JP3202474B2 - パッド押圧力調整機能を備えた床面艶出機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、機体を走行させながら
パッドをモータで高速回転して床面の艶出しを行う床面
艶出機の技術分野で利用されるものであって、具体的に
は、パッドの床面への押圧力（吸着力）を均一に維持で
きるように工夫したパッド押圧力調整機能を備えた床面
艶出機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】パッドを高速回転して床面の艶出しを行
う従来の床面艶出機には、パッドの摩耗とかバッテリ電
圧の低下、或は、床面の状況等が原因で、運転中にパッ
ドを床面に押し付けるパッド押圧力が変化してしまっ
て、床面の艶出しレベル（磨きレベル）が変ってしまう
問題があった。

【０００３】そこで本出願人は、先の特願昭６２−２９
０３６３号（特開平１−１３１６４０号公報）及び特願
平２−４０５０１４号（特開平４−９３０５４号公報）
の各出願に見られるように、上記のパッドをモータによ
って上下動することによって、床面に対するパッド押圧
力を常時一定に調節できるように構成した床面艶出機を
開発した。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の床
面艶出機は、モータでパッドを上下動する複雑なパッド
上下機構を搭載しているため、高コスト化する問題があ
り、更に、モータによってパッド押圧力を常時一定に維
持することが非常に困難で、押圧力が強すぎで床面に塗
ったワックスを剥がしたり、ワックス面に削り傷を付け
たりする場合があり、また、反対に押圧力が弱すぎて充
分な艶出し効果を得られない場合もあるため、その解決
策が望まれていた。

【０００５】従って本発明の技術的課題は、モータでパ
ッドを上下動する複雑なパッド上下機構を使用すること
なく、パッド用モータの回転数を調整することによっ
て、床面に対するパッド押圧力を常時一定に維持できる
ようにすることである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の技術的課題を解決
するために本発明で講じた手段は以下の如くである。

【０００７】機体を走行させながらパッドカバー内に取
付けたパッドをモータで高速回転して床面の艶出しを行
うように構成した床面艶出機に於いて、

【０００８】（１） 上記のパッドを床面から離間させ
る上向きの支持力によって弾支すると共に、このパッド
が高速回転時に上記上向きの支持力に抗して床面側に降
下する吸着力が発生するように、パッドの内部に多数の
微細な空間が存在する構造と成し、且つ、上記パッド用
モータの制御部に、該モータの電流値を予め設定した設
定値に自動又は手動調整する電流値調整手段を設けるこ
と。

【０００９】（２） モータによって高速回転されるパ
ッドを、バネ圧、油圧、空圧、或は、重りのいずれかを
用いたパッド支持手段によって上向きに弾支すること。

【００１０】（３） モータによって高速回転されるパ
ッドを、パッド素材を圧縮成形、又は、スポンジ状に成
形することによって、内部に多数の微細な空間が存在す
る構造に構成すること。

【００１１】（４） パッドを高速回転するパッドモー
タの制御部に、該モータの電流値を任意に設定すること
ができる電流値設定部を設けること。

【００１２】

【作用】上記（１），（２），（３），（４）で述べた
各手段は以下の如く作用する。

【００１３】上記（１）で述べた手段によれば、床面艶
出機の停止時にはパッド面が床面から離間された状態に
弾支されるから、停止時に高速回転するパッドが床面に
塗ったワックスを剥がしたり傷付けたりする問題を解決
することができると共に、パッドの内部には多数の微細
な空間が設けられているため、このパッドがモータによ
って２，０００ｒｐｍ程度で高速回転されると、内部の
空気が外部に吐き出されて内部が負圧状態になるため、
パッドの底面には床面に対して吸着力が発生するから、
パッドはこの吸着力によって上記上向きの支持力に抗し
て床面側に降下し、床面に吸着した状態で高速回転して
床面を磨くことができる。

【００１４】同じく上記（１）で述べた手段によれば、
パッドが摩耗すると吸着力が低下してパッド用モータの
電流値が降下するが、電流値が降下すると電流値調整手
段によって自動的に、又は、手動操作によってモータの
回転数を増加し、床面に対するパッドの吸着力を上昇回
復させることができるため、パッドが摩耗してもパッド
押圧力を常に一定に維持して優れた艶出しを行うことを
可能にする。

