JP3203527B2 - ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ - Google Patents

ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ

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JP3203527B2 JP02584993A JP2584993A JP3203527B2 JP 3203527 B2 JP3203527 B2 JP 3203527B2 JP 02584993 A JP02584993 A JP 02584993A JP 2584993 A JP2584993 A JP 2584993A JP 3203527 B2 JP3203527 B2 JP 3203527B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶接作業性が良好で、
かつ優れた低温靱性の溶接金属を得ることができるガス
シールドアーク溶接用フラックス入りワイヤに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】チタニア系フラックスを充填剤として使
用し、シールドガスとして炭酸ガス、アルゴン、ヘリウ
ム等の単体あるいは混合ガスを使用するガスシールドア
ーク溶接用フラックス入りワイヤは、優れたビード外
観、形状を与えると共に、溶接作業性、作業能率の向上
が得られるため、軟鋼や50キロ級高張力鋼の構造物等
の溶接に広く用いられている。
【0003】しかし、チタニア系のフラックス入りワイ
ヤの最大の欠点は低温靱性が低いことである。特公昭5
6−6840号公報に記載された溶接用フラックス入り
ワイヤの場合、チタニア系フラックスにTi、Bを添加
して靱性改善が図られているが、−45〜−60℃での
高靱性が要求される低温用鋼用としては、性能的に不十
分である。
【0004】一方、チタニア系以外のフラックスを用い
て低温靱性を改善する溶接用フラックス入りワイヤは、
例えば特開昭52−116746号公報に示されてお
り、良好な低温靱性が得られているが、チタニア系フラ
ックスを用いたものに比べ、ビードの外観、形状が悪
く、全姿勢での溶接作業性の点で劣り、実用化に至って
いない。
【0005】さらに、チタニア系フラックス入りワイヤ
の特性を維持しつつ、その欠点である低温靱性を改善す
る方法として、特公昭59−44159号公報におい
て、従来700〜900ppm程度であった溶接金属中
の酸素量をMg、Ti、Bの複合添加により500pp
m以下にすることによって、低温靱性を改善する技術が
提案されているが、−60℃以下での高靱性が要求され
る低温用鋼の溶接材料としては性能的に不十分である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、チタニア系
フラックスの特長である良好な溶接作業性を確保し、か
つ低温靱性をより低温域まで確保することを目的とした
もので、Ca、Alの添加量を規定することにより、チ
タニア系フラックスの最大の欠点であった溶接金属中の
酸素含有率を大幅に低減して500ppm以下にし、併
せて粒内フェライトの生成核となる微細なTi酸化物を
多く析出させ、ミクロ組織を微細化することにより、低
温靱性を改善して、従来ワイヤの欠点を解消し、適用分
野を拡大することのできるフラックス入りワイヤを提供
しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは下記のとおりである。 (1)鋼製外皮にフラックスを充填してなるガスシール
ドアーク溶接用フラックス入りワイヤにおいて、充填フ
ラックス中にワイヤ全重量に対し、 TiO2 :4.0〜7.0% SiO2 :0.1〜0.5% Si:0.4〜1.0% Mn:1.5〜3.0% Mg:0.4〜0.7% B:0.001〜0.02% 酸化物:4.1〜8.0%(TiO2 、SiO2 を含め
て) さらにAl、Caが Al:0.03〜0.15% Ca:0.001〜0.012% であり、なおかつ式を満足する範囲で含有することを
特徴とするガスシールドアーク溶接用フラックス入りワ
イヤ。
【0008】 0.08%≦10×Ca+Al≦0.18% …………… (2)請求項1記載のフラックス入りワイヤにおいて、
充填フラックス中にワイヤ全重量に対して、Ni、T
i、Zrのうちの1種または2種以上を下記の規定範囲
内で含有することを特徴とするガスシールドアーク溶接
用フラックス入りワイヤ。
【0009】Ni:1.0〜3.0% Ti:0.04〜0.15% Zr:0.04〜0.15%
【0010】
【作用】前記した如く、チタニヤ系フラックス入りワイ
ヤは、溶接作業性が優れる点にその最大の特長がある
が、従来のワイヤ組成に単にミクロ組織微細化に有効で
あるとされているTi、Bを複合添加しても溶接金属の
