JP3195032U - 鉄筋配設部材及びそれを用いたコンクリート構造物 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単に鉄筋を配設することができる鉄筋配設部材及びそれを用いたコンクリート構造物を提供する。【解決手段】鉄筋配設部材10は、一対の型枠の間の間隔を保持しつつ、その一対の型枠の間に鉄筋を配設するためのものである。鉄筋配設部材10は、型枠の対抗方向に伸長された支持部11を備え、支持部11の両端部には支持部11を型枠に対して配設する挿入部12が設けられている。支持部11の上部には、鉄筋を配設可能な凹部15が設けられており、凹部15の開口を小さくするように突出して鉄筋係止部16が設けられている。【選択図】図1
Description
本考案は、一対の型枠の間に鉄筋を配設するための鉄筋配設部材及びそれを用いたコンクリート構造物に関する。
コンクリート型枠工法によりコンクリート構造物を構築する際には、例えば、鉄筋を組み立て、組み立てた鉄筋を間に挟んで一対の型枠を配設し、その間にコンクリートを打設していた。しかし、この方法では、鉄筋の組み立てや、型枠用板材の配設に熟練が必要であった。そこで、簡単に鉄筋を配設することができる方法が望まれていた。
本考案は、このような問題に基づきなされたものであり、簡単に鉄筋を配設することができる鉄筋配設部材及びそれを用いたコンクリート構造物を提供することを目的とする。
なお、特許文献1には、対向する型枠の間隔を一定に保持する間隔保持部材が記載されているが、型枠の間隔を保持するのみであり、鉄筋を配設するものではなく、本考案とは、構成が全く異なっている。
本考案の鉄筋配設部材は、対向して配設された一対の型枠の間に配設され、鉄筋を支持する支持部と、この支持部の両端部にそれぞれ設けられ、型枠に設けられた配設部の配設孔に対して挿入することにより支持部を型枠に対して配設する挿入部と、支持部の上部に設けられ、鉄筋を配設可能な凹部と、この凹部の開口を小さくするように突出して形成され、凹部に配設された鉄筋が凹部から外れてしまうことを防止する鉄筋係止部とを備えたものである。
本考案の鉄筋配設部材を一対の型枠の間に配設し、鉄筋配設部材に鉄筋を配設して、一対の型枠の間にコンクリートを打設することにより形成されたものである。
本考案によれば、支持部の両端部に、型枠に設けられた配設孔に対して挿入することにより支持部を型枠に対して配設する挿入部を設け、かつ、支持部の上部に鉄筋を配設可能な凹部を設けるようにしたので、鉄筋配設部材を一対の型枠の間に配設し、鉄筋配設部材の上に鉄筋を載せることにより、容易に鉄筋を配設することができる。また、凹部の開口を小さくするように突出させた鉄筋係止部を設けるようにしたので、一対の型枠の間に鉄筋を配設したのちに、コンクリートを打設する際に、コンクリートを掻き混ぜたりしても、鉄筋が凹部から外れてしまうことを防止することができる。
また、挿入部に、配設部に係止して挿入部が配設孔から外れてしまうことを防止する突起部を設けるようにすれば、コンクリートを打設する際に、コンクリートを掻き混ぜたりしても、挿入部が配設孔から外れてしまうことを防止することができる。
更に、凹部に、第1の太さの鉄筋に対応して設けられた第1湾曲部と、第1の鉄筋よりも太い第2の鉄筋に対応して設けられた第2湾曲部とを設けるようにすれば、太さの異なる複数の鉄筋に対応することができる。
以下、本考案の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本考案の一実施の形態に係る鉄筋配設部材10の構成を表すものである。図2は、図1に示した鉄筋配設部材10の型枠20に対する配設部分についての断面構造を表すものである。図3から図5は、図1に示した鉄筋配設部材10を型枠20に配設し、コンクリート構造物を形成する手順を表すものである。この鉄筋配設部材10は、例えば、一対の型枠20の間の間隔を保持しつつ、その一対の型枠20の間に鉄筋30を配設するためのものである。鉄筋配設部材10は、例えば、強化プラスチックなどのプラスチックにより構成されていることが好ましいが、金属により構成されていてもよい。
この鉄筋配設部材10は、対向して配設された一対の型枠20の間に配設され、鉄筋30を支持する支持部11と、この支持部11の両端部にそれぞれ設けられ、型枠20に設けられた配設部21の配設孔22に対して挿入することにより支持部11を型枠20に対して配設する挿入部12とを備えている。支持部11は、例えば、一方向に伸長して形成されており、型枠20の対向方向に伸長して配設される。支持部11の幅は、例えば、伸長方向における中央部よりも両端部の方が広くなるように形成されていることが好ましい。強度を向上させることができるからである。
