JP3195049B2 - エンジンのバルブタイミング制御装置 - Google Patents
エンジンのバルブタイミング制御装置Info
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- JP3195049B2 JP3195049B2 JP15186092A JP15186092A JP3195049B2 JP 3195049 B2 JP3195049 B2 JP 3195049B2 JP 15186092 A JP15186092 A JP 15186092A JP 15186092 A JP15186092 A JP 15186092A JP 3195049 B2 JP3195049 B2 JP 3195049B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、エンジンのバルブタ
イミング制御装置に関するものである。
イミング制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】エンジンにおいては、出力特性の改善等
の目的から、バルブタイミングをエンジン回転数に応じ
て変更することが従来より行なわれており、このための
具体的構造としては、例えば実開平1−113111号
公報あるいは実開平2−54307号公報に開示される
ように、エンジン側に連結される外筒部材とカムシャフ
ト側に連結される内筒部材との間に、その内外周両面に
それぞれヘリカルスプラインを形成した環状のピストン
を同心上に配置し、且つ上記内筒部材と外筒部材とにそ
れぞれその全周においてスプライン嵌合させた状態で嵌
装し、該環状ピストンをエンジン回転数に対応して変化
する油圧によって軸方向に移動させることで、上記各ヘ
リカルスプラインのねじれ角により上記内筒部材と外筒
部材との回転位相を変化させ、もってバルブタイミング
を変更制御するようにしたものが知られている。
の目的から、バルブタイミングをエンジン回転数に応じ
て変更することが従来より行なわれており、このための
具体的構造としては、例えば実開平1−113111号
公報あるいは実開平2−54307号公報に開示される
ように、エンジン側に連結される外筒部材とカムシャフ
ト側に連結される内筒部材との間に、その内外周両面に
それぞれヘリカルスプラインを形成した環状のピストン
を同心上に配置し、且つ上記内筒部材と外筒部材とにそ
れぞれその全周においてスプライン嵌合させた状態で嵌
装し、該環状ピストンをエンジン回転数に対応して変化
する油圧によって軸方向に移動させることで、上記各ヘ
リカルスプラインのねじれ角により上記内筒部材と外筒
部材との回転位相を変化させ、もってバルブタイミング
を変更制御するようにしたものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
ヘリカルスプラインをもった環状ピストンを利用してバ
ルブタイミングを調整するものにおいては、上掲公知例
のように単一の環状ピストンを用いた場合には、ヘリカ
ルスプラインのねじれ角は作動抵抗との関係からあまり
大きく採れないこともあって、回転位相の変更幅が比較
的小さくなり、従って、より広いエンジン回転数域にお
いてバルブタイミング制御を確保するということは困難
であり、この点において改善すべき余地がある。
ヘリカルスプラインをもった環状ピストンを利用してバ
ルブタイミングを調整するものにおいては、上掲公知例
のように単一の環状ピストンを用いた場合には、ヘリカ
ルスプラインのねじれ角は作動抵抗との関係からあまり
大きく採れないこともあって、回転位相の変更幅が比較
的小さくなり、従って、より広いエンジン回転数域にお
いてバルブタイミング制御を確保するということは困難
であり、この点において改善すべき余地がある。
【0004】また、このような環状ピストンに形成した
ヘリカルスプラインを内筒部材及び外筒部材に同心上に
配置し且つこれをその全周において噛合させるととも
に、これをその軸方向に移動させることで回転位相を変
化させるものにあっては、例えば、加工誤差による噛合
不良を回避する等の観点から加工精度を比較的ラフに設
定していることもあって、各ヘリカルスプライン相互の
バックラッシュが比較的大きく、従って、歯打音等によ
る作動音が大きくなるという問題もあり、これに対する
有効な対策が要請されるところである。
ヘリカルスプラインを内筒部材及び外筒部材に同心上に
配置し且つこれをその全周において噛合させるととも
に、これをその軸方向に移動させることで回転位相を変
化させるものにあっては、例えば、加工誤差による噛合
不良を回避する等の観点から加工精度を比較的ラフに設
定していることもあって、各ヘリカルスプライン相互の
バックラッシュが比較的大きく、従って、歯打音等によ
る作動音が大きくなるという問題もあり、これに対する
有効な対策が要請されるところである。
【0005】そこで本願発明では、簡単な構成によって
エンジンのより広い回転数域においてバルブタイミング
制御が行えるとともに、併せてバックラッシュを低減し
て静粛な作動を確保し得るようにしたエンジンのバルブ
タイミング制御装置を提供せんとしてなされたものであ
る。
エンジンのより広い回転数域においてバルブタイミング
制御が行えるとともに、併せてバックラッシュを低減し
て静粛な作動を確保し得るようにしたエンジンのバルブ
タイミング制御装置を提供せんとしてなされたものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願発明ではかかる課題
を解決するための具体的手段として、請求項1記載の発
明では、エンジンにより回転駆動されるとともにその内
周面にヘリカルスプラインを形成した外筒部材と、該外
筒部材の内側に配置されるとともにその外周面にヘリカ
ルスプラインを形成し且つカムシャフトに連結された内
筒部材との間に、順次同心状に嵌合されるとともに相互
間がそれぞれヘリカルスプラインを介して噛合せしめら
れた複数の環状ピストンを、その最外周側の環状ピスト
ンを上記外筒部材のヘリカルスプラインに、またその最
内周側の環状ピストンを上記内筒部材のヘリカルスプラ
インにそれぞれ噛合せしめた状態で配置し、該各環状ピ
ストンを、所定の付勢手段による付勢力とエンジン回転
数の変化に対応して変動する流体圧との釣り合い状態に
応じてその軸方向に変位せしめる如くする一方、上記各
環状ピストンのうちの少なくとも一つの環状ピストン
は、その内外周両側にそれぞれ形成される各ヘリカルス
プラインの噛合範囲を、これらにそれぞれ噛合する他の
環状ピストンあるいは上記内筒部材または外筒部材のそ
れよりも小さく設定するとともに、該少なくとも一つの
環状ピストンの各ヘリカルスプラインを、その外周側に
おいて噛合する他のヘリカルスプラインとその内周側に
おいて噛合する他のヘリカルスプラインとの間に噛合可
能な径寸法をもつ小径のスプラインギヤを、該環状ピス
トンに対してこれと同心状の円周上においてその周方向
に所定間隔をもって位置するように複数個配置して構成
したことを特徴とする。
を解決するための具体的手段として、請求項1記載の発
明では、エンジンにより回転駆動されるとともにその内
周面にヘリカルスプラインを形成した外筒部材と、該外
筒部材の内側に配置されるとともにその外周面にヘリカ
ルスプラインを形成し且つカムシャフトに連結された内
筒部材との間に、順次同心状に嵌合されるとともに相互
間がそれぞれヘリカルスプラインを介して噛合せしめら
れた複数の環状ピストンを、その最外周側の環状ピスト
ンを上記外筒部材のヘリカルスプラインに、またその最
内周側の環状ピストンを上記内筒部材のヘリカルスプラ
インにそれぞれ噛合せしめた状態で配置し、該各環状ピ
ストンを、所定の付勢手段による付勢力とエンジン回転
数の変化に対応して変動する流体圧との釣り合い状態に
応じてその軸方向に変位せしめる如くする一方、上記各
環状ピストンのうちの少なくとも一つの環状ピストン
は、その内外周両側にそれぞれ形成される各ヘリカルス
プラインの噛合範囲を、これらにそれぞれ噛合する他の
環状ピストンあるいは上記内筒部材または外筒部材のそ
れよりも小さく設定するとともに、該少なくとも一つの
環状ピストンの各ヘリカルスプラインを、その外周側に
おいて噛合する他のヘリカルスプラインとその内周側に
おいて噛合する他のヘリカルスプラインとの間に噛合可
能な径寸法をもつ小径のスプラインギヤを、該環状ピス
トンに対してこれと同心状の円周上においてその周方向
に所定間隔をもって位置するように複数個配置して構成
したことを特徴とする。
【0007】請求項2記載の発明では、エンジンにより
回転駆動されるとともにその内周面にヘリカルスプライ
ンを形成した外筒部材と、該外筒部材の内側に配置され
るとともにその外周面にヘリカルスプラインを形成し且
つカムシャフトに連結された 内筒部材との間に、順次同
心状に嵌合されるとともに相互間がそれぞれヘリカルス
プラインを介して噛合せしめられた複数の環状ピストン
を、その最外周側の環状ピストンを上記外筒部材のヘリ
カルスプラインに、またその最内周側の環状ピストンを