ミクロ組織は微細化されず、低温靱性は何等改善できな
かった。この原因について本発明者らは種々検討した結
果、下記のことを見出した。
【0011】粒内フェライトの核生成サイトとなるの
は、TiO2 などのTi酸化物であること。 この核生成サイトとなるTi酸化物は、アーク溶接時
にワイヤ先端が溶融して溶融プールを形成する際に、チ
タニヤ系フラックス入りワイヤのフラックスの主要成分
であるTiO2 が還元され、生成したTiが凝固過程で
再び酸化されて微細なTi酸化物となったものであるこ
と。
【0012】上記TiO2 の還元のために、脱酸剤で
あるAl、Mn、Siなどを単に多量に添加すると、大
型の酸化物が急激に増加し、これがTi酸化物との大型
の複合酸化物を形成するため、Ti酸化物が粒内フェラ
イトの生成核となる働きを減じ、その結果ミクロ組織の
微細化が不十分となること。 一方、脱酸剤が不足すると、凝固過程でBが酸化消耗
するため、γ粒界に偏析した初析フェライトの生成を抑
制するフリーBが十分確保できず、ミクロ組織の微細化
が十分に達成されないこと。
【0013】そこで、低温靱性を改善するため、ミクロ
組織微細化に有効なTi酸化物をどのようにして確保す
るかに着目して検討を行った結果、Ca、Al等の脱酸
剤の添加量を適切に保つことが重要なことがわかった。
すなわち、(1)充填フラックスの主たる酸素源である
TiO2 、SiO2 添加量に対し、Ca、Al、Si、
Mn、Mgなどの脱酸剤添加量を適切に選択し、スラグ
剤中のTiO2 、SiO2 から供給された酸素量に対
し、十分な脱酸効果を確保し、TiO2 の還元を促進さ
せること。
【0014】(2)Alなどの窒化物形成元素が酸化消
耗せずに窒化物を形成するに必要な量を確保できるこ
と。 (3)加えて、γ粒界に偏析する初析フェライトの生成
を抑制するフリーBを十分に確保できること。 これらが複合して初めてミクロ組織の微細化が可能にな
り、靱性が向上できることを見出したものである。
【0015】以下に本発明における成分限定理由につい
て述べる。 TiO2 :4.0〜7.0% TiO2 は、チタニヤ系フラックス入りワイヤの主要成
分であり、溶接ビードに対するスラグ形成剤およびアー
ク安定剤としての役割を果たす。また、溶接過程におい
て一部が還元され、Tiとして溶接金属中に歩留るとさ
れている。しかし、本発明者らが種々検討を行った結
果、TiO2 から還元されたTiは溶接凝固過程で再度
酸化され、粒内フェライトの生成核となる微細なTi酸
化物となることを見出した。このTi酸化物が適量存在
して初めて、粒内フェライトは微細なアシュキュラーフ
ェライトとなり、ミクロ組織が微細化されるが、ワイヤ
全重量に対して4.0%未満ではミクロ組織微細化に有
効なTi酸化物が確保できず靱性が不足する。また、
7.0%を超えると、溶接金属中の酸素量が増加して靱
性が低下すること、およびスラグ巻込みが発生し易くな
り、溶接部の健全性が著しく損なわれるので、TiO2
は4.0〜7.0%とした。 SiO2 :0.1〜0.5% SiO2 はスラグ剤中の主たる酸素源であり、また少量
の添加で非金属介在物を形成し、還元されて粒内フェラ
イト生成に有効なTi酸化物との複合介在物を形成し、
ミクロ組織を微細化することができるが、0.5%超で
はミクロ組織の微細化を阻害する。しかし、0.1%未
満ではスラグの被包性が急激に低下してビードが凸型と
なるアンダーカットが発生するため、SiO2 は0.1
〜0.5%とした。
【0016】Si:0.4〜1.0% Siは脱酸剤として使用し、溶接金属の酸素量を低減さ
せる上で効果がある。しかし、0.4%未満では脱酸力
が不足してブローホールが発生し、また1.0%を超え
るとフェライトを固溶硬化させ、靱性を低下させるの
で、その範囲を0.4〜1.0%とした。
【0017】Mn:1.5〜3.0% Mnは脱酸を補助し、溶融金属の流動性を改善する上で
効果があり、また強度・靱性を改善する上でも効果があ
る。しかし、1.5%未満では、脱酸不足となり溶接欠
陥が発生し易く、また、3.0%を超えると溶接金属が
脱酸過剰となりピットやブローホールが発生し易くなる
ので1.5〜3.0%とした。
【0018】Mg:0.4〜0.7% Mgは高温のアーク中において酸素と反応し、ワイヤ先
端の溶滴の段階で脱酸反応が行われる。その結果、脱酸
生成物が溶融池内に残留しないこと、さらには溶融池内
で反応するSi、Mnの脱酸反応を助けて溶接金属の酸
素量を減少させる上で効果がある。しかし、0.4%未
満では上記効果が不足し、また0.7%を超えるとアー
ク長が過大となり、立向溶接において溶融金属が垂れ下
がり、ビード形成が不可能となるので、Mgは0.4〜
0.7%とした。
【0019】B:0.001〜0.02% Bは、γ粒界に偏析して初析フェライトの生成を制御
し、溶接金属のミクロ組織を微細化することにより靱性
改善に効果がある。しかし、0.001%未満ではミク
ロ組織微細化による靱性改善効果が得られず、また0.
