JP3198733B2 - インバータのパワートランジスタ駆動回路 - Google Patents

インバータのパワートランジスタ駆動回路

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JP3198733B2 JP16118593A JP16118593A JP3198733B2 JP 3198733 B2 JP3198733 B2 JP 3198733B2 JP 16118593 A JP16118593 A JP 16118593A JP 16118593 A JP16118593 A JP 16118593A JP 3198733 B2 JP3198733 B2 JP 3198733B2
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紀雄 鍵村
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はインバータのパワートラ
ンジスタ駆動回路の改良に関し、詳しくは、小容量のド
ライバーで駆動可能としたものに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、インバータには、直流を電源周
波数とは異なる周波数の三相交流に変換する直流- 交流
変換部を有し、該変換部において、上下に接続して成る
2個のパワートランジスタを1組とし、これを3組を並
列に接続した6個のパワートランジスタを備えるととも
に、該各パワートランジスタに対応して、該各パワート
ランジスタを個別にON- OFF制御する6個のドライ
バーを有する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来で
は、パワートランジスタとして、例えば20〜100A
等の容量の大きいものを使用する場合には、各ドライバ
ーも大容量のものを使用する必要があった。
【0004】即ち、各ドライバーは、対応するパワート
ランジスタを順バイアス状態としてON作動させる機能
に加えて、強制的に逆バイアス状態としてOFF作動を
維持する機能を有し、この後者の機能によりON作動へ
の誤動作を防止しているが、前者の順バイアス状態とす
る機能に関しては、高い増幅率HFEのパワートランジス
タを使用すれば小値のベース電流で駆動できるので、小
容量のドライバーで足りるものの、後者の逆バイアス状
態とする機能については、図4に示すように、パワート
ランジスタのON状態でベース電流を停止させてもOF
F状態に移行するには比較的長い時間が必要である関係
上、パワートランジスタのON- OFF切換えについて
は、アーム短絡を防止する上で所定のデッド時間を設け
ている。この場合、デッド時間が短いほど理論値に近い
出力波形が得られるので、パワートランジスタのON状
態からOFF状態への移行時間を最短時間にすべく、パ
ワートランジスタに逆バイアス電圧を与えて逆バイアス
電流を流し、これによりパワートランジスタの少数キャ
リアを飽和させて、パワートランジスタのOFF時間を
短くすることが一般的に行われる。しかし、パワートラ
ンジスタのOFF時間は上記逆バイアス電流の大きさに
比例する関係上、必要な逆バイアス電流を流すように設
計すると、ドライバーの定格を越えるため、大容量のド
ライバーを使用する必要があり、その結果、従来では、
ドライバーが大型化し、計6個のドライバーを合せる
と、これを配置するプリント基板上の占有面積が大きく
てインバータ全体として大型化すると共に高価格に付く
欠点があった。
【0005】本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので
あり、その目的は、大容量のパワートランジスタを使用
する場合であっても、小容量のドライバーを使用できる
インバータのパワートランジスタ駆動回路を提供するこ
とにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】以上の目的を達成するた
め、本発明では、ドライバーに流れる逆バイアス電流を
