JP3184328B2 - 硬化性樹脂組成物および該組成物から形成された硬化樹脂膜 - Google Patents

硬化性樹脂組成物および該組成物から形成された硬化樹脂膜

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は硬化性樹脂組成物および
その樹脂組成物で形成された硬化樹脂膜に関する。更に
詳しくいえば、高度な耐候性を有する、塗料用およびク
リヤーコート用等に有用な、有機ケイ素ポリマーを含有
する硬化性樹脂組成物およびそれから形成される硬化樹
脂膜に関する。
【0002】
【従来の技術および課題】近年、含フッ素モノマーを利
用した共重合ポリマーが優れた耐候性を有するため塗料
として活用されており、高価ではあるがメインテナンス
コストを考慮した観点からその需要が増加してきてい
る。溶剤可溶型の含フッ素ポリマーをベースとした塗膜
は、耐変色性、耐クラック性等において優れた性質を示
すが、耐汚染性、表面硬さ等は必ずしも満足できるもの
でないのが現状である。上記の欠点を補うべく、アクリ
ル樹脂をシリコーン変性したものが提案され実用化され
ているが、硬度、耐汚染性について未だ満足し得るレベ
ルには至っていない。
【0003】従って、本発明の課題は耐変色性、耐クラ
ック性、耐汚染性、表面硬さ等に優れた有機ケイ素ポリ
マ−を含有する、塗料、クリヤーコート用等の硬化性樹
脂組成物およびそれから形成される硬化樹脂膜を提供す
ることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく、高度な耐候性に加えて、硬度、耐汚染性
について満足できる有機ケイ素ポリマーをベースとする
塗料用樹脂について研究を重ねた結果、本発明に到達し
た。
【0005】すなわち、本発明は 1)(A)下記一般式(I)
【0006】
【化2】
【0007】(式中、R1 〜R2mは各々独立した置換基
であって、R1 〜R2mの置換基数の50〜95%はメチ
ル基を表わし、5〜50%はイソシアナート基と反応可
能な活性水素を含む基を表わし、残りは炭素原子数2な
いし3のアルキル基または置換されていてもよいフェニ
ル基を表わし、末端基Ra 、Rb 、Rc 、Rd はヒドロ
キシル基または炭素原子数1〜3のアルコキシ基を表わ
し、mは重合度である。)で示されるポリオルガノシル
セスキオキサン10〜90重量%、
【0008】(B)(1) 末端基がヒドロキシル基である
ジメチルポリシロキサンのヒドロキシル基1当量に対
し、0.01〜1当量の不飽和イソシアナートのイソシアナ
ート基を反応させて得られる末端基の0.01〜1当量が不
飽和結合であるシリコン樹脂(B-1) 10〜90重量%
と、(2) イソシアナートと反応可能な活性水素を有する
重合性単量体(B-2) 1〜30重量%と、(3) (B-1) およ
び(B-2) の不飽和基と共重合可能な重合性単量体(B-3)
10〜80重量%とを共重合して得られる活性水素を有
するグラフトポリマー10〜90重量%、および (C)多価イソシアナート化合物またはそのイソシアナ
ート基が安定化されている化合物2〜50重量%からな
る硬化性樹脂組成物、
【0009】2)前記1における(C)成分の多価イソ
シアナート化合物のイソシアナート基が安定化されてい
る化合物は、加熱により容易にイソシアナート基に解離
するか、または活性水素化合物と交換反応するブロック
剤でイソシアナート基が保護されている化合物である前
記1に記載の硬化性樹脂組成物、および 3)前記1または2に記載の硬化性樹脂組成物で形成さ
れた硬化樹脂膜を提供したものである。
【0010】以下、本発明を説明する。本発明におい
て、(A)成分として使用されるポリオルガノシルセス
キオキサンは、上述した一般式(I)で示されるシルセ
スキオキサン単位から構成されるものである。
【0011】前記一般式(I)中、R1 〜R2mはそれぞ
れ同じ基であっても別種の基であってもよい。R1 〜R
2mの置換基数の50〜95%、好ましくは60〜85%
はメチル基である。メチル基が50%未満では硬化後の
樹脂の硬度が不十分となり、またメチル基が95%より
多い場合は、架橋硬化反応に必要なイソシアナートと反
応可能な活性水素を含む基が少なすぎて、耐溶剤性や耐
汚染性が不十分となる。
【0012】また、R1 〜R2mの一部はイソシアナート
