JP2009013905A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料のアルコール濃度検出値の補正によってノッキングの発生を防止しながら、該アルコール濃度検出値の補正による燃料噴射量の変動を防止する。
【解決手段】アルコール濃度判定手段(ECU43のアルコール濃度推定機能又はアルコール濃度センサ)で推定又は検出したアルコール濃度検出値を、ノッキングのレベル(強度、頻度等)に応じて補正し、補正後のアルコール濃度検出値を点火時期制御用のアルコール濃度として設定することで、ノッキング状態に応じて点火時期を変化させてノッキングの発生を防止する。一方、燃料噴射制御に関しては、ノッキング状態に応じて補正したアルコール濃度検出値を用いずに、補正前のアルコール濃度検出値をそのまま燃料噴射制御用のアルコール濃度として設定することで、ノッキング状態に応じたアルコール濃度検出値の補正により燃料噴射量の変動を防止して、トルク変動や燃焼性悪化を防止する。
【選択図】図1
【解決手段】アルコール濃度判定手段(ECU43のアルコール濃度推定機能又はアルコール濃度センサ)で推定又は検出したアルコール濃度検出値を、ノッキングのレベル(強度、頻度等)に応じて補正し、補正後のアルコール濃度検出値を点火時期制御用のアルコール濃度として設定することで、ノッキング状態に応じて点火時期を変化させてノッキングの発生を防止する。一方、燃料噴射制御に関しては、ノッキング状態に応じて補正したアルコール濃度検出値を用いずに、補正前のアルコール濃度検出値をそのまま燃料噴射制御用のアルコール濃度として設定することで、ノッキング状態に応じたアルコール濃度検出値の補正により燃料噴射量の変動を防止して、トルク変動や燃焼性悪化を防止する。
【選択図】図1
Description
本発明は、内燃機関に供給する燃料のアルコール濃度を検出又は推定するアルコール濃度判定手段を備えた内燃機関の制御装置に関する発明である。
車両に搭載される内燃機関の燃料として、エタノールやメタノール等のアルコール、或はアルコールとガソリンとを混合した混合燃料を使用できるようにしたものがある。このようなシステムでは、内燃機関に供給する燃料のアルコール濃度をアルコール濃度センサで検出し、このアルコール濃度センサで検出したアルコール濃度検出値に応じて点火時期や燃料噴射量を補正することで、点火時期や燃料噴射量をアルコール濃度に応じた適正値に制御するようにしたものがある。しかし、アルコール濃度センサが故障した場合には、点火時期や燃料噴射量をアルコール濃度に応じた適正値に制御できなくなる。
このアルコール濃度センサの異常時の対策として、特許文献1(特開平4−12171号公報)に記載されているように、アルコール濃度センサ(ブレンド率センサ)の異常時に、ノックセンサで検出したノック情報に応じてアルコール濃度検出値(ブレンド率)を補正し、補正後のアルコール濃度検出値を用いて点火時期と燃料噴射量を設定することで、ノッキングの発生を防止するようにしたものがある。
特開平4−12171号公報
上記特許文献1の技術では、アルコール濃度センサが異常でアルコール濃度検出値の検出精度が悪化したときに、ノック情報に応じて補正したアルコール濃度検出値を用いて点火時期を設定するため、ノッキングの状態(ノッキングの有無や強度等)に応じて点火時期を変化させてノッキングの発生を防止することができる。しかし、ノック情報に応じて補正したアルコール濃度検出値を用いて燃料噴射量を補正するため、ノッキングの状態によって燃料噴射量が変動してしまい、トルク変動が生じたり、燃焼状態が不安定になる可能性がある。
