JP3191738B2 - 内燃機関の燃料供給系異常診断装置 - Google Patents

内燃機関の燃料供給系異常診断装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空燃比フィードバ
ック補正量等から燃料供給系の異常の有無を診断する内
燃機関の燃料供給系異常診断装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の燃料供給系異常診断装置におい
ては、燃料噴射弁、燃料ポンプ等の燃料供給系の構成部
品に故障や劣化が発生すると、ベース空燃比(基本燃料
噴射量)が目標値から大きくずれ、空燃比フィードバッ
ク補正量が異常に大きくなる点に着目し、特開平4−3
18250号公報に示すように、空燃比フィードバック
補正量を予め設定された異常判定値と比較することで、
燃料供給系の異常の有無を診断するようにしたものがあ
る。更に、このものは、過渡運転時にベース空燃比の変
動(ひいては空燃比フィードバック補正量の変動)が大
きくなることを考慮し、過渡運転時の空燃比の変動によ
る誤診断を防止するために、過渡運転時に燃料供給系の
異常診断を禁止するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、燃料供給系が
正常に動作している時にベース空燃比のずれが大きくな
る可能性がある運転状態は、過渡運転時だけではなく、
エンジンルーム内の温度が高い時もそれに該当する。こ
の原因としては、次のようなことが考えられる。
【0004】(1)エンジンルーム内の温度が高い時に
は、エンジンルームの燃料配管内の燃料温度も高温とな
り、燃料中にベーパ(気泡)が発生する。これにより、
燃料噴射弁から噴射する燃料にベーパが含まれてしま
い、その分、燃料噴射量が不足して空燃比がリーン側に
ずれてしまう。特に、リターンレス配管構成のシステム
(各気筒の燃料噴射弁に燃料を分配するデリバリパイプ
内の余剰燃料を燃料タンク側に戻すリターン配管が省略
されたシステム)では、エンジンルームの燃料配管内の
燃料の循環がないために、燃料配管内の燃料温度が高く
なりやすく、燃料ベーパによる燃料噴射量のずれが大き
くなる傾向がある。
【0005】(2)エンジンルーム内の温度が高い時に
は、空燃比制御系のセンサ類(エアフローセンサ、吸気
管圧力センサ、吸気温センサ等)や燃料噴射弁等も高温
になるため、これらの部品の特性がずれる。
【0006】(3)エンジンルーム内の温度が高い時に
は、吸入空気が吸気管内を流れてエンジンに吸入される
までの過程で吸気温が上昇するため、吸気温センサで計
測した吸気温と実際のエンジン吸気温との差が大きくな
り、空燃比の吸気温補正係数にずれが生じる。
【0007】これら(1)〜(3)の原因によりエンジ
ンルーム内の温度が高い時もベース空燃比のずれが大き
くなる可能性があるため、エンジンルーム内の温度が高
い時も、過渡運転時と同じく、燃料供給系の異常診断を
禁止して誤診断を防止することが考えられる。
【0008】しかし、エンジンルーム内の温度が高い状
況は、過渡運転よりも長い時間続くことが多いため、エ
ンジンルーム内の温度が高い時期に、燃料供給系の異常
診断を禁止したのでは、診断禁止期間が長くなり過ぎ、
実際に異常が発生しても、その異常の発見が遅れる可能
性がある。
【0009】本発明はこのような事情を考慮してなされ
たものであり、従ってその目的は、エンジンルーム内の
温度が高い時でも、誤診断を防ぎながら、燃料供給系の
異常診断を行うことができ、異常の早期発見と誤診断防
止とを両立できる内燃機関の燃料供給系異常診断装置を
提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の請求項1の内燃機関の燃料供給系異常診断
