JP3185816B2 - チャック爪自動交換装置 - Google Patents

チャック爪自動交換装置

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JP3185816B2
JP3185816B2 JP14837192A JP14837192A JP3185816B2 JP 3185816 B2 JP3185816 B2 JP 3185816B2 JP 14837192 A JP14837192 A JP 14837192A JP 14837192 A JP14837192 A JP 14837192A JP 3185816 B2 JP3185816 B2 JP 3185816B2
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栄一 森崎
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Howa Machinery Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願は工作機に使用するチャック
の爪を、自動的に交換するチャック爪の自動交換装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年省力化を行なうとともに生産性の向
上を図るために、周辺機器を含む工作機の総合的な自動
化の要請が高まり、これに答えるためにチャックの爪を
自動的に交換する自動交換装置が種々提案されている。
【0003】例えば本出願人により実公平3−1131
公報に開示されたものがあり、これはチャック上方に
円盤型マガジン(爪保持具)を垂直軸線回りに回転割出
し可能に設け、この円盤型マガジンには、その周面に爪
を保持する複数の保持溝を形成し、各保持溝と対応する
位置に爪の背面に形成されたラックと係合可能な爪係止
ピンを半径方向移動自在に嵌装し、この爪係止ピンはバ
ネにより外方に付勢されるとともにその先端が保持溝内
に位置するように抜け止めされたものであった。
【0004】そして作動シリンダにより上下動可能な爪
着脱装置によってチャックから抜き取られた使用済の爪
がマガジンの1つの保持溝に移送されると、バネの付勢
力により爪係止ピンは爪のラックと係合し、保持溝に爪
が保持され、次いでマガジンが旋回して他の保持溝に保
持された次工程用の爪を割出し、この爪を爪着脱装置が
バネの付勢力に抗して抜き取りチャックに装着するもの
であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の爪自動交換
装置では、マガジンの保持溝における爪の保持は、バネ
に付勢された爪係止ピンで行なっているので、交換する
爪の重量が比較的大きな場合、爪着脱装置による保持溝
への爪の装着又は抜き取り作用時に、爪がマガジンから
抜け落ちることがあり、このことは装置の長期使用後の
バネの劣化により著しくなる恐れがあった。
【0006】前記課題を解決するため、本発明では操作
ピンをチャック半径方向に押し込むことで、チャック本
体内の滑子部材と爪保持溝内の爪の連結を解放し、ま
た、操作ピンの押し込みを解除することでチャック本体
内の滑子部材と爪保持溝内の爪の連結するようになって
いるチャックと、前記操作ピンをチャック半径方向に押
し込むための押込ピンをピストンロッドに備えている爪
外しシリンダとを備え、前記チャックの爪装着溝と爪保
持具に設けた爪を保持する保持溝との間で爪を自動的に
交換するようにしてあるチャック爪自動交換装置におい
て、前記爪保持具には、その保持溝と対応する位置に、
爪係止ピンを爪外しシリンダのピストンロッド軸線と直
交する方向に往復動自在に嵌装して爪と係脱可能に設
け、この爪係止ピンと前記ピストンロッドとを、ピスト
ンロッドの軸線方向移動を爪係止ピンの軸線方向移動に
変換する案内ピンと案内溝とによって連繋し、前記爪外
しシリンダのピストンロッドが操作ピンを押し込む方向
へ移動する動作によって前記爪係止ピンを爪との非係止
方向に移動させ、また爪外しシリンダのピストンロッド
が操作ピンの押し込みを解除する方向へ移動する動作に
よって前記爪係止ピンを爪との係止方向へ移動させるよ
うに構成したことを特徴とする。
【0007】
【作用】チャックの爪装着溝に装着された使用済の爪を
抜き取り、爪保持具の保持溝に装着する場合、先ず、爪
外しシリンダを爪外し作動して、チャックに対する爪の
保持を解除するとともに、爪保持具では爪係止ピンが非
係止方向に後退している。次に、チャックより解放され
た爪を自動的に抜き取り爪保持具の保持溝内に位置させ
た後、爪外しシリンダを逆作動させると爪係止ピンは係
止方向に前進し、爪を係止し、爪保持具の保持溝に爪が
確実に保持される。
【0008】また、爪保持具の保持溝に装着された次工
程用の爪を抜き取り、チャックの爪装着溝に装着する場
合、爪外しシリンダを爪外し作動して、爪係止ピンを非
係止方向に後退させ、爪保持具に対する爪の保持を解除
し、次に、爪保持具より解放された爪を自動的に抜き取
りチャックの爪装着溝内に位置させ、その後、爪外しシ
リンダを逆作動させ、チャックの爪装着溝に爪が装着さ
れる。
【0009】
【実施例】次に、本願実施例を図面に基づいて説明す
る。図面において、1は周知の工作機械例えばNC旋盤
2はその上面は後記する爪自動交換装置を取付ける主軸
台となっている。主軸3の先端には、本出願人の出願に
よる特開昭59−30605号公報で開示したような外
周部よりの操作でジョーが円周方向に抜けるクイックチ
ェンジチャック6(以下チャック6と記す)が取付けら
れ、その構成は以下の通りである。チャック6内の中心
部には図10に示すように楔ピース7がチャック6の回
転軸線方向へ摺動可能に嵌装され、楔ピース7は主軸3
の後端に取付けられた回転シリンダ(図示なし)のピス
トンロッドにドローバー8によって連結されている。ま
た上記チャック6に形成された半径方向の摺動溝9と爪
装着溝10(図面では3つ爪の場合を示すが本願の適用
は3つ爪チャックに限定されるものではない)内には滑
子部材11と爪12の摺動部13とが夫々半径方向へ摺
動可能に嵌装され、滑子部材11の中心側端部に形成さ
れた断面T字形の楔部14が上記楔ピース7に形成され
た断面T字形の楔溝7aに嵌合されている。
【0010】前記爪12の上面には、図4に示すように
取付ブロック27が固定され、この取付ブロック27の
中央部には、後述のフィンガ136が係合する引掛溝2
8が形成されている。また取付ブロック27の図面上左
端部下面と左側の摺動部13上面との間には、後述の爪
係止ピン51が係合する引掛空間29が形成されてい
る。また爪12の後面にはラック歯16が形成され、ラ
ック歯16には次に示す爪係脱装置17により下記の噛
合部材18が係合、離脱するようになっており、爪係脱
装置17は図10に示すように次のように構成されてい
る。滑子部材11内に前後方向への摺動のみ可能に嵌装
された噛合部材18と、滑子部材11内に半径方向への
移動のみ可能に嵌装された操作ピン19とを備えてお
り、この噛合部材18の前面にはラック歯20が刻設さ
れ、付勢ばね21のばね力によって上記爪12のラック
歯16と係合するようになっている。また噛合部材18
と操作ピン19とは傾斜する係合面によって互いに係合
しており、この係合により操作ピン19をチャック本体
6の中心に向かって押し込むと、噛合部材18は付勢ば
ね21を圧しながら後退して両ラック歯16,20の係
合は脱し、操作ピン19が原位置に復帰すると噛合部材
18は付勢ばね21によって前進し、係合を脱した両ラ
ック歯16,20が再び係合することは前記特開昭59
−30605号と同様である。次に操作ピン19は、そ
の端部が前記楔ピース7の外周面に設けた凹部22に対
向し、操作ピン19を押し込むと端部が凹部22に入り
込み、また楔ピースが後方に移動すると凹部22から押
し出されて、両ラック歯16,20の噛合を確実なもの
とするようになっている。又噛合部材18内にはノッチ
ピン方式のセットピン23が前後方向へ摺動可能に嵌合
され、ばね24によって前方に付勢されるとともにピン
25によって抜止めされ、その先端が爪12後面のラッ
ク歯16に係合し、常に爪12を係止するようになされ
ている。以上の如く構成されたチャック6は図示を省略
した近接スイッチ、NC装置等で制御される割出装置に
より爪装着溝10を所定の爪交換位置B(図面では回転
中心の上方となっているがこれに限るものでなく、必要
に応じ適宜他の場所に設定し得る)に割り出し、当該割
出位置にチャック6を停止するようになっている。
【0011】次に、本願のチャック爪自動交換装置31
について説明する。図1,2,3において工作機械1の
主軸台2には、案内ベース32が前後方向(図2におい