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、従って本発明の目的は、燃料のアルコール濃度検出値の補正によってノッキングの発生を防止しながら、該アルコール濃度検出値の補正による燃料噴射量の変動を防止することができる内燃機関の制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、内燃機関に供給する燃料のアルコール濃度を検出又は推定するアルコール濃度判定手段を備えた内燃機関の制御装置において、燃料噴射制御用アルコール濃度設定手段によって、アルコール濃度判定手段で検出又は推定したアルコール濃度(以下「アルコール濃度検出値」という)を燃料噴射制御用のアルコール濃度として設定し、内燃機関のノッキング状態をノック判定手段で判定し、点火時期制御用アルコール濃度設定手段によって、ノック判定手段で判定したノッキング状態に応じてアルコール濃度検出値を補正して該補正後のアルコール濃度検出値を点火時期制御用のアルコール濃度として設定するようにしたものである。
この構成では、ノッキング状態(ノッキングの有無、強度、頻度等)に応じてアルコール濃度検出値を補正し、その補正後のアルコール濃度検出値を点火時期制御用のアルコール濃度として用いるため、万一、アルコール濃度判定手段の異常によりアルコール濃度検出値の検出精度が低下しても、ノッキング状態に応じて点火時期を変化させてノッキングの発生を防止することができる。
一方、燃料噴射制御に関しては、ノッキング状態に応じて補正したアルコール濃度検出値を用いずに、アルコール濃度判定手段で検出又は推定したアルコール濃度検出値をそのまま燃料噴射制御用のアルコール濃度として用いるため、ノッキング状態に応じて燃料噴射量が変動することを防止することができる。これにより、アルコール濃度検出値の補正による燃料噴射量の変動を防止してトルク変動や燃焼性悪化を防止しながら、ノッキングの発生を防止することができる。
ところで、本来、燃料のアルコール濃度を高精度に検出することが可能であれば、アルコール濃度検出値を補正せずに用いても、点火時期をノッキング状態に応じて設定することは可能と思われる(特許文献1ではアルコール濃度センサの異常時のみノック情報に応じてアルコール濃度検出値を補正するようにしている)。しかし、高精度のアルコール濃度センサを設けることは、かなりのコストアップとなるため、特に低コスト化が要求される車両(大衆車等)に本発明を適用する場合は、アルコール濃度判定手段として、安価な手段(空燃比F/B補正量、空燃比のずれ量等からアルコール濃度を推定する手法や安価なセンサ)を採用することが要求される。この場合、アルコール濃度判定手段の正常時でもアルコール濃度の推定誤差(検出誤差)がある程度大きくなると思われるが、本発明のように、ノッキング状態に応じてアルコール濃度検出値を補正して点火時期制御用のアルコール濃度として用いれば、アルコール濃度の推定誤差(検出誤差)が大きいシステムでも、ノッキングの発生を確実に防止することができる。
また、点火時期制御用のアルコール濃度を設定する際に、ノッキング状態に応じてアルコール濃度検出値を直接補正するようにしても良いが、一般に、内燃機関の点火時期制御では、ノッキング状態に応じて点火時期遅角量を算出するため、請求項2のように、ノッキング状態に応じた点火時期遅角量を用いてアルコール濃度検出値を補正して該補正後のアルコール濃度検出値を点火時期制御用のアルコール濃度として設定するようにしても良い。このようにすれば、ノッキング状態に応じた点火時期遅角量を利用してアルコール濃度検出値を精度良く補正して点火時期制御用のアルコール濃度を点火時期制御に適した値に設定することができる。
ところで、本発明は、燃料のアルコール濃度を精度良く検出できるシステムに適用する場合は、アルコール濃度判定手段の正常時には、必ずしも、アルコール濃度検出値をノッキング状態に応じて補正する必要はない。