装置によれば、少なくとも空燃比フィードバック補正量
を含む空燃比ずれ指標値を異常判定値と比較して燃料供
給系の異常の有無を診断手段により診断する際に、エン
ジンルーム内の温度を温度判定手段により判定し、その
エンジンルーム内の温度に応じて異常判定値設定手段に
より異常判定値を設定する。これにより、エンジンルー
ム内の温度が高温で、ベース空燃比のずれが大きくなる
時でも、誤診断を防ぎながら、燃料供給系の異常(つま
り空燃比の異常なずれ)の有無を診断することができ、
異常の早期発見と誤診断防止とを両立できる。
【0011】この場合、異常判定値としてリッチ異常判
定値とリーン異常判定値を設定し、エンジンルーム内の
温度が高くなるほど、前記リッチ異常判定値をリッチ側
にずらした値に設定し、且つ/又は、前記リーン異常判
定値をリーン側にずらした値に設定するようにすると良
い。つまり、エンジンルーム内の温度が高くなるほど、
燃料配管内の燃料ベーパの発生や構成部品の温度特性に
より、ベース空燃比のリッチ側/リーン側へのずれが大
きくなる傾向があるため、エンジンルーム内の温度が高
くなるほど、リッチ/リーン異常判定値をリッチ側/リ
ーン側にずらした値に設定すれば、高温時の誤診断を確
実に防止できる。この場合、リッチ異常判定値とリーン
異常判定値のいずれか一方のみをリッチ側/リーン側に
ずらした値に設定するようにしても良い。
【0012】また、請求項のように、目標空燃比から
の実際の空燃比のずれ量を補正する補正量を学習手段に
より学習して該学習補正量を更新記憶するシステムにお
いては、空燃比ずれ指標値として、空燃比フィードバッ
ク補正量の他に、少なくとも実際の空燃比と目標空燃比
との差と、学習補正量を用いて燃料供給系の異常の有無
を診断するようにしても良い。このようにすれば、エン
ジンルーム内の温度が高い時でも、上記した少なくとも
3つの空燃比ずれ指標値から燃料供給系の異常を速やか
に検出することができ、異常診断の信頼性を向上するこ
とができる。
【0013】また、請求項のように、各気筒の燃料噴
射弁に燃料を分配するデリバリパイプ内の余剰燃料を燃
料タンク側に戻すリターン配管が省略されたリターンレ
ス配管構成のシステムでは、エンジンルームの燃料配管
内の燃料の循環がないために燃料配管内の燃料温度が高
くなりやすく、エンジンルーム内の温度が高い時に燃料
ベーパによる燃料噴射量のずれが大きくなる傾向があ
る。従って、リターンレス配管構成のシステムに本発明
を適用すれば、従来であれば誤診断しやすい高温時で
も、誤診断を防ぎながら、燃料供給系の異常診断を行う
ことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
に基づいて説明する。まず、図1に基づいてシステム全
体の概略構成を説明する。内燃機関であるエンジン10
の吸気ポート11に接続された吸気管12の最上流部に
はエアクリーナ13が設けられ、このエアクリーナ13
の下流側にスロットルバルブ14が設けられている。こ
のスロットルバルブ14を収納するスロットルボデー1
5には、スロットルバルブ14をバイパスする吸気量を
調節するアイドルスピードコントロールバルブ16と、
吸気管圧力を検出する吸気管圧力センサ17とが設けら
れている。スロットルボデー15の下流側にはサージタ
ンク18が設けられ、このサージタンク18内には吸気
温を検出する吸気温センサ19が設けられている。
【0015】また、各気筒の吸気ポート11の近傍に
は、燃料タンク20から供給される燃料(ガソリン)を
噴射する燃料噴射弁21が設けられている。燃料タンク
20内の燃料は燃料ポンプ22により汲み上げられ、燃
料配管25中をプレッシャレギュレータ23と燃料フィ
ルタ24を経てデリバリパイプ26に送られ、このデリ
バリパイプ26から各気筒の燃料噴射弁21に分配され
