JP3195449B2 - レーザマーカにおける液晶表示切換え装置 - Google Patents

レーザマーカにおける液晶表示切換え装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、レーザマーカにおいて
液晶に表示されたパターンを切り換える装置に関し、特
に切換えを所要に制御することによりマーキング(印
字)を高速に行うことができる装置に関する。
【0002】
【従来の技術】いわゆる高分子複合体よりなる液晶をレ
ーザマーカのマスクに適用する技術については、本出願
人よりすでに特許出願がなされている(特願平3−22
4916号等)。
【0003】こうした高分子複合型液晶において液晶表
示画面の切換え、つまりマーキングのパターンの切換え
を行う際には、表示切換時における残像を防止すべく、
液晶の各画素ごとに設けられた行電極および列電極をそ
れぞれ接地させる非表示処理を経てから行電極および列
電極に所定電圧をそれぞれ印加して液晶表示画面の表示
の切換えを行うようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記表示切換
え処理は瞬時には行われずに、60msec程度の時間
を要する。したがって、この時間だけ非表示状態であ
り、マーキングも行われず、作業上無駄な時間となる。
しかも、一般的に表示画面を連続して切り換え、連続し
てパターンを印字する作業が行われることが多く、この
場合はパターンが変わるごとに上記の切換え時間を要す
ることになるから、作業全体からみれば多大な時間の損
失となり、印字の高速化が達成されないこととなってい
る。
【0005】なお、印字の高速化を図る発明して、たと
えば特開平2−268988号公報に見られるものがあ
り、この発明ではレーザマーカにおける液晶マスクの表
示面を上下2分割し、上半分について走査が終了し、下
半分の走査が開始された時点で上半分についての印字パ
ターンの書換えを行うようにしたものがある。
【0006】しかし、この発明は、上半分の画面につい
ての表示切換時に上半分の画面のみについて非表示状態
にする処理を積極的に行うものではない。したがって、
この発明を上記高分子複合型液晶を用いたレーザマーカ
にそのまま適用すると、残像が発生するという不都合が
招来することとなっている。
【0007】本発明はこうした実状に鑑みてなされたも
のであり、特に高分子複合型液晶を使用するレーザマー
カにおける印字の高速化を、残像を発生させることなく
実現することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで、この発明では、
液晶の各画素ごとに行電極と列電極とが設けられ、前記
行電極および前記列電極をそれぞれ接地させてから前記
行電極および前記列電極に所定電圧をそれぞれ印加する
ことにより液晶表示画面の表示の切換えを行うととも
に、前記液晶表示画面上にレーザビームを照射し、該レ
ーザビームを前記液晶表示画面上で走査させることによ
り前記液晶表示画面に表示された所定パターンを対象物
に印字するレーザマーカにおける液晶表示切換え装置に
おいて、前記液晶表示画面を、副走査が最初に行われる
第1の領域と、この第1の領域に続いて副走査が行われ
る第2の領域とに分割し、これら第1および第2の領域
ごとに独立して前記表示の切換えを行う表示切換手段
と、前記液晶表示画面のうち、現在副走査が行われてい
る位置を検出する位置検出手段と、前記位置検出手段に
よって前記第1の領域の副走査が終了したことが検出さ
れた際に、該第1の領域に対応する行電極および列電極
をそれぞれ接地させて非表示にし、該第1の領域におけ
る表示の切換えを行うとともに、前記位置検出手段によ
って前記第2の領域の副走査が終了したことが検出され
た際に、該第2の領域に対応する行電極および列電極を
それぞれ接地させて非表示にし、該第2の領域における
表示の切換えを行うように前記表示切換手段を制御する
手段とを具えている。
【0009】
【作用】かかる構成によれば、液晶表示画面が、副走査
が最初に行われる第1の領域と、この第1の領域に続い
