JP3199407B2 - TiCN基サーメット - Google Patents
TiCN基サーメットInfo
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐摩耗性,靱性に優れ
たTiCN基サーメットに関し、特に湿式切削工具とし
て好適なTiCN基サーメットに関する。
たTiCN基サーメットに関し、特に湿式切削工具とし
て好適なTiCN基サーメットに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、切削用焼結体として、周期律表第
4a,5a,6a族元素の複炭窒化物からなる硬質相
と、鉄族金属からなる結合相によって構成されるサーメ
ットが用いられるようになった。
4a,5a,6a族元素の複炭窒化物からなる硬質相
と、鉄族金属からなる結合相によって構成されるサーメ
ットが用いられるようになった。
【0003】かかるサーメットとしては、これまでTi
Cを主成分とするTiC基サーメットが主流であった
が、このTiC基サーメットは古くから工具材料として
用いられていた超硬合金に比較して耐欠損性が劣るため
に、この系に窒化物を添加することにより靱性を改善し
たいわゆるTiCN基サーメットが提案された。
Cを主成分とするTiC基サーメットが主流であった
が、このTiC基サーメットは古くから工具材料として
用いられていた超硬合金に比較して耐欠損性が劣るため
に、この系に窒化物を添加することにより靱性を改善し
たいわゆるTiCN基サーメットが提案された。
【0004】このTiCN基サーメットとしては、例え
ば、特公昭56−51201号が挙げられ、この公報で
は、(Ti,W,Ta,Mo)CNからなる硬質相と、
Ni,Coからなる結合相とから構成されるサーメット
が開示され、硬質相がTiや窒素に富む芯部と、W,T
a,Moおよび炭素に富む周辺部とから構成された有芯
構造を呈することが述べられている。このような有芯構
造を有する硬質相形成粒子は、一般に球形状をしてい
る。
ば、特公昭56−51201号が挙げられ、この公報で
は、(Ti,W,Ta,Mo)CNからなる硬質相と、
Ni,Coからなる結合相とから構成されるサーメット
が開示され、硬質相がTiや窒素に富む芯部と、W,T
a,Moおよび炭素に富む周辺部とから構成された有芯
構造を呈することが述べられている。このような有芯構
造を有する硬質相形成粒子は、一般に球形状をしてい
る。
【0005】また、この先行技術によれば、MoやMo
2 Cは、有芯構造の周辺部に存在して硬質相の結合相と
の濡れ性を改善することから硬質相における必須成分と
されている。また、TaCはサーメットの耐酸化性を改
善するとともに切削工具としてのクレータ摩耗の進行を
抑制する効果を有することから実用性の点から必須の成
分とされてきた。
2 Cは、有芯構造の周辺部に存在して硬質相の結合相と
の濡れ性を改善することから硬質相における必須成分と
されている。また、TaCはサーメットの耐酸化性を改
善するとともに切削工具としてのクレータ摩耗の進行を
抑制する効果を有することから実用性の点から必須の成
分とされてきた。
【0006】また、硬質相を形成する炭素(C)および
窒素(N)はサーメットの靱性および硬度を決定する大
きな要因であり、最近では窒素を多量に含有させること
により、サーメットの靱性を高めようとする試みもなさ
れている。
窒素(N)はサーメットの靱性および硬度を決定する大
きな要因であり、最近では窒素を多量に含有させること
により、サーメットの靱性を高めようとする試みもなさ
れている。
【0007】ところで、最近に至り上記のTiCN基サ
ーメットに対して、その表面部の組織を変えることによ
り耐摩耗性や靱性をさらに高めようといった改良が提案
されている。例えば特公昭59−14534号では、焼
成時に液相出現温度以下で窒素を炉内に導入することに
よって焼結体表面に靱性に富む軟化層を形成すること
が、また、特公昭59−17176号では焼成をCOを
含む還元雰囲気内で行うことにより内部より高硬度の層
