JP3190778B2 - シートリクライニング装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明はシートリクライニング
装置に関するもので、特に、ベースプレートを変更でき
るように、シートリクライニング装置のロック機構をユ
ニット化した構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】車両用座席に用いられるシートリクライ
ニング装置は、乗員の安楽な姿勢や最適運転姿勢を確保
するために、自動車には不可欠の装置である。

【０００３】このシートリクライニング装置は、座席の
シートクッションに固定するベースプレートに、シート
バックに固定するアームがヒンジシャフトを介して回動
可能に軸支され、かつ、ロック機構は、アーム側に円弧
状の歯部が形成され、この歯部に噛合する歯部を有する
ロアーツースが操作レバーにて回動可能にベースプレー
トに軸支されてなる。そして、アームはヒンジシャフト
に巻き付けた渦巻きばねにて前倒れ方向へ常に回動付勢
される。

【０００４】したがって、着座者は操作レバーを操作
し、ロアーツースの歯部をアーム側の歯部から離し、着
座者の背でシートバックを押し又は前屈して渦巻きばね
の力を利用して引くことにより、所望の傾斜角度で操作
レバーを離すとアームが固定されるというものである。
このように、ロック機構におけるロアーツースの歯部と
アーム側の歯部との噛合位置の変化により、シートバッ
クの適宜の傾斜角度を設定できる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、シート
リクライニング装置のベースプレートは、車種により異
なるのが通例であって、シートクッションの側面の一部
に固定する短尺のものと、シートクッションの側面全長
に及ぶ長尺でサイドブラケットを兼ね、このサイドブラ
ケットがシートスライド機構の上に載置されてシートス
ライド機構の一部を構成するものとがあるほか、ベース
プレートの形状も車種又は座席構造上の制約を受けて異
種のものとしなければならないことがある。

【０００６】一方アームは、シートバックの構造に影響
され、アームがプレスで成型されたリブを有するもので
あったり、又は肉厚の一枚板で成形されたりして形状も
種々異なることがある。

【０００７】ところで、アームの作動角度が同じであ
り、構造的に基本的な変化のないシートリクライニング
装置であっても、ベースプレートやアームの形状が異な
る場合には、異種のベースプレートやアームであるとい
うだけの理由にて既存の製造ラインを使用することがで
きず、新たな製造ラインを設けなければならない、とい
うのが通例である。

【０００８】したがって、異種のベースプレートやアー
ムを有するシートリクライニング装置は、一定の規格的
なシートリクライニング装置に比べ、製造コストの上昇
が必須とならざるを得ないのが現状である。

【０００９】そこで、この発明は、シートリクライニン
グ装置のロック機構をユニット化することにより、異種
のベースプレートやアームであっても同一製造ラインに
おいて製造できるようにすることを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、この発明にかかるシートリクライニング装置は、ベ
ースプレートに重ねて連結するための連結部と、異物が
上方から進入しないようにすると共に、下記アッパーツ
ースが回動するのに支障がないように一部を直角に曲げ
形成し、かつ、一部切欠かれた切欠部を形成したフラン
ジ部とを有するホルダープレートと、これに離間して平
行に重ねたカバープレートとの間に、ホルダープレート
に固定されたヒンジシャフトを介して円弧状に形成され
た歯部、及び、シートバックに固定するアームの連結部
を有するアッパーツースを軸支し、かつ、該歯部と噛合
する歯部を有するロアーツースと、該ロアーツースと係
合するカム、該カムと連動して回動可能な操作レバーと
をそれぞれ回動可能に軸支して挟持するとともに、前記
カムと操作レバーのいずれか一方と前記カバープレート
又はホルダープレートとの間にリターンスプリングを弾
装してリクライニングユニットを構成した。

