JP3196656B2 - 内燃機関の燃料供給制御装置 - Google Patents

内燃機関の燃料供給制御装置

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JP3196656B2
JP3196656B2 JP24233196A JP24233196A JP3196656B2 JP 3196656 B2 JP3196656 B2 JP 3196656B2 JP 24233196 A JP24233196 A JP 24233196A JP 24233196 A JP24233196 A JP 24233196A JP 3196656 B2 JP3196656 B2 JP 3196656B2
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fuel pressure
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、プレッシャーレ
ギュレータを有さず、燃料ポンプにより燃料圧力や燃料
流量を制御するシステムにおける内燃機関の燃料供給制
御装置において、内燃機関の高温停止時に燃料配管とリ
ターン通路との連通路に配置された開閉装置を開閉制御
するようにした内燃機関の燃料供給制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、内燃機関に燃料を供給するための
燃料供給制御装置としては特開昭57ー108427号
公報に開示されたものがある(以下、第1の従来技術と
いう)。この第1の従来技術の装置は図5に示すよう
に、燃料タンク51に貯められた燃料を内燃機関(エン
ジン)52に所定量供給するためにコンピュータ53
が、インジェクタ54から噴射される燃料量を制御する
ものである。すなわち、コンピュータ53はエンジン5
2の吸入空気量及び回転速度に応じてポンプ55から供
給される燃料量を制御するとともに、その燃料量に応じ
てインジェクタ54の開弁時間を制御する。
【0003】また、同様の装置として実開平5ー126
43号公報に開示されたものがある(以下、第2の従来
技術という) 。第2の従来技術の装置では図6に示すよ
うに、燃料タンク61に貯められた燃料は燃料ポンプ6
2によって途中にフィルタ63が配設されたフィード通
路64を通ってデリバリパイプ65に供給され、インジ
ェクタ66から噴射されるようになっている。フィード
通路64上には燃料圧力制御弁67が配設されている。
燃料圧力制御弁67は燃料圧力の制御をするとともに、
フィード通路64内の余剰燃料をバイパス通路68を介
して燃料タンク61に戻す。電子制御ユニット69は燃
料圧力センサ70、吸気負圧センサ71、内燃機関回転
数センサ72、冷却水温センサ73からの信号に基づい
て燃料圧力制御弁67を制御する。特に、内燃機関回転
数センサ72によってエンジン停止状態を検出すると、
燃料圧力制御弁67が開放され、フィード通路64とバ
イパス通路68が連通するため燃料圧力は低下する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記第1の
従来技術の装置では、機関の停止時にはインジェクタ5
4は閉鎖されてしまうため、燃料タンク51、配管57
等の燃料供給系は密閉状態となる。そのため、高負荷状
態で走行した後のエンジン27の停止、例えば高速道路
を走行していて途中パーキングエリアで休憩するために
車を止めた場合などのように機関回りが高温状態下にお
いては燃料中の低沸騰成分が気化してしまう。すると、
燃料供給系内部で燃料圧力が上昇してしまう。その結
果、インジェクタ54から燃料が漏出し、エバポエミッ
ションが増加する原因となる。また、配管57について
は各部への高圧の影響から配管57自体の耐圧性を向上
させたり、接合部の剛性、耐圧性を向上させたりする必
要があった。
【0005】このような問題を回避するために上記第2
の従来技術の装置のように、内燃機関停止状態を検出す
ると、バイパス通路68とフィード通路64とを連通さ
せバイパス通路68から燃料を燃料タンク61側に戻
し、燃料圧力を大気圧まで低下させることが考えられ
る。しかし、単にバイパス通路68とフィード通路64
とを連通させただけでは、燃料圧力が低下しすぎてしま
い、高温状態下ではかえって燃料中の低沸騰成分の気化