を形成することが提案されている。
ーメットに対して、その表面部の組織を変えることによ
り耐摩耗性や靱性をさらに高めようといった改良が提案
されている。例えば特公昭59−14534号では、焼
成時に液相出現温度以下で窒素を炉内に導入することに
よって焼結体表面に靱性に富む軟化層を形成すること
が、また、特公昭59−17176号では焼成をCOを
含む還元雰囲気内で行うことにより内部より高硬度の層
を形成することが提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする問題点】しかしながら、特公
昭59−14534号のTiCN基サーメットでは、耐
摩耗性や靱性のみが向上しており硬度の点で不十分であ
る。また、特公昭59−17176号のTiCN基サー
メットでは硬度を向上することができるが靱性の点で不
十分である。従って、上記のような先行技術によれば、
いずれも硬度あるいは靱性のどちらかのみを向上するに
とどまり、高硬度,高靱性の双方が要求される工具材料
としては切削性能上不十分であった。また、湿式切削用
の工具材料としては、高硬度,高靱性以外に耐熱衝撃性
が要求されるが、従来の切削工具では、この耐熱衝撃性
に劣り、湿式切削用としては切削性能上不十分であっ
た。
昭59−14534号のTiCN基サーメットでは、耐
摩耗性や靱性のみが向上しており硬度の点で不十分であ
る。また、特公昭59−17176号のTiCN基サー
メットでは硬度を向上することができるが靱性の点で不
十分である。従って、上記のような先行技術によれば、
いずれも硬度あるいは靱性のどちらかのみを向上するに
とどまり、高硬度,高靱性の双方が要求される工具材料
としては切削性能上不十分であった。また、湿式切削用
の工具材料としては、高硬度,高靱性以外に耐熱衝撃性
が要求されるが、従来の切削工具では、この耐熱衝撃性
に劣り、湿式切削用としては切削性能上不十分であっ
た。
【0009】ところで、従来からTiCN基サーメット
の平均結晶粒径を小さくすることにより、高硬度,高靱
性を達成することができることが知られているが、この
ような平均結晶粒径が小さいTiCN基サーメットで
は、上記湿式切削用工具に必要な耐熱衝撃性に劣るとい
う問題があった。
の平均結晶粒径を小さくすることにより、高硬度,高靱
性を達成することができることが知られているが、この
ような平均結晶粒径が小さいTiCN基サーメットで
は、上記湿式切削用工具に必要な耐熱衝撃性に劣るとい
う問題があった。
【0010】
【問題点を解決するための手段】本発明者等は、上記の
問題点に対し種々の検討を行った結果、硬質相粒子の少
なくとも10%を多面体とすることにより、耐熱衝撃性
が改善され、かつ、高硬度,高靱性を有し、湿式切削時
においても優れた耐摩耗性,耐欠損性を有するサーメッ
トが得られることを知見して本発明に至った。即ち、本
発明のTiCN基サーメットは、周期律表第4a,5
a,6a族元素のうち少なくともTi、WおよびNbを
必須成分として含有する硬質相粒子と、鉄族金属からな
る結合相とから構成されるTiCN基サーメットであっ
て、前記硬質相粒子の少なくとも10%が多面体である
ことを特徴とする。このような多面体からなる硬質相粒
子は、その平均結晶粒径を2μm以上に粒成長させるこ
とにより多量に存在するようになる。
問題点に対し種々の検討を行った結果、硬質相粒子の少
なくとも10%を多面体とすることにより、耐熱衝撃性
が改善され、かつ、高硬度,高靱性を有し、湿式切削時
においても優れた耐摩耗性,耐欠損性を有するサーメッ
トが得られることを知見して本発明に至った。即ち、本
発明のTiCN基サーメットは、周期律表第4a,5
a,6a族元素のうち少なくともTi、WおよびNbを
必須成分として含有する硬質相粒子と、鉄族金属からな
る結合相とから構成されるTiCN基サーメットであっ
て、前記硬質相粒子の少なくとも10%が多面体である
ことを特徴とする。このような多面体からなる硬質相粒
子は、その平均結晶粒径を2μm以上に粒成長させるこ
とにより多量に存在するようになる。