て左右方向)に延設され、この案内ベース32には、滑
子又はベアリング等の摺動部材33介してテーブル34
が摺動可能に嵌合されている。35は前後動シリンダ
で、そのシリンダ本体35bはブラケット36を介して
前後案内ベース32に取付けられ、このシリンダ35の
ピストンロッド35a先端はブラケット37を介して前
記テーブル34と一体の支持板38に固定されている。
従って、前後動シリンダ35の作動によってテーブル3
4は所定ストロークの前後動を行なうようになってい
る。尚図3において実線は、テーブル34が前進端にあ
る場合を示し、仮想線は、テーブル34が後退端にある
場合を示す。
【0012】次に、図5,6,7においてチャック6の
爪装着溝10から抜き取った使用済の爪12及び次工程
用の爪12を着脱可能に係止して貯蔵する爪保持具とし
て示すカセット39について説明する。このカセット3
9下面には、その長手方向全長にわたって摺動溝40が
形成され、この摺動溝40は、図1に示すようにテーブ
ル34幅の略全長にわたって伸び、後述の爪外しシリン
ダ91のシリンダ本体92に固定されたカセット案内レ
ール41に嵌合し、カセット39は、カセット案内レー
ル41上を左右方向に摺動自在となっている。また、カ
セット39は、その前面及び上下両面に開放する三本の
保持溝43が等間隔に設けられ、各保持溝43を形成す
る左右の対向面には、カセット39前面に取付けた4つ
の取付片44を利用して爪12の摺動部13を案内し、
爪12の図2又は図6において前後方向と左右方向の位
置決めを行なう案内溝45が形成されている。またカセ
ット39の両端付近には、前後面に貫通し、後述の位置
決めピン76が嵌入し、カセット案内レール41上にお
いてカセット39を位置決めロックする位置決め孔46
が設けられている。またカセット39上面には、各保持
溝43と対応する位置に後述の作用で説明するように上
引掛位置Dから移送体126が下降するときフィンガ1
36と係合しフィンガ136を引掛方向に前進させる案
内傾斜面47が形成されている。
【0013】次に、前記保持溝43に挿入された爪12
が、保持溝43より脱落しないように係止する係止機構
49は次の如くで、夫々の保持溝43に対応して設けら
れている。図5においてカセット39の上面には、仮想
線で示す爪12の右側の摺動部13と対応する位置に、
摺動溝50が形成され、この摺動溝50には前後方向に
摺動自在に爪係止ピン51が嵌め込められ、この爪係止
ピン51は、その上面の低段部が、カセット39上面に
取付けられた押え板52と当接してカセット39の上下
方向に抜け止めされている。この爪係止ピン51の先端
部には、その左側下面が切欠かれ前記爪12の引掛空間
29に入り込み得る係止片53が形成されている。ま
た、爪係止ピン51の後端部下面には、後述の作動片1
04と係合する係合溝54が設けられている。尚、爪交
換位置A以外の位置にある爪12と対応する爪係止ピン
51の係合溝54は、図9に示すように後述の作動片1
04と対応する部分を切欠いてテーブル34幅の略全長
にわたって伸びるピン案内レール55と係合し、爪係止
ピン51が前進位置に位置し爪保持状態を保つようにな
っている。尚ピン案内レール55は、後述の爪外しシリ
ンダ91のシリンダ本体92上面に固定されている。
【0014】また、前記4つの取付片44のうち左右両
端のものには、後述のロボットハンド60が挿入し得る
挿入部57が切欠かれ、また、左右両端の取付片44の
後面とカセット39前面との間には挿入空間58が設け
られている。次に図8において図示しないカセット収納
庫と爪自動交換装置31との間でカセット39を搬送入
換えを行なうカセット移送用ロボットハンド60(以下
ロボットハンドと略記する)について説明する。門型の
ロボットハンド60は図示しないロボットにより少なく
とも前後と上下方向の二次元方向移動可能で、その先端
に設けた一対の持上棒61の先端には、夫々内側に突出
する上下の挿入片62及び下部より前方に突出する持上
片63が形成されている。このロボットハンド60は、
その持上棒61を前記カセット39の前面と対向させ上
挿入片62とカセット39の挿入部57との高さ位置を
合わせてカセット39の正面に向かって進んでいき、上
挿入片62が挿入部57を通過し挿入空間58に至った
後ロボットハンド60は上方に移動し、上下挿入片62
が挿入空間58に入り込み持上片63で両側のカセット
39下面39a(図12に示す)を持ち上げカセット3
9を搬送するようになっている。
【0015】次にテーブル34上のカセット39後方に
設けられたトラバース装置65について説明する。この
トラバース装置65は、図1,2,3に示すようにトラ
バースシリンダ66、ロックシリンダ67及びストッパ
シリンダ68を備え、本出願人による特願昭63−12
4368号公報に開示されたトラバース装置と略同じ構
造となっている。
【0016】まずトラバースシリンダ66について説明
すると、テーブル34と一体の支持板38と一体の左右
の側板70間に固定されたピストンロッド66aには、
中央部にピストン室71が設けられたシリンダバレル7
2が摺動自在に嵌装されている。シリンダバレル72の
ピストン室71は、ピストンロッド66aの中央に設け
たピストン73によって2つに区画されている。この区
画されたピストン室71には、ピストンロッド66aの
中心部に互いに反対方向から穿設された圧流体供給路
(図示せず)を介して圧流体が供給されるようになって
おり、シリンダバレル72はピストンロッド66aに沿
ってトラバースする。このシリンダバレル72のトラバ
ース量(シリンダバレルの最大ストローク量)は、カセ
ット39の保持溝43間のピッチの2倍以上となるよう
に、ピストンロッド66aの長さが設定されている。
【0017】次にロックシリンダ67について説明す
る。ロックシリンダ67は二本一対のシリンダからな
り、両ロックシリンダ67のシリンダ本体74は、前記
トラバースシリンダ66のシリンダバレル72下面に左
右方向に並設され、その取付間隔は、前記カセット39
の位置決め孔46の間隔とピストンロッド67aの間隔
が同一であるように設定されている。また、各ピストン
ロッド67aの先端には、位置決め孔46に嵌入可能な
位置決めピン76が取付けられている。また、両ロック
シリンダ67のシリンダバレル72下面にわたってスラ
イド体77が構成され、このスライド体77は、前記左
右の側板70間に取付けられた一対の回り止めロッド7
8に摺動自在に嵌装されている。この両回り止めロッド
78及びスライド体77には、ロックシリンダ67のシ
リンダ本体74内に設けられ、ピストンにより2つに区
画されたピストン室に連通する供給路(図示せず)が穿
設され、この供給路に圧流体が供給されると、ピストン
ロッド67aが前後方向に出没し、ピストンロッド67
a先端に取付けられた位置決めピン76が、ロボットハ
ンド60によりカセット案内レール41上に穿設された
カセット39の位置決め孔46と嵌脱するようになって
いる。
【0018】次いで、ストッパシリンダ68について説
明する。先ず、前記トラバースシリンダ66のシリンダ
バレル72の後面下部から後方に伸びる取付部上には、
当接部材80が固定されている。また、前記左右の側板
70にはこの当接部材80と対向する位置に、左右のス
トッパボルト81,82(図3に示す)が夫々固定され
ている。ストッパシリンダ68は、テーブル34と一体
の天板83にブラケット84を介して下向きに固定され
ている。このストッパシリンダ68のピストンロッド6
8a先端にはストッパブロック85が取付けられ、所望
時にストッパシリンダ68を作用させピストンロッド6
8aを突出させると、ストッパブロック85が当接部材
80と右ストッパボルト82間に入り込み(図1,2,
9に仮想線で示す状態)トラバースシリンダ66の右方
へのトラバースを制するようになっている。
【0019】次に、ガイドブロック87と爪外し装置8
8について説明する。ガイドブロック87は図1,2に
示すようにテーブル34に取付られた左右のブロック8
9より構成され、両ブロック89の対向面にはガイド溝
90が設けられている。このガイド溝90はテーブル3
4が前記の如く最前進端に至った時に、爪交換位置Bに
割り出されたチャック6の爪装着溝10と爪交換位置A
に位置決めされたカセット39の保持溝43の案内溝4
5との間に位置し、両者を一直線に連続させて交換され
る爪12の摺動部13を案内する。
【0020】また、前記チャック6に内臓された爪係脱
装置17の操作ピン19を押込み操作する爪外し装置8
8は以下の通りである。爪外しシリンダ91は、そのシ
リンダ本体92が前記ガイドブロック87と一体に固定
され、シリンダ本体92下面より突出する下ピストンロ