02%を超えると炭化物を形成して著しく靱性を損なう
ので、0.001〜0.02%とした。
【0020】Al:0.03〜0.15% Alは強脱酸剤であり、溶着金属の酸化を妨げ、TiO
2 の還元を促進し、ミクロ組織を微細化し、靱性を改善
する上で効果がある。さらには、Bの酸化消耗を制御
し、γ粒界に偏析するフリーBを確保する上で必須の成
分である。しかし、0.03%未満では靱性改善効果は
得られず、0.15%を超えるとAl酸化物が急激に増
加し、これがTi酸化物と結合し大型の複合介在物とな
り、粒内フェライトの核生成サイトとなるTi酸化物が
不足するため靱性が低下するので、Alは0.03〜
0.15%とした。
【0021】Ca:0.001〜0.012% Caは強力な脱酸剤であり、溶接金属中のTi酸化物と
結合して複合介在物となり、粒内フェライトの核生成サ
イトとなるTi酸化物を生成させるため、靱性を改善す
る上で効果がある。しかし、0.001%未満では、粒
内フェライトの核生成サイトとなるTi酸化物が不足す
るため、靱性が低下する。また0.012%超では、溶
滴が粗大化して作業性が悪くなり、さらには大粒のスパ
ッタが多発する。このため、Caは0.001〜0.0
12%とした。
【0022】酸化物:4.1〜8.0% 本発明では、スラグ形成剤としてTiO2 、SiO2
他、酸化鉄、Al2 3 、ZrO2 、MgO、MnO、
BiO2 、Na2 O、K2 Oの酸化物を併用することが
できるが、酸化物の添加量の総和が8.0%を超える
と、スラグ生成量を多くさせると共にスラグ差込みを起
こし易くし、かつ溶接金属中の酸素量を増加させるの
で、8.0%を超えて添加すると本発明の成果を達成す
ることができない。
【0023】 0.08%≦10×Ca+Al≦0.18% TiO2 は溶接過程において一部が還元されTiとして
溶融金属中に歩留る。この還元されたTiは凝固過程に
おいて再度酸化されTi酸化物となり、これが粒内フェ
ライトの核生成サイトとなる。また、γ粒界から生成す
る初析フェライトの生成を抑制させるにはフリーBが必
要である。Bは凝固過程で一部が酸化消耗し、残部が溶
接金属中に歩留るが、溶接凝固過程においてB以外に有
効な窒化物形成元素が不足すると、B窒化物となりフリ
ーBが不足することになり、ミクロ組織が微細化されな
い。
【0024】粒内フェライトの核生成サイトとなるTi
酸化物を確保し、かつBの酸化を防ぐには、Al、Ca
量をスラグ形成剤であるTiO2 、SiO2 から供給さ
れる酸素量に対し、十分な量を添加することが重要であ
る。このAlとCaは溶接金属中に歩留るTiを確保
し、かつ一部がAl窒化物を生成し、B窒化物が生成す
ることを妨げ、フリーBを確保する働きをし、溶接金属
の微細化を実現する。このCaとAlの適正添加範囲を
見出したのが本発明の特長の1つである。
【0025】図1は、ワイヤ全重量に対してTiO
2 4.4〜5.2%、SiO2 0.3%、FeO0.5
%、Si0.7%、Mn1.8%、Mg0.5%、B
0.008%、Ni2.0%、Ca0.001〜0.0
13%、Al0.03〜0.14%である充填剤を軟鋼
外皮に充填し、1.2mmφに仕上げたワイヤを作製
し、後記する実施例の溶接条件と同一条件で溶接金属を
作製し、衝撃試験を実施し、10×Ca+Al量と破面
遷移温度との関係を調査したものである。図1から明ら
かなように、破面遷移温度(vTrs)は、充填剤中の
CaとAl量により変化し、10×Ca+Al量が、
0.08〜0.18%であれば−60℃以下と非常に良
好な結果を示した。
【0026】10×Ca+Al量が0.08%未満の場
合には、脱酸が不足し、TiO2 の還元によるTi確保
ができずにミクロ組織の微細化ができない。10×Ca
+Al量が0.18%を超えるとTi酸化物と共に大型
の複合酸化物を形成し、その結果粒内フェライトの核生
成サイトになる酸化物が不足するためミクロ組織が微細
化されず、靱性が劣化している。以上の結果より、10
×Ca+Al量を0.08〜0.18%とした。