【0011】また本発明のTiCN基サーメットの組成
は、サーメット全体組成から鉄族金属および不可避不純
物を除いた他の成分組成中、Ti,Nb,W,C,Nの
各成分組成を〔 (Ti)a (Nb)b (W)c〕〔(C)u
(N)v〕z と表した時、a+b+c=1、0.50≦a
≦0.95、0.05≦b+c≦0.5、0.40≦b
/b+c≦0.95、0.40≦v≦0.60、0.8
0≦z≦1.0、u+v=1を満足し、且つサーメット
中に含有されるMo量が0.5重量%以下よりなる。
は、サーメット全体組成から鉄族金属および不可避不純
物を除いた他の成分組成中、Ti,Nb,W,C,Nの
各成分組成を〔 (Ti)a (Nb)b (W)c〕〔(C)u
(N)v〕z と表した時、a+b+c=1、0.50≦a
≦0.95、0.05≦b+c≦0.5、0.40≦b
/b+c≦0.95、0.40≦v≦0.60、0.8
0≦z≦1.0、u+v=1を満足し、且つサーメット
中に含有されるMo量が0.5重量%以下よりなる。
【0012】以下、本発明のTiCN基サーメットを詳
述する。
述する。
【0013】本発明のTiCN基サーメットは、基本的
に硬質相と結合相から構成されるものであるが、硬質相
粒子の少なくとも10%が多面体である。このような硬
質相粒子は平均結晶粒径を2μm以上、特に2.5〜
3.5μmとすることにより得られ易く、このような平
均結晶粒径が2μm以上である硬質相粒子は、高い焼成
温度(1500℃以上、特に1600〜1700℃)で
焼成し、粒成長を促進させることにより形成され、特定
の組成範囲,焼成温度によってさらに助長することがで
きる。
に硬質相と結合相から構成されるものであるが、硬質相
粒子の少なくとも10%が多面体である。このような硬
質相粒子は平均結晶粒径を2μm以上、特に2.5〜
3.5μmとすることにより得られ易く、このような平
均結晶粒径が2μm以上である硬質相粒子は、高い焼成
温度(1500℃以上、特に1600〜1700℃)で
焼成し、粒成長を促進させることにより形成され、特定
の組成範囲,焼成温度によってさらに助長することがで
きる。
【0014】ここで、硬質相粒子の少なくとも10%を
多面体としたのは、高い焼成温度(1500℃以上)で
焼成した場合、粒成長に伴い(平均結晶粒径2μm以
上)、図1に示すように硬質相粒子同士の接触率が低く
なり、本来の結晶型(NaCl型)の粒子形状(多面
体)を有するようになり、硬質相粒子自身と結合相との
接触面積が増加し、粒子界面の結合力が高くなる。そう
することによって、硬質相粒子の脱粒が抑制され、工具
の摩耗が改善でき、また、クラック伸展が抑制され、耐
欠損性が改善できるからである。そして、このようなサ
ーメットは、特に耐熱衝撃性,耐熱亀裂性に優れている
ので、湿式切削工具として使用されることが望ましい。
一方、多面体が10%未満だと硬質相粒子と結合相金属
の接触面積が小さいため、硬質相粒子と結合相との界面
結合力が弱く、硬質相粒子の脱粒,クラック伸展が容易
に進行し、工具摩耗の増大,耐欠損性の低下が生じ易く
なるからである。尚、多面体が10%とは、所定体積当
たりの全粒子数に対する多面体粒子数が10%であると
いうことを示す。
多面体としたのは、高い焼成温度(1500℃以上)で
焼成した場合、粒成長に伴い(平均結晶粒径2μm以
上)、図1に示すように硬質相粒子同士の接触率が低く
なり、本来の結晶型(NaCl型)の粒子形状(多面
体)を有するようになり、硬質相粒子自身と結合相との
接触面積が増加し、粒子界面の結合力が高くなる。そう
することによって、硬質相粒子の脱粒が抑制され、工具
の摩耗が改善でき、また、クラック伸展が抑制され、耐
欠損性が改善できるからである。そして、このようなサ
ーメットは、特に耐熱衝撃性,耐熱亀裂性に優れている
ので、湿式切削工具として使用されることが望ましい。
一方、多面体が10%未満だと硬質相粒子と結合相金属
の接触面積が小さいため、硬質相粒子と結合相との界面
結合力が弱く、硬質相粒子の脱粒,クラック伸展が容易
に進行し、工具摩耗の増大,耐欠損性の低下が生じ易く
