JP3185294B2 - 乗用野菜移植機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、トラクタ等の牽引車両
で複数の植付装置を有する植付部を牽引し、複数条に同
時に苗を植え付ける乗用野菜移植機に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】苗を載せる苗載台と該苗載台の苗を圃場
に植え付ける複数の植付装置を備えた植付部をトラクタ
で牽引される植付部支持台車の後部に装着して使用する
乗用野菜移植機がある。植付部はリンク機構を介して昇
降自在に植付部支持台車に装着されており、圃場面の凹
凸に応じて適宜植付部を昇降し、苗の植付深さを常に一
定に保つように構成されている。

【０００３】植付部の昇降制御は左右中心部の圃場面高
さを基準として行うので、圃場面が左右方向に高低差が
ある場合、外側の条では苗の植付深さが不適切になる。
例えば、図１０に示すように植付幅の中央部が高くなっ
ていると、中央の条は適正な植付深さであっても、左右
両側の条では苗Ａが圃場面から浮き上がった状態となっ
てしまう。

【０００４】そこで、この種の乗用野菜移植機には、圃
場面を整地および鎮圧する鎮圧ローラ等の整地鎮圧具が
植付け位置よりも前方に設けられている。従来、植付部
支持台車から前方に支持部材を突出させ、整地鎮圧具を
トラクタと台車の間隔部に設けたもの、整地鎮圧具の支
持部材を植付部に取り付けたもの等があった。なお、植
付部支持台車の上には苗補給用作業者が乗り込むための
ステップが設けられるので、植付部支持台車の下側に整
地鎮圧具を設けるのは不適当である。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、トラク
タと植付部支持台車の間隔部に整地鎮圧具を設けると全
長が長くなり、また、整地鎮圧具の支持部材を植付部に
取り付けると、整地鎮圧具が鎮圧ローラの場合ローラ径
を小さくしなければならないので、鎮圧効果が不足する
という問題があった。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は次のような構成とした。すなわち、本発明
にかかる乗用野菜移植機は、牽引車両で牽引される植付
部支持装置に作業ステップを設け、前記植付部支持装置
の後部に昇降機構を介して植付部を昇降自在に装着し、
さらに圃場面を整地する整地具を、前記昇降機構の下方
で、前記作業ステップと平面視で重複しない位置に設け
たことを特徴としている。

【０００７】

【作用】植付部支持装置の後部に設けられている昇降機
構の基部の高さを高くすることにより、鎮圧具を大きく
することができ、全長を不必要に長くすることなく必要
十分な鎮圧効果を得ることができる。また、鎮圧具が昇
降機構の下方で前記ステップと平面視で重複しない位置
に設けられているので、ステップの高さを低くして安全
に作業が行える。

【０００８】

【実施例】図１乃至図６は本発明の１実施例である５条
植え乗用野菜移植機をあらわしている。この乗用野菜移
植機１は、牽引車両２に牽引される植付部支持装置であ
る台車３と、該植付部支持装置（以下「植付部支持台
車」という）の後部に設けた昇降機構であるリンク機構
４に装着される植付部５を備えてなる。

【０００９】牽引車両２は通常のトラクタであり、図１
における７は前輪、８は後輪、９は操縦席、１０はＰＴ
Ｏ軸である。また、１２はトラクタ２が具備する３Ｐリ
ンクで、左右一対のロワリンク１３，１３と長さ調節可
能な１本のトップリンク１４を有し、油圧装置で駆動さ
れる駆動アーム１６の先端部と前記ロアリンク１３，１
３の中間部とがリフトロッド１７，１７で連結されてい
る。

【００１０】植付部支持台車３は、水平枠２０と該水平
枠の前後端部に立設した前枠２１および後枠２２とで台
車フレームを構成し、水平枠２０の左右両側部に一対の
支持輪２３，２３が取り付けられている。支持輪２３，
２３をトラクタ２の後輪８，８の直後に設けておくと、
作業時に支持輪２３，２３が後輪８，８の通過跡を通る
ようになり、植付部支持台車３の上下動を小さくするこ
とができる。水平枠２０の上部には鉄板等でできた作業
ステップ２５が設けられている。また、前枠２１の左右
両端部に斜め上向きに突出する予備苗載台支柱２８，２
８が水平面内で回動自在に取り付けられており、該支柱
に苗箱を載せる複数段の棚２９，…を有する予備苗載台
３０，３０が支持されている。

