JP3191973B2 - 窒化処理皮膜を持つTi−Al系合金部材の製造方法 - Google Patents
窒化処理皮膜を持つTi−Al系合金部材の製造方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐摩耗性を有する窒化処
理皮膜を施したTi−Al系合金部材の製造方法に関す
る。
理皮膜を施したTi−Al系合金部材の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】Ti−Al二元系平衡状態図において、
常温における35〜42重量%Alの組成域において、
金属間化合物TiAlが存在し、この金属間化合物は比
重が約3.8と軽量で、かつ、1070Kまでの耐力が
400MPa以上等の優れた力学的特性を持つため、軽
量耐熱構造材として、エンジンやタービン等への実用化
が期待されている。
常温における35〜42重量%Alの組成域において、
金属間化合物TiAlが存在し、この金属間化合物は比
重が約3.8と軽量で、かつ、1070Kまでの耐力が
400MPa以上等の優れた力学的特性を持つため、軽
量耐熱構造材として、エンジンやタービン等への実用化
が期待されている。
【0003】このTiAl金属間化合物は、他の金属間
化合物と同様に、通常の金属や合金に比べて脆く、常温
延性に乏しく、そのため比較的延性の出やすいTi寄り
のTiAl+Ti3Al相境界に近い組成の化合物を中
心に検討が続けられており、従ってTi−Al系合金の
実用組成としては、化学量論組成である36重量%Al
よりさらにTiリッチな化合物に、延性または耐酸化性
を改善するためMn、V、Si、Nb、Cr、Mo等の
第3元素が添加されたものである。
化合物と同様に、通常の金属や合金に比べて脆く、常温
延性に乏しく、そのため比較的延性の出やすいTi寄り
のTiAl+Ti3Al相境界に近い組成の化合物を中
心に検討が続けられており、従ってTi−Al系合金の
実用組成としては、化学量論組成である36重量%Al
よりさらにTiリッチな化合物に、延性または耐酸化性
を改善するためMn、V、Si、Nb、Cr、Mo等の
第3元素が添加されたものである。
【0004】ところで、これらTi−Al系合金部材を
エンジンバルブやバルブステム等の動弁系部材として使
用しようとすると耐摩耗性の問題が出てくる。特開平3
−75385号公報のTiAl基合金製摺動部用部品の
発明においては、これらTi−Al系合金をエンジンバ
ルブとして用いるには充分な耐摩耗性を具備しないこと
を指摘すると共に、Ti−Al合金部材の表面を、物理
的プロセスによる気相メッキまたはガス窒化等の処理に
よって、厚さ2〜10μmの窒化チタン層で被覆するこ
とにより、耐摩耗性が改善されることが開示されてい
る。
エンジンバルブやバルブステム等の動弁系部材として使
用しようとすると耐摩耗性の問題が出てくる。特開平3
−75385号公報のTiAl基合金製摺動部用部品の
発明においては、これらTi−Al系合金をエンジンバ
ルブとして用いるには充分な耐摩耗性を具備しないこと
を指摘すると共に、Ti−Al合金部材の表面を、物理
的プロセスによる気相メッキまたはガス窒化等の処理に
よって、厚さ2〜10μmの窒化チタン層で被覆するこ
とにより、耐摩耗性が改善されることが開示されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、Ti−
Al系合金部材をガス窒化法により窒化処理する場合
は、鋼等の窒化処理と異なり、700℃以下の低温では
窒化層が形成されず、それ以上の温度に加熱する必要が
ある。また、大気中で窒化処理を行うため、TiAlの
酸化が生じ、良好な窒化層が形成出来ない。
Al系合金部材をガス窒化法により窒化処理する場合
は、鋼等の窒化処理と異なり、700℃以下の低温では
窒化層が形成されず、それ以上の温度に加熱する必要が
ある。また、大気中で窒化処理を行うため、TiAlの
酸化が生じ、良好な窒化層が形成出来ない。