と反応可能な活性水素を含む基である。ここで、イソシ
アナートと反応可能な活性水素を含む基としては、アミ
ン、アルコール、メルカプタン、フェノール、カルボン
酸アミド、尿素などの構造を含む基等が挙げられる。
【0013】一般式(I)中のR1 〜R2mにおけるイソ
シアナートと反応可能な活性水素を含む基の比率は5〜
50%がよく、好ましくは10〜30%である。この基
の比率が5%未満では耐溶剤性や耐汚染性が不十分とな
り本発明の目的には適しない。また、50%より多い場
合は、硬化後の樹脂の可撓性、衝撃性について本発明の
目的とするレベルを実現し得なくなる。
【0014】一般式(I)におけるR1 〜R2mにおい
て、メチル基およびイソシアナートと反応可能な活性水
素を含む基以外の残りは炭素原子数2〜3のアルキル
基、または置換されていてもよいフェニル基からなる。
1 〜R2mとして炭素原子数4以上のアルキル基が含ま
れていると、硬度、耐候性共に低下し、本発明の目的に
は不適となる。フェニル基の置換基としては、アルキル
基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基また
はこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部をハ
ロゲン原子、シアノ基等で置換した基等が挙げられる。
【0015】本発明において、(A)成分のポリオルガ
ノシルセスキオキサンの分子量は、ゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィー(GPC)装置と標準分子量物質
とを用いて測定される数平均分子量で1,000 〜100,000
程度が好ましい。
【0016】また、一般式(I)のポリオルガノシルセ
スキオキサンの末端基Ra 、Rb 、Rc 、Rd は合成時
の原料に由来するアルコキシ基または水酸基を表わす
が、この末端基を例えばトリメチルクロロシラン、トリ
メチルメトキシシランなどを用いてキャッピングして保
存安定性を高めることも可能である。
【0017】次に、本発明の硬化性樹脂組成物の(B)
成分について説明するが、理解を容易にするために、
(B)成分のうち、末端基が不飽和結合であるシリコン
樹脂(B-1) の製造工程例と、この(B-1) 、イソシアナー
トと反応可能な活性水素を有する重合性単量体(B-2) 、
(B-1) および(B-2) の不飽和基と共重合可能な重合性単
量体(B-3) とを共重合して得られる活性水素を有するグ
ラフトポリマー(B)の製造工程例を反応工程式[A]
および反応工程式[B]に示す。
【0018】
【化3】
【0019】
【化4】
【0020】なお、上記工程中の重合はラジカル発生剤
の存在下、不活性ガス気流中で常法に従って行なうこと
ができる。
【0021】また、活性水素を有するグラフトポリマー
(B)の構造は模式的に図1に示される。(B-1)成分を
調製する際に利用できる末端基がヒドロキシル基である
ジメチルポリシロキサンの具体例としては、例えば以下
のものが挙げられる。
【0022】信越化学(株)製 KF−6001 水酸価 62 分子量 1800 KF−6002 水酸価 35 分子量 3200 KF−6003 水酸価 20 分子量 5600
【0023】他方、ジメチルポリシロキサンの末端ヒド
ロキシル基と反応させ、ジメチルポリシロキサンの末端
を不飽和結合を有する基とするための不飽和イソシアナ
ートの具体例としては、以下のものが挙げられる。
【0024】(イ)同一分子中に不飽和基とイソシアナ
ート基とを共有する化合物:例えば前記工程式に示した
イソシアナートエチルメタクリレート(III) が挙げられ
る。
【0025】(ロ)ジイソシアナート化合物に不飽和ア
ルコールを反応させたもの:ここで、ジイソシアナート
化合物としては、脂肪族または環状脂肪族または芳香族
のジイソシアナート化合物(ヘキサメチレンジイソシア
ナート、ジフェニルメタンジイソシアナートなど)が挙
げられるが、中でも2個のイソシアナート基の反応性の
異なる、イソホロンジイソシアナート、2,4−トリレ
ンジイソシアナート等が望ましい。また、耐候性が問題
とされるものでは、黄変防止の点から脂肪族または環状
脂肪族のジイソシアナート化合物が好都合である。
【0026】他方、ジイソシアナート化合物を不飽和イ
ソシアナートとするために用いる活性水素を有する重合