ッド91b下端には、取付板93が固着され、この取付
板93の下面には、爪交換位置Bに割出されたチャック
6の操作ピン19に正対するようにして押込ピン94が
突設され、爪外しシリンダ91を爪外し作動して図11
に示すように下ピストンロッド91bを下降させると、
押込ピン94が操作ピン19を押込んで噛合部材18の
ラック歯20と爪12のラック歯16との噛合を外すよ
うになっている。また、前記取付板93下面には、押込
ピン94ととも位置決めピン(図示せず)が並設され、
上記のように下ピストンロッド91bが下降したとき、
チャック6に穿設された位置決め孔(図示せず)に嵌入
し、割り出されたチャック6をより正確に位置決めする
ようになっている。
【0021】次に、前記カセット39に設けた係止機構
49の爪係止ピン51を前後動させるピン作動装置96
について説明する。前記爪外しシリンダ91のシリンダ
本体92上面より突出する上ピストンロッド91a上端
部には、大径部97が形成されている。この大径部97
には、図10,13に示すように上ピストンロッド91
aに対して間隔Sだけ上下方向移動自在に筒部材98が
嵌合されている。この筒部材98の下面後部には、爪外
しシリンダ91のシリンダ本体92に固着した当接部材
99と間隔Hをもって対向する規制ボルト100が設け
てある。
【0022】この間隔Hと前記筒部材98内の間隔Sと
の和が爪外しシリンダ91のストロークであり、図10
に示す上昇状態の爪外しシリンダ91を作動して上ピス
トンロッド91aを下降させると筒部材98はその自重
により上ピストンロッド91aの大径部97とともに下
降し、上ピストンロッド91aが前記間隔H分下降した
とき筒部材98は、その規制ボルト100が当接部材9
9と当接することにより下降を規制され位置決めされ
る。その後上ピストンロッド91aのみが筒部材98内
の間隔S分下降して図11に示すように下降端に至るよ
うになっている。つまり筒部材98は、爪外しシリンダ
91の作動によりピストンロッド91a,91bの1ス
トローク長さ(H+S)より筒部材98内の間隔Sだけ
短いストロークHで上下動するようになっている。
【0023】図10,13,16に示すように前記爪外
しシリンダ91のシリンダ本体92には、支持片102
が取付けられ、この支持片102上部には、摺動溝10
3が切欠かれている。この摺動溝103には前後方向に
摺動自在に作動片104が嵌装され、作動片104は押
え板105により上方への抜け止めがなされている。こ
の作動片104は、その前面に前記カセット39の係止
ピン51の係合溝54と係合するカギ状の係止部106
が形成され、また、作動片104の左側面には、案内ピ
ン107が植設されている。
【0024】前記筒部材98の下面の一部には切欠部1
08が形成され、この部分に案内バー109が取付けら
れている。この案内バー109には、作動片104と対
向する側面に傾斜案内溝110が形成され、この傾斜案
内溝110には作動片104の案内ピン107が係合し
ている。従って前記のように爪外しシリンダ91を作動
して筒部材98が間隔H昇降すると、作動片106は、
その案内ピン107が案内バー109の傾斜案内溝11
0に案内され前後動し、この作動片106と係合する爪
係止ピン51は、図10,16に示すようにその先端の
係止片53が爪12の引掛空間29に入り込み爪12を
引掛け保持する前進位置と、図11,17に示すように
係止片53が引掛空間29より退出する後退位置とに前
後動するようになっている。
【0025】また、筒部材98の周面の前方部には、図
14に示すように切欠いて形成された案内面111が設
けられ、この案内面111には、後述の左右可動ブロッ
ク127の案内ピン150が係合する傾斜案内溝112
が形成されている。また案内面111の左右両端は、後
述の支持ブラケット143に摺動自在に係合するように
切欠かれている。
【0026】次に、爪交換位置Aに割出されたカセット
39の保持溝43とチャック6の爪装着溝10との間で
爪12の移送を行なう爪移送装置114について説明す
る。先ず、図1,2,3に示すように天板83上面には
移送用シリンダ115が取付けられ、この移送用シリン
ダ115のシリンダ本体116下面より下方に突出する
ピストンロッド117下端には、後述の移送体126が
ねじ止めされている。この移送用シリンダ115は、移
送体126を上引掛位置D、下引掛位置E及び待避位置
Fとの3位置に移動させるためにダブルシリンダに構成
されている。すなわちシリンダ本体116内には、ピス
トンロッド117上端に取付られた第1ピストン118
が摺動する第1ピストン室119と、この第1ピストン
室119に連続し、第1ピストン室119より大径の第
2ピストン室120が形成され、この第2ピストン室1
20には、第2ピストン121が摺動自在に嵌装されて
いる。
【0027】また、図2において給排ポート122は第
1ピストン118により区画された第1ピストン室11
9の下側の部屋に連通し、給排ポート123は第2ピス
トン121により区画させた第2ピストン室120の上
側の部屋に連通し、また給排ポート124は第1ピスト
ン室119の上側の部屋及び第2ピストン室120の下
側の部屋に連通している。従って給排ポート122と給
排ポート123から同じ圧力の圧流体を供給すると図2
に示すように第2ピストン121は下降端に、第1ピス
トン118は第2ピストン121の下端面に当接する位
置に夫々位置し、移送体126は図10,11に示す上
引掛位置Dに位置する。また、給排ポート124からの
み圧流体を供給すると第1ピストン118は下降端に至
り、移送体126は下引掛位置Eに位置する。さらに、
給排ポート122からのみ圧流体を供給すると、第1,
2ピストン118,121は一体として夫々上昇端に至
り(図2中仮想線で示す)、移送体126は図12に示
す待避位置Fに位置する。このとき移送体126とカセ
ット39との間には、前記ロボットハンド60によりカ
セット39をカセット案内レール41上より持ち上げる
ことができる空間113が存在するようになっている。
【0028】次に、図10,14,15において爪移送
装置114を成す移送体126、左右可動ブロック12
7及び上下可動ブロック128について説明する。先
ず、移送体126について説明すると、この移送体12
6には、略中央部に左右側面に貫通して支持孔130が
穿設され、この支持孔130には、その両端部に夫々上
下の傾斜面131を形成した可動ピン132が摺動自在
に嵌装されている。また、可動ピン132の周面の一部
は切欠かれ平面に形成され、この平面には傾斜案内溝1
33が形成されている。
【0029】また、移送体126には、前後面に貫通す
る十字型の支持溝134が形成され、この支持溝134
には、フィンガ136が摺動自在に嵌装されている。こ
のフィンガ136の上面には案内ピン137が植設さ
れ、この案内ピン137は前記可動ピン132の傾斜案
内溝133と係合している。またフィンガ136の下部
は、前記爪12の引掛溝28と係合するカギ片138に
形成され、このカギ片138の後部には、前記カセット
39に設けた案内傾斜面47と係合する係合部139が
形成されている。以上より可動ピン132が、後述の左
右可動ブロック127または、上下可動ブロック128
によって案内され移送体126に対して、左右方向(図
10において底面の奥、手前方向)に移動すると、フィ
ンガ136は、その案内ピン137が可動ピン132の
傾斜案内溝133に案内され移送体126に対して前後
方向に移動し、フィンガ136のカギ片138が爪12
の引掛溝28と係脱するようになっている。
【0030】次に上引掛位置Dに対応して設けた左右可
動ブロック127について説明すると、前記天板83の
下面には、左右の側壁141及び後壁142を組合せて
成り、前記移送用シリンダ115のピストンロッド11
7を囲むようにして支持ブラケット143が取付けられ
ている。この支持ブラケット143の左右の側壁141
の夫々の対向面は、前記移送体126側面を摺動自在に
案内する摺動面144となっている。また、支持ブラケ
ット143の後壁142後面は前記筒部材98に設けた
案内面111が摺動する摺動面145となっている。さ
らに支持ブラケット143には、その左右側壁141に
形成された支持溝146と、これらの支持溝146と連
続して後壁142に形成された支持溝147とでブロッ
ク支持溝が構成されている。このブロック支持溝には、
その前面に前記可動ピン132の長さと略同一の間隔を
もって一対の突出部149が設けられた左右可動ブロッ
ク127が左右方向に摺動自在に嵌装されている。
【0031】この左右可動ブロック127の取付高さ位
置は前記移送体126が図10に示すように上引掛位置
Dに位置するとき、可動ピン132が左右可動ブロック