を促す結果となってしまう。すると、燃料タンク61内
にその低沸騰成分由来の蒸気が滞留し、機関を再始動さ
せるとインジェクタ66に供給される燃料中にこの蒸気
が混入して始動性に悪影響を及ぼす原因となる。
【0006】この発明は前述した事情に鑑みてなされた
ものであって、その目的は、プレッシャレギュレータを
有さない内燃機関の燃料供給制御装置において、機関が
高温状態で停止した場合に開閉装置を制御することで一
部の余剰燃料を燃料タンク側に戻すことで燃料圧力が所
定範囲内にとなるようにした内燃機関の燃料供給制御装
置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1に記載の発明は、図1に示すように、燃
料ポンプM1からインジェクタM2に圧送される燃料の
一部を燃料タンクM3に戻すリターン通路M4と、同リ
ターン通路M4を開閉する開閉装置M5を備えた燃料供
給制御装置において、内燃機関M6の停止状態を検出す
る内燃機関停止検出手段M7と、温度状態又は温度状態
に相当する条件を検出する温度状態等検出手段M8と、
内燃機関M6停止状態における燃料配管中の燃料圧力を
検出する燃料圧力検出手段M9と、前記内燃機関停止検
出手段M7により前記内燃機関M6が停止状態にある旨
検出されるときに、前記温度状態等検出手段M8及び前
記燃料圧力検出手段M9からの検出信号に基づいて高温
状態下における内燃機関M6停止後の燃料圧力が所定圧
以下で、かつ内燃機関M6再始動時の始動性が良好とな
る所定圧以上となるように開閉装置を開閉制御する燃料
圧力制御手段M10とを設けることを要旨とする。
【0008】上記の構成によれば、例えば高速長距離走
行のような長時間の高負荷運転の後、内燃機関M6が停
止状態となると燃料配管は高温状態で密閉状態となるた
め燃料圧力は上昇する。内燃機関停止検出手段M7が内
燃機関M6の停止状態を検出し、更に温度状態等検出手
段M7が高温状態を検出し、燃料圧力検出手段M9が燃
料配管中の燃料圧力を検出する。燃料圧力制御手段M1
0は、内燃機関停止検出手段M7により内燃機関M6が
停止状態にある旨検出されるときに、温度状態等検出手
段M8及び前記燃料圧力検出手段M9の検出データに基
づいて燃料圧力が所定温度以上において所定圧以下とな
るように開閉装置M5を開閉制御する。すると、リター
ン通路M4内の燃料の一部燃料タンクM3側に戻
料圧力が下る一方、内燃機関エンジン再始動時の始動
性が良好となるように降圧された燃料圧力は下がりすぎ
ないようにる。すなわち燃料圧力は所定範囲内に収ま
る。
【0009】また、上記の目的を達成するために、請求
項2に記載の発明は、図1に示す請求項1の発明と同様
の構成において、燃料圧力制御手段M10が、前記開閉
装置M5の開閉制御終了後の温度上昇を見越して燃料圧
力を制御することを要旨とする。このように構成するこ
とで、請求項2の発明はこれらの検出手段M7, M8,
M9の検出データに基づいて開閉装置M5の開閉制御終
了後の温度上昇を見越す。すなわち開閉装置M5が閉塞
されて、燃料配管が密閉状態になっても開閉装置M5の
開閉制御終了前の条件に基づいて燃料圧力を所定範囲内
に収めることができる。
【0010】また、上記の目的を達成するために、請求
項3に記載の発明は、図1に示す請求項1又は2の発明
と同様の構成において、温度状態等検出手段M8は、内
燃機関停止時の温度状態又は温度状態に相当する条件を
検出するものであることを要旨とする。このように構成
することで、請求項3の発明では温度状態等検出手段M
7は温度状態又は温度状態に相当する条件に関して内燃
機関停止時の条件下で検出でき、従って、燃料圧力制御
手段M10は内燃機関停止時の温度状態又は温度状態に
相当する条件のデータに基いて制御することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、請求項1〜3の発明に係る
内燃機関の燃料供給制御装置を具体化した一実施形態を
図2〜図4を参照して詳細に説明する。
【0012】図2はこの実施形態の燃料供給装置を示す
概略構成図である。この装置は燃料をその内部に溜めた
燃料タンク11と、そのタンク11の中に納められた電
動式の燃料ポンプ12と、吐出された燃料をタンク11
へ戻すための分岐通路13と、分岐通路13を開閉する
ための電磁弁14と、分岐通路13を流れる燃料により
