JP3187511B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JP3187511B2
JP3187511B2 JP05440892A JP5440892A JP3187511B2 JP 3187511 B2 JP3187511 B2 JP 3187511B2 JP 05440892 A JP05440892 A JP 05440892A JP 5440892 A JP5440892 A JP 5440892A JP 3187511 B2 JP3187511 B2 JP 3187511B2
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斉 冨田
敏雄 本間
克己 大西
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カネボウ株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱可塑性樹脂組成物に
関するものであり、更に詳しくは高靱性及び耐熱老化性
に優れており、各種電気電子部品,自動車部品,工業部
品等に好適な熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル,特にポリブチレンテレフ
タレート樹脂は、耐熱性,機械特性及び成形性に優れて
おり、種々の分野に使用されている。しかし、靱性が不
充分であり、用途制約の一因となっている。この解決手
段として、ゴム成分とのブレンドが挙げられるが、相分
離等の問題が有るため最近ではポリアルキレングリコー
ルやダイマー酸を共重合させたポリマーが新しく提案さ
れている(米国特許第3954689号明細書、米国特
許第4254001号明細書)。
【0003】しかし、ポリアルキレングリコールやダイ
マー酸を共重合させたポリマーは、初期の靱性は著しく
向上するも、耐熱老化性は著しく不良である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的と
するところは、上記従来技術の問題点を解決し、高靱性
及び耐熱老化性に優れる熱可塑性樹脂組成物を提供する
にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述の目的は、相対粘度
1.8〜3.2を有する熱可塑性共重合ポリエステル樹
脂100重量部に対し、3,9−ビス〔2−{3−(3
−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)
プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル〕−
2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウン
デカンを0.05〜5重量部及びリン系酸化防止剤0.
05〜5重量部を配合して成り、該熱可塑性共重合ポリ
エステル樹脂がテレフタル酸又はそのエステル形成性誘
導体と水素添加ダイマー酸又はそのエステル形成性誘導
体とを酸成分とし、1,4−ブタンジオールをグリコー
ル成分として得られる重合体であることを特徴とする熱
可塑性樹脂組成物によって達成される。
【0006】以下本発明を詳細に説明する。本発明に使
用する熱可塑性共重合ポリエステル樹脂の酸成分は、テ
レフタル酸及び水素添加ダイマー酸からなる。水素添加
ダイマー酸は、不飽和脂肪酸の粘土触媒による低重合体
から分離及び水素添加によってトリマー酸,モノマー酸
等の副生成物を除去した後に得られ、好ましい純度とし
ては99重量%以上である。
【0007】好ましい具体例としては、ユニケマ社製の
PRIPOL1008〔炭素数36で、芳香族タイプ/
脂環族タイプ/直鎖脂肪族タイプ=9/54/37(モ
ル%)のダイマー酸〕,PRIPOL1009〔炭素数
36で、13/64/23(モル%)のダイマー酸〕,
さらにエステル形成性誘導体としてユニケマ社製のPR
IPLAST3008(PRIPOL1008のジメチ
ルエステル)が挙げられる。
【0008】本発明に使用する熱可塑性共重合ポリエス
テル樹脂の構成成分である水素添加ダイマー酸の共重合
組成比は、酸成分の合計に対し0.5〜30モル%であ
ることが好ましく、特に好ましくは1〜20モル%であ
る。
【0009】水素添加ダイマー酸の共重合組成比が0.
5モル%未満の場合、靱性及び軟質性が不充分であり、
一方、30モル%を超える場合には、剛性が低下してく
る。
【0010】本発明の熱可塑性共重合ポリエステル樹脂
のグリコール成分としては、1,4−ブタンジオールを
主成分とする(例えば70モル%以上)ことが成形性の
点で肝要である。
【0011】本発明における熱可塑性共重合ポリエステ
ル樹脂の製造方法は特に制限されるものではなく、公知
の方法に従って行うことができる。例えば、テレフタル
酸,又はそのエステル形成性誘導体,水素添加ダイマー
酸又はそのエステル形成性誘導体,1,4−ブタンジオ
ールを、同時に又は段階的に直接エステル化するか、或
いはエステル交換反応させた後重合する方法を採用する
ことができる。これらの重合或いはエステル化反応,エ
ステル交換反応の際に公知の各種触媒,安定剤,改質剤
あるいは添加剤などを使用してもよい。
【0012】本発明の熱可塑性共重合ポリエステル樹脂
は、相対粘度ηrelが後述する条件で測定して、1.8
〜3.2であることが肝要である。ηrelが1.8未満
の場合、組成物の靱性は不良であり、一方ηrelが3.