なるからである。尚、多面体が10%とは、所定体積当
たりの全粒子数に対する多面体粒子数が10%であると
いうことを示す。
【0015】また、サーメットの全体組成における前記
鉄族金属を除く他の成分組成を前述の範囲になるように
設定した理由について述べる。
鉄族金属を除く他の成分組成を前述の範囲になるように
設定した理由について述べる。
【0016】先ず、硬質相を形成する主成分であるTi
は、焼結体内におよそTiCNとして存在し、その量は
サーメットの強度や硬度を決定する大きな要因であり、
このTi量(a)が前記式において0.5より小さいと
サーメット工具の特徴である耐摩耗性、金属に対する親
和性が不十分となり、0.95を越えると耐欠損性が低
下することとなる。なお、Ti量(a)は0.70≦a
≦0.90であることが特に望ましい。
は、焼結体内におよそTiCNとして存在し、その量は
サーメットの強度や硬度を決定する大きな要因であり、
このTi量(a)が前記式において0.5より小さいと
サーメット工具の特徴である耐摩耗性、金属に対する親
和性が不十分となり、0.95を越えると耐欠損性が低
下することとなる。なお、Ti量(a)は0.70≦a
≦0.90であることが特に望ましい。
【0017】サーメットにおいて、Tiと同様に必須の
成分とされるWはWCとして硬質相の結合相との濡れ性
を改善し、強度,靱性を高める作用をなすが、硬質相が
(Ti,W)CNから構成される場合には、耐摩耗性,
耐酸化性,耐欠損性等の特性が実用的レベルまで達しな
いという問題があった。そこで、硬質相を強化し諸特性
を向上することを目的としてこれまでMoやTa等の炭
化物が必須の成分として使用されてきたが、後述する実
施例から明らかなように、Moの場合、Mo2 C自体硬
質相主成分であるTiCあるいはTiCNに比較して特
性が劣るためにサーメットの特性向上には大きく寄与せ
ず、場合によっては逆に特性を劣化させてしまうという
傾向にあることがわかった。特に、この傾向は湿式切削
時に顕著であった。
成分とされるWはWCとして硬質相の結合相との濡れ性
を改善し、強度,靱性を高める作用をなすが、硬質相が
(Ti,W)CNから構成される場合には、耐摩耗性,
耐酸化性,耐欠損性等の特性が実用的レベルまで達しな
いという問題があった。そこで、硬質相を強化し諸特性
を向上することを目的としてこれまでMoやTa等の炭
化物が必須の成分として使用されてきたが、後述する実
施例から明らかなように、Moの場合、Mo2 C自体硬
質相主成分であるTiCあるいはTiCNに比較して特
性が劣るためにサーメットの特性向上には大きく寄与せ
ず、場合によっては逆に特性を劣化させてしまうという
傾向にあることがわかった。特に、この傾向は湿式切削
時に顕著であった。
【0018】そこで、Mo2 Cに代わる成分として検討
を行ったところ、Nbの炭化物がMo2 Cに比較してそ
れ自体優れた特性を有すること等に起因してサーメット
の特性、特に耐熱衝撃性を大きく改善でき、湿式切削時
の耐摩耗性,耐欠損性を向上できることがわかった。即
ち、NbとWとの合量(b+c)が0.05より少ない
と耐欠損性が不十分となり、0.5より大きいと耐摩耗
性が劣るととともに被削材との反応性が高くなる傾向に
ある。尚、(b+c)値は 0.10≦b+c≦0.3
0であることが特に望ましい。また、W,Nbの合量
(b+c)に対するNb量(b)の割合(b/b+c)
が前記式において0.4より小さいと耐摩耗性,耐酸化
性に劣り、逆に0.95より大きいと耐欠損性が低下す
る。
を行ったところ、Nbの炭化物がMo2 Cに比較してそ
れ自体優れた特性を有すること等に起因してサーメット
の特性、特に耐熱衝撃性を大きく改善でき、湿式切削時
の耐摩耗性,耐欠損性を向上できることがわかった。即
ち、NbとWとの合量(b+c)が0.05より少ない
と耐欠損性が不十分となり、0.5より大きいと耐摩耗
性が劣るととともに被削材との反応性が高くなる傾向に
ある。尚、(b+c)値は 0.10≦b+c≦0.3
0であることが特に望ましい。また、W,Nbの合量