て副走査が行われる第2の領域とに分割され、これら第
1および第2の領域ごとに独立して表示の切換えが行わ
れ、第1の領域または第2の領域ごとに、行電極および
列電極をそれぞれ接地させてから行電極および前記列電
極に所定電圧をそれぞれ印加させる表示切換え処理が独
立して行なわれる。第1の領域の副走査が終了したこと
は、位置検出手段によって検出され、この検出が行われ
た際に、第1の領域における表示の切換えが独立して行
なわれる。また、位置検出手段によって第2の領域の副
走査が終了したことが検出された際に、第2の領域にお
ける表示の切換えが独立して行われる。
【0010】
【実施例】以下、図面を参照して、本発明に係るレーザ
マーカにおける液晶表示切換え装置の実施例について説
明する。
【0011】図1は、実施例のレーザマーカの構成を概
念的に示したものである。
【0012】同図においてレーザ発振器1は、走査用の
レーザ光(たとえばYAGレーザ光)を発振するもので
あり、発振レーザ光は偏向器2の反射面2aに照射され
る。反射面2aで反射されたレーザ光はレンズ4を介し
てポリゴンミラーである偏向器3の反射面3aに照射さ
れる。そして反射面3aで反射されたレーザ光は、レン
ズ5を介して高分子複合型の液晶マスク6の液晶表示面
10に照射される。
【0013】ここで、偏向器2の反射面2aは、モータ
8により矢印AA方向に回動され、偏向器3の反射面3
aはモータ9により矢印BB方向に回転される。したが
って、モータ9が駆動制御されて、反射面3aが矢印B
B方向に回転することによりレーザ光が液晶マスク6の
液晶表示面10を矢印X方向に主走査するとともに、モ
ータ8が駆動制御され、反射面2aが矢印AA方向に回
動することによりレーザ光が液晶マスク6の液晶表示面
10を矢印Y方向に副走査することになる。レーザ光が
画面10上を走査する様子を、図2の矢印に示す。
【0014】コントローラ7は、上記モータ8、9を駆
動制御するとともに、レーザ発振器1によるレーザ発振
を制御し、さらに液晶マスク6の液晶表示面10の各画
素を駆動するための信号を出力する。
【0015】コントローラ7は所定の入力手段により入
力された印字パターンの情報に基づいて液晶マスク6の
表示面10上の、パターンに対応する画素を駆動するた
めの信号を出力する。これに応じて液晶マスク6の表示
面10では、対応する画素が駆動される。ついで、モー
タ8、9が駆動制御されるとともに、レーザ発振器1が
駆動制御されて、レーザ光の走査がなされ、上記駆動さ
れた画素部分のみをレーザ光が透過して、所定の図示せ
ぬ光学系を介して、駆動された画素部分の形状(印字パ
ターンによる形状)に応じた文字、図形等が、たとえば
図5のワーク13の表面に印字される。
【0016】ところで、図5に示すように、印字したい
パターン14は、Aブロック〜Lブロックの複数の印字
パターンに分割されており、これら各ブロックの印字パ
ターンを順次、印字していく作業を実施例装置は行う。
したがって、表示面10における駆動画素を、各ブロッ
クA〜Lごとに切り換えていく必要がある。
【0017】図3は、液晶マスク6の構成をより詳細に
示したものであり、表示面10は、72(行)×36
(列)ドットの画素で構成されている。そして、これら
各画素は、72×18ドットの上部画面10aと、同じ
く72×18ドットの下部画面10bとに、破線で示さ
れるよう2分割されている。ここで、この分割の意味
は、上部画面10aと下部画面10bとがそれぞれ独立
して駆動され(表示)、駆動オフされる(非表示)され
るということである。
【0018】すなわち、各画素は、行電極と列電極とか
らなり、これら各電極に所定の電圧を付与することによ
り、表示がなされ、表示切換時において、上記各電極が
接地電位にされ、非表示状態にされる。各電極には信号
線が接続され、コントローラ7から制御信号を出力し、
それら信号線を介して各電極の電圧レベルを所要に変化
させることにより、かかる表示、非表示の処理がなされ
るが、この実施例では、電極および信号線は上部画面1
0a用の電極・信号線(上部行電極・信号線11aおよ
び上部列電極・信号線12a)と下部画面10b用の電
