JP3204151U - 切削工具 - Google Patents
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Abstract
【課題】炭素繊維強化プラスチック(CFRP)材料等からなる難削部材を容易にトリミング加工するために有効な、改良された構造を有する切削工具を提供する。【解決手段】軸線(P)回りに回転せしめられる棒状体からなる切削工具10において、その軸線方向の先端側部分に、先端部から基部側に向かって延び、且つ回転方向の後方側にねじれてなる第一の凹溝12に沿う第一の切刃16の複数枚と、先端部から基部側に向かって延び、且つ回転方向の前方側にねじれてなる第二の凹溝14に沿う第二の切刃18の複数枚とを形成し、それら第一の切刃16と第二の切刃18とを、回転方向において互いに間隔を隔てて交互に配置すると共に、第一の凹溝12と第二の凹溝14とに挟まれてなる形態の三角形状の島部22を独立して形成し、島部22の回転方向の前方側の稜部に第一の切刃16が形成されるように、構成した。【選択図】図1
Description
本考案は、切削工具に係り、特に、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)材料等からなる難削部材を有利にトリミング加工するための改良された構造を有する切削工具に関するものである。
従来から、様々な材料からなる板状の被削部材をトリミング加工(切断)する際に用いられる切削工具として、軸線回りに回転せしめられる棒状体からなり、その外周面に、複数枚の切刃が形成されてなるものが、種々の形態において提案されている。また、そのような切削工具においては、一般に、切削抵抗の低減や切り屑の効率的な排出等を図るために、軸線方向に向かって螺旋状にねじれた切刃が、複数枚形成されることとなる。
ところが、そのようにねじれた切刃を備える切削工具にあっては、切断部(トリミング加工部)の片面にバリが生じ易いという構造上の問題があり、特に、被削部材を構成する材料によっては、そのような切削工具の構造に起因するバリ等の問題が顕著となることが認められている。
例えば、近年、自動車や航空機等の分野においては、金属材料に匹敵する引張強度を備えると共に、金属材料と比較して軽量であるところから、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)材料が多く用いられてきているが、そのようなCFRP材料からなる部材は、切削加工が困難な部材、所謂難削部材として知られているのである。即ち、CFRP材料からなる板状の被削部材を、従来の切削工具を用いてトリミング加工した場合には、切断部において比較的大量のバリが発生したり、CFRP材料を構成する繊維材料による切り屑詰まりが生じるという問題があったのである。更に、そのように切断部において生じたバリは、積層された複数のシート状炭素繊維(炭素繊維層)間の剥離、所謂デラミネーションの原因となると共に、加工精度の悪化をも、惹起することとなるのである。
かかる状況下、特開2015−000458号公報(特許文献1)においては、繊維強化プラスチックの切削加工に適したエンドミル(切削工具)として、第1の刃溝が切削回転方向にねじれて形成された第1の刃部と、かかる第1の刃部に後続し、第2の刃溝が切削回転方向の反対方向にねじれて形成された第2の刃部とを含んでなるエンドミルが、提案されている。
そして、そのようなエンドミルを用いて切削加工を行なうことにより、刃溝が切削回転方向にねじれている第1の刃部とワーク(被削部材)との当接面に働く、ワークを上に押し上げる力と、刃溝が切削回転方向と反対方向にねじれている第2の刃部とワークとの当接面に働く、ワークを下に押し下げる力とが拮抗する結果、ワークの浮き上がりやビビリが防止され、以て、切削面(切断面)にバリや剥離を発生させることなく、繊維強化プラスチックの切削加工が可能になることが、明らかにされている。
また、国際公開第2009/122937号(特許文献2)においては、ねじれ角が正となる方向にねじれた第1の切れ刃と、ねじれ角が負となる方向にねじれた第2の切れ刃とを備え、それら第1の切れ刃と第2の切れ刃の各々が、有効刃長間で連続した切れ刃として構成されてなるエンドミルが、提案されている。
