JP3120912B2 - ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ - Google Patents

ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ

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JP3120912B2 JP04319106A JP31910692A JP3120912B2 JP 3120912 B2 JP3120912 B2 JP 3120912B2 JP 04319106 A JP04319106 A JP 04319106A JP 31910692 A JP31910692 A JP 31910692A JP 3120912 B2 JP3120912 B2 JP 3120912B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶接作業性が良好で、
かつ優れた低温じん性を得るガスシールドアーク溶接用
フラックス入りワイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】フラックス入りワイヤは、ビード外観・
溶接作業性が良好であることおよび溶接能率が向上する
ことから、軟鋼および490MPa 級高張力鋼の溶接に広
く使用されている。一方、590MPa 級高張力鋼・低温
用Alキルド鋼の溶接には、例えば低水素系の被覆アー
ク溶接棒が多く使用されているが、溶接能率を高めるた
め、フラックス入りワイヤの開発が強く要望されてい
る。
【0003】従来、軟鋼および490MPa 級高張力鋼の
溶接に使用されていたフラックス入りワイヤにおいて
は、ルチールを主成分とするフラックスが充填剤として
使用されている。このルチール系フラックス入りワイヤ
は、上述したように、溶接作業性という面では優れた特
徴を持つが、一方、溶接金属の材質面からはじん性確保
が難しく、特に−20℃以下の低温域においてじん性を
確保するのは困難とされていた。この理由としては、T
iO2 が酸化性酸化物であり、溶接時において溶融金属
から溶融スラグが浮上・分離し難いため、非金属介在物
として溶接金属に残留し、その結果として溶接金属中の
酸素量が700〜900ppm と著しく高くなるために起
因する。
【0004】このような問題を解決するものの一例とし
て、特公昭59−44159号公報においてフラックス
中にMgを添加し、更に金属Ti或いはFe−Tiなど
の状態でTiを添加し、溶接金属の酸素量を低減させる
ことによって低温じん性の改善を図るという発明が開示
されている。しかし、ルチール系フラックス入りワイヤ
では単にMgおよびTiを添加するだけでは溶接金属の
酸素量を減少することはできず、従って低温じん性改善
は不十分であった。
【0005】このようなルチール系フラックス入りワイ
ヤの欠点を解消するものとして、特開昭52−1254
37号公報では、金属弗化物を主成分に金属炭酸塩やス
ラグ生成剤・強脱酸剤の調整により低温じん性改善を図
る発明が開示されている。しかし、この発明においても
溶接金属中の酸素量の低減という点では改善されている
が、ミクロ組織微細化がなされておらず、そのため−6
0℃近傍の低温度域においてじん性を確保するには未だ
改善不十分であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題を
解決し、溶接作業性が良好で、かつ優れたじん性を得る
ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤを提供
するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは、鋼製外皮にフラックスを充填してなるガスシー
ルドアーク溶接用フラックス入りワイヤにおいて、ワイ
ヤ全重量に対して重量%で、 金属弗化物:2.0〜7.0%、 TiO2 :0.1〜1.5%、 Si :0.2〜1.0%、 Mn :1.0〜3.0%、 Ni :0.5〜4.5%、 Ti :0.02〜0.10%、 Mg :0.1〜0.6%、 Al :0.01〜0.09%、 B :0.002〜0.010% を含有し、 MgとAl量が0.5≦(Mg+10×Al)≦1.5 の範囲にあることを特徴とするガスシールドアーク溶接