【0006】その上、TiAl合金部材の窒化処理皮膜
は0.5〜2μm程度の厚さであり、またNもTiNま
たはTi2N等の窒化物として存在するため、どのよう
な特性の窒化処理皮膜が良好な耐摩耗性を発揮するのか
全く不明であった。
は0.5〜2μm程度の厚さであり、またNもTiNま
たはTi2N等の窒化物として存在するため、どのよう
な特性の窒化処理皮膜が良好な耐摩耗性を発揮するのか
全く不明であった。
【0007】本発明はTi−Al系合金部材に耐摩耗性
を付与するために行われるガス窒化法による窒化処理の
前記のごとき問題点を解決すべくなされたものであっ
て、耐摩耗性に優れた窒化層皮膜を持つTi−Al系合
金部材の製造方法を提供することを目的とする。
を付与するために行われるガス窒化法による窒化処理の
前記のごとき問題点を解決すべくなされたものであっ
て、耐摩耗性に優れた窒化層皮膜を持つTi−Al系合
金部材の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明者等は先ず窒化処理
皮膜を特定する方法について検討を開始した。その結
果、薄膜X線回折を用いれば表面の情報が豊富に得られ
ることを突き止めた。さらに、回折角度をいろいろと変
えてみて研究を進めた結果、同一材料でも回折角度が1
度のものが、TiNおよびTi2AlNのピークが高く
出ることが判明した。
皮膜を特定する方法について検討を開始した。その結
果、薄膜X線回折を用いれば表面の情報が豊富に得られ
ることを突き止めた。さらに、回折角度をいろいろと変
えてみて研究を進めた結果、同一材料でも回折角度が1
度のものが、TiNおよびTi2AlNのピークが高く
出ることが判明した。
【0009】そこで、CuKα線を用いた入射角1度の
薄膜X線回折で得られる各化合物の強度ピークの高さに
より、窒化処理皮膜を特定することを着想し、TiNお
よびTi2AlNのピークの高さの合計とTiAlおよ
びTi3Alのピークの高さの合計の比率と耐摩耗性の
関係について研究を進め、この比率が一定値以上になる
と優れた耐摩耗性の得られることを新たに知見して本発
明を完成した。
薄膜X線回折で得られる各化合物の強度ピークの高さに
より、窒化処理皮膜を特定することを着想し、TiNお
よびTi2AlNのピークの高さの合計とTiAlおよ
びTi3Alのピークの高さの合計の比率と耐摩耗性の
関係について研究を進め、この比率が一定値以上になる
と優れた耐摩耗性の得られることを新たに知見して本発
明を完成した。
【0010】本発明の窒化処理皮膜を持つTi−Al系
合金部材の製造方法は、Ti−Al系合金部材を1×1
0 -3 Toor以上の真空度で、800℃以上(500+
25×Al重量%)℃以下の温度に加熱し、窒素ガスを
用いて窒化処理し、CuKα線を用いた入射角1度の薄
膜X線回折で得られる各化合物の強度ピークの高さが、
次の式 TiN〔(200)面+(111)面〕+Ti2AlN〔(006)面 +(103)面+(002)面〕・・・(1) TiAl〔(111)面+(200)面〕+Ti3Al〔(201)面 +(002)面〕・・・(2) (1)/(2)>0.02・・・(3) を満たす関係にあるような窒化処理皮膜を形成すること
を要旨とする。
合金部材の製造方法は、Ti−Al系合金部材を1×1
0 -3 Toor以上の真空度で、800℃以上(500+
25×Al重量%)℃以下の温度に加熱し、窒素ガスを
用いて窒化処理し、CuKα線を用いた入射角1度の薄
膜X線回折で得られる各化合物の強度ピークの高さが、
次の式 TiN〔(200)面+(111)面〕+Ti2AlN〔(006)面 +(103)面+(002)面〕・・・(1) TiAl〔(111)面+(200)面〕+Ti3Al〔(201)面 +(002)面〕・・・(2) (1)/(2)>0.02・・・(3) を満たす関係にあるような窒化処理皮膜を形成すること
を要旨とする。
【0011】本発明のTi−Al系合金部材の窒化処理
皮膜は、Ti−Al系合金部材の表面を脱脂、洗浄した