【００１１】また、ベースプレートに重ねて連結するた
めの連結部と、異物が上方から進入しないようにすると
共に、下記アッパーツースが回動するのに支障がないよ
うに一部を直角に曲げ形成し、かつ、一部切欠かれた切
欠部を形成したフランジ部とを有するホルダープレート
と、これに離間して平行に重ねたカバープレートとの間
に、ホルダープレートに固定されたヒンジシャフトを介
して円弧状に形成された歯部、及び、シートバックに固
定するアームの連結部を有するアッパーツースを軸支
し、かつ、該歯部と噛合する歯部を有するロアーツース
と、該ロアーツースと係合するカムとをそれぞれ回動可
能に軸支して挟持するとともに、前記カムと連動して回
動可能な操作レバーを前記カバープレートに重ねて平行
に配設し、かつ、前記カムと操作レバーのいずれか一方
と前記カバープレート又はホルダープレートとの間にリ
ターンスプリングを弾装してリクライニングユニットと
したことを特徴とする。

【００１２】

【作用】ホルダープレートをベースプレートに連結し、
アッパーツースにアームを連結すると、シートリクライ
ニング装置を簡便迅速かつ容易に製造できるから、ベー
スプレートにアッパーツース、該アッパーツースに係脱
するロアーツース及び該ロアーツースを回動させるカム
を組み付けることがなく、そのために、ベースプレート
に制約される製造ラインを排除でき、しかも、シートリ
クライニング装置の多種少量生産も可能となる。また、
車種毎で異種の座席装置に合わせて操作レバーを後付け
することができる。

【００１３】

【実施例】以下、この発明の実施例を図に基づき説明す
る。図１から図４に示すように、ホルダープレート１
に、ヒンジシャフト２を介してアッパーツース３が回動
可能に軸支され、このアッパーツース３の円弧状の歯部
４に噛合する歯部５を有するロアーツース６が段付きピ
ン７で回動可能に軸支されている。また、このロアーツ
ース６を回動させるカム８を有する操作レバー９が段付
きピン１０で軸支されている。

【００１４】ホルダープレート１に離間して平行にカバ
ープレート１１が配設され、このホルダープレート１と
カバープレート１１に、ヒンジシャフト２及び段付きピ
ン７，１０をかしめ固定し、アッパーツース３、ロアー
ツース６、カム８及び操作レバー９はサンドイッチ状に
挾まれている。

【００１５】操作レバー９とカバープレート１１との間
にリターンスプリング１２が配設されて、操作レバー９
は段付きピン１０を中心として図示時計方向への回動付
勢が常になされている。

【００１６】この操作レバー９にはカム８に形成した凹
部８ａに係合する凸部９ａが形成されて、この凹部８ａ
と凸部９ａが係合してカム８と操作レバー９は一体とし
て回動できる公知の構成が採用されている。

【００１７】リターンスプリング１２の一端部はホルダ
ープレート１とカバープレート１１の一部を合わせて形
成した係止部１ａ，１１ａに係止されている。

【００１８】これにより、操作レバー９と一体のカム８
が回動してロアーツース６の当接部６ａに接触し、ロア
ーツース６を段付きピン７を中心として図示時計方向へ
回動させている。したがって、ロアーツース６の歯部５
がアッパーツース３の歯部４に噛合し、アッパーツース
３はヒンジシャフト２を中心として回動できない状態に
ある。

【００１９】前記ホルダープレート１は平板からなる
が、歯部４，５の噛合部に異物が上方から進入しないよ
うに一部を直角に曲げ形成してフランジ部１３を形成
し、また、アッパーツース３とアーム２０をかしめ加工
等により連結するのに支障がないように、そのフランジ
部１３が一部切欠れて切欠部１３ａが開設されている。

【００２０】この切欠部１３ａは、図１において、アッ
パーツース３を２点鎖線で示すＡ位置に位置させること
により、ホルダープレート１を逃げて固定用治具をセッ
トできるようにしている。

【００２１】また、このホルダープレート１はベースプ
レート１８よりも寸法的に小さく形成される。さらに、
このホルダープレート１には、ベースプレート１８にピ
ンをかしめ加工にて、又はボルトで連結するための連結
用孔１４が適宜穿設されている。

【００２２】ヒンジシャフト２はカバープレート１１を
貫通して上方へ突出し、その端部にスリット１５を有
し、このスリット１５に渦巻きばねの中心端部を係合さ
せることができる（図５参照）。