性単量体としての不飽和アルコールとしては、重合性が
優れている点から、(メタ)アクリロイル基を有するも
のが好ましい。このような不飽和アルコールの具体例と
しては、モノエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との
付加物、例えば2−ヒドロキシエチルメタクリレート、
2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプ
ロピルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリ
レート、2−ヒドロキシ2′フェノキシエチルメタアク
リレートが挙げられる。
【0027】以下に、ジイソシアナート化合物として
2,4−トリレンジイソシアナート(IX)、不飽和アルコ
ールとして2−ヒドロキシエチルメタクリレート(X) を
使用した不飽和イソシアナート化合物(XI)の製造工程を
示す。
【0028】
【化5】
【0029】ジメチルポリシロキサンのヒドロキシル基
と、不飽和イソシアナートのイソシアナート基の反応割
合は、重合率、末端不飽和基にシリコン樹脂とビニルモ
ノマー等の共重合可能な重合性単量体との配合割合によ
っても相違するが、ヒドロキシル基1当量に対してイソ
シアナート基が0.01〜1当量である。0.01当量未満の不
飽和イソシアナートの使用は、末端不飽和基のシリコン
樹脂とビニル重合により得られたポリマー(ビニルポリ
マー)とが相溶化せず2相に分離する。また、1当量を
越えるとゲル化の危険性が著しく増大する。
【0030】不飽和イソシアナートの、より適当な使用
割合はイソシアナート基として0.1〜0.8 当量である。
0.5 当量以上を使用する時は、反応中のゲル化を避ける
ために、重合調節剤、例えばメルカプタン類に使用割合
を増加させる必要がある。ジメチルポリシロキサンのヒ
ドロキシル基と不飽和イソシアナートのイソシアナート
基との反応は溶剤(酢酸エチル、トルエンなど)を用い
るか、あるいはジメチルポリシロキサンの粘度が低い場
合には溶剤を用いずに、不活性ガス(窒素など)雰囲気
下、触媒(ジブチル錫ジラウレートなど)を使用して、
30〜70℃で0.5 〜3時間反応させて行なわれる。こ
の場合溶媒として、次工程で使用する重合性単量体を使
用すると反応終了後直ちに重合工程に移れるので好都合
である。
【0031】本発明においては、(B)成分の調製に際
して、末端に不飽和結合を有するシリコン樹脂(B-1) と
ともに、イソシアナートと反応可能な活性水素を有する
重合性単量体(B-2) が使用される。ここでイソシアナー
トと反応可能な活性水素を有する重合性単量体として
は、最も一般的に不飽和アルコールが用いられ、その中
でも前述したような(メタ)アクリロイル基を有するタ
イプが重合性の点で優れており好都合である。このよう
な不飽和アルコールの例には、モノエポキシ化合物と
(メタ)アクリル酸との付加物があり、例えばヒドロキ
シエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリ
レート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−
ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ2′
−フェノキシエチルメタクリレートが挙げられる。
【0032】末端に不飽和結合を有するシリコン樹脂(B
-1) とイソシアナートと反応可能な活性水素を有する重
合性単量体(B-2) と共重合してグラフトポリマー化する
ための重合性単量体類(B-3) は、特にその種類は限定さ
れないが、一般に用いられている種類のもの、例えばス
チレン、ビニルトルエン、メタクリル酸メチルを始めと
する(メタ)アクリル酸エステル類、アクリロニトリ
ル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化
ビニリデンなどが挙げられる。
【0033】末端不飽和基のシリコン樹脂(B-1) とイソ
シアナートと反応可能な活性水素を有する重合性単量体
(B-2) とビニルモノマー等の共重合可能な重合性単量体
(B-3) との配合割合は、(B-1) と(B-2) と(B-3) の合計
量(100重量%)に対して、末端不飽和基のシリコン