用フラックス入りワイヤ。および鋼製外皮にフラック
スを充填してなるガスシールドアーク溶接用フラックス
入りワイヤにおいて、ワイヤ全重量に対して重量%で、 金属弗化物:2.0〜7.0%、 TiO2 :0.1〜1.5%、 Si :0.2〜1.0%、 Mn :1.0〜3.0%、 Ni :0.5〜4.5%、 Ti :0.02〜0.10%、 Mg :0.1〜0.6%、 Al :0.01〜0.09%、 B :0.002〜0.010% を含有し、かつ Cr :0.2〜0.8%、 Mo :0.1〜0.6% の1種または2種を含有し、さらに MgとAl量が0.5≦(Mg+10×Al)≦1.5 の範囲にあることを特徴とするガスシールドアーク溶接
用フラックス入りワイヤにある。
【0008】
【作用】上述した如く、ルチール系フラックス入りワイ
ヤは溶接作業性が優れる点にその最大の特長があるが、
溶接金属の酸素量が高く、低温じん性を確保するという
目的に対して本質的に不向きである。一方、金属弗化物
を主成分とするフラックス入りワイヤでは、溶接金属の
酸素量は200〜300ppm 程度の範囲まで低下する。
しかしながら、従来のワイヤ組成に単にミクロ組織微細
化に有効であるとされているTi・Bを複合添加しても
溶接金属のミクロ組織は微細化されず、低温じん性は何
等の改善も見られなかった。
【0009】この原因について本発明者らは種々検討し
た結果、 粒内フェライトの核生成サイトとなるのは、Ti2
3 などのTi酸化物であり、粒内フェライトの核となる
有効なTi酸化物が不足すると、ミクロ組織の微細化が
十分に達成されない。 γ粒界に偏析し初析フェライトの生成を抑制するフリ
ーBが、溶接過程で酸化消耗する、或いは窒化物を形成
するため、十分に確保できず、ミクロ組織の微細化が十
分に達成されないため、じん性が改善されないことを見
いだした。
【0010】そこで、ミクロ組織を微細化し低温じん性
を改善するには、 充填フラックス中の主たるスラグ剤である金属弗化物
を適量確保してスラグの酸素ポテンシャルを極力低め、
更にAl・Mgなどによりスラグ剤中のTiO2 の還元
を促進させることが第1に必要である。 更に上記の効果に加えて、比較的高温下でAl・T
iなどの一部が窒化物を形成することによりBが窒化物
を形成するのを妨げ、γ粒界に偏析し初析フェライトの
生成を抑制するフリーBを確保することができるように
する。 以上2点の達成により初めて達成できることを見いだし
たものである。
【0011】以下に、本発明における成分組成限定理由
について述べる。 金属弗化物:2.0〜7.0% 金属弗化物は、スラグ剤として溶融金属を被包しビード
形成を良好にすると共に、溶融金属からのスラグの浮上
分離を促し、溶接金属中の酸素量を低下させるため使用
する。この金属弗化物としてはCaF2 ,MgF2 ,B
aF2 ,MnF2 ,K2 SiF6 ,SrF2 などが有効
であり、アルカリ金属弗化物を用いる場合はアークの安
定性も向上させる。2.0%未満では上記効果が得られ
ず、また、7.0%を超えるとスラグの流動性が過剰と
なりビード形状が悪化するので、金属弗化物は2.0〜
7.0%とした。
【0012】TiO2 :0.1〜1.5% TiO2 は、粒内フェライトの核となるTi酸化物を確
保する上で必須の成分である。TiO2 はワイヤ先端の
溶滴の段階、つまりは非常に高温の状態で還元が進み、
溶滴がアーク中を飛行し溶融池に至る段階で還元された
Tiが溶融スラグから供給される酸素により再度酸化さ
れTi酸化物となる。こうして形成されたTi酸化物は
TiO2 3 などの低級酸化物であり、粒内フェライト
の核となり微細なアシキュラーフェライト組織の生成を
促進する。また、溶接ビードに対するスラグ形成剤およ
びアーク安定剤としての性質も示す。しかし、ワイヤ全
重量に対して0.1%未満ではミクロ組織微細化に有効
なTi酸化物が確保できず、従って低温じん性が改善さ
れない。また、1.5%を超えると溶接金属中の酸素量
が増加し、大形の非金属介在物が増加するためミクロ組
織が微細化されず、じん性が低下するのでTiO2
0.1〜1.5%とした。
【0013】Si:0.2〜1.0% Siは脱酸剤として使用し、溶接金属の酸素量を低減さ
せる上で効果がある。しかし、0.2%未満では脱酸力
が不足しブローホールが発生し、また、1.0%を超え
るとフェライトを固溶硬化させじん性を低下させるの
