JP3183543U - モップコード - Google Patents
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Abstract
【課題】吸水性、汚れ除去性を兼備し、糸条のばらけも抑制され、かつ環境低負荷な清掃用糸条を提供する。
【解決手段】溶剤紡糸セルロース繊維と、芯鞘型熱融着性繊維とによって構成され、芯鞘型熱融着性繊維は、鞘部の融点または軟化点が芯部の融点より20℃以上低く、芯部および鞘部は生分解性熱可塑性重合体により構成されており、構成繊維同士は、鞘部が溶融または軟化することにより熱接着していることを特徴とするモップコード。
【選択図】図1
【解決手段】溶剤紡糸セルロース繊維と、芯鞘型熱融着性繊維とによって構成され、芯鞘型熱融着性繊維は、鞘部の融点または軟化点が芯部の融点より20℃以上低く、芯部および鞘部は生分解性熱可塑性重合体により構成されており、構成繊維同士は、鞘部が溶融または軟化することにより熱接着していることを特徴とするモップコード。
【選択図】図1
Description
本考案は、家庭用や業務用、その他各分野に使用できるモップの清掃面に用いるコードに関するものである。
清掃に用いるモップの要求性能としては吸水性と汚れ除去性が挙げられる。そして、モップの清掃部(モップコード)には、上記の要求性能を満たす素材であるとして、一般に綿糸が用いられている。しかしながら、綿糸は、使用するにつれて、繊維の単糸切れが発生し、単糸切れによる毛羽や繊維くずを清掃対象物に付着させてしまうことがある。また、使用による摩擦や摩耗によって、撚り戻りが生じて糸条がばらけやすく当初の形態を維持できず、風合いが低下することもあった。また、綿糸は天然のものであるため、一定の繊度よりも小さいものがないため微塵の掻き取り性についての課題を内在していた。
上記の綿糸固有の問題を解決する手段として、セルロース系のマルチフィラメントと合成繊維のマルチフィラメントとを併用し、連続フィラメントを使用することにより繊維くずや毛羽の発生を防ぎ、かつナイロン等の熱融着繊維を混合させて熱融着することによって撚り構造を固定することが提案されている(特許文献1)。
しかしながら、この技術では、特定の繊維長を有し、繊維端のある短繊維に替えて、連続繊維からなるマルチフィラメントを使用することにより毛羽の発生は抑えられるものの、繊維端がないため、汚れの除去性の点では、綿糸のモップには劣る傾向となる。
これらの合成繊維を含むことにより、綿糸よりなるものに比べ有利な特性を多く具備するものの、合成繊維は有限な石油由来であるため、昨今の環境低負荷という点で問題を抱えている。そして廃棄の際は焼却する以外に手段がなく、環境保全の点で非常に不利という問題を抱えている。
特開平5−71032号公報
本考案者は、吸水性、汚れ除去性を兼備し、使用の際の摩擦による単糸切れや毛羽の発生等が抑制されるモップコードについて鋭意研究を行っていたところ、溶剤紡糸セルロース繊維を用いることにより、この問題が解決できることを見出した。さらには、熱融着繊維も併用し、かつこの素材として生分解性重合体を用いることによって、使用済みのモップコードを廃棄する際に環境負荷を小さくできる環境保全の点で有利であるとして、本考案を完成させた。
本考案は、溶剤紡糸セルロース繊維と、芯鞘型熱融着性繊維とによって構成され、芯鞘型熱融着性繊維は、鞘部の融点または軟化点が芯部の融点より20℃以上低く、芯部および鞘部は生分解性熱可塑性重合体により構成されており、構成繊維同士は、鞘部が溶融または軟化することにより熱接着していることを特徴とするモップコードを要旨とする。
以下、本考案を詳細に説明する。
本考案のモップコードは、溶剤紡糸セルロース繊維と芯鞘型熱融着性繊維とによって構成される。溶剤紡糸セルロース繊維は、JIS規格に定められる「セルロース誘導体を経ずに、直接、有機溶剤に溶解させて紡糸して得られるセルロース繊維」であり、より具体的には、例えば、計画植林されたユーカリの木を原料に用い、これを溶解し得る溶剤、例えばN−メチルモルホリン−N−オキシド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピペリジン−N−オキシド、ジメチルアセトアミド等に溶解した溶液を乾式または湿式紡糸法により紡糸することによって製造される繊維である。欧米では、その繊維組成表示を「LYOCELL(リヨセル)」として既に認知されている新しいタイプの環境に配慮されたセルロース系繊維である。紡糸工程を経て得られた溶剤紡糸セルロース繊維は、連続繊維である。本発明においては、この連続繊維を用いて、マルチフィラメント糸の形態で用いてもよく、また、連続繊維を適宜の繊維長に切断して短繊維(ステープル繊維)とした後、紡績して紡績糸として用いてもよい。溶剤紡糸セルロース繊維は、上記原料を副原料のアミンオキサイド溶剤で溶解し、セルロース分子を極力分断せずに繊維とする画期的な製法によって製造されるので、既存のセルロース系繊維、例えば木綿やビスコース法にて製造されるレーヨン等に比べて、乾湿強度が高く、繊維収縮が生じにくいため取扱性に優れている。また、溶剤紡糸セルロース繊維は、叩解処理により繊維表面にフィブリルを発生させたり、フィブリル化した繊維を発現したりする。溶剤紡糸セルロース繊維は、叩解処理により、繊維の長軸に平行に細かく分割されてフィブリルを発生し、この分割により発生したフィブリル繊維の1本1本は均一性が高い。したがって、本考案における溶剤紡糸セルロース繊維は、綿糸のように摩擦等により毛羽や繊維くずを発生させることはなく、摩擦等の物理的衝撃によって分割により発生したフィブリル繊維もまた、モップの清拭性に寄与することになり汚れの除去性がより一層向上する。
本考案における芯鞘