上記内筒部材のヘリカルスプラインにそれぞれ噛合せし
めた状態で配置し、該各環状ピストンを、所定の付勢手
段による付勢力とエンジン回転数の変化に対応して変動
する流体圧との釣り合い状態に応じてその軸方向に変位
せしめる如くする一方、上記各環状ピストンのうちの少
なくとも一つの環状ピストンは、その内外周両側にそれ
ぞれ形成される各ヘリカルスプラインの噛合範囲を、こ
れらにそれぞれ噛合する他の環状ピストンあるいは上記
内筒部材または外筒部材のそれよりも小さく設定すると
ともに、該少なくとも一つの環状ピストンの各ヘリカル
スプラインを、該環状ピストンと同心状に配置されると
ともにその内外周両側にそれぞれヘリカルスプラインを
形成したスプラインギヤの周方向における一部で構成し
たことを特徴としている。
回転駆動されるとともにその内周面にヘリカルスプライ
ンを形成した外筒部材と、該外筒部材の内側に配置され
るとともにその外周面にヘリカルスプラインを形成し且
つカムシャフトに連結された 内筒部材との間に、順次同
心状に嵌合されるとともに相互間がそれぞれヘリカルス
プラインを介して噛合せしめられた複数の環状ピストン
を、その最外周側の環状ピストンを上記外筒部材のヘリ
カルスプラインに、またその最内周側の環状ピストンを
上記内筒部材のヘリカルスプラインにそれぞれ噛合せし
めた状態で配置し、該各環状ピストンを、所定の付勢手
段による付勢力とエンジン回転数の変化に対応して変動
する流体圧との釣り合い状態に応じてその軸方向に変位
せしめる如くする一方、上記各環状ピストンのうちの少
なくとも一つの環状ピストンは、その内外周両側にそれ
ぞれ形成される各ヘリカルスプラインの噛合範囲を、こ
れらにそれぞれ噛合する他の環状ピストンあるいは上記
内筒部材または外筒部材のそれよりも小さく設定すると
ともに、該少なくとも一つの環状ピストンの各ヘリカル
スプラインを、該環状ピストンと同心状に配置されると
ともにその内外周両側にそれぞれヘリカルスプラインを
形成したスプラインギヤの周方向における一部で構成し
たことを特徴としている。
【0008】請求項3記載の発明では、請求項1又は2
記載のエンジンのバルブタイミング制御装置において、
上記の少なくとも一つの環状ピストンのヘリカルスプラ
インを、上記複数の環状ピストンのうちの最も径寸法の
小さい環状ピストンに設定したことを特徴としている。
記載のエンジンのバルブタイミング制御装置において、
上記の少なくとも一つの環状ピストンのヘリカルスプラ
インを、上記複数の環状ピストンのうちの最も径寸法の
小さい環状ピストンに設定したことを特徴としている。
【0009】請求項4記載の発明では、請求項1記載の
エンジンのバルブタイミング制御装置において、上記複
数の環状ピストンにそれぞれ形成されるヘリカルスプラ
インのねじれ角を相互に異ならせるとともに、該ねじれ
角の小さいヘリカルスプラインを備えた環状ピストン
を、ねじれ角の大きいヘリカルスプラインを形成した環
状ピストンに先行させて作動させるように構成したこと
を特徴としている。
エンジンのバルブタイミング制御装置において、上記複
数の環状ピストンにそれぞれ形成されるヘリカルスプラ
インのねじれ角を相互に異ならせるとともに、該ねじれ
角の小さいヘリカルスプラインを備えた環状ピストン
を、ねじれ角の大きいヘリカルスプラインを形成した環
状ピストンに先行させて作動させるように構成したこと
を特徴としている。
【0010】請求項5記載の発明では、請求項1記載の
エンジンのバルブタイミング制御装置において、上記複
数の環状ピストンの流体圧に対する各受圧面積と、該各
環状ピストンをそれぞれ付勢する付勢手段の付勢特性と
を、該各環状ピストン相互間においてそれぞれ略同一に
設定したことを特徴としている。
エンジンのバルブタイミング制御装置において、上記複
数の環状ピストンの流体圧に対する各受圧面積と、該各
環状ピストンをそれぞれ付勢する付勢手段の付勢特性と
を、該各環状ピストン相互間においてそれぞれ略同一に
設定したことを特徴としている。
【0011】
【作用】本願各発明ではかかる構成とすることによって
それぞれ次のような作用が得られる。
それぞれ次のような作用が得られる。
【0012】(a) 請求項1記載の発明では、エンジン
の運転によりエンジン回転数に対応した流体圧が各環状
ピストンにかけられることにより、該各環状ピストンは
それぞれこれを付勢する付勢手段の付勢力とこれにかか
る上記流体圧との釣り合い状態に応じてその軸方向に変
位する。この場合、該各環状ピストンの変位量とそのヘ
リカルスプラインのねじれ角とに対応して内筒部材と外
筒部材との回転位相が変更され、結果的に該外筒部材に
連結されるエンジンのクランクシャフトと内筒部材に連
結されるカムシャフトとの回転位相が変更され、エンジ
ン回転数に対応した所定のバルブタイミング制御が実現
されるものである。
の運転によりエンジン回転数に対応した流体圧が各環状
ピストンにかけられることにより、該各環状ピストンは
それぞれこれを付勢する付勢手段の付勢力とこれにかか
る上記流体圧との釣り合い状態に応じてその軸方向に変
位する。この場合、該各環状ピストンの変位量とそのヘ
リカルスプラインのねじれ角とに対応して内筒部材と外
筒部材との回転位相が変更され、結果的に該外筒部材に
連結されるエンジンのクランクシャフトと内筒部材に連
結されるカムシャフトとの回転位相が変更され、エンジ
ン回転数に対応した所定のバルブタイミング制御が実現
されるものである。
【0013】この場合、複数の環状ピストンによってそ
れぞれ所定の回転位相が確保されることから、例えば従
来のように単一の環状ピストンによってこれを達成する
場合に比して、回転位相の変更範囲が拡大され、それだ
けより広いエンジン回転数範囲において適正なバルブタ
イミング制御を行わしめることが可能となるものであ
る。
れぞれ所定の回転位相が確保されることから、例えば従
来のように単一の環状ピストンによってこれを達成する
場合に比して、回転位相の変更範囲が拡大され、それだ
けより広いエンジン回転数範囲において適正なバルブタ
イミング制御を行わしめることが可能となるものであ
る。
【0014】また、上記複数の環状ピストンのうちの少
なくとも一つはその内外周両側にそれぞれ形成されるヘ
リカルスプラインの噛合範囲を、これに噛合する他の環
状ピストン、内筒部材あるいは外筒部材のそれに対して
小さく設定しているので、この噛合範囲の小さいヘリカ
ルスプラインを備えた環状ピストンにおいては、その製
作時にこの小さな噛合範囲内での噛合状態が良好に維持
されるように加工精度を考慮すれば良いことから、例え
ば広い噛合範囲での噛合状態を考慮しなければならない
場合に比して、そのヘリカルスプラインの歯切り精度を
比較的厳密に設定することができ、従って、これを他の
環状ピストン等のヘリカルスプラインに噛合させた場合
におけるバックラッシュが可及的に小ならしめられるも
のである。
なくとも一つはその内外周両側にそれぞれ形成されるヘ
リカルスプラインの噛合範囲を、これに噛合する他の環
状ピストン、内筒部材あるいは外筒部材のそれに対して
小さく設定しているので、この噛合範囲の小さいヘリカ
ルスプラインを備えた環状ピストンにおいては、その製
作時にこの小さな噛合範囲内での噛合状態が良好に維持
されるように加工精度を考慮すれば良いことから、例え
ば広い噛合範囲での噛合状態を考慮しなければならない
場合に比して、そのヘリカルスプラインの歯切り精度を
比較的厳密に設定することができ、従って、これを他の
環状ピストン等のヘリカルスプラインに噛合させた場合
におけるバックラッシュが可及的に小ならしめられるも
のである。
【0015】さらに、この請求項1記載の発明では、上
記した基本的な作用効果に加えて、複数の環状ピストン
のうちの特定の環状ピストンに設けられるヘリカルスプ
ラインを、その外周側において噛合するヘリカルスプラ
インと内周側において噛合するヘリカルスプラインとの
間において噛合可能な小径のスプラインギヤを該環状ピ
ストンの周方向に所定間隔で複数個配置して構成してい
るので、該スプラインギヤは上記外周側及び内周側の各
ヘリカルスプラインに対してそれぞれ点噛合に近い状態
で噛合する。従って、その噛合範囲は、上記外周側及び
内周側の各ヘリカルスプラインに対してその全周におい
て噛合させる場合に比して、噛合範囲が小さくされる。
このため、上記各スプラインギヤの製作に際しては、小
さい噛合範囲内において適正な噛合状態が確保されるよ
うにその加工精度を考慮すれば良く、従って、上記(a)
記載の場合と同様に、噛合状態におけるバックラッシュ
を可及的に小ならしめてその作動音の低減を図ることが
可能ならしめられるものである。
記した基本的な作用効果に加えて、複数の環状ピストン
のうちの特定の環状ピストンに設けられるヘリカルスプ
ラインを、その外周側において噛合するヘリカルスプラ
インと内周側において噛合するヘリカルスプラインとの
間において噛合可能な小径のスプラインギヤを該環状ピ
ストンの周方向に所定間隔で複数個配置して構成してい
るので、該スプラインギヤは上記外周側及び内周側の各