(b+c)に対するNb量(b)の割合(b/b+c)
が前記式において0.4より小さいと耐摩耗性,耐酸化
性に劣り、逆に0.95より大きいと耐欠損性が低下す
る。
【0019】そして、本発明におけるTiCN基サーメ
ットでは、Moの添加はむしろ避けるべきで、その量は
サーメット中0.5重量%以下にすることが望ましい。
ットでは、Moの添加はむしろ避けるべきで、その量は
サーメット中0.5重量%以下にすることが望ましい。
【0020】一方、窒素および炭素の量はサーメットの
硬度および靱性を決定する要因として非常に重要であ
り、特に窒素の量が増加するに従い、靱性が向上する傾
向にあるが、窒素の量が過多になると焼成時の窒化物の
分解によるガスが焼結体のボイド中に残留するという問
題が生じる。よって前記式において窒素量(v)が0.
4より小さいと、靱性が低下し耐欠損性が不十分とな
り、0.6を越えると焼結体内にボイドが発生し信頼性
に欠けるようになる。
硬度および靱性を決定する要因として非常に重要であ
り、特に窒素の量が増加するに従い、靱性が向上する傾
向にあるが、窒素の量が過多になると焼成時の窒化物の
分解によるガスが焼結体のボイド中に残留するという問
題が生じる。よって前記式において窒素量(v)が0.
4より小さいと、靱性が低下し耐欠損性が不十分とな
り、0.6を越えると焼結体内にボイドが発生し信頼性
に欠けるようになる。
【0021】また、窒素,炭素量のTi,W,Nbの合
量に対する比率(z)が0.8より小さいと焼結性が劣
化しボイドが残留し、1.0より大きいと遊離炭素が発
生するために強度低下を引き起こす結果となる。望まし
くは0.85≦z≦1.0である。
量に対する比率(z)が0.8より小さいと焼結性が劣
化しボイドが残留し、1.0より大きいと遊離炭素が発
生するために強度低下を引き起こす結果となる。望まし
くは0.85≦z≦1.0である。
【0022】本発明において結合相を形成する鉄族金属
としては、Niおよび/またはCoが挙げられ、望まし
くはNiとCoから構成され、特にCo/Ni+Coの
モル比が0.5〜0.9であることが耐摩耗性向上の点
からよい。
としては、Niおよび/またはCoが挙げられ、望まし
くはNiとCoから構成され、特にCo/Ni+Coの
モル比が0.5〜0.9であることが耐摩耗性向上の点
からよい。
【0023】また、この鉄族金属は系中において3〜3
0重量%、特に5〜20重量%の割合で存在することが
望ましい。
0重量%、特に5〜20重量%の割合で存在することが
望ましい。
【0024】本発明のTiCN基サーメットは、例え
ば、先ず前述したTi,W,Nbの炭化物,窒化物,炭
窒化物の粉末に鉄族金属粉末を最終焼結体が上述した割
合になるように秤量混合した後にプレス成形、押し出し
成形、射出成形等の周知の成形手段で成形後、焼成す
る。
ば、先ず前述したTi,W,Nbの炭化物,窒化物,炭
窒化物の粉末に鉄族金属粉末を最終焼結体が上述した割
合になるように秤量混合した後にプレス成形、押し出し
成形、射出成形等の周知の成形手段で成形後、焼成す
る。
【0025】具体的には得られた成形体を真空炉内に設
置し、焼成を行う。本発明によれば、0.5torr以下の
真空炉内で1400〜1700℃の温度で加熱するが、
この時所定の時期に1〜30torrの圧力の窒素ガスを導
入することによって成形体中に含まれる窒化物の熱分解
を抑制し、これにより焼結体中のポア,ボイドの発生を
防止するとともに、粒成長を促進することができる。
置し、焼成を行う。本発明によれば、0.5torr以下の
真空炉内で1400〜1700℃の温度で加熱するが、
この時所定の時期に1〜30torrの圧力の窒素ガスを導
入することによって成形体中に含まれる窒化物の熱分解
を抑制し、これにより焼結体中のポア,ボイドの発生を
防止するとともに、粒成長を促進することができる。
【0026】本発明によれば、特に、この窒素ガス導入
時期が重要で液相出現温度以上、特に対理論密度比が初
期の5%以上緻密化した段階で導入する。5%以上緻密