る。上記プレッシャレギュレータ23の背圧室を圧力導
入管38を介してサージタンク18に連通させてプレッ
シャレギュレータ23の背圧室に吸気管圧力を導入する
ことで、燃料配管25内の燃圧を吸気管圧力との差圧が
一定になるように調整する。燃料ポンプ22からプレッ
シャレギュレータ23に送られてくる燃料の余剰分は、
プレッシャレギュレータ23の燃料戻し口36から燃料
タンク20内に戻される。
【0016】以上説明した燃料供給系は、デリバリパイ
プ26から余剰燃料を燃料タンク20内に戻すリターン
配管が廃止され、燃料配管25がデリバリパイプ26で
終端となるリターンレス配管構成となっている。
【0017】一方、エンジン10の排気ポート27に接
続された排気管28には、排出ガスの空燃比を検出する
空燃比センサ29が設けられ、この空燃比センサ29の
下流側には、排出ガス浄化用の三元触媒(図示せず)が
設けられている。更に、三元触媒の下流側には、排出ガ
ス中の酸素濃度を検出する酸素センサ(図示せず)が設
けられている。エンジン10を冷却するウォータジャケ
ット30には、冷却水温を検出する水温センサ31が取
り付けられている。また、エンジン10の回転数は、ク
ランク角センサ32から所定クランク角毎に出力される
パルス信号の間隔によって検出される。
【0018】これら各種センサの出力信号は、エンジン
制御回路(以下「ECU」という)35に入力される。
このECU35は、上記各種センサで検出した吸気温、
吸気管圧力、冷却水温、エンジン回転数及び空燃比の信
号を読み込んで、燃料噴射弁21の燃料噴射量や噴射時
期、点火プラグ37の点火時期等を制御すると共に、空
燃比センサ29で検出した空燃比に基づいて実際の空燃
比を目標空燃比に一致させるようにフィードバック制御
する。この空燃比フィードバック制御中に、ECU35
は、目標空燃比からの実際の空燃比のずれ量を補正する
空燃比フィードバック補正係数FAFを算出すると共
に、この空燃比フィードバック補正係数FAFを学習し
て学習補正係数KGを更新記憶する。この機能が特許請
求の範囲でいう学習手段に相当する。
【0019】また、ECU35は、ROM39(記憶媒
体)に記憶した図2及び図3の燃料供給系異常診断プロ
グラムを所定時間毎に実行することで、燃料供給系の異
常の有無を診断する診断手段として機能し、燃料供給系
の異常有りと診断した時には、警告ランプ40を点灯
(又は点滅)させて運転者に警告する。
【0020】以下、この図2及び図3の燃料供給系異常
診断プログラムの処理内容を説明する。本プログラムが
起動されると、まずステップ101で、異常時間タイマ
CFをクリアして初期値(0)に戻す。この後、ステッ
プ102で、エンジンルーム内温度Tegを判定する。
このエンジンルーム内温度Tegの判定は、水温センサ
31、吸気温センサ19で検出した冷却水温、吸気温か
ら推定したり、或は、エンジンルーム内に温度センサ
(図示せず)を設置して、その温度センサによってエン
ジンルーム内温度Tegを直接検出するようにしても良
い。また、冷却水温や吸気温からエンジンルーム内の温
度Tegを推定する場合には、予め、冷却水温や吸気温
をパラメータとするエンジンルーム内温度Tegのマッ
プや関数式を設定しておき、その時点の冷却水温や吸気
温に応じたエンジンルーム内温度Tegをマップや関数
式により算出するようにすれば良い。このステップ10
2の処理が特許請求の範囲でいう温度判定手段として機
能する。
【0021】そして、次のステップ103で、エンジン
ルーム内温度Tegを予め設定された判定温度To(例
えば80〜90℃の範囲で設定された温度)と比較し、
エンジンルーム内温度Tegが判定温度Toよりも高い
場合には、エンジンルーム内温度Tegによるベース空
燃比のずれが大きいと判断して、ステップ104に進