ヘリカルスプラインに対してそれぞれ点噛合に近い状態
で噛合する。従って、その噛合範囲は、上記外周側及び
内周側の各ヘリカルスプラインに対してその全周におい
て噛合させる場合に比して、噛合範囲が小さくされる。
このため、上記各スプラインギヤの製作に際しては、小
さい噛合範囲内において適正な噛合状態が確保されるよ
うにその加工精度を考慮すれば良く、従って、上記(a)
記載の場合と同様に、噛合状態におけるバックラッシュ
を可及的に小ならしめてその作動音の低減を図ることが
可能ならしめられるものである。
【0016】(b) 請求項2記載の発明では、上記した
請求項1記載の発明の基本的な作用効果が得られるとと
もに、これに加えて、複数の環状ピストンのうちの特定
の環状ピストンに設けられるヘリカルスプラインを、該
環状ピストンと同心状に配置され且つその内外周両側に
それぞれヘリカルスプラインを形成したスプラインギヤ
の周方向の一部で構成していることから、この一部の部
分においてはそれぞれ面噛合状態で噛合するものの、そ
の範囲はこれをその全周で噛合させる場合に比して小さ
く、従って、上記(a)記載と同様に、噛合状態における
バックラッシュを可及的に小ならしめてその作動音の低
減を図ることが可能ならしめられるものである。
請求項1記載の発明の基本的な作用効果が得られるとと
もに、これに加えて、複数の環状ピストンのうちの特定
の環状ピストンに設けられるヘリカルスプラインを、該
環状ピストンと同心状に配置され且つその内外周両側に
それぞれヘリカルスプラインを形成したスプラインギヤ
の周方向の一部で構成していることから、この一部の部
分においてはそれぞれ面噛合状態で噛合するものの、そ
の範囲はこれをその全周で噛合させる場合に比して小さ
く、従って、上記(a)記載と同様に、噛合状態における
バックラッシュを可及的に小ならしめてその作動音の低
減を図ることが可能ならしめられるものである。
【0017】(c) 請求項3記載の発明では、上記した
請求項1記載の発明の基本的な作用効果に加えて、噛合
範囲の小さいヘリカルスプラインを各環状ピストンのう
ちの最も径寸法の小さい環状ピストンに設定することに
より、この径寸法の小さい環状ピストンはその他の環状
ピストンに比して流体圧に対する受圧面積が小さいこと
からその作動にはより大きな流体圧を必要とするが、そ
のヘリカルスプラインの噛合範囲を小さくしてその作動
時の摺動抵抗を少なくした分だけ上記流体圧を低下させ
ることができ、結果的により低流体圧域から(即ち、よ
り低回転域から)所定のバルブタイミング制御を行わし
めることが可能となるものである。
請求項1記載の発明の基本的な作用効果に加えて、噛合
範囲の小さいヘリカルスプラインを各環状ピストンのう
ちの最も径寸法の小さい環状ピストンに設定することに
より、この径寸法の小さい環状ピストンはその他の環状
ピストンに比して流体圧に対する受圧面積が小さいこと
からその作動にはより大きな流体圧を必要とするが、そ
のヘリカルスプラインの噛合範囲を小さくしてその作動
時の摺動抵抗を少なくした分だけ上記流体圧を低下させ
ることができ、結果的により低流体圧域から(即ち、よ
り低回転域から)所定のバルブタイミング制御を行わし
めることが可能となるものである。
【0018】(d) 請求項4記載の発明では、上記した
請求項1記載の発明の基本的な作用効果に加えて、回転
位相の変更に関与する複数の環状ピストンにそれぞれ形
成されるヘリカルスプラインのねじれ角を相互に異なら
せて設定するとともに、このねじれ角の小さい(即ち、
作動時の摺動抵抗の小さい)ヘリカルスプラインを備え
た環状ピストンをねじれ角の大きな(即ち、作動時の摺
動抵抗の大きな)ヘリカルスプラインをもつ環状ピスト
ンに先行させて作動させるようにしているので、流体圧
が比較的小さいエンジン低回転域においても容易に該環
状ピストンを作動させて所定のバルブタイミング制御を
行わせることが可能となる。
請求項1記載の発明の基本的な作用効果に加えて、回転
位相の変更に関与する複数の環状ピストンにそれぞれ形
成されるヘリカルスプラインのねじれ角を相互に異なら
せて設定するとともに、このねじれ角の小さい(即ち、
作動時の摺動抵抗の小さい)ヘリカルスプラインを備え
た環状ピストンをねじれ角の大きな(即ち、作動時の摺
動抵抗の大きな)ヘリカルスプラインをもつ環状ピスト
ンに先行させて作動させるようにしているので、流体圧
が比較的小さいエンジン低回転域においても容易に該環
状ピストンを作動させて所定のバルブタイミング制御を
行わせることが可能となる。
【0019】(e) 請求項5記載の発明では、上記した
請求項1記載の発明の基本的な作用効果に加えて、同心
状に配置された複数の環状ピストンの受圧面積と、該環
状ピストンを付勢する付勢手段の付勢特性とを、該各環
状ピストン相互間において略同一に設定することで、該
各環状ピストンを同じ流体圧によって同時に且つ同期し
て作動させることができるものである。
請求項1記載の発明の基本的な作用効果に加えて、同心
状に配置された複数の環状ピストンの受圧面積と、該環
状ピストンを付勢する付勢手段の付勢特性とを、該各環
状ピストン相互間において略同一に設定することで、該
各環状ピストンを同じ流体圧によって同時に且つ同期し
て作動させることができるものである。
【0020】
【発明の効果】従って、本願各発明のエンジンのバルブ
タイミング制御装置によれば、エンジンに連結された外
筒部材とカムシャフトに連結された内筒部材との回転位
相の変換作用に関与する環状ピストンを同心状に複数個
設け、該各環状ピストンのヘリカルスプラインによる回
転位相変更量の合計を最終的な回転位相量として取り出
すようにしていることから、例えば従来のように単一の
環状ピストンを設けたものに比して、より大きな回転位
相の変更量を確保することができ、エンジンのより広い
回転数域において適正なバルブタイミング制御を行わし
めてエンジン性能の向上を図ることができるという効果
が得られるものである。
タイミング制御装置によれば、エンジンに連結された外
筒部材とカムシャフトに連結された内筒部材との回転位
相の変換作用に関与する環状ピストンを同心状に複数個
設け、該各環状ピストンのヘリカルスプラインによる回
転位相変更量の合計を最終的な回転位相量として取り出
すようにしていることから、例えば従来のように単一の
環状ピストンを設けたものに比して、より大きな回転位
相の変更量を確保することができ、エンジンのより広い
回転数域において適正なバルブタイミング制御を行わし
めてエンジン性能の向上を図ることができるという効果
が得られるものである。
【0021】また、複数の環状ピストンのうち、少なく
とも一つの環状ピストンにおいてはこれに設けられるヘ
リカルスプラインの噛合範囲を、これに噛合する他の環
状ピストン等のヘリカルスプラインのそれよりも小さく
設定しているので、該ヘリカルスプラインの製作に際し
て噛合上の余裕を比較的小さく設定しても良好な噛合状
態を確保することができることとなり、この結果、ヘリ
カルスプライン噛合状態におけるバックラッシュを小さ
くしてその静粛作動を実現することができ、さらに、こ
のように噛合範囲が少ない分だけ作動時における摺動抵
抗が減少し、その作動が容易に且つ確実ならしめられる
ものである。
とも一つの環状ピストンにおいてはこれに設けられるヘ
リカルスプラインの噛合範囲を、これに噛合する他の環
状ピストン等のヘリカルスプラインのそれよりも小さく
設定しているので、該ヘリカルスプラインの製作に際し
て噛合上の余裕を比較的小さく設定しても良好な噛合状
態を確保することができることとなり、この結果、ヘリ
カルスプライン噛合状態におけるバックラッシュを小さ
くしてその静粛作動を実現することができ、さらに、こ
のように噛合範囲が少ない分だけ作動時における摺動抵
抗が減少し、その作動が容易に且つ確実ならしめられる
ものである。
【0022】さらに、このような基本的効果に加えて、
少なくとも一つの環状ピストンに設けられるヘリカルス
プラインを、小径のスプラインギヤで構成していること
から、その歯切り加工が容易であり、それだけコストダ
ウンを図り得るという効果が得られる。
少なくとも一つの環状ピストンに設けられるヘリカルス
プラインを、小径のスプラインギヤで構成していること
から、その歯切り加工が容易であり、それだけコストダ
ウンを図り得るという効果が得られる。
【0023】さらにまた、上記した請求項1記載の発明
の基本的効果に加えて、請求項2〜5記載の発明ではそ
れぞれ次のような特有の効果も得られるものである。
の基本的効果に加えて、請求項2〜5記載の発明ではそ
れぞれ次のような特有の効果も得られるものである。
【0024】即ち、請求項2記載のエンジンのバルブタ
イミング制御装置においては、少なくとも一つの環状ピ
ストンに設けられるヘリカルスプラインを、該環状ピス
トンと同心上に配置されるスプラインギヤの周方向の一
部で構成しているので、該スプラインギヤを環状ピスト
ンと一体的に成形した後、その周方向の所定位置にのみ
ヘリカルスプライン形成加工を施すことによってこれを
得ることができ、例えば、これを環状ピストンと別体に