吸引作用を生じるジェットポンプ15と、ジェットポン
プ15に接続される連通路16とを備える。タンク11
は下端中央に凸部17を有する鞍形状をなし、左右両側
には凸部17により互いに区画された第1及び第2の貯
留室18,19を備える。両貯留室18,19は、凸部
17の上部において連通室20にて互いに連通してい
る。このタンク11は凸部17において、駆動系の構成
部品や排気系の構成部品を跨ぐようにして車両に取付け
られる。タンク11がこのような形状をなしていること
から、燃料の液面が連通室20よりも低くなる場合に
は、燃料が第1の貯留室18と第2の貯留室19とに分
断される。
【0013】ポンプ12はブラケット(図示しない)を
介してタンク11に支持されている。ポンプ12は直流
モータ(図示しない)と、そのモータにより駆動される
羽根車(インペラ:図示しない)とを内蔵する。通電に
よりモータが駆動され、インペラが回転されることによ
り、ポンプ12が作動してタンク11の中の燃料がポン
プ12に吸い上げられ、その吐出ポート21から吐出さ
れる。ポンプ12から吐出される燃料量は、モータに供
給される電圧値、つまりはモータにより駆動されるイン
ペラの回転速度に基づいて決定される。ポンプ12から
吐出される燃料量により燃料圧力PFが決定される。
【0014】ポンプ12の吐出ポート21から延びる燃
料ライン22は、タンク11の上蓋23を貫通してタン
ク11の外へ延びる。このライン22中には燃料フィル
タ24が接続され、更にその先がデリバリパイプ25に
接続される。デリバリパイプ25に設けられた複数のイ
ンジェクタ26は、内燃機関(ガソリンエンジン)27
の各気筒に対応して配置される。各インジェクタ26は
電磁弁付きのノズルであり、通電により開弁し、通電の
遮断により閉弁する。エンジン27に接続された吸気通
路28は、エンジン27の各気筒へ空気を導く。吸気通
路28に設けられたスロットルバルブ29は、アクセル
ペダル(図示しない)の操作に連動して作動することに
より、同通路28の開度の調節を行う。このバルブ29
の開度(スロットル開度)TAが調整されることによ
り、吸気通路28を通じてエンジン27の各気筒へ吸入
される空気量(吸気量)Qが調整される。
【0015】燃料ポンプ12より燃料ライン22へ吐出
された燃料(吐出燃料)はフィルタ24で異物が除去さ
れた後、燃料ライン22を通じてデリバリパイプ25へ
圧送され、更にデリバリパイプ25において各インジェ
クタ26へ分配される。このとき、ポンプ12から吐出
される燃料の量に応じてデリバリパイプ25における燃
料圧力PFが調整される。分配された燃料は、各インジ
ェクタ26の開弁時に、同インジェクタ26から噴射さ
れることにより、対応する各気筒へ供給される。各気筒
へ供給された燃料と空気との混合気が燃焼されることに
より、エンジン27のクランクシャフト(図示しない)
が回転される。
【0016】タンク11内であって、燃料フィルタ24
以降(インジェクタ26側)の燃料ライン22には第1
の貯留室18へ燃料を戻すために本発明のリターン通路
を構成する前記分岐通路13が設けられている。分岐通
路13の前端には前記ジェットポンプ15が設けられて
いる。燃料ライン22から分岐されて分岐通路13を流
れる燃料は同ポンプ15を通過して、再び第1の貯留室
18へ戻される。
【0017】ジェットポンプ15は分岐通路13に連通
するベンチュリ通路31と、同通路31に対してほぼ直
角方向をなすように同通路31に連通する連通部32
と、ベンチュリ通路31を流れる燃料を吐出するための
吐出ポート33とからなる。ベンチュリ通路31はその
中間部に絞り部34を有する。ベンチュリ通路31に燃
料が流れることにより、絞り部34においてその燃料の
流速が高まり、同絞り部34に負圧が生じる。連通路1
6はその一端が連通部32に連結され、他端が第2の貯
留室19内の下部に配置されている。
【0018】分岐通路13には本発明の開閉装置を構成
する電磁弁14が設けられ、電磁弁14を制御すること
により同通路13が選択的に開閉される。電磁弁14は
後述する電子制御装置(ECU)50に接続されてデュ
ーティ制御される。すなわち、電磁弁14はECU35
のパルス信号量に応じた開度を示す。電磁弁14が通電
された状態では、電磁弁14により分岐通路13が開か