127の突出部149間に挾まれた状態となる高さ位置
に設定されている。また、左右可動ブロック127後面
には、後方に突出した案内ピン150が植設され、この
案内ピン150は前記筒部材98の傾斜案内溝110と
係合している。また、左右可動ブロック127の右側の
突出部149の隅部には、後述の作用で説明するように
可動ピン132の右上側の傾斜面131を案内する傾斜
面151が形成されている。以上より、移送体126が
上引掛位置Dに位置しているとき、爪外しシリンダ91
を作動させると、上ピストンロッド91aに設けた筒部
材98が上下動し、この上下動により左右可動ブロック
127は、その案内ピン150が筒部材98の傾斜案内
溝110に案内され支持ブラケット143に対して左右
方向に移動する。そしてこの左右可動ブロック127の
移動とともに、突出部149間に挾まれた可動ピン13
2が左右方向に移動し、前記の如くフィンガ136が前
後動するようになっている。
【0032】次に図1,10,18において下引掛位置
Eに対応して設けた上下可動ブロック128について説
明する。左右の側壁153及び後壁154より成る上下
可動ブロック128は、前記爪外しシリンダ91の下ピ
ストンロッド91bに設けた取付板93前面に取付けら
れ、爪外しシリンダ91の作動により図18に実線で示
す上昇位置と仮想線で示す下降位置とに移動するように
なっている。この上下可動ブロック128の左右の側壁
153の夫々の対向面は、前記可動ピン132の長さと
略同じ間隔をもって上下の垂直面155及び両垂直面1
55を連続させる斜面156とが構成されている。従っ
て、この上下可動ブロック128と前記移送体126と
の相対的な移動により可動ピン132は、上下可動ブロ
ック128の斜面156間に案内され左右方向に移動
し、下引掛位置Eにおいてフィンガ136が前後動する
ようになっている。
【0033】次に、以上のように構成された爪自動交換
装置31による爪交換作用について説明する。先ず爪交
換前の準備状態について説明する。工作機械1がワーク
を加工している間テーブル34は図3に仮想線で示すよ
うに後退端位置に位置しており、爪自動交換装置31
は、工作機械1の機台2上に位置しており、加工中に発
生する切粉等に影響を受けることはない。図2に示すよ
うに移送用シリンダ115は、その給排ポート122,
123から同じ圧力の圧流体が供給され、移送体126
は上引掛位置Dに位置しており、爪外しシリンダ91は
上昇端状態である。
【0034】また、トラバース装置65においてはロッ
クシリンダ67はそのピストンロッド67aが突出状態
であり、ピストンロッド67a先端に取付けた位置決め
ピン76が、カセット案内レール41上に載置され、す
べての保持溝43に爪12が装着されていない空のカセ
ット39後面に設けた位置決め孔46内に嵌入してい
る。またストッパシリンダ68のピストンロッド68a
は突出状態であり、図1,2及び図9に仮想線で示すよ
うにピストンロッド68a先端に取付けたストッパブロ
ック85は当接部材80と右ストッパボルト82との間
に位置し、さらにトラバースシリンダ66はシリンダバ
レル72を右方に移動させる如く作用しており、カセッ
ト39は、その真中の保持溝43がガイドブロック87
の真上に位置するように正確に位置決めされている。ま
た、カセット39の真中の保持溝43と対応して設けた
爪係止ピン51はピン作動装置96の作動片104と係
合しており、他の爪係止ピン51はピン案内レール55
と係合した状態を保ち(図9に示す)、すべての爪係止
ピン51は図16に示すように爪12の引掛空間29と
係合可能な前進状態となっている。
【0035】次に、加工するワークの変更その他により
図示しない指令装置から爪交換指令が発せられると、こ
の指令により主軸3が減速回転を行ないながら停止し、
チャック6に取付けられている爪12の一本を爪交換位
置Bに割出した後、回転シリンダ(図示せず)が作動し
て楔ピース7を前方に移動させ、三本の爪12を交換可
能位置(ワークの把持を開放する位置)にする。
【0036】前記のようにチャック6が所定の位置に割
り出されると前後動シリンダ35が作動して図1,2に
仮想線で示す後退端位置に待機していたテーブル34が
図中実線で示す前進端位置まで移動する。これにより空
のカセット39の真中の保持溝43は、ガイドブロック
87のガイド溝90とともに爪交換位置Aに位置決めさ
れ、両溝43,90は爪交換位置Bに割り出されたチャ
ック6の爪装着溝10と一直線上に並んだ状態となる。
【0037】今、図10に実線で示すように移送体12
6は、上引掛位置Dに位置し、この移送体126内に設
けたフィンガ136の係合部139は、カセット39上
面に設けた室内傾斜面47と対向している。この状態よ
り移送用シリンダ115の給排ポート124(図2に示
す)から圧流体を供給し移送体126を下降させると、
この下降の途中でフィンガ136の係合部139がカセ
ット39の案内傾斜面47と係合し、フィンガ136は
前進される。このフィンガ136の前進とともに可動ピ
ン132は、その傾斜案内溝133とフィンガ136の
案内ピン137との係合により右方に移動する。
【0038】さらに移送体126が下降すると、右方に
移動した可動ピン132は、図18に実線で示すように
上昇位置の上下可動ブロック128の斜面156に案内
され左方に移動し、その後移送体126は下引掛位置E
に至る。この可動ピン132の左方移動によりフィンガ
136は後退し、フィンガ136のカギ片138は図1
0の仮想線にて示すようにチャック6に保持された使用
済の爪12の引掛溝28とわずかな隙間をもって対向し
た状態となる。
【0039】その後、図10に示すように上昇状態の爪
外しシリンダ91を爪外し作動させると、下ピストンロ
ッド91bの下降と共に取付板93及び取付板93に取
付けられた上下可動ブロック128が下方に移動し、上
下可動ブロック128の下降により可動ピン132は上
下可動ブロック128の斜面156に案内され、右方に
移動し、図11の仮想線にて示すようにフィンガ136
は前進し、そのカギ片138がチャック6に保持された
爪12の引掛溝28内に入り込み爪12を引掛け保持す
る。このフィンガ136による爪12の引掛け保持の直
後に爪外しシリンダ91の下ピストンロッド91bとと
もに下降している取付板93の下面に設けた押込ピン9
4が爪係脱装置17の操作ピン19をチャック6の中心
側に押し込み、噛合部材18を非噛合方向に後退させ噛
合部材18と爪12との夫々のラック歯16,20の係
合を開放する。
【0040】また爪外しシリンダ91の前記作動により
上ピストンロッド91aとともに筒部材98が間隔Hだ
け下降し、この下降の途中で、左右可動ブロック127
は、その案内ピン150が筒部材98の傾斜案内溝11
2に案内されることにより右方に移動する。さらに筒部
材98とともに筒部材98と一体の案内バー109も下
降し、この案内バー109の傾斜案内溝110に作動片
104の案内ピン107が案内されるので、作動片10
4は後退し、この作動片104と係合する爪係止ピン5
1は非係止方向に後退する。この爪係止ピン51の後退
端状態、左右可動ブロック127の右移動状態及び上下
可動ブロック128の下降端状態は爪外しシリンダ91
を前記と逆に作動させるまで維持される。
【0041】その後、移送用シリンダ115の給排ポー
ト122,123より同じ圧力の圧流体を供給し、移送
体126を再び上引掛位置Dまで移動させる。この移動
によりフィンガ136によって引掛保持された爪12
は、チャック6の爪装着溝10より抜き取られ、さらに
ガイドブロック87のガイド溝90にその摺動部13が
案内された後、前記したように爪係止ピン51が後退状
態であるカセット39の真中の保持溝43内に位置され
る。このときフィンガ136は図11の実線で示す状態
であり、右移動した可動ピン132は右移動した左右可
動ブロック127の突出部149間に挾まれた状態とな
っている。
【0042】その後、爪外しシリンダ91を前記作用と
は逆に上昇作動させると、上ピストンロッド91aとと
もに筒部材98が上昇し、この上昇により、先ず作動片
104とともに爪係止ピン51が係止方向に前進し、カ
セット39の真中の保持溝43内に位置し、フィンガ1
36に引掛け保持された爪12の引掛空間29に爪係止
ピン51先端の係止片53が嵌入し、保持溝43内に爪
12が保持される。次に、この爪12の保持の直後に
は、筒部材98の上昇により左右可動ブロック127及
び左右可動ブロック127の突出部149間に挾まれた
可動ピン132とがともに左方に移動し、フィンガ13
6は図10の実線で示すようにそのカギ片138が爪1
2の引掛溝28から抜き出て爪12の引掛保持を止め、