そして、そのようなエンドミルを用いて切削加工を行なうことにより、ねじれ角が正の切れ刃(第1の切れ刃)による切削で発生したバリが、後続のねじれ角が負の切れ刃(第2の切れ刃)による補完切削で大半が切り取られることとなり、以て、バリの少ない切断面が得られ、高品位加工が可能になることが、明らかにされている。
しかしながら、そのような特許文献1において提案されている切削工具にあっては、その構造が複雑であるところから、切削工具自体の製作が困難であると共に、コストが高騰してしまうという問題がある。また、このような切削工具を用いたトリミング加工中に、第1の刃部と第2の刃部との境界部分が、板状の被削部材の厚さ方向の略中心から外れてしまった場合、被削部材に掛かる上向きの力(第1の刃部から受ける力)と下向きの力(第2の刃部から受ける力)との不均衡が生じ、切断部においてバリや炭素繊維層の剥離が生じる原因となると共に、被削部材のバタつきや曲がり(変形)が惹起され、それらに起因する加工精度の悪化等の不具合を生じるという問題を内在しているのである。
また、上記特許文献2において提案されている切削工具にあっては、それぞれ有効刃長間で連続して延び、周方向において隣り合う、第1の切れ刃と第2の切れ刃との間隔が、切削工具の先端側に向かって広くなるところから、切削工具の径に対して、形成可能な切り刃の枚数が少なくなって、切削性能が低下してしまうという問題がある。更に、このような切削工具において、切り刃の枚数を多くしようとすると、切削工具の径を大きくせざるを得ず、それによって、材料コストや製造コストの高騰、及びワークの歩留まり低下という新たな問題が惹起されることとなる。
ここにおいて、本考案は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)材料等からなる難削部材を容易にトリミング加工するために有効な、改良された構造を有する切削工具を提供することにある。
本考案は、上記した課題又は明細書全体の記載や図面から把握される課題を解決するために、以下に列挙せる如き各種の態様において、好適に実施され得るものである。また、以下に記載の各態様は、任意の組み合わせにおいても、採用可能である。なお、本考案の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載並びに図面に開示の技術思想に基づいて、認識され得るものであることが、理解されるべきである。
(1) 軸線回りに回転せしめられる棒状体からなり、その軸線方向の先端側部分に、複 数枚の切刃が形成されてなる切削工具であって、前記複数枚の切刃が、前記棒状体 の軸線方向の先端部から基部側に向かって延び、且つ該棒状体の回転方向の後方側 にねじれてなる第一の凹溝に沿って形成される第一の切刃の複数枚と、該棒状体の 軸線方向の先端部から基部側に向かって延び、且つ該回転方向の前方側にねじれて なる第二の凹溝に沿って形成される第二の切刃の複数枚とからなり、それら第一の 切刃と第二の切刃とが、該回転方向において互いに間隔を隔てて交互に配置されて いると共に、該第一の凹溝と該第二の凹溝とが交差するように形成されて、前記棒 状体の軸線方向の先端側部分において、それら第一の凹溝と第二の凹溝とに挟まれ てなる形態の三角形状の島部が独立して形成され、そして、該島部の前記回転方向 の前方側の稜部に、前記第一の切刃が形成されていることを特徴とする切削工具。
(2) 前記軸線方向の先端部から基部側に向かって所定距離隔てた位置で、前記回転方 向において隣り合う前記複数枚の切刃の間隔が、全て等間隔となるように、構成さ れている前記態様(1)に記載の切削工具。
(3) 前記軸線方向における前記第一の切刃又は前記第二の切刃の長さの中央位置で、 前記回転方向において隣り合う前記複数枚の切刃の間隔が、全て等間隔となるよう に、構成されている前記態様(1)に記載の切削工具。
(4) 前記第一の切刃が3枚形成されていると共に、前記第二の切刃が3枚形成されて いる前記態様(1)乃至前記態様(3)の何れか1つに記載の切削工具。