れる。電磁弁14が通電されていない状態では電磁弁1
4により分岐通路13が閉ざされる。
【0019】電磁弁14により分岐通路13が開かれた
状態において、ポンプ12により吐出された燃料の一部
は分岐通路13へ供給され、その燃料はジェットポンプ
15を通過して、第1の貯留室18へ戻される。このと
き、その燃料がベンチュリ通路31の絞り部34を流れ
ることにより、その絞り部34には負圧が生じる。第2
の貯留室19の中に貯留されている燃料は、この負圧の
吸引力により連通路16を通じてベンチュリ通路31へ
吸引される。この吸引された燃料は、分岐通路13を流
れる燃料と共に第1の貯留室18内へ吐出される。電磁
弁14により分岐通路13が閉ざされることにより、こ
の通路13を流れる燃料は遮断される。これに伴い、ジ
ェットポンプ15による燃料の吸引及び吐出は停止され
る。
【0020】ポンプ12を駆動するための駆動回路40
は、バッテリ41に接続されている。この実施形態にお
いて、バッテリ41がモータ供給することができる最大
の電圧値は「12V」である。駆動回路40はポンプ1
2に供給される電圧値を調整する。
【0021】スロットルバルブ29の近傍に設けられた
スロットルセンサ45は、同バルブ29の開度TAを検
出し、その大きさに応じた信号を出力する。このセンサ
45は周知のアイドルスイッチ(図示しない)を内蔵す
る。このスイッチは、バルブ29が全閉となったときに
「オン」され、全閉であることを示すアイドル信号ID
Lを出力する。デリバリパイプ25に設けられた燃圧セ
ンサ46は、各インジェクタ26へ圧送される燃料の圧
力、即ちデリバリパイプ25の中の燃料圧力PFを検出
し、その大きさに応じた信号を出力する。エンジン27
に設けられた本発明の内燃機関停止検出手段を構成する
回転速度センサ47はクランクシャフト(図示しない)
の回転速度、即ちエンジン回転速度NEに相当する値を
検出し、その値の大きさに応じた信号を出力する。この
センサ47は、クランクシャフトの回転位相に同期した
かたちで所定角度毎に検出信号を出力する。エンジン2
7に設けられた本発明の温度状態等検出手段を構成する
水温センサ48は、エンジン27の内部を流れる冷却水
の温度(冷却水温度)THWを検出し、その温度に応じ
た信号を出力する。
【0022】ECU35は本発明の燃料圧力制御手段を
構成する。ECU35は入力信号処理回路、メモリ、演
算回路及び出力信号処理回路等を有する。ECU35に
は前述した各種センサ45〜49、電磁弁14、インジ
ェクタ26、駆動回路40及びバッテリ41が接続され
ている。ECU35には前述した各種センサ45〜49
から出力される信号が入力される。ECU35はこれら
入力信号に基づき、燃料噴射制御及び燃料供給制御を実
行するために、電磁弁14、各インジェクタ26及び駆
動回路40を制御する。
【0023】燃料噴射制御とは、エンジン27の運転状
態に応じて各インジェクタ26の開弁時間を制御するこ
とにより、各インジェクタ26から各気筒へ噴射される
燃料量を制御することである。燃料供給制御とは、エン
ジン27の運転状態に応じて駆動回路40を制御し、ポ
ンプ12を制御することにより、ポンプ12から吐出さ
れる燃料量を制御し、もって各インジェクタ26へ供給
される燃料圧力PFを調整することである。この場合上
記検出値(スロットル開度TA、アイドル信号IDL、
エンジン回転速度NE、冷却水温度THW等)に基いて
燃料量が算出される。
【0024】また、ECU35は回転速度センサ47、
燃圧センサ46及び水温センサ48からの出力信号に基
いて燃料圧力制御を行う。ここに、燃料圧力制御とはエ
ンジン27が停止状態にある場合に検出温度(本実施の
形態では水温センサ48の検出値に基く水温)に応じて
燃料圧力が所定範囲内となるように電磁弁14の開閉制
御をすることである。
【0025】図3は燃料圧力制御に関する「燃料圧力制
御ルーチン」を示すフローチャートである。ECU35
は、エンジン27の運転時に本ルーチンを所定期間毎に
周期的に実行する。ステップ100において、ECU3
5はエンジン27が停止状態にあるか否かを判断する。
ECU35は、この判断をエンジン回転速度NEに基づ
いて行う。ここで、エンジン27が停止状態ではない、
すなわちエンジンが回転している状態においては本ルー
チンを一旦終了する。
【0026】ECU35はエンジン27が停止されたこ