形成して事後的にこれを環状ピストンに取り付ける場合
に比して、その製作が容易であり、これによってより一
層のコストダウンが図られるものである。
イミング制御装置においては、少なくとも一つの環状ピ
ストンに設けられるヘリカルスプラインを、該環状ピス
トンと同心上に配置されるスプラインギヤの周方向の一
部で構成しているので、該スプラインギヤを環状ピスト
ンと一体的に成形した後、その周方向の所定位置にのみ
ヘリカルスプライン形成加工を施すことによってこれを
得ることができ、例えば、これを環状ピストンと別体に
形成して事後的にこれを環状ピストンに取り付ける場合
に比して、その製作が容易であり、これによってより一
層のコストダウンが図られるものである。
【0025】請求項3記載のエンジンのバルブタイミン
グ制御装置によれば、複数の環状ピストンのうち、最も
受圧面積が少なく作動に際してより大きな流体圧を必要
とする環状ピストンに設けられるヘリカルスプラインを
噛合範囲の小さなものに設定することでヘリカルスプラ
インの摺動抵抗による環状ピストンの作動阻害を可及的
に防止しているので、受圧面積の大小の影響を可及的に
排除した状態で信頼性の高いバルブタイミング制御を行
うことが可能ならしめられるものである。
グ制御装置によれば、複数の環状ピストンのうち、最も
受圧面積が少なく作動に際してより大きな流体圧を必要
とする環状ピストンに設けられるヘリカルスプラインを
噛合範囲の小さなものに設定することでヘリカルスプラ
インの摺動抵抗による環状ピストンの作動阻害を可及的
に防止しているので、受圧面積の大小の影響を可及的に
排除した状態で信頼性の高いバルブタイミング制御を行
うことが可能ならしめられるものである。
【0026】請求項4記載のエンジンのバルブタイミン
グ制御装置によれば、複数の環状ピストンのうち、ねじ
れ角の小さなヘリカルスプラインを備えたものをねじれ
角の大きなヘリカルスプラインを備えたものに先行させ
て作動させることでより低回転域からのバルブタイミン
グ制御を可能としていることから、より広い回転数範囲
で適正なバルブタイミングを確保しもってエンジン性能
をより高めることができるものである。
グ制御装置によれば、複数の環状ピストンのうち、ねじ
れ角の小さなヘリカルスプラインを備えたものをねじれ
角の大きなヘリカルスプラインを備えたものに先行させ
て作動させることでより低回転域からのバルブタイミン
グ制御を可能としていることから、より広い回転数範囲
で適正なバルブタイミングを確保しもってエンジン性能
をより高めることができるものである。
【0027】請求項5記載のエンジンのバルブタイミン
グ制御装置によれば、複数の環状ピストンを同時に作動
させることでので、より小さな作動ストロークでより大
きな位相変更量を確保することが可能となり、結果的
に、より一層エンジン回転数の変化に対応した的確なバ
ルブタイミング制御が実現されるものである。
グ制御装置によれば、複数の環状ピストンを同時に作動
させることでので、より小さな作動ストロークでより大
きな位相変更量を確保することが可能となり、結果的
に、より一層エンジン回転数の変化に対応した的確なバ
ルブタイミング制御が実現されるものである。
【0028】
【実施例】以下、添付図面に示す実施例に基づいて本願
発明のエンジンのバルブタイミング制御装置を具体的に
説明する。
発明のエンジンのバルブタイミング制御装置を具体的に
説明する。
【0029】A:第1実施例 図1には、本願の請求項1及び3記載の発明の実施例に
かかるバルブタイミング制御装置の要部が示されてお
り、同図において符号1は吸・排気弁(図示省略)を駆動
するカムシャフト、2はエンジン61のクランクシャフ
ト(図示省略)により同期駆動されるタイミングプーリで
あり、該カムシャフト1とタイミングプーリ2の間にこ
れらの間における回転位相をエンジン回転数に対応して
自動的に変更調整する後述の内筒部材3と外筒部材4及
び内外一対のピストン11,12(特許請求の範囲中の環
状ピストンに該当する)が装着されている。
かかるバルブタイミング制御装置の要部が示されてお
り、同図において符号1は吸・排気弁(図示省略)を駆動
するカムシャフト、2はエンジン61のクランクシャフ
ト(図示省略)により同期駆動されるタイミングプーリで
あり、該カムシャフト1とタイミングプーリ2の間にこ
れらの間における回転位相をエンジン回転数に対応して
自動的に変更調整する後述の内筒部材3と外筒部材4及
び内外一対のピストン11,12(特許請求の範囲中の環
状ピストンに該当する)が装着されている。
【0030】内筒部材3 上記内筒部材3は、上記カムシャフト1の軸端部1a
に、締結ボルト7によって同軸状に組み付けられるもの
であって、所定径をもつ筒部31と該筒部31のカムシ
ャフト1寄りの端部から径方向外方へ延出する段付き状
のフランジ部32とを有しており、該フランジ部32の
端面を上記カムシャフト1の端面1bに衝合させた状態
で固定されている。
に、締結ボルト7によって同軸状に組み付けられるもの
であって、所定径をもつ筒部31と該筒部31のカムシ
ャフト1寄りの端部から径方向外方へ延出する段付き状
のフランジ部32とを有しており、該フランジ部32の
端面を上記カムシャフト1の端面1bに衝合させた状態
で固定されている。
【0031】さらに、この内筒部材3には、そのフラン
ジ部32の筒部31寄りの位置に、反カムシャフト1側
の側面からその軸心に平行方向に向けて凹入する環状溝
で構成される油室34が形成されるとともに、上記筒部
31の外周面には所定のねじれ角をもつ外歯ヘリカルス
プライン33が形成されている。そして、この油室34
には、後述する内側ピストン11(特許請求の範囲中の
少なくとも一つの環状ピストンに該当する)が、その内
歯ヘリカルスプライン16を上記外歯ヘリカルスプライ
ン33に噛合させた状態で嵌装配置されるようになって
いる。
ジ部32の筒部31寄りの位置に、反カムシャフト1側
の側面からその軸心に平行方向に向けて凹入する環状溝
で構成される油室34が形成されるとともに、上記筒部
31の外周面には所定のねじれ角をもつ外歯ヘリカルス
プライン33が形成されている。そして、この油室34
には、後述する内側ピストン11(特許請求の範囲中の
少なくとも一つの環状ピストンに該当する)が、その内
歯ヘリカルスプライン16を上記外歯ヘリカルスプライ
ン33に噛合させた状態で嵌装配置されるようになって
いる。
【0032】尚、上記油室34は、上記カムシャフト1
に形成した第2供給油路54を介して軸受8側の第2オ
イル導入口52に常時連通せしめられている。また、こ
の第2オイル導入口52には、上記エンジン61によっ
て直接駆動されてエンジン回転数に対応した油圧を発生
するオイルポンプ62から制御弁63を介して油圧が供
給されるようになっている。
に形成した第2供給油路54を介して軸受8側の第2オ
イル導入口52に常時連通せしめられている。また、こ
の第2オイル導入口52には、上記エンジン61によっ
て直接駆動されてエンジン回転数に対応した油圧を発生
するオイルポンプ62から制御弁63を介して油圧が供
給されるようになっている。
【0033】外筒部材4 上記外筒部材4は、上記内筒部材3のフランジ部32の
外径に近い内径寸法を有する筒部41と、該筒部41の
軸方向の一端に連続してここから径方向内側に延出する
厚板ドーナツ状のフランジ部42とを有している。そし
て、この外筒部材4は、上記フランジ部42を上記カム
シャフト1の軸方向外方に位置せしめた状態でこれを上
記内筒部材3の軸端部3aに相対回転可能に軸支せしめ
るとともに、その筒部41の端部を上記内筒部材3のフ
ランジ部32に相対回動可能に衝合させることで、上記
内筒部材3と同軸状に配置される。さらに、この筒部4
1には、上記タイミングプーリ2が複数の組付ボルト3
7,37,・・によって締着固定されるが、この場合、該
組付ボルト37によって止め部材5を共締めし、この止
め部材5によって上記内筒部材3と外筒部材4との軸方
向への離脱を防止するようにしている。
外径に近い内径寸法を有する筒部41と、該筒部41の
軸方向の一端に連続してここから径方向内側に延出する
厚板ドーナツ状のフランジ部42とを有している。そし
て、この外筒部材4は、上記フランジ部42を上記カム
シャフト1の軸方向外方に位置せしめた状態でこれを上
記内筒部材3の軸端部3aに相対回転可能に軸支せしめ
るとともに、その筒部41の端部を上記内筒部材3のフ
ランジ部32に相対回動可能に衝合させることで、上記
内筒部材3と同軸状に配置される。さらに、この筒部4
1には、上記タイミングプーリ2が複数の組付ボルト3
7,37,・・によって締着固定されるが、この場合、該
組付ボルト37によって止め部材5を共締めし、この止
め部材5によって上記内筒部材3と外筒部材4との軸方
向への離脱を防止するようにしている。
【0034】さらに、この外筒部材4は、そのフランジ
部42の外周寄り位置(即ち、上記筒部41に近接した
位置)に、上記内筒部材3側から上記カムシャフト1の
軸方向に平行な方向に向けて凹入する環状溝で構成され