後、1×10-3Torr以上の真空度で、800℃以
上、(500+25×Al重量%)℃以下の温度条件で
窒素ガスを導入し窒化処理することにより得られる。ま
た、窒素のイオン注入によっても可能である。
皮膜は、Ti−Al系合金部材の表面を脱脂、洗浄した
後、1×10-3Torr以上の真空度で、800℃以
上、(500+25×Al重量%)℃以下の温度条件で
窒素ガスを導入し窒化処理することにより得られる。ま
た、窒素のイオン注入によっても可能である。
【0012】本発明の対象となるTi−Al系合金部材
は、Ti3Al(α2相)とTiAl(γ相)の両相を含
んだ金属間化合物を中心とする。Ti−AlにMn、C
r、Mo、Si、V、Nb等を第3元素として添加した
材料にも有効である。Ti−AlのAl量としては30
〜37重量%である。これ以外の組成では延性が低いた
め実用に適しない。
は、Ti3Al(α2相)とTiAl(γ相)の両相を含
んだ金属間化合物を中心とする。Ti−AlにMn、C
r、Mo、Si、V、Nb等を第3元素として添加した
材料にも有効である。Ti−AlのAl量としては30
〜37重量%である。これ以外の組成では延性が低いた
め実用に適しない。
【0013】Ti−Al系合金部材の脱脂および洗浄は
従来から公知の手法により行うことができる。例えば脱
脂であればアルカリ脱脂、電解脱脂、溶剤脱脂等を用い
ることができる。また、洗浄後の水分・有機溶剤が残留
すると、これらが高温でTiAl母材と反応してしまう
ので、真空で余熱をかけ、これら成分を表面から除去し
てから、所定の温度まで昇温することが望ましい。
従来から公知の手法により行うことができる。例えば脱
脂であればアルカリ脱脂、電解脱脂、溶剤脱脂等を用い
ることができる。また、洗浄後の水分・有機溶剤が残留
すると、これらが高温でTiAl母材と反応してしまう
ので、真空で余熱をかけ、これら成分を表面から除去し
てから、所定の温度まで昇温することが望ましい。
【0014】
【作用】CuKα線を用いた入射角1度の薄膜X線回折
では、表面近傍の情報が増幅して得られる。(1)/
(2)式の値は、窒化物であるTiNとTi2AlNと
の量比などが加味された値である。本発明の窒化処理皮
膜を形成したTiAl部材は、この値を0.02以上と
したので、耐摩耗性を著しく向上することができた。
では、表面近傍の情報が増幅して得られる。(1)/
(2)式の値は、窒化物であるTiNとTi2AlNと
の量比などが加味された値である。本発明の窒化処理皮
膜を形成したTiAl部材は、この値を0.02以上と
したので、耐摩耗性を著しく向上することができた。
【0015】本発明において窒化処理皮膜の窒化物の量
比を特定するために(1)/(2)式の値を用い、その
値を0.02以上としたのは、0.02未満では充分な
耐摩耗性の向上が得られないからである。なお、(1)
式および(2)式において、格子面を特定したのは、特
定した格子面において、強度ピークが明瞭に現れ、識別
が容易であるからである。
比を特定するために(1)/(2)式の値を用い、その
値を0.02以上としたのは、0.02未満では充分な
耐摩耗性の向上が得られないからである。なお、(1)
式および(2)式において、格子面を特定したのは、特
定した格子面において、強度ピークが明瞭に現れ、識別
が容易であるからである。
【0016】本発明のTi−Al系部材に窒化処理をす
るに先立ち、Ti−Al系部材を脱脂、洗浄する工程に
より、部材表面から水分や有機質が除去されるので、真
空引き後加熱して窒素ガスを導入して窒化処理を施して
も、TiAlが水分や有機質と反応することが防止され
良質の窒化層が形成される。
るに先立ち、Ti−Al系部材を脱脂、洗浄する工程に
より、部材表面から水分や有機質が除去されるので、真
空引き後加熱して窒素ガスを導入して窒化処理を施して
も、TiAlが水分や有機質と反応することが防止され
良質の窒化層が形成される。
【0017】また、Ti−Al系部材を加熱窒化処理前
に1×10-3Torr以上の真空に保持することによ