み、空燃比フィードバック補正係数FAFの最大値(上
限ガード値)を1.5に設定すると共に、FAFの最小
値(下限ガード値)を0.5に設定する。
【0022】これに対し、エンジンルーム内温度Teg
が判定温度To以下の場合には、エンジンルーム内温度
Tegによるベース空燃比のずれが小さいと判断して、
ステップ105に進み、空燃比フィードバック補正係数
FAFの最大値を1.25に設定すると共に、FAFの
最小値を0.75に設定する。
【0023】以上のようにして、エンジンルーム内温度
Tegに応じて空燃比フィードバック補正係数FAFの
最大値と最小値を設定した後、ステップ106に進ん
で、次の(a)〜(d)の燃料供給系異常診断実行条件
が成立しているか否かを判定する。
【0024】(a)運転領域が所定範囲内であること
(例えばエンジン回転数が所定範囲内であること、吸気
管圧力が所定範囲内であること等) (b)空燃比フィードバック実行中であること (c)過渡運転状態でないこと (d)冷却水温が所定温度以上であること これら(a)〜(d)の条件を全て満たした時に燃料供
給系異常診断実行条件が成立するが、1つでも満たさな
い条件があれば、燃料供給系異常診断実行条件が不成立
となる。
【0025】もし、燃料供給系異常診断実行条件が不成
立であれば、図3のステップ107以降の燃料供給系異
常診断処理を実行せず、ステップ101に戻り、上述し
た処理を繰り返す。
【0026】これに対し、燃料供給系異常診断実行条件
が成立していれば、次のようにして図3のステップ10
7以降の燃料供給系異常診断処理を実行する。まず、ス
テップ107で、空燃比ずれ指標値DFULを次式によ
り算出する。
【0027】DFUL=FWL+(1−FAF)+(1
−KG)+(1−DAF) FWL:水温増量補正値 FAF:空燃比フィードバック補正係数 KG :学習補正係数 DAF:空気過剰率 (DAF=実空燃比/目標空燃
比) ここで、暖機完了後には、水温増量補正値FWLは0と
なる。上式の右辺において、(1−FAF)は空燃比フ
ィードバック補正量に相当し、(1−KG)は学習補正
量に相当し、(1−DAF)は、目標空燃比と実空燃比
との差に対応する値である。
【0028】次のステップ108で、エンジンルーム内
温度Tegを予め設定された判定温度Toと比較して、
エンジンルーム内温度Tegが判定温度Toよりも高い
とき(以下単に「高温時」という)には、ステップ10
9に進み、空燃比ずれ指標値DFULを、図4に示す高
温時リーン異常判定値KHL、高温時リッチ異常判定値
KHHと比較し、空燃比ずれ指標値DFULが異常範囲
(DFUL<KHL又はDFUL>KHH)であるか否
かを判定する。
【0029】高温時には、エンジンルーム内温度Teg
によるベース空燃比のずれが大きくなるという事情を考
慮し、高温時リーン異常判定値KHLは、後述する通常
時リーン異常判定値KLLよりもリーン側にずらした値
に設定され、高温時リッチ異常判定値KHHは、後述す
る通常時リッチ異常判定値KLHよりもリッチ側にずら
した値に設定されている。つまり、高温時には、高温時
リーン/リッチ異常判定値KHL,KHHの間隔(高温
時の正常範囲)は、後述する通常時リーン/リッチ異常
判定値KLL,KLHの間隔(通常時の正常範囲)より
も広く設定されている。
【0030】もし、ステップ109で、高温時の空燃比
ずれ指標値DFULが高温時の異常範囲(DFUL<K
HL又はDFUL>KHH)であれば、ステップ110
に進み、異常時間タイマCFをインクリメントし、次の
ステップ111で、異常時間タイマCFが異常判定時間
KNGを越えたか否かを判定する。つまり、空燃比ずれ
指標値DFULが異常範囲になっている継続時間CFが
異常判定時間KNGを越えたか否かを判定し、もし、異
常判定時間KNGを越えていれば、ステップ115に進
