JP3194663B2 - 巻取りロールフィルムの熱処理方法及びその方法で熱処理した写真感光材料用支持体 - Google Patents

巻取りロールフィルムの熱処理方法及びその方法で熱処理した写真感光材料用支持体

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高分子フィルム特に両耳
部にナーリングを施したロールフィルムの熱処理方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】高分子フィルム、特にポリエステル系フ
ィルムはその製造工程において受けた残留歪を解除する
ために熱処理を行うが、これをアニーリング処理といっ
ている。このアニーリング処理は巻取ったロールフィル
ムを高温の恒温室内に一定時間以上保存する方法か、又
は連続炉中で低速度で処理する方法が行なわれている。
この工程においてロールフィルムが不均一に加熱される
と、巻芯との関係において巻締、巻皺、巻ベコ、その他
巻取りロールフィルムの保存の長時間等の問題点を生じ
る。それらの問題に対処し、巻芯よりの影響を緩和する
ために、巻芯に熱膨張率が巻取ったフィルムより以下の
フィルムを内巻きにする方法(特開平4−247321
号公報参照)、熱処理の方法として製造の巻き取り時に
誘電加熱を用いて巻形が変化するロール面より等しい距
離から加熱を行い、又巻き圧を調節する装置(特公昭5
2−14451号公報参照)、巻取りロールフィルムの
両端部にスペーサをはさんでフィルムを巻取る前に加熱
処理炉内で加熱し、巻取った後熱処理炉に所定時間保持
する方法(特公平5−19899号公報参照)等があ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
4−24731号公報に記載の方法は内巻きという余分
なものが必要となり、そのため設備,材料,作業上不利
であり、特公昭52−14451号公報記載の装置は設
備が高価複雑であり、かつ特公平5−19899号公報
に記載の方法はスペーサとフィルムとの間に隙間が介在
するので、フイルム間の空気が漏れて、巻皺,巻ベコ等
への効果が不充分であった。
【0004】本発明の目的は上記問題点を解消し、余分
な設備,材料,作業等は不要で、複雑な設備が不要で、
巻皺,巻ベコ等に効果が充分な、アニーリングが大量に
処理出来る巻取ロールフィルムの熱処理方法を提供する
ことにある。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明の上記目
的は、 高分子フィルムの両端部にナーリングを施して巻取
り、該巻取りロールフィルムのアニーリング処理を行う
巻取りロールフィルムの熱処理方法において、前記ナー
リング部分に粘着パッキング剤を塗布し、巻取時の空気
を巻取フィルム層間に閉じ込め、該巻取フイルム層間を
空気により非接触にして、アニーリング恒温室に入れる
ことを特徴とする巻取りロールフィルムの熱処理方法。 前記巻取り直前に前記高分子フィルムを加熱ゾーン
を通過させ、加熱した高分子フィルムを巻取ることを特
徴とする前記記載の巻取りロールフィルムの熱処理方
法 前記巻取りに用いる巻芯が、表面に多数の細孔を有
する中空円筒形であり、該中空円筒表面より高温加圧空
気をフィルムに対し吹出すことを特徴とする前記又は
記載の巻取りロールフィルムの熱処理方法 前記高分子フィルムとして、ポリエチレンテレフタ
レート及びポリエチレンナフタレートのうちいずれかの
フィルムを用い、前記ないしのいずれかに記載の方
法で熱処理したことを特徴とする写真感光材料用支持
体。によって達成される。
【0006】本発明に用いる高分子フィルムの材質とし
ては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフ
タレート等のポリエステル、ボリエチレン、ポリスチレ
ン、ポリビニルアルコール、塩化ビニル、テフロン、塩
化ビニリデン、ナイロン、ポリプロピレン、ポリカーボ
ネート、ポリイミド、ポエアミドイミド、ポリカステル
イミド等がある。本発明は、これらのフィルムのうち、
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチンナフタレート
等のポリエステルフィルムを用いる場合に特に有用であ
る。
【0007】本発明においてナーリングを施すというこ
とは、フィルムの両耳部を凹凸を有するローラによって
両方から挟みフィルムの両耳部に凹凸部を作り、この凹
凸により巻取った隣接するフィルムがお互いに接触しな
いようにするためのもので、ローレットを施すとも言
う。ローレットは隣接する上下フィルム間に前記凹凸に
より少くともフイルム1枚〜2枚分の隙間を与へ、それ
によって上下フイルム間の接着を避けることが出来る
が、凹凸の隙間から層間の空気はフィルム外の環境とも
通気性を保つ。本発明におけるナーリング部分のパッキ
ング剤としては、いわばナーリングの凹凸間を埋めて層
間と環境との気密を保つためのもので、ナーリングの目
つぶし所謂パッキングに相当するものであって、接着性
はない。例えば一般に粘着テープに用いられる粘着剤で
よく、シリコンとシリコンゴムを配合した耐熱テープ用
の粘着剤や、NR(天然ゴム)に粘着付与樹脂を混ぜた
ものでもよい。
【0008】巻取時の空気を巻取フィルム層間に閉じこ
めるということは、巻取りフィルムの最終端はテープ等
で巻取りロールフイルムに密着せしめることをいう。本
発明において巻取り直前に前記高分子フィルムを加熱ゾ
ーンを通過させるということは、具体的には巻取前に加
熱ゾーンの箱体を有し、フィルムそのものに熱を与える
と同時にフィルムに付着している空気を温めて巻取るこ
とを意味する。その温度は高分子フィルムの材質によっ
て異なるが、好ましくは高分子フィルムのガラス転移転
以下で近い温度範囲が選ばれる。例えばポリエチレンテ
レフタレートの場合は60〜70℃が好ましいのに対し
て、ポリエチレンナフタレートの場合には100〜12
0℃が好ましい。 本発明において、巻芯が表面に多数
の細孔を有する中空円筒形であり、該中空円筒表面より
高温加圧空気、材料によって異なるが、凡そ60〜14
0℃の範囲、圧力としては100〜700kPaをフィ
ルムに対して吹出すということは、高温空気によって巻
取りロールの芯側内部が積極的に加熱されることを意味
し、それによってフィルム層間の空気は熱膨張し、上下
フイルムのお互いの接触がなくなることを意味する。
【0009】
【実施例】
(実施例−1)厚さ85〜100μmのポリエチレンテ
レフタレートフィルム、及びポリエチレンナフタレート
フィルムのそれぞれについて、図1に示すように、巻取
りロールフイルム1の両耳部にナーリング2を施し、該
ナーリング部2にパッキング剤3を塗布し、巻取時の空
気4を巻取フィルム層間に閉じこめ、該巻取層間を空気
により非接触にして、アニーリング恒温室に入れ、ポリ
エチレンテレフタレートについては60〜70℃、ポリ
エチレンナフタレートについては110〜120℃の温
度で、48〜72時間の熱処理を施した。フィルム層間
の空気は恒温室内の熱により加熱され、空気は熱膨張
し、フィルム層間の接触は減じられ、いずれのフィルム
の場合もシワ、ベコの発生を完全に防止できた。特にポ
リエチレンナフタレートの場合には、カール挙動につい
ても効果が見られ、巻取りロールの状態から、平面に戻
した時の平面性が良く、写真感光材料用の支持体として
優れたカールの回復性を持つことが分かった。フィルム
を巻取る際、フィルム自身が加熱され、更に加熱された
空気がフイルム間に封じこまれると尚好ましい。
【0010】(実施例−2)図2に示すように、実施例
−1に更に巻芯に実施例−1と同じフィルム及び条件範
囲で熱処理を行った。中空孔明巻芯5を用い、該中空円
筒表面より高温加圧空気6をフィルムに対し吹出すこと
によって、フィルム層間の空気4は確実に加熱され膨張
し、それによってウエブ間の接触がなくなり結果とし
て、シワ、ベコ等の発生が完全に防止される等、実施例
−1と同様の効果が得られた。
【0011】
【発明の効果】本発明の巻取りロールフィルムの熱処理
方法によりロールフィルムの層間の空気が加熱により膨
張し、フィルム間が接触しなくなり、シワやひずみや傷
がなく均一な熱処理が可能となり、且大量のバルクロー
ルの処理が可能となる。例えば、写真感光材料用支持体
の高分子フィルムに用いられるポリエチレンテレフタレ
ートフィルム、及びポリエチレンナフタレートフィルム
に適用して、平面性が優れ、乳剤の均一塗布に適した支
持体を得ることができる。特にポリエチレンナフタレー
トの場合はカールの回復性の改良効果もあることが分か
った。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の巻取りロールフィルムの熱処理方法の
一実施例の部分正面断面図
【図2】本発明の巻取りロールフィルムの熱処理方法の
他の一実施例の部分正面断面図
【符号の説明】
1 巻取りロールフィルム 2 ナーリング部 3 パッキング剤 4 フィルム層間空気 5 中空孔明巻芯 6 高温・高圧空気
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−101421(JP,A) 特開 昭60−82338(JP,A) 特開 平6−175282(JP,A) 特開 平4−247321(JP,A) 特開 昭50−95374(JP,A) 特公 平5−19899(JP,B2) 特公 昭52−14451(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 71/00 - 71/04 C08J 7/00 B29C 59/00 - 59/18 B65H 75/00 - 75/50