り、TiAlの酸化が防止され良好な窒化層が形成され
ると共に、表面粗さも滑らかとなる。窒化処理温度を8
00℃以上とすることにより、Ti−Al系部材の表面
に窒化層が形成されるが、Ti−Al部材のAl含有量
に応じて(500+25×Al重量%)℃以下に上限を
規制したので、組織が変化し材料強度が低下することが
ない。
に1×10-3Torr以上の真空に保持することによ
り、TiAlの酸化が防止され良好な窒化層が形成され
ると共に、表面粗さも滑らかとなる。窒化処理温度を8
00℃以上とすることにより、Ti−Al系部材の表面
に窒化層が形成されるが、Ti−Al部材のAl含有量
に応じて(500+25×Al重量%)℃以下に上限を
規制したので、組織が変化し材料強度が低下することが
ない。
【0018】本発明において、窒化処理前の真空度を1
×10-3Torr以上としたのは、真空度が1×10-3
Torr以下の低真空ではTiAlの酸化が生じ、良好
な窒化層が形成されず、また部材の表面粗さも粗くなる
からである。
×10-3Torr以上としたのは、真空度が1×10-3
Torr以下の低真空ではTiAlの酸化が生じ、良好
な窒化層が形成されず、また部材の表面粗さも粗くなる
からである。
【0019】また、窒化処理温度を800℃以上、(5
00+25×Al重量%)℃以下としたのは、窒化処理
温度が800℃未満である場合は、窒化層が形成されな
いからであり、800℃以上の温度では温度上昇につれ
て窒化層が厚く形成されるが、(500+25×Al重
量%)℃を越えると、著しく組織が変化し材料強度が低
下するからである。
00+25×Al重量%)℃以下としたのは、窒化処理
温度が800℃未満である場合は、窒化層が形成されな
いからであり、800℃以上の温度では温度上昇につれ
て窒化層が厚く形成されるが、(500+25×Al重
量%)℃を越えると、著しく組織が変化し材料強度が低
下するからである。
【0020】
【実施例】本発明の実施例を比較例と対比しつつ説明
し、本発明の効果を明らかにする。 (実施例1)表1に示すAl含有量のTi−Al系部材
からなる試験片を用意し、脱脂・洗浄した後、真空加熱
炉に入れ1×10-3Torrの真空中に保持した。次い
で表1に示す各温度に加熱し、表1に示すガス圧の窒素
ガスを真空加熱炉に導入し、表1に示す時間の窒化処理
を行った。Cu管球を用いCuKα線のX線を使用し、
電流300mA、電圧50Vで、図2に示す入射角を1
度として、窒化処理皮膜の薄膜X線回折を求め、各化合
物のピーク高さから(1)式および(2)式の値を求
め、さらに(3)式を計算して、表1に併せて示した。
なお、図5は表1の実施例4のX線チャート図である。
し、本発明の効果を明らかにする。 (実施例1)表1に示すAl含有量のTi−Al系部材
からなる試験片を用意し、脱脂・洗浄した後、真空加熱
炉に入れ1×10-3Torrの真空中に保持した。次い
で表1に示す各温度に加熱し、表1に示すガス圧の窒素
ガスを真空加熱炉に導入し、表1に示す時間の窒化処理
を行った。Cu管球を用いCuKα線のX線を使用し、
電流300mA、電圧50Vで、図2に示す入射角を1
度として、窒化処理皮膜の薄膜X線回折を求め、各化合
物のピーク高さから(1)式および(2)式の値を求
め、さらに(3)式を計算して、表1に併せて示した。
なお、図5は表1の実施例4のX線チャート図である。
【0021】
【表1】
【0022】これら試験片について窒化処理後にLFW
摩耗試験を行った。この摩耗試験は、図3に示すよう
に、外径35mm、内径30mm、幅10mmの鋳鉄
(JISFC20)製の円筒試験片を相手材とし、試験
片を接触させ接触部に常温の潤滑油を供給しつつ、回転
数5rpm、相手材への押圧力60kgfで30分間摩
耗試験を行うものである。得られた結果は表1にまとめ
て示した。また、(3)式の値と摩耗量との関係を示す
線図をTi−33.5重量%Alについて図1に示し
た。
摩耗試験を行った。この摩耗試験は、図3に示すよう
に、外径35mm、内径30mm、幅10mmの鋳鉄