極・信号線(下部行電極・信号線11bおよび下部列電
極・信号線12b)とに分割され、表示、非表示の処理
が上画面10a、下部画面10bごとにコントローラ7
からの制御信号により独立して行われるようになってい
る。
【0019】ここで、画面10についての副走査位置
は、コントローラ7から副走査用のモータ8に対して出
力される駆動制御信号に基づきコントローラ7自身が検
出する。したがって、この制御信号に基づきコントロー
ラ7は、現在、レーザ光が上部画面10aを副走査して
いるのか、それとも下部画面10bを副走査しているの
を判定することができ、上部画面10aの副走査が終了
し、下部画面10bへの副走査に移行する時点を検出す
ることができる。
【0020】このように、モータ8に送出する制御信号
によりソフトウエア上でレーザ光の副走査位置の検出が
可能であり、特殊なセンサを設け強度の高いYAGレー
ザ光を直接に受けて位置検出を行う必要がないので、装
置コストの低減等の利点が得られる。
【0021】以下、図4のタイムチャートを参照してコ
ントローラ7で行われる処理について説明する。
【0022】図4(a)は、図5の各ブロックA、B…
の上部A1、B1…(図5参照)を、パターンが変わる
ごとに非表示処理を行いつつ上部画面10aに順次表示
している様子を示しており、また同図(b)は、図5の
各ブロックA、B…の下部A2、B2…を、パターンが
変わるごとに非表示処理を行いつつ下部画面10bに順
次表示している様子を示しており また同図(c)はY
偏向用のミラー、つまり偏向器2の反射面2aを固定さ
せて、所定のY位置で主走査を行うとともに、Y偏向用
のミラーの回動させ(回動タイミングは縦線で示され
る)、Y位置を移動させることにより副走査を行う様子
を示している。
【0023】以下、順をおって説明すると、時刻t1
で、上部画面10aにおける副走査が終了し、ブロック
Aの上部A1の印字が終了すると、この終了時点がコン
トローラ7で検出され、矢印(1)に示すようにブロッ
クAからつぎのブロックBへの表示切換を行うべく、上
部画面10aが非表示状態、つまり上部画面10aの各
画素の行電極および列電極が接地電位にされる。これに
よって残像が防止される。そして、時刻t2においてつ
ぎのブロックBの上部B1の表示が立ちあげられ、表示
立ち上げ期間を経て時刻t3においてブロックBの上部
B1が上部画面10aに表示される。
【0024】一方、下部画面10bについては時刻t1
より前の時刻t0よりブロックAの下部A2の表示立ち
上げがなされており、ブロックAの上部A1の印字が終
了した時点t1から継続して下部A2の走査がなされ、
下部A2の印字が行われる。ついで、時刻t3で、下部
画面10bにおける副走査が終了し、ブロックAの下部
A2の印字が終了すると、この終了時点がコントローラ
7で検出され、矢印(2)に示すようにブロックAから
つぎのブロックBへの表示切換を行うべく、下部画面1
0bが非表示状態、つまり下部画面10bの各画素の行
電極および列電極が接地電位にされる。これによって残
像が防止される。そして、時刻t4においてつぎのブロ
ックBの下部B2の表示が立ちあげられ、表示立ち上げ
期間を経てブロックBの下部B2が下部画面10bに表
示される。
【0025】ここで、時刻t3においてブロックAにつ
いての1画面の表示がなされ、ブロックAに対応する印
字パターンがワーク13上に印字されることになるが、
この時刻t3においては、つぎのブロックB(上部B
1)の表示が上部画面10aにおいてなされており、印
字が継続して行われる。このように、間断なくつぎのパ
ターンの印字へ移行することができ、印字の高速化が図
られる。
【0026】以後、同様にして、時刻t5においてブロ
ックBの上部B1から下部B2への印字が継続して行わ
れ、時刻t6においてブロックBからつぎのブロックC
への印字へと間断なく移行される、という具合の無駄時
間なく各ブロックA〜Lの印字が行われ、ワーク13上
に全体のパターン14が高速に印字されることになる。
【0027】ここで、従来においては、図6に示すよう
にブロックAの印字がなされると、矢印(1)に示すよ