爪12は爪係止ピン51にのみ保持された状態となる。
尚この爪外しシリンダ91の逆作動により上下可動ブロ
ック128はもとの上昇端位置にもどり、噛合部材18
は噛合方向に前進している。
【0043】以上のように1本目の爪12がチャック6
より抜き取られ、カセット39の真中の保持溝43に保
持されると、以下のようにして2本目の爪12を抜き取
る準備が行なわれる。即ち、チャック6を所定角度回転
させ次に抜き取る爪12を爪交換位置Bに割り出す。次
にカセット39をカセット案内レール41上でトラバー
スさせ、次に爪12を装着する左端の保持溝43を爪交
換位置Aに位置決めする。この割り出しは、図9におい
て先ず、トラバースシリンダ66への加圧を止めた後、
ストッパシリンダ68を作動して右ストッパボルト82
と当接部材80との間に入り込んでいるストッパブロッ
ク85を退去させ、次にトラバースシリンダ66を作動
してシリンダバレル72を、当接部材80が右ストッパ
ボルト82に当接するまで右方に移動させ、この移動と
ともに位置決めピン76によりロックされたカセット3
9も右方に移動し、カセット39の左端の保持溝43が
爪交換位置Aに位置決めされる。また、このトラバース
により左端の保持溝43と対応する爪係止ピン51はピ
ン作動装置96の作動片104と係合し、他の爪係止ピ
ン51はピン案内レール55と係合し、すべての爪係止
ピン51は、図16に示すようにその先端の係止片53
が爪12の引掛空間29と係合可能な前進状態となって
いる。
【0044】左端の保持溝43を前記のようにして位置
決めすると、1本目の爪12と同様にしてチャック6の
爪装着溝10から使用済の爪12を抜き取り、この爪1
2をカセット39の左端の保持溝43に装着し、最後に
3本目の爪を右端の保持溝43に装着するためにトラバ
ースシリンダ66のシリンダバレル72を、当接部材8
0が左ストッパボルト81と当接するまで左方に移動さ
せ、右端の保持溝43を爪交換位置Aに割り出す。その
後、この右側の保持溝43に3本目の爪12を装着した
後、再びカセット39を中間位置(真中の保持溝43が
爪交換位置Aに割り出される位置)にもどすため、スト
ッパシリンダ68を作動してストッパブロック85を右
ストッパボルト82と当接部材80との間に位置させて
から、トラバースシリンダ66を作動してシリンダバレ
ル72を、当接部材80がストッッパブロック85と当
接するまで右方に移動して、カセット39を中間位置に
位置させる。尚前記トラバースの順序はこれに限るもの
ではなく適宜に変更可能である。
【0045】以上のように3本の爪12をチャック6か
ら抜き取りカセット39への装着を終えると、この使用
済の爪12が装着されたカセット39と次工程用の爪1
2が装着されたカセット39とをロボットハンド60に
よって以下の如くに交換する。先ず移送用シリンダ11
5の給排ポート122(図2に示す)からのみ圧流体を
供給すると、第2ピストン121及び第1ピストン11
8は仮想線で示す上昇端まで移動し、ピストンロッド1
17先端に設けた移送体126は、図12に示す待避位
置Fに位置する。このとき移送体126に設けたフィン
ガ136とカセット39上面との間には、カセット39
を持ち上げ可能な空間113が形成されている。
【0046】そしてカセット39の正面に向かってロボ
ットハンド60が、その上挿入片62とカセット39の
挿入部57との高さ位置を合わせ、前進していき、上挿
入片62が挿入部57を通過し、挿入空間58に至った
後、ロボットハンド60を持上片63がカセット39の
下面に近接するまで上昇させる。すなわち挿入片62は
挿入空間58内を上昇しカセット39はロボットハンド
60で保持される。ロックシリンダ67を作動してカセ
ット39の位置決め孔46より位置決めピン76を退出
させ、カセット39の位置決めを解除する。その後ロボ
ットハンド60が上昇し、その持上片63によりカセッ
ト39の下面を持ち上げ、カセット案内レール41より
カセット39を持ち上げる。このとき真中の保持溝43
の爪係止ピン51は作動片104との係合を止め他の爪
係止ピン51はピン案内レール55との係合を止める。
【0047】その後、上下の挿入片62及び持上片63
によりカセット39を保持したロボットハンド60は、
後退していき、図示しないカセット収納庫まで移動し、
このカセット収納庫にこのカセット39を収納した後、
次工程用の爪12が装着されたカセット39を前記と同
様の作用で持ち上げ保持し、前記したカセット取出作業
とは逆の動作でカセット案内レール41上の中間位置に
新しいカセット39を載置する。それからこの新しいカ
セット39の位置決めを行なうため、移送用シリンダ1
15の給排ポート122,123(図2に示す)から圧
流体を供給し、移送体126を図10に示すように上引
掛位置Dまで移動させ、ロックシリンダ67を作動して
位置決めピン76を位置決め孔46に嵌入させ、次い
で、ロボットハンド60を待機位置までもどし、カセッ
ト39の交換作業を終える。
【0048】尚前記ロボットハンド60によるカセット
39の取り出し動作は、ロボットハンド60の前進−上
昇−後退動作で行なわれるようにしたが、ロボットハン
ド60を、前進動作の後に左右方向(図2において紙面
の奥あるいは手前方向)のどちらかに移動させ、ロボッ
トハンド60の上下の挿入片62でカセット39の側面
を引掛けカセット39の摺動溝40がカセット案内レー
ル41上を摺動し、カセット案内レール41より抜き出
された後にロボットハンド60を後退させるようにして
もよく、この場合移送体126とカセット39との間に
持ち上げ空間113を形成するため移送体126を待避
位置Fまで上昇させる必要はなく、移送用シリンダ11
5をタブルシリンダで構成する必要がなくなる。
【0049】以上のようにしてロボットハンドにより次
工程用の爪12を装着したカセット39がカセット案内
レール41上に位置されると、以下のようにしてチャッ
ク6の爪装着溝10に爪12が装着される。先ず、チャ
ックを所定の爪交換位置に割り出した後、爪12の装着
の場合は図10に示すように上昇状態の爪外しシリンダ
91を爪外し作動させ、チャック6の爪装着溝10の位
置決めと噛合部材18の非噛合方向への後退を行なうと
ともに上下可動ブロック128は下降端に至る。また、
爪外しシリンダ91の作動により筒部材98が下降し左
右可動ブロック127及び突出部149に挾まれた可動
ピン132が右方に移動しフィンガ136のカギ片13
8が爪12の引掛溝28内に入り込み爪12を引掛け保
持する(図11は実線で示す)。さらに筒部材98の下
降により、このフィンガ136による引掛け保持の直後
に、作動片104及び爪係止ピン51が非係止方向に後
退し、爪係止ピン51による爪12の係止が解除され
る。
【0050】その後移送用シリンダ115を作動して移
送体126とともに爪12を下引掛位置Eまで移送す
る。この移送の途中において爪12の摺動部13がガイ
ドブロック87に案内された後、移送体126の可動ピ
ン132は、下降端位置に位置する上下可動ブロック1
28の垂直面155に案内されるが斜面156とは係合
せず、可動ピンが左右方向に移動されることはないの
で、フィンガ136が爪12を保持したまま、移送体1
26は下引掛位置Eに至る(図12において仮想線で示
す)。
【0051】次に、爪外しシリンダ91を上昇作動させ
ると、取付板93の上昇により先ずチャック6の位置決
め解除を行なうとともに噛合部材18は噛合方向へ前進
し、噛合部材18により爪12が保持される。次にこの
噛合部材18による爪12の保持の直後に上下可動ブロ
ック128の上昇により、この上下可動ブロック128
の斜面156が可動ピン132を左方へ案内するので、
フィンガ136は後退し爪12の保持を止め、爪12は
噛合部材18にのみ保持された状態となる。また、爪外
しシリンダ91の上昇作動により筒部材98は上昇し、
この上昇により左右可動ブロック127は左方に移動
し、また爪係止ピン51は係止方向に前進するが、この
とき保持溝43内には爪12は存在しないので直接的に
爪交換動作に関与しない。
【0052】その後移送体126を上引掛位置Dまで上
昇させるため移送用シリンダ115を作動させると、移
送体126の上昇により可動ピン132は下降状態の上
下可動ブロック128の斜面156に案内され右方に移
動し、フィンガ136は前進状態となり、このフィンガ
136の前進状態のまま移送体126は上昇していき、
上引掛位置Dに到る直前に、可動ピン132の右端に設
けた傾斜面133が左方に移動している左右可動ブロッ
ク127の傾斜面151と係合して可動ピン132が左
方に移動され、フィンガ136が再び後退状態となって
移送体126は上引掛位置Dに到り1本目の爪12のチ
ャック6への装着を終える。