る油室44を形成するとともに、上記筒部41の内周面
には所定のねじれ角をもつ内歯ヘリカルスプライン43
を形成している。そして、この油室44には、後述する
外側ピストン12(特許請求の範囲中の少なくとも一つ
の環状ピストン以外の環状ピストンに該当する)が、そ
の外周面に形成した外歯ヘリカルスプライン19を上記
内歯ヘリカルスプライン43に噛合させた状態で嵌装配
置される。
部42の外周寄り位置(即ち、上記筒部41に近接した
位置)に、上記内筒部材3側から上記カムシャフト1の
軸方向に平行な方向に向けて凹入する環状溝で構成され
る油室44を形成するとともに、上記筒部41の内周面
には所定のねじれ角をもつ内歯ヘリカルスプライン43
を形成している。そして、この油室44には、後述する
外側ピストン12(特許請求の範囲中の少なくとも一つ
の環状ピストン以外の環状ピストンに該当する)が、そ
の外周面に形成した外歯ヘリカルスプライン19を上記
内歯ヘリカルスプライン43に噛合させた状態で嵌装配
置される。
【0035】尚、上記油室44は、上記外筒部材4に形
成した筒内油路57と上記締結ボルト7の軸心部に貫設
したボルト内油路56と上記カムシャフト1に形成した
軸内油路55とからなる第1供給油路53を介して上記
軸受8側の第1オイル導入口51に常時連通せしめられ
ている。そして、この第1オイル導入口51には、上記
第2オイル導入口52と同様に、制御弁63を介して上
記オイルポンプ62からエンジン回転数に対応した圧力
の油圧が供給されるようになっている。
成した筒内油路57と上記締結ボルト7の軸心部に貫設
したボルト内油路56と上記カムシャフト1に形成した
軸内油路55とからなる第1供給油路53を介して上記
軸受8側の第1オイル導入口51に常時連通せしめられ
ている。そして、この第1オイル導入口51には、上記
第2オイル導入口52と同様に、制御弁63を介して上
記オイルポンプ62からエンジン回転数に対応した圧力
の油圧が供給されるようになっている。
【0036】内側ピストン11 上記内側ピストン11は、図1及び図2に示すように、
所定径の環状体で一体形成されるピストン本体11a
と、該ピストン本体11aの反頂面側の端面11bに取り
付けられた三つのスプラインギヤ20,20,20とで構
成されている。即ち、このスプラインギヤ20は、小径
筒状体の外周面に外歯ヘリカルスプライン21を形成し
て構成されるものであって、その内周部をスプリング受
孔22とし、このスプリング受孔22に小径コイル状の
スプリング13を嵌装せしめるようになっている。ま
た、このスプラインギヤ20の径寸法(ピッチ円径)は、
後述する外側ピストン12の内歯ヘリカルスプライン2
4と上記内筒部材3の外歯ヘリカルスプライン33との
径寸法差の1/2に相当する外径寸法を有している。
所定径の環状体で一体形成されるピストン本体11a
と、該ピストン本体11aの反頂面側の端面11bに取り
付けられた三つのスプラインギヤ20,20,20とで構
成されている。即ち、このスプラインギヤ20は、小径
筒状体の外周面に外歯ヘリカルスプライン21を形成し
て構成されるものであって、その内周部をスプリング受
孔22とし、このスプリング受孔22に小径コイル状の
スプリング13を嵌装せしめるようになっている。ま
た、このスプラインギヤ20の径寸法(ピッチ円径)は、
後述する外側ピストン12の内歯ヘリカルスプライン2
4と上記内筒部材3の外歯ヘリカルスプライン33との
径寸法差の1/2に相当する外径寸法を有している。
【0037】そして、この各スプラインギヤ20,20,
20は、上記ピストン本体11aの端面11bに対して、
該ピストン本体11aと同心の円周上の周方向に所定間
隔をもった位置において、しかもその軸心を上記ピスト
ン本体11aのそれと平行とした状態でそれぞれ溶接に
より固定されて該ピストン本体11aと一体化されるこ
とで、上記内側ピストン11を構成している。従って、
この各スプラインギヤ20,20,20は、その軸心回り
に自転することはなく、上記ピストン本体11aの回転
に伴ってその軸心回りに公転するのみである。このた
め、各スプラインギヤ20,20,20は、上記ピストン
本体11aの軸心から最も遠い部分が後述の内側ピスト
ン11の内歯ヘリカルスプライン24に、また最も近い
部分が上記内筒部材3の外歯ヘリカルスプライン33
に、それぞれ常時噛合することとなる(尚、この実施例
においては、上述のように外歯ヘリカルスプライン21
を全周に形成しているが、他の実施例においてはこれを
上記内歯ヘリカルスプライン24及び外歯ヘリカルスプ
ライン33に対応する部分のみに部分的に形成すること
もできるものである)。
20は、上記ピストン本体11aの端面11bに対して、
該ピストン本体11aと同心の円周上の周方向に所定間
隔をもった位置において、しかもその軸心を上記ピスト
ン本体11aのそれと平行とした状態でそれぞれ溶接に
より固定されて該ピストン本体11aと一体化されるこ
とで、上記内側ピストン11を構成している。従って、
この各スプラインギヤ20,20,20は、その軸心回り
に自転することはなく、上記ピストン本体11aの回転
に伴ってその軸心回りに公転するのみである。このた
め、各スプラインギヤ20,20,20は、上記ピストン
本体11aの軸心から最も遠い部分が後述の内側ピスト
ン11の内歯ヘリカルスプライン24に、また最も近い
部分が上記内筒部材3の外歯ヘリカルスプライン33
に、それぞれ常時噛合することとなる(尚、この実施例
においては、上述のように外歯ヘリカルスプライン21
を全周に形成しているが、他の実施例においてはこれを
上記内歯ヘリカルスプライン24及び外歯ヘリカルスプ
ライン33に対応する部分のみに部分的に形成すること
もできるものである)。
【0038】このように構成された内側ピストン11
は、上記ピストン本体11aを上記油室34内に摺動可
能に嵌入させるとともに、上記各スプラインギヤ20,
20,20を上記外側ピストン12の内歯ヘリカルスプ
ライン24及び上記内筒部材3の外歯ヘリカルスプライ
ン33にそれぞれ噛合させた状態で、該内筒部材3と同
心状に嵌装配置される。また、この嵌装配置状態におい
ては、上記各スプラインギヤ20,20,20は、それぞ
れ独立したスプリング13,13,13によって常時没入
方向(図面右方向)へ付勢されている。
は、上記ピストン本体11aを上記油室34内に摺動可
能に嵌入させるとともに、上記各スプラインギヤ20,
20,20を上記外側ピストン12の内歯ヘリカルスプ
ライン24及び上記内筒部材3の外歯ヘリカルスプライ
ン33にそれぞれ噛合させた状態で、該内筒部材3と同
心状に嵌装配置される。また、この嵌装配置状態におい
ては、上記各スプラインギヤ20,20,20は、それぞ
れ独立したスプリング13,13,13によって常時没入
方向(図面右方向)へ付勢されている。
【0039】外側ピストン12 上記外側ピストン12は、図1及び図2に示すように、
上記内側ピストン11より大径の環状体で構成されるピ
ストン本体12aと、該ピストン本体12aの一端側に延
設された延設部12bとで一体構成されるものであっ
て、上記延設部12bの内周側には内歯ヘリカルスプラ
イン24を、外周側には外歯ヘリカルスプライン25
を、それぞれ形成している。また、上記延設部12bに
は、所定溝幅をもつ環状溝で構成されるスプリング受溝
26が形成されている。
上記内側ピストン11より大径の環状体で構成されるピ
ストン本体12aと、該ピストン本体12aの一端側に延
設された延設部12bとで一体構成されるものであっ
て、上記延設部12bの内周側には内歯ヘリカルスプラ
イン24を、外周側には外歯ヘリカルスプライン25
を、それぞれ形成している。また、上記延設部12bに
は、所定溝幅をもつ環状溝で構成されるスプリング受溝
26が形成されている。
【0040】そして、この外側ピストン12は、そのピ
ストン本体12aを上記油室44内に摺動可能に嵌入さ
せるとともに、上記外歯ヘリカルスプライン25を上記
外筒部材4の内歯ヘリカルスプライン43に、上記内歯
ヘリカルスプライン24を上記内側ピストン11の上記
各スプラインギヤ20,20,20にそれぞれ噛合させた
状態で上記外筒部材4に組み付けられ、且つ上記内筒部
材3との間に縮装配置した大径のスプリング14により
常時没入方向(図面左方向)に付勢せしめられている。
ストン本体12aを上記油室44内に摺動可能に嵌入さ
せるとともに、上記外歯ヘリカルスプライン25を上記
外筒部材4の内歯ヘリカルスプライン43に、上記内歯
ヘリカルスプライン24を上記内側ピストン11の上記
各スプラインギヤ20,20,20にそれぞれ噛合させた
状態で上記外筒部材4に組み付けられ、且つ上記内筒部
材3との間に縮装配置した大径のスプリング14により
常時没入方向(図面左方向)に付勢せしめられている。
【0041】油圧回路の構成 上記オイルポンプ62は、エンジン61により直接的に
駆動され、エンジン回転数の大きさに対応した油圧を発
生させるものであり、該オイルポンプ62によって発生
せしめられた油圧は、制御弁63を介して上記内側ピス