(5) 前記3枚の第一の切刃が、それぞれ、前記回転方向に120°の位相差をもって 等間隔に配置されていると共に 前記3枚の第二の切刃が、それぞれ、該回転方向 に120°の位相差をもって等間隔に配置されている前記態様(4)に記載の切削 工具。
(6) 前記回転方向が、前記軸線方向の基部側から見て右回転とされ、前記第一の切刃 が右ねじれ右刃とされていると共に、前記第二の切刃が左ねじれ右刃とされている 前記態様(1)乃至前記態様(5)の何れか1つに記載の切削工具。
(7) 前記第一の切刃と前記第二の切刃とが前記軸線方向においてオーバーラップする 長さが、板状の被削部材の厚さよりも長くされている前記態様(1)乃至前記態様 (6)の何れか1つに記載の切削工具。
(2) 前記軸線方向の先端部から基部側に向かって所定距離隔てた位置で、前記回転方 向において隣り合う前記複数枚の切刃の間隔が、全て等間隔となるように、構成さ れている前記態様(1)に記載の切削工具。
(3) 前記軸線方向における前記第一の切刃又は前記第二の切刃の長さの中央位置で、 前記回転方向において隣り合う前記複数枚の切刃の間隔が、全て等間隔となるよう に、構成されている前記態様(1)に記載の切削工具。
(4) 前記第一の切刃が3枚形成されていると共に、前記第二の切刃が3枚形成されて いる前記態様(1)乃至前記態様(3)の何れか1つに記載の切削工具。
(5) 前記3枚の第一の切刃が、それぞれ、前記回転方向に120°の位相差をもって 等間隔に配置されていると共に 前記3枚の第二の切刃が、それぞれ、該回転方向 に120°の位相差をもって等間隔に配置されている前記態様(4)に記載の切削 工具。
(6) 前記回転方向が、前記軸線方向の基部側から見て右回転とされ、前記第一の切刃 が右ねじれ右刃とされていると共に、前記第二の切刃が左ねじれ右刃とされている 前記態様(1)乃至前記態様(5)の何れか1つに記載の切削工具。
(7) 前記第一の切刃と前記第二の切刃とが前記軸線方向においてオーバーラップする 長さが、板状の被削部材の厚さよりも長くされている前記態様(1)乃至前記態様 (6)の何れか1つに記載の切削工具。
このように、本考案に従う切削工具にあっては、複数枚の切刃が、棒状体の先端部から基部側に向かって延び、且つ回転方向の後方側にねじれてなる第一の切刃の複数枚と、棒状体の先端部から基部側に向かって延び、且つ回転方向の前方側にねじれてなる第二の切刃の複数枚とからなり、それら第一の切刃と第二の切刃とが、回転方向において互いに間隔を隔てて交互に配置されているところから、被削部材に対して、第一の切刃から作用せしめられる力と第二の切刃から作用せしめられる力とが、交互に作用することとなる。そのため、それら第一の切刃及び第二の切刃から作用せしめられる力が、被削部材の厚さ方向(棒状体の軸線方向)において偏ることなく安定することとなって、切断部におけるバリの発生等が抑制され、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)材料等からなる被削部材(難削部材)であっても、有利にトリミング加工することが可能となるのである。
また、本考案に従う切削工具にあっては、切削工具から被削部材に対して作用せしめられる力が安定するために、トリミング加工中の被削部材のバタつきや曲がり(変形)が抑制され、それらに起因する加工精度の悪化等の不具合の発生が効果的に抑制されることとなるのである。
さらに、本考案に従う切削工具にあっては、第一の凹溝が、棒状体の軸線方向の先端部から基部側に向かって延び、且つ棒状体の回転方向の後方側にねじれてなる一方、第二の凹溝が、棒状体の軸線方向の先端部から基部側に向かって延び、且つ回転方向の前方側にねじれてなっており、切り屑排出溝として機能する第一の凹溝と第二の凹溝とが、互いに逆方向にねじれている。そのため、切り屑が被削部材の厚さ方向の両側に効果的に排出されることとなり、切り屑詰まりの発生が有利に阻止され得るという利点もある。