そこで、請求項3のように、アルコール濃度判定手段の異常の有無を判定する異常診断手段を設け、アルコール濃度判定手段の異常有りと判定されたときに、ノッキング状態に応じてアルコール濃度検出値を補正して該補正後のアルコール濃度検出値を点火時期制御用のアルコール濃度として設定する処理を実行するようにしても良い。このようにすれば、アルコール濃度判定手段の異常が発生してアルコール濃度の検出精度が悪化したときに、アルコール濃度検出値をノッキング状態に応じて補正して、ノッキングの発生を防止することができる。しかも、アルコール濃度判定手段の正常時には、アルコール濃度検出値をノッキング状態に応じて補正しないため、点火時期を過剰に遅角補正せずに済み、点火時期をノック限界付近に制御することができて、燃費等を向上させることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を具体化した幾つかの実施例を説明する。
本発明の実施例1を図1乃至図3に基づいて説明する。
まず、図1に基づいてエンジン制御システム全体の概略構成を説明する。
内燃機関であるエンジン11の吸気管12の最上流部には、エアクリーナ13が設けられ、このエアクリーナ13の下流側に、吸入空気量を検出するエアフローメータ14が設けられている。このエアフローメータ14の下流側には、モータ15によって開度調節されるスロットルバルブ16と、このスロットルバルブ16の開度(スロットル開度)を検出するスロットル開度センサ17とが設けられている。
まず、図1に基づいてエンジン制御システム全体の概略構成を説明する。
内燃機関であるエンジン11の吸気管12の最上流部には、エアクリーナ13が設けられ、このエアクリーナ13の下流側に、吸入空気量を検出するエアフローメータ14が設けられている。このエアフローメータ14の下流側には、モータ15によって開度調節されるスロットルバルブ16と、このスロットルバルブ16の開度(スロットル開度)を検出するスロットル開度センサ17とが設けられている。
更に、スロットルバルブ16の下流側には、サージタンク18が設けられ、このサージタンク18に、エンジン11の各気筒に空気を導入する吸気マニホールド20が設けられている。各気筒の吸気マニホールド20の吸気ポート近傍に、それぞれ後述する主燃料を噴射する燃料噴射弁21と、後述する補助燃料を噴射する噴射ノズル19とが取り付けられている。また、エンジン11のシリンダヘッドには、各気筒毎に点火プラグ22が取り付けられ、各点火プラグ22の火花放電によって筒内の混合気に着火される。
一方、エンジン11の排気管23には、排出ガスの空燃比又はリッチ/リーン等を検出する排出ガスセンサ24(空燃比センサ、酸素センサ等)が設けられ、この排出ガスセンサ24の下流側に、排出ガスを浄化する三元触媒等の触媒25が設けられている。
また、エンジン11のシリンダブロックには、冷却水温を検出する冷却水温センサ26や、ノッキングを検出するノックセンサ29が取り付けられている。また、クランク軸27の外周側には、クランク軸27が所定クランク角回転する毎にパルス信号を出力するクランク角センサ28が取り付けられ、このクランク角センサ28の出力信号に基づいてクランク角やエンジン回転速度が検出される。
エンジン11の燃料としては、エタノールやメタノール等のアルコール、或はアルコールとガソリンとを混合した混合燃料等を使用可能であり、これらのアルコールを含んだアルコール燃料を主燃料としてエンジン11に供給し、この主燃料よりも揮発性が高い混合燃料やガソリン等を補助燃料としてエンジン11に供給するようになっている。
主燃料を貯溜するメイン燃料タンク30内には、主燃料を汲み上げるメイン燃料ポンプ31が設けられている。このメイン燃料ポンプ31から吐出される主燃料は、燃料配管32を通してデリバリパイプ33に送られ、このデリバリパイプ33から各気筒の燃料噴射弁21に分配される。燃料配管32のうちのメイン燃料ポンプ31付近には、フィルタ34とプレッシャレギュレータ35が接続され、このプレッシャレギュレータ35によってメイン燃料ポンプ31の吐出圧が所定圧力に調圧され、その圧力を越える主燃料の余剰分が燃料戻し管36によりメイン燃料タンク30内に戻されるようになっている。