トン11の油室34及び外側ピストン12の油室44に
それぞれ同時に供給される。そして、この制御弁63は
電磁切換弁で構成され、その作動制御は、エンジン回転
数信号に対応してコントロールユニット64から出力さ
れる制御信号によってそのソレノイドコイル63aを励
磁あるいは非励磁とすることによって行なわれる。
駆動され、エンジン回転数の大きさに対応した油圧を発
生させるものであり、該オイルポンプ62によって発生
せしめられた油圧は、制御弁63を介して上記内側ピス
トン11の油室34及び外側ピストン12の油室44に
それぞれ同時に供給される。そして、この制御弁63は
電磁切換弁で構成され、その作動制御は、エンジン回転
数信号に対応してコントロールユニット64から出力さ
れる制御信号によってそのソレノイドコイル63aを励
磁あるいは非励磁とすることによって行なわれる。
【0042】具体的には、エンジン回転数が所定値以下
の極低回転領域においては上記ソレノイドコイル63a
が非励磁とされ、上記各油室34,44には油圧は供給
されないが、エンジン回転数が所定値以上に達すると上
記ソレノイドコイル63aが励磁され、上記各油室34,
44には同時にエンジン回転数に対応した圧力の油圧が
供給されるものである。
の極低回転領域においては上記ソレノイドコイル63a
が非励磁とされ、上記各油室34,44には油圧は供給
されないが、エンジン回転数が所定値以上に達すると上
記ソレノイドコイル63aが励磁され、上記各油室34,
44には同時にエンジン回転数に対応した圧力の油圧が
供給されるものである。
【0043】作動の説明 以上の如き構成を有するこの実施例のバルブタイミング
制御装置は次の如く作動する。
制御装置は次の如く作動する。
【0044】エンジン61が運転されるとオイルポンプ
62によりエンジン回転数に対応した圧力の油圧が発生
する。そして、この油圧は、エンジン各部の被潤滑部へ
潤滑油として供給されるとともに、エンジン回転数が所
定値以下の運転状態においてはその一部が制御弁63を
介して上記第1オイル導入口51及び第2オイル導入口
52にそれぞれ供給される。
62によりエンジン回転数に対応した圧力の油圧が発生
する。そして、この油圧は、エンジン各部の被潤滑部へ
潤滑油として供給されるとともに、エンジン回転数が所
定値以下の運転状態においてはその一部が制御弁63を
介して上記第1オイル導入口51及び第2オイル導入口
52にそれぞれ供給される。
【0045】この各オイル導入口51,52に供給され
た油圧は、それぞれ第1供給油路53及び第2供給油路
54を介して上記各油室34,44に導入される。この
場合、内側ピストン11よりも外側ピストン12の方が
大径とされその受圧面積が大きいことから、低回転域に
おいては外側ピストン12のみがエンジン回転数の大き
さに対応して軸方向に移動し、その移動量とヘリカルス
プラインのねじれ角とに対応して上記内筒部材3と外筒
部材4との回転位相を増減変更することで所定のバルブ
タイミング制御が行なわれる。
た油圧は、それぞれ第1供給油路53及び第2供給油路
54を介して上記各油室34,44に導入される。この
場合、内側ピストン11よりも外側ピストン12の方が
大径とされその受圧面積が大きいことから、低回転域に
おいては外側ピストン12のみがエンジン回転数の大き
さに対応して軸方向に移動し、その移動量とヘリカルス
プラインのねじれ角とに対応して上記内筒部材3と外筒
部材4との回転位相を増減変更することで所定のバルブ
タイミング制御が行なわれる。
【0046】エンジン回転数が上昇して上記外側ピスト
ン12が最大移動位置まで達した状態で、さらにエンジ
ン回転数が上昇する高回転域においては、受圧面積の小
さい内側ピストン11が高い油圧を受けて作動し、上記
外側ピストン12と同様に、その移動量とヘリカルスプ
ラインねじれ角とに対応して上記内筒部材3と外筒部材
4との回転位相をさらに変更させ、所定のバルブタイミ
ング制御が行なわれる。
ン12が最大移動位置まで達した状態で、さらにエンジ
ン回転数が上昇する高回転域においては、受圧面積の小
さい内側ピストン11が高い油圧を受けて作動し、上記
外側ピストン12と同様に、その移動量とヘリカルスプ
ラインねじれ角とに対応して上記内筒部材3と外筒部材
4との回転位相をさらに変更させ、所定のバルブタイミ
ング制御が行なわれる。
【0047】このように二つのピストン11,12によ
ってバルブタイミング制御が行なわれることにより、例
えばこれを単一のピストンによって行う場合に比して回
転位相の変更幅が拡大されることから、より広いエンジ
ン回転数範囲において適正なバルブタイミング制御を行
うことが可能となり、結果的にエンジン性能の向上に寄
与できるものである。
ってバルブタイミング制御が行なわれることにより、例
えばこれを単一のピストンによって行う場合に比して回
転位相の変更幅が拡大されることから、より広いエンジ
ン回転数範囲において適正なバルブタイミング制御を行
うことが可能となり、結果的にエンジン性能の向上に寄
与できるものである。
【0048】また一方、この実施例のものにおいては、
各ピストン11,12のうち、内側ピストン11側に設
けられて上記外側ピストン12の内歯ヘリカルスプライ
ン24あるいは上記内筒部材3の外歯ヘリカルスプライ
ン33とそれぞれ噛合するヘリカルスプラインを、上述
のように小径の三つのスプラインギヤ20,20,20で
構成しているので、例えばこの内側ピストン11のヘリ
カルスプラインを上記外側ピストン12と同様に環状に
形成して上記各ヘリカルスプライン24,33に対して
その全周で噛合させる場合に比して、噛合範囲が小さく
なる。
各ピストン11,12のうち、内側ピストン11側に設
けられて上記外側ピストン12の内歯ヘリカルスプライ
ン24あるいは上記内筒部材3の外歯ヘリカルスプライ
ン33とそれぞれ噛合するヘリカルスプラインを、上述
のように小径の三つのスプラインギヤ20,20,20で
構成しているので、例えばこの内側ピストン11のヘリ
カルスプラインを上記外側ピストン12と同様に環状に
形成して上記各ヘリカルスプライン24,33に対して
その全周で噛合させる場合に比して、噛合範囲が小さく
なる。
【0049】この結果、先ず第1に、上記内側ピストン
11に設けられる各スプラインギヤ20,20,20は、
その噛合範囲が小さい分だけ、歯切り加工時においては
加工誤差を想定して設けられる噛合余裕を小さくした厳
密な加工を行っても適正な噛合状態を確保することが可
能となり、この噛合余裕が小さい分だけ噛合状態におけ
るバックラッシュが小さくなり、作動時における歯打ち
音が低減され静粛作動が実現されるものである。
11に設けられる各スプラインギヤ20,20,20は、
その噛合範囲が小さい分だけ、歯切り加工時においては
加工誤差を想定して設けられる噛合余裕を小さくした厳
密な加工を行っても適正な噛合状態を確保することが可
能となり、この噛合余裕が小さい分だけ噛合状態におけ
るバックラッシュが小さくなり、作動時における歯打ち
音が低減され静粛作動が実現されるものである。
【0050】第2に、噛合範囲が小さい分だけ、作動時
における摺動抵抗が減少することから、各ピストン1
1,12をよりスムーズに作動させることができ、結果
的にバルブタイミング制御時における作動上の信頼性が
向上するものである。
における摺動抵抗が減少することから、各ピストン1
1,12をよりスムーズに作動させることができ、結果
的にバルブタイミング制御時における作動上の信頼性が
向上するものである。
【0051】さらに、第3として、内側ピストン11は
外側ピストン12に比してその径寸法が小さく、従って
その受圧面積も小さいことからその作動には上記外側ピ
ストン12の場合よりも高い圧力の油圧を必要とする
が、上述のように噛合範囲の少ないヘリカルスプライン
をこの内側ピストン11に設定すると、ヘリカルスプラ
インをその全周で噛合させる場合に比して、その作動時
における摺動抵抗が少ない分だけ該内側ピストン11を
より低い油圧からスムーズに作動させてその作動上の信
頼性を高めること、及びより低回転域から内側ピストン
11をしてのバルブタイミング制御を可能としもってバ
ルブタイミング制御領域の拡大を図ることができるもの
である。
外側ピストン12に比してその径寸法が小さく、従って
その受圧面積も小さいことからその作動には上記外側ピ
ストン12の場合よりも高い圧力の油圧を必要とする
が、上述のように噛合範囲の少ないヘリカルスプライン
をこの内側ピストン11に設定すると、ヘリカルスプラ
インをその全周で噛合させる場合に比して、その作動時
における摺動抵抗が少ない分だけ該内側ピストン11を
より低い油圧からスムーズに作動させてその作動上の信
頼性を高めること、及びより低回転域から内側ピストン
11をしてのバルブタイミング制御を可能としもってバ
ルブタイミング制御領域の拡大を図ることができるもの
である。
【0052】B:第2実施例 図3には、本願の請求項1,3及び5記載の発明の実施
例にかかるバルブタイミング制御装置が示されている。
この実施例のものは、その基本的構成を上記第1実施例