加えて、本考案に従う切削工具にあっては、第一の凹溝と第二の凹溝とが交差するように形成され、棒状体の軸線方向の先端側部分において、それら第一の凹溝と第二の凹溝とに挟まれてなる形態において三角形状の島部が、独立して形成されており、かかる島部の回転方向における前方側の稜部に、第一の切刃が形成されているところから、回転方向において隣り合う第一の切刃と第二の切刃との間隔を狭くすることが出来る。そのため、所定の径の棒状体に対して、出来るだけ多くの切刃を容易に形成することが出来、以て、切削工具の材料コストや製造コストの高騰、及び被削部材の歩留まり低下を招くことなく、切削工具の切削性能を向上させることが可能となるのである。また、かかる独立した三角形状の島部の存在によって、強い切刃が構成されると共に、溝幅が広くなることにより、切り屑の排出も有利に向上せしめられ得ることとなったのである。
以下、本考案を更に具体的に明らかにするために、本考案の代表的な実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
先ず、図1には、本考案に従う切削工具の一例が、斜視形態において、示されている。そこにおいて、切削工具10は、超硬合金等の硬質材料によって形成された棒状体からなり、その軸線:P方向の先端側部分には、複数の凹溝(第一の凹溝12、第二の凹溝14)のそれぞれに沿って、複数枚の切刃(第一の切刃16、第二の切刃18)が形成されている一方、その基部側部分は、そのような凹溝12、14や切刃16、18が何等形成されていないシャンク部20(直径:φ)とされている。なお、本実施形態に係る切削工具10の軸線:P回りの回転方向が、図1において細線矢印で示される方向とする。
より詳細には、図1乃至図3に示されるように、切削工具10の先端側部分には、軸線:P方向の先端部(図2における左方向端部)から基部側(図2における右側)に向かって延び、且つ切削工具10の回転方向の後方側にねじれてなる第一の凹溝12と、軸線:P方向の先端部から基部側に向かって延び、且つ切削工具10の回転方向の前方側にねじれてなる第二の凹溝14が形成されている。そして、それら第一の凹溝12及び第二の凹溝14は、それぞれ、軸線:Pに直交する断面において略台形状を為すように、形成されている(図3参照)。
また、図1及び図2に示されるように、第二の凹溝14の軸線:P方向の長さは、第一の凹溝12の軸線:P方向の長さよりも長くされており、第一の凹溝12の軸線:P方向の基部側の端部が、第二の凹溝14の中間部位に交差する(突き当たる)ように形成されている。これにより、切削工具10の軸線:P方向の先端側部分において、第一の凹溝12と第二の凹溝14とに挟まれるようにして、切削工具10の径方向の外方から見て略三角形状を呈する島部22が、独立して形成されている。
そして、切削工具10の先端側部分においては、第一の凹溝12に沿って、第一の切刃16が形成されている。より詳細には、第一の凹溝12の回転方向の後方側の溝壁部の上端に形成された稜部に、第一の切刃16が形成されている。換言すれば、ここでは、前述せるようにして形成された島部22の回転方向の前方側の稜部に、第一の切刃16が形成されているのである。そして、軸線:P方向における第一の切刃16の長さがL1とされている。
さらに、切削工具10の先端側部分においては、第二の凹溝14に沿って、第二の切刃18が形成されている。即ち、第二の凹溝14の回転方向の後方側の溝壁部の上端に形成された稜部に、所定の長さに亘って第二の切刃18が形成されているのである。そして、軸線:P方向における第二の切刃18の長さがL2とされている。
ここで、本実施形態においては、切削工具10の回転方向、並びに、第一の凹溝12、第二の凹溝14、第一の切刃16、及び第二の切刃18のねじれ方向の左右は、軸線:P方向の基部側、即ちシャンク部20側から切削工具10を見たときを基準とするものとする。従って、本実施形態においては、切削工具10の回転方向は、軸線:P方向の基部側から見て右回転(時計回り)とされており、更に、第一の切刃16が右ねじれ右刃とされていると共に、第二の切刃18が、かかる第一の切刃16とはねじれ方向が逆とされた、左ねじれ右刃とされているのである。