【００２３】アッパーツース３はヒンジシャフト２を中
心とする円弧部に歯部４を形成し、その対向側にアーム
２０を連結するためのピン又はボルトを挿入する連結用
孔１６が穿設されている。歯部４は、多段階の傾斜角度
を設定できるように、比較的小さな角度で形成されてい
る。かくして、リクライニングユニット１７が構成され
る。

【００２４】次にこの発明の他の実施例を図６，７に基
づき説明する。前記リクライニングユニット１７は、操
作レバー９をホルダープレート１とカバープレート１１
間に挟持したが、このリクライニングユニット１７ａは
操作レバー９を後付けできるようにした点が異なる。

【００２５】すなわち、前記カバープレート１１から突
出する段付きピン１０に操作レバー９を回動可能に軸支
する。そして操作レバー９と前記カム８を、前記実施例
における凹部８ａと凸部９ａの係合でなく、凸部９ａに
代えた操作レバー９の透孔９ｂにピン３０の一端部をか
しめ結合し、他端部を凹部８ａに代えたカム８の穴８ｂ
に嵌合して係合させ、操作レバー９とカム８とを一体で
回動できるようにしたものである。

【００２６】このリクライニングユニット１７ａによれ
ば、操作レバー９を後付けできるために、車種毎で異種
のベースプレートにそれぞれ適した操作レバー９を取り
付けることができる。

【００２７】図５及び図７は上記リクライニングユニッ
ト１７，１７ａをベースプレート１８，２３に固定した
一例を示す。

【００２８】すなわち、ホルダープレート１の連結用孔
１４と合致すべく穿設された連結用孔２３ａ（図７）を
ベースプレート１８に穿設し、それらの連結用孔１４，
２３ａが合致するようにホルダープレート１をベースプ
レート１８に重ね、ピン１９をそれらの連結用孔１４，
２３ａに挿通し、かつ、端部をかしめて連結する。

【００２９】また、アッパーツース３にその連結用孔１
６と合致すべく穿設された連結用孔２０ａ（図７）を有
するアーム２０を重ね、それらの連結用孔１６，２０ａ
にピン２１を挿通し、かつ、端部をかしめるともに、ピ
ン２１の一方に渦巻きばね２２の外端部を係止すると、
シートリクライニング装置が完成する。

【００３０】これらの連結作業、すなわち、ホルダープ
レート１とベースプレート１８及びアッパーツース３と
アーム２０の連結は、それぞれの合致した連結用孔１
４，１６にピンを１９，２１を挿入して同時にそれらの
ピン１９，２１をプレス等にて押圧して同時にかしめ結
合することができるから、組付け性が向上する。

【００３１】上記同様にして、異種のベースプレート２
３にリクライニングユニット１７又は１７ａを連結する
ことにより、ベースプレート１８，２３の変化に対応し
て車種毎のシートリクライニング装置を製造することが
できる。

【００３２】なお、車両の座席装置におけるシートリク
ライニング装置を左右一対で構成する必要があるとき
は、カバープレート１１、アッパーツース３、ロアーツ
ース６及びカム８は平板状であるから裏返して使用でき
るため、フランジ部１３の向きが異なるホルダープレー
ト１のみを左右対称型で形成すればよい。

【００３３】したがって、ホルダープレート１を、種々
あるベースプレートに重ねて固定することができるよう
にしさえすれば、ベースプレートの形状如何がシートリ
クライニング装置の製造ラインに影響を及ぼすことはな
い。

【００３４】このようにして製造されたシートリクライ
ニング装置は、ベースプレート１８，２３に座席のシー
トクッションを固定し、アーム２０にシートバックを固
定することにより車両用座席が完成する。

【００３５】そこで、着座者が操作レバー９を段付きピ
ン１０を中心として時計方向へ回動すると、カム８が共
に回動してロアーツース６の凹部６ｂに進入することに
より、ロアーツース６が段付きピン７を中心として反時
計方向へ回動し、その歯部５がアッパーツース３の歯部
４から離れるために、アッパーツース３はヒンジシャフ
ト２を中心として回動可能な状態となる。

