JP3191026B2 - 多面燃焼バーナ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、通気性バーナ板の表面
で燃料ガスを燃焼させる表面燃焼方式のバーナに関す
る。特には、複数枚（表裏２面等）のバーナ板を有し、
多面的に熱放射加熱できる多面燃焼バーナに関する。

【０００２】

【従来の技術】本発明者らは、先に、特開平２−２７９
９０８に開示されている繊維焼結バーナ板を有する表面
燃焼方式のバーナを開発した。この従来のバーナを添付
図を参照しつつ説明する。

【０００３】図３はバーナの正面図、図４は側面図であ
る。図において、１１０はバーナ板１０１を取り付けた
バーナ本体、１１２は燃料ガスの供給装置で、燃料ガス
をガスボンベ１１３からバーナ本体１０１内に設けられ
たノズル１１４に供給するようになっている。燃料ガス
にはプロパンガスを用いている。１１６は空気を供給す
るプロワーで、バーナ本体１０１の上流側でノズル１１
４から噴出する燃料ガスと空気との予混合気体をつくる
ようになっている。１２０は点火プラグで、１２１は点
火プラグ１２０及び燃料ガス用電磁弁１１５の電源であ
る。

【０００４】上記のように構成されたバーナにおいて、
燃料ガスと空気との予混合気体は、バーナ板１０１の全
面から均一に噴出する。次いで、点火プラグ１２０によ
り点火すれば、火炎はバーナ板１０１全面に伝播し、そ
の表面に付着した状態で燃焼を開始し表面から浮上しな
い。かくして、バーナ板１０１の表面が均一に赤熱さ
れ、高温ガスからの熱と、高い放射による熱が発生す
る。

【０００５】この従来のバーナ板は、空隙率がきわめて
高いので、面負荷を上げることが容易となり、高負荷燃
焼が達成できる。また、放射効率、熱効率が向上し、大
面積のバーナ板であっても、表面での均一燃焼が可能に
なるという効果がある。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上述の従来のバーナ
は、バーナ板をリング状等に構成することはできるもの
の、基本的に、バーナ板を一面しか有していなかった。
そのため、金型のオス型・メス型を同時に加熱するよう
な場合、平面型のバーナを２個背中合わせに重ね、上下
両方向に熱を放射するように用いる必要があった。した
がって、そのような場合は、バーナを２セット用意する
とともに、加熱したい両面間を担当スペースを開けてか
ら作業せねばならず、費用面でも作業面でも問題があっ
た。また、両面の間隔が狭いこともよくあり、この場合
にはバーナを２セット入れることができず、１台のバー
ナで裏返しながら加熱せねばならなかった。

【０００７】本発明は、ある間隔を置いて対面する２面
等の複数の面を１台で加熱できるような多面燃焼バーナ
を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明に係る多面燃焼バ
ーナは、一定の高さを有する枠状のケーシングと、該ケ
ーシングの両面開口部に設置された２枚のバーナ板と、
前記ケーシング内に挿入されて燃料ガスを吹き出す燃料
ガス供給手段とを備え、該燃料ガス供給手段の燃料吹出
し口を前記ケーシングの枠部に向けて配置し、前記燃料
ガス供給手段から吹き出す燃料ガスが、前記ケーシング
の枠部に向かうと共に、前記バーナ板の板面に沿う方向
に流れるように構成したものである。

【０００９】また、燃料ガス供給手段から吹き出す燃料
ガスを拡散させる多孔板を前記燃料ガス供給手段と前記
バーナ板の間に設けたものである。

【００１０】さらに、前記バーナ板が、空隙率８０〜９
５％の繊維焼結板からなることを特徴とする請求項１又
は２記載の多面燃焼バーナ。

【００１１】

【作用】燃料ガス供給手段は、例えば、多数の燃料ガス
吹出孔を有する筒体等で構成されており、燃料ガス吹出
孔はケーシングの枠部に対向して配置されている。この
燃料ガス吹出孔から吹き出す燃料ガスは、ケーシングの
枠部に向かってバーナ板の板面に沿うように流れる。し
たがって、燃料ガスは、バーナ板の一部から局部的に出
ることなく、バーナ板に均一な静圧をかけ、バーナ板か
ら均一的に出て面状燃焼が行われる。また、バーナ板
を、燃料ガス供給手段をはさむように背中合わせで並行
に２枚配置しており、ある間隔を置いて対面する２面
を、両面間に１台のバーナを入れて、同時に加熱するこ
とができる。