なお、例示の切削工具10にあっては、図3から明らかなように、第一の凹溝12及び第二の凹溝14が、切削工具10の回転方向において交互に、それぞれ3つずつ形成されている。そして、第一の切刃16及び第二の切刃18が、対応する第一の凹溝12又は第二の凹溝14に沿って、それぞれ3枚ずつ形成されていると共に、切削工具10の回転方向に対するねじれ方向が互いに逆方向とされた第一の切刃16と第二の切刃18とが、切削工具10の回転方向において、互いに間隔を隔てて、交互に配置されている。
また、3枚の第一の切刃16、16、16は、それぞれ、切削工具10の回転方向に位相差をもって配置されている。ここでは、回転方向において互いに隣り合う第一の切刃16、16の位相差:θ1が、それぞれ、120°とされている。即ち、3枚の第一の切刃16、16、16が、切削工具10の回転方向に同一の位相差:θ1(120°)をもって、等間隔に配置されているのである。
さらに、3枚の第二の切刃18、18、18も、それぞれ、切削工具10の回転方向に所定の位相差をもって配置されており、ここでは、回転方向において互いに隣り合う第二の切刃18、18の位相差:θ2が、それぞれ、120°とされている。即ち、3枚の第二の切刃18、18、18が、切削工具10の回転方向に同一の位相差:θ2(120°)をもって、等間隔に配置されている。
ここで、切削工具10の回転方向において互いに隣り合う第一の切刃16と第二の切刃18との間隔について、図4を参照して説明する。かかる図4は、本実施形態に係る切削工具10において、第一の切刃16及び第二の切刃18が存在する軸線:P回りの円筒状の外周面を仮定して、平面展開した場合の概略図である。
図4に示されるように、隣り合う第一の切刃16と第二の切刃18のうち、回転方向前方に位置する第一の切刃16と回転方向後方に位置する第二の切刃18とは、軸線:P方向の先端側から基部側に向かって徐々に近づく関係となり、その間隔が軸線:P方向の基部側に向かって徐々に狭くなる関係にある。
これに対し、隣り合う第一の切刃16と第二の切刃18のうち、回転方向前方に位置する第二の切刃18と回転方向後方に位置する第一の切刃16とは、軸線:P方向の先端側から基部側に向かって徐々に離れる関係となり、その間隔が、軸線:P方向の基部側に向かって徐々に広くなる関係にある。
そして、そのような関係の下、本実施形態に従う切削工具10にあっては、軸線:P方向の先端部から基部側に向かって所定距離:X隔てた位置で、回転方向において隣り合う複数枚の切刃である第一の切刃16と第二の切刃18との間隔が、全て等間隔:dとされているのである。
なお、ここでは、そのような構成が、等間隔に配置された第一の切刃16、16、16からなる切刃群と、同じく等間隔に配置された第二の切刃18、18、18からなる切刃群との位置関係を、切削工具10の先端部において、軸線:Pを通る直線(直径)に対して非対称となるように僅かにズラすことにより実現されている。即ち、図3に示されるように、切削工具10の先端部においては、第一の切刃16及び軸線:Pを通る直線に対して、第二の切刃18及び軸線:Pを通る直線が、全て位相差:Δθをもっており、回転方向前方に位置する第一の切刃16と回転方向後方に位置する第二の切刃18の間隔と、回転方向前方に位置する第二の切刃18と回転方向後方に位置する第一の切刃16の間隔とが、異なっているのである。
ところで、上述の如き構造を有する切削工具10を用いて、目的とする板状の被削部材24をトリミング加工する際の一例を、図5及び図6に概略的に示す。
ここでは、具体的に、本考案に従う切削工具10として、先ず、直径:φが12mmの超硬合金の棒状体を準備し、次いで、かかる棒状体の軸線:P方向の先端側部分に、第一の凹溝12、12、12に沿う3枚の第一の切刃16、16、16及び第二の凹溝14、14、14に沿う3枚の第二の切刃18、18、18の合計6枚の切刃を、それぞれ形成した。なお、第一の切刃16、16、16の軸線:P方向の長さ:L1を7mmとする一方、第二の切刃18、18、18の軸線:P方向の長さ:L2を10mmとした。更に、切削工具10の回転方向において隣り合う第一の切刃16と第二の切刃18との間隔が全て等間隔(d)となる、切削工具10の先端部からの距離:Xは、3mmとした。