化した段階とは、液相出現温度以上で硬質層粒子表面に
は液相により表面に被膜が形成される。この被膜形成後
に窒素ガスを導入することにより、成形体中に存在する
空隙に窒素ガスが残留し、結果的に粒成長を促進させる
ためである。窒素ガスは炉内の温度が最高焼結温度に達
した後は、窒素ガスの圧力を先に設定した圧力に維持す
るか、それ以下に維持する。好ましくは、再び真空に戻
すか、徐々に圧力降下させて焼成を続ける。これは焼結
体表面部に微粒で金属量の多い軟質相が生成され、表面
部の硬度が低下してしまうためである。
時期が重要で液相出現温度以上、特に対理論密度比が初
期の5%以上緻密化した段階で導入する。5%以上緻密
化した段階とは、液相出現温度以上で硬質層粒子表面に
は液相により表面に被膜が形成される。この被膜形成後
に窒素ガスを導入することにより、成形体中に存在する
空隙に窒素ガスが残留し、結果的に粒成長を促進させる
ためである。窒素ガスは炉内の温度が最高焼結温度に達
した後は、窒素ガスの圧力を先に設定した圧力に維持す
るか、それ以下に維持する。好ましくは、再び真空に戻
すか、徐々に圧力降下させて焼成を続ける。これは焼結
体表面部に微粒で金属量の多い軟質相が生成され、表面
部の硬度が低下してしまうためである。
【0027】尚、導入する窒素ガス圧力を1〜30torr
に限定した理由は1torr未満では窒化物に対する分解抑
制効果が得られず、30torrを越えると焼結性が低下す
るためである。また、焼成温度を1500〜1800℃
と高い温度に設定することにより、NaCl型結晶性が
向上し、これによりNaCl型自体が有する結晶形態で
ある多面体形状を呈するようになる。
に限定した理由は1torr未満では窒化物に対する分解抑
制効果が得られず、30torrを越えると焼結性が低下す
るためである。また、焼成温度を1500〜1800℃
と高い温度に設定することにより、NaCl型結晶性が
向上し、これによりNaCl型自体が有する結晶形態で
ある多面体形状を呈するようになる。
【0028】また、本発明によれば、上記(Ti,W,
Nb)(C,N)、鉄族金属からなる系に対して特性を
改善する目的でさらにZr,Hf,Cr,VおよびTa
等の炭化物、窒化物、炭窒化物等を添加し、前述した式
において、TiあるいはNbの一部と置換することによ
り特性の改善を図ることができ、特にNbの一部をVで
置換することによりNbの作用効果をさらに助長し、特
にサーメットの湿式切削時の耐摩耗性を大きく向上する
ことができる。この時のNb/Vの原子比は1〜10、
特に2〜6であることが望ましい。
Nb)(C,N)、鉄族金属からなる系に対して特性を
改善する目的でさらにZr,Hf,Cr,VおよびTa
等の炭化物、窒化物、炭窒化物等を添加し、前述した式
において、TiあるいはNbの一部と置換することによ
り特性の改善を図ることができ、特にNbの一部をVで
置換することによりNbの作用効果をさらに助長し、特
にサーメットの湿式切削時の耐摩耗性を大きく向上する
ことができる。この時のNb/Vの原子比は1〜10、
特に2〜6であることが望ましい。
【0029】以下、本発明のTiCN基サーメットを実
施例に基づいて説明する。
施例に基づいて説明する。
【0030】
【実施例】原料粉末として平均粒径が1〜1.5μm の
TiC,TiCN,WC,NbC,VC,Ni,Coの
各粉末を用いて最終焼結体の組成が表1の割合に成るよ
うに秤量混合した後、1.5ton/cm2 の圧力でC
NMG120408用のチップ形状にプレス成形し、こ
れらの成形体を真空雰囲気において1400〜1700
℃の焼成温度で1時間焼成した。図1はこのようにして
得られたTiCN基サーメットの拡大図を示しており、
図2は、従来のTiCN基サーメットの拡大図を示して
いる。
TiC,TiCN,WC,NbC,VC,Ni,Coの
各粉末を用いて最終焼結体の組成が表1の割合に成るよ
うに秤量混合した後、1.5ton/cm2 の圧力でC
NMG120408用のチップ形状にプレス成形し、こ
れらの成形体を真空雰囲気において1400〜1700
