JP3994177B2 - レーザマーキング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ光を2次元的に走査可能なガルバノミラーを備えたレーザマーキング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にレーザマーキング装置は、一対のガルバノミラーをレーザ光の光路の途中に配して備え、マーキング情報を入力するコンソールと、入力されたマーキング情報を処理するCPUとを備える。コンソールにて印字したい文字・記号・図形等の印字パターン及び印字位置等のマーキング情報を入力すると、入力されたマーキング情報に基づきCPUがマーキング開始前に文字・記号・図形等を所定の線要素に分け、印字位置についての情報を加味して各線要素をマーキングするための座標データを予め生成し、これをメモリに記憶する。
【0003】
そして、マーキングを開始するには、CPUがメモリから順次取り出した座標データを電圧信号にしてガルバノミラーに与え、これによりガルバノミラーが駆動されてレーザ光がワーク上で走査され、もって、所望の印字パターンがワークの表面に印字される。
【0004】
ところで、この種のレーザマーキング装置にて文字・記号等をワークに印字する場合、同じ文字・記号等を異なる位置に繰り返し印字したい場合がある。
この場合、従来のレーザマーキング装置では、印字したい文字・記号等とその位置とが入力されると、CPUが直ちに文字・記号・図形等を所定の線要素に分け、印字位置についての情報を加味して各線要素をマーキングするための座標データを予め生成し、これをメモリに記憶するようになっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、繰り返し印字する文字・記号等のグループ全体の印字位置を修正しようとするには、一つ一つのデータ(印字すべき文字・記号及びその印字位置)の再入力又は修正を行わなくてはならず、その修正に多大な手間を要するという問題があった。
【0006】
かといって、同じ文字・記号等を繰り返し印字する領域全体を一つのグループとして一括に把握すると、そのグループ全体の印字位置の修正は容易になるものの、今度は、各構成要素の文字・記号等の印字位置を部分的に修正することができなくなるという問題を生ずる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、同じ文字・記号等を繰り返し印字する場合における印字位置調節を簡易に行うことができるレーザマーキング装置及びそのデータ生成方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、レーザ光源と、このレーザ光源の光路途中に設けられて前記レーザ光を反射してワーク上に照射するガルバノミラーと、印字すべき文字・記号・図形等の印字パターン及びその印字位置に関するデータを入力するためのデータ設定手段と、入力された印字パターン及びその印字位置に関するデータに基づき、それを印字するための前記印字パターンの前記印字位置を加味した座標データを生成するデータ生成手段と、その座標データに基づいて前記ガルバノミラーに信号を与えて前記レーザー光を前記ワーク上で走査することにより所望の前記印字パターンを印字するガルバノミラー制御手段とを備えたレーザマーキング装置において、前記データ生成手段は、印字可能領域中の複数箇所に繰り返し印字する前記印字パターンに対応する印字パターンデータ及びその印字パターンの印字位置に対応する複数の印字位置データを所定の基準座標及びそれに対する偏差によって把握して記憶する記憶手段と、前記印字パターンの印字位置の補正量を入力するための補正値入力手段と、前記記憶手段に記憶された前記印字位置データについて前記基準座標及び複数の前記偏差の双方を前記補正値入力手段により入力された値に従って補正可能な補正手段とを備えた構成としたところに特徴を有する。
なお、補正手段は、前記基準座標及び複数の偏差を補正可能としておくことが必要であるが、このレーザーマーキング装置を実際に使用する上で、基準座標及び全ての偏差を共に補正する必要がない場合には、前記基準座標のみ又は前記偏差のみを補正すればよい。また、偏差を補正する場合には、偏差の一部のみを補正してもよい。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明の記憶手段において、印字パターンの各印字位置データを記憶する際の所定の基準座標が、印字領域中の任意位置に設定された座標原点とされているところに特徴を有する。
また、請求項3の発明は、請求項1の発明の記憶手段において、記憶手段が前記印字パターンの各印字位置データを記憶する際の所定の基準座標が、繰り返し印字される前記印字パターン群のうちの一つの印字パターンの印字位置の座標とされているところに特徴を有する。