うに、画面全体を非表示状態にして、つぎのブロックB
の表示がなされるまでの期間ΔT´だけ副走査を休止し
ているため、この期間ΔT´だけ印字がなされていない
無駄な時間が発生することになる。
【0028】しかし、この実施例では、図4に示すよう
に、そのような無駄時間は発生しないので、従来に較べ
て印字の高速化が達成されていることがわかる。しかも
画面が切換えられるごとに(画面は上部、下部ごとに切
り換えられるが)、画面を非表示状態にしている。この
ため、残像も防止され、高分子複合型液晶を使用したレ
ーザマーカに適用して好適なものとなる。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、液
晶の画面の切換えを画面の異なる領域ごとに行うととも
に、切換時に、各領域ごとに独立して接地状態にしたの
で、残像が防止されるとともに、印字の高速化が達成さ
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係るレーザマーカにおける液晶
表示画面切換え装置の実施例の構成を示す図である。
【図2】図2は図1に示す液晶表示画面をレーザ光が走
査する様子を示す図である。
【図3】図3は図1に示す液晶マスクの構成を説明する
図である。
【図4】図4は図1の装置で行われる処理のタイムチャ
ートである。
【図5】図5は図1の装置で印字されるパターンを例示
した図である。
【図6】図6は従来のレーザマーカで行われる処理のタ
イムチャートである。
【符号の説明】
1 レーザ発振器 2 偏向器 3 偏向器 6 液晶マスク 7 コントローラ 10 液晶表示画面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 26/00 B23K 26/06 G02F 1/13 505 G02F 1/133

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液晶の各画素ごとに行電極と列電極とが
    設けられ、前記行電極および前記列電極をそれぞれ接地
    させてから前記行電極および前記列電極に所定電圧をそ
    れぞれ印加することにより液晶表示画面の表示の切換え
    を行うとともに、前記液晶表示画面上にレーザビームを
    照射し、該レーザビームを前記液晶表示画面上で走査さ
    せることにより前記液晶表示画面に表示された所定パタ
    ーンを対象物に印字するレーザマーカにおける液晶表示
    切換え装置において、 前記液晶表示画面を、副走査が最初に行われる第1の領
    域と、この第1の領域に続いて副走査が行われる第2の
    領域とに分割し、これら第1および第2の領域ごとに独
    立して前記表示の切換えを行う表示切換手段と、 前記液晶表示画面のうち、現在副走査が行われている位
    置を検出する位置検出手段と、 前記位置検出手段によって前記第1の領域の副走査が終
    了したことが検出された際に、該第1の領域に対応する
    行電極および列電極をそれぞれ接地させて非表示にし、
    該第1の領域における表示の切換えを行うとともに、前
    記位置検出手段によって前記第2の領域の副走査が終了
    したことが検出された際に、該第2の領域に対応する行
    電極および列電極をそれぞれ接地させて非表示にし、該
    第2の領域における表示の切換えを行うように前記表示
    切換手段を制御する手段とを具えたレーザマーカにおけ
    る液晶表示切換え装置。
  2. 【請求項2】 前記副走査は、前記レーザビームが照射
    され、かつ該レーザビームが反射される光反射体を回転
    させ、これにより前記レーザビームの反射方向を変化さ
    せることによって行われるものであり、前記位置検出手
    段は、前記光反射体の回転指令信号に基づいて副走査位
    置を検出するものである請求項1記載のレーザマーカに
    おける液晶表示切換え装置。
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