樹脂(B-1) が10〜90重量%、好ましく30〜70%
であり、イソシアナートと反応可能な活性水素を有する
重合性単量体(B-2) が1〜30重量%、好ましくは5〜
20重量%であり、(B-1) および(B-2) と共重合可能な
重合性単量体(B-3) が10〜80重量%、好ましくは2
0〜60重量%である。
【0034】末端不飽和基のシリコン樹脂(B-1) が10
重量%未満では、本発明の樹脂組成物の硬化体の耐候性
が不満となり、また90重量%を越えると本発明の樹脂
組成物における(A)成分との相溶性が不良となる。イ
ソシアナートと反応可能な活性水素を有する重合性単量
体(B-2) が1重量%未満では硬化後の塗膜の強度、耐溶
剤性が不良であり、30重量%を越えると硬化後の塗膜
の屈曲性、衝撃性が不良である。(B-1) および(B-2) と
共重合可能な重合性単量体(B-3) が10重量%未満では
本発明の樹脂組成物における(A)成分との相溶性が不
良となり、80重量%を越えると本発明の樹脂組成物の
硬化体の耐候性が不良となる。(B)成分を製造する重
合は、通常のラジカル重合法に従って、一般的なラジカ
ル発生剤、例えばアゾビスイソブチロニトリルの存在
下、不活性ガス気流中で行なわれる。
【0035】本発明において(C)成分として用いられ
る多価イソシアナート化合物としては、トリレンジイソ
シアナート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアナ
ートのような芳香族系イソシアナート化合物、ヘキサメ
チレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナー
ト、キシリレンジイソシアナートのような脂肪族系のイ
ソシアナート化合物の中から用途に応じて選択使用され
る。耐候性が問題とされる場合には脂肪族の多価イソシ
アナート化合物が望ましい。
【0036】本発明において(C)成分として、多価イ
ソシアナート化合物は、予め活性水素化合物(ブロック
剤)と反応させ、ブロック化による安定化を図ったもの
も好ましく使用される。このブロックイソシアナート化
合物は、加熱により容易にもとのイソシアナートへ解離
するか、あるいは活性水素化合物と交換反応をする。こ
のようなブロック剤の具体例としては、メチルアルコー
ル、エチルアルコール、ブチルアルコール、メチルセロ
ソルブ、エチルセロソルブに例示されるアルコール類、
フェノール、クレゾール、チモール、ニトロフェノー
ル、ナフトールなどで例示されるフェノール類、尿素、
チオ尿素、エチレン尿素に例示される尿素類、ブチルメ
ルカプタン、チオフェノール、ドデシルメルカプタンな
どのメルカプタン類、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエ
チル、アセト酢酸エチルなどの活性メチレンを有する化
合物、アセトアニリド、アセトアニシジド、酢酸アミ
ド、ベンズアミドのような酸アミド類、コハク酸イミ
ド、マレイン酸イミドのようなイミド類、ジフェニルア
ミン、フェニルナフチルアミン、アニリン、カルバゾー
ルなどのアミン類、ホルムアルドオキシム、アセトアル
ドオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサ
ンオキシムなどのオキシム類などが挙げられる。
【0037】本発明の硬化性樹脂組成物においては、
(A)、(B)、(C)成分の配合量(合計で100重
量%)は、(A)成分が10〜90重量%、好ましくは
20〜80重量%、(B)成分が10〜90重量%、好
ましくは20〜80重量%、(C)成分が2〜50重量
%、好ましくは5〜20重量%である。
【0038】(A)成分が90重量%を越えると、硬化
体の基材に対する追随性が乏しくなり、クラックを生じ
やすくなる。また10重量%未満では目的とする硬度、
耐擦傷性が得られない。(B)成分が80重量%を越え
ると硬度が不十分となり、一方10重量%未満では基材
に対する追随性やクラック性の面で問題を生ずる。
(C)成分が50重量%を越えると、基材に対する追随
性やクラック性の面で問題を生じ、一方、2重量%未満
では耐溶剤性や硬度の点で問題を生じる。
【0039】本発明の樹脂組成物においては、活性水素
と多価イソシアナートの反応を促進するために各種の触
媒を添加することができる。触媒の具体例としては、ジ