のものとほぼ同じにするものであって、該第1実施例の
ものと異なる点は、外側ピストン12のピストン本体1
2aの径方向における幅寸法を内側ピストン11のピス
トン本体11aのそれよりも小さくしてこの両者の受圧
面積がほぼ同一となるように設定した点と、上記内側ピ
ストン11を付勢する三つのスプリング13,13,13
の合成された状態での付勢特性と上記外側ピストン12
を付勢するスプリング14の付勢特性とをほぼ同一に設
定した点である。
例にかかるバルブタイミング制御装置が示されている。
この実施例のものは、その基本的構成を上記第1実施例
のものとほぼ同じにするものであって、該第1実施例の
ものと異なる点は、外側ピストン12のピストン本体1
2aの径方向における幅寸法を内側ピストン11のピス
トン本体11aのそれよりも小さくしてこの両者の受圧
面積がほぼ同一となるように設定した点と、上記内側ピ
ストン11を付勢する三つのスプリング13,13,13
の合成された状態での付勢特性と上記外側ピストン12
を付勢するスプリング14の付勢特性とをほぼ同一に設
定した点である。
【0053】かかる特有の設定を行うことにより、上記
各ピストン11,12は共に同じ圧力の油圧を受けて同
期して作動することとなる。このため、各ピストン1
1,12のより小さな作動量でより大きな回転位相変更
量を確保することができ、これによりエンジン回転数の
変化に対する応答性の良好なバルブタイミング制御が可
能となるものであめ。
各ピストン11,12は共に同じ圧力の油圧を受けて同
期して作動することとなる。このため、各ピストン1
1,12のより小さな作動量でより大きな回転位相変更
量を確保することができ、これによりエンジン回転数の
変化に対する応答性の良好なバルブタイミング制御が可
能となるものであめ。
【0054】C:第3実施例 図4には、本願の請求項1,3及び4記載の発明の実施
例にかかるエンジンのバルブタイミング制御装置が示さ
れている。この実施例のものは、上記第1実施例のもの
と同様の基本構成を有するものにおいて、相互に噛合す
る各ヘリカルスプラインのねじれ角を相互に異ならせる
とともに、ねじれ角の小さい側を大きい側に先行させて
作動させるようにしたものである。
例にかかるエンジンのバルブタイミング制御装置が示さ
れている。この実施例のものは、上記第1実施例のもの
と同様の基本構成を有するものにおいて、相互に噛合す
る各ヘリカルスプラインのねじれ角を相互に異ならせる
とともに、ねじれ角の小さい側を大きい側に先行させて
作動させるようにしたものである。
【0055】具体的には次の通りである。即ち、ねじれ
角に関しては、上記内側ピストン11の外歯ヘリカルス
プライン21と内筒部材3の外歯ヘリカルスプライン3
3及び上記外側ピストン12の内歯ヘリカルスプライン
24のねじれ角をそれぞれ同じねじれ角αとし、また上
記外側ピストン12の外歯ヘリカルスプライン25と上
記外筒部材4の内歯ヘリカルスプライン43のねじれ角
をそれぞれ同じねじれ角βとするとともに、この各ねじ
れ角α,βの間において、ねじれ角α>ねじれ角βとな
るようにその大きさを設定したものである。
角に関しては、上記内側ピストン11の外歯ヘリカルス
プライン21と内筒部材3の外歯ヘリカルスプライン3
3及び上記外側ピストン12の内歯ヘリカルスプライン
24のねじれ角をそれぞれ同じねじれ角αとし、また上
記外側ピストン12の外歯ヘリカルスプライン25と上
記外筒部材4の内歯ヘリカルスプライン43のねじれ角
をそれぞれ同じねじれ角βとするとともに、この各ねじ
れ角α,βの間において、ねじれ角α>ねじれ角βとな
るようにその大きさを設定したものである。
【0056】また、作動順序に関しては、小さいねじれ
角βの外歯ヘリカルスプライン25をもつ外側ピストン
12を内側ピストン11に先行させて作動させるように
している。そして、このような順次作動を実現するため
の具体的手段として、この実施例においては、上記オイ
ルポンプ62を油圧を制御弁63を介して上記内側ピス
トン11に対応する第2オイル導入口52と外側ピスト
ン12に対応する第1オイル導入口51とに択一的に接
続可能とするとともに、エンジンの低回転域においては
上記第1オイル導入口51側に、高回転域においては上
記第2オイル導入口52側にそれぞれ択一的に油圧を供
給し得るようにしている。
角βの外歯ヘリカルスプライン25をもつ外側ピストン
12を内側ピストン11に先行させて作動させるように
している。そして、このような順次作動を実現するため
の具体的手段として、この実施例においては、上記オイ
ルポンプ62を油圧を制御弁63を介して上記内側ピス
トン11に対応する第2オイル導入口52と外側ピスト
ン12に対応する第1オイル導入口51とに択一的に接
続可能とするとともに、エンジンの低回転域においては
上記第1オイル導入口51側に、高回転域においては上
記第2オイル導入口52側にそれぞれ択一的に油圧を供
給し得るようにしている。
【0057】このように構成すると、油圧の低いエンジ
ンの低回転域においては作動時の摺動抵抗が少ない外側
ピストン12が内側ピストン11に先行して作動するこ
とから、より低い油圧域から(換言すれば、より低回転
域から)該外側ピストン12をエンジン回転数の変化に
追従してよりスムーズに外側ピストン12を作動させて
所定のバルブタイミング制御を行わしめることができる
ものであり、作動上の信頼性あるいはバルブタイミング
制御範囲の拡大という点において有効である。
ンの低回転域においては作動時の摺動抵抗が少ない外側
ピストン12が内側ピストン11に先行して作動するこ
とから、より低い油圧域から(換言すれば、より低回転
域から)該外側ピストン12をエンジン回転数の変化に
追従してよりスムーズに外側ピストン12を作動させて
所定のバルブタイミング制御を行わしめることができる
ものであり、作動上の信頼性あるいはバルブタイミング
制御範囲の拡大という点において有効である。
【0058】D:第4実施例 図5には、本願の請求項2及び3記載の発明の実施例に
かかるエンジンのバルブタイミング制御装置が示されて
いる。この実施例のものは、上記第1実施例のものと同
様の基本構造を有するものにおいて、上記内側ピストン
11の構造のみを変更したものである。具体的には、図
5及び図6に示すように、上記第1実施例においては、
上記内側ピストン11を、環状のピストン本体11aと
これに溶接固定される別体構造の三つのスプラインギヤ
20,20,20で構成していたのに対して、この実施例
のものにおいては上記ピストン本体11aの一端側を周
方向の三箇所においてそのまま軸方向に延出させて三つ
の延設部11b,11b,11bを形成し、且つこの各延設
部11b,11b,11bの外周側に上記外筒部材4の内歯
ヘリカルスプライン24と噛合する外歯ヘリカルスプラ
イン28を、またその内周側に上記内筒部材3の外歯ヘ
リカルスプライン33と噛合する内歯ヘリカルスプライ
ン27をそれぞれ形成するとともに、この各延設部11
b,11b,11bをその中間から径方向に分断した格好で
環状のスプリング受溝29を形成したものである。
かかるエンジンのバルブタイミング制御装置が示されて
いる。この実施例のものは、上記第1実施例のものと同
様の基本構造を有するものにおいて、上記内側ピストン
11の構造のみを変更したものである。具体的には、図
5及び図6に示すように、上記第1実施例においては、
上記内側ピストン11を、環状のピストン本体11aと
これに溶接固定される別体構造の三つのスプラインギヤ
20,20,20で構成していたのに対して、この実施例
のものにおいては上記ピストン本体11aの一端側を周
方向の三箇所においてそのまま軸方向に延出させて三つ
の延設部11b,11b,11bを形成し、且つこの各延設
部11b,11b,11bの外周側に上記外筒部材4の内歯
ヘリカルスプライン24と噛合する外歯ヘリカルスプラ
イン28を、またその内周側に上記内筒部材3の外歯ヘ
リカルスプライン33と噛合する内歯ヘリカルスプライ
ン27をそれぞれ形成するとともに、この各延設部11
b,11b,11bをその中間から径方向に分断した格好で
環状のスプリング受溝29を形成したものである。
【0059】このようにした場合には、上記第1実施例
の場合と同様に、該内側ピストン11のヘリカルスプラ
インを環状に形成してその全周で噛合させる場合に比し
て噛合範囲が小さくなることから、バックラッシュの低
減による静粛な作動と摺動抵抗の低減によるスムーズな
作動とが実現されるという利点が得られる他に、上記第
1実施例の如く事後的な溶接作業が不要となることから
その製作性が向上するという利点も得られるものであ
る。
の場合と同様に、該内側ピストン11のヘリカルスプラ
インを環状に形成してその全周で噛合させる場合に比し
て噛合範囲が小さくなることから、バックラッシュの低
減による静粛な作動と摺動抵抗の低減によるスムーズな
作動とが実現されるという利点が得られる他に、上記第
1実施例の如く事後的な溶接作業が不要となることから
その製作性が向上するという利点も得られるものであ
る。
【図1】本願発明の第1実施例にかかるバルブタイミン
