JP3193069B2 - 電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造方法 - Google Patents

電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造方法

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JP3193069B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミニウム箔の表面
欠陥を均一にコントロールする電解コンデンサ用アルミ
ニウム箔の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高圧電解コンデンサの陽極アルミニウム
箔は、アルミニウム地金の溶解から始まり、鋳造、均質
化処理、熱間圧延、冷間圧延、最終焼鈍の工程で作られ
る。これらの工程のうち、最終焼鈍は(100)面の結
晶方位を揃えるための工程であり、通常、厚い酸化皮膜
が形成されないように真空もしくは非酸化性雰囲気で行
っている。その後、必要に応じ酸化皮膜の厚みを調整す
るため、酸化処理を施す場合もある。このように、酸化
皮膜の厚みについては配慮されているが、欠陥の分布に
ついては配慮されていない。したがって、最終焼鈍時に
形成された表面の酸化皮膜又は後処理としての酸化処理
時に形成された酸化皮膜の厚みのバラツキが表面欠陥の
バラツキとなる。表面欠陥が局部的に集中するとエッチ
ング開始点は不均一なものとなり、エッチング後の静電
容量が低下することがある。
【0003】陽極用のアルミニウム箔は、通常、塩素イ
オンを含む水溶液中で電気化学的に、あるいは化学的に
エッチングされ、表面積は数十倍から数百倍に拡大され
る。直流エッチングによってトンネル状のピットが形成
され、エッチング後の表面積はエッチピットの密度と分
布に関係する。したがって、高い静電容量を得るために
はエッチピットの集中部を減らし、均一に分散させる必
要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、電解コンデ
ンサ用アルミニウム箔の表面欠陥の分布を均一にコント
ロールし、エッチング時にトンネル状ピットを均一に分
散させ、高い静電容量を得んとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するためには、最終焼鈍後の箔に伸びを与え、酸化皮膜
に欠陥を作ることにより、トンネルピットを分散させた
とき、高い静電容量が得られるという発見に基づくもの
である。
【0006】すなわち、本発明の構成は、アルミニウム
箔に450〜600℃の最終焼鈍を行った後に、圧延方
向の引張りを伸び率が0.1〜1%となるように与える
ことを特徴とする電解コンデンサ用アルミニウム箔の製
造方法である。
【0007】上記条件について説明すると、最終焼鈍後
に圧延方向に引張りを0.1%以上与えると、アルミニ
ウム箔表面の酸化皮膜の欠陥が適度に分散し、トンネル
ピットは均一に分布する。この反面、伸び率が1%を越
えると酸化皮膜の欠陥の分布は不均一なものとなり、ト
ンネルピットの集中部が生じる。
【0008】本発明により、アルミニウム箔表面の局部
的な欠陥を少なくし、トンネルピットの集中部を抑え、
エッチング後の静電容量を高く、しかも安定したものと
することができる。
【0009】
【実施例】以下、実施例と比較例により本発明を具体的
に説明する。99.99wt%のアルミニウムを通常の
製箔法にしたがって、鋳造、圧延工程を経て厚み0.1
mmの高純度アルミニウム箔を作製した。
【0010】得られた箔を580℃で5時間、アルゴン
ガス雰囲気中で焼鈍した後、アルミニウム箔を圧延方向
に伸び率が0.1〜2.0%となるように引張った。さ
らに上記の箔を1.9mol/リットルの塩酸と1.4
mol/リットルの硫酸からなる85℃の混酸中で、電
流密度300mA/cm2で80s直流エッチングした
後、0.6mol/リットルの塩酸と0.4mol/リ
ットルの硫酸からなる温度85℃の混酸中で電流密度5
0mA/cm2で600sの直流エッチングを行った。
【0011】このようにしてエッチングされた箔を80
℃、100g/リットルのホウ酸中で375Vに化成処
理し、LCRメーターにて静電容量を測定した。又、エ
ッチング初期のトンネルピット分布を80℃、1.5m
ol/リットルの塩酸中で200mA/cm2で5s直
流エッチングした後、レプリカSEM像により調査し
た。
【0012】本発明の特許請求の範囲内で作製した箔
は、図1に示すように8.0μF/10cm2を越える
高い静電容量を示す箔が得られることが明らかである。
【0013】80℃、1.5mol/リットルの塩酸中
において、200mA/cm2で5s直流エッチング
後、40Vで化成処理し、アルミニウムをヨウ素−メタ
ノールで溶解して、酸化皮膜のレプリカを45度方向か
ら観察したSEM像(傾斜45度)を図2〜4に示す。
図2は伸び率0%の場合で、図3は伸び率0.3%で、
図4は伸び率2.0%でそれぞれ引張った場合である。
図3の箔は、図2の箔よりもトンネルピットが均一に分
布した。しかし、図4の箔ではトンネルピットの集中部
が多くみられるようになり、トンネルピットの長さは全
体的に短かった。
【0014】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば高
い静電容量を有する高圧電解コンデンサの陽極箔を確実
に安定して作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アルミニウム箔のコイル圧延方向の伸び率と3
75V化成時の静電容量との関係を示すグラフである。
【図2】伸び率0%のときの箔の表面組織を示す顕微鏡
写真である。
【図3】伸び率0.3%のときの箔の表面組織を示す顕
微鏡写真である。
【図4】伸び率2.0%のときの箔の表面組織を示す顕
微鏡写真である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C22F 1/00 682 C22F 1/00 682 685 685Z 691 691B 694 694A (56)参考文献 特開 昭60−63359(JP,A) 特開 昭62−149858(JP,A) 特開 昭55−5102(JP,A) 特開 平3−20610(JP,A) 特開 昭61−135408(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22F 1/04 - 1/057 B21B 1/40 H01G 9/055 B21C 37/02 B21D 33/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム箔に450〜600℃の最
    終焼鈍を行った後に、圧延方向の引張りを伸び率が0.
    1〜1%となるように与えることを特徴とする電解コン
    デンサ用アルミニウム箔の製造方法。
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