ブチルチンジ−2−エチルヘキソエート、スタナスオク
トエート、塩化第二スズなどが挙げられる。
【0040】本発明の硬化性樹脂組成物は上述の通り、
(A)、(B)および(C)成分を必須の成分とするも
のであるが、実際に硬化性樹脂組成物を使用する形態に
は2種類がある。1つは、(A)および(B)成分から
なる液と(C)成分との2液を調製しておき、使用する
直前に両液を混合してコーティング後、硬化する方法で
あり、他の1つは(A)、(B)および(C)の3成分
を予め1液にしておき、使用時にコーティング後、硬化
する方法である。後者の一液の形態では、(C)成分と
しては前述のブロック化イソシアナートを用いるのが望
ましい。
【0041】また、本発明の硬化性樹脂組成物には硬化
物の物性の改質を目的とし、あるいは硬化物の用途等に
応じて、種々の添加剤を配合して硬化させることがきき
る。これらの添加剤としては、例えば、着色顔料(フタ
ロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、チタンホ
ワイト等)、増粘剤(シリカ、炭酸カルシウム、カオリ
ン、クレー、コロイダルシリカ等)、各種の紫外線吸収
剤、酸化防止剤等が使用される。
【0042】また、上記のような樹脂組成物を使用する
に際しては、作業性を良好ならしめるため、または膜厚
をコントロールするために溶剤で希釈して使用してもよ
い。また、溶剤の代わりにいわゆる反応性希釈剤を用い
ることもできる。使用される溶剤としては、プロパノー
ル、ブタノール等のアルコール類、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、セロソ
ルブアセテート、メチルセロソルブのようなエーテル
類、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル類、トル
エン、キシレンのような芳香族炭化水素類が挙げられ
る。これらの溶剤は、2種以上を混合して使用してもよ
い。また反応性希釈剤としては、各種のポリオール類な
どが挙げられる。
【0043】本発明による硬化性樹脂組成物を基材表面
に適用するには従来公知の各種の方法を採用することが
できる。このとき、基材との密着性をさらに向上させる
ために、基材表面にプライマーまたはシランカップリン
グ剤で処理した後に使用してもよい。本発明の樹脂組成
物を硬化させるには、通常は常温で数日放置すればよい
が、一定時間比較的低い温度(40〜120℃)に加熱
して硬化を促進してもよい。
【0044】
【作用】本発明の樹脂組成物の(A)成分であるポリオ
ルガノシルセスキオキサンはその分子構造に由来して、
表面硬度、耐汚染性等の面で優れているが、反面、基材
の働きには追随できず、耐クラック性の面で問題があっ
た。ポリオルガノシルセスキオキサンに可撓性に優れた
ジメチルポリシロキサンを複合して性能のバランスを図
ろうとしても、この両者はまったく相溶しない。
【0045】本発明によりジメチルポリシロキサンにウ
レタン結合を介して、(メタ)アクリル樹脂をグラフト
させたポリマーは、ポリオルガノシルセスキオキサンと
相溶することが明らかとなり、これによって従来知られ
ていない高シリコン含有の樹脂組成物が実現しうるとこ
ろとなった。本発明の樹脂組成物ではハードセグメント
としてのラダー骨格とソフトセグメントとしてのジメチ
ルポリシロキサン骨格とを硬化体中にバランスよく存在
する結果として、硬化樹脂が良好な物性、耐久性を有す
るものと考えられる。
【0046】
【実施例】以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体
的に説明するが、本発明は下記の例に限定されるもので
はない。なお、実施例および比較例中の各物性値は下記
の方法に従って測定した。
【0047】[耐摩耗性]太さ#0000のスチールウ
ールの束に荷重500gをかけながら硬化被膜を15往
復こすり、その後被膜についた傷の程度を調べ、下記の
基準により4ランクに分けて評価した。 A:全く傷がつかない、 B:10本以内の傷がつく、 C:10本以上の傷がつくが、なお光沢を保持してい
る、 D:無数の傷で光沢を失う。
【0048】[表面硬度]塗料用鉛筆引っかき試験機を
用いて、JIS K5401に準じて測定した。 [耐候性・耐汚染性]JIS B7753の規定に従
い、カーボンアークサンシャインウェザーメーター試験