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子フィルムの両端部にナーリングを
    施して巻取り、該巻取りロールフィルムのアニーリング
    処理を行う巻取りロールフィルムの熱処理方法におい
    て、前記ナーリング部分にパッキング剤を塗布し、巻取
    時の空気を巻取フィルム層間に閉じこめ、該巻取フイル
    ム層間を空気により非接触にして、アニーリング恒温室
    に入れることを特徴とする巻取りロールフィルムの熱処
    理方法。
  2. 【請求項2】 前記巻取り直前に前記高分子フィルムを
    加熱ゾーンを通過させ、加熱した高分子フィルムを巻取
    ることを特徴とする請求項1記載の巻取りロールフィル
    ムの熱処理方法。
  3. 【請求項3】 前記巻取りに用いる巻芯が、表面に多数
    の細孔を有する中空円筒形であり、該中空円筒表面より
    高温加圧空気をフィルムに対し吹出すことを特徴とする
    請求項1又は2記載の巻取りロールフィルムの熱処理方
    法。
  4. 【請求項4】 前記高分子フィルムとして、ポリエチレ
    ンテレフタレート及びポリエチレンナフタレートのうち
    いずれかのフィルムを用い、請求項1ないし3のいずれ
    かに記載の方法で熱処理したことを特徴とする写真感光
    材料用支持体。
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