み、燃料供給系の異常有りと判定し、次のステップ11
6で、ダイアグ処理を行う。このダイアグ処理では、例
えば、警告クランプ40を点灯(又は点滅)させて運転
者に警告すると共に、空燃比フィードバックを停止し、
他の部品の異常検出を禁止する。尚、空燃比ずれ指標値
DFULが異常範囲になっている継続時間CFが異常判
定時間KNGを越えるまでは、まだ異常とは判定せず、
図2のステップ102に戻って、上述した処理を繰り返
す。
【0031】一方、ステップ109で、高温時の空燃比
ずれ指標値DFULが正常範囲(KHL≦DFUL≦K
HH)であれば、ステップ113に進み、異常時間タイ
マCFをクリアして初期値(0)に戻し、ステップ11
4で、燃料供給系が正常と判定して本プログラムを終了
する。
【0032】また、前述したステップ108において、
エンジンルーム内温度Tegが判定温度To以下の時
(以下「通常時」という)には、ステップ112に進
み、空燃比ずれ指標値DFULを、図4に示す通常時リ
ーン異常判定値KLL、通常時リッチ異常判定値KLH
と比較し、空燃比ずれ指標値DFULが異常範囲(DF
UL<KLL又はDFUL>KLH)であるか否かを判
定する。通常時には、エンジンルーム内温度Tegによ
るベース空燃比のずれが少ないという事情を考慮し、通
常時リーン/リッチ異常判定値KLL,KLHの間隔
(通常時の正常範囲)は、高温時リーン/リッチ異常判
定値KHL,KHHの間隔(高温時の正常範囲)よりも
狭く設定されている。尚、ステップ108,109,1
12の処理は、特許請求の範囲でいう異常判定値設定手
段として機能する。
【0033】もし、ステップ112で、通常時の空燃比
ずれ指標値DFULが通常時の異常範囲(DFUL<K
LL又はDFUL>KLH)であれば、ステップ110
に進み、異常時間タイマCFをインクリメントし、次の
ステップ111で、異常時間タイマCFが異常判定時間
KNGを越えたか否かを判定する。つまり、空燃比ずれ
指標値DFULが異常範囲になっている継続時間CFが
異常判定時間KNGを越えたか否かを判定し、異常判定
時間KNGを越えていれば、ステップ115に進み、燃
料供給系の異常有りと判定し、次のステップ116で、
前述したダイアグ処理を行う。尚、空燃比ずれ指標値D
FULが異常範囲になっている継続時間CFが異常判定
時間KNGを越えるまでは、まだ異常とは判定せず、図
2のステップ102に戻って、上述した処理を繰り返
す。
【0034】一方、ステップ112で、通常時の空燃比
ずれ指標値DFULが正常範囲(KLL≦DFUL≦K
LH)であれば、ステップ113に進み、異常時間タイ
マCFをクリアして初期値(0)に戻し、ステップ11
4で、燃料供給系が正常と判定して本プログラムを終了
する。
【0035】ところで、図1に示すようなリターンレス
配管構成のシステムでは、エンジンルームの燃料配管2
5内の燃料の循環がないために、燃料配管25内の燃料
温度が高くなりやすい。このため、エンジンルーム内温
度が高い時に燃料ベーパによる燃料噴射量のずれ(ベー
ス空燃比のずれ)が大きくなる傾向があるため、前述し
た従来の燃料供給系異常診断装置では、エンジンルーム
内温度が高い時に燃料供給系の異常診断を行うと、誤診
断する可能性があった。
【0036】これに対し、上記実施形態では、エンジン
ルーム内温度が設定温度以上の時にリーン/リッチ異常
判定値をリッチ側/リーン側にずらした値に切り替える
ようにしたので、エンジンルーム内温度が高温の時で
も、誤診断を防ぎながら、燃料供給系の異常(つまり空
燃比の異常なずれ)の有無を診断することができ、異常
の早期発見と誤診断防止とを両立することができる。
【0037】この場合、エンジンルーム内の温度に応じ
てリーン/リッチ異常判定値を3段階以上に切り替える
ようにしたり、これを連続的に可変設定するようにして