とを判断すると、ステップ110において、エンジン2
7の停止後2秒経過したかどうかを判断する。この2秒
とはECU35がエンジン27の停止後に燃料供給制御
装置を監視している時間であり、2秒経過するとECU
35はもはや電磁弁14の開閉制御を行わない。ECU
35は内蔵された時計回路でこの時間を計測する。ここ
で、エンジン27停止後に2秒経過したと判断すると本
ルーチンを一旦終了する。一方、2秒経過していないと
判断すると、ステップ120において、現時点での燃圧
センサ46及び水温センサ48からの燃料供給制御装置
の状態を反映したパラメータに係る値(燃料圧力PF、
冷却水の温度THW)を入力値として読み込む。
【0027】ステップ130において、入力された燃料
圧力PF及び冷却水の温度THW等の入力値に基いてE
CU35は電磁弁14の開閉制御を行うか否かを判断す
る。すなわち、エンジン27が停止して燃料ポンプ12
とインジェクタ26との間(以下、燃料配管部という)
が密閉状態になると、現時点での燃料圧力PF及び温度
THWの条件下では燃料圧力PFが上昇し過ぎて燃料配
管部の各部に不具合が生ずるおそれがあると判断した場
合である。不具合とは例えば燃料ライン22やデリバリ
パイプ25の耐圧性能以上に圧力がかかったり、インジ
ェクタ26からの燃料が漏出したりする場合である。こ
こで、ECU35は電磁弁14の開閉制御を行う必要が
ないと判断すると本ルーチンを一旦終了する。
【0028】一方、ECU35は電磁弁14の開閉制御
を行う必要があると判断すると、ステップ140におい
て、現時点での燃料圧力PF及び温度THWに基いて電
磁弁14の開度を算出する。そして、ステップ150に
おいて、電磁弁14を算出開度に基いて開閉動作をさせ
る。これによって、配管内部から分岐通路13側に余剰
燃料が流出し、燃料ライン22、デリバリパイプ25及
びインジェクタ26内の圧力が下がる。この、実施の形
態でステップ140の処理をするECU35は電磁弁1
4の開度を算出するための算出手段に相当する。
【0029】図4のグラフにおいて、横軸は時間
(t)、縦軸は燃圧センサ46が検出した燃料圧力PF
(単位, キロパスカル, Kpa)を表し、時間の経過と
水温センサ48が検出した温度THWの推移曲線Tがグ
ラフ上方に表わされている。時間ー温度曲線として図5
の第1の従来技術においては、グラフ上細線で示す曲線
a、本実施の形態においては、グラフ上太線で示す曲線
bを示す。この時間ー温度曲線は例えば高負荷状態で走
行した後の停止、例えば高速道路を走行していて途中パ
ーキングエリアで休憩する場合などを想定している。推
移曲線Tにおいて停止後温度が上昇しているのは、エン
ジン27の停止に伴いウォーターポンプ、冷却用ファン
も停止するため一時的に冷却不足となるためである。本
実施の形態では燃料配管部の耐圧限界圧力PH( 通常5
50〜700Kpaの範囲)を設定し、また、100度
Cにおいて蒸気の発生が確認される燃料圧力として蒸気
発生圧力PL( 通常150Kpa前後)を設定する。
【0030】このグラフにおいて、時間t0 でエンジン
27が停止した時の停止時燃料圧力P0を490Kpa
とする。すると、曲線T1では時間t1 における燃料配
管部の密閉と同時に燃料圧力PFは上昇を開始し、時間
t3 で耐圧限界圧力PHに達する。曲線T1は推移曲線
Tのピークとほぼ対応し、温度THWの下降とともに燃
料圧力PFも下がってくる。一方、曲線T2では、時間
t0 でエンジン27が停止し時間t1 において燃料供給
制御が実行されると電磁弁14が開閉制御される。する
と、時間t2 で弁制御後燃料圧力P1まで一気に下降す
る。この時、燃料圧力PFは一旦蒸気発生圧力PL以下
に下降するが、燃料配管部が密閉されているため直ちに
燃料圧力PFは上昇を開始する。そして、曲線T2は推
移曲線Tのピークとほぼ対応し、温度THWの下降とと
もに燃料圧力PFも下がってくる。ここに、高温状態が
維持される時間(15〜40min程度) において、曲
線T2の燃料圧力PFは耐圧限界圧力PHと蒸気発生圧
力PLの間にあるように電磁弁14は制御される必要が
ある。換言すると、燃料圧力PFを曲線T2の高温状態
が維持される時間内においては耐圧限界圧力PHと蒸気
発生圧力PLの間にあるようにするために、弁制御後燃
料圧力P1を決定する必要がある。P1の値はエンジン
