パクを十分洗浄した後、遠心分離することにより不溶性
顆粒状組換えタンパクを沈澱画分に回収した。
【0038】(1−4)組換えタンパクの抽出工程での
加熱処理 予め80℃に加熱した75mlの6M塩酸グアニジンを含むTNE
緩衝液を該不溶性顆粒状組換えタンパクの沈澱に加え懸
濁状態にした後、懸濁液を容量200mlの蓋付きガラス瓶
に入れた。密栓をしたのち、80℃、30分間水浴中で加熱
した。これを遠心加速度16,000g、30分間の遠心分離に
より上清を分取し、20リットルの培養液から980mgの精製サ
ンプル(1)が得られた。
【0039】(1−5)抗HCV抗体との反応性 組換え大腸菌HB101[pHCX01]により産生されるHCV
抗原活性を有する組換えタンパクについて、ウエスタン
ブロッティングにより輸血後非A非B型肝炎患者血清
(抗HCV抗体を含有する血清)との反応性を調べた。
【0040】まず、上記精製サンプル(1)、1μgにつ
いてSDS−PADEを行った。SDS−PADEによ
り分離されたタンパクを、Bio-Rad社製トランスファー
装置(Transblot SD semi-dry transfer cell)を用い
て電気的に、イモビロンPVDFトランスファーメンブ
レン(ミリポア社製品)へトランスファーした。その方
法はアンダーセンらの方法[J. Biochem. Biophys. Met
hod, Vol.10, p203(1984).]に従って行った。次にタン
パクが移しとられたイモビロンPVDFトランスファー
メンブレンをブロッキングした後、一次抗体として正常
人血清または輸血後非A非B型肝炎患者血清を反応させ
た。次に二次抗体としてビオチン化抗ヒトIgG抗体
(Vector社製品)を反応させた。次に、Vector社Vecsta
inABCキットを用いアビジン、ビオチン化ペルオキシダーゼ
を反応させ、さらに過酸化水素、3,3'-ジアミノベンジ
ジンによる発色反応を行い、血清中の抗HCV抗体(一
次抗体)の検出を行った。またこの実験はトービンらの
方法[Proc.Natl.Acad.Sci.USA, Vol.76, p4350(197
9).]に従って行った。輸血後非A非B型肝炎患者血清
を使用した場合には、約140kdに相当する位置に特異的
な陽性バンドが検出された。また、同様の方法で正常人
血清を使用して行ったウエスタンブロッティングの場合
には、これらのバンドは検出されなかった。このことよ
り、本発明の組換え大腸菌HB101[pHCX01]により産生
される組換えタンパクは、抗HCV抗体と特異的に反応
した。
【0041】比較例1 組換え大腸菌HB101[pHCX01]の
培養によるHCV抗原活性を有する組換えタンパクの製
造 凍結保存菌の調製、組換え大腸菌の培養は実施例1と同
様である。
【0042】(2−1)菌体破砕工程、分画工程 得られた湿菌体を2リットルの、0.6M尿素を含むTNE緩衝液
(50mM Tris・HCl(pH8.3), 100mM NaCl, 1mM EDTA)に懸
濁し、超音波処理により破砕した。上記菌体破砕物を遠
心加速度10,000g、20分間の遠心分離により、組換えタ
ンパクを含む不溶性顆粒状組換えタンパクを沈澱画分に
回収した。上記沈澱物を、再び2リットルの0.6M尿素を含む
TNE緩衝液に懸濁して不溶性顆粒状組換えタンパクを洗
浄し、遠心分離することにより沈澱を回収した。
【0043】(2−2)洗浄工程での加熱処理 更にこの沈澱を、2リットルの3M尿素を含むTNE緩衝液に懸
濁し、室温で30分間攪はんすることにより不溶性顆粒状
組換えタンパクを十分洗浄した後、遠心分離することに
より不溶性顆粒状組換えタンパクを沈澱画分に回収し
た。
【0044】該不溶性顆粒状組換えタンパクを2リットルの
3M尿素を含むTNE緩衝液に懸濁したのち、懸濁液を容量3
リットルの蓋付きガラス瓶に入れ、密栓をしたのち、80℃、
30分間水浴中で加熱処理を施した。
【0045】(2−3)組換えタンパクの抽出 加熱処理を施した不溶性顆粒状組換えタンパクを含む懸
濁液に遠心加速度10,000g、20分間の遠心分離を施し、
組換えタンパクを含む不溶性顆粒状組換えタンパクを沈
澱画分に回収した。該沈澱画分に、75mlの6M塩酸グアニ
ジンを含むTNE緩衝液を加えて室温、30分間放置して沈
澱を可溶化した。これを遠心加速度16,000g、30分間の