小値に制限しつつ、パワートランジスタに流れる逆バイ
アス電流を大値に確保することにより、小容量のドライ
バーを使用可能とすることとする。
【0007】すなわち、請求項1記載の発明の具体的な
解決手段は、高増幅率の6個のパワートランジスタ(5
u1)〜(5w2)の各々に対応して設けられ、対応す
るパワートランジスタをON- OFF制御する第1及び
第2のパワートランジスタ(Q1)、(Q2)を有する
プリドライバー(10)を備え、該第1のパワートラン
ジスタ(Q1)は、制御信号に応じてON作動して上記
対応するパワートランジスタにベース電流を流す順バイ
アス回路(15)を形成し、上記第2のパワートランジ
スタ(Q2)は、上記第1のトランジスタ(Q1)がO
FF作動するとき制御信号に応じてON作動して上記対
応するパワートランジスタのベースに逆バイアス電流を
流す逆バイアス回路(16)を形成するインバータのパ
ワートランジスタ駆動回路を対象とする。そして、上記
逆バイアス回路(16)に配置される抵抗(R1)と、
該抵抗(R1)の端子電圧をベース電圧とし、該ベース
電圧が設定値を越えたときON作動して上記抵抗(R
1)及び第2のトランジスタ(Q2)に流れる電流を軽
減するよう上記逆バイアス回路(16)を迂回する分流
回路(17)を形成する第3のトランジスタ(Q0)と
を設ける構成とする。
【0008】また、請求項2記載の発明では、上記請求
項1記載の発明の構成に加えて、分流回路(17)のう
ち順バイアス回路(15)と共用する部分を除く箇所
に、逆バイアス電流の流通方向と同方向にダイオード
(D)を挿入する構成とする。
【0009】加えて、請求項1記載の発明では、上記請
求項2記載の発明の構成に加えて、プリドライバー(1
0)の電源端子とアース端子間に、コンデンサ(C0)
を接続する構成とする。
【0010】
【作用】以上の構成により、請求項1記載の発明では、
第1のトランジスタ(Q1)がON作動し、第2のトラ
ンジスタ(Q2)がOFF作動したパワートランジスタ
の順バイアス状態では、パワートランジスタが高増幅率
であるので、第1のトランジスタ(Q1)が流すベース
電流が小値であっても、パワートランジスタを良好に駆
動できる。
【0011】一方、第2のトランジスタ(Q2)がON
作動し、第1のトランジスタ(Q1)がOFF作動した
パワートランジスタの逆バイアス状態では、逆バイアス
回路(16)が形成されて、逆バイアス電流が抵抗(R
1)を経て第2のトランジスタ(Q1)に流れるので、
第1のトランジスタ(Q2)に流れる逆バイアス電流
は、抵抗(R1)及び回路インピーダンス等で小値に制
限され、従って小容量のプリドライバーが使用可能であ
る。
【0012】そして、上記抵抗(R1)に対する逆バイ
アス電流の流通によりその端子電圧が設定値を越える
と、第3のトランジスタ(Q0)がON作動して分流回
路(17)が形成されて、逆バイアス電流が直接に第3
のトランジスタ(Q0)を経てパワートランジスタを循
環し、上記抵抗(R1)及び第2のトランジスタ(Q
2)を迂回するので、大きな逆バイアス電流が確保され
て、パワートランジスタのON- OFF切換えのデッド
時間が短くなる。
【0013】また、請求項2記載の発明では、第3のト
ランジスタ(Q0)のON作動による分流回路(17)
の形成時には、この分流回路(17)の形成と回路イン
ピーダンスのL成分に起因して、パワートランジスタが
OFFした直後等に逆バイアス電流とは逆方向の電流、
即ちベース電流が不用意に分流回路(17)及び第1の
トランジスタ(Q2)に逆並列のフライホイールダイオ
ードを流れることも想定され、この場合に逆バイアス電
流とベース電流との大小変化の繰返しに伴いパワートラ
ンジスタの発振を招き易くなっても、分流回路(17)
に挿入したダイオード(D)存在により上記ベース電流
の流通が阻止されるので、そのパワートランジスタの発
振が確実に防止される。
【0014】更に、請求項3記載の発明では、上記ダイ
オード(D)の存在によりプリドライバー(10)のイ
ンピーダンスが高くなって、特に負極性のノイズに対し
て誤動作し易くなるものの、プリドライバー(10)に