【００１５】上記（２）で述べた手段によれば、パッド
をバネ圧、油圧、空圧、或は、重りのいずれかを用いた
パッド支持手段によって上向きに弾支するため、運転停
止時にパッドを床面より離間した状態に引上げることが
でき、また、パッドの高速回転時には、パッドを床面側
に降下させて吸着状態にすることを可能にする。

【００１６】上記（３）で述べた手段によれば、パッド
を例えばポリエステル繊維を圧縮成形したり、その他の
素材をスポンジ状に発泡成形することにより、内部に多
数の微細な空間が形成された状態に造ることができるか
ら、高速回転時にはこれ等空間部分からの空気の吐き出
しによってパッド内部が負圧状態に成って、床面に対し
て優れた吸着作用を発揮することができる。

【００１７】上記（４）で述べた手段によれば、艶出し
運転に当って床面の状態、即ち、ワックスの塗布具合と
か汚れ具合等に合せて、パッド用モータの電流値を予め
加減設定することによって、床面の状態に合ったパッド
押圧力（吸着力）で艶出しを行うことを可能にする。

【００１８】以上の如くであるから、上記の手段によっ
て上述した技術的課題を解決して、前記従来の技術の問
題点を解消することができる。

【００１９】

【実施例】以下に、上述した本発明に係るパッドの押圧
力調整機能を備えた床面艶出機の好適な実施例を添付し
た図面と共に詳細に説明する。

【００２０】図１は本発明に係る床面艶出機の要部を断
面にして示した側面図であって、図中、１は床面艶出機
の機体で、２と３は走行用の車輪、４，５は機体１内に
搭載した動力源となるバッテリ、Ｍはパッドの駆動源と
なるモータ、ＭａはモータＭの回転軸、８はこのモータ
によって高速回転されるパッド、７はパッド８をモータ
Ｍの回転軸Ｍａに取付けるパッド取付台を示す。

【００２１】図２は、上述したパッド８とその支持部と
取付部分の構造を説明した正断面図を示したものであっ
て、この図面と上述した図１に於いて、符号１０で全体
的に示したのはパッド８の回転機構であって、上述した
回転軸Ｍａは基板フレーム１１の上面に取付けられてい
る基台１６Ｔの軸穴から該フレーム１１の通気穴１１ｂ
を挿通して下方に垂設され、且つ、その下端部にパッド
取付台７の上面に設けたファン９の中央部分がネジ６を
用いて固定されている。

【００２２】次に、１３は上述した固定フレーム１１の
底面側に伸縮自在なジャバラ１２を介して取付けたパッ
ドカバー、１３ｂは上端縁に形成した取付縁をパッドカ
バー１３の外周部１３ａの下端縁に形成した嵌込部に嵌
込むことによって、パッドカバー１３の下側部に脱着自
在に取付けた軟質ゴム製のスカート部であって、パッド
カバー１３とこのスカート部１３ｂによって構成される
回転室内で、上述したパッド８がモータＭによって２，
０００ｒｐｍ程度で高速回転される仕組に成っている。

【００２３】また、１１ａは上述したファン９の周囲を
囲むように上記基板フレーム１１の底面に取付けたガイ
ドカバー枠で、このガイドカバー枠１１ａの外側には、
上記ファン９の回転によって生じた旋回気流を、ジェッ
ト噴流状に圧縮して上記パッドカバー１３の内壁面に対
して一定の角度で吹き付ける噴射口（図示せず）が開口
されており、従って、各ファン９の回転によって発生し
た気流は、ダストを巻き込みながら勢い良くパッドカバ
ー１３の内壁面に沿って旋回するように構成されてい
る。

【００２４】図１に於いて、１５は上記機体１内に設け
た専用のボックス内に交換自在に取付けた紙パックフイ
ルターで、このフイルター１５の侵入口１５ａ側は、ダ
クト又はホースを介して上記パッドカバー１３の外寄り
の上面に開口した送気口１４ａに接続され、また、排気
口（図示せず）側は、同じくダクト又はホースを介して
上記基台１６Ｔの中央部寄りの上面に突設した吸気口１
４ｂに接続されていて、パッドカバー１３内とフイルタ
ー１５の間を所謂循環経路で結んでいる。