で、Siの範囲は0.2〜1.0%とした。
【0014】Mn:1.0〜3.0% Mnは脱酸を補助し、溶融金属の流動性を改善する上で
効果があり、また、強度・じん性を改善する上でも有効
である。1.0%未満では脱酸不足となり溶接欠陥が発
生し易く、3.0%を超えると溶接金属が脱酸過剰とな
りピットやブローホールが発生し易くなるので1.0〜
3.0%とした。
【0015】Ni:0.5〜4.5% Niは強度・低温じん性を確保するために添加するが、
0.5%未満では十分なじん性改善効果が得られず、ま
た、4.5%を超えると高温割れが発生し易くなるので
0.5〜4.5%とした。
【0016】Ti:0.02〜0.10% Tiは強脱酸剤であり、一部が酸化されスラグオフされ
一部が溶接金属に歩留まる。この溶接金属に歩留まるT
iは、初期の凝固過程の高温域でBより先に窒化物を形
成しNを固定し、以降の凝固過程でBがBNを形成する
ことなくフリーBとしてγ粒界に偏析する上で必須の成
分である。このフリーBは、粒界に生成する粗大なフェ
ライト生成を抑制し、Ti酸化物による粒内フェライト
微細化効果と相乗して初めて低温じん性改善効果が得ら
れる。この効果は、TiO2 の還元によるTi量確保の
みでは不十分であり、金属Tiを添加することにより初
めて上記効果が得られる。しかし、0.02%未満では
金属Tiのほとんどが酸化消耗し、溶接金属にTiNを
形成する上で十分なTiが歩留まらないため、上記効果
が十分得られずミクロ組織の微細化が不十分となり、じ
ん性改善効果が得られないので下限を0.02%とし
た。また、0.10%を超えると固溶Tiが増加し、溶
接金属が過度に硬化し著しくじん性が低下するので、上
限を0.10%とした。
【0017】Mg:0.1〜0.6% Mgは高温のアーク中において酸素と反応し、ワイヤ先
端の溶滴の段階で脱酸反応が行われ、溶接金属の酸素量
を低減させる上で効果がある。更に、Alと複合添加す
ることによりTiO2 の還元を促進し、粒内フェライト
の核となりミクロ組織微細化に有効なTi酸化物を確保
する上で必須の成分である。しかし、0.1%未満では
上記効果が不足し、また、0.6%を超えるとアーク長
が過大となり立向溶接において溶融金属が垂れ下がり、
ビード形成が不可能となるので、Mgは0.1〜0.6
%とした。
【0018】Al:0.01〜0.09% Alは強脱酸剤であり、スラグ剤であるTiO2 からT
iを還元し、ミクロ組織微細化に有効なTi酸化物を確
保する上で必須の成分である。しかし、0.01%未満
ではTiO2 還元効果が不足するため、粒内フェライト
の核となるTi酸化物が確保できず、従って、ミクロ組
織が細粒化されないため低温じん性が改善されない。ま
た、0.10%以上になるとAl酸化物が急激に増加し
てTi酸化物と大形の複合酸化物を形成する結果、Ti
酸化物が粒内フェライトの核として機能しなくなり、ミ
クロ組織が微細化されないためじん性が低下するので、
Al量は0.01〜0.09%とした。
【0019】B:0.002〜0.010% Bは前述のようにγ粒界に偏析し初析フェライトの生成
を抑制し、溶接金属のミクロ組織を微細化し、じん性を
大幅に改善する。しかし、0.002%未満ではミクロ
組織微細化によるじん性改善効果が得られず、また、
0.010%を超えると炭化物を形成し著しくじん性を
損なうので0.002〜0.010%とした。
【0020】0.5≦(Mg+10×Al)≦1.5 TiO2 は、溶接過程において一部が還元されTiとし
て溶接金属中に歩留まる。この還元されたTiは、凝固
過程において再度酸化されTi酸化物となり、これが粒
内フェライトの核生成サイトとなる。また、γ粒界から
生成する初析フェライトの生成を抑制させるには、フリ
ーBが必要である。Bは凝固過程で一部が酸化消耗し、
溶接金属中に歩留まるが、溶接凝固過程においてB以外
に有効な窒化物形成元素が不足すると、B窒化物となり
フリーBが不足することになり、ミクロ組織が微細化さ
れない。これを防ぐには、少量の金属Tiを添加し、溶
接金属に歩留まるTiを確保し、TiNを生成させるこ
とにより初めて実現できる。Mg・Alは、TiO2
らTiの還元および金属Tiの消耗を抑えTiNを確保
する上で必須の成分である。しかし、Mg・Alの一方
が不足してもミクロ組織微細化に必要なTi酸化物・窒
化物が確保できず、また、過剰に添加すると固溶Tiが
増加し溶接金属のじん性を著しく害する。