℃の焼成温度で1時間焼成した。図1はこのようにして
得られたTiCN基サーメットの拡大図を示しており、
図2は、従来のTiCN基サーメットの拡大図を示して
いる。
【0031】そして、得られた各焼結体に対してJIS
R1601に従い3点曲げ抗折強度,ビッカース硬度,
ビッカース硬度用ダイヤモンド圧子を用いて荷重20k
gで圧痕法により焼結体中心部の破壊靱性を測定した。
また、得られた各試料を3μmのダイヤモンドペースト
で鏡面研磨し、その表面をエッチングした後、走査型電
子顕微鏡にて観察することにより、平均結晶粒径および
多面体を有する硬質相粒子の割合をFullmanの式
を用いて割り出した。
R1601に従い3点曲げ抗折強度,ビッカース硬度,
ビッカース硬度用ダイヤモンド圧子を用いて荷重20k
gで圧痕法により焼結体中心部の破壊靱性を測定した。
また、得られた各試料を3μmのダイヤモンドペースト
で鏡面研磨し、その表面をエッチングした後、走査型電
子顕微鏡にて観察することにより、平均結晶粒径および
多面体を有する硬質相粒子の割合をFullmanの式
を用いて割り出した。
【0032】次に、各試料を用いて下記に示す切削条件
で湿式摩耗試験を行い、切削後のフランク摩耗量を、
又、欠損試験を行い、非欠損コーナー数を調べた。湿式
摩耗試験は、水溶性切削油を5l/minで供給しなが
ら行った。
で湿式摩耗試験を行い、切削後のフランク摩耗量を、
又、欠損試験を行い、非欠損コーナー数を調べた。湿式
摩耗試験は、水溶性切削油を5l/minで供給しなが
ら行った。
【0033】(摩耗試験) 被削材 SCM435 切削速度 250m/min 切り込み 2mm 送り 0.3mm/rev 切削時間 10min (欠損試験) 被削材 SCM435(4本溝入) 切削速度 100m/min 切り込み 2mm 送り 0.3mm/rev 切削時間 1min 上記の試験結果を表2に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】表1および表2によれば、多面体を有する
割合が10%以上である場合には、耐欠損性等に優れた
サーメットが得られるが、多面体を有する割合が10%
未満である場合(試料No.2、5,10,13,1
4,18)には、耐欠損性等が劣ることが判る。
割合が10%以上である場合には、耐欠損性等に優れた
サーメットが得られるが、多面体を有する割合が10%
未満である場合(試料No.2、5,10,13,1
4,18)には、耐欠損性等が劣ることが判る。
【0037】
【発明の効果】以上、詳述した通り、本発明のTiCN
基サーメットは、硬質相粒子の少なくとも10%を多面
体としたので、高い強度,硬度を有するとともに湿式切
削性および耐欠損性に優れたサーメットを提供すること
ができる。これにより工具として用いた場合に、適用可
能な切削条件を拡大するとともに、工具の長寿命化を図
ることができる。
基サーメットは、硬質相粒子の少なくとも10%を多面
体としたので、高い強度,硬度を有するとともに湿式切
削性および耐欠損性に優れたサーメットを提供すること
ができる。これにより工具として用いた場合に、適用可
能な切削条件を拡大するとともに、工具の長寿命化を図
ることができる。
【図1】本発明のTiCN基サーメットを研削後エッチ
ングした表面を走査型電子顕微鏡にて観察した5000
倍の説明図である。
ングした表面を走査型電子顕微鏡にて観察した5000
倍の説明図である。
【図2】従来のTiCN基サーメットの5000倍の説
明図である。
明図である。
Claims (2)
- 【請求項1】周期律表第4a,5a,6a族元素のうち
少なくともTi,WおよびNbを必須成分として含有す
る硬質相粒子と、鉄族金属からなる結合相とから構成さ
れるTiCN基サーメットであって、サーメット全体組
成から前記鉄族金属および不可避不純物を除いた他の成
分組成中、Ti,Nb,W,C,Nの各成分組成を、
[(Ti)a(Nb)b(W)c][(C)u(N)v]z
と表した時、a+b+c=1、0.50≦a≦0.9