【0027】本発明は以上の成分を含み、残部は実質的
に鉄からなるワイヤであるが、更にこれにNi、Ti、
Zrの1種または2種以上を含有させてさらに靱性を向
上することができる。 Ni:1.0〜3.0% Niは強度・低温靱性を確保するために添加するが、
1.0%未満では十分な靱性改善効果が得られず、また
3.0%を超えると高温割れが発生しやすくなるので、
1.0〜3.0%とした。
【0028】Ti:0.04〜0.15% Tiは強脱酸剤であり、溶着金属の酸化を妨げ、Bの酸
化消耗を抑制する。また、溶接凝固過程の高温域でTi
Nを形成してNを固定するため、冷却過程でBがBNと
なることを妨げ、γ粒界に偏析するフリーBを確保する
上で必須の成分である。しかし、0.04%未満では金
属Tiのほとんどが酸化消耗し、溶接金属中にTiNを
形成する上で十分なTiが歩留らないため、上記効果が
十分得られず、ミクロ組織の微細化が不十分となり、靱
性改善効果が得られないので、下限を0.04%とし
た。また、0.15%を超えると炭化物を形成し、溶接
金属が過度に硬化する結果、著しく靱性が低下するの
で、上限を0.15%とした。
【0029】Zr:0.04〜0.15% Zrは強脱酸剤であり、溶着金属の酸化を妨げ、かつ溶
接金属のミクロ組織を微細化し、靱性改善に効果があ
る。しかし、0.04%未満では、ミクロ組織微細化に
よる靱性改善効果が得られず、また0.15%を超える
と炭化物を形成して著しく靱性を損なうので、0.04
〜0.15%とした。
【0030】本発明で用いられる充填フラックスに要求
される組成は以上の通りであるが、上記の要件を満足し
得る範囲で他の合金元素等を併用することもできる。例
えば、鉄粉は溶着量を多くし高能率化が図れる。また、
60〜80キロ級の強度を確保するために、Cu、C
r、Mo、V等を添加して必要な強度を得ることもでき
る。
【0031】鋼製外皮としては、充填加工性の点から、
深絞り性の良好な冷間圧延鋼材および熱間圧延鋼材が用
いられる。またフラックスの充填率は、特に限定されな
いが、伸線性を考慮して、ワイヤ重量に対して、10〜
30%の範囲が最も適当である。なお、尚ワイヤの断面
形状には何らの制限もなく、2.0mmφ以下の細径の
場合は比較的単純な円筒状のものがよく、また2.4〜
3.2mmφ程度の太径ワイヤの場合は、鞘材を内部へ
複雑に折り込んだ構造のものが一般的である。またシー
ムレスワイヤにおいては、表面にCu等のメッキ処理を
施すことも有効である。
【0032】さらに本発明の溶接対象鋼種を低温用鋼お
よび高合金鋼等とすることも可能である。
【0033】
【実施例】表1に試作したワイヤの構成を、また表2に
試験結果を示す。表1、2において、No.1〜6は比
較例、No.7〜16が本発明になるワイヤの実施例で
ある。いずれも軟鋼外皮を用いて1.2mmφに仕上げ
たワイヤを使用し、JISZ3313に準じて、下記の
条件で溶接して溶着金属を作製し、引張試験および衝撃
試験を実施した。
【0034】表2に得られた試験結果を示す。 溶接条件 溶接電流:直流逆極性 270A 溶接電圧:29V 溶接速度:30cm/分 シールドガス:CO2 :25リットル/分 ワイヤ突出し長さ:20mm 母材:板厚20mm、材質:低温用鋼板 JIS SLA325B 積層法:6層12パス 表2の試験結果から明らかなように、比較例であるN
o.1〜No.3のワイヤは、作業性は良好であるが、
10×Ca+Al量が本発明範囲外であるため、粒内フ
ェライトの生成核となるTi酸化物の析出が少なくな
り、その結果ミクロ組織が粗大化し、靱性の向上が見ら
れなかった。
【0035】No.4のワイヤは、作業性は良好である
が、Si量が多く、さらにMgの効果が得られないた
め、破面遷移温度が−50℃程度で靱性の向上が見られ
なかった。No.5のワイヤは、Mg量が多いため、ア
ーク長が過大となり、立向溶接において溶融金属が垂れ
下がり、ビード形成が不可能となった。
【0036】No.6のワイヤは、TiO2 量が少ない