【００１２】本発明のバーナにおいては、燃料ガス供給
手段からバーナ板への燃料ガス供給を均一化させるため
に、燃料ガスを拡散させる多孔板を設けることができ
る。これによって、バーナ板の表面温度を均一化させ、
被加熱面を均一に加熱することができる。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の実施例に係る多面燃焼バーナ
の図面を参照しつつ説明する。図１は、本発明の一実施
例に係る多面燃焼バーナの一部断面側面図である。図２
は、図１の多面燃焼バーナの一部断面平面図である。こ
の多面燃焼バーナは、ケーシング１、燃料ガス管２、燃
料ガスヘッダー３、多孔板４、バーナ板５、押えフラン
ジ６等から構成されている。

【００１４】ケーシング１は、長方形の開口を有するワ
クのような形をしており、ステンレス鋼板等の溶接構造
である。このケーシング１の一側面（図の右側面）の外
側には、接続管１１がケーシングのワク板１３を貫通す
るように設けられている。この接続管１１には、ケーシ
ングの外側から燃料ガス管２が接続されている。接続管
１１のケーシング内側には燃料ガスヘッダー３が接続さ
れている。

【００１５】ケーシング１のワク板１３の端部はフラン
ジ部１５となっている。このフランジ部１５の外面に
は、バーナ板５が、押えフランジ６と押えボルト７とに
よって取り付けられている。ケーシング１の温度上昇を
抑制する必要がある場合は、ケーシング１のワク板１３
の内面に、セラミックスウール等の断熱材層を設けるこ
ともできる。

【００１６】燃料ガス管２から、図４の従来のバーナ同
様の仕組により、燃料ガスと空気との混合ガス（燃料ガ
ス）が燃料ガスヘッダー３に送られる。燃料ガスヘッダ
ー３は、パイプ製（ステンレス鋼等）であり、その側面
には多数の燃料ガス吹出孔３１が開けられている。この
燃料ガス吹出孔３１からは、燃料ガスヘッダー３内を通
って燃料ガス管２から送られている燃料ガスがケーシン
グ１内に吹き出す。

【００１７】燃料ガス吹出孔３１は、図２に示されてい
るように、燃料ガスヘッダー３の両側面に多数開けられ
ている。この燃料ガス吹出孔３１から吹出す燃料ガス
は、バーナ板５の広がっている方向に向って流れるよう
になっている。なお、燃料ガスヘッダー３の先端（図の
左端）は、端板３３でふさがれている。燃料ガス吹出孔
３１の穴径やピッチは、バーナ板５の各部に均等に燃料
ガスが行きわたるように選択される。その観点からは、
燃料ガスヘッダー３の先端側で燃料ガス吹出孔３１の開
口面積密度が低く、燃料ガスヘッダー３の後端側でそれ
が高いほうが好ましい。

【００１８】多孔板４は、燃料ガスヘッダー３とバーナ
板５との間に、燃料ガスヘッダー３と並行に広がるよう
に設けられている。多孔板４は、ステンレス製パンチン
グメタル等を用いることができる。燃料ガスヘッダー３
から吹出した燃料ガスは、この多孔板４によって、より
均一にバーナ板５の隅々にまで拡散される。なお、多孔
板を設けなくても支障のない場合も多い。

【００１９】バーナ板５は、ケーシング１の両面（図１
の上下）のフランジ部に、２枚取付けられている。これ
らのバーナ板５は、ステンレス（ＳＵＳ３１６）の長繊
維（平均径２５μm 、平均長さ５０mm）を焼結したもの
であり、空隙率は約８５％である。多孔板４を通った燃
料ガスは、バーナ板５の内面からバーナ板５を通って外
面に出て燃焼する。なお、バーナ板５の外面には、着下
装置（スパーカー等、図示されず）が設けられており、
これによりバーナに着火されるようになっている。