【００２５】更に図中、１６は上述したモータＭを常時
上向きの支持力で支持する取付フレームで、このフレー
ム１６の各支持板１６ａ，１６ｂは、固定フレーム１Ｔ
ａ，１Ｔｂ側に取付けた計３本の支柱１７，１８（１本
は省略）に対して夫々バネ１７Ｓ，１８Ｓを介して上下
作動自在に支持されていて、モータＭの回転によってパ
ッド８が高速回転した時に、パッド８の底面側に生じる
吸着力によってモータＭ並びにパッドカバー１３と共に
パッド８をバネ１７Ｓ，１８Ｓの弾発力に抗して図２の
状態に降下させ、パッド８を床面に密着させた状態で高
速回転させることができ、また、モータＭをＯＦＦにし
てパッド８の回転を止めると、バネ１７Ｓ，１８Ｓの弾
発力によってパッド８とモータＭ及びパッドカバー１３
を再び図１の状態、即ち、床面との間に間隔Ｘをあけた
状態に引上げることができる仕組に成っている。

【００２６】また、本発明では上述したパッド８とし
て、例えばポリエステル繊維の如き強靱な化学繊維を相
互に絡ませ、且つ、これを圧縮成形したり、或は、化学
素材をスポンジ状に成形することにより、内部に多数の
微細な空間が存在する特殊構造のものが使用されている
ため、このパッド８をモータＭによって２，０００ｒｐ
ｍ程度で高速回転すると、各空間内の空気が外部に吐き
出されてパッド８の内部が負圧状態になり、床面に対し
て上述した如き吸着力を発揮する仕組に成っている。

【００２７】図３は本発明に係る床面艶出機に組込まれ
ている制御装置の電気的構成を示したブロック図であっ
て、図中、２２と２３は前述したパッド用モータＭと過
電流プロテクタの間に直列に接続した開閉器と電流検出
部で、２０は電流検出部２３が検出した電流値と予め設
定されている電流値（設定値）とを比較して、モータＭ
の電流値をこの設定値に自動調整する制御部、２１は上
記電流の設定値を任意に設定することができる電流値設
定部であって、従って、この制御装置によれば制御部２
０のプログラムに基づいてパッド用モータＭを常に設定
した電流値で駆動できるように構成されている。

【００２８】図４は上述した制御装置によるパッド用モ
ータＭの電流制御の処理動作を説明したフローチャート
であって、始めのステップＳ１で機体１に設けた運転ス
イッチ（図示せず）がＯＮされると、次のステップＳ２
で電流検出部２３がモータＭの電流値を検出して、次の
ステップＳ３に進むが、運転を開始するに当っては、床
面の状況等を基準にして電流値設定部２１を操作してパ
ッド用モータＭの電流値を予め所定のレベルに設定す
る。

【００２９】ステップＳ３では検出した電流値と予め設
定されている電流値とが比較され、検出した電流値が設
定値と同じか、又は、検出した電流値の方が設定値より
も大きい場合は、ステップＳ５に進んでパッド用モータ
Ｍの電流値を電流制御によって１レベル下げて、該モー
タＭの回転数を１レベルダウンした後、再び上述したス
テップＳ２に戻るが、そうでない場合はそのままステッ
プＳ４に進む。

【００３０】ステップＳ４では同じく検出した電流値と
設定値とが再度比較され、検出した電流値が設定値と同
じか、又は、検出した電流値の方が設定値よりも小さい
場合は、ステップＳ６に進んでパッド用モータＭの電流
値を電流制御によって１レベル上げて、該モータＭの回
転数を１レベルアップした後、再び上述したステップＳ
２に戻るが、そうでない場合は上述したステップＳ１に
戻って処理を繰返す仕組に成っており、従って、本発明
によれば、パッド用モータＭをパッド８の摩耗とか、バ
ッテリ４，５の電圧降下、更には、床面の状況と云った
各種の外的な要因に影響を受けることなく、常に設定し
た電流値で駆動することができる。

【００３１】尚、パッド用モータＭの電流値のＵＰ／Ｄ
ＯＷＮは、制御部２０のプログラムに従って１レベルず
つ自動的に行う場合と、ランプとか画面表示の指示に従
って運転者が操作パネル等に設けたダイヤルとかスイッ
チ等（図示せず）を操作することによって手動調整する
場合とがあるが、その選択は任意とする。

【００３２】本発明に係るパッド押圧力調整機能を備え
た床面艶出機は以上述べた如き構成であるから、パッド
８をモータＭによって高速回転させながら機体１を走行
させると、パッド８によって床面を磨くことができ、ま
た、このパッド８の高速回転、即ち、艶出しによってパ
ッドカバー１３内に生じたダストは、送気口１４ａから
ダクト又はホースを通して紙パックフイルター１５に送
り込まれ、ここで濾過された後、再びその排気がダクト
又はホースを通ってパッドカバー１３の中央部寄りに循
環され、この循環作用を連続して繰返すことによって、
艶出しによって生じた各種のダストを順次紙パックフイ
ルター１５に捕集することができる。

【００３３】また、本発明ではパッド８の摩耗等が原因
で、パッド８の接触圧力（吸着力）が低下した場合に、
電流検出部２３がパッド用モータＭの電流値の低下を検
出し、制御部２０がこの電流値を予め設定してある設定
値に合致するようにアップ制御、又は、アップ指示する
ため、パッド用モータＭの回転数をレベルアップしてパ
ッド８の回転を早くし、床面に対する吸着力、即ち、床
面に対するパッド８の押圧力を元の強さに戻すことがで
きるから、磨き状態を運転開始時の基準状態に戻すこと
ができる。

【００３４】

【発明の効果】以上説明した如く、本発明に係るパッド
押圧力調整機能を備えた床面艶出機によれば、パッドの
摩耗とかバッテリ電圧の降下等が原因でパッドの床面へ
の押圧力（吸着力）が弱くなっても、パッド用モータの
電流値を制御して押圧力を元の状態に戻すことができる
から、床面を常時一定の圧力で磨いて、床面の全体を均
一な状態できれいに磨くことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るパッド押圧力調整機能を備えた床
面艶出機を要部を断面にして示した側面図である。

【図２】本発明の要部を拡大して示した断面図である。

【図３】本発明で使用する制御装置の電気的構成を説明
したブロック図である。

【図４】パッド用モータの電流制御に関する処理手順を
示したフローチャートである。

【符号の説明】

１ 床面艶出機の機体 Ｍ パッド用モータ ８ パッド １３ パッドカバー １６ 取付フレーム １６ａ，１６ｂ 支持板 １７Ｓ，１８Ｓ バネ ２０ 制御部 ２１ 電流値設定部 ２３ 電流検出部

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 機体を走行させながらパッドカバー内に
   取付けたパッドをモータで高速回転して床面の艶出しを
   行うように構成した床面艶出機に於いて、 上記のパッドを床面から離間させる上向きの支持力によ
   って弾支すると共に、このパッドが高速回転時に上記上
   向きの支持力に抗して床面側に降下する吸着力が発生す
   るように、パッドの内部に多数の微細な空間が存在する
   構造と成し、且つ、上記パッド用モータの制御部に、該
   モータの電流値を予め設定した設定値に自動又は手動調
   整する電流値調整手段を設けたことを特徴とするパッド
   押圧力調整機能を備えた床面艶出機。
2. 【請求項２】 モータによって高速回転されるパッド
   を、バネ圧、油圧、空圧、或は、重りのいずれかを用い
   たパッド支持手段によって上向きに弾支したことを特徴
   とする請求項１記載のパッド押圧力調整機能を備えた床
   面艶出機。
3. 【請求項３】 モータによって高速回転されるパッド
   を、パッド素材を圧縮成形、又は、スポンジ状に成形す
   ることによって、内部に多数の微細な空間が存在する構
   造に構成したことを特徴とする請求項１記載のパッド押
   圧力調整機能を備えた床面艶出機。
4. 【請求項４】 パッドを高速回転するパッドモータの制
   御部に、該モータの電流値を任意に設定することができ
   る電流値設定部を設けたことを特徴とする請求項１記載
   のパッド押圧力調整機能を備えた床面艶出機。