(JISFC20)製の円筒試験片を相手材とし、試験
片を接触させ接触部に常温の潤滑油を供給しつつ、回転
数5rpm、相手材への押圧力60kgfで30分間摩
耗試験を行うものである。得られた結果は表1にまとめ
て示した。また、(3)式の値と摩耗量との関係を示す
線図をTi−33.5重量%Alについて図1に示し
た。
【0023】表1に示したように、比較例1は無処理で
窒化層が形成されなかったために、また比較例2は窒化
層の厚さが薄く、(3)式の値が0.02以下であった
ために、耐摩耗性に劣り、いずれも摩耗量は157μm
または130μmであった。
窒化層が形成されなかったために、また比較例2は窒化
層の厚さが薄く、(3)式の値が0.02以下であった
ために、耐摩耗性に劣り、いずれも摩耗量は157μm
または130μmであった。
【0024】これに対して本発明の実施例1〜8は
(3)式の値が0.02以上である窒化層が形成されて
おり、摩耗量は0.7〜1.1μm程度であり、本発明
方法によれば、耐摩耗性に優れたTiAl合金部材が得
られることが確認された。また、図1に示したように、
(3)式の値が0.02において、摩耗量が急激に低下
することが判明した。
(3)式の値が0.02以上である窒化層が形成されて
おり、摩耗量は0.7〜1.1μm程度であり、本発明
方法によれば、耐摩耗性に優れたTiAl合金部材が得
られることが確認された。また、図1に示したように、
(3)式の値が0.02において、摩耗量が急激に低下
することが判明した。
【0025】(実施例2)表1の比較例1および実施例
5に示すAl含有量のTiAl合金から図4に示すよう
なエンジンバルブを製造し、脱脂・洗浄した後、真空加
熱炉に入れ1×10-3Torrの真空中に保持した。次
いで表1に示す窒化処理条件でエンジンバルブの軸部お
よび軸端部に窒化処理を施し、比較例1および実施例5
と同じ表面状態となるようにした。なお、導入した窒素
ガス圧は760Torrであった。
5に示すAl含有量のTiAl合金から図4に示すよう
なエンジンバルブを製造し、脱脂・洗浄した後、真空加
熱炉に入れ1×10-3Torrの真空中に保持した。次
いで表1に示す窒化処理条件でエンジンバルブの軸部お
よび軸端部に窒化処理を施し、比較例1および実施例5
と同じ表面状態となるようにした。なお、導入した窒素
ガス圧は760Torrであった。
【0026】窒化処理後のエンジンバルブをエンジンに
組み付け耐摩耗性を評価した。使用したエンジンは排気
量2000cc、1気筒4バルブで4気筒の構成になっ
ているもので、試験条件はモータリングにて5000r
pmで100時間行いバルブの軸端部と軸部の摩耗量を
測定した。なお、軸端部の摩耗量はエンジンバルブの長
さを測定し、軸部の摩耗量はエンジンバルブの軸部の直
径を測定した。得られた結果は表2にまとめて示した。
組み付け耐摩耗性を評価した。使用したエンジンは排気
量2000cc、1気筒4バルブで4気筒の構成になっ
ているもので、試験条件はモータリングにて5000r
pmで100時間行いバルブの軸端部と軸部の摩耗量を
測定した。なお、軸端部の摩耗量はエンジンバルブの長
さを測定し、軸部の摩耗量はエンジンバルブの軸部の直
径を測定した。得られた結果は表2にまとめて示した。
【0027】
【表2】
【0028】表2に示したように、無処理であった比較
例1は、激しく摩耗し、軸端部摩耗量で1.45mm、
軸部摩耗量で0.16mmであった。これに対して本発
明の実施例5は、軸端部摩耗および軸部摩耗が0であっ
て、本発明のTiAl部材は耐摩耗性に優れていること
が確認された。
例1は、激しく摩耗し、軸端部摩耗量で1.45mm、
軸部摩耗量で0.16mmであった。これに対して本発
明の実施例5は、軸端部摩耗および軸部摩耗が0であっ
て、本発明のTiAl部材は耐摩耗性に優れていること
が確認された。
【0029】
【発明の効果】本発明の窒化処理皮膜を持つTi−Al
系合金部材の製造方法は以上詳述したように、窒化処理