【0053】以上のように1本目の爪12が交換される
と、以後はトラバース装置65を作動させ前記爪12の
抜き取りの場合と同様に順次カセット39をトラバース
させ、左側次は右側の保持溝43を爪交換位置Aに割出
し、上記と同様にしてチャック6の爪装着溝10への爪
12の装着を行ない、全てが終了するとトラバース装置
65が旧に復し、又前後動シリンダ35も旧に復して爪
自動交換装置31全体を図3に仮想線で示す後退端位置
に後退させ、次の爪交換まで待機する。
【0054】尚、この実施例ではカセット収納庫に多数
のカセット39を収納しておき、各カセット39にはち
がった種類の爪12を装着しておけば、交換用の爪12
の組数を格段に多くすることが可能で、ワークの多様化
に対応することができる。また、この実施例では、カセ
ットごと爪を交換するためジョー運搬回数が少なく、更
にチャック6に装着されている爪を収納する空カセット
をチャック爪自動交換装置上にあらかじめ設置してある
ためカセット運搬回数が少なくなり爪交換作業を短時間
に行ない得る。
【0055】次に図19〜図32において爪自動交換装
置31の他の実施例について説明するが、前記第1実施
と同様のものは詳説を省略する。先ず図19,20,2
1において、各装置を搭載するテーブル34は、前後動
シリンダ35の作動により主軸台2上の案内ベースレー
ル32上を前進端位置(図20に示す)と後退端位置
(図25に示す)とに移動する。
【0056】テーブル34にはその前方に、爪12を案
内する凹型状のガイドブロック87が取付られている。
このガイドブロック87の後面には、後述の爪外しシリ
ンダ91のシリンダ本体92が固定され、このシリンダ
本体92の上面には、T字型の左右のカセット案内レー
ル41が設けられている。このカセット案内レール41
の上面には、その長手方向全長にわたって取付溝161
が形成され、この取付溝161には、断面L字型の左右
のピン案内レール55が取付けられている。
【0057】前記カセット案内レール41には、カセッ
ト39下面に形成したT字溝162(図20に示す)が
嵌合され、カセット39はカセット案内レール41上を
摺動移動自在とされている。このカセット39は、その
前面及び上下面に開放する四本の保持溝(右端のものよ
り順に第1,第2,第3,第4保持溝163,164,
165,166とする)が等間隔に設けられ、各保持溝
163,164,165,166を形成する左右の対向
面は爪12の摺動部13を案内する案内溝45となって
いる。またカセット39の後面の略中央部には、後述の
位置決めピン76が嵌着する位置決め孔46が穿設され
ている。カセット39には各保持溝163,164,1
65,166の前面に摺動孔167が穿設され、この摺
動孔167内には、その先端が爪12前面のラック歯1
6と係合する係止片53に形成された爪係止ピン51が
前後動自在に嵌装されている。この爪係止ピン51の周
面には案内ピン168が植設されている。また、カセッ
ト39には、前記摺動孔167と一部を交差する上下方
向の貫通孔169が穿設され、この貫通孔169には、
作動片104が摺動自在に嵌装されている。この作動片
104の切欠面には、垂直部171及び傾斜部172よ
り成る案内溝173が形成され、この案内溝173内に
は、前記爪係止ピン51の案内ピン168が係合してい
る。また作動片104の下端部には、爪外しシリンダ9
1の上ピストンロッド91aまたは前記ピン案内レール
55と係合可能な係止部106が形成されている。
【0058】次に、トラバース装置65について説明す
る。先ず周知のマグネット式ロッドレスシリンダ(例え
ば本出願人により実開平2−21305号に開示されて
いるもの)であるトラバースシリンダ66について説明
すると、テーブル34上に取付けられた左右の側板70
間には、ピストンロッド66aが取付けられ、このピス
トンロッド66aには摺動自在にシリンダバレル72が
嵌装されている。このシリンダバレル72の前面にはL
型の取付部材175が取付けられこの取付部材175前
面には、前記カセット39の位置決め孔46に嵌着する
位置決めピン76が固定してあり、また、取付部材17
5の下部は左右の側板70に夫々取付けた左右のストッ
パボルト81,82(図19に示す)間を移動する当接
部材80となっている。
【0059】次に、前記トラバースシリンダ66と同様
にしてマグネット式ロッドレスシリンダであり、三位置
に停止可能なストッパシリンダ68について説明する。
テーブル34上の前後の取付板176間にはピストンロ
ッド177及び案内ロッド178が並設され、両ロッド
177,178には、シリンダバレル179が前後方向
に摺動自在に嵌装されている。このシリンダバレル17
9の下面には、支持部材180が取付けられ、この支持
部材180には、前記カセット39の保持溝163,1
64,165,166間ピッチと同じ長さの短い規制ピ
ン182とこのピッチの2倍の長さを有する長い規制ピ
ン181が前後に並設されている。従って、所望時にス
トッパシリンダ68を作動してシリンダバレル179と
中間突出位置又は前進突出位置に位置させると、長短の
規制ピン181,182のどちらかが左ストッパボルト
81と当接部材80との間に入り込み、トラバースシリ
ンダ66のシリンダバレル72の左方へのトラバースを
規制するようになっている。
【0060】次に爪外しシリンダ91について説明する
と、図20に示すように両ロッド型シリンダであり、下
ピストンロッド91bの下端には、前記第1実施例と同
様にして取付板93を介してチャック6の噛合部材18
を前後進させる押込ピン94が設けられている。また上
ピストンロッド91aの上端は、前記カセット39に設
けた作動片104の係合部106と係合する引掛部18
3に形成されている。従って図20に示すように上昇状
態の爪外しシリンダ91を作動して上ピストンロッド9
1aとともに作動片104を下降させると、爪係止ピン
51は、その案内ピン168が作動片104の案内溝1
73の傾斜部173に案内され非係止方向に後退され、
爪係止ピン51先端の係止片53が爪12のラック歯1
6との係合を止め、その後さらに上ピストンロッド91
a及び作動片104は下降するが、爪係止ピン51の案
内ピン168は、作動片104の案内溝173の垂直部
171に案内されるので爪係止ピン51は後退位置で停
止している。つまり、爪外しシリンダ91のストローク
長より短いストロークで爪係止ピン51の前後動は行な
われるようになっている。尚爪12の上面には、後述の
ロボットハンド185の交換腕196又はシフト体20
1が係合可能な引掛片186が取付片187を介して設
けてある。
【0061】次に、図22,23,24において、カセ
ット39と複数の爪12を収納する爪収納庫(図示せ
ず)との間及び爪交換位置Aに割出されたカセット39
の保持溝163,164,165,166とチャック6
の爪装着溝10との間で爪12の搬送入換を行なう爪移
送用ロボットハンド185(以下ロボットハンドと略記
する)について説明する。このロボットハンド185
は、図示しないロボットにより少なくとも上下と前後の
二次元移動可能とされ、上下方向に切欠溝188が形成
された円筒状のハンド本体189の上部には割出用モー
タ190及びシフト用モータ191が夫々固定されてい
る。ハンド本体189の外周には、爪支持部材192が
回動自在に嵌装されると共にハンド本体189下端に形
成したフランジ部189aにより位置決めされている。
【0062】この爪支持部材192は、その上部周面に
削設された歯車194が前記割出モータ190の歯車1
95と噛み合って旋回割り出し可能とされている。爪支
持部材192の4つの外壁のうち1つの外壁には、チャ
ック−カセット間用の交換腕196が固定され、この交
換腕196の先端は爪12の引掛片186と係合可能な
突片197に形成されている。また、爪支持部材192
の他の3つの外壁には、爪12の摺動部13を案内する
左右の案内ブロック198が取付けられ、また各外壁の
中心には上下方向に伸びる断面T字状の摺動溝199が
形成されている。この摺動溝199には、爪12の引掛
片186を係止可能な引掛部200を備えたT字型のシ
フト体201が上下方向に摺動自在に嵌装されている。
このシフト体201の後面には、左右側面に開口する係
合溝202が形成され、この係合溝202は、ハンド本
体189の外周上部に取付けられ、切欠溝188と対応
する部分を切欠いた抜け止めリング203に係合する。
【0063】また、ハンド本体189の内部には、ボー
ルねじ機構204が設けられ、ナット体205を螺合し
たねじ棒206は、その上部に固定した歯車207が前
記シフト用モータ191の歯車208と噛み合って回動
可能とされている。またナット体205の外周には、前
記シフト体201の係合溝202と係合可能な係合片2