接続したコンデンサ(C0)により、ノイズ分の高調波
がコンデンサ(C0)に流れて、プリドライバー(1
0)には流れないので、ノイズに対する誤動作が有効に
防止される。
【0015】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発
明のインバータのパワートランジスタ駆動回路によれ
ば、大容量のパワートランジスタ用の駆動回路であって
も、そのパワートランジスタの逆バイアス電流を大値に
確保してパワートランジスタのON- OFF切換えのデ
ッド時間を効果的に短縮しつつ、ドライバーを流通する
逆バイアス電流を小値に制限したので、小型で低価格の
小容量ドライバーを使用でき、プリント基板に対する占
有面積を小さく制限して、インバータ全体の小型化及び
低価格化を図ることができる。
【0016】また、請求項2記載の発明によれば、ダイ
オードを使用して、パワートランジスタの発振を確実に
防止したので、インバータの上下アームの短絡に起因す
るパワートランジスタの破損や、保護装置の作動による
システムダウンを防止でき、インバータの正常動作を確
保できる。
【0017】更に、請求項3記載の発明によれば、コン
デンサを用いて、ノイズ分の高調波を該コンデンサに流
したので、ノイズによるプリドライバーの誤動作を有効
に抑制ないし防止して、インバータの正常動作を確保で
きる。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基いて説明す
る。
【0019】図1は、インバータの全体概略構成を示
し、(1)は三相電源、(2)は三相電源(1)を入力
電源とする例えばパルス幅変調制御式のインバータ、
(3)はインバータ(2)により駆動される三相誘導モ
ータである。
【0020】上記インバータ(2)は、三相電源(1)
の三相交流電圧を直流電圧に変換するダイオード整流回
路(4a)及びコンデンサ平滑回路(4b)とから成る
交流- 直流変換部(4)と、該交流- 直流変換部(4)
からの直流電圧を電源周波数とは異なる適宜周波数の三
相交流電圧に変換する直流- 交流変換部(5)とを備え
る。該直流- 交流変換部(5)は、上下に直列に接続し
た2個のパワートランジスタを1組として3組設けた合
計6個のパワートランジスタ(5u1),(5u2)、
(5v1),(5v2)、(5w1),(5w2)より
成る。
【0021】更に、上記インバータ(2)は、内部に、
運転/停止信号や周波数指示信号を外部から受け、周波
数指示信号に対応する制御信号としてのPWM信号を発
生するマイクロコンピュータ等より成る制御回路(6)
と、該制御回路(6)からのPWM信号を受け、該PW
M信号に応じて上記6個のパワートランジスタ(5u
1)〜(5w2)を個別に駆動する駆動回路(7)とを
有する。
【0022】上記駆動回路(7)の詳細を図2に示す。
尚、図2の駆動回路(7)は、各パワートランジスタ
(5u1)〜(5w2)毎の回路部分が互いに共通であ
るので、パワートランジスタ(5u1)に対する回路部
分のみを示している。
【0023】同図において、パワートランジスタ(5u
1)は、高増幅率HFEのトランジスタ(Tr)…より成
り、一例として3段ダーリントン接続の場合を示してい
る。(E1)はパワートランジスタ(5u1)のエミッ
タE- ベースB間に逆バイアス電圧を与える逆バイアス
電源、(E2)はパワートランジスタ(5u1)のエミ
ッタE- ベースB間に順バイアス電圧を与えるベース電
源である。
【0024】(7a)は上記駆動回路(7)に備えるマ
イクロコンピュータ、(10)はプリドライバーであっ
て、上記マイクロコンピュータ(7a)から出力される
PWM信号を受信して発光する光半導体(11)と、第
1のトランジスタ(Q1)と、第2のトランジスタ(Q
2)と、上記光半導体(11)の発する光を受光して、
上記PWM信号がON(Low出力)のとき第1のトラ
ンジスタ(Q1)をON作動させると同時に第2のトラ
ンジスタ(Q2)をOFF作動させる一方、PWM信号
がOFF(High出力)のとき第1のトランジスタ