挿入部12は、例えば、支持部11の両端部下部に設けられ、型枠20の対向面に突出して設けられた配設部21に対して配設される。配設部21には、例えば、高さ方向に貫通して配設孔22が設けられており、挿入部12は、例えば、上から挿入されることにより配設される。挿入部12の基端部の周りには、例えば、配設孔22に対して挿入部12を挿入した時に、配設孔22を取り囲む配設部21の側壁を挿入する配設溝13が設けられていることが好ましい。また、挿入部12には、例えば先端部に、配設部21に係止して挿入部12が外れてしまうことを防止する突起部14が設けられていることが好ましい。コンクリートを打設する際に、コンクリートを掻き混ぜたりしても、挿入部12が配設孔22から外れてしまうことを防止することができるからである。突起部14は、外側に向かって突出するように設けられていることが好ましい。内側に向かって突出させる場合よりも強度を高くすることができるからである。
鉄筋配設部材10は、また、支持部11の上部に設けられ、鉄筋30を配設可能な凹部15と、この凹部15の開口を小さくするように突出して形成された鉄筋係止部16とを備えている。凹部15は、例えば、一対の型枠20の対向方向において間隔をあけて設けられた第1凹部15Aと第2凹部15Bとを1つの組として有していることが好ましい。鉄筋配設部材10を型枠20の高さ方向に複数配設し、高さ方向の位置に応じて、水平方向の鉄筋30を第1凹部15A又は第2凹部15Bに配設することにより、第1凹部15Aに配設された水平方向の鉄筋30と、第2凹部15Bに配設された水平方向の鉄筋30との間に、垂直方向の鉄筋30を挿入して配設することができるからである。
第1凹部15Aと第2凹部15Bとの間隔は、例えば、25mm以上35mm以下の範囲内であることが好ましい。25mmよりも狭いと垂直方向の鉄筋30を挿入することが難しく、35mmよりも広いと垂直方向の鉄筋30の配置が不安定となってしまうからである。なお、第1凹部15Aと第2凹部15Bとの間隔というのは、第1凹部15Aの中心位置と、第2凹部15Bの中心位置との間の距離である。また、本実施の形態では、1つの鉄筋配設部材10に、2組の第1凹部15Aと第2凹部15Bとを設ける場合について示したが、1組でもよく、3組以上でもよい。一対の型枠20の間隔に応じて決定される。
鉄筋係止部16は、凹部15に配設された鉄筋30が凹部15から外れてしまうことを防止するためのものである。鉄筋係止部16は、例えば、支持部11から突出して形成され、凹部15、具体的には第1凹部15A及び第2凹部15Bの開口を狭めるように設けられている。なお、鉄筋係止部16の上端部は、例えば、鉄筋30を挿入しやすくするために、開口を広げる方向に曲げられていることが好ましい。
また、凹部15、具体的には第1凹部15A及び第2凹部15Bは、第1の太さの鉄筋30に対応して設けられた第1湾曲部15Cと、第1の鉄筋30よりも太い第2の鉄筋30に対応して第1湾曲部15Cの上方に設けられた一対の第2湾曲部15Dとを有していることが好ましい。複数の太さの鉄筋30に対応することができるからである。例えば、第1湾曲部15Cを10mmの太さの鉄筋30に対応して形成し、第2湾曲部15Dを13mmの太さの鉄筋30に対応して形成すれば、10mmの太さの鉄筋30を用いる場合には、第1湾曲部15Cに当接させて鉄筋30を配設し、13mmの太さの鉄筋30を用いる場合には、第2湾曲部15Dに当接させて鉄筋30を配設することにより、より安定して鉄筋30を支持することができるからである。
この鉄筋配設部材10は、例えば、次のようにして用いられ、コンクリート構造物が形成される。まず、例えば図3に示したように、対向して配設された一対の型枠20の間に鉄筋配設部材10を配設する。具体的には、型枠20の対向面に設けられた配設部21に形成された配設孔22に対して、支持部11の両端部に設けられた挿入部12をそれぞれ挿入することにより、鉄筋配設部材10を配設する。なお、型枠20は、コンクリート打設後に取り外さずに、そのまま、断熱部材等として使用するものが好ましい。
また、鉄筋配設部材10は、例えば図4に示したように、型枠20の横方向及び高さ方向において間隔を開けて複数ずつ配設する。その際、必要に応じて、鉄筋配設部材10の凹部15、例えば、1つの組の第1凹部15A及び第2凹部15Bのうちのどちらか一方に水平方向の鉄筋30を載せて配設する。型枠20は、形成するコンクリート構造物の大きさに応じて横方向及び高さ方向に連結して配設し、それぞれについて、同じようにして、鉄筋配設部材10及び水平方向の鉄筋30を配設する。