グ制御装置の構造を示す縦断面図である。
グ制御装置の構造を示す縦断面図である。
【図2】図1に示した内側ピストン及び外側ピストンの
拡大斜視図である。
拡大斜視図である。
【図3】本願発明の第2実施例にかかるエンジンのバル
ブタイミング制御装置の構造を示す縦断面図である。
ブタイミング制御装置の構造を示す縦断面図である。
【図4】本願発明の第3実施例にかかるエンジンのバル
ブタイミング制御装置の構造を示す縦断面図である。
ブタイミング制御装置の構造を示す縦断面図である。
【図5】本願発明の第4実施例にかかるエンジンのバル
ブタイミング制御装置の構造を示す縦断面図である。
ブタイミング制御装置の構造を示す縦断面図である。
【図6】図5に示した内側ピストンと外側ピストンの拡
大斜視図である。
大斜視図である。
1はカムシャフト、2はタイミングプーリ、3は内筒部
材、4は外筒部材、5は止め部材、7は締結ボルト、8
は軸受、9はバックプレート、11は内側ピストン、1
2は外側ピストン、13及び14はスプリング、16は
内歯ヘリカルスプライン、17は外歯ヘリカルスプライ
ン、18は内歯ヘリカルスプライン、19は外歯ヘリカ
ルスプライン、20はスプラインギヤ、21は外歯ヘリ
カルスプライン、22はスプリング受孔、24は内歯ヘ
リカルスプライン、25は外歯ヘリカルスプライン、2
6はスプリング受溝、27は内歯ヘリカルスプライン、
28は外歯ヘリカルスプライン、29はスプリング受
溝、31は筒部、32はフランジ部、33は外歯ヘリカ
ルスプライン、34は油室、37は組付ボルト、41は
筒部、42はフランジ部、43は内歯ヘリカルスプライ
ン、44は油室、51は第1オイル導入口、52は第2
オイル導入口、53は第1供給油路、54は第2供給油
路、55は軸内油路、56はボルト内油路、57は筒内
油路、61はエンジン、62はオイルポンプ、63は制
御弁、64はコントロールユニットである。
材、4は外筒部材、5は止め部材、7は締結ボルト、8
は軸受、9はバックプレート、11は内側ピストン、1
2は外側ピストン、13及び14はスプリング、16は
内歯ヘリカルスプライン、17は外歯ヘリカルスプライ
ン、18は内歯ヘリカルスプライン、19は外歯ヘリカ
ルスプライン、20はスプラインギヤ、21は外歯ヘリ
カルスプライン、22はスプリング受孔、24は内歯ヘ
リカルスプライン、25は外歯ヘリカルスプライン、2
6はスプリング受溝、27は内歯ヘリカルスプライン、
28は外歯ヘリカルスプライン、29はスプリング受
溝、31は筒部、32はフランジ部、33は外歯ヘリカ
ルスプライン、34は油室、37は組付ボルト、41は
筒部、42はフランジ部、43は内歯ヘリカルスプライ
ン、44は油室、51は第1オイル導入口、52は第2
オイル導入口、53は第1供給油路、54は第2供給油
路、55は軸内油路、56はボルト内油路、57は筒内
油路、61はエンジン、62はオイルポンプ、63は制
御弁、64はコントロールユニットである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−164108(JP,A) 特開 平5−272316(JP,A) 実開 平2−118147(JP,U) 実開 平4−107414(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F01L 1/34
Claims (5)
- 【請求項1】 エンジンにより回転駆動されるとともに
その内周面にヘリカルスプラインを形成した外筒部材
と、該外筒部材の内側に配置されるとともにその外周面
にヘリカルスプラインを形成し且つカムシャフトに連結
された内筒部材との間に、順次同心状に嵌合されるとと
もに相互間がそれぞれヘリカルスプラインを介して噛合
せしめられた複数の環状ピストンを、その最外周側の環
状ピストンを上記外筒部材のヘリカルスプラインに、ま
たその最内周側の環状ピストンを上記内筒部材のヘリカ
ルスプラインにそれぞれ噛合せしめた状態で配置し、該
各環状ピストンを、所定の付勢手段による付勢力とエン
ジン回転数の変化に対応して変動する流体圧との釣り合
い状態に応じてその軸方向に変位せしめる如くする一
方、 上記各環状ピストンのうちの少なくとも一つの環状ピス
トンは、その内外周両側にそれぞれ形成される各ヘリカ
ルスプラインの噛合範囲を、これらにそれぞれ噛合する
他の環状ピストンあるいは上記内筒部材または外筒部材
のそれよりも小さく設定されるとともに、 上記の少なくとも1つの環状ピストンの各ヘリカルスプ
ラインが、その外周側において噛合する他のヘリカルス
プラインとその内周側において噛合する他のヘリカルス
プラインとの間に噛合可能な径寸法をもつ小径のスプラ
インギヤを、該環状ピストンに対してこれと同心状の円
周上においてその周方向に所定間隔をもって位置するよ
うに複数個配置して構成されている ことを特徴とするエ
ンジンのバルブタイミング制御装置。 - 【請求項2】 エンジンにより回転駆動されるとともに
その内周面にヘリカルスプラインを形成した外筒部材
と、該外筒部材の内側に配置されるとともにその外周面
にヘリカルスプラインを形成し且つカムシャフトに連結
された内筒部材との間に、順次同心状に嵌合されるとと
もに相互間がそれぞれヘリカルスプラインを介して噛合
せしめられた複数の環状ピストンを、その最外周側の環
状ピストンを上記外筒部材のヘリカルスプラインに、ま
たその最内周側の環状ピストンを 上記内筒部材のヘリカ
ルスプラインにそれぞれ噛合せしめた状態で配置し、該
各環状ピストンを、所定の付勢手段による付勢力とエン
ジン回転数の変化に対応して変動する流体圧との釣り合
い状態に応じてその軸方向に変位せしめる如くする一
方、 上記各環状ピストンのうちの少なくとも一つの環状ピス
トンは、その内外周両側にそれぞれ形成される各ヘリカ
ルスプラインの噛合範囲を、これらにそれぞれ噛合する
他の環状ピストンあるいは上記内筒部材または外筒部材
のそれよりも小さく設定されるとともに、 上記の少なくとも1つの環状ピストンの各ヘリカルスプ
ラインが、該環状ピストンと同心状に配置されるととも
にその内外周両側にそれぞれヘリカルスプラインを形成
したスプラインギヤの周方向における一部で構成されて
いることを特徴とするエンジンのバルブタイミング制御
装置。 - 【請求項3】 請求項1または2において、上記の少な
くとも一つの環状ピストンの各ヘリカルスプラインが、
上記複数の環状ピストンのうちの最も径寸法の小さい環
状ピストンに設定されていることを特徴とするエンジン
のバルブタイミング制御装置。 - 【請求項4】 請求項1において、上記複数の環状ピス
トンにそれぞれ形成されるヘリカルスプラインのねじれ
角を相互に異ならせるとともに、ねじれ角の小さいヘリ
カルスプラインを備えた環状ピストンを、ねじれ角の大
きいヘリカルスプラインを備えた環状ピストンに先行さ
せて作動させるように構成したことを特徴とするエンジ
ンのバルブタイミング制御装置。 - 【請求項5】 請求項1において、上記複数の環状ピス
トンの流体圧に対する各受圧面積と、該各環状ピストン
をそれぞれ付勢する付勢手段の付勢特性とを、該各環状
ピストン相互間においてそれぞれ略同一に設定したこと
を特徴とするエンジンのバルブタイミング制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15186092A JP3195049B2 (ja) | 1992-06-11 | 1992-06-11 | エンジンのバルブタイミング制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15186092A JP3195049B2 (ja) | 1992-06-11 | 1992-06-11 | エンジンのバルブタイミング制御装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05340215A JPH05340215A (ja) | 1993-12-21 |
JP3195049B2 true JP3195049B2 (ja) | 2001-08-06 |
Family
ID=15527830
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP15186092A Expired - Fee Related JP3195049B2 (ja) | 1992-06-11 | 1992-06-11 | エンジンのバルブタイミング制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3195049B2 (ja) |
-
1992
- 1992-06-11 JP JP15186092A patent/JP3195049B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05340215A (ja) | 1993-12-21 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |