JP3193061B2 - 天然型抗腫瘍性又は抗ウイルス性物質およびその用途 - Google Patents

天然型抗腫瘍性又は抗ウイルス性物質およびその用途

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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、医薬の分野で有用であり、腫瘍細胞・ウイ
ルスの増殖を阻害し、抗腫瘍効果・抗ウイルス効果を発
揮する天然由来の新規化合物、その製造法、その用途及
びその産生細胞に関する。
更に詳細には、本発明は、ヒト胎盤脱落膜由来の細胞
株、代表的にはTTK−1細胞からさらにクローニングさ
れたCD57陽性、HLA.DR強陽性のヒト型ナチュラルサップ
レッサー(NS)細胞「CD57+HLA−DRbrightNS cell li
ne(TTK−1)」(以下、「NS細胞」と略記する。)の
培養生産物、その製造方法、その用途及び当該NS細胞に
関するものである。
背景技術 癌化学療法の分野では、ブレオマイシン(Bleomyci
n)及びアドリアマイシン(Adriamycin)等の多くの微
生物代謝産物を臨床的に応用することが試みられ、また
これらは実際に臨床において使用されている。
しかしながら、種々の腫瘍に対してその効果は必ずし
も充分ではなく、また、臨床上これらの薬剤に対する腫
瘍細胞の耐性現象が明らかにされるにつれ、その臨床的
応用性は複雑化している[第47回日本癌学会総会記事、
12頁〜15頁(1988年)参照]。
一方、胎仔に対する母系の免疫反応は、一次的には脱
落膜組織で制御されており、NK細胞マーカーを有する大
顆粒性リンパ球(LGL)に属する大群の細胞集団が初期
妊娠のヒトを含む哺乳動物の脱落膜層に集積しているこ
とが明らかにされている(森等、イミュノモルキュラー
メカニズム イン マンマリアン インプランティシ
ョン、エンドクリン、J.41(サプリメント):S17[Mor
i,T et.al,Immunomolecular mechanisms in mammalian
implantation.Endocrine.J.41(Suppl):S17.])。
このLGLに属するNS細胞は、マウスにおいてはWGAレク
チンに対するレセプターを有し、ヒトにおいてはCD57の
糖鎖マーカーを有するため、免疫T細胞、B細胞、マク
ロファージーとは、異なる細胞群であることが知られて
いる。
その機能はMHC−非拘束性にマイトジェンによるリン
パ球の分裂反応や混合リンパ球反応等のリンパ球分裂反
応を強力に抑制することから、更にNS細胞は癌細胞の分
裂を抑制する機能を有していると報告されている(Tild
en等、ジャーナル オブ イムノロジー 130巻、1171
頁)。
しかしながら、NS細胞の免疫抑制作用、癌細胞増殖抑
制作用を司る原因物質については、TGF−βファミリー
の蛋白や分子量1万以下のリピッド様物質が指摘されて
いるが(クラーク等、ジャーナル オブ イムノロジ
ー、144巻、3008頁(Clark et.al.,J.Immunol)及び
(モルタリ等、ジャーナル オブ イムノロジー、144
巻、3037頁(Mortari et.al.,J.Immunol)、現在のとこ
ろ正確な構造と機能は全く不明で、その解明が望まれて
きた。
本発明の化合物と化学構造が近似する既存の抗腫瘍・
抗ウイルス効果を有する化合物としては、フルオロウラ
シル(Fluorouracil)(米国特許第2802005号及び同288
5396号)、ドキシフルリジン(Doxifluridine)(米国
特許第4071680号)、テガフール(Tegafur)(英国特許
第1168391号)、ジドブジン(Zidovudine;AZT)(ドイ
ツ国特許第3608606号)、ジダノシン(Didanosine;dd
I)(欧州特許公開第206497号公報)等が挙げられる。
しかしながら、これらの核酸系抗癌剤、抗ウイルス剤
は、効果が見込まれる腫瘍細胞・ウイルスの種類が限ら
れているのみならず、ヒトの正常細胞にも作用するた
め、細胞毒性が高くその副作用が社会問題化している。
発明の開示 本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みて
なされたものであり、その目的とするところは、既存の
抗腫瘍剤及び抗ウイルス剤が充分に効果を発揮できない
種類の癌及びウイルスを含めて有効性を有する物質をヒ
ト細胞代謝産物中に探索し、種々の耐性癌に対して制癌
作用及び抗ウイルス作用を有し、ヒト正常細胞を傷害し
ない副作用が低減された物質を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、鋭意研究を重
ねた結果、NS細胞株がK562,Molt4,U937,BeWo,GCIYヒト
がん細胞のアポトーシスによる細胞死を誘導し、がん細
胞の分裂反応を抑制し、更に、この細胞株が分泌するア
ポトーシスによるがん細胞死を誘導する核酸系物質(AI
Fと命名)を見出し、分離、精製し、構造決定を行っ
た。そして、これらの物質が全く新しい発想による副作
用の少ない天然型の制癌剤、抗ウイルス剤およびその他
の医薬品として応用開発が可能であると考えられた。
本発明者らは、式(1)の化合物を産生する能力を有
するヒト胎盤脱落膜由来のNS細胞を培養し、その培養液
(上清および細胞、特に上清)から式(1)の化合物を
採取し、要すれば医薬上許容される塩とすることによ
り、式(1) (式中のR1は、 で表わされる基、R2は、水素原子、水酸基又はメトキシ
基を示す。)で表される化合物又はその医薬上許容され
る塩を得、式(1)の化合物又はその医薬上許容される
塩が、ヒト癌細胞のアポトーシスによる細胞死を誘導
し、癌細胞の増殖反応を抑制し、抗腫瘍効果又は抗ウイ
ルス効果を有することを見出し、本発明を完成するに至
った。
即ち、本発明は、上記式(1)(式中のR1およびR2
は、上記と同じ定義である。)で表される抗腫瘍性若し
くは抗ウイルス性物質又はその医薬上許容される塩、そ
の製造法、上記式(1)の抗腫瘍性もしくは抗ウィルス
性物質またはその医薬として許容される塩を有効成分と
する医薬、上記化合物の医薬製造および治療への使用、
並びにCD57陽性、HLA.DR強陽性のヒト胎盤脱落膜由来の
NS細胞に関する。
図面の簡単な説明 図1は化合物P1のNMRチャートである。
図2は化合物P2のNMRチャートである。
図3は化合物P3のNMRチャートである。
図4は化合物P4のNMRチャートである。
図5は化合物P5のNMRチャートである。
図6は化合物P6のNMRチャートである。
図7はAIF(P1)のUVスペクトル、マススペクトルお
よび構造式を示す。
図8はAIF(P2)のUVスペクトル、マススペクトルお
よび構造式を示す。
図9はAIF(P3)のUVスペクトル、マススペクトルお
よび構造式を示す。
図10はAIF(P4)のUVスペクトル、マススペクトルお
よび構造式を示す。
図11はAIF(P5)のUVスペクトル、マススペクトルお
よび構造式を示す。
図12はAIF(P6)のUVスペクトル、マススペクトルお
よび構造式を示す。
図13は本発明のNS細胞株の位相差顕微鏡写真である。
図14(A〜G)はDNA断片化試験の結果を示す写真で
ある。
図15はNS細胞と標的細胞との間接共培養の結果を示す
グラフである。
図16(A,B)はAIFによる標的細胞の3H−チミジンの取
り込み抑制の結果を示すグラフである。
図17(A,B)はAIFによる標的細胞のDNA断片化試験の
結果を示す写真である。
図18(A〜C)はAIFのHPLCチャートである。
図19は3H−チミジンの取り込み抑制の結果を示すグラ
フである。
図20はAIFによる標的細胞のDNA断片化試験の結果を示
す写真(A〜C)である。
図21(A〜D)はAIFによる標的細胞のDNA断片化試験
の結果を示す写真である。
図22はAIFのヒト胃癌細胞に対する抑制効果を示すグ
ラフである。
図23はAIFによるヒト胃癌組織退縮の効果(A〜B)
およびDNA断片化試験の結果(C)を示す写真である。
図24はAIFのヒトT細胞白血病細胞に対する抑制効果
を示すグラフである。
発明を実施するための最良の形態 以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本明細書で言及する各種の用語及び定義につい
て説明する。
式(1)の化合物は、NS細胞株の培養上清中のアポト
ーシス インデューシング ファクター(AIF)を物理
・化学的方法による分離・精製により得られ、次式
(1) (式中のR1は、 で表わされる基、R2は、水素原子、水酸基又はメトキシ
基を示す。)で表される化合物で示されるが、これらは
逆相高速液体クロマトグラフィーによる活性分画に因ん
で、P1、P2、P3、P4、P5及びP6と命名される。
ここで、「P1、P2、P3、P4、P5及びP6」とは、具体的
には、それぞれ2′−デオキシウリジン、リボチミジ
ン、2′−O−メチルウリジン、チミジン、2′−O−
メチルイノシン及び2′−O−メチルグアノシンを意味
する。
即ち、式(1)において、R1及びR2がそれぞれ 以下に、本発明の代表的化合物の理化学的性状を示
す。
a)P1の理化学的性状 性状:無色結晶 分子式:C9H12N2O5 mp:165℃ マススペクトル:高分解能FAB−MS;m/z 229 [M+
1] UVスペクトル:λ[H2O(pH7.2),max,258.5nm]1 H−NMRスペクトル(300MHz,d−クロロホルム,δpp
m):図1にP1のNMRチャートを示す。
溶解性:メタノール、ジメチルスルホキシド等の有機溶
媒に溶け、水に溶ける。
酸性、中性、塩基性物質の区別:塩基性物質 薄層クロマトグラフィー(メルク社製、キーゼルゲル60
F254) Rf値:0.64[展開溶媒:クロロホルム/メタノール/水
(60:40:8)] 高速液体クロマトグラフィー カラム:TSKgel ODS−80TM4.6×150mm(トーソー社製) 移動相:0.1%トリフルオロ酢酸を含む水中に、0.1%ト
リフルオロ酢酸を含むアセトニトリルを濃度勾配5%/3
60分で増加させた系 流速:0.5ml/分 検出:UV214nm 保持時間:20分 b)P2の理化学的性状 性状:無色結晶 分子式:C10H14N2O6 mp:183〜185℃ マススペクトル:高分解能FAB−MS;m/z 259 [M+
1] UVスペクトル:λ[H2O(pH7),max,267nm]1 H−NMRスペクトル(300MHz,d−クロロホルム,δpp
m):図2にP2のNMRチャートを示す。
溶解性:メタノール、ジメチルスルホキシド等の有機溶
媒に溶け、水に溶ける。
酸性、中性、塩基性物質の区別:塩基性物質 薄層クロマトグラフィー(メルク社製、キーゼルゲル60
F254) Rf値:0.66[展開溶媒:クロロホルム/メタノール/水
(60:40:8)] 高速液体クロマトグラフィー カラム:TSKgel ODS−80TM4.6×150mm(トーソー社製) 移動相:0.1%トリフルオロ酢酸を含む水中に、0.1%ト
リフルオロ酢酸を含むアセトニトリルを濃度勾配5%/3
60分で増加させた系 流速:0.5ml/分 検出:UV214nm 保持時間:29分 c)P3の理化学的性状 性状:無色結晶 分子式:C10H14N2O6 mp:159℃ マススペクトル:高分解能FAB−MS;m/z 259 [M+
1] UVスペクトル:λ[H2O(pH7),max,263nm]1 H−NMRスペクトル(300MHz,d−クロロホルム,δpp
m):図3にP3のNMRチャートを示す。
溶解性:メタノール、ジメチルスルホキシド等の有機溶
媒に溶け、水に溶ける。
酸性、中性、塩基性物質の区別:塩基性物質 薄層クロマトグラフィー(メルク社製、キーゼルゲル60
F254) Rf値:0.72[展開溶媒:クロロホルム/メタノール/水
(60:40:8)] 高速液体クロマトグラフィー カラム:TSKgel ODS−80TM4.6×150mm(トーソー社製) 移動相:0.1%トリフルオロ酢酸を含む水中に、0.1%ト
リフルオロ酢酸を含むアセトニトリルを濃度勾配5%/3
60分で増加させた系 流速:0.5ml/分 検出:UV214nm 保持時間:40分 d)P4の理化学的性状 性状:無色結晶 分子式:C10H14N2O5 mp:185℃ マススペクトル:高分解能FAB−MS;m/z 243 [M+
1] UVスペクトル:λ[H2O(pH7),max,267nm]1 H−NMRスペクトル(300MHz,d−クロロホルム,δpp
m):図4にP4のNMRチャートを示す。
溶解性:メタノール、ジメチルスルホキシド等の有機溶
媒に溶け、水に溶ける。
酸性、中性、塩基性物質の区別:塩基性物質 薄層クロマトグラフィー(メルク社製、キーゼルゲル60
F254) Rf値:0.69[展開溶媒:クロロホルム/メタノール/水
(60:40:8)] 高速液体クロマトグラフィー カラム:TSKgel ODS−80TM4.6×150mm(トーソー社製) 移動相:0.1%トリフルオロ酢酸を含む水中に、0.1%ト
リフルオロ酢酸を含むアセトニトリルを濃度勾配5%/3
60分で増加させた系 流速:0.5ml/分 検出:UV214nm 保持時間:50分 e)P5の理化学的性状 性状:無色結晶 分子式:C11H14N4O5 mp:210〜212℃ マススペクトル:高分解能FAB−MS;m/z 283 [M+
1] UVスペクトル:λ[H2O(pH7),max,283nm]1 H−NMRスペクトル(300MHz,d−クロロホルム,δpp
m):図5にP5のNMRチャートを示す。
溶解性:メタノール、ジメチルスルホキシド等の有機溶
媒に溶け、水に溶ける。
酸性、中性、塩基性物質の区別:塩基性物質 薄層クロマトグラフィー(メルク社製、キーゼルゲル60
F254) Rf値:0.67[展開溶媒:クロロホルム/メタノール/水
(60:40:8)] 高速液体クロマトグラフィー カラム:TSKgel ODS−80TM4.6×150mm(トーソー社製) 移動相:0.1%トリフルオロ酢酸を含む水中に、0.1%ト
リフルオロ酢酸を含むアセトニトリルを濃度勾配5%/3
60分で増加させた系 流速:0.5ml/分 検出:UV214nm 保持時間:64分 f)P6の理化学的性状 性状:無色結晶 分子式:C11H15N5O5 mp:218〜220℃ マススペクトル:高分解能FAB−MS;m/z 298 [M+
1] UVスペクトル:λ[H2O(pH11,pH1)max,pH11で258nm、
pH1で256nm]1 H−NMRスペクトル(300MHz,d−クロロホルム,δpp
m):図6にP6のNMRチャートを示す。
溶解性:メタノール、ジメチルスルホキシド等の有機溶
媒に溶け、水に溶ける。
酸性、中性、塩基性物質の区別:塩基性物質 薄層クロマトグラフィー(メルク社製、キーゼルゲル60
F254) Rf値:0.59[展開溶媒:クロロホルム/メタノール/水
(60:40:8)] 高速液体クロマトグラフィー カラム:TSKgel ODS−80TM4.6×150mm(トーソー社製) 移動相:0.1%トリフルオロ酢酸を含む水中に、0.1%ト
リフルオロ酢酸を含むアセトニトリルを濃度勾配5%/3
60分で増加させた系 流速:0.5ml/分 検出:UV214nm 保持時間:83分 以下に、本発明の細胞株の細胞学的性質を示す。
1)細胞の形態:大顆粒性リンパ球(LGL) 2)細胞の由来:妊娠7週齢のヒト胎盤より分離した脱
落膜組織細胞 3)継代培養:永久増殖可能 4)生長因子要求性:ヒト正常子宮内皮細胞生長因子や
ヘパリンを含まない培地で増殖可能である。
5)細胞の維持・増殖条件・増殖依存性:本細胞株は一
般に36〜38℃、好ましくは37℃の温度条件下及びpH6.5
〜7.5好ましくは7.0の条件下で良好に維持増殖する。
6)細胞増殖能:本細胞の2×105個細胞/mlを上記培養
条件下で培養すると、3日後には少なくとも5×105
細胞/mlの密度に達する。
7)機能:エストロゲン及びプロゲステロンレセプター
を有さず、プロラクチンを分泌しないことより脱落膜間
質細胞ではない。核酸系機能物質を産生し、MLRやマイ
トゲン刺激によるリンパ球分裂反応を抑制する。
8)コロニーの形式:ペトリ皿上ではコロニーを形成す
るが、軟寒天中では形成しない。
9)凍結保存:−70℃〜−196℃できわめて長期間保存
可能である。
10)染色体の性状:メタセントリック 11)染色体分析による確認:ヒト組織由来の細胞 12)染色体数:99〜110、107〜108 13)細胞表面マーカー:CD57陽性、HLA−DR強陽性である
ことより免疫系細胞である。
14)維持・増殖用培地:10%FCS+RPMI−1640培養液又は
チミジンを除去した無血清培地において良好に維持増殖
する。
本発明の細胞株を得るには、例えば、次のような方法
を採用すればよい。即ち、ヒト胎盤脱落膜細胞を取得す
るには、例えば、ジャーナル・オブ・クリニカル・イン
ヴェスティゲーション(J.Clin.Invest.)第52巻、2745
頁−2756頁(1973年)に記載の方法に従って行なえばよ
い。その概要は、ヒト子宮内膜又は胎盤脱落膜(ヒト子
宮内組織であればいずれの組織でもよいが、例えば、胎
盤脱落膜部位は入手が容易で好適である。)をできるだ
け無菌的に採取し、洗浄後、トリプシン処理により細胞
を結合組織より分離して集めることによって得られる。
本発明で使用される細胞は、CD57陽性、HLA.DR強陽性
のヒト胎盤脱落膜由来の細胞であって、式(1)の化合
物を産生する能力を有するものであれば何れの細胞でも
よいが、好ましくはNS細胞又はそのクローン株若しくは
サブクローン株が挙げられる。本細胞株(NS)は、常法
により選択クローニング株化することにより得ることが
できる。
例えば、NS細胞を常法によりクローニングする際に、
式(1)の化合物産生量をチェックすることにより、式
(1)の化合物の産生能の高いクローン株を得ることが
できる。具体的には、予め1×105個のTTK−1細胞を限
界希釈法により、0〜1個細胞/ウェルになるように、
37℃、5%炭酸ガス存在下培養を重ね、式(1)の化合
物の産生能の高い細胞クローンを選択した。
なお、本発明の細胞株は通商産業省工業技術院生命工
学工業技術研究所(日本国茨城県つくば市東1丁目1番
3号)に寄託されており、その生命研受託番号はFERM
BP6350(原寄託日:平成9年5月19日)(国内寄託FERM
P−16233号より移管(移管日:平成10年5月13
日))である。
また、図13に本発明のNS細胞株(TTK−1)の位相差
顕微鏡写真(400倍)を示す。NS細胞株は自らラミニン
を分泌し培養基質に接着しLGL細胞株の形態を示した。
次に、本発明化合物の製造法を説明する。
ヒト胎盤脱落膜由来の細胞、代表的にはNS細胞を栄養
源含有培地に接種して好気的にCO2インキュベーター内
で培養させることにより、その培養液(上清および細
胞、好ましくは上清)から本発明の式(1)の化合物を
採取し、要すれば薬学的に許容しうる塩とすることによ
り製造することができる。
上記のように得られたヒト胎盤脱落膜由来のNS細胞
は、一般に動物細胞の培養に用いられる培地に必要に応
じて血清を加えたもの、具体的には20%牛胎児血清を含
む通常の細胞培養用培地で培養することができる。
該細胞培養用培地としては、例えば、BME培地、MEM培
地(アール、アルファ、ダルベッコ、High−GEM)、ハ
ム培地(F−10、F−12)、イスコフ培地、119培地、
L−15培地、マッコイ5A培地、NCTC135培地、ウイリア
ムスE培地、ウェイマウス培地等の該細胞の培養可能な
培地であれば、いずれの培地でもよいが、特にRPMI−16
40が好ましい。
培養方法は、一般の細胞株代謝産物の生産方法と同様
に行うことができ、固体培養でも液体培養でもよい。液
体培養の場合は、静置培養、攪拌培養、振盪培養、通気
培養等のいずれの培養方法を実施してもよいが、特に振
盪培養又は深部通気攪拌培養等が好ましい。該細胞を培
養するに当り、上記培地に数%、好ましくは5%程度の
炭酸ガスを含有させることが好ましい。
かかる培地のpHは、6〜8であり、特に中性付近が好
都合である。培養は、30〜40℃で可能であり、特に、37
℃付近が好ましい。培養時間は使用する培地、pH、温度
条件等により一概にはいえないが、通常、4〜5日の培
養により、該細胞は継代することができる。
培養液から目的とする式(1)の化合物を採取するに
は、微生物の生産する代謝物の培養物から採取するのに
通常使用される分離手段が適宜利用される。
生成した式(1)の化合物は、公知の単離・精製法、
例えば溶媒抽出法、イオン交換樹脂法、吸着又は分配ク
ロマトグラフィー法、ゲル濾過法等を単独又は組合せて
行うことにより精製することができる。
培養濾液より通常の分離手段、また逆相高速液体クロ
マトグラフィーや薄層クロマトグラフィーなども抽出精
製に適宜利用可能である。例えば、シリカゲルカラムク
ロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ア
フィニティークロマトグラフィー、逆相高速液体クロマ
トグラフィーを適宜組合せることにより高度に精製する
ことができる。
後述するように(「本発明の有用性の確認」の項)、
本発明化合物は、ヒトをはじめとする哺乳動物の腫瘍及
びウイルス性疾患の治療剤等の医薬として期待される。
なお、本発明化合物は、生体内でリン酸化されて薬理
作用を示す可能性があるが、かかるリン酸化合物も本発
明の範囲内に含まれるのは言うまでもない。
本発明化合物の治療効果が期待される好適な腫瘍とし
ては、例えば、ヒトの血液癌のみならず、一般の胃、大
腸癌等の消化器系癌、肺癌等の呼吸系器癌、卵巣癌、絨
毛癌等の生殖系癌などの上皮性癌が挙げられる。
本発明化合物の治療効果が期待される好適なウイルス
としては、例えば、ヒトのレトロウイルス系のHTLV、HI
V等が挙げられる。
本発明の式(1)の化合物は、抗腫瘍剤又は抗ウイル
ス剤として使用される場合には、その医薬上許容される
塩としても使用することができる。
式(1)で表される本発明の化合物の無毒性塩として
は、例えば塩酸、硝酸、硫酸若しくはリン酸等の無機酸
との塩、酢酸、クエン酸若しくは酒石酸等の有機酸との
塩、メタンスルホン酸若しくはp−トルエンスルホン酸
等の有機スルホン酸との塩又はアスパラギン酸、グルタ
ミン酸若しくはリジン等のアミノ酸との塩が挙げられ
る。
本発明の化合物の医薬上許容しうる塩の製造法は、有
機合成化学分野で通常用いられる方法を適宜組み合わせ
て行うことができる。具体的には、本発明化合物の遊離
型の溶液を酸性溶液で中和滴定すること等が挙げられ
る。
本発明化合物を抗腫瘍剤又は抗ウイルス剤として使用
する際の投与形態としては各種の形態を選択でき、例え
ば錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、液剤等の経口剤、
例えば溶液、懸濁液等の殺菌した液状の非経口剤等が挙
げられる。本発明の製剤は、本発明化合物(1種または
複数種)を有効成分として含み、必要に応じて単体、希
釈剤もしくは賦形剤など通常の種々の添加物を含むこと
ができる(医薬組成物)。
固体の製剤は、そのまま錠剤、カプセル剤、顆粒剤又
は粉末の形態として製造することもできるが、適当な添
加物を使用して製造することもできる。
該添加物としては、例えば乳糖、ブドウ糖等の糖類、
例えばトウモロコシ、小麦、米等の澱粉類、例えばステ
アリン酸等の脂肪酸、例えばメタケイ酸ナトリウム、ア
ルミン酸マグネシウム、無水リン酸カルシウム等の無機
塩、例えばポリビニルピロリドン、ポリアルキレングリ
コール等の合成高分子、例えばステアリン酸カルシウ
ム、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸塩、例えばス
テアリルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコー
ル類、例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセル
ロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル
セルロース等の合成セルロース誘導体、その他、水、ゼ
ラチン、タルク、植物油、アラビアゴム等通常用いられ
る添加物等が挙げられる。
これらの錠剤、カプセル剤、顆粒剤、粉末等の固形製
剤は、一般的には0.1〜100重量%、好ましくは5〜100
重量%の有効成分を含むことができる。
液状製剤は、水、アルコール類又は例えば大豆油、ピ
ーナツ油、ゴマ油等の植物由来の油等液状製剤において
通常用いられる適当な添加物を使用し、懸濁液、シロッ
プ剤、注射剤等の形態として製造することができる。
特に、非経口的に筋肉内注射、静脈内注射、皮下注
射、腫瘍内注射で投与する場合の適当な溶剤としては、
例えば注射用蒸留水、塩酸リドカイン水溶液(筋肉内注
射用)、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、エタノール、静
脈内注射用液体(例えばクエン酸、クエン酸ナトリウム
等の水溶液)、電解質溶液(例えば点滴静注、静脈内注
射用)等又はこれらの混合溶液が挙げられる。
また、これらの注射剤は予め溶解したものの他、粉末
のまま又は適当な添加物を加えたものを用時溶解する形
態もとることができる。これらの注射液は、通常0.1〜1
0重量%、好ましくは1〜5重量%の有効成分を含むこ
とができる。
経口投与の懸濁剤又はシロップ剤等の液剤は、0.5〜1
0重量%の有効成分を含むことができる。
本発明の製剤は、有効成分として本発明化合物の1種
または複数種を含むことができ、有効成分の好ましい例
は、本発明の代表的化合物P1〜P6の1種、より好ましく
は2〜6種の組合せである。
本発明の化合物の実際に好ましい投与量は、使用され
る化合物の種類、配合された組成物の種類、適用頻度及
び治療すべき疾患部位及び患者の病状によって適宜増減
することができる。
例えば、一日当りの成人一人当りの投与量は、経口投
与の場合、10ないし500mgであり、非経口投与、好まし
くは静脈内注射の場合、1日当り10ないし100mgであ
る。なお、投与回数は、投与方法及び症状により異なる
が、単回又は2ないし5回に分けて投与することができ
る。
本発明の有用性の確認 〔概要〕 ヒトの胎盤脱落膜組織に由来したCD57陽性、HLA.DR強
陽性ナチュラルサプレッサー(NS)細胞株はK562,Molt
4,U937,GCIY,BeWo等ヒトガン細胞のアポトーシスを誘導
し、それらの細胞の増殖を抑制する。アポトーシス誘導
物質(AIF)はNS細胞株培養上清中に産生、放出され
る。そこで、NS細胞の産生するAIFを物理、化学的方法
を持って、分離、精製した。AIFの活性測定は細胞への3
Hチミジンの取り込み能とDNA断片化法で行った。先ず、
NS細胞株の培養上清中のAIFの分離はC18カラムに吸着さ
せて溶出した。この粗抽出物を薄層クロマトグラフィー
(TLC)に展開し、活性分画を逆相高速液体クロマトグ
ラフィー(HPLC)で精製、純化した。
HPLCで得られた六つのピークに由来するコンポーネン
ト(P1−P6)はK562,Molt4,U937,GCIY,BeWoガン細胞の
細胞死と増殖抑制を誘導したがヒト胎児肺由来の正常WI
−38細胞は全く傷害しなかった。この六つのAIFの物
理、化学的性質は核酸またはその誘導体であることが示
唆され、実際、FAB−MS,NMRで構造解析をしたところP1
は2′−デオキシウリジン、P2はリボチミジン、P3は
2′−O−メチルウリジン、P4はチミジン、P5は2′−
O−メチルイノシン、P6は2′−O−メチルグアノシン
であった。これらの6種類のAIFをヒトがん組織を移植
したマウスに投与した動物実験においても著明な腫瘍退
縮効果をみとめた。
〔確認試験〕
HPLCで最終的に分離、生成したAIFを標的がん細胞に
添加して試験管内のアポトーシス誘導能を検討する(試
験管内実験)と共に、がん細胞を接種したSCIDマウスで
のAIFによる治療効果を検討した(動物実験)。
[I]試験管内実験 次に、本発明の有用性を示すために、まず本発明に係
る代表例のNS細胞株と代表的な各種ヒト由来の癌細胞を
標的細胞として使用して、直接又は間接の共培養による
相互作用を測定した。使用した細胞は下記の通りであ
る。
(1)NS細胞株(TTK−1)(ヒト胎盤脱落膜由来細胞
株) 妊娠7週齢のヒト胎盤脱落膜組織細胞の培養から株化
した細胞でありCD57陽性、HLA−DR強陽性の骨髄リンパ
系組織由来の自然免疫抑制細胞である。
(2)Molt4(ヒトT細胞性白血病細胞株) (3)K562(ヒト赤芽球性白血病細胞株) (4)U937(ヒト組織球性白血病細胞株) (5)GCIY(ヒト胃がん細胞株) (6)BeWo(ヒト絨毛がん細胞株) (7)WI−38(ヒト胎児肺組織由来正常細胞株) 以上の細胞は、10%FCS+PRMI−1640培養液又はチミ
ジンを除去した無血清培地で5%CO2、37℃インキュベ
ーター内で培養を継代したものである。
試験例1:NS細胞株とMolt4/K562/U937/GCIY/BeWo/WI−38
標的細胞の直接共培養試験(直接反応) 直接共培養試験: NS、Molt4(ヒトT細胞性白血病細胞株)、K562(ヒ
ト赤芽球性白血病細胞株)、U937(ヒト組織球性白血病
細胞株)、GCIY(ヒト胃がん細胞株)、BeWo(ヒト絨毛
がん細胞株)及びWI−38(ヒト胎児肺組織由来正常細胞
株)を使用し、24ウエルのプレートに培養液2mlずつNS
(104、105、106)とMolt4/U937/GCIY/BeWo/WI−38細胞
(106)とを24時間から48時間直接共培養した。
NS細胞株と標的細胞間の直接相互作用(共培養)の結
果、24時間後に細胞のDNAを抽出し、2%アガロースゲ
ル上で電気泳動を行った。
その結果、図14Aに示すように、レーン1、2、3はN
S細胞数それぞれ104、105、106/ウエルとMolt4 106/ウ
エル間の共培養で標的細胞におけるDNA断片化の程度は
接種したNS細胞数の増加に依存し上昇した。
一方、レーン4ではNS 106/ウエルのみ、レーン5で
はMolt4 106/ウエルのみの場合はDNA断片化は認められ
なかった。MレーンはDNAのサイズを示すマーカーであ
る。
図14Bに示すように、レーン1、2、3はNS細胞数が
それぞれ104、105、106/ウエルとK562 106/ウエル間の
共培養で標的細胞におけるDNA断片化の程度は接種したN
S細胞数の増加に依存し上昇した。
一方、レーン4はK562 106/ウエルのみ、レーン5で
はNS 106/ウエルのみの場合はDNA断片化は認められな
かった。
図14Cに示すように、レーン1、2、3はK562細胞及
びMolt4細胞それぞれ106、105、104/ウエル間の共培養
で、レーン4はMolt4 106/ウエルのみ、レーン5はK56
2 106/ウエルのみの場合はいずれもDNA断片化は惹起さ
れなかった。
図14Dに示すように、レーン1、2、3はNS細胞数が
それぞれ104、105、106/ウェルとBeWo 106/ウェル間の
共培養で標的細胞におけるDNA断片化の程度は接種したN
S細胞数の増加に依存し上昇した。一方、レーン4ではN
S 106/ウェルのみ、レーン5はBeWo 106/ウェルの
み、レーン6はBeWo 106/ウェルとGCIY 106/ウェル間
の共培養、レーン7はGCIY 106/ウェルのみの場合はい
ずれもDNA断片化はみとめられなかった。
図14Eに示すように、レーン1、2、3、4はNS細胞
数それぞれ103、104、105、106/ウエルとU937 106ウエ
ル間の共培養で標的細胞におけるDNA断片化の程度は接
種したNS細胞数の増加に依存し上昇した。
一方、レーン7はMolt4 106ウエルとU937 106/ウエ
ル間の共培養で、レーン8はMolt4 106/ウエルのみ、
レーン6はU937 106/ウエルのみ、レーン5はNS 106/
ウエルのみの場合はDNA断片化は惹起されなかった。
図14Fに示すように、レーン1、2、3はNS細胞数そ
れぞれ104、105、106/ウエルとGCIY 106/ウエル間の共
培養で標的細胞におけるDNA断片化の程度は接種したNS
細胞数の増加に依存し上昇した。
一方、レーン4はGCIY 106/ウエルのみ、レーン5は
NS 106/ウエルのみの場合はDNA断片化は認められなか
った。
図14Gに示すように、レーン1、2、3はNS細胞数そ
れぞれ104、105、106/ウエルとWI−38 106/ウエル間の
共培養で標的細胞は接種したNS細胞数の増加にもかかわ
らずDNA断片化が認められなかった。レーン4はWI−38
106/ウエルのみ、レーン5はNS 106/ウエルのみの場
合はDNA断片化は惹起されなかった。
即ち、NS細胞とMolt4,K562,Bewo、U937,GCIY細胞間の
相互作用(共培養)の結果、24時間後に標的細胞のDNA
断片化が認められた。また、標的細胞におけるDNA断片
化の程度は接種したNS細胞数の増加に依存していた。
一方、DNA断片化はK562とMolt4細胞間共培養、あるい
はMolt4とU937細胞間、またBewoとGCIY細胞間共培養で
はいずれも惹起されなかった。また、NS細胞とWI−38正
常細胞間の共培養でもDNA断片化は認められなかった。
これは、NS細胞株はヒト正常細胞を傷害しないことを示
している。つまり、NS細胞株はヒトがん細胞の特異的な
アポトーシス(DNA断片化)による細胞死をもたらした
といえる。
試験例2:NS細胞と標的K562/Molt4細胞をチャンバー内へ
入れた間接相互作用(間接共培養) 間接共培養試験: ウエル中に底部がフィルター状(0.45μm径)になっ
た細胞間反応用のカルチャーチャンバーをはめ込み内部
にMolt4/K562(104)細胞を分注する。
3日間5%CO2、37℃の条件下で培養を行った後、標
的細胞を採取し、3Hチミジンの取り込み放射能法、トリ
パンブルー取り込み染色法、DNA断片化法を行い、細胞
間相互作用の結果を測定した。
この系では接種したNS細胞数の増加に伴って72時間後
にはチャンバー内の標的がん細胞数の減少が認められた
(図15)。
この実験結果は、チャンバーのミリポアー膜を通して
低分子の可溶性の標的がん細胞死をもたらす物質がNS細
胞株より産生されていることを示すものである。
試験例3:薄層クロマトグラフィー(TLC)で粗抽出したA
IFによる標的細胞の3H−チミジンの取り込み抑制及びDN
A断片化確認試験 NS細胞株培養上清50mlから凍結乾燥した試料をC18カ
ラム(ボンドエリユート)にかけ、カラムに停留したも
のをアセトニトリルとメタノールで分離、溶出し、窒素
ガスによって溶媒を揮撥させ濃縮乾燥した。カラムに停
留した分画はK562/Molt4細胞の増殖を抑制し、DNA断片
化を誘導した。
更にこの分画をTLCで展開した。すなわち、C18カラム
で分離した物質をクロロホルム:メタノール(1:1)液
中に溶かしてから薄層にスポットして、クロロホルム:
メタノール:蒸留水(60:40:8)によって展開させる。
展開後、培地中に含まれるフェノールレッド試薬のバン
ド(Rf=0.5)より下の分画部(Rf<0.5,TLC−A)、上
の分画部(Rf>0.5,TLC−B)とに分け、ゲルを掻き取
ってクロロホルム/メタノールによって、それぞれを抽
出回収し、窒素ガスで乾燥させた。フェノールレッド
(Rf値0.5)のTLC上の位置より上部に存在する分画
(U)にK562/Molt4細胞の増殖を抑制し(図16A〜
B)、DNA断片化を誘導する物質の存在を認めた(図17A
〜B)。
対照として、用いた新鮮培地、あるいは標的細胞のK5
62/Molt4細胞の培養上清中には標的細胞の増殖を抑制し
たり、DNA断片化を誘導する物質の産生は認められなか
った。そして、NS細胞株培養上清中にヒトがん細胞のア
ポトーシス(細胞死)を誘導できる物質(AIF)が産生
され、TLC上でフェノールレッドよりすみやかに移動す
る分画中(フェノールレッドRf=0.5)にAIFが存在して
いることを確認した。
試験例4:HPLCで最終分離精製したAIFの標的細胞Molt4の
3H−チミジンの取り込み抑制試験 ODS−80TMカラム(TOSOH)を用いて活性を有するTLC
のB分画物をアセトニトリル、0.1%トリフルオロ酢酸
0から5%までの濃度で360分間で流速0.5ml/分でOD216
nmでの吸光度で測定しながら分離、精製する。
得られた主要な6つのピーク(1−6)(図18A、HPL
Cチャート)からの試料(7μg/ml)はいずれもMolt4細
胞の3H−チミジンの取り込みを抑制した。特にピーク1
とピーク4からの試料が強い活性を示し、各ピークの1/
10に濃度を薄めた混合試料(0.7μg/ml)も強い活性を
示した(図19)。
図19のカラムMに示したように、これは各ピーク(AI
F)の相乗効果を示すものである。
試験例5:Molt4細胞のDNA断片化を誘導できるAIFの限界
量 図20A、図20Bに示すように、HPLCより分離した各活性
ピーク(1−6)由来の試料(A:7μg/ml、B:7×3-2μg
/ml)を48時間Molt4細胞5×105に作用させ、標的細胞
のDNAを抽出し、2%アガロースゲル上で電気泳動を行
った。7μg/mlおよび7×3-2μg/mlの濃度でMolt4細胞
のDNA断片化が認められたが、図20Cに示すように、7×
3-5μg/mlの低濃度ではもはやその作用は消失した。
試験例6:HPLCで最終分離したAIFの標的細胞BeWoのDNA断
片化試験 図21Aに示すように各ピーク(1−6)由来の試料(2
1μg/ml)をBeWo細胞に48時間反応させBeWo細胞のDNAを
抽出し、2%アガロースゲル上で電気泳動を行った。い
ずれのピークもBeWo細胞のDNA断片化を誘導した(図21
A)。
試験例7:HPLCで最終分離したAIFの標的細胞U937のDNA断
片化試験 図21Bに示すように各ピーク(1−6)由来の試料(2
1μg/ml)をU937細胞に48時間反応後U937細胞のDNAを抽
出し、2%アガロースゲル上で電気泳動を行った。いず
れのピークもU937細胞のDNA断片化を誘導した(図21
B)。
試験例8:HPLCで最終分離したAIFの標的細胞GCIYのDNA断
片化試験 図21Cに示すように、各ピーク(1−6)由来の試料
(21μg/ml)をGCIY細胞に48時間反応後GCIY細胞のDNA
を抽出し、2%アガロースゲル上で電気泳動を行った。
いずれのピークもGCIY細胞のDNA断片化を誘導した。
試験例9:HPLCで最終分離したAIFのヒト正常細胞WI−38
のDNA断片化試験 またヒト正常細胞WI−38を標的とするとき各ピーク
(1−6)由来の試料の3倍量(63μg/ml)を作用させ
ても細胞増殖の抑制やDNA断片化をきたさなかった(図2
1D)。これは図14Gに示したように、NS細胞とWI−38細
胞との直接作用でも正常細胞の傷害をもたらさなかった
結果と対応する。
このシリーズの実験結果は重大な意味を有している。
つまり本発明者らの分離、精製してきたAIFはがん細胞
特異的にアポトーシス(DNA断片化)による細胞死をも
たらし、正常細胞はほとんど傷害しないこと、つまりが
ん患者に投与した場合に副作用を示さない、理想的な抗
癌剤として開発できることを示唆している。
また、従来の免疫抑制剤がリンパ球の分裂阻害的薬理
作用でもってその効果を示すことにより、本発明化合物
を免疫抑制剤として開発することも可能である。
HPLCでの最終分離対照としてMolt4細胞の培養上清や
新鮮培地をNS細胞株培養培地とまったく同様の処理を施
し、最終的にHPLCにかけてみたところ、NS細胞株培養培
地より得られたような活性ピーク(1−6)はそのHPLC
チャート上では存在しなかった(図18B、C)。
一方、NS細胞株そのものを破壊し、抽出した試料のHP
LCチャートではNS細胞株培養上清と同じパターンを示し
た。このことは、NS細胞自体も培養上清中と同じ活性ピ
ーク(1−6)を含有することを示す。
以上の試験管内実験結果をまとめると、下記のように
示すことができる。
(1)「NS細胞株は標的がん細胞のアポトーシスによる
細胞死を誘導する」 NS細胞とK562,Molt4,BeWo,U937,GCIY細胞間の直接の
相互作用(共培養)の結果、24時間後に標的細胞のDNA
断片化が認められた(図14A.B.C.D.E.F)。
標的細胞におけるDNA断片化の程度は接種したNS細胞
数の増加に依存していた。一方、DNA断片化はK562,Molt
4細胞間共培養(図14C)、あるいはMolt4とU937あるい
はGCIYとBeWo細胞間共培養ではいずれも惹起されなかっ
た。また、NS細胞とWI−38細胞間の共培養ではDNA断片
化が認められなかった(図14G)。これは、NS細胞はヒ
ト正常細胞を傷害しないことを示している。つまり、NS
細胞のみがヒトがん細胞の特異的なアポトーシスを誘導
する能力を有している所見が認められた。
(2)「NS細胞株はAIFを培養上清中へ放出する」 NS細胞と標的K562/Molt4細胞をチエンバー内へ入れた
間接相互作用(間接共培養)の系では接種したNS細胞数
の増加に伴って72時間後にはチエンバー内の標的がん細
胞数の減少も認められた(図15)。更に、チエンバー内
の標的がん細胞のDNA断片化が認められた。この実験結
果はチエンバーのミリポアー膜を通して低分子の可溶性
の標的がん細胞死をもたらす物質がNS細胞株より産生さ
れていることを示すものである。
(3)「薄層クロマトグラフィー(TLC)で粗精製したA
IFは標的細胞の3H−チミジンの取り込みを抑制し、DNA
断片化を誘導する」 NS(TTK−1)細胞培養上清約50mlから凍結乾燥した
試料をC18カラムにかけ、カラムに停留したものをアセ
トニトリルで溶出し濃縮した分画はK562/Molt4細胞の分
裂を抑制し、DNA断片化を誘導した。
さらにこの分画をTLCにかけ、培地中に存在するフェ
ノールレッド(Rf値0.5)のTLC上の位置より上部に存在
する分画(RF値>0.5、TLC−B)にK562/Molt4細胞の分
裂を抑制し(図16A,B)、DNA断片化を誘導する物質の存
在を認めた(図17A,B)。
対照として、用いた新鮮無血清培地(SFM)、あるい
は標的細胞のK562/Molt4細胞の培養上清中には標的細胞
の増殖を抑制したり、DNA断片化を誘導する物質の産生
は認められなかった。
そして、NS細胞培養上清中にヒトがん細胞のアポトー
シス(細胞死)を誘導できる物質(AIF)が産生され、T
LC上でフェノールレッド(Rf=0.5)よりすみやかに移
動する分画中(Rf>0.5)にAIFが存在していることを確
認した。
(4)「HPLCで最終分離したAIFは標的細胞のDNAの断片
化を誘導する」 NS細胞培養上清の500mlからTLCで粗精製したトータル
の活性分画(TLC−B)をTSKgelODS−80TMcolumn(東ソ
ー)によって、逆相HPLCで分離、抽出した。
主要な6つのピーク(1−6)が得られた(図18A.HP
LCチャート)。3H−チミジンの取り込み能で測定したと
ころ、各ピーク1−6からの試料(7μg/ml)はいずれ
もMolt4細胞の3H−チミジンの取り込みを抑制した(図1
9)。つまり、Molt4細胞の分裂を抑制した。特にピーク
1とピーク4からの試料が強い活性を示し、各ピークか
らの試料を1/10に希釈した混合試料(各0.7μg/ml)も
強い活性を示た。図19のカラムMに示したように、これ
は各ピーク(AIF)の相乗効果を示すものである。
(5)「標的細胞のDNA断片化能を誘導出来るAIFの限界
量」 各活性ピーク(1−6)のMolt4細胞分裂抑制効果に
対応して、各ピーク(1−6)由来の試料(7μg/ml)
はいずれもMolt4細胞のDNA断片化を誘導した(図20
A)。
HPLCより分離した各活性ピーク(1−6)由来の試料
7×3-2μg/mlを48時間Molt4細胞に作用させると、標的
細胞のDNA断片化が認められたが(図20B)、7×3-5μg
/mlの低濃度ではもはやその作用は消失した(図20C)。
(6)標的細胞として、BeWo,U937,GCIYを使用すると、
いずれのピーク(1−6)由来の試料(21μg/ml)及び
1/10に希釈した混合試料(各2.1μg/ml)を標的細胞の
断片化を誘導した(図21A,B,C)。
またヒト正常細胞WI−38を標的とするとき各ピーク
(1−6)由来の試料を標的がん細胞に作用させた3倍
量(63μg/ml)を反応させても細胞分裂の抑制やDNA断
片化をきたさなかった(図21D)。これは図14Gに示した
ように、NS細胞とWI−38細胞との直接作用でも正常細胞
の傷害をもたらさなかった結果と対応する。この実験結
果は重大な意味を有している。つまり本発明者らの分
離、精製してきたAIFはがん細胞特異的にアポトーシス
(DNA断片化)による細胞死をもたらし、正常細胞はほ
とんど傷害しないこと、つまりがん患者に投与した場合
に副作用を示さない、理想的な抗癌剤として開発できる
ことを示唆している。また、Molt4細胞の培養上清や新
鮮培地をNS細胞培養培地とまったく同様の処理を施し、
最終的にHPLCにかけてみたところ、TTK−1培養培地よ
り得られたような活性ピーク(1−6)はそのHPLCチャ
ート上では見い出せなかった(図18B.C)。
一方、NS細胞そのものを破壊し、抽出した試料のHPLC
チャートではNS細胞培養上清と同じパターンを示した。
以上の結果をまとめると、AIFはNS細胞株からのみ産
生され、培養培地中に放出される物質であると結論でき
る。
(7)AIFの物理化学的特性の検討と構造決定 HPLCで最終的に分離、精製したAIF中のアミノ酸や六
炭糖の有無はオルシノル硫酸反応やニンヒドリン反応で
定性的に検討した。さらにUVスペクトラム解析より、最
大吸収値が260nm前後に認められることから、核酸系物
質であることが判明した。分子量は質量分析計(FAB−M
ASS)で推定した。プロトン核磁気共鳴(NMR)法により
最終構造を決定した。
HPLCにより分離したAIFの各活性ピーク(1−6)は
耐熱性で、ニンヒドリン、オルシノル反応陰性であり、
非蛋白質、非六炭糖性のものであることが示唆された。
さらにUVスペクトラム解析より、最大吸収値が260nm
前後に認められることから、核酸系物質であることが判
明した(図7〜12左上パネル) 構造解析の方向が確定したので、NS細胞の大量培養
(約300L)を行い、最終的にHPLCで分離精製した各ピー
ク(1−6)より分取して試料を調整した。質量分析
(FAB−MASS)と核磁気共鳴(NMR)法により最終構造を
決定した。AIFの活性ピーク1〜6は、P1;2′−デオキ
シウリジン、P2;リボチミジン、P3;2′−O−メチルウ
リジン、P4;チミジン、P5;2′−O−メチルグアノシ
ン、P6;2′−O−メチルグアノシンであった(図右上パ
ネル)。
なおそれぞれのAIFの活性ピーク(1−6)の分子量
(+H)は質量分析図(図7〜12下パネル)の矢印の下
に示してある。
[II]動物実験 試験管内実験でAIFの効果が確認された血液がん細胞
の代表としてMolt4および上皮性がん細胞の代表としてG
CIYを使用した。
(1)SCIDマウス各20匹に約108個のヒト胃癌細胞(GCI
Y)を接種し、腫瘍の径が0.5cm(0.25cm2)に到達した
際(約2週後)に各4組群に分け、AIFによる担癌マウ
スでの治療実験をとり行った。一群は各担癌マウス5匹
より構成される。
試験例1. 担癌マウス各5匹に前記TLCで分画し、6種類のヌク
レオシド(AIF)を含む試料(TLC−B分画)をリン酸緩
衝液(PBS)に溶解して毎回総量1mg(2′−デオキシウ
リジン90μg、リボチミジン110μg、2′−O−メチ
ルウリジン135μg、チミジン322μg、2′−O−メチ
ルイノシン226μg、2′−O−メチルグアノシン116μ
gに相当)を0.5mlのPBSに溶解して経静脈(尾部静脈)
より合計18回(総量18mg)投与した。
対照としてはTLCで分画した際に得られたTLC上でフェ
ノールレッドより下の分画−つまり6種類のヌクレオシ
ドを含まない試料(TLC−A分画)を使用し、やはり経
静脈(尾部静脈)より合計18回投与した。腫瘍のサイズ
は長径×短径の積(面積)で計測した。図22には1週、
2週、3週目の各5匹の腫瘍の平均サイズを示してい
る。グラフに示すように明らかにAIF投与群と対照群の
両者の差異が認められ、AIF投与群は対照群に比べて有
意に強い腫瘍抑制効果を示した(t検定でP<0.01)。
試験例2. 担癌マウス各5匹に試験例1と同様にTLC−A、B分
画をそれぞれ1mgを0.3mlのPBSに溶解して腫瘍内に直接
3回(0.1ml/回)に分けて、3日間投与したところ、TL
C−B分画の6種類のヌクレオシド(AIF)を含む試料
(構成量は実験1と同じ)では腫瘍の完全退縮をもたら
した。対照としてのAIFを含まないTLC−A分画では腫瘍
の退縮はまったく誘導できなかった(代表的例として対
照担がんマウスと治療マウス各一匹及び腫瘍を切除した
AIF投与群3例と対照群3例を図23A、Bに示す)。この
AIFによる腫瘍の退縮の機序は図23Cに示すようにAIFはD
NAの断片化、つまりアポトーシスによる腫瘍死を誘導し
た。
(2)SCIDマウス各10匹に約108個のヒトT細胞白血病
細胞(Molt4)を接種し、腫瘍の径が0.3cm(0.09cm2
に達した際(約2週後)各二群に分け、AIFによる担癌
マウスでの治療実験をとり行った。
担癌マウス5匹に3種類のAIFヌクレオシド(2′−
デオキシウリジン、リボチミジン、チミジン、各400μ
g、三者合計1.2mg)を0.5mlのPBSに溶解して、経静脈
と直接腫瘍内投与を交互にくりかえし合計18回(総量2
1.6mg)投与した。腫瘍のサイズは長径×短径の積(面
積)で計測し、3週間追跡した。5匹のうち3匹の腫瘍
は完全に退縮し、残り2匹の腫瘍も極めて小さなサイズ
に抑制した。図24のグラフは1週、2週、3週目の各5
匹の腫瘍の平均サイズを示している。一方、対照群のグ
ラフに示しているようにPBS投与対照群では腫瘍の増大
がもたらされ、両者の間には完全な有意差が認められた
(t検定でp<0.001)。
〔III〕考察 胎仔に対する母系の免疫反応は、一次的には脱落膜組
織で制御されている。
NK細胞マーカーを有するLGL細胞と考えられる大群の
細胞集団が初期妊娠のヒトを含む哺乳類の脱落膜層に集
積していることが本発明者らの研究で明らかにされてい
る。そして、おそらくこれらのNK細胞集団は胚盤胞の着
床の局面で重要な役割を担っている。つまり、妊娠時の
たえず増殖し発生途上にある胎児胎盤の形成をNK細胞は
抑制している。いいかえれば天然のがん免疫反応が妊娠
の場で遂行されている。
本発明者らの有するNS細胞株はヒト妊娠3カ月の脱落
膜層より本発明者らがクローニングし樹立したCD57陽
性、HLA−DR強陽性のヒトナチュラルサプレッサー細胞
である。この細胞株は脱落膜間質細胞の特長であるエス
トロゲンやプロゲステロンレセプターをもたず、プロラ
クチも分泌しないことから、むしろ、骨髄やリンパ系組
織から遊走してきた細胞系譜と考えられる。
NS細胞の具体的機能としては抗体産生、MLRやマイト
ゲン刺激によるリンパ球分裂反応の抑制だけでなく、最
近では腫瘍細胞の増殖抑制作用も報告されてきた(Sugi
ura,K.,M.Inaba.,H.Ogata.,R.Yasumuzu.,E.E.Sardina.,
K.Inaba.,S.Kuma.,R.A.Good.,and S.Ikehara,1990.Inhi
bition of tumor cell proliferation by natural supp
ressor cells present in murine bone marrow.Cancer,
Res.50:2582)。このNS細胞の基本的には細胞分裂制御
を介在するエフェクター物質としては、TGF−βファミ
リーの蛋白(Clark,D.A.,K.C.Flanders.,D.Banwatt.,W.
Millar−Book.,J.Manuel.,J.Stedronska−Clark.,and
B.Rowley.1990.Murine pregnancy dlcidua produces a
unique immunosuppressive molecule related to trans
forming growth factor bete−2.J.Immunol.144:3008)
や、分子量1万以下のリピッド様物質(Mortari,F.,and
S.K.Singhal.1998.Production of human bone marrow
−derived suppressor factor.Effect on antibody syn
thesis and lectin−activated cell proliferation.J.
Immunol.141:3037)が指摘されてきたがその実体につい
ては不明であった。またNS細胞による免疫抑制作用機序
として、本発明者らの以前の研究(〔Tatsumi,K,T.Mor
i.,E.Mori.,H.Kanzaki.,and T.Mori.1987.Immunoregula
tory factor released form a cell line derived from
human decidual tissue.Am.J.Reprod.Immunol.Microbi
ol.13:87)でも指摘してきたように、NS細胞株の上清中
の蛋白性物質がIL−2を介するT細胞分裂反応を抑制す
る。
本発明において、驚くべきことに、このNS細胞株はヒ
ト血液がん細胞であるK562/Molt4/U937だけでなく、悪
性度の極めて高いヒト胃がん細胞GCIYやヒト絨毛がん細
胞BeWoもアポトーシス(DNA断片化)作用によってがん
細胞死を誘導し、その増殖を抑制することが明らかとな
った。
そして、さらにこの細胞株の培養上清中より、がん細
胞のアポトーシスを誘導する物質(AIF)の分離、精
製、構造決定を行った。その過程はまず、NS細胞株培養
上清の凍結乾燥試料をC18−カラムに疎水性結合した物
質をアセトニトリルで溶出した。溶出した活性因子をさ
らにTLCで粗精製した。活性画分はフェノールレッドよ
り大きなRf値を示し、K562/Molt4細胞の分裂を抑制し、
DNA断化を招来した。そして最終的にはC18逆相カラムで
HPLCにより活性分子を6つの主要ピークとして分離、精
製した。これら6つのピークより得られた試料はいずれ
も標的がん細胞の増殖を抑制し、DNA断片化を誘導した
ことにより、当初の目的物つまりAIFであることが確認
出来た。またこの6種類のAIFは混合してカクテルとし
て使用した場合(現在がん化学療法で行われている多剤
併用この場合天然の多剤併用)に、最も有効に作用する
ことを見い出している。さらに、この6種のAIFの物理
化学的性質はオルシノール反応やニンヒドリン反応陰性
であることから、非蛋白性であり、六炭糖を含まない物
質であった。そして500ダルトンカットの透析膜を通過
し、質量分析計からの測定より、その分子量は100〜500
にあたると推定された。
さらに図7〜12左上に示すようにHPLCで分画した各活
性ピークはUVスペクトラムで最大吸収値245nmから265nm
を示した。すなわち、AIFは核酸またはその誘導体関連
の物質であることが強く示唆された。
大量のNS細胞培養上清から最終的にAIFを分離、精製
して構造解析に耐え得る試料を調整し、FAB−MSで分子
量をプロトンNMRで最終的にそれらの構造を決定した
(図1〜12)。6種類のAIFは塩基またはリボースの一
部がデオキシ化されたりメチル化されたユニークな構造
を有するヌクレオシド系に属するものであった。
本発明のようにヒトNS細胞が一連の核酸系物質を分泌
し、ヒトのあらゆるがん細胞のアポトーシスを誘導する
ことが見出されたのは本発明者らが知る限り世界でも最
初である。
現在、臨床的に使用されている核酸系抗癌剤、抗ウイ
ルス剤(たとえば5−FU、フトラフール(FT)、フルツ
ロン、AZT、DDI、Ara−c)が細胞毒性が高くその効果
もさることながら、人体に投与した場合に副作用が強く
社会問題化している。
本発明者らが見出したAIFは試験管内おひ動物実験の
所見ではあるが(これらの実験系は、ヒト用の抗癌剤、
抗ウイルス剤の評価を目的としてこの分野で確立された
従来の試験管内および動物実験系である(たとえば図2
2,23,24参照))、ヒト正常細胞はまったく傷害せず、
つまり将来人体に投与した場合副作用の軽減化をはかり
ながら、がん細胞特異的なアポトーシス(DNA断片化)
の誘導という自然の薬理作用機序でもってがん細胞死を
もたらす天然型の理想的な制癌剤を開発できる基盤を開
拓したのである。
〔IV〕図の補足説明 図14:NS細胞株は標的がん細胞のアポトーシスによる細
胞死を誘導するが正常細胞のアポトーシスによる細胞死
を誘導しないことを示す。
NS細胞と標的細胞間の直接の相互作用(共培養)の結
果、24時間後細胞DNAを抽出し、2%アガロースゲルで
電気泳動を行った。
図14Aに示すように、レーン1,2,3はNS細胞数それぞれ
104,105,106/ウエルとMolt4 106/ウエル間の共培養で
標的細胞におけるDNA断片化の程度は接種したNS細胞数
の増加に依存していた。一方、レーン5はMolt4 106/
ウエルのみ、レーン4はNS106/ウエルのみの場合はDNA
断片化をおこさなかった。Mはマーカーである。
図14Bに示すように、レーン1,2,3はNS細胞数それぞれ
104,105,106/ウエルとK562 106/ウエル間の共培養で標
的細胞におけるDNA断片化の程度は接種したNS細胞数の
増加に依存していた。一方、レーン4はK562 106/ウエ
ルのみ、レーン5はNS106/ウエルのみの場合はDNA断片
化をおこさなかった。Mはマーカーである。
図14Cに示すように、レーン1,2,3はK562細胞及びMolt
4細胞それぞれ106,105,104/ウエル間共培養で、レーン
4はMolt4 106/ウエルのみ、レーン5はK562 106/ウ
エルのみの場合はいずれもDNA断片化をおこさなかっ
た。Mはマーカーである。
図14Dに示すように、レーン1,2,3はNS細胞数それぞれ
104,105,106/ウェルとBeWo 106/ウエル間の共培養で標
的細胞におけるDNA断片化の程度は接種したNS細胞数の
増加に依存し上昇した。一方、レーン4ではNS106/ウエ
ルのみ、レーン5はBeWo 106/ウエルのみ、レーン6は
BeWo 106/ウエルとGCIY106/ウエル間の共培養、レーン
7はGCIY106/ウエルのみの場合はいずれもDNA断片化は
認められなかった。
図14Eに示すように、レーン1,2,3はNS細胞数それぞれ
103,104,105,106/ウエルとU937 106/ウエル間共培養で
標的細胞におけるDNA断片化の程度は接種したNS細胞数
の増加に依存していた。一方、レーン7はMolt4 106/
ウエルとU937 106/ウエル間共培養で、レーン8はMolt
4 106/ウエルのみ、レーン6はU937 106/ウエルの
み、レーン5はNS106/ウエルのみの場合はDNA断片化を
おこさなかった。Mはマーカーである。
図14Fに示すように、レーン1,2,3はNS細胞数それぞれ
104,105,106/ウエルとGCIY106/ウエル間共培養で標的細
胞におけるDNA断片化の程度は接種したNS細胞数の増加
に依存していた。一方、レーン4はGCIY106/ウエルの
み、レーン5はNS106/ウエルのみのは場合はDNA断片化
をおこさなかった。Mはマーカーである。
図14Gに示すように、レーン1,2,3はNS細胞数それぞれ
104,105,106/ウエルとWI−38 106/ウエル間共培養で標
的細胞は接種したNS細胞数が増加してもDNA断片化が認
められなかった。レーン4はWI−38 106/ウエルのみ、
レーン5はNS106/ウエルのみの場合はDNA断片化をおこ
さなかった。Mはマーカーである。
図15:NS細胞株はK562/Molt4細胞と間接共培養において
標的細胞の増殖を抑制することを示す。
図15に示すようにNS(TTK−1)細胞とK562/Molt4細
胞をチエンバー内へ入れた間接相互作用(間接共培養)
の系では接種したNS細胞数の増加に伴って72時間後には
チエンバー内の標的がん細胞数の減少が認められた。
図16〜17:薄層クロマトグラフィー(TLC)で粗精製した
AIFは標的細胞の3H−チミジンの取り込みを抑制し、DNA
断片化を誘導することを示す。
NS(TTK−1)細胞培養上清(TTK−1 Sup)約50ml
から凍結乾燥した試料をC18カラムにかけ、カラムに停
留したものをアセトニトリルで溶出し濃縮した分画はK5
62/Molt4細胞の分裂を抑制した。
図16Aに示すようにさらにこの分画をTLCにかけ、培地
中に存在するフェノールレッド(Rf値0.5)のTLC上の位
置より上部に存在する分画(U)は無血清培地(SF
M)、対照群(C)およびTLC上の位置より下部に存在す
る分画(L)と比べ、K562細胞の分裂を抑制することが
認められた。
一方、図16Bに示すようにさらにこの分画をTLCにか
け、培地中に存在するフェノールレッド(Rf値0.5)のT
LC上の位置より上部(U)に存在する分画にTLC上の位
置より下部(L)に存在する分画と比べ、有意にMolt4
細胞の分裂を抑制することが認められた。
対照群(C)および用いた新鮮無血清培地(SFM)は
標的細胞の増殖を抑制することは認められなかった。
図17A,Bに示すようにNS(TTK−1)細胞培養上清約50
mlから凍結乾燥した試料をC18カラムにかけ、カラムに
停留したものをアセトニトリルで溶出し濃縮した分画を
TLCにかけ、培地中に存在するフェノールレッド(Rf値
0.5)の位置より上部(U,レーン1,3)に存在する分画と
下部(L,レーン2,4)に存在する分画とに分けて抽出
し、K562細胞(A)/Molt4細胞(B)のDNA断片化を誘
導する物質の存在を調べた。
これらの抽出物をK562/Molt4細胞と反応させ、24時間
(レーン1,2)、48時間(レーン3,4)後に細胞DNAを抽
出し、2%アガロースゲル電気泳動を行った。この図に
示すようにNS細胞培養上清中にはヒトがん細胞のアポト
ーシス(細胞死)を誘導する物質(AIF)が産生され、T
LC上でフェノールレッドよりすみやかに移動する分画
(Rf>0.5)中にAIFが存在していることを確認した。
図18:HPLCで最終分離したAIFのHPLCチャート 図18Aに示すようにNS(TTK−1)培養上清の500mlか
らTLCで粗精製したトータルの活性分画をTSKgelODS−80
TMcolumn(東ソー)によって、逆相HPLCで分離、抽出し
た。主要な6つのピーク(1−6)が得られた。
図18B,Cに示すようにMolt4細胞の培養上清(B)や新
鮮培地(C)をNS(TTK−1)細胞培養培地とまったく
同様の処理を施し、最終的にHPLCにかけてみたところ、
NS細胞培養培地より得られたような活性ピーク(1−
6)はそのHPLCチャートでは見い出せなかった。
図19,20:HPLCで最終分離したAIFは標的がん細胞Molt4の
3H−チミジンの取り込みを抑制し、DNAの断片化を誘導
すること、および断片化を誘導できるAIFの限界量を示
す。
図19に示すようにHPLCにより分離した主要な6つのピ
ーク(1−6)からの試料(7μg/ml)はいずれもMolt
4細胞の3H−チミジンの取り込みを抑制した。つまり、M
olt4細胞の分裂を抑制した。特にピーク1とピーク4か
らの試料が強い活性を示し、1/10に希釈した各ピークの
混合試料(各0.7μg/ml)も強い活性を示した。図19の
カラムMに示すように、これは各ピークの相乗効果を示
すものである。
図20Aに示すように各ピーク(1−6)より調整した
試料をMolt4細胞に48時間反応後Molt4細胞のDNAを抽出
し、2%アガロースゲル電気泳動を行った。各活性ピー
ク(1−6)のMolt4細胞分裂抑制効果に対応して、各
ピーク(1−6)由来の試料(7μg/ml)と各ピーク
(1−6)由来の1/10に希釈した試料(0.7μg/ml)の
混合物はいずれもMolt4細胞のDNA断片化を誘導した(図
20A、レーン1〜7)。
図20B、Cに示すようにHPLCにより分離した各活性ピ
ーク(1−6)由来の試料(B;7×3-2μg/ml,C;7×3-5
μg/ml)を48時間Molt4細胞に作用させ、細胞DNAを抽出
し、2%アガロースゲル電気泳動を行った。図20Bに示
すように各ピーク(1−6)由来の試料(7×3-2μg/m
l)と各ピーク(1−6)由来の1/10に希釈した試料
(0.7×3-2μg/ml)の混合物によりMolt4細胞のDNA断片
化が認められたが(レーン、1−7)、図20Cに示すよ
うに単独で7×3-5μg/ml、また1/10に希釈した混合物
で0.7×3-5μg/mlの低濃度ではもはやその作用は消失し
た(レーン、1−7)。
図21:HPLCで最終分離したAIFはヒトがん細胞BeWo/U937/
GCIYのDNAの断片化を誘導するが、ヒト正常細胞WI−38
のDNAの断片化を誘導しないことを示す。
図21A、B、Cに示すように各ピーク(1−6)由来
の試料(21μg/ml)と各ピーク(1−6)由来の1/10に
希釈した混合物(2.1μg/ml)をBeWo(A)/U937(B)
/GCIY(C)細胞に48時間反応後の各標的細胞のDNAを抽
出し、2%アガロースゲル電気泳動を行った。各活性ピ
ーク(1−6)の標的細胞の分裂抑制効果に対応して、
各ピーク(1−6)由来の試料及び各ピーク(1−6)
由来の1/10希釈した試料の混合物はいずれも標的細胞の
DNA断片化を誘導した(レーン1−7)。
図21Dに示すように、各ピーク(1−6)由来の試料
を標的がん細胞に対する3倍量(63μg/ml)をヒト正常
細胞WI−38に48時間反応後のWI−38細胞のDNAを抽出
し、2%アガロースゲル上で電気泳動を行った。いずれ
のAIFも正常細胞の分裂の抑制やDNA断片化をきたさなか
った。
図7〜12:HPLCにより分離した各活性ピーク1−6(AI
F)の物理化学特性と構造決定 NS細胞株の大量の培養(約300L)を行い、最終的にHP
LCで分離精製した各ピーク(1−6)より分取した試料
を調整した。
図7〜12各P1−P6の左上パネルに示すようにUVスペク
トラム解析より、最大吸収値が260nm前後に認められる
ことから、AIFは核酸系物質であることが判明した。
UVスペクトラム解析により構造解析の方向が確定した
ので、質量分析(FAB−MASS)法により分子量を決定し
た(下パネル矢印)。さらに核磁気共鳴(NMR)法によ
りAIFの最終構造を図7−12(右上)のように決定し
た。
例 以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、
本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1) (培地、培養液を説明する。) 3日間5%CO2、37℃の条件下で培養を行った後、NS
細胞培養上清(500ml)を凍結乾燥し、C18カラムに通し
て分離を行った。活性物質はカラムに結合するので、ア
セトニトリル、メタノールによってカラムより分離、溶
出し、窒素ガスによって溶媒を気撥させ、溶質を濃縮乾
燥させた。
C18カラムで分離した物質をクロロホルム:メタノー
ル(1:1)液中に溶かしてから薄層(kieselgel)にスポ
ットして、クロロホルム:メタノール:蒸留水(60:40:
8)によって展開させる。展開後、フェノールレッド試
薬のバンドより下の分画部(L)、上の分画部(u)と
分け、ゲルを掻き取ってクロロホルム/メタノールによ
って、それぞれの分画をクロロホルム:メタノール(1:
1)液で抽出回収し、窒素ガスで乾燥させた。
ODS−80TMカラム(TOSOH)を用いて活性能を有するTL
Cのu分画物をアセトニトリル、0.1%トリフルオロ酢酸
溶媒で0から5%までの直線濃度勾配で360分間、流速
0.5ml/分でOD214nmでの吸光度で測定しながら分離、精
製し、主要な6つのピーク(1−6)が得られた(図18
A、HPLCチャート)。
目的物P1、P2、P3、P4、P5及びP6をそれぞれ0.014m
g、0.017mg、0.021mg、0.050mg、0.035mg、及び0.018mg
得た。
以下に本発明の化合物の製剤化例を示すが、本発明の
化合物の製剤化は、本製剤化例に限定されるものではな
い。
製剤化例1 本物質(P1)10(部)(以下、重量割合を示す) 重炭酸化マグネシウム15 乳糖75 を均一に混合して350μm以下の粉末状又は細粒状の散
剤とする。この散剤をカプセル容器に入れてカプセル剤
とした。
製剤化例2 本物質(P2)45(部) 澱粉15 乳糖16 結晶性セルロース21 ポリビニルアルコール 3 蒸留水30 を均一に混合した後、破砕造粒して乾燥し、次いで篩別
して177〜1410μmの大きさの顆粒剤とした。
製剤化例3 製剤化例2と同様の方法で顆粒剤を作った後、この顆
粒剤96部に対してステアリン酸カルシウム4部を加えて
圧縮成形し、直径10mmの錠剤を作製した。
製剤化例4 製剤化例2の方法で得られた顆粒剤の90部に対して結
晶性セルロース10部及びステアリン酸カルシウム3部を
加えて圧縮成形し、直径8mmの錠剤とした後、これにシ
ロップゼラチン、沈降性炭酸カルシウム混合懸濁液を加
えて糖衣状を作製した。
製剤化例5 本物質(P3)0.6(部) 非イオン系界面活性剤2.4 生理的食塩水97 を加温混合してからアンプルに入れ、滅菌を行って注射
剤を作製した。
産業上の利用可能性 本発明の式(1)の化合物又はその医薬上許容される
塩は、ヒト正常細胞を全く傷害せず、人体に投与した場
合には副作用の軽減化を図りながら、癌細胞を特異的に
アポトーシスによる癌細胞死をもたらすという自然の作
用機序でもってヒトの癌疾患及びウイルス疾患を治療す
ることが期待され、医薬の分野で抗腫瘍剤又は抗ウイル
ス剤として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C07H 19/073 C07H 19/073 19/167 19/167 19/173 19/173 C12N 5/10 C12P 19/38 C12P 19/38 19/40 19/40 C12N 5/00 B (C12P 19/38 C12R 1:91) (C12P 19/40 C12R 1:91) (72)発明者 郭 卯戊 カナダ国ケベック州、ラシーヌ、ルイ― パール、404―2975 (72)発明者 森 悦子 東京都大田区南馬込5丁目17番2号501 (56)参考文献 特開 平8−27008(JP,A) 特開 平8−289783(JP,A) 特開 昭61−291515(JP,A) Proc.Int.Congr.Ch emother.,(1983)p.60/16 −60/19 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 31/7064 - 31/708 C07H 19/06 - 19/073 C07H 19/16 - 19/173 CA(STN) CAOLD(STN) REGISTRY(STN)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次式(1) (式中のR1は、 で表わされる基、R2は、水素原子、水酸基又はメトキシ
    基を示す。)で表されることを特徴とする化合物又はそ
    の医薬上許容される塩を有効成分とする腫瘍治療用医
    薬。
  2. 【請求項2】R1及びR2がそれぞれ 請求項1記載の医薬。
  3. 【請求項3】請求項1又は2中に記載の化合物又はその
    医薬上許容される塩を有効成分とする抗腫瘍剤。
  4. 【請求項4】請求項1または2中に記載の化合物又はそ
    の医薬上許容される塩の、抗腫瘍剤製造に有効成分とし
    て配合するための使用。
  5. 【請求項5】上記化合物が、請求項2中に記載された化
    合物からなる群から選択される1種または2〜6種の組
    み合わせである、請求項1記載の医薬。
  6. 【請求項6】上記化合物が、請求項2中に記載された化
    合物からなる群から選択される1種または2〜6種の組
    み合わせである、請求項4記載の使用。
JP50205499A 1997-06-03 1998-06-02 天然型抗腫瘍性又は抗ウイルス性物質およびその用途 Expired - Fee Related JP3193061B2 (ja)

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