(Q1)をOFF作動させると同時に第2のトランジス
タ(Q2)をON作動させるインターフェース回路(1
2)とを有する。また、(R0)はベース電源(E2)
と第1のトランジスタ(Q1)との間に介設された抵抗
である。
【0025】従って、第1のトランジスタ(Q1)のO
N時には、ベース電源(E2)からベース電流IB1が
図2に実線で示すように、抵抗(R0)、第1のトラン
ジスタ(Q1)を経てパワートランジスタ(5u1)の
ベースBに流れ、その後、そのエミッタEからベース電
源(E2)に戻る順バイアス回路(15)が形成され
る。
【0026】一方、第2のトランジスタ(Q2)のON
時には、逆バイアス電源(E1)から逆バイアス電流I
B2が図2に破線で示すようにパワートランジスタ(5
u1)のエミッタEからベースBに流れ、その後、抵抗
(R1)及び第2のトランジスタ(Q2)を経て逆バイ
アス電源(E1)に戻る逆バイアス回路(16)が形成
される。
【0027】そして、図2において、上記逆バイアス回
路(16)には、パワートランジスタ(5u1)のベー
スBを第1のトランジスタ(Q1)と第2のトランジス
タ(Q2)との間に接続する回路部分に、抵抗(R1)
が介設される。該抵抗(R1)のパワートランジスタ
(5u1)側には、別途設けた第3のトランジスタ(Q
0)のエミッタが接続され、他側には第3のトランジス
タ(Q0)のベースが接続されていて、抵抗(R1)の
端子電圧が第3のトランジスタ(Q0)のベース電圧と
なる。上記第3のトランジスタ(Q0)のコレクタはア
ース線路(13)に接続される。従って、第3のトラン
ジスタ(Q0)のON作動時には、逆バイアス電源(E
1)の電圧により逆バイアス電流がパワートランジスタ
(5u1)のエミッタE及びベースBを経た後、上記抵
抗(R1)及び第2のトランジスタ(Q2)に流入す
る。この電流によって第3のトランジスタ(Q0)のベ
ース-エミッ間にそのON作動に必要な十分なバイアス
が加えられると、該第3のトランジスタ(Q0)がON
して、図中一点鎖線で示すように、直ちに第3のトラン
ジスタ(Q0)を流通して再び逆バイアス電源(E1)
に戻る分流回路(17)が形成される。
【0028】更に、上記分流回路(17)のうち順バイ
アス回路(15)と共用する部分を除く箇所、即ち第3
のトランジスタ(Q0)のコレクタからアース回路(1
3)及び逆バイアス電源(E1)を経てベース電源(E
2)との回路接続点aまでの間に、ダイオード(D)
が、その電流流通の許容方向を逆バイアス電流IB2の
流通方向と同方向に設定して挿入されている。
【0029】加えて、上記プリドライバー(10)にお
いて、ベース電源(E2)が印加される電源端子(10
a)と、アース回路(13)が接続されるアース端子
(10b)との間には、ベース電源(E2)及び逆バイ
アス電源(E1)の直列回路と並列にコンデンサ(C
0)が接続されている。尚、図2中、(Z)は抵抗及び
インダクタンスより成る線路のインピーダンスである。
【0030】したがって、上記実施例においては、マイ
クロコンピュータ6aからのPWM信号がON(Low
信号)のときには、プリドライバー(10)の第1のト
ランジスタ(Q1)がON動作し、第2のトランジスタ
(Q2)がOFF動作する。その結果、順バイアス回路
(15)が形成されて、ベース電源(E2)からベース
電流IB1が図2実線の通り流れるので、パワートラン
ジスタ(5u1)は順バイアス状態となってON作動す
る。
【0031】ここに、パワートランジスタ(5u1)は
高増幅率のものが使用されているので、ベース電流IB
1は、抵抗(R0)及び抵抗(R1)で制限された小値
の電流であっても、パワートランジスタ(5u1)を良
好に駆動でき、従って、プリドライバー(10)として
第1のトランジスタ(Q1)が小容量のものを使用でき
る。
【0032】また、マイクロコンピュータ6aからのP
WM信号がOFF(High信号)のときには、プリド
ライバー(10)の第1のトランジスタ(Q1)がOF
F動作し、第2のトランジスタ(Q2)がON動作す
る。このことにより、逆バイアス回路(16)が形成さ