【0010】
【発明の作用及び効果】
本発明によれば、同じ文字・記号等を繰り返し印字する場合には、まずデータ設定手段から印字すべき文字・記号・図形等の印字パターン及びその印字位置に関するデータを入力する。すると、データ生成手段は、繰り返し印字する印字パターンに対応する印字パターンデータ及びその印字パターンの印字位置に対応する複数の印字位置データを所定の基準座標及びそれに対する偏差によって把握して記憶する。従って、繰り返し印字する印字パターンのグループ全体について印字位置を修正しようとする場合には、基準座標のデータを修正すればよい。また、各構成要素の文字・記号等の印字パターンの印字位置を部分的に修正する場合には、偏差部分のデータを修正すればよく、結局、全体でも部分でも印字位置調節を簡易に行うことができるようになる。
【0011】
【発明の実施の形態】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態を図1ないし図4によって説明する。
本実施形態のレーザマーキング装置は、図1に全体が示されており、同図において、符号210は、レーザ光源であって、ここから出射されたレーザ光はガルバノミラー220によって向きが変更される。ガルバノミラー220は、一対のガルバノミラー220V,220Wを備えており、一方のガルバノミラー220Wは、駆動手段220Yによって縦方向に角度を変移させることができ、他方のガルバノミラー220Vは、駆動手段220Xによって横方向に角度を変移させることができる。これら両ガルバノミラー220V,220Wにより、レーザ光が2方向に向きを変えられ、そのレーザ光の照射点(以下、「マーキングポイント」という)が、ワークW上を二次元的に移動する。
【0012】
本実施形態のレーザマーカ装置の電気的構成は、図2に示されており、レーザ光源210及びガルバノミラー220を含むヘッド部200と、コントローラ部100とが、それぞれのラインドライバ/レシーバ50A,50Bを介して接続されている。
【0013】
コントローラ部100のうち符号110は、本発明のデータ設定手段及び補正値入力手段に相当する例えばコンソールであって、これによりマーキングする文字・図形・記号等(以下「印字パターン」という)及び印字位置についてのデータを入力することができると共に、図示しないディスプレイを備えて入力したデータを画面上で確認することができる。
【0014】
符号120はデータ生成手段であって、補正手段としても機能する2個のCPU121,122、フォントメモリ123及び書き込み・読み出し可能な記憶手段124を備え、これは前記コンソール110から入力されたデータに基づいて、フォントメモリ123に基づいて印字パターンを所定の線要素に分け、印字位置についての情報を加味して記憶手段124に記憶しながら各線要素をマーキングするための座標データを生成する。
【0015】
符号140は座標データメモリであって、メモリ142にカウンタ141を連ねてなり、メモリ142にデータ生成手段120で生成した複数の座標データが記憶される。
符号130は、制御手段であって、前記座標データメモリ140に前記複数の座標データを格納し、かつ、それら座標データを座標データメモリ140から順番に取り出してラインドライバ/レシーバ50Aに出力させる。また、制御手段130は、前記複数の座標データが、始点および終点である端点の座標データであるか否かを認識し、前記複数の座標データの出力、および、レーザ光源210のON/OFFを制御する。
【0016】
一方、ヘッド部200のうち符号230は、D/A変換手段であって、前記コントローラ部100の座標データメモリ140からラインドライバ/レシーバ50A,50Bを介して送られてきた複数の座標データを、それぞれに対応する電圧に変換する。
符号240はガルバノミラー制御手段に相当するサーボ回路であって、D/A変換手段230からの電圧に基づいて、前記ガルバノミラー220の駆動手段220X,220Y(図1参照)を制御する。
符号250は接近状態検出手段であって、コンパレータ253、ウィンドコンパレータ254、角度センサ251及び微分回路252から構成されている。そして、D/A変換手段230からの各座標データに対応する電圧と、前記ガルバノミラー220の駆動量に対応する電圧とに基づいて前記端点の座標データに対するマーキングポイントの接近状態を検出し、サーボ回路240に信号を与える。
【0017】
さて、次に、このレーザマーキング装置により、図3(A)に示すように例えば3個の文字「A」を所定位置に繰り返して印字する場合を例に挙げて本実施形態の動作を説明する。
まず、コンソール110から印字したい文字「A」の情報と、矩形の実線で囲って示した印字可能領域中のうちで印字したい3カ所の位置を示す印字位置データを3個分入力する。すると、データ生成手段120は図3(B)に示すように、印字パターン「A」を表すデータを例えばJISコード「2341」で把握すると共に、その座標位置データを「所定の基準座標」及びそれに対する偏差によって把握して記憶手段124に記憶する。この実施形態の場合、所定の基準座標としては印字可能領域の中央に位置する原点Oの座標(X0,Y0)を使用し、偏差はその原点座標からのX軸及びY軸上のそれぞれの偏差(x1,y1),(x2,y2),(x3,y3)、すなわち原点Oを基準とした直交座標により把握されて記憶手段124に記憶される。
【0018】
そして、これらの情報が入力されると、データ生成手段120が、文字「A」に対応するフォントメモリ123の内容を読み出してこれを各線要素に分けると共に、それらの始点・終点のXY直交座標系上の座標データを印字位置を加味して生成して出力し、これを座標データメモリ140に記憶する。なお、ここで「始点・終点のXY直交座標系上の座標データを印字位置を加味して生成する」とは、例えばフォントメモリ上の始点の位置が(xa,yb)であるときに、印字位置が(x1,y1)であるならば、始点の位置を(xa+x1,yb+y1)とすることを言う。
【0019】
このとき、印字しようとする3個の文字「A」の位置の全体を調整したいことがある。この場合には、コンソール110からの所定の操作によって補正モードに切り換え、その上で所望の補正値を入力する。例えばX軸方向にずらしたい場合には、図4に示す補正値入力画面にてX方向の欄に所望の値aを入力する。すると、基準座標(X0,Y0)が(X0−a,Y0)に修正され、その結果、印字すべき3個の「A」全体がX軸上でa分だけずれることになる。また、3個の「A」のうちの特定のものだけを調整したい場合には、その座標位置データを同様に補正値入力画面で修正すればよい。
【0020】
次いで、レーザマーキング装置のマーキング開始のスイッチ(図示せず)がオンされると、制御手段130は、メモリ142から座標データを取り出して、それら座標データを、所定周期で順次にD/A変換手段230及びサーボ回路240を介して、電圧信号としてガルバノミラー220に与える。そして、この所定周期の間に、各座標データで特定した2位置間を、マーキングポイントが移動する速度でもって、ガルバノミラー220V,220Wが駆動される。このとき、制御手段130からのオンオフ信号に基づき、レーザ光源210をオンしてマーキングポイントを移動すると、所望の文字・記号・図形がマーキングされることになる。
【0021】
このように、本実施形態のレーザマーキング装置によれば、3個の文字「A」のグループ全体について印字位置を修正しようとする場合には、基準座標のデータを修正すればよく、各文字単位で印字位置を修正しようとする場合には、偏差部分のデータを修正すればよい。これにより、印字位置調節を全体でも部分でも簡易に行うことができるという効果が得られる。
【0022】
<第2実施形態>
図5は本発明の第2実施形態を示す。前記第1実施形態との相違は、前記データ生成手段120における記憶手段124のデータの記憶方法にある。前記第1実施形態では、各印字位置データを記憶する際の「基準座標」を、座標原点(X0,Y0)としたが、ここではその「基準座標」を、繰り返し印字される印字パターン「A」群のうちの一つの印字パターンの印字位置の座標、例えば第1番目に印字される印字位置の座標(x1,y1)としたところが相違する。他の印字位置は、その第1番目の「A」の印字位置に対する相対座標によって把握される。従って、前記実施形態と同様に、グループ全体の印字位置を修正する場合には基準座標位置データを修正し、個別の文字「A」の印字位置を修正する場合には各印字位置データを修正すればよい。
【0023】
<第3実施形態>
図6は本発明の第3実施形態を示す。ここでは、同一の文字「A」を例えば3列3行にわたって計9個繰り返して印字する例を示している。印字位置は、所定の入力画面で、行ピッチ、列ピッチ、行数及び列数をコンソール110から入力することで特定することができる。この結果、同図(B)に示すように、データ生成手段120は印字パターン「A」を表すデータを文字コード「2341」と共に、それを印字する座標位置データを基準座標位置として例えば原点Oの座標(X0,Y0)と、その基準座標位置からのX軸及びY軸上のそれぞれの偏差(x1,y1)〜(x9,y9)として算出し、これを記憶手段124に記憶する。
【0024】
この実施形態でも、前記第1実施形態と同様に、基準座標位置データを修正してグループ全体の印字位置を修正することができる。また、各印字位置の修正は各座標位置データを修正することで可能である。さらには、行単位で移動させるには行ピッチを再入力して再計算させればよく、列単位で移動させるには、列ピッチを再入力して再計算させればよい。
【0025】
なお、この実施形態では、原点Oを基準座標位置としたが、前記第2実施形態と同様に、繰り返し印字される印字パターン「A」群のうちの一つの印字パターンの印字位置(例えば第1番目の印字位置)の座標を基準とした相対的座標によって各印字位置を特定するようにしてもよい。
【0026】
<他の実施形態>
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記第3実施形態では、文字A(印字パターン)を縦横に交差する直線上に印字位置が並ぶ例を示したが、これに限らず、例えば図7(A)に示すように斜めに延びる線を直交させた交点上に各印字パターンの印字位置を配置してもよい。また、同図(B)に示すように同心円上に印字位置を配置してもよく、(C)に示すように複数の並行曲線と複数の並行直線との交点上に印字位置を配置してもよい。もちろん、同図(D)に示すように複数の並行曲線と複数の斜めの直線線との交点上に印字位置を配置してもよく、(E)に示すように複数の並行曲線相互の交点上に印字位置を配置してもよい。あるいは、同図(F)に示すように、列方向に延びる複数本の直線上に不規則に印字位置を配置してもよく、(G)に示すように行方向に延びる複数本の直線上に不規則に印字位置を配置してもよい。
【0027】
(2)上記各実施形態では単一の文字「A」を印字する例を示したが、これに限らず、複数の文字からなる文字列、記号、記号列、図形或いはこれらの集合体を一つの印字パターンとして取り扱うようにしてもよい。
【0028】
(3)前記第3実施形態では、同一の文字を指定した行数及び列数だけ展開して印字する構成としたが、これらの文字等の印字パターンは必ずしも全て印字されることは必須ではなく、一部については不印字状態にできるようにしてもよい。そのためには、記憶手段に記憶されるデータ中に、例えば各印字位置データと対応させて印字の許可・禁止を設定するフィールドを設けておき、このフィールドに印字禁止のフラグが入力されている場合にはその印字位置に印字を行わないようにしてもよい。また、この印字の許可・禁止は、上述のように文字単位ではなく、行単位或いは列単位で設定できるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るレーザマーキング装置の概略的斜視図
【図2】そのレーザマーキング装置のブロック図
【図3】文字の印字位置とデータの記憶構造を示す図
【図4】補正値入力画面の一例を示す図
【図5】本発明の第2実施形態に係る文字の印字位置とデータの記憶構造を示す図
【図6】本発明の第3実施形態に係る文字の印字位置とデータの記憶構造を示す図
【図7】文字の配置位置の変形例を示す図
【符号の説明】
110…コンソール(データ設定手段、補正値入力手段)
120…データ生成手段
121…CPU(補正手段)
124…記憶手段
210…レーザ光源
220…ガルバノミラー
240…サーボ回路(バルバノミラー制御手段)
Claims (3)
- レーザ光源と、このレーザ光源の光路途中に設けられて前記レーザ光を反射してワーク上に照射するガルバノミラーと、印字すべき文字・記号・図形等の印字パターン及びその印字位置に関するデータを入力するためのデータ設定手段と、入力された印字パターン及びその印字位置に関するデータに基づき、それを印字するための前記印字パターンの前記印字位置を加味した座標データを生成するデータ生成手段と、その座標データに基づいて前記ガルバノミラーに信号を与えて前記レーザー光を前記ワーク上で走査することにより所望の前記印字パターンを印字するガルバノミラー制御手段とを備えたレーザマーキング装置において、
前記データ生成手段は、
印字可能領域中の複数箇所に繰り返し印字する前記印字パターンに対応する印字パターンデータ及びその印字パターンの印字位置に対応する複数の印字位置データを所定の基準座標及びそれに対する偏差によって把握して記憶する記憶手段と、
前記印字パターンの印字位置の補正量を入力するための補正値入力手段と、
前記記憶手段に記憶された前記印字位置データについて前記基準座標及び複数の前記偏差を前記補正値入力手段により入力された値に従って補正可能な補正手段とを備えてなるレーザマーキング装置。 - 前記記憶手段が前記印字パターンの各印字位置データを記憶する際の所定の基準座標は、印字領域中の任意位置に設定された座標原点であることを特徴とする請求項1記載のレーザマーキング装置。
- 前記記憶手段が前記印字パターンの各印字位置データを記憶する際の所定の基準座標は、繰り返し印字される前記印字パターン群のうちの一つの印字パターンの印字位置の座標であることを特徴とする請求項1記載のレーザマーキング装置。
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