また、被削部材24として、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)材料からなる板材を準備した。かかる被削部材24の厚さ(板厚):tは2mmである。
図5に示されるように、切削工具10は、シャンク部20が多軸マシニングセンタ等の加工機械の主軸26に保持され、軸線:P回りに回転された状態で、かかる軸線:Pに交差する方向(図5及び図6において紙面に垂直な方向)に送り出される。そして、被削部材24と接触せしめられた第一の切刃16及び第二の切刃18によって、被削部材24がトリミング加工(切断)されることとなる。なお、被削部材24は、加工機械の支持台28において両端(側)支持されている。
このとき、図6に示されるように、被削部材24の厚さ方向の中心位置(t/2)と、切削工具10において、隣り合う第一の切刃16と第二の切刃18との間隔が全て等間隔(d)となる位置が一致せしめられた状態で、被削部材24のトリミング加工が実施されることが望ましい。更に、第一の切刃16及び第二の切刃18の両方を被削部材24と接触させてトリミング加工を実施するため、第一の切刃16と第二の切刃18とが軸線:P方向においてオーバーラップする長さ(ここでは、第一の切刃16の長さL1と同等)は、板状の被削部材24の厚さ:tよりも長くされている。
そして、図6に示されるように、このような切削工具10を用いた被削部材24のトリミング加工時には、切削工具10の回転方向の後方側に向かって上傾する第一の切刃16から、被削部材24に対して、軸線:P方向の基部側(図6における上側)に向かう力:F1(図6中の白抜き矢印:F1参照)が作用せしめられることとなる。一方、切削工具10の回転方向の後方側に向かって下傾する第二の切刃18からは、被削部材24に対して、軸線:P方向の先端側(図6における下側)に向かう力:F2(図6中の白抜き矢印:F2参照)が作用せしめられることとなるのである。
なお、第一の切刃16によって生じる被削部材24の切り屑は、回転方向の後方側に向かって上傾する第一の凹溝12内を通って、被削部材24の上面に向かって排出されるようになる。一方、第二の切刃18によって生じる被削部材24の切り屑は、回転方向の後方側に向かって下傾する第二の凹溝14内を通って、被削部材24の下面に排出されることとなる。
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、切削工具10の回転方向に対するねじれ方向が互いに逆方向となるように構成された、第一の切刃16、16、16と第二の切刃18、18、18とが、切削工具10の回転方向において互いに間隔を隔てて交互に配置せしめられているところから、被削部材24のトリミング加工部位において、第一の切刃16、16、16から作用せしめられる軸線:P方向の基部側に向かう力と、第二の切刃18、18、18から作用せしめられる軸線:P方向の先端側に向かう力とが、交互に作用することとなる。そのため、それら第一の切刃16、16、16及び第二の切刃18、18、18から作用せしめられる力が、被削部材24の厚さ方向(切削工具10の軸線:P方向)において相殺され、バタつきなく安定することとなって、被削部材24の切断部におけるバリの発生等が効果的に抑制され得、以て、被削部材24を有利にトリミング加工することが可能となったのである。
そして、そのようにバリの発生等を抑制しつつ、被削部材24を有利にトリミング加工することが出来るところから、被削部材24の切断部(切断面)の外観の乱れが効果的に抑制されると共に、加工精度が有利に確保されるという利点を享受することが出来、更に、CFRP材料からなる被削部材24においては、かかる被削部材24を構成する複数の炭素繊維層間の剥離(デラミネーション)の発生が有利に抑制され得るという特徴をも発揮され得るのである。
しかも、切削工具10にあっては、切削工具10から被削部材24に対して作用せしめられる力が、軸線:P方向のどちらか一方に偏ることなく安定することとなるため、トリミング加工中の被削部材24のバタつきや曲がり(変形)が効果的に抑制され、それらに起因する加工精度の悪化等の不具合の発生が有利に抑制されることとなるのである。それ故に、例示の如く、被削部材24が片持ち支持とされた場合であっても、被削部材24を有利にトリミング加工することが出来るのである。