一方、補助燃料を貯溜するサブ燃料タンク38内には、補助燃料を汲み上げるサブ燃料ポンプ39が設けられている。このサブ燃料ポンプ39から吐出される補助燃料は、燃料配管40を通して噴射ノズル19から噴射される。また、燃料配管40には、遮蔽弁41とデューティ制御弁42が設けられ、このデューティ制御弁42の開度を制御することで噴射ノズル19の補助燃料噴射量が調整される。
上述した各種センサの出力は、制御回路(以下「ECU」と表記する)43に入力される。このECU43は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵されたROM(記憶媒体)に記憶された各種のエンジン制御プログラムを実行することで、エンジン運転状態に応じて燃料噴射弁21の主燃料噴射量や噴射ノズル19の補助燃料噴射量や点火プラグ22の点火時期を制御する。
その際、ECU43は、冷却水温や主燃料のアルコール濃度等に基づいて補助燃料供給領域(主燃料の揮発性を十分に確保できない領域)であるか否かを判定し、補助燃料供給領域であれば、主燃料よりも揮発性の高い補助燃料の供給を実施し、補助燃料供給領域でなければ、補助燃料の供給を停止する。
また、ECU43は、所定の空燃比F/B制御実行条件が成立したときに、排出ガスセンサ24の出力に基づいて排出ガスの空燃比を目標空燃比に一致させるように空燃比F/B補正量を算出し、この空燃比F/B補正量を用いて燃料噴射弁21の主燃料噴射量を補正する空燃比F/B制御を実行する。ここで、「F/B」は「フィードバック」を意味する。
更に、ECU43は、図2の制御用アルコール濃度設定ルーチンを実行して、燃料噴射制御用アルコール濃度と点火時期制御用アルコール濃度を次のようにして設定する。
図2に示す制御用アルコール濃度設定ルーチンは、ECU43の電源オン中に所定周期で実行される。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ101で、例えば、空燃比F/B補正量、空燃比のずれ量、燃焼安定性(エンジン回転変動)、エンジントルク等の少なくとも1つに基づいて主燃料のアルコール濃度を推定(算出)する。この機能がアルコール濃度判定手段としての役割を果たす。尚、主燃料のアルコール濃度を検出するアルコール濃度センサ(アルコール濃度判定手段)を備えたシステムの場合には、このアルコール濃度センサで主燃料のアルコール濃度を検出するようにしても良い。
この後、ステップ102に進み、アルコール濃度判定手段(アルコール濃度推定機能又はアルコール濃度センサ)で推定又は検出したアルコール濃度(以下「アルコール濃度検出値」という)をそのまま燃料噴射制御用のアルコール濃度として設定する。
燃料噴射制御用のアルコール濃度=アルコール濃度検出値
このステップ102の処理が特許請求の範囲でいう燃料噴射制御用アルコール濃度設定手段としての役割を果たす。
燃料噴射制御用のアルコール濃度=アルコール濃度検出値
このステップ102の処理が特許請求の範囲でいう燃料噴射制御用アルコール濃度設定手段としての役割を果たす。
ECU43は、例えば、燃料噴射制御用のアルコール濃度に応じた燃料噴射補正量をマップ等により算出し、この燃料噴射補正量を用いて燃料噴射弁21の主燃料噴射量を補正する。
この後、ステップ103に進み、ノックセンサ29の出力信号に基づいてノッキング状態(ノッキングの有無、強度、頻度等)を判定する。このステップ103の処理が特許請求の範囲でいうノック判定手段としての役割を果たす。
この後、ステップ104に進み、ノッキング状態の判定結果に基づいてノッキングが発生しているか否かを判定する。その結果、ノッキングが発生していないと判定された場合には、ステップ105に進み、アルコール濃度検出値をそのまま点火時期制御用のアルコール濃度として設定する。
点火時期制御用のアルコール濃度=アルコール濃度検出値
点火時期制御用のアルコール濃度=アルコール濃度検出値