ため、スラグの被包性が悪く、またMn量が多く、Mg
量が少ないため、溶接金属のミクロ組織が粗大化し、靱
性の向上は見られなかった。No.7〜16は、10×
Ca+Al量も0.08〜0.18%の範囲にあり、M
n、Si、Ca、Alの脱酸剤の適正な調整により、v
Trsが−60℃以下の低温靱性が得られた。また、溶
接作業性も良好なことが確認できた。
【0037】No.7〜8の本発明の実施例のワイヤは
Ni、Tiの添加はないが、ミクロ組織が微細化し、遷
移温度が−60℃程度であることが確認できた。No.
9〜10の本発明の実施例のワイヤはTiの添加があ
り、さらにAW部ミクロ組織が微細化し、遷移温度が−
65℃程度であることが確認できた。No.11〜12
の本発明の実施例のワイヤは、Niの添加があり、再熱
部でのミクロ組織が微細化し、遷移温度が−65℃程度
であることが確認できた。
【0038】No.13〜16の本発明の実施例のワイ
ヤは、Ni、Tiを添加したもので、さらにミクロ組織
が微細化し、遷移温度が−75℃程度であることが確認
できた。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【発明の効果】本発明のフラックス入りワイヤは以上の
ように構成されており、溶接作業性に優れたチタニア系
フラックス入りワイヤで添加成分の組合せおよび添加量
を規定することにより、溶接金属中に粒内フェライトを
形成する核生成サイトとなる微細な複合介在物を多量に
析出させ、溶接金属中のミクロ組織を微細化することに
よって低温靱性を改善した。その結果、チタニア系フラ
ックス入りワイヤの欠点を解消し、その用途を大幅に拡
大し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】充填フラックス中の10×Ca+Al量と溶着
金属の衝撃試験における破面遷移温度との関係を示す図
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 京 広之 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株 式会社 技術開発本部内 (56)参考文献 特開 平4−309492(JP,A) 特開 平5−269593(JP,A) 特開 平6−155079(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 35/368 B23K 35/30

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼製外皮にフラックスを充填してなるガ
    スシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにおい
    て、充填フラックス中にワイヤ全重量に対して重量%
    (以下全て%は重量%を表す)で、 TiO2 :4.0〜7.0% SiO2 :0.1〜0.5% Si:0.4〜1.0% Mn:1.5〜3.0% Mg:0.4〜0.7% B:0.001〜0.02% 酸化物:4.1〜8.0%(TiO2 、SiO2 を含め
    て) さらにAl、Caが Al:0.03〜0.15% Ca:0.001〜0.012% であり、なおかつ式を満足する範囲で含有することを
    特徴とするガスシールドアーク溶接用フラックス入りワ
    イヤ。 0.08%≦10×Ca+Al≦0.18% ……………
  2. 【請求項2】 請求項1記載のフラックス入りワイヤに
    おいて、充填フラックス中に、ワイヤ全重量に対して、
    Ni、Ti、Zrのうちの1種または2種以上を下記規
    定範囲内で含有することを特徴とするガスシールドアー
    ク溶接用フラックス入りワイヤ。 Ni:1.0〜3.0% Ti:0.04〜0.15% Zr:0.04〜0.15%
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