も良い。
【0038】また、上記実施形態では、空燃比ずれ指標
値DFULを算出する際に、空燃比フィードバック補正
量(1−FAF)、学習補正量(1−KG)、目標空燃
比と実空燃比との差に対応する値(1−DAF)、水温
増量補正値FWLを全て用いるようにしたが、少なくと
も、空燃比フィードバック補正量(1−FAF)を用い
れば良く、他のパラメータの一部又は全部を省略しても
良い。また、空燃比ずれ指標値DFULをなまし処理し
てリーン/リッチ異常判定値と比較するようにしても良
い。
【0039】尚、本発明は、リターンレス配管構成の燃
料供給系に限定されず、デリバリパイプ26から余剰燃
料をリターン配管により燃料タンク20内に戻すように
した燃料供給系にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すシステム全体の構成
【図2】燃料供給系異常診断プログラムの前半の処理の
流れを示すフローチャート
【図3】燃料供給系異常診断プログラムの後半の処理の
流れを示すフローチャート
【図4】高温時リーン/リッチ異常判定値KHL,KH
Hと通常時リーン/リッチ異常判定値KLL,KLHの
関係を示す図
【符号の説明】
10…エンジン(内燃機関)、12…吸気管、17…吸
気管圧力センサ、19…吸気温センサ、20…燃料タン
ク、21…燃料噴射弁、22…燃料ポンプ、23…プレ
ッシャレギュレータ、24…燃料フィルタ、25…燃料
配管、26…デリバリパイプ、28…排気管、29…空
燃比センサ、31…水温センサ、32…クランク角セン
サ、35…エンジン制御回路(温度判定手段,診断手
段,異常判定値設定,学習手段)、40…警告ランプ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02D 41/14

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 排ガスの空燃比を目標空燃比に一致させ
    るようにフィードバック補正する機能を備えた内燃機関
    において、 エンジンルーム内の温度を判定する温度判定手段と、 少なくとも空燃比フィードバック補正量を含む空燃比ず
    れ指標値を異常判定値と比較して燃料供給系の異常の有
    無を診断する診断手段と、 前記エンジンルーム内の温度に応じて前記異常判定値を
    設定する異常判定値設定手段とを備え、 前記異常判定値設定手段は、前記異常判定値としてリッ
    チ異常判定値とリーン異常判定値を設定し、前記エンジ
    ンルーム内の温度が高くなるほど、前記リッチ異常判定
    値をリッチ側にずらした値に設定し、且つ/又は、前記
    リーン異常判定値をリーン側にずらした値に設定する
    とを特徴とする内燃機関の燃料供給系異常診断装置。
  2. 【請求項2】 目標空燃比からの実際の空燃比のずれ量
    を補正する補正量を学習して該学習補正量を更新記憶す
    る学習手段を備え、 前記診断手段は、前記空燃比ずれ指標値として、前記空
    燃比フィードバック補正量の他に、少なくとも、前記実
    際の空燃比と前記目標空燃比との差と、前記学習補正量
    を用いて燃料供給系の異常の有無を診断することを特徴
    とする請求項1に記載の内燃機関の燃料供給系異常診断
    装置。
  3. 【請求項3】 前記燃料供給系の燃料配管構成は、各気
    筒の燃料噴射弁に燃料を分配するデリバリパイプ内の余
    剰燃料を燃料タンク側に戻すリターン配管が省略された
    リターンレス配管構成となっていることを特徴とする請
    求項1又は2に記載の内燃機関の燃料供給系異常診断装
    置。
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