これに対して、上記ステップ104で、ノッキングが発生していると判定された場合には、ステップ106に進み、図3に示すアルコール濃度補正量のマップを参照して、ノッキングのレベル(強度や頻度等)に応じたアルコール濃度補正量を算出する。図3に示すアルコール濃度補正量のマップは、ノッキングのレベル大きくなるほどアルコール濃度補正量が大きくなるように設定されている。
この後、ステップ107に進み、アルコール濃度補正量を用いて前回の点火時期制御用のアルコール濃度(初期値はアルコール濃度検出値)を低下方向(つまり点火時期の遅角方向)に補正して今回の点火時期制御用のアルコール濃度を求める。
点火時期制御用のアルコール濃度
=前回の点火時期制御用のアルコール濃度−アルコール濃度補正量
これにより、ノッキングのレベルに応じて補正したアルコール濃度検出値を点火時期制御用のアルコール濃度として設定する。
=前回の点火時期制御用のアルコール濃度−アルコール濃度補正量
これにより、ノッキングのレベルに応じて補正したアルコール濃度検出値を点火時期制御用のアルコール濃度として設定する。
これらのステップ104〜107の処理が特許請求の範囲でいう点火時期制御用アルコール濃度設定手段としての役割を果たす。
ECU43は、例えば、点火時期制御用のアルコール濃度に応じた点火時期補正量をマップ等により算出し、この点火時期補正量を用いて点火プラグ22の点火時期を補正する。一般に、エンジン11に供給する燃料のアルコール濃度が高くなるほど点火時期のノック限界が進角側となるため、点火時期補正量のマップは、アルコール濃度が高くなるほど点火時期を進角する(アルコール濃度が低くなるほど点火時期を遅角する)ように点火時期補正量が設定されている。
以上説明した本実施例1では、ノッキングが発生したときに、ノッキングのレベル(強度、頻度等)に応じて補正したアルコール濃度検出値(前回の点火時期制御用のアルコール濃度−アルコール濃度補正量)を点火時期制御用のアルコール濃度として設定するようにしたので、万一、アルコール濃度判定手段(アルコール濃度推定機能又はアルコール濃度センサ)の異常によりアルコール濃度検出値の検出精度が低下しても、ノッキング状態(ノッキングの有無、強度、頻度等)に応じて点火時期を変化させてノッキングの発生を防止することができる。
一方、燃料噴射制御に関しては、ノッキング状態に応じて補正したアルコール濃度検出値を用いずに、アルコール濃度判定手段で検出又は推定したアルコール濃度検出値をそのまま燃料噴射制御用のアルコール濃度として設定するようにしたので、ノッキング状態に応じて燃料噴射量が変動することを防止することができる。これにより、アルコール濃度検出値の補正による燃料噴射量の変動を防止することができ、該燃料噴射量の変動によるトルク変動や燃焼性悪化を防止しながらノッキングの発生を防止することができる。
次に、図4を用いて本発明の実施例2を説明する。
本実施例2では、図4の制御用アルコール濃度設定ルーチンを実行することで、ノッキングのレベル(強度や頻度等)に応じた点火時期遅角量を用いてアルコール濃度補正量を算出し、このアルコール濃度補正量を用いて補正したアルコール濃度検出値を点火時期制御用のアルコール濃度として設定するようにしている。
本実施例2では、図4の制御用アルコール濃度設定ルーチンを実行することで、ノッキングのレベル(強度や頻度等)に応じた点火時期遅角量を用いてアルコール濃度補正量を算出し、このアルコール濃度補正量を用いて補正したアルコール濃度検出値を点火時期制御用のアルコール濃度として設定するようにしている。
図4のルーチンは、前記実施例1で説明した図2のルーチンのステップ106の処理をステップ106a、106bの処理に変更したものであり、それ以外の各ステップの処理は図2と同じである。
図4の制御用アルコール濃度設定ルーチンでは、ステップ104で、ノッキングが発生していると判定された場合には、ステップ106aに進み、ノッキングのレベル(強度や頻度等)に応じた点火時期遅角量をマップ等により算出する。点火時期遅角量のマップは、ノッキングのレベルが大きくなるほど点火時期遅角量が大きくなるように設定されている。尚、図示しない点火時期制御ルーチンによりノッキングのレベルに応じて算出した点火時期遅角量を読み込むようにしても良い。