皮膜を、CuKα線を用いた入射角1度の薄膜X線回折
で得られる窒化物であるTiNとTi2AlNとの特定
面での強度ピーク高さと母材であるTiAlとTi3A
lの特定面での強度ピーク高さの比で特定すると共に、
Ti−Al系合金部材の表面を脱脂、洗浄した後、1×
10-3Torr以上の真空度に保持し、800℃以上、
(500+25×Al重量%)℃以下の温度条件で窒素
ガスを導入し窒化処理することにより、この比の値を
0.02以上としたので、Ti−Al系合金部材の耐摩
耗性を著しく向上することができた。
系合金部材の製造方法は以上詳述したように、窒化処理
皮膜を、CuKα線を用いた入射角1度の薄膜X線回折
で得られる窒化物であるTiNとTi2AlNとの特定
面での強度ピーク高さと母材であるTiAlとTi3A
lの特定面での強度ピーク高さの比で特定すると共に、
Ti−Al系合金部材の表面を脱脂、洗浄した後、1×
10-3Torr以上の真空度に保持し、800℃以上、
(500+25×Al重量%)℃以下の温度条件で窒素
ガスを導入し窒化処理することにより、この比の値を
0.02以上としたので、Ti−Al系合金部材の耐摩
耗性を著しく向上することができた。
【図1】(3)式の値と摩耗量との関係を示す線図であ
る。
る。
【図2】薄膜X線回折のX線入射角度を説明する模式図
である。
である。
【図3】耐摩耗試験片および相手材の側面図である。
【図4】耐摩耗性試験に供したエンジンバルブの側面図
である。
である。
【図5】本発明の実施例のX線チャート図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 8/00 - 12/02 C23C 14/00 - 16/56 G01N 23/207 JICSTファイル(JOIS)
Claims (1)
- 【請求項1】 Ti−Al系合金部材を1×10 -3 To
or以上の真空度で、800℃以上(500+25×A
l重量%)℃以下の温度に加熱し、窒素ガスを用いて窒
化処理し、CuKα線を用いた入射角1度の薄膜X線回
折で得られる各化合物の強度ピークの高さが、次の式 TiN〔(200)面+(111)面〕+Ti2AlN〔(006)面 +(103)面+(002)面〕・・・(1) TiAl〔(111)面+(200)面〕+Ti3Al〔(201)面 +(002)面〕・・・(2) (1)/(2)>0.02・・・(3) を満たす関係にあるような窒化処理皮膜を形成すること
を特徴とするTi−Al系合金部材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06245092A JP3191973B2 (ja) | 1992-03-18 | 1992-03-18 | 窒化処理皮膜を持つTi−Al系合金部材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06245092A JP3191973B2 (ja) | 1992-03-18 | 1992-03-18 | 窒化処理皮膜を持つTi−Al系合金部材の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05263253A JPH05263253A (ja) | 1993-10-12 |
JP3191973B2 true JP3191973B2 (ja) | 2001-07-23 |
Family
ID=13200559
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP06245092A Expired - Fee Related JP3191973B2 (ja) | 1992-03-18 | 1992-03-18 | 窒化処理皮膜を持つTi−Al系合金部材の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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