2を超える場合には射出成形が困難となる。
【0013】本発明に用いるヒンダードフェノール系酸
化防止剤は、3,9−ビス〔2−{3−(3−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニ
ルオキシ}−1,1−ジメチルエチル〕−2,4,8,
10−テトラオキサスピロ〔 5,5〕ウンデカン(化
1)である。
【0014】
【化1】
【0015】ヒンダードフェノール系酸化防止剤の配合
量は熱可塑性共重合ポリエステル樹脂100重量部に対
し、0.05〜5重量部であることが肝要であり、特に
好ましくは0.1〜3重量部である。ヒンダードフェノ
ール系酸化防止剤の配合量が0.1重量部未満の場合、
十分な耐熱老化性が得られず、一方5重量部を超える場
合には、酸化防止剤の滲み出し等により成形品に好まし
くない影響を及ぼす。
【0016】本発明に用いるリン系酸化防止剤とは、ト
リス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイ
ト(化2),テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェ
ニル)−4,4′−ビフェニレンフォスファイト(
),トリスノニルフェニルフォスファイト(化4),
ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリス
リトールジフォスファイト(化5),ジステアリルペン
タエリスリトールジフォスファイト(化6)等が挙げら
れる。
【0017】
【化2】
【0018】
【化3】
【0019】
【化4】
【0020】
【化5】
【0021】
【化6】
【0022】リン系酸化防止剤の配合量は熱可塑性共重
合ポリエステル樹脂100重量部に対し、0.05〜5
重量部であることが肝要であり、特に好ましくは0.1
〜3重量部である。リン系酸化防止剤の配合量が0.1
重量部未満の場合、十分な耐熱老化性が得られず、一方
5重量部を超える場合には酸化防止剤の滲み出し等によ
り、成形品に好ましくない影響を及ぼす。
【0023】ヒンダードフェノール系酸化防止剤及びリ
ン系酸化防止剤は、熱可塑性共重合ポリエステル樹脂の
重縮合時に所定量を配合しておいてもかまわないが、反
応中に飛散したり、また一部が分解したりする可能性が
あるので、一軸混練機や二軸混練機で溶融混合した後、
成形に供したり、熱可塑性共重合ポリエステル樹脂のペ
レットとドライブレンドした後、成形に供する方法等が
挙げられる。
【0024】本発明の組成物には、更に他の酸化防止
剤,紫外線吸収剤,顔料,染料,離型剤,そり抑制剤,
ガラス繊維,炭素繊維等の強化材,難燃剤等を添加溶融
混合しても本発明の効果はかわらない。
【0025】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、高靱性
及び耐熱老化性に優れており、各種電気電子部品,自動
車部品,工業部品等に好適である。
【0026】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
する。尚、物性評価は表1に従って行った。
【0027】
【表1】
【0028】熱可塑性共重合ポリエステル樹脂の製造例
テレフタル酸ジメチル,水素添加ダイマー酸(ユニケマ
社製,PRIPLAST3008),1,4−ブタンジ
オール,エステル交換及び重合触媒としてテトラ−n−
ブチルチタネートを表2に示す組成で添加し、210℃
に加熱して生成するメタノールを系外に留去し、エステ
ル交換反応を行った。メタノール留去がほぼ完了してか
ら反応生成物を重合器に移し、1時間かけて温度250
℃、真空度0.5mmHg迄もっていき、その後重縮合
を行った。得られた熱可塑性共重合ポリエステル樹脂の
サンプル名称及び相対粘度ηrelもあわせて表2に示し
た。
【0029】
【表2】
【0030】参考例1〜4,比較例1〜2 上記の方法で得られた熱可塑性共重合ポリエステル樹脂
100重量部に対し、ヒンダードフェノール系酸化防止
剤としてペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート〕(チバ・ガイギー社製IRGANOX101
0)0.5重量部及びリン系酸化防止剤としてトリス
(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト
(チバ・ガイギー社製IRGAFOS168)0.5重
量部を成形時にドライブレンドして成形に供し、サンプ
ルを得、物性評価に供した。結果を表3に示す。
【0031】
【表3】
【0032】実施例1〜3,比較例3〜6 上記の方法で得られた熱可塑性共重合ポリエステル樹脂
サンプル「C」100重量部に対し、ヒンダードフェノ
ール系酸化防止剤として、3,9−ビス〔2−{3−
(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニ
ル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル〕
−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウ
ンデカン(住友化学社製SUMILIZER GA−8
0)及びリン系酸化防止剤としてテトラキス(2,4−
ジ−t−ブチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンフ
ォスファイト(チバ・ガイギー社製IRGAFOS P
−EPQ FF)を表4に示す組成で配合し、一軸混練
機で溶融混合してペレットを得、成形に供した。得られ
た試験片を物性評価に供し、その結果を表4に示す。
尚、比較例4及び6には成形品の表面に酸化防止剤の滲
み出しが見られた。
【0037】
【表4】

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 相対粘度1.8〜3.2を有する熱可塑
    性共重合ポリエステル樹脂100重量部に対し、3,9
    −ビス〔2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ
    −5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1
    −ジメチルエチル〕−2,4,8,10−テトラオキサ
    スピロ〔5,5〕ウンデカンを0.05〜5重量部及び
    リン系酸化防止剤0.05〜5重量部を配合して成り、
    該熱可塑性共重合ポリエステル樹脂がテレフタル酸又は
    そのエステル形成性誘導体と水素添加ダイマー酸又はそ
    のエステル形成性誘導体とを酸成分とし、1,4−ブタ
    ンジオールをグリコール成分として得られる重合体であ
    ることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 熱可塑性共重合ポリエステルの水素添加
    ダイマー酸が酸成分の合計に対し、0.5〜30モル%
    を占める請求項1記載の組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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