【００１１】図５に示すように、前記支持輪２３は水平
枠２０に上下に揺動自在に枢着したアーム３５の先端部
に軸支され、水平枠２０に設けた筒体３６に回転自在に
嵌合するねじ軸３７がアーム３５の先端部に設けたねじ
筒３８に螺合しており、ハンドル３９を回してねじ軸３
７を回転させることにより、支持輪２３を植付部支持台
車３に対して昇降させるようになっている。これは圃場
の土質に合わせて植付部支持台車３の高さを調節するた
めである。例えば軟弱な土壌では、車体重量で植付部支
持台車３が沈み込み、植付部支持台車３の底部が土を押
すおそれがあるので、その分だけ植付部支持台車３を高
くする。

【００１２】トラクタのＰＴＯ軸１０よりユニバーサル
ジョイト４２を介して伝達される回転動力は、前枠２１
の上部に設けた入力ケース４３に入力される。この入力
ケース４３には複数のギヤが内蔵されており、入力され
た回転動力が所定の変速比で変速して取り出される。取
り出された出力は、伝動ベルト４６で下方に伝えられ、
次に作業ステップ２５の下方に配設した第１植付部伝動
軸５４を介して植付部支持台車３の後部に伝えられ、さ
らに、第１植付部伝動軸５４の後端部からチエン５５を
介して後枠２２の上部から後方に突出する上部伝動軸５
６に伝えられる。

【００１３】リンク機構４は、植付部を昇降させる昇降
機構であり、後枠２２の上部に一体に設けたリンク支持
枠６０と、該リンク支持枠に回動自在に取り付けた各一
対の上リンク６１，６１および下リンク６２，６２と、
これら上下リンクの後端部に連結された連結枠６３とか
らなり、連結枠６３から後方に突出するローリング軸６
４に植付部５が装着される。リンク支持枠６０の下部と
連結枠６３の上部との間にピッチングシリンダ６５が設
けられており、このピッチングシリンダ６５を伸縮させ
ることにより植付部５が昇降する。ピッチングシリンダ
６５は植付部５に設けた油圧バルブで制御される。

【００１４】植付部５は、前記上部伝動軸５６から第２
植付部伝動軸６８を介して伝動される伝動ケース７０
と、該伝動ケースの両側面部に突設した伝動パイプ７
１，７１と、伝動ケース７０の背面部および伝動パイプ
７１，７１の両端部から後方に延設した３本のチエンケ
ース７２，…とで植付部フレームが構成され、該植付部
フレームに苗載台７４、５組の植付装置７５，…および
５対の鎮圧輪７６，…が取り付けられている。

【００１５】苗載台７４は、植付部フレームの上方に前
部が上位となるよう傾斜させて設けられ、支持枠７８と
支持レール７９の上に左右に滑動自在に支持されてい
る。苗載台７４の上面は植付条数分の苗載部７４ａ，…
に仕切られており、各苗載部ごとに苗送りベルト８１が
取り付けられている。さらに、苗載台７４の後方には、
植付装置７５，…に対応する苗取出口８２，…が形成さ
れた受板８３が固定して設けられている。苗載台７４が
左右に往復動することにより、台上の苗が苗取出口８２
に順次供給される。苗載台７４が左右行程の端部に到達
して横１列分の苗を供給し終えると、苗送りベルト８１
が作動して台上の苗を１列分だけ後方に移送する。

【００１６】植付装置７５はチエンケース７２，…の後
部に設けられており、各植付装置の一対の植付杆８４，
８４が所定の軌跡を描いて上下運動を行ない、前記苗取
出口８２に供給された苗を挟持して圃場に植え付けるよ
うになっている。

【００１７】また、鎮圧輪７６は一対で１組となり、こ
れらが植付条を挟んで設けられている。一対の鎮圧輪７
６，７６は、上部ほど互いの間隔が広くなるように傾斜
して支持され、ねじロッド８５で下向きに押圧されてお
り、植え付けた苗の両側の土壌を鎮圧する。

【００１８】リンク機構４の下側で、前記ステップ２５
と平面視で重複しない位置に、圃場面を鎮圧かつ整地す
る整地具として鎮圧ローラ９０が設けられている。この
鎮圧ローラ９０は、植付部支持台車３の水平枠２０に後
方下向きに取り付けた支持部材９１，９１の後端部に転
動自在に支持されている。支持部材９１，９１は上リン
ク６１，６１の上面に当接する横棒９２に吊りロッド９
３，９３で吊られているので、植付部５が上昇すると鎮
圧ローラ９０も地面から浮上する。図６に示すように、
鎮圧ローラ９０の外周面には複数本の凸条９５，…が螺
旋状に形成されており、機体の進行にともなって鎮圧ロ
ーラ９０が圃場面を転がることにより、圃場面を整地お
よび鎮圧する。凸条９５，…は土壌表面の高所を削り、
これを周囲に分散する働きをし、鎮圧ローラ９０通過跡
は効果的に均平化がなされる。