【００３６】ついで、着座者の背でシートバックを後方
へ押し、又は、渦巻きばね２２の力で前側へ倒してシー
トバックの所望の傾斜角度を設定し、操作レバー９を離
すと、操作レバー９は段付きピン１０を中心としてリタ
ーンスプリング１２の力で反時計方向へ回動し、カム８
が共に回動してロアーツース６の凹部６ｂから当接部６
ａに移動することにより、ロアーツース６が段付きピン
７を中心として時計方向へ回動してその歯部５がアッパ
ーツース３の歯部４に噛合するから、アッパーツース３
はヒンジシャフト２を中心として回動できなくなる。

【００３７】

【発明の効果】以上説明したこの発明によれば、シート
リクライニング装置のロック機構をユニット化したの
で、形状を異にするベースプレート及びアームを有する
シートリクライニング装置を、同一の製造ラインで簡便
迅速かつ容易に製造できる。

【００３８】したがって、ベースプレートの形状のみを
異にするシートリクライニング装置を、特別の製造ライ
ンを設けることなく、多種少量の製造も可能となり、ま
た、製造コストの上昇をも抑えることができる。

【００３９】また、操作レバーを後付けすることによ
り、車種毎で異種のベースプレートに合わせた操作レバ
ーを配設することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施例を示す正面図

【図２】図１の平面図

【図３】図１の底面図

【図４】分解斜視図

【図５】この発明の適用例を示す分解斜視図

【図６】この発明の他の実施例を示す分解斜視図

【図７】他の実施例の適用例を示す分解斜視図

【符号の説明】

１…ホルダープレート ２…ヒンジシャフト ３…アッパーツース ４，５…歯部 ６…ロアーツース ７，１０…段付きピン ８…カム ９…操作レバー １１…カバープレート １２…リターンスプリング １３…フランジ部 １４，１６…連結用孔 ２０…アーム １８，２３…ベースプレート

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 昭60−125946（ＪＰ，Ｕ) 実開 平１−92849（ＪＰ，Ｕ) 実願 昭62−188694号（実開 平１− 92849号）の願書に添付した明細書及び 図面の内容を撮影したマイクロフィルム （ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A47C 1/025

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ベースプレートに重ねて連結するための
   連結部と、異物が上方から進入しないようにすると共
   に、下記アッパーツースが回動するのに支障がないよう
   に一部を直角に曲げ形成し、かつ、一部切欠かれた切欠
   部を形成したフランジ部とを有するホルダープレート
   と、これに離間して平行に重ねたカバープレートとの間
   に、ホルダープレートに固定されたヒンジシャフトを介
   して円弧状に形成された歯部、及び、シートバックに固
   定するアームの連結部を有するアッパーツースを軸支
   し、かつ、該歯部と噛合する歯部を有するロアーツース
   と、該ロアーツースと係合するカム、該カムと連動して
   回動可能な操作レバーとをそれぞれ回動可能に軸支して
   挟持するとともに、前記カムと操作レバーのいずれか一
   方と前記カバープレート又はホルダープレートとの間に
   リターンスプリングを弾装してリクライニングユニット
   としたことを特徴とするシートリクライニング装置。
2. 【請求項２】 ベースプレートに重ねて連結するための
   連結部と、異物が上方から進入しないようにすると共
   に、下記アッパーツースが回動するのに支障がないよう
   に一部を直角に曲げ形成し、かつ、一部切欠かれた切欠
   部を形成したフランジ部とを有するホルダープレート
   と、これに離間して平行に重ねたカバープレートとの間
   に、ホルダープレートに固定されたヒンジシャフトを介
   して円弧状に形成された歯部、及び、シートバックに固
   定するアームの連結部を有するアッパーツースを軸支
   し、かつ、該歯部と噛合する歯部を有するロアーツース
   と、該ロアーツースと係合するカムとをそれぞれ回動可
   能に軸支して挟持するとともに、前記カムと連動して回
   動可能な操作レバーを前記カバープレートに重ねて平行
   に配設し、かつ、前記カムと操作レバーのいずれか一方
   と前記カバープレート又はホルダープレートとの間にリ
   ターンスプリングを弾装してリクライニングユニットと
   したことを特徴とするシートリクライニング装置。