27が停止した時の温度THW及び停止時燃料圧力P0
によって決定される。また、P1の値とエンジン27が
停止した時の温度THW0 関係は経験則により求められ
る。
【0031】以上説明したように、この実施形態の構成
によれば、次のような効果が奏される。 (1)高温状態でエンジン27を停止させた場合に、第
一の従来技術では燃料配管部の燃料圧力が燃料配管部の
耐圧性能以上に上昇してしまう。ところが、上記実施の
形態では電磁弁14の開閉制御をすることで所定の範囲
内に燃料圧力を保持でき、燃料圧力が上昇しすぎること
はなく、また無制限に下降してしまうこともない。従っ
て、燃料ライン22やデリバリパイプ25の耐圧性能以
上に圧力がかかったり、インジェクタ26からの燃料が
漏出したりすることがなく、また燃料配管部内に燃料由
来の蒸気が発生してしまうこともない。
【0032】(2)プレッシャレギュレータを備えてい
なくとも、上記(1)の効果を奏する事ができ、鞍形状
の燃料タンク11に装着されたジェットポンプ15駆動
用の電磁弁14を利用して放圧するため、別途に電磁弁
14を用意する必要がなく部品点数が増加することがな
い。
【0033】(3)エンジン27停止後、2秒後に電磁
弁14の開閉制御は終了し、その後はまったく燃料圧力
の制御をする必要はない。すなわち、エンジン27停止
時の燃料圧力や水温に基づいて燃料配管部がその後どの
くらい昇圧するかを見越すため一旦電磁弁14の開閉制
御が終了すれば、もはや燃料圧力の制御をする必要はな
い。
【0034】(4)エンジン27停止時における燃料圧
力PFと水温THWの値を演算データとするため、極め
て正確に燃料供給制御を行うことができる。尚、この発
明は次のような別の実施形態に具体化することもでき
る。以下の別の実施形態でも、前記実施形態と同等の作
用及び効果を得ることができる。
【0035】(1)上記実施の形態では、1つの燃料タ
ンク11が鞍形であり、2つの貯留室18,19を含
む。これに対して、互いに離間した複数の燃料タンクを
使用してもよい。例えば、2つの燃料タンクが使用され
る場合、一方の燃料タンクに燃料ポンプ及びジェットポ
ンプを設けるとともに、他方の燃料タンクにジェットポ
ンプへ連通する連通路を開口する。また、1つの燃料タ
ンクが3つ以上の貯留室を含んでいてもよい。この場合
には、1つの貯留室に燃料ポンプ及びジェットポンプを
設け、それ以外の各貯留室にジェットポンプに連通する
連通路を開口する。
【0036】(2)また、上記実施の形態では、鞍形の
燃料タンク11に装着されたジェットポンプ15用の電
磁弁14を使用したが、貯留室が1つだけのタイプであ
ってもよい。この場合、鞍形の燃料タンク11のように
ジェットポンプ15用の電磁弁14は必要とはされない
が、別途電磁弁を装着すればよい。尚、上記各例におい
て電磁弁は燃料タンク外に配設されてもよい。
【0037】(3)上記実施の形態では、エンジン27
停止時における燃料圧力PFと水温THWの値を入力し
て、その値に基いて燃料供給制御をするようにしてい
た。しかし、停止時ではなく停止時から溯った値を入力
するようにしてもよい。
【0038】(4)上記実施の形態では、水温THWの
値をパラメータとして使用したが、水温THWの代わり
に温度状態に相当する条件を検出する温度状態等検出手
段として他のパラメータを使用することも可能である。
例えば、エンジン27停止前の所定時間内における平均
エンジン回転速度NEAに基づいたり、同じくエンジン
27停止前の所定時間内における燃料使用量に基いたり
することも可能である。
【0039】(5)温度状態を検出する温度状態等検出
手段として、上記実施の形態では水温センサ48により
冷却水の温度THWを検出していたが、水温以外の油温
やエンジン27のシリンダブロック外壁温度などで検出
するようにしてもよい。
【0040】(6)開閉装置としての電磁弁14の制御
は、上記実施の形態ではパルス信号量に応じた弁の開度
量として行ったが、パルス信号回数に応じた弁の開閉回
数として断続的に開閉するように制御してももちろん構
わない。
【0041】以上、本発明について詳述したが、上記実
施形態から把握し得る請求項以外の技術的思想につい
て、以下にその効果と共に記載する。 (イ)請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の燃料