を行なった。2000時間後の試験体の表面を観察し、試験
前のものと比較して評価した。
【0049】(A)成分の調製−1 温度計、撹拌装置、還流冷却器を取り付けた2リットル
のフラスコに、γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシ
ラン216g(1.2 モル)、メチルトリエトキシシラン
392g(2.2 モル)、アセトン200g、塩酸0.0015
モル、水108g(6モル)を仕込み、フラスコ内の温
度を60℃まで昇温し、撹拌しながら3時間保持した。
続いて70℃に昇温し、1時間反応させた後、KOH
0.25g(0.0041モル)を滴下し、さらに2時間反応させ
た後、ロータリーエバポレータを用いて溶剤、副生物の
アルコールと水を取り除いたところ、25℃の粘度が8
50cpsの粘稠な(A)成分が定量的に得られた。直
ちにメチルイソブチルケトンを加えて50%溶液として
保存した。この(A)成分の分子量をGPCを用いて測
定したところ、数平均分子量4,800 、重量平均分子量1
2,500であった。本発明の(A)成分のGPC曲線は単
一のピークとなり、モノマーに由来する残存ピークは全
く見られない。従って、モノマーは完全に共縮合してい
ると見られ、側鎖のメチル基とヒドロキシル基とのモル
比は原料モル比に由来し、65:35であった。この
(A)成分をA−1とする。
【0050】(A)成分の調製−2 上記のA−1成分の合成に用いたのと同じ装置にγ−メ
ルカプトトリメトキシシラン78.5g(0.4 モル)、メチ
ルトリメトキシシラン300.0 g(2.2 モル)、フェニル
トリメトキシシラン20g(0.1 モル)、塩酸0.0015モ
ル、水108g(6モル)を仕込み、フラスコ内の温度
を60℃まで昇温し、撹拌しながら3時間保持した。続
いて70℃に昇温し、1時間反応させた後、KOH 0.
25g(0.0041モル)を滴下し、さらに2時間反応した
後、ロータリーエバポレーターを用いて副生物のアルコ
ールと水とを取り除いたところ、25℃の粘度が420
cpsでわずかに臭気が残る粘稠な(A)成分が定量的
に得られた。直ちにトルエンを加えて、50%溶液とし
て保存した。この(A)成分の分子量をGPCを用いて
測定したところ、数平均分子量3,500 、重量平均分子量
8,400 であった。本合成の(A)成分においては側鎖の
メチル基とメルカプト基とフェニル基との比率は
((A)成分の調製−1と同じGPC曲線の解析によ
る。)は81:15:4であった。この(A)成分をA
−2とする。
【0051】(A′)成分の調製−1 比較のためにA−2成分の合成において、原料アルコキ
シシランの反応モル比を変えて、側鎖のメチル基とメル
カプト基とフェニル基との比率が97:2:1で、数平
均分子量7,000 、重量平均分子量16,000のものを合成し
た。この成分をA−3とする。
【0052】(A′)成分の調製−2 さらに比較のために側鎖がメチル基とメルカプト基とフ
ェニル基とから構成され、そのモル比が45:55:1
0で、数平均分子量が2,800 、重量平均分子量が6,700
のものを合成た。この成分をA−4とする。
【0053】(B)成分の調製−1 撹拌機、還流コンデンサー、温度計、ガス導入管を付し
た1リットルセパラブルフラスコにヒドロキシル基含有
ジメチルポリシロキサンとして、信越化学(株)製KF
−6002を250g、イソシアナートエチルメタクリ
レート18g、ジブチル錫ジラウレート0.25gを仕込
み、窒素気流中40℃で2時間反応させた。赤外分析の
結果、遊離のイソシアナート基は消失したことが確認さ
れた。次いでメタクリル酸メチル270g、2−ヒドロ
キシエチルメタクリレート35g、t−ブチルドデカン
チオール12g、アゾビスイソブチロニトリル5g、酢
酸エチル400gを加え、60℃で12時間重合させ
た。数平均分子量約12,000、重量平均分子量約120,000
のグラフトポリマーが得られた。このグラフトポリマー
をB−1とする。
【0054】(B)成分の調製−2 B−1成分の調製に用いたのと同じ装置を用いて、ヒド
ロキシル基含有シリコン樹脂として信越化学(株)製K
F−6003を280g、イソホロンジイソシアナート
と2−ヒドロキシプロピルメタクリレートとの1:1
(モル)の付加物を37g、ジブチル錫ジラウレート0.