また、切削工具10は、軸線:P方向における先端部から基部側に向かって所定距離:Xを隔てた位置において、回転方向において隣り合う第一の切刃16と第二の切刃18の間隔が、全て等間隔:dとされている。そして、そのような第一の切刃16と第二の切刃18の間隔が全て等間隔とされた部位において、被削部材24をトリミング加工することによって、より効果的に被削部材24に掛かる力を安定させて、切断部におけるバリの発生の抑制効果や、被削部材24のバタつき抑制効果等を得ることが可能となる。
さらに、本実施形態に係る切削工具10にあっては、第一の凹溝12と第二の凹溝14とを交差させて、それらの間に、三角形状の島部22が独立して形成されるようにしたことにより、強い切刃(16)が有利に形成され得ると共に、溝幅が広くなって、切り屑の排出性も効果的に向上せしめ得ることとなったのである。
そして、本実施形態における切削工具10にあっては、第一の凹溝12と第二の凹溝14とに挟まれるようにして、独立して形成された三角形状の島部22の回転方向前方側の稜部には、第一の切刃16が形成されているところから、切削工具10の回転方向において隣り合う第一の切刃16と第二の切刃18との間隔が狭くされているのである。そのため、所定の径の切削工具10に対して、出来るだけ多くの切刃16、18を容易に形成することが出来ることとなり、以て、切削工具10の材料コストや製造コストの高騰、及び被削部材24の歩留まり低下を招くことなく、切削工具10の切削性能を向上させることが可能となるのである。
具体的には、切削工具10においては、第一の切刃16が3枚形成されていると共に、第二の切刃18が3枚形成されているところから、トリミング加工中に各切刃16、18に対して掛かる荷重(切削抵抗)が、それぞれの切刃16、18に有利に分散されることとなる。従って、切削工具10の送り速度を比較的高速とすることが出来るという利点があり、トリミング加工に掛かる時間の低減や、送り速度を上げることによるバタつきの抑制も可能となるのである。
特に、切削工具10にあっては、3枚の第一の切刃16、16、16が、それぞれ、切削工具10の回転方向に120°の位相差をもって等間隔に配置されていると共に 3枚の第二の切刃18、18、18が、それぞれ、切削工具10の回転方向に120°の位相差をもって等間隔に配置されているところから、より有利に切削抵抗が各切刃16、18に分散せしめられ、上述の如き効果を有利に享受することが出来るようになっている。
また、本考案に従う切削工具10にあっては、第一の凹溝12、12、12が、切削工具10の軸線:P方向の先端部から基部側に向かって延び、且つ切削工具10の回転方向の後方側にねじれてなる一方、第二の凹溝14、14、14が、切削工具10の軸線:P方向の先端部から基部側に向かって延び、且つ回転方向の前方側にねじれてなっているところから、被削部材24の切り屑排出溝として機能する第一の凹溝12と第二の凹溝14とが、互いに逆方向にねじれている。そのため、切り屑が被削部材24の厚さ方向の両側に効果的に排出されることとなり、切り屑詰まりの発生が有利に阻止されるという利点もある。
以上、本考案の代表的な実施形態について詳述してきたが、それは、あくまでも例示に過ぎないものであって、本考案は、そのような実施形態に係る具体的な記述によって、何等限定的に解釈されるものではないことが、理解されるべきである。
例えば、切削工具10の回転方向において隣り合う第一の切刃16と第二の切刃18との間隔が、全て等間隔:dとされている位置は、軸線:P方向における第一の切刃16又は第二の切刃18の長さの中央位置とされていてもよい。即ち、切削工具10において、軸線:P方向の先端部から基部側に向かって、軸線:P方向における第一の切刃16の長さの半分(L1/2)を隔てた位置において、回転方向において隣り合う第一の切刃16と第二の切刃18との間隔が、全て等間隔:dとされていてもよいのである。これにより、第一の切刃16及び第二の切刃18の有効刃長を効率良く利用することが出来、被削部材24が第一の切刃16又は第二の切刃18に接触しないという事態を有利に回避することが出来るようになる。