この後、ステップ106bに進み、点火時期遅角量に応じたアルコール濃度補正量をマップ等により算出する。アルコール濃度補正量のマップは、点火時期遅角量が大きくなるほどアルコール濃度補正量が大きくなるように設定されている。
この後、ステップ107に進み、アルコール濃度補正量を用いて前回の点火時期制御用のアルコール濃度を補正して今回の点火時期制御用のアルコール濃度を求めることで、ノッキングのレベルに応じて補正したアルコール濃度検出値を点火時期制御用のアルコール濃度として設定する。
以上説明した本実施例2では、ノッキングのレベルに応じた点火時期遅角量を利用してアルコール濃度検出値を補正して点火時期制御用のアルコール濃度を点火時期制御に適した値に設定することができる。
次に、図5を用いて本発明の実施例3を説明する。
燃料のアルコール濃度を精度良く検出できるシステムに本発明を適用する場合は、アルコール濃度判定手段の正常時には、必ずしも、アルコール濃度検出値をノッキング状態に応じて補正する必要はない。
燃料のアルコール濃度を精度良く検出できるシステムに本発明を適用する場合は、アルコール濃度判定手段の正常時には、必ずしも、アルコール濃度検出値をノッキング状態に応じて補正する必要はない。
そこで、本実施例3では、図5の制御用アルコール濃度設定ルーチンを実行することで、アルコール濃度判定手段の異常有りと判定されたときに、ノッキング状態に応じてアルコール濃度検出値を補正して該補正後のアルコール濃度検出値を点火時期制御用のアルコール濃度として設定する処理を実行するようにしている。
図5のルーチンは、前記実施例1で説明した図2のルーチンのステップ102の処理の後にステップ102a、102bの処理を追加したものであり、それ以外の各ステップの処理は図2と同じである。
図5の制御用アルコール濃度設定ルーチンでは、ステップ102で、アルコール濃度検出値をそのまま燃料噴射制御用のアルコール濃度として設定した後、ステップ102aに進み、アルコール濃度判定手段の異常診断を実行して、アルコール濃度判定手段(アルコール濃度推定機能又はアルコール濃度センサ)で推定又は検出したアルコール濃度検出値の変化量(例えば今回値と前回値との差)が所定範囲内であるか否かによってアルコール濃度判定手段の異常の有無を判定する。尚、アルコール濃度判定手段の異常診断方法は、適宜変更しても良く、例えば、アルコール濃度検出値が所定範囲内であるか否かによってアルコール濃度判定手段の異常の有無を判定するようにしても良い。このステップ102aの処理が特許請求の範囲でいう異常診断手段としての役割を果たす。
この後、ステップ102bに進み、アルコール濃度判定手段の異常診断結果に基づいてアルコール濃度判定手段の異常有りか否かを判定する。その結果、アルコール濃度判定手段の異常無し(正常)と判定された場合には、ステップ105に進み、アルコール濃度検出値をそのまま点火時期制御用のアルコール濃度として設定する。
一方、上記ステップ102bで、アルコール濃度判定手段の異常有りと判定された場合には、ステップ104に進み、ノッキングが発生しているか否かを判定する。その結果、ノッキングが発生していないと判定された場合には、ステップ105に進み、アルコール濃度検出値をそのまま点火時期制御用のアルコール濃度として設定する。尚、アルコール濃度判定手段の異常有りと判定される直前のアルコール濃度検出値を点火時期制御用のアルコール濃度として設定するようにしても良い。
これに対して、上記ステップ104で、ノッキングが発生していると判定された場合には、ステップ106に進み、ノッキングのレベルに応じたアルコール濃度補正量を算出した後、ステップ107に進み、アルコール濃度補正量を用いて前回の点火時期制御用のアルコール濃度を補正して今回の点火時期制御用のアルコール濃度を求めることで、ノッキングのレベルに応じて補正したアルコール濃度検出値を点火時期制御用のアルコール濃度として設定する。