09を備えており、この係合片209は、前記ハンド本
体189の切欠溝188内に位置している。従ってこの
ロボットハンド185は、任意の爪12のシフト体20
1及び係合片209が上昇位置にある状態、すなわち図
24の状態で割出用モータ190の作用で爪支持部材1
92を旋回させ、任意の爪12及び爪12を保持するシ
フト体201が前記係合片209と係合する爪交換位置
Cに割り出し、さらにシフト用モータ191の作用でボ
ールねじ機構204を駆動してナット体205を上下動
させ、この上下動によりナット体205の係合片209
と係合するシフト体201を昇降させ、爪12が図24
の実線と仮想線で示す位置とにシフトされるようになっ
ている。尚図19,20等に示す210は機台2上面に
形成した逃げ溝であり、テーブル34が後退端位置に位
置した状態で爪外しシリンダ91を作動したとき、爪係
止ピン51が爪12の係止を止める位置まで後退するよ
うに爪外しシリンダ91の下ピストンロッド91bに取
り付けた押込みピン94が逃げ得る深さに設定されてい
る。
【0064】次に以上のように構成された第2実施例の
爪自動交換装置31の作用について説明する。先ずカセ
ット39に装着された使用済の爪12(第1保持溝16
以外の保持溝164,165,166に使用済の爪1
2が保持されているものとする。)とロボットハンド1
85に装着された次工程用の爪12との交換作業につい
て説明する。図25に示すように工作機械がワークを加
工している間、後退端位置に位置するテーブル34上
に、ロボットハンド185が移動してくる。このときト
ラバース装置65において、ストッパシリンダ68は後
退状態でトラバースシリンダ66はシリンダバレル72
を左方に移動させるように作用しているので、カセット
39の爪12の保持されていない第1保持溝163が爪
交換位置Aに割り出されている。そしてこの第1保持溝
163の真上には、ロボットハンド185のシフト体2
01に引掛け保持された爪12のうち爪交換位置Cに割
り出されている爪12が位置している(図26において
実線で示す)。また、爪外しシリンダ91の上ピストン
ロッド91aには、第1保持溝163に設けた作動片1
04が係合している。
【0065】そして、上昇状態の爪外しシリンダ91を
爪外し作動させると、上ピストンロッド91aとともに
作動片104が下降し、爪係止ピン51は、その案内ピ
ン168が作動片104の案内溝173の傾斜部172
に案内されて非係止方向に後退移動する。このとき、爪
外しシリンダ91の下ピストンロッド91bと一体の押
込ピン94は工作機械1の主軸台2上に形成された逃げ
溝210内に逃げ込んでいる。その後、ロボットハンド
185のシフト用モータ191を作用してナット体20
5と一体の係合片209及びこの係合片209と係合す
るシフト体201を下降させると、シフト体201に引
掛け保持された爪12は、ロボットハンド185の左右
の案内ブロック198による案内を離れ図26の仮想線
で示すように第1保持溝163内に案内される。
【0066】次に、爪外しシリンダ91を上昇作動させ
ると、上ピストンロッド91aとともに作動片104は
上昇し、爪係止ピン51は係止方向に前進し、爪係止ピ
ン先端の係止片53が爪12の後面に形成されたラック
歯16と係合し、爪12は第1保持溝163内に保持さ
れる。その後トラバース装置65においてトラバースシ
リンダ66のシリンダバレル72を右方に移動させた
後、ストッパシリンダ68を中間突出状態とし、左スト
ッパボルト81と当接部材80との間に短規制ピン18
2を位置させて、再びトラバースシリンダ66のシリン
ダバレル72を左方に移動させると、図27に実線で示
すようにカセット39の使用済の爪12が装着された第
2保持溝164が爪交換位置Aに割り出される。このカ
セット39のトラバースによってロボットハンド185
のシフト体201は第1保持溝163内の爪12の引掛
片186との係合を止め第2保持溝164内の爪12の
引掛片186と係合し、また、第2保持溝164に設け
た作動片104は爪外しシリンダ91の上ピストンロッ
ド91aと係合し、他の保持溝163,165,166
に設けた作動片104はピン案内レール55に案内され
る。
【0067】次に、爪外しシリンダ91を爪外し作動さ
せると、爪係止ピン51が非係止方向に後退され第2保
持溝164内の爪12の保持を止め、爪12はシフト体
201にのみ引掛け保持された状態となる。その後ロボ
ットハンド185のシフト用モータ191を駆動してシ
フト体201を上昇させ、爪12を図27において仮想
線で示す状態に位置させる。
【0068】その後、ロボットハンド185を割り出し
回転での干渉を防ぐため上方又は後方へ待避させ、爪1
2の抜き取られた第2保持溝164に次工程用の爪12
を装着させるため、ロボットハンド185の割出用モー
タ190を作動して爪支持部材192を回転し、爪交換
位置Cに新たな次工程用の爪12を割り出し、その後再
びロボットハンドを爪交換位置Aに位置する第2保持溝
164上方に戻す(図28に示す)。
【0069】以上のようにカセット39とロボットハン
ド185との間で1本目の使用済の爪12と次工程用の
爪12との入れ換えを終えると、次に前記作用と同様に
して2本目の爪の入れ換えを行なうが、第2保持溝16
4内に次工程用の爪12を保持させた後のカセット39
のトラバースによる第3保持溝165の爪交換位置Aへ
の割り出しは以下のように行なわれる。即ち、先ずトラ
バースシリンダ66のシリンダバレル72を右方に移動
させてから、ストッパシリンダ68を前進突出状態と
し、左ストッパボルト81と当接部材80との間に長規
制ピン181を位置させた後に再びトラバースシリンダ
66のシリンダバレル72を左方に移動させ、カセット
39の第3保持溝165を爪交換位置Aに割出す。
【0070】さらに、前記と同様の作用による3本目の
爪の入れ換え動作において、第4保持機構166の爪交
換位置Aへの割出しは、トラバースシリンダ66を右方
に移動させ、右ストッパボルト82に当接部材80が当
接し、第4保持溝166が爪交換位置Aに割り出され
る。このときストッパシリンダ68は後のチャック−カ
セット間の爪入れ換え作業のため前進突出状態とし、長
規制ピン181が左ストッパボルト81と当接部材80
との間に位置したままの状態とする。尚、以上のような
ロボットハンド−カセット間での爪入換動作は、テーブ
ル34を後退端位置に位置させて行なわれるようにした
が、工作機械による加工を止めテーブル34を前進端位
置に位置させた状態で行なってもよく、この場合爪入換
動作にともない爪外しシリンダ91の作動によって押込
ピン94がチャック6の操作ピン19を押し込んでチャ
ック6に取り付けた爪12が脱落するのを防止するた
め、チャック6が閉じる方向に回転シリンダ(図示せ
ず)を作動させたり、また、チャック6に取付けられた
爪12が爪交換位置から外れて位置するように主軸3の
停止を制御したりする必要がある。
【0071】以上のように使用済及び次工程用の夫々3
本の爪12をカセット39とロボットハンド185との
間で入れ換えた後に、次に加工するワークの変更その他
の理由により図示しない指令装置から交換指令が発せら
れると、この指令により主軸3が減速回転を行ないなが
ら停止し、チャック6に取付けられている爪12の1本
を爪交換位置Bに割出した後、回転シリンダ(図示せ
ず)が作動して楔ピース7を前方に移動させ、3本の爪
12を交換可能位置(ワークの把持を開放する位置)と
する。
【0072】このようにチャック6が所定の位置に割り
出されると前後動シリンダ35が作動して図29に示す
ようにテーブル34が前進端位置に位置し、ロボットハ
ンド185は、交換腕196の突片197とチャック6
に保持された爪12の引掛片186とを対向させてチャ
ック6正面に向かって前進し、爪12の引掛片186に
交換腕196の突片197を係合させた状態とする(図
30において実線で示す)。このとき、カセット39は
前記ロボットハンド−カセット間の爪交換動作完了時の
状態であるので、第1,2,3保持溝163,164,
165には、次工程用の爪12が保持され、また爪12
の保持されていない第4保持溝166が爪交換位置Aに
割出されている。
【0073】この状態より爪外しシリンダ91を作動し
て下ピストンロッド91bとともに押込ピン94を下降
させると、爪12は、チャック6からの保持を解除さ
れ、ロボットハンド185の交換腕196の突片197
にのみ引掛保持された状態となる。また爪外しシリンダ
91の作動により上ピストンロッド91aとともに作動
片104が下降するので、第4保持溝166に設けた爪
係止ピン51は、その案内ピン168が作動片104の
案内溝173の傾斜部172に案内され、非係止方向に