【0021】表2に示す成分の軟鋼外皮を使用して作製
した表1に示すワイヤについて、表3・図2の溶接条件
・開先形状による検討例を図1に示す。同図から明らか
な如く、金属Mg・Al量(Mg+10×Al)が増加
するに比例して、溶接金属中のTi量が増加する。この
Ti量増加に比例して溶接金属のvTrs(破面遷移温
度)は改善されるが、この効果は金属Mg・Al量(M
g+10×Al)が0.5から1.5の範囲において顕
著になる。しかし、Mgが添加されていないワイヤA3
では、金属Mg・Al量(Mg+10×Al)は1.0
であるが、Al単独ではTi量確保が不十分であるため
じん性が低い。すなわち、Ti酸化物・窒化物という形
態まで制御することにより初めてミクロ組織の微細化が
達成され、溶接金属のじん性が改善される。そのために
は金属MgとAl量を適正範囲で添加することが必須で
ある。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
【表3】
【0025】本発明は以上の成分と残部は実質的に鉄か
らなるワイヤであるが、更にこれに下記のようにCr,
Moの1種または2種を含有せしめた本発明ワイヤは、
より高強度で高じん性の溶接金属を得ることができる。
【0026】Cr:0.2〜0.8 Crは強度を高めるために適量添加する。しかし、0.
2%未満では強度を高める効果が十分得られず、また、
0.8%を超えるとじん性が低下するので0.2〜0.
8%とした。 Mo:0.1〜0.6% Moは溶接金属の焼き戻し軟化抵抗を高め、大入熱溶接
におけるミクロ組織粗大化による強度の低下を防ぐため
に使用する。しかし、0.1%未満では上記効果が不足
し、また0.6%を超えるとMoの炭化物を析出し、溶
接金属を著しく硬化させじん性を低下させるので0.1
〜0.6%とした。以下実施例により本発明を説明す
る。
【0027】
【実施例】
〔実施例1〕表4に示すワイヤを用いて、表5および図
3に示す溶接条件・開先形状により590MPa 級高張力
鋼溶着金属を作製した。この溶着金属から引張試験片お
よびシャルピー衝撃試験片を採取し、機械試験を行った
結果を表6に示した。また、−80℃の吸収エネルギー
が48J以上あれば良好な低温じん性を有するとした。
【0028】
【表4】
【0029】
【表5】
【0030】
【表6】
【0031】表4においてB1〜B4が本発明ワイヤで
あり、C1〜C4が本発明の限定外にある比較ワイヤで
ある。フラックス組成を本発明の限定内としたB1〜B
4のワイヤは、いずれも母材強度に適した強度を得、か
つ良好な低温じん性を得た。
【0032】一方、Ni量が本発明の範囲未満で、Ti
量が本発明の範囲を超え、かつ金属弗化物量が本発明の
範囲を超える比較ワイヤC1は、Niが不足すること
と、Ti量が過剰であるため溶接金属が過度に硬化した
ことが相乗して著しくじん性が低い。更に、金属弗化物
量が過剰であるためスラグの被包性が低下しビード形状
が不良である。Si・Mn・Ti量が本発明の範囲未満
である比較ワイヤC2は、脱酸が不十分であるためピッ
トが発生し、かつTiが不足するためミクロ組織が粗大
化し著しくじん性が低い。
【0033】Cr量が本発明の範囲を超え、金属弗化物
・TiO2 量が本発明の範囲未満であるC3は、Cr量
が過多で溶接金属が硬化したこと、更に、金属弗化物量
が不足するため溶接金属の酸素量が増加し、これにTi
2 量が不足するため溶接金属の微細化に有効なTi酸
化物が確保できないこととが相乗したため著しくじん性
が低い。また、金属弗化物量が不足するためスラグによ
る溶融金属の保持力が不足しビード形状が悪くなってい
る。Si・Mn・B量が本発明の範囲を超えるC4は、
溶接金属が過度に硬化したことにより著しくじん性が低
い。
【0034】即ち、本発明により良好な溶接作業性を確
保し、かつ溶接金属酸素量低下により、ミクロ組織を微
細化することにより低温じん性が改善され、かつ、母材
強度とバランスのとれた溶接金属強度を確保できること
が明らかである。
【0035】〔実施例2〕表7に示すワイヤを用いて、
表8および図3に示す溶接条件・開先形状により3.5
%Ni鋼溶接継手を作製した。この溶接継手から引張試
験片およびシャルピー衝撃試験片を採取し、機械試験を
行った結果を表9に示した。−101℃の吸収エネルギ
ーが35J以上あれば、良好な低温じん性を有すること
とした。