供給制御装置において、温度条件又は/ 及び燃料圧力条
件によって、開閉装置の開閉量を算定する開閉装置開閉
量算定手段( 上記実施の形態ではECU35)を有する
ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
【0042】この構成によれば、弁装置開閉量算定手段
は温度条件又は/ 及び燃料圧力条件によって最適な開閉
装置の開閉量を算定することができる。 (ロ)付記(1)の温度条件又は/ 及び燃料圧力条件は
内燃機関(エンジン)停止時の値を使用するものである
ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。この構成に
よれば極めて正確な算定が可能になる。
【0043】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、開閉装
置の開閉制御をすることで所定の範囲内に燃料圧力を保
持でき、燃料圧力が上昇しすぎることはなく、燃料圧力
が無制限に下降してしまうこともない。従って、燃料配
管部の耐圧性能以上に圧力がかかったり、インジェクタ
からの燃料が漏出したりすることがなく、また燃料配管
部内に燃料由来の蒸気が発生してしまうこともない。
【0044】請求項2に記載の発明によれば、請求項1
に記載の発明の効果に加え、燃料圧力制御手段による開
閉装置の開閉制御が一旦終了すれば、その後継続的に開
閉装置の制御をする必要はない。請求項3に記載の発明
によれば、請求項1または2に記載の発明の効果に加
え、内燃機関停止時の入力値を使用でき、より正確な制
御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1〜3の発明の構成を概念的に示す概念
構成図。
【図2】燃料供給装置の構成を示す構成図。
【図3】「燃料噴射制御ルーチン」を示すフローチャー
ト。
【図4】燃料圧力、温度及び時間の関係を示すグラフ。
【図5】従来の鞍形タンクを備えた燃料供給制御装置の
一例を示す構成図。
【図6】従来の燃料供給制御装置の一例を示す構成図。
【符号の説明】
11…燃料タンク、12…燃料ポンプ、14…開閉手段
としての電磁弁、16…リターン通路としての連通路、
26…インジェクタ、27…内燃機関としてのガソリン
エンジン、35…燃料圧力制御手段及び開閉装置開閉量
算定手段としてのECU、46…温度状態等検出手段と
しての水温センサ、47…内燃機関停止検出手段として
の回転速度センサ、48…燃料圧力検出手段としての燃
圧センサ。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃料ポンプからインジェクタに圧送され
    る燃料の一部を燃料タンクに戻すリターン通路と、同リ
    ターン通路を開閉する開閉装置を備えた内燃機関の燃料
    供給制御装置において、 内燃機関の停止状態を検出する内燃機関停止検出手段
    と、温度状態又は温度状態に相当する条件を検出する温
    度状態等検出手段と、内燃機関停止状態における燃料配
    管中の燃料圧力を検出する燃料圧力検出手段と、前記内
    燃機関停止検出手段により前記内燃機関が停止状態にあ
    る旨検出されるときに、前記温度状態等検出手段及び前
    記燃料圧力検出手段からの検出信号に基づいて高温状態
    下における内燃機関停止後の燃料圧力が所定圧以下で、
    かつ内燃機関再始動時の始動性が良好となる所定圧以上
    となるように開閉装置を開閉制御する燃料圧力制御手段
    とを設けるようにしたことを特徴とする内燃機関の燃料
    供給制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の燃料圧力制御手段は、
    前記開閉装置の開閉制御終了後の温度上昇を見越して燃
    料圧力を制御するものである内燃機関の燃料供給制御装
    置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の温度状態等検出
    手段は、内燃機関停止時の温度状態又は温度状態に相当
    する条件を検出するものである内燃機関の燃料供給制御
    装置。
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