なお、水平方向の鉄筋30は、型枠20を必要な高さまで積層して高さ方向から見た時に、高さ方向において同じ位置に並んでいる1つの組の第1凹部15Aと第2凹部15Bの両方に、少なくとも1つずつ配設されていることが好ましい。次いで、例えば、鉄筋配設部材10の近傍において、第1凹部15Aに配設した水平方向の鉄筋30と、第2凹部15Bに配設した水平方向の鉄筋30との間に、垂直方向の鉄筋30を挿入して配設する。
そののち、一対の型枠20の間にコンクリートを打設する。鉄筋配設部材10及び鉄筋30は、コンクリートの中に埋設される。その際、一対の型枠20の間にコンクリートを流し込んで掻き混ぜたりしても、本実施の形態によれば、凹部15の開口を狭めるように鉄筋係止部16が設けられているので、凹部15に配設した水平方向の鉄筋30が凹部15から外れてしまうことが防止される。また、挿入部12に突起部14を設けるようにすれば、挿入部12が配設孔22から外れてしまうことも防止される。これにより、コンクリート構造物が得られる。
このように本実施の形態によれば、支持部11の両端部に、型枠20に設けられた配設孔22に対して挿入することにより支持部11を型枠20に対して配設する挿入部12を設け、かつ、支持部11の上部に鉄筋30を配設可能な凹部15を設けるようにしたので、鉄筋配設部材10を一対の型枠20の間に配設し、鉄筋配設部材10の上に鉄筋30を載せることにより、容易に鉄筋30を配設することができる。また、凹部15の開口を小さくするように突出させた鉄筋係止部16を設けるようにしたので、一対の型枠20の間に鉄筋30を配設したのちに、コンクリートを打設する際に、コンクリートを掻き混ぜたりしても、鉄筋30が凹部15から外れてしまうことを防止することができる。
また、挿入部12に、配設部21に係止して挿入部12が配設孔22から外れてしまうことを防止する突起部14を設けるようにすれば、コンクリートを打設する際に、コンクリートを掻き混ぜたりしても、挿入部12が配設孔22から外れてしまうことを防止することができる。
更に、凹部15に、第1の太さの鉄筋30に対応して設けられた第1湾曲部15Cと、第1の鉄筋30よりも太い第2の鉄筋30に対応して設けられた第2湾曲部15Dとを設けるようにすれば、太さの異なる複数の鉄筋30に対応することができる。
以上、各実施の形態を挙げて本考案を説明したが、本考案は上記各実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記各実施の形態では、各構成要素について具体的に説明したが、全ての構成要素を備えていなくてもよく、また、他の構成要素を備えていてもよい。
10…鉄筋配設部材、11…支持部、12…挿入部、13…配設溝、14…突起部、15…凹部、15A…第1凹部、15B…第2凹部、15C…第1湾曲部、15D…第2湾曲部、16…鉄筋係止部、20…型枠、21…配設部、22…配設孔、30…鉄筋
Claims (4)
- 対向して配設された一対の型枠の間に配設され、鉄筋を支持する支持部と、
この支持部の両端部にそれぞれ設けられ、前記型枠に設けられた配設部の配設孔に対して挿入することにより前記支持部を前記型枠に対して配設する挿入部と、
前記支持部の上部に設けられ、鉄筋を配設可能な凹部と、
この凹部の開口を小さくするように突出して形成され、前記凹部に配設された鉄筋が前記凹部から外れてしまうことを防止する鉄筋係止部と
を備えたことを特徴とする鉄筋配設部材。 - 前記挿入部には、前記配設部に係止して前記挿入部が配設孔から外れてしまうことを防止する突起部が設けられたことを特徴とする請1記載の鉄筋配設部材。
- 前記凹部は、複数の太さの鉄筋に対応できるように、第1の太さの鉄筋に対応して設けられた第1湾曲部と、第1の鉄筋よりも太い第2の鉄筋に対応して第1湾曲部の上方に設けられた一対の第2湾曲部とを有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の鉄筋配設部材。
- 請求項1から請求項3のいずれか1に記載の鉄筋配設部材を一対の型枠の間に配設し、前記鉄筋配設部材に鉄筋を配設して、前記一対の型枠の間にコンクリートを打設することにより形成されたことを特徴とするコンクリート構造物。
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