JP3200375B2 - 電池ケース、その製造方法およびそのケースを用いた電池 - Google Patents

電池ケース、その製造方法およびそのケースを用いた電池

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JP3200375B2 JP29319796A JP29319796A JP3200375B2 JP 3200375 B2 JP3200375 B2 JP 3200375B2 JP 29319796 A JP29319796 A JP 29319796A JP 29319796 A JP29319796 A JP 29319796A JP 3200375 B2 JP3200375 B2 JP 3200375B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアルカリマンガン電
池などの電池ケース、その製造方法及びその電池ケース
を用いた電池に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】アルカリマンガン電池
などの乾電池においては、内部抵抗が小さいことが望ま
しい。内部抵抗の中でも、活物質としての二酸化マンガ
ンと導電剤としての黒鉛を混合してペレットに成形され
た正極合剤と、正極缶とも呼ばれる電池ケースとの間の
接触抵抗が最も大きい。この接触抵抗を低減させる方法
として、電池ケース内面にスプレーなどにより導電性塗
料を塗布することが行われ、これにより、正極合剤中の
活物質/導電剤の比率を高めることが可能となり、電池
の長寿命化が達成されている。しかし、電池ケース内面
に導電性塗膜を形成させる方法は、スプレーノズルの目
詰まりによるトラブルを生じやすいこと、塗膜厚みが不
均一になりやすいこと、さらに、小さな電池ケース一つ
一つの内面に導電性塗料を塗布せねばならず、その低い
生産効率がコスト上昇をもたらすことなど、解決すべき
問題が残されている。
【0003】これらの問題を解決するために、表面処理
を施した金属板に導電性皮膜を被覆した後、電池ケース
に加工するプロセスが電池業界の一部で試みられている
が、工業的レベルでは今日に至るまで必ずしも成功して
いない。その主な理由の一つとして、導電性皮膜の剥落
をもたらすことなく被覆金属板を電池ケースに成形加工
することが困難であることが挙げられる。
【0004】市販されているアルカリマンガン乾電池の
中には例えば、LR6(単3型)乾電池などのように、
極めて厳しい加工が施されて製造された電池ケースを用
いているものもある。これらの電池ケースの製造におい
ては、次のような加工が施される。まず、導電性皮膜を
被覆した金属板から円板上のブランクが打ち抜かれ、6
工程前後の絞り加工により、順次に内径の小さい缶に成
形される。最終的に内径13.8mmの電池ケースとな
るが、全工程の絞り比(ブランク径/絞り加工缶の内
径)は4.2にも達する。このような苛酷な加工が施さ
れた後も皮膜剥離を生じさせないためには、塗膜が十分
な加工性と、金属板に対する優れた密着力を兼備してい
ることが不可欠である。
【0005】予め導電性皮膜を被覆した金属板を絞り加
工して電池ケースを成形する一例として、特開平6−3
42653号公報による方法が開示されている。これ
は、絶縁性のクロメート皮膜に導電性を付与するため
に、カーボンブラックを含有させたクロメート処理液に
金属板を浸漬し、皮膜の密着力を向上させるクロメート
皮膜を形成させた後、エポキシ樹脂などを主剤とする導
電性塗料を塗布したものである。しかし、この金属板を
絞り加工した場合、黒鉛やカーボンブラックなどの粉体
を添加した熱硬化性のエポキシ樹脂を塗料として用いて
いるために皮膜も展延性に欠け、加工性が低下すること
は否めず、絞り加工時に皮膜にクラックが生じることは
避けられない。また、皮膜剥離を皆無にすることも困難
であると思われる。このように、予め導電性皮膜を被覆
した金属板を加工して電池ケースとすることには、未だ
に改善の余地が残されている。
【0006】本発明においては、導電性に優れ、かつ電
池ケースに縮径加工される際に、加工性、および密着力
に優れ、縮径加工後に皮膜剥離が生じることのない電池
ケースを提供することを課題としている。なお、ここで
いう縮径加工とは一段または多段の絞り加工、薄肉化絞
り加工、絞りしごき加工などであり、容器の径および高
さ、皮膜の強度、密着性などを考慮し、最適な加工方法
が選択される。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明においては、下記
に示すように、有機物を被覆した金属板を電池ケースに
縮径加工した後加熱し、被覆物層を炭化させることによ
り、上記の課題が解決されることが判明した。
【0008】本発明の電池ケースは、表面にクロム水和
酸化物からなる層を有する表面処理鋼板の片面に有機物
の被覆層を設けた有機物被覆鋼板を、有機物被覆層が容
器の内面側となるようにして、縮径加工法を用いて容器
の胴部と底部が一体となって成形される容器に成形した
後、該容器を加熱し該有機物被覆層を炭化させたことを
特徴とする。本発明の電池ケースは、表面に下層が金属
クロム、上層がクロム水和酸化物からなる二層を有する
表面処理鋼板の片面に有機物の被覆層を設けた有機物被
覆鋼板を、有機物被覆層が容器の内面側となるようにし
て、縮径加工法を用いて容器の胴部と底部が一体となっ
て成形される容器に成形した後、該容器を加熱し該有機
物被覆層を炭化させたことを特徴とする。本発明の電池
ケースは、表面にニッケルめっき層を有する表面処理鋼
板の片面に有機物の被覆層を設けた有機物被覆鋼板を、
有機物被覆層が容器の内面側となるようにして、縮径加
工法を用いて容器の胴部と底部が一体となって成形され
る容器に成形した後、該容器を加熱し該有機物被覆層を
炭化させたことを特徴とする。本発明の電池ケースは、
表面にニッケルめっき層を有し、さらにその上にクロム
水和酸化物からなる層を有する表面処理鋼板の片面に有
機物の被覆層を設けた有機物被覆鋼板を、有機物被覆層
が容器の内面側となるようにして、縮径加工法を用いて
容器の胴部と底部が一体となって成形される容器に成形
した後、該容器を加熱し該有機物被覆層を炭化させたこ
とを特徴とする。本発明の電池ケースは、表面にニッケ
ルめっき層を有し、さらにその上に下層が金属クロム、
上層がクロム水和酸化物からなる二層を有する表面処理
鋼板の片面に有機物の被覆層を設けた有機物被覆鋼板
を、有機物被覆層が容器の内面側となるようにして、縮
径加工法を用いて容器の胴部と底部が一体となって成形
される容器に成形した後、該容器を加熱し該有機物被覆
層を炭化させたことを特徴とする。
【0009】このような電池ケースは、炭化させた有機
物被覆層の電気抵抗が10Ω/cm以下であることが望
ましい。また、このような電池ケースは、有機物被覆層
が、溶媒に溶解または溶媒中に分散させた有機樹脂塗料
を塗装積層し形成させたものであることが望ましい。ま
た、このような電池ケースは、有機物被覆層が、加熱溶
融した樹脂を押し出して積層し形成したものであること
が望ましい。また、このような電池ケースは、有機物被
覆層が、有機樹脂フィルムを、接着剤を介してまたは接
着剤を介さずに熱圧着して積層し形成したものであるこ
とが望ましい。本発明の電池ケースの製造方法は、鋼板
の片面に有機物の被覆層を設けた有機物被覆鋼板を、有
機物被覆層が容器の内面側となるようにして、縮径加工
法を用いて容器の胴部と底部が一体となって成形される
容器に成形した後、該容器を非酸化雰囲気又はわずかな
酸素分圧を有する雰囲気で400〜900℃に加熱し、
前記有機物被覆層を炭化することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明においては、予め有機物を
被覆した鋼板を縮径加工して電池ケースとした後加熱し
て、有機物層を炭化させ、炭化後の被覆層の電気抵抗を
10Ω/cm以下とすることにより、導電性に優れ、か
つ電池ケースに縮径加工される際に、加工性、および密
着力に優れ、縮径加工後に塗膜剥離が生じることのない
電池ケースが得られる。
【0011】本発明の電池ケースに適用する鋼板として
は耐食性、鋼板に被覆される有機物皮膜の加工性、およ
び密着性の観点から、板厚が0.18〜0.32mmの鋼
板の表面に電解クロム酸処理などにより3〜30mg/
2 (クロムとして)の量のクロム水和酸化物からなる
層を形成させた鋼板、下層が150〜300g/m2
量の金属クロム、上層が3〜30mg/m2 (クロムと
して)の量のクロム水和酸化物からなる二層を形成させ
た鋼板、あるいは上記の板厚を有する鋼板に電気めっき
などの方法を用いて10〜30g/m2 の量のニッケル
めっきを施した鋼板、または上記の板厚を有する鋼板に
上記の量のニッケルめっきを施した後、電解クロム酸処
理などにより3〜30mg/m2 (クロムとして)の量
のクロム水和酸化物からなる層を形成させた鋼板、さら
にまたは、上記の板厚を有する鋼板に上記の量のニッケ
ルめっきを施した後、電解クロム酸処理などによりその
上に下層が150〜300g/m2 の量の金属クロム、
上層が3〜30mg/m2(クロムとして)の量のクロ
ム水和酸化物からなる二層を形成させた鋼板であること
により、縮径加工直後、および加熱炭化後の皮膜の密着
性を向上させるためより好ましい。
【0012】上記の鋼板は上記した種々の表面処理を施
した後に、0.1〜1.0μmの中心線平均粗さを有して
いることも、鋼板に被覆される有機物皮膜の加工性、お
よび密着性の観点からこのましい。中心線平均粗さが
0.1μm以下では被覆される有機物皮膜に与えるアン
カー効果が十分ではなく、有機物を被覆した鋼板を縮径
加工する際、または縮径加工した後に、有機物皮膜が剥
離しやすく、好ましくない。一方、中心線平均粗さが
1.0μm以上では、絞り加工時に工具との摩擦によ
り、有機被膜が剥離しやすくなるので好ましくない。
【0013】上記の表面処理を施した鋼板の片面に被覆
する有機物としては、ロジン、アスファルト、ピッチな
どからなるワニス、ポリビニルアセタール、ポリビニル
ブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル
などの合成樹脂、ポリクロロプレン、スチレンブタジエ
ン樹脂、ブタジエン−アクリロニトリル樹脂、イソプレ
ンスチレン樹脂、イソプレンイソブチレン樹脂などのゴ
ム系樹脂などの有機樹脂の1種または2種以上を主剤と
し、必要に応じてこれらの有機樹脂に可塑剤等を添加し
た有機溶媒系塗料、水性塗料、エマルジョン塗料のいず
れかの有機樹脂塗料を塗布し乾燥させたもの、あるいは
ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン
共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−
アクリル酸共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リブチレンテレフタレート、エチレンテレフタレート−
イソフタレート共重合体、ブチレンテレフタレート−イ
ソフタレート共重合体、6-ナイロン、6,6−ナイロ
ン、6,10−ナイロン、ポリカーボネート、ポリウレ
タン、アイオノマー樹脂、ポリアクリロニトリル、アク
リロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体などの樹
脂を加熱溶融し、鋼板上に直接押し出して積層したも
の、あるいは上記の樹脂をフィルムに成形加工した後、
これらのフィルムを直接鋼板上に加熱圧着したもの、も
しくはこれらのフィルムを接着剤を介して鋼板上に加熱
圧着したものなどが本発明に適用することができる。鋼
板上に形成された後の有機物層の厚さは10〜50μm
であることが好ましい。10μm以下では有機物被覆鋼
板を縮径加工する際に有機物層にクラックが生じやす
く、50μm以上では縮径加工し加熱を施した後も皮膜
の厚さが厚く、内部抵抗を小さくすることができない。
なお、これらの塗料や樹脂、もしくは樹脂フィルムに、
加工性や密着性を著しく損なわない範囲で黒鉛、カ−ボ
ンブラック、アセチレンブラックなどの導電性を有する
粉末を添加しても差し支えない。
【0014】上記のようにして得られた、鋼板の片面に
有機物の被覆層を設けた有機物被覆鋼板は、有機物被覆
層が容器の内面側となるようにして、縮径加工法を用い
て容器の胴部と凸部を有する底部が一体として成形され
る。この有機物被覆鋼板を本発明の目的とする電池ケー
スに成形するを縮径加工法としては、複数の段階からな
る絞り加工を施し、各段階の絞り加工毎に容器の径が縮
小される多段の絞り加工、または、上記の絞り加工時に
引張力を作用させて容器の壁厚みを減少させる薄肉化絞
り加工、または、1段もしくは複数段の絞り加工を施し
て容器の径を所定のものとした後、しごき加工を施して
容器の壁厚みを減少させる絞りしごき加工などを適用す
ることができる。
【0015】上記のようにして有機物を被覆した鋼板を
胴部と凸部を有する底部が一体となった容器に成形した
後、容器を真空中、窒素ガスなどの非酸化性雰囲気、あ
るいは燃焼を生じない程度の極くわずかな酸素分圧を有
する雰囲気中で、400〜900℃の温度で、長くとも
3時間加熱して有機物被覆層を炭化させ、炭化後の被覆
層の電気抵抗を10Ω/cm以下とする。加熱温度が4
00℃以下では長時間加熱しても有機物被覆層が十分に
炭化せず、炭化後の被覆層の電気抵抗は10Ω/cm以
上となり、電池とした場合の内部抵抗が高くなり、高い
放電電流が得られにくい。一方、900℃以上の温度で
容器を加熱すると短時間の加熱でも鋼板が極端に軟化
し、わずかの衝撃を受けても容器に凹凸が生じやすくな
るため、加熱温度の上限を900℃とし、できるだけ短
時間加熱することが好ましい。より好ましい加熱条件は
500〜800℃の温度で、2時間〜10分である。こ
のようにして、導電性に優れた電池ケースを得ることが
できる。
【0016】
【実施例】以下、実施例にて本発明をさらに詳細に説明
する。表1〜2に本発明の実施範囲を説明する実験に用
いた鋼板を示す。鋼板に金属クロム、およびまたは水和
酸化物を形成させる場合は、電解クロム酸処理によりそ
れぞれ所定の量の皮膜を形成させた。ニッケルめっきは
通常のワット浴を用い通常の条件で電気めっきした。ニ
ッケルめっき層の上にさらに金属クロム、およびまたは
水和酸化物を形成させる場合は、電解クロム酸処理によ
りそれぞれ所定の量の皮膜を形成させた。ついでこれら
の鋼板の片面に、以下のA〜Dに示す3種類の方法によ
り、有機物皮膜を形成させた。
【0017】A:鋼板を280℃に加熱し、ポリエチレ
ンテレフタレート88モル%、ポリエチレンイソフタレ
ート12モル%からなる共重合ポリエステル樹脂(融
点:229℃)の二軸延伸フィルム(厚さ:25μm)
を接触させ圧着した。 B:上記の共重合ポリエステル樹脂にカーボンブラック
を10重量%含有させた以外はAと同様のフィルムを、
Aと同様にして圧着した。 C:ポリエチレンテレフタレート(融点:255℃)を
加熱溶融し、Tダイから鋼板上に直接押出し、積層し
た。 D:ポリビニルブチラール100重量部、フタル酸ジブ
チルを50重量部、エポキシ樹脂30重量部からなる樹
脂をイソプロパノールに溶解し、鋼板上にロールコート
法により塗布し、200℃で3分間加熱乾燥し焼き付け
た。
【0018】上記のようにして得られた有機物被覆鋼板
から58mm径のブランクを打ち抜き、有機物被覆面が
ケースの内面側となるようにして、6段階からなる絞り
加工(最終絞り比4.2)により、13.8mm径の円筒
状の電池ケース(缶)に縮径成形した。絞り加工した後
の電池ケースの、いわゆる耳を切り落とす前の有機物皮
膜の剥離程度を肉眼観察により、以下に示す評価基準で
評価した。 評点 ◎:剥離が全く認められない。 ○:剥離が殆ど認められない。(缶上端部にわずかな剥離が認められる。) △:缶上部の一部に剥離が認められる。 ×:缶のかなりの部分に剥離が認められる。 結果を表1〜2に示す。
【0019】上記の絞り加工を施した後に有機物皮膜の
剥離が認められなかった電池ケースについて、0.2to
rr程度の真空度を有する真空炉中で表3〜5に示す加熱
条件で後加熱を実施し、有機物層を炭化させた。そして
後加熱により炭化した有機物皮膜の密着強度を鉛筆硬度
法を用いて評価した。すなわち、加熱処理を施した電池
ケース(缶)の側壁の一ヶ所をを切り裂いて開缶し、缶
内面の炭化した皮膜に硬度Fの鉛筆を1kgの荷重をか
けて45度の角度で接触させて引っかいた際に生じる皮
膜の剥離程度を、肉眼観察により、以下に示す評価基準
で評価した。 評点 ◎:剥離が全く生じない。 ○:剥離が殆ど生じない。(缶上端部でのみ、わずかに剥離が生じる。) △:缶上部の一部で剥離が生じる。 ×:缶のかなりの部分で剥離が生じる。 結果を表3〜5に示す。
【0020】後加熱後の電池ケース(缶)の側壁の一ヶ
所を切り裂いて開缶し、底部を除去した後側壁部を平坦
にレベリングし、表面抵抗計(三菱油化(株)製、プロ
ーブ:2mm径の平坦なもの)を用い、1cmの間隔で
炭化した有機物皮膜の電気抵抗を測定した。結果を表3
〜5に示す。
【0021】図1に示すように、上記に示した絞り加工
を施した後も有機物皮膜の剥離が殆ど認められず、かつ
その後に後加熱を施して剥離が認められなかった電池ケ
ース10に、正極合剤11として正極活物質である電解
二酸化マンガンと、導電剤である黒鉛とを水酸化カリウ
ム電解液で混練したもの、および負極ゲル12として酸
化亜鉛を飽和させた水酸化カリウムの電解液にゲル化剤
を添加し、これに亜鉛粒を加えたものを作成した。この
正極合剤11を、ビニロン・ビニヨン製の不織布からな
るセパレータ16と電池ケース10の間に充填した。引
き続き、負極ゲル12を、集電体13とセパレータ16
の間に挿入した。これに負極キャップ14、集電体1
3、およびガスケット15を電池ケース10内に装着
し、電池ケース開放端部をかしめて電池1を作成し、温
度60℃、湿度95%で4週間の経時を施した後、電
圧、内部抵抗、および短絡電流を測定した。内部抵抗は
正極と負極の間にACミリオームテスタを接続し、1K
Hzの周波数で交流インピーダンス法により測定した。
結果を表3〜5に示す。
【0022】
【表1】 注) −:処理無し
【0023】
【表2】
【0024】
【表3】 注 −:測定せず
【0025】
【表4】
【0026】
【表5】
【0027】
【発明の効果】本発明の鋼板の片面に有機物の被覆層を
設けた有機物被覆鋼板を、有機物被覆層が容器の内面側
となるようにして、縮径加工法を用いて容器の胴部と底
部が一体となって成形される容器に成形した後、容器を
加熱し有機物被覆層を炭化させたことを特徴とする電池
ケースは、電池ケースに絞り加工される際に、加工性、
および密着力に優れ絞り加工後に塗膜剥離が生じること
がなく、得られた電池ケースを加熱して有機物皮膜を炭
化させても皮膜が剥離せず、かつ皮膜導電性に優れてい
る。そのため、本発明の被覆金属板を用いて製造された
電池は、内部抵抗が小さく、優れた放電特性を示す。
【0028】すなわち、本発明は、前記の炭化させた有
機物被覆層の電気抵抗が10Ω/cm以下であることを
特徴としており、皮膜導電性に優れている。また、本発
明は、前記鋼板がその表面にクロム水和酸化物からなる
層を有することを特徴としており、電池ケースに絞り加
工される際に、加工性、および密着力に優れ絞り加工後
に塗膜剥離が生じることがなく、得られた電池ケースを
加熱して有機物皮膜を炭化させても皮膜が剥離すること
がない。あるいはまた、本発明は、前記鋼板がその表面
に下層が金属クロム、上層がクロム水和酸化物からなる
二層を有することを特徴としており、電池ケースに絞り
加工される際に、加工性、および密着力に優れ、絞り加
工後に塗膜剥離が生じることがなく、得られた電池ケー
スを加熱して有機物皮膜を炭化させても皮膜が剥離する
ことがない。
【0029】あるいはまた、本発明は、前記鋼板がその
表面にニッケルめっき層を有することを特徴としてお
り、電池ケースに絞り加工される際に、加工性、および
密着力に優れ、絞り加工後に塗膜剥離が生じることがな
く、得られた電池ケースを加熱して有機物皮膜を炭化さ
せても皮膜が剥離することがない。あるいはまた、本発
明は、前記鋼板がその表面にニッケルめっき層を有し、
さらにその上にクロム水和酸化物からなる層を有するこ
とを特徴としており、電池ケースに絞り加工される際
に、加工性、および密着力に優れ、絞り加工後に塗膜剥
離が生じることがなく、得られた電池ケースを加熱して
有機物皮膜を炭化させても皮膜が剥離することがない。
あるいはまた、本発明は、前記鋼板がその表面にニッケ
ルめっき層を有し、さらにその上に下層が金属クロム、
上層がクロム水和酸化物からなる二層を有することを特
徴としており、電池ケースに絞り加工される際に、加工
性、および密着力に優れ、絞り加工後に塗膜剥離が生じ
ることがない。
【0030】さらに、本発明は、前記有機物被覆層が、
溶媒に溶解、または溶媒中に分散させた有機樹脂塗料を
鋼板に塗装し積層するか、または加熱溶融した樹脂を鋼
板上に押し出して積層するか、または有機樹脂フィルム
を接着剤を介して、または接着剤を介さずに直接鋼板上
に熱圧着して積層することにより形成されることを特徴
としており、加工性、および密着力に優れ、絞り加工後
に塗膜剥離が生じることがなく、得られた電池ケースを
加熱して有機物皮膜を炭化させても皮膜が剥離すること
がない。また、本発明は、前記容器を400〜900℃
に加熱し、前記有機物被覆層を炭化することを特徴とし
ており、得られた電池ケースを加熱して有機物皮膜を炭
化させても皮膜が剥離することがない。
【0031】さらにまた、本発明は、前記の電池ケース
に正極合剤、導電剤及び負極ゲルを充填してなる電池で
あり、内部抵抗が小さく、優れた放電特性を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】電池の構造を示す概略図である。
【符号の説明】
1 電池 10 電池ケース 11 正極合剤 12 負極ゲル 13 集電体 14 負極キャップ 15 ガスケット 16 セパレータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−158862(JP,A) 特開 昭57−163958(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 2/02

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面にクロム水和酸化物からなる層を有
    する表面処理鋼板の片面に有機物の被覆層を設けた有機
    物被覆鋼板を、有機物被覆層が容器の内面側となるよう
    にして、縮径加工法を用いて容器の胴部と底部が一体と
    なって成形される容器に成形した後、該容器を加熱し該
    有機物被覆層を炭化させたことを特徴とする電池ケー
    ス。
  2. 【請求項2】 表面に下層が金属クロム、上層がクロム
    水和酸化物からなる二層を有する表面処理鋼板の片面に
    有機物の被覆層を設けた有機物被覆鋼板を、有機物被覆
    層が容器の内面側となるようにして、縮径加工法を用い
    て容器の胴部と底部が一体となって成形される容器に成
    形した後、該容器を加熱し該有機物被覆層を炭化させた
    ことを特徴とする電池ケース。
  3. 【請求項3】 表面にニッケルめっき層を有する表面処
    理鋼板の片面に有機物の被覆層を設けた有機物被覆鋼板
    を、有機物被覆層が容器の内面側となるようにして、縮
    径加工法を用いて容器の胴部と底部が一体となって成形
    される容器に成形した後、該容器を加熱し該有機物被覆
    層を炭化させたことを特徴とする電池ケース。
  4. 【請求項4】 表面にニッケルめっき層を有し、さらに
    その上にクロム水和酸化物からなる層を有する表面処理
    鋼板の片面に有機物の被覆層を設けた有機物被覆鋼板
    を、有機物被覆層が容器の内面側となるようにして、縮
    径加工法を用いて容器の胴部と底部が一体となって成形
    される容器に成形した後、該容器を加熱し該有機物被覆
    層を炭化させたことを特徴とする電池ケース。
  5. 【請求項5】 表面にニッケルめっき層を有し、さらに
    その上に下層が金属クロム、上層がクロム水和酸化物か
    らなる二層を有する表面処理鋼板の片面に有機物の被覆
    層を設けた有機物被覆鋼板を、有機物被覆層が容器の内
    面側となるようにして、縮径加工法を用いて容器の胴部
    と底部が一体となって成形される容器に成形した後、該
    容器を加熱し該有機物被覆層を炭化させたことを特徴と
    する電池ケース。
  6. 【請求項6】 前記の炭化させた有機物被覆層の電気抵
    抗が10Ω/cm以下であることを特徴とする、請求項
    1〜5のいずれかに記載の電池ケース。
  7. 【請求項7】 前記有機物被覆層が、溶媒に溶解または
    溶媒中に分散させた有機樹脂塗料を塗装積層し形成させ
    たものである、請求項1〜6のいずれかに記載の電池ケ
    ース。
  8. 【請求項8】 前記有機物被覆層が、加熱溶融した樹脂
    を押し出して積層し形成したものである、請求項1〜6
    のいずれかに記載の電池ケース。
  9. 【請求項9】 前記有機物被覆層が、有機樹脂フィルム
    を、接着剤を介してまたは接着剤を介さずに熱圧着して
    積層し形成したものである、請求項1〜6のいずれかに
    記載の電池ケース。
  10. 【請求項10】 鋼板の片面に有機物の被覆層を設けた
    有機物被覆鋼板を、有機物被覆層が容器の内面側となる
    ようにして、縮径加工法を用いて容器の胴部と底部が一
    体となって成形される容器に成形した後、該容器を非酸
    化雰囲気又はわずかな酸素分圧を有する雰囲気で400
    〜900℃に加熱し、前記有機物被覆層を炭化すること
    を特徴とする電池ケースの製造方法。
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