尚、ノッキングのレベルに応じた点火時期遅角量を用いてアルコール濃度補正量を算出し、このアルコール濃度補正量を用いて前回の点火時期制御用のアルコール濃度を補正して今回の点火時期制御用のアルコール濃度を求めるようにしても良い。
以上説明した本実施例3では、アルコール濃度判定手段の異常が発生してアルコール濃度の検出精度が悪化したときに、ノッキング状態に応じて補正したアルコール濃度検出値を点火時期制御用のアルコール濃度として用いるようにしたので、アルコール濃度判定手段の異常によるノッキングの発生を防止することができる。更に、アルコール濃度判定手段の正常時には、アルコール濃度検出値をノッキング状態に応じて補正しないため、点火時期を過剰に遅角補正せずに済み、点火時期をノック限界付近に制御することができて、燃費等を向上させることができる。
尚、上記各実施例1〜4では、ノッキングレベルに応じたアルコール濃度補正量を用いて前回の点火時期制御用のアルコール濃度を補正して今回の点火時期制御用のアルコール濃度を求めるようにしたが、ノッキングレベルに応じたアルコール濃度補正量を用いてアルコール濃度検出値を補正して今回の点火時期制御用のアルコール濃度を求めるようにしても良い。
また、上記各実施例1〜4では、噴射ノズル19、サブ燃料タンク38、サブ燃料ポンプ39等からなる補助燃料噴射装置を備えたシステムに本発明を適用したが、補助燃料噴射装置を備えていないシステムに本発明を適用しても良い。
11…エンジン(内燃機関)、12…吸気管、16…スロットルバルブ、19…噴射ノズル、21…燃料噴射弁、22…点火プラグ、23…排気管、30…メイン燃料タンク、38…サブ燃料タンク、43…ECU(アルコール濃度判定手段,燃料噴射制御用アルコール濃度設定手段,ノック判定手段,点火時期制御用アルコール濃度設定手段,異常診断手段)
Claims (3)
- 内燃機関に供給する燃料のアルコール濃度を検出又は推定するアルコール濃度判定手段を備えた内燃機関の制御装置において、
前記アルコール濃度判定手段で検出又は推定したアルコール濃度(以下「アルコール濃度検出値」という)を燃料噴射制御用のアルコール濃度として設定する燃料噴射制御用アルコール濃度設定手段と、
内燃機関のノッキング状態を判定するノック判定手段と、
前記ノック判定手段で判定したノッキング状態に応じて前記アルコール濃度検出値を補正して該補正後のアルコール濃度検出値を点火時期制御用のアルコール濃度として設定する点火時期制御用アルコール濃度設定手段と
を備えていることを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 前記点火時期制御用アルコール濃度設定手段は、前記ノッキング状態に応じた点火時期遅角量を用いて前記アルコール濃度検出値を補正して該補正後のアルコール濃度検出値を点火時期制御用のアルコール濃度として設定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記アルコール濃度判定手段の異常の有無を判定する異常診断手段を備え、
前記点火時期制御用アルコール濃度設定手段は、前記アルコール濃度判定手段の異常有りと判定されたときに、前記ノッキング状態に応じて前記アルコール濃度検出値を補正して該補正後のアルコール濃度検出値を点火時期制御用のアルコール濃度として設定する処理を実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。
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WO2017090307A1 (ja) * | 2015-11-23 | 2017-06-01 | 株式会社デンソー | センサ故障診断装置 |
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