【００２０】本実施例の多面燃焼バーナは、上下対称の
構造となっている。そのため、上下のバーナ板５には、
ほぼ同量・同圧の燃料ガスが供給され、多面燃焼バーナ
の両面から放射される火力はほぼ等しくなる。その結
果、上下の被可熱物を均等に加熱できる。もちろん、場
合によっては、両面の火力を意図的に異ならせることも
できる。また、ケーシング１の厚さを変えることによ
り、被加熱面の間隔に応じて、上下のバーナ板５間の距
離を変えることもできる。

【００２１】本実施例のバーナは、長方体ケーシングの
相対する２面にバーナ板を有するが、本発明はこれに限
定されるものではない。ケーシングの側面にバーナ板を
設け、３面、４面と加熱ができるようにも構成しうる。
また、三角柱のケーシングで３面を加熱するようにもで
きる。

【００２２】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の多面燃焼バーナは以下の効果を発揮する。 燃料ガ
スがバーナ板の一部から局部的に出ることなく、バーナ
板から均一的に出ることになるので、均一的な面状燃焼
が可能となる。 複数の被加熱面を１台のバーナで同
時に加熱できるので、２台以上のバーナを組合せて作業
する場合と比較して、加熱作業の手間が軽減される。
２台以上のバーナを組合せる場合と比較して、バーナ
の占有する空間が小さくてすむので、間隔の狭い２面な
どの間にもバーナを入れて、両面同時に加熱できる。そ
のため、両面の均熱性に優れ、作業も短時間ですむ。
複数のバーナ板に燃料ガスを供給する燃料ガス供給装
置は１組ですむため、その装置寸法は大型になるとはい
え、複数のバーナを準備するよりは全体としてのバーナ
装置価格は安くなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係る多面燃焼バーナの一部
断面側面図である。

【図２】図１の多面燃焼バーナの一部断面平面図であ
る。

【図３】特開平２−２７９９０８に開示されているバー
ナの正面図である。

【図４】図３のバーナの側面図である。

【符号の説明】

１ ケーシング ２ 燃料ガス管 ３ 燃料ガスへッダー ４ 多孔板 ５ バーナ板 ６ 押えフランジ ７ 押えボルト １１ 接続管 １３ ワク板 １５ フランジ部 ３１ 燃料ガス吹出孔 ３３ 端板

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 早瀬 保 神奈川県横浜市鶴見区弁天町３番地 エ ヌケーケー総合設計株式会社内 (72)発明者 龍田 英世 神奈川県横浜市鶴見区弁天町３番地 エ ヌケーケー総合設計株式会社内 (72)発明者 田岡 幸保 神奈川県横浜市鶴見区弁天町３番地 エ ヌケーケー総合設計株式会社内 (56)参考文献 特開 平５−33913（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−180420（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−8468（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−279908（ＪＰ，Ａ) 実開 昭63−74927（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) F23D 14/16

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一定の高さを有する枠状のケーシング
   と、該ケーシングの両面開口部に設置された２枚のバー
   ナ板と、前記ケーシング内に挿入されて燃料ガスを吹き
   出す燃料ガス供給手段とを備え、該燃料ガス供給手段の燃料吹出し口を前記ケーシングの
   枠部に向けて配置し、 前記燃料ガス供給手段から吹き出す燃料ガスが、前記ケ
   ーシングの枠部に向かうと共に、 前記バーナ板の板面に
   沿う方向に流れるように構成したことを特徴とする多面
   燃焼バーナ。
2. 【請求項２】 燃料ガス供給手段から吹き出す燃料ガス
   を拡散させる多孔板を前記燃料ガス供給手段と前記バー
   ナ板の間に設けたことを特徴とする請求項１記載の多面
   燃焼バーナ。
3. 【請求項３】 前記バーナ板が、空隙率８０〜９５％の
   繊維焼結板からなることを特徴とする請求項１又は２記
   載の多面燃焼バーナ。