れて、逆バイアス電源(E1)から逆バイアス電流が図
2破線の通り流れるので、パワートランジスタ(5u
1)は逆バイアス状態となって、そのON作動への誤作
動が有効に防止される。
【0033】その際、上記逆バイアス回路(16)に
は、抵抗(R1)とインピーダンス(Z)、及び各半導
体の内部インピーダンスとの合成抵抗によって定まる電
流が流れ、この電流によって抵抗(R1)の両端に電圧
が生じ、この端子電圧が設定値V0(例えば0.7v)
に達すると、第3のトランジスタ(Q0)がON作動し
て、抵抗(R1)及び第2のトランジスタ(Q2)を除
外した分流回路(17)が形成されるので、パワートラ
ンジスタ(5u1)のエミッタE- ベースB間には、イ
ンピーダンス(Z)及び各半導体の内部インピーダンス
の合成抵抗によって定まる大値の逆バイアス電流IB2
が流れる。その結果、上記大値の逆バイアス電流IB2
によってパワートランジスタ(5u1)の少数キャリア
が短時間で飽和するので、該パワートランジスタ(5u
1)のON状態からOFF状態への移行時間が極めて短
く短縮される。
【0034】ここに、プリドライバー(10)の第2の
トランジスタ(Q2)に流れる電流は、抵抗(R1)で
制限されて小値であるので、第2のトランジスタ(Q
2)の容量が小さい小容量のプリドライバー(10)の
使用が可能となって、小型化できる。この場合、第2の
トランジスタ(Q2)に流れる電流値は略(V0/R1
の抵抗値)となり、この電流値を第2のトランジスタ
(Q2)の許容できる範囲内で大値に設定しておけば、
第3のトランジスタ(Q0)に流れる電流値(即ち、逆
バイアス電流IB2から第2のトランジスタ(Q2)に
流れる電流値を減算した電流値)を最小値に制限できる
ので、第3のトランジスタ(Q0)の容量を最小に設定
でき、従って、より一層の小型化が可能となる。
【0035】また、パワートランジスタ(5u1)のO
FF時には、そのコレクタC- エミッタE間電圧が微小
電圧値から交流- 直流変換部(4)のコンデンサ平滑回
路(4b)の端子電圧まで急上昇する関係上、パワート
ランジスタ(5u1)のコレクタC- ベースB間の容量
(図3に示すコンデンサC1)により、上記電圧の急変
化に応じた値(C1・dV/dt)の電流Iが発生し、
この電流Iが図3に実線で示すように流れ、この電流I
により回路のインピーダンス(Z)中のインダクタンス
分にエネルギーが蓄積されるため、この電流Iの消滅後
は、同図に破線で示すように分流回路(17)と第2の
トランジスタ(Q2)に逆バイアス電流とは反対方向,
即ち順バイアス方向の電流が流れて、パワートランジス
タ(5u1)がON作動する誤動作が懸念され、この場
合、上記順バイアス方向の電流の消滅によりパワートラ
ンジスタ(5u1)がOFF作動すると、このOFF作
動に伴い再び上記実線で示す電流Iが発生して、図5
(b)に示すように以上の動作を繰返すため、パワート
ランジスタ(5u1)の発振を招くが、本実施例では、
逆バイアス電源(E1)の前段に配置したダイオード
(D)によって、上記エネルギー蓄積に伴う図中破線の
順バイアス方向の電流の流通が阻止されて、パワートラ
ンジスタ(5u1)のベース電流が同図(a)に示すよ
うに逆バイアス電流IB2の消滅により零値に収束する
ので、パワートランジスタ(5u1)がON作動する誤
動作が解消され、その結果、上下アームを構成する一対
のパワートランジスタ(5u1),(5u2)の短絡に
起因するこれ等の破損や、保護装置の作動に伴うシステ
ムダウンを防止して、インバータ(2)の正常作動を確
保できる。
【0036】しかも、図2の回路では、プリドライバー
(10)は、ベース電源(E2)及び逆バイアス電源
(E1)の直列回路が作動電源となるが、この直列回路
にダイオード(D)が介設される関係上、プリドライバ
ー(10)のインピーダンスが高くなり、ノイズに対し
て誤動作し易くなるものの、電源端子(10a)とアー
ス端子(10b)との間には、並列にコンデンサ(C
0)が接続されていて、ノイズ分の高調波が該コンデン
サ(C0)に流れるので、ノイズに対する誤動作が有効