遠心分離により上清を分取し、20リットルの培養液から850m
gの精製サンプル(2)が得られた。
【0046】(2−4)抗HCV抗体との反応性 実施例1と同様に精製サンプル(2)、1μgをウエスタ
ンブロティング法により解析した。輸血後非A非B型肝
炎患者血清を使用した場合には、約140kdに相当する位
置に特異的な陽性バンドが検出された。また、同様の方
法で正常人血清を使用して行ったウエスタンブロッティ
ングの場合には、これらのバンドは検出されなかった。
このことより、本発明の組換え大腸菌HB101[pHCX01]
により産生される組換えタンパクは、抗HCV抗体と特
異的に反応した。
【0047】比較例 加熱処理を行わない組換え大腸
菌HB101[pHCX01]の培養によるHCV抗原活性を有す
る組換えタンパクの製造 凍結保存菌の調製、組換え大腸菌の培養は実施例1に準
ずる。
【0048】(3−1)菌体破砕工程、分画工程、洗浄
工程 得られた湿菌体を2リットルの、0.6M尿素を含むTNE緩衝液
(50mM Tris・HCl(pH8.3), 100mM NaCl, 1mM EDTA)に懸
濁し、超音波処理により破砕した。上記菌体破砕物を遠
心加速度10,000g、20分間の遠心分離により、組換えタ
ンパクを含む不溶性顆粒状組換えタンパクを沈澱画分に
回収した。上記沈澱物を、再び2リットルの0.6M尿素を含む
TNE緩衝液に懸濁して不溶性顆粒状組換えタンパクを洗
浄し、遠心分離することにより沈澱を回収した。更に上
記沈澱物を、2リットルの3M尿素を含むTNE緩衝液に懸濁
し、室温で30分間攪はんすることにより不溶性顆粒状組
換えタンパクを十分洗浄した後、遠心加速度10,000g、2
0分間の遠心分離をすることにより不溶性顆粒状組換え
タンパクを沈澱画分に回収した。
【0049】(3−2)組換えタンパクの抽出工程 不溶性顆粒状組換えタンパクの沈澱に、75mlの6M塩酸グ
アニジンを含むTNE緩衝液を加えて室温、30分間放置し
て沈澱を可溶化した。これを遠心加速度16,000g、30分
間の遠心分離により上清を分取し、20リットルの培養液から
820mgの精製サンプル(3)が得られた。
【0050】(3−3)抗HCV抗体との反応性 実施例1と同様に精製サンプル(3)、1μgをウエスタ
ンブロティング法により解析した。輸血後非A非B型肝
炎患者血清を使用した場合、実施例1で検出された約14
0kdに相当する特異的な陽性バンドがかなり薄いバンド
としてしか検出されなかった。また、正常人血清を使用
して行ったウエスタンブロッティングの場合には、実施
例1と同様これらのバンドは検出されなかった。
【0051】実施例1、比較例1及び比較例2の輸血後
非A非B型肝炎患者血清を使用した場合のウエスタンブ
ロティングで、イモビロンPVDFトランスファーメン
ブレンで検出された約140kdの特異的な陽性バンドをデ
ンシタメーター(TEFCO社製品)でOD値として数値化し
て比較した。分析に供した精製サンプル(1)、精製サ
ンプル(2)及び精製サンプル(3)が等量であること
より、約140kdの特異的バンドの濃さの比較は精製サン
プル中に含まれる目的組換えタンパクの収量の比較とな
る。収量はデンシトメーターの測定値の内、実施例1の
OD値を100%として相対値で表1に示す。比較例1、2
精製サンプル(2)、精製サンプル(3)に含まれる約
140kdに相当する特異的な陽性バンドは実施例1の精製
サンプル(1)と比較して低い値でしか検出できなかっ
た。このことより、本発明の製造方法による組換え大腸
菌HB101[pHCX01]により産生される組換えタンパクの
調製は、従来法に比較して高収率で調製できる。
【0052】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12P 21/00 - 21/02 C12N 15/09 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組換え大腸菌を培養して不溶性顆粒状組
    換えタンパクを生産せしめた後菌体を破砕し次いで抽出
    する組換えタンパクの製造方法において、不溶性顆粒状
    組換えタンパクの抽出工程で加熱処理を施すことを特徴
    とする前記製造方法。
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