【0036】
【表7】
【0037】
【表8】
【0038】
【表9】
【0039】表6においてD1〜D4が本発明ワイヤで
あり、E1〜E3が本発明の限定外にある比較ワイヤで
ある。フラックス組成を本発明の限定内としたD1〜D
4のワイヤは、いずれも母材強度に適した強度を得、か
つ、良好な低温じん性が得られている。
【0040】一方、Ni・Ti量が本発明の範囲を超え
る比較ワイヤE1は、Ni量が過多であることと、更に
は、Tiが過剰であるためTiが過度に歩留まることと
が相乗して溶接金属が過度に硬化し、溶接金属強度が高
くじん性も低かった。Si・Al・B量が本発明の範囲
未満である比較ワイヤE2は、Si・Al量が不足する
ため脱酸不足となりピットが発生し、更にBが不足しミ
クロ組織が粗大化したこととが相乗して、著しくじん性
が低下している。Cr・Mo・Mg量が本発明の範囲を
超える比較ワイヤE3は、Cr・Moが過剰であるた
め、溶接金属が過度に硬化しじん性が低く、かつ、Mg
量が過剰であるためアーク長が過大となりビード外観が
劣化した。
【0041】即ち、本発明により良好な溶接作業性を確
保し、かつ溶接金属酸素量低下により、ミクロ組織を微
細化することにより低温じん性が改善され、かつ、母材
強度とバランスのとれた溶接金属強度を確保できること
が明らかである。
【0042】
【発明の効果】以上に示したように、本発明ワイヤによ
り初めて清浄な溶着鋼を得、かつ、ミクロ組織を微細化
することにより低温でのじん性を改善でき、母材強度と
バランスのとれた溶接継手強度を確保でき、更には、溶
接能率をも著しく改善できる。従って、低温じん性を要
求される鋼構造物の溶接加工において、溶接部の品質向
上・溶接能率の大幅な改善が図れ、産業界の発展に貢献
することきわめて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶着金属のじん性・Ti量に及ぼすMgとAl
の比の影響を示す図。
【図2】図1で用いた開先形状を示す図。
【図3】本発明の実施例で用いた開先形状を示す図。
フロントページの続き (72)発明者 石出 博俊 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株 式会社 技術開発本部内 (56)参考文献 特開 平2−207996(JP,A) 特開 平4−279295(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 35/36,35/362,35/368 C22C 38/00 JICSTファイル(JOIS)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼製外皮にフラックスを充填してなるガ
    スシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにおい
    て、ワイヤ全重量に対して重量%で、 金属弗化物:2.0〜7.0%、 TiO2 :0.1〜1.5%、 Si :0.2〜1.0%、 Mn :1.0〜3.0%、 Ni :0.5〜4.5%、 Ti :0.02〜0.10%、 Mg :0.1〜0.6%、 Al :0.01〜0.09%、 B :0.002〜0.010% を含有し、 MgとAl量が0.5≦(Mg+10×Al)≦1.5 の範囲にあることを特徴とするガスシールドアーク溶接
    用フラックス入りワイヤ。
  2. 【請求項2】 鋼製外皮にフラックスを充填してなるガ
    スシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにおい
    て、ワイヤ全重量に対して重量%で、 金属弗化物:2.0〜7.0%、 TiO2 :0.1〜1.5%、 Si :0.2〜1.0%、 Mn :1.0〜3.0%、 Ni :0.5〜4.5%、 Ti :0.02〜0.10%、 Mg :0.1〜0.6%、 Al :0.01〜0.09%、 B :0.002〜0.010% を含有し、かつ Cr :0.2〜0.8%、 Mo :0.1〜0.6% の1種または2種を含有し、さらに MgとAl量が0.5≦(Mg+10×Al)≦1.5 の範囲にあることを特徴とするガスシールドアーク溶接
    用フラックス入りワイヤ。
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