5、0.05≦b+c≦0.5、0.40≦b/b+c
≦0.95、0.40≦v≦0.60、0.80≦z≦
1.0、u+v=1を満足し、且つ前記サーメット中に
含有されるMo量が0.5重量%以下であるとともに、
前記硬質相粒子の少なくとも10%が多面体であること
を特徴とするTiCN基サーメット。 - 【請求項2】硬質相粒子の平均結晶粒径が2μm以上で
ある請求項1記載のTiCN基サーメット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24727991A JP3199407B2 (ja) | 1991-09-26 | 1991-09-26 | TiCN基サーメット |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24727991A JP3199407B2 (ja) | 1991-09-26 | 1991-09-26 | TiCN基サーメット |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0578777A JPH0578777A (ja) | 1993-03-30 |
JP3199407B2 true JP3199407B2 (ja) | 2001-08-20 |
Family
ID=17161100
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP24727991A Expired - Fee Related JP3199407B2 (ja) | 1991-09-26 | 1991-09-26 | TiCN基サーメット |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3199407B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN1078634C (zh) * | 1999-12-02 | 2002-01-30 | 北京百泉化纤厂 | 磁性保健纤维 |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE60137870D1 (de) * | 2000-12-19 | 2009-04-16 | Honda Motor Co Ltd | Kompositwerkstoff |
SE525744C2 (sv) * | 2002-11-19 | 2005-04-19 | Sandvik Ab | Ti (C,N)-(Ti,Nb,W)(C,N)-Co-legering för frässkärtillämpningar |
SE526180C3 (sv) * | 2002-11-19 | 2005-08-03 | Sandvik Ab | Ti (C,N) - (Ti,Nb,W) (C,N) -Co-legering för svarvskärtillämpningar för lätt finbearbetning |
SE525745C2 (sv) * | 2002-11-19 | 2005-04-19 | Sandvik Ab | Ti(C-(Ti,Nb,W)(C,N)-Co-legering för svarvskärtillämpningar för finbearbetning och medelfin bearbetning |
-
1991
- 1991-09-26 JP JP24727991A patent/JP3199407B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN1078634C (zh) * | 1999-12-02 | 2002-01-30 | 北京百泉化纤厂 | 磁性保健纤维 |
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0578777A (ja) | 1993-03-30 |
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