に防止される。
【0037】尚、上記コンデンサ(C0)の配置に伴
い、新たに図3に一点鎖線で示すような循環経路が構成
されて電流が流れるため、上記と同様にパワートランジ
スタ(5u1)の発振を招く懸念が生じるが、その電流
値はコンデンサ(C0)の容量値に依存するため、この
コンデンサ(C0)の容量値を発振しないように適宜値
に選定すれば支障はない。
【0038】また、上記実施例では、上アームを構成す
るパワートランジスタ(5u1)の回路について説明し
たが、パワートランジスタ用駆動回路では下アームを構
成する各パワートランジスタ(5u2)、(5v2)、
(5w2)の回路はその3回路が一体となるので、本発
明は図6に示す駆動回路にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】誘導モータをインバータで駆動する場合の全体
構成図である。
【図2】上アームを構成するパワートランジスタ駆動回
路を示す電気回路図である。
【図3】作動説明図である。
【図4】パワートランジスタのON作動からOFF作動
への移行の詳細を示す説明図である。
【図5】パワートランジスタが発振する場合と発振しな
い場合のベース電流を示す図である。
【図6】下アームを構成する3個のパワートランジスタ
の駆動回路を示す電気回路図である。
【符号の説明】
(7) 駆動回路 (5u1)〜(5w2) パワートランジスタ (10) プリドライバー (Q1) 第1のトランジスタ (Q2) 第2のトランジスタ (15) 順バイアス回路 (16) 逆バイアス回路 (R1) 抵抗 (E1) 逆バイアス電源 (E2) ベース電源 (Q0) 第3のトランジスタ (17) 分流回路 (D) ダイオード (C0) コンデンサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02M 7/5387 H02J 1/00 310 H02M 1/08 H03K 17/615

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高増幅率の6個のパワートランジスタ
    (5u1)〜(5w2)の各々に対応して設けられ、対
    応するパワートランジスタをON- OFF制御する第1
    及び第2のパワートランジスタ(Q1)、(Q2)を有
    するプリドライバー(10)を備え、該第1のパワート
    ランジスタ(Q1)は、制御信号に応じてON作動して
    上記対応するパワートランジスタにベース電流を流す順
    バイアス回路(15)を形成し、上記第2のパワートラ
    ンジスタ(Q2)は、上記第1のトランジスタ(Q1)
    がOFF作動するとき制御信号に応じてON作動して上
    記対応するパワートランジスタのベースに逆バイアス電
    流を流す逆バイアス回路(16)を形成するインバータ
    のパワートランジスタ駆動回路であって、上記逆バイア
    ス回路(16)に配置された抵抗(R1)と、該抵抗
    (R1)の端子電圧をベース電圧とし、該ベース電圧が
    設定値を越えたときON作動して上記抵抗(R1)及び
    第2のトランジスタ(Q2)に流れる電流を軽減するよ
    う上記逆バイアス回路(16)を迂回する分流回路(1
    7)を形成する第3のトランジスタ(Q0)とを備えた
    ことを特徴とするインバータのパワートランジスタ駆動
    回路。
  2. 【請求項2】 分流回路(17)のうち順バイアス回路
    (15)と共用する部分を除く箇所に、逆バイアス電流
    の流通方向と同方向にダイオード(D)が挿入されてい
    ることを特徴とする請求項1記載のインバータのパワー
    トランジスタ駆動回路。
  3. 【請求項3】 プリドライバー(10)の電源端子とア
    ース端子間には、コンデンサ(C0)が接続されること
    を特徴とする請求項2記載のインバータのパワートラン
    ジスタ駆動回路。
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