また、第一の切刃16及び第二の切刃18の枚数は、何等例示の枚数に限定されるものではない。ここで、第一の切刃16と第二の切刃18とが切削工具10の回転方向において交互に配置されるところから、それら第一の切刃16と第二の切刃18とが同じ枚数ずつ形成されていることが望ましい。なお、そのような切刃16、18の枚数は、切削工具10を構成する棒状体の直径(φ)とも関係するものであり、切削工具10自体の材料コスト及び製造コストや、被削部材24の歩留まり等も考慮して、適宜に決定されることとなる。
さらに、切削工具10の軸線:P方向の先端部には、所定の底刃が設けられていてもよく、そのような切削工具10を、所謂エンドミルとして用いることも出来る。
その他、一々列挙はしないが、本考案は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、そして、そのような実施の態様が、本考案の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本考案の範疇に属するものであることは、言うまでもないところである。
10 切削工具 12 第一の凹溝
14 第二の凹溝 16 第一の切刃
18 第二の切刃 22 島部
24 被削部材
14 第二の凹溝 16 第一の切刃
18 第二の切刃 22 島部
24 被削部材
Claims (7)
- 軸線回りに回転せしめられる棒状体からなり、その軸線方向の先端側部分に、複数枚の切刃が形成されてなる切削工具であって、
前記複数枚の切刃が、前記棒状体の軸線方向の先端部から基部側に向かって延び、且つ該棒状体の回転方向の後方側にねじれてなる第一の凹溝に沿って形成される第一の切刃の複数枚と、該棒状体の軸線方向の先端部から基部側に向かって延び、且つ該回転方向の前方側にねじれてなる第二の凹溝に沿って形成される第二の切刃の複数枚とからなり、それら第一の切刃と第二の切刃とが、該回転方向において互いに間隔を隔てて交互に配置されていると共に、
該第一の凹溝と該第二の凹溝とが交差するように形成されて、前記棒状体の軸線方向の先端側部分において、それら第一の凹溝と第二の凹溝とに挟まれてなる形態の三角形状の島部が独立して形成され、そして、該島部の前記回転方向の前方側の稜部に、前記第一の切刃が形成されていることを特徴とする切削工具。 - 前記軸線方向の先端部から基部側に向かって所定距離隔てた位置で、前記回転方向において隣り合う前記複数枚の切刃の間隔が、全て等間隔となるように、構成されている請求項1に記載の切削工具。
- 前記軸線方向における前記第一の切刃又は前記第二の切刃の長さの中央位置で、前記回転方向において隣り合う前記複数枚の切刃の間隔が、全て等間隔となるように、構成されている請求項1に記載の切削工具。
- 前記第一の切刃が3枚形成されていると共に、前記第二の切刃が3枚形成されている請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の切削工具。
- 前記3枚の第一の切刃が、それぞれ、前記回転方向に120°の位相差をもって等間隔に配置されていると共に 前記3枚の第二の切刃が、それぞれ、該回転方向に120°の位相差をもって等間隔に配置されている請求項4に記載の切削工具。
- 前記回転方向が、前記軸線方向の基部側から見て右回転とされ、前記第一の切刃が右ねじれ右刃とされていると共に、前記第二の切刃が左ねじれ右刃とされている請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の切削工具。
- 前記第一の切刃と前記第二の切刃とが前記軸線方向においてオーバーラップする長さが、板状の被削部材の厚さよりも長くされている請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の切削工具。
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