8 gを加え、50℃で2時間反応させた。赤外分析の結
果、遊離のイソシアナート基は消失したことが確認され
た。次いで、スチレン283g、2−ヒドロキシプロピ
ルメタクリレート30g、ラウリルメルカプタン10g
を加え、120℃で5時間熱重合を行なった。重合率は
ほぼ43〜45(%)、シラップ状でやや白濁したグラ
フトポリマーが得られた。このこのグラフトポリマーを
B−2とする。
【0055】実施例1 下記の成分を均一に混合し、ボンデライト鋼板上に60
μ厚に塗装後、室温で一夜放置し、さらに50℃、2時
間加熱硬化を行なった。 A−1成分(固形分換算) 60重量部 B−2成分 40重量部 ポリイソシアナート (武田薬品(株)製:タケネートD−120N) 15重量部 ジブチル錫ジラウレート 0.3 重量部 酢酸エチル 20重量部 この硬化被膜の膜厚、表面鉛筆硬度、耐磨耗性および耐
侯性を表1に示す。
【0056】実施例2 下記の成分を均一に混合し、スレート板上に水ガラス系
複層模様吹き付け剤を塗布し、焼き付けた下地基板上に
厚さ40μ厚にコーティングした。室温で一夜放置後、
さらに50℃、2時間加熱硬化を行なった。この結果、
もとの基板が無機系塗膜特有の白っぽく不鮮明な外観で
あったものが、このトップコートを施すことにより色鮮
やかで釉薬調の光沢ある外観に一変した。 A−1成分(固形分換算) 55重量部 B−2成分 45重量部 ポリイソシアナート 15重量部 ジブチル錫ジラウレート 0.3 重量部 酢酸エチル 20重量部 この硬化被膜の諸物性を表1に示す。
【0057】比較例1 実施例2のA−2成分をA−3としたこと以外は全て実
施例2と同じ処方、操作により硬化被膜を作成した。こ
のものの諸物性を表1に示す。
【0058】比較例2 実施例2のA−2成分をA−4としたこと以外は全て実
施例2と同じ処方、操作により硬化被膜を作成した。こ
のものの諸物性を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物は、常温または比較
的マイルドな加熱により容易に硬化させることができ、
またその硬化被膜は耐候性、耐汚染性に優れるているの
みならず、硬度、耐擦傷性についても、従来にない優れ
た特性を示す。従って、本発明の樹脂組成物は建築、家
電、自動車等の幅広い分野に広く使用することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】活性水素を有するグラフトポリマーの構造を模
式的に示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−209031(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 18/00 - 18/87 C09D 175/04

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)下記一般式(I) 【化1】 (式中、R1 〜R2mは各々独立した置換基であって、R
    1 〜R2mの置換基数の50〜95%はメチル基を表わ
    し、5〜50%はイソシアナート基と反応可能な活性水
    素を含む基を表わし、残りは炭素原子数2ないし3のア
    ルキル基または置換されていてもよいフェニル基を表わ
    し、末端基Ra 、Rb 、Rc 、Rd はヒドロキシル基ま
    たは炭素原子数1〜3のアルコキシ基を表わし、mは重
    合度である。)で示されるポリオルガノシルセスキオキ
    サン10〜90重量%、 (B)(1) 末端基がヒドロキシル基であるジメチルポリ
    シロキサンのヒドロキシル基1当量に対し、0.01〜1当
    量の不飽和イソシアナートのイソシアナート基を反応さ
    せて得られる末端基の0.01〜1当量が不飽和結合である
    シリコン樹脂(B-1) 10〜90重量%と、(2) イソシア
    ナートと反応可能な活性水素を有する重合性単量体(B-
    2) 1〜30重量%と、(3) (B-1) および(B-2) の不飽
    和基と共重合可能な重合性単量体(B-3) 10〜80重量
    %とを共重合して得られる活性水素を有するグラフトポ
    リマー10〜90重量%、および (C)多価イソシアナート化合物またはそのイソシアナ
    ート基が安定化されている化合物2〜50重量%からな
    る硬化性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1における(C)成分の多価イソ
    シアナート化合物のイソシアナート基が安定化されてい
    る化合物は、加熱により容易にイソシアナート基に解離
    するか、または活性水素化合物と交換反応するブロック
    剤でイソシアナート基が保護されている化合物である請
    求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の硬化性樹脂組
    成物で形成された硬化樹脂膜。
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