後退し爪の保持を止める。次いでロボットハンド185
が爪12を引掛け保持したまま上昇し、チャック6の爪
装着溝10より抜き取られた爪12が図30において仮
想線で示すように第4保持溝166内に案内される。
【0074】次いで、爪外しシリンダ91を上昇作動し
て爪係止ピン51を係止方向に前進させ、爪係止ピン5
1先端の係止片53が爪12のラック歯16に係止し、
更に、カセット39のトラバースのためにロボットハン
ド185は、交換腕196の突片197が爪12の引掛
片186との係合を止めるまでチャック6から真すぐ離
れていくので、爪12は、第4保持溝166内に爪係止
ピン51によってのみ保持された状態となる。この状態
よりカセット39をトラバースさせ第3保持溝165を
爪交換位置Bに割出すのだが、前記したようにトラバー
ス装置65において、ストッパシリンダ68は前進突出
状態であり、左ストッパボルト81と当接部材80との
間には、長規制ピン181が位置しているので、トラバ
ースシリンダ66のシリンダバレル72を左方に移動さ
せれば、第3保持溝165に保持された爪12は、爪交
換位置Aに割出されることになる。そしてロボットハン
ド185は再びチャック6に向かって近づいていき、交
換腕196の突片197が爪12の引掛片186と係合
する(図31において実線で示す)。
【0075】次いで爪外しシリンダ91を爪外し作動し
て噛合部材18を非噛合方向に移動させるとともに第3
保持溝165に設けた爪係止ピン51を非係止方向に移
動させ、第3保持溝165内の爪12はロボットハンド
185にのみ保持された状態となる。この状態よりロボ
ットハンド185を下降させると、ロボットハンド18
5に保持された爪12は第3保持溝165内から抜き取
られ、チャック6の爪装着溝10内に案内され、図31
において仮想線で示す位置に位置される。
【0076】その後、爪外しシリンダ91を逆に作動さ
せ、爪係止ピン51を係止方向に前進させるとともに噛
合部材18を噛合方向に移動させ、チャック6に次工程
用の爪12を装着し、それからロボットハンド185を
チャック6から離し、交換腕196の突片197が爪1
2の引掛片186との係合を止め主軸3を回転させ次に
交換する使用済の爪12を爪交換位置Bに割出す(図3
2に示す)。
【0077】以上のようにカセット39とチャック6と
の間で1本目の爪の入れ換えを終えると、2本目、3本
目の爪12も同様の作用をもって入換えを完了し、前後
動シリンダ35を旧に復して爪交換装置全体を後退さ
せ、次の爪交換まで待機させる。
【0078】尚、この第2実施例では、爪収納庫に多種
類の爪12を収納しておけば、爪12の交換種類を格段
に多くすることが可能で、加工するワークの多様化に対
応できる。また、この爪自動交換装置31では、カセッ
ト39とチャック6との間の爪12の移送は、ロボット
ハンド185によって行なわれているので、前記第1実
施例のように移送用シリンダ115を設ける必要がな
く、装置の高さを低くでき小型化できる。また、この実
施例では、チャック6に装着された使用済の爪12を次
工程用の爪12に交換する前に(工作機によるワークの
加工中に)、予めカセット案内レール41上に載置され
たカセット39に次工程用のすべての爪12は装着さ
れ、この爪12とチャック6との爪12をロボットハン
ド185により入れ換えるようにしたので、爪交換作業
を短時間で行ない得る。又ロボットハンド60,185
は本例ではできるだけ効果大で簡易な方法で説明したの
であって従来より用いられている把握作動を付加したロ
ボット(本出願人により特開昭61−71905号に開
示されたもの)を用いても第1,第2案共実施可能であ
る。
【0079】以上のように、本実施例のチャック爪自動
交換装置31では、カセット39にその前後方向に揺動
自在に嵌装された爪係止ピン51と、爪外しシリンダ9
1とを案内ピン107(168)及び案内ピン107
(168)を係合する案内溝110(173)とを介し
て連繋し、爪外しシリンダ91がチャック6の噛合部材
18を非噛合方向に移動させるように作動したとき、爪
係止ピン51が非係止方向に移動し、爪外しシリンダ9
1が噛合部材18を噛合方向に移動させるとき、爪係止
ピン51が係止方向に移動するようにしたので、カセッ
ト39への爪の装着又は抜き取りが爪12の重量に影響
されず確実に行なわれ得る。
【0080】
【発明の効果】以上のように、本発明のチャック爪自動
交換装置では、爪保持具には、保持溝と対応する位置に
爪と係脱する爪係止ピンを往復動自在に嵌装し、この爪
係止ピンを、爪外しシリンダの解放方向への作動によっ
て非係止方向に移動させ、爪外しシリンダの爪保持方向
への動作によって係止方向へ移動させるように爪外しシ
リンダを連繋したので、カセットへの爪の装着又は抜き
取りが爪の重量に影響されず確実に行なわれ得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例のチャック爪自動交換装置の正面図
である。
【図2】図1の縦断面側面図である。
【図3】図1の一部を断面とした平面図である。
【図4】爪の斜視図である。
【図5】カセットの平面図である。
【図6】図5の取付片の一部を破断表示した正面図であ
る。
【図7】図5の左側面図である。
【図8】ロボットハンドの斜視図である。
【図9】トラバース装置の作用説明図である。
【図10】図2の要部拡大図である。
【図11】爪外しシリンダ91下降時における作用説明
図である。
【図12】図2の移送体126が待避位置Fに位置する
作用説明図である要部部拡大図である。
【図13】図3のXIII−XIII断面拡大図である。
【図14】図2のXIV−XIV断面拡大図である。
【図15】移送体等の斜視図である。
【図16】ピン作動装置の作用説明図である(爪係止ピ
ンが係止方向に前進した状態)。
【図17】ピン作動装置の作用説明図である(爪係止ピ
ンが非係止方向に後退した状態)。
【図18】上下可動ブロックの作用説明図である。
【図19】第2実施例のチャック爪自動交換装置の正面
図である。
【図20】図19の一部を断面とした側面図である。
【図21】図19の平面図である。
【図22】爪移送用ロボットハンドの正面図である。
【図23】図22のXXIII−XXIII断面図である。
【図24】図23のXXIV−XXIV断面図である。
【図25】ロボットハンド−カセット間の爪交換作用説
明図である。
【図26】ロボットハンド−カセット間の爪交換作用説
明図である。
【図27】ロボットハンド−カセット間の爪交換作用説
明図である。
【図28】ロボットハンド−カセット間の爪交換作用説
明図である。
【図29】カセット−チャック間の爪交換作用説明図で
ある。
【図30】カセット−チャック間の爪交換作用説明図で
ある。
【図31】カセット−チャック間の爪交換作用説明図で
ある。
【図32】カセット−チャック間の爪交換作用説明図で
ある。
【符号の説明】
6 チャック、 10 爪装着溝、 12 爪、31
チャック爪自動交換装置、 39 爪保持具、 43
保持溝、51 爪係止ピン、 91 爪外しシリンダ

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 操作ピンをチャック半径方向に押し込む
    ことで、チャック本体内の滑子部材と爪保持溝内の爪の
    連結を解放し、また、操作ピンの押し込みを解除するこ
    とでチャック本体内の滑子部材と爪保持溝内の爪の連結
    するようになっているチャックと、前記操作ピンをチャ
    ック半径方向に押し込むための押込ピンをピストンロッ
    ドに備えている爪外しシリンダとを備え、前記チャック
    の爪装着溝と爪保持具に設けた爪を保持する保持溝との
    間で爪を自動的に交換するようにしてあるチャック爪自
    動交換装置において、前記爪保持具には、その保持溝と
    対応する位置に、爪係止ピンを爪外しシリンダのピスト
    ンロッド軸線と直交する方向に往復動自在に嵌装して爪
    と係脱可能に設け、この爪係止ピンと前記ピストンロッ
    ドとを、ピストンロッドの軸線方向移動を爪係止ピンの
    軸線方向移動に変換する案内ピンと案内溝とによって連
    繋し、前記爪外しシリンダのピストンロッドが操作ピン
    を押し込む方向へ移動する動作によって前記爪係止ピン
    を爪との非係止方向に移動させ、また爪外しシリンダの
    ピストンロッドが操作ピンの押し込みを解除する方向へ
    移動する動作によって前記爪係止ピンを爪との係止方向
    へ移動させるように構成したことを特徴とするチャック
    爪自動交換装置。
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