【００１９】また、鎮圧ローラ９０の後方には３個のそ
り状整地体１００，…が設けられている。これら整地体
は、連結枠６３に取り付けた拡縮リンク１０２に支持さ
れており、圃場面の凹凸に追随して前部が上下に揺動す
るようになっている。地面から突き上げられたときは上
動するが、拡縮リンク１０２のストッパ１０３が下リン
ク６２の下面に係合しているため、植付部５が上昇して
も連結枠６３に対し一定以上下動しないようになってい
る。

【００２０】中央の整地体１００は圃場面の高さを検出
するためのピッチング感知センサでもあり、該整地体の
上下動によって前記油圧バルブが切り替わる。例えば、
圃場面が高くなって整地体１００が上動すると、ピッチ
ングシリンダ６５が伸びる方向に油圧バルブが駆動さ
れ、また圃場面が低くなって整地体１００が下動する
と、ピッチングシリンダ６５が縮む方向に油圧バルブが
駆動される。このように、圃場面の凹凸に基づいて植付
部５を適宜昇降させて苗の植付深さを一定に維持するの
である。

【００２１】上記の如く、左右中心部の圃場面高さを基
準として植付部５の昇降制御を行うが、鎮圧ローラ９０
によって各条（５条）とも圃場面が均平化されているの
で、外側の条も適正な植付深さとなる。また、リンク機
構４の基部側を植付部支持台車３よりも上方に設け、こ
のリンク機構４の基部側寄りに鎮圧ローラ９０が設けら
れているので、鎮圧ローラ９０の径を大きく取ることが
でき、必要十分な鎮圧力を得ることができる。

【００２２】なお、整地具としては、前記実施例のよう
な整地と鎮圧を同時に行う鎮圧ローラ９０を使用する代
わりに、図７に示すように、主として整地用のドザー式
整地体１１０と主として鎮圧用の外周面が平滑な鎮圧ロ
ーラ１１１の両方を設けてもよい。ドザー式整地体１１
０は図８または図９に示すように接地部が進行方向に対
して斜めになっており、削り取った土を両側または片側
に押し分けて均等に分散させるようになっている。そし
て、ドザー式整地体１１０で整地した跡を鎮圧ローラ１
１１で鎮圧する。鎮圧ローラ９０は前記実施例の鎮圧ロ
ーラ９０と同様に設け、ドザー式整地体１１０は植付部
支持台車３の下側に設ければよい。このため、野菜移植
機の全長が長くなることはない。

【００２３】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
にかかる乗用野菜移植機は、全長を不必要に長くするこ
となく整地具を設けることができ、良好な植付状態が得
られる。また、作業ステップの低位置化を図ることがで
き、作業者が搭乗したときの機体全体の重心を低くする
ことができ、安全に作業を行えるようになった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の１実施例である乗用野菜移植機の全体
側面図である。

【図２】図１に示した乗用野菜移植機の平面図である。

【図３】植付部支持台車の側面図である。

【図４】植付部の側面図である。

【図５】支持輪取付部の斜視図である。

【図６】鎮圧ローラの斜視図である。

【図７】異なる実施例の植付部支持台車の側面図であ
る。

【図８】ドーザ式整地体の１例の斜視図である。

【図９】ドーザ式整地体の異なる例の斜視図である。

【図１０】苗の植付状態を示す平面図である。

【符号の説明】 １ 乗用野菜移植機 ２ トラクタ（牽引車両） ３ 植付部支持装置（植付部支持台車） ４ リンク機構 ５ 植付部 ９０，１１１ 整地具（鎮圧ローラ）

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A01C 11/02 A01C 5/06

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 牽引車両２で牽引される植付部支持装置
   ３に作業ステップ２５を設け、前記植付部支持装置３の
   後部に昇降機構４を介して植付部５を昇降自在に装着
   し、さらに圃場面を整地する整地具９０，１１１を、前
   記昇降機構４の下方で、前記作業ステップ２５と平面視
   で重複しない位置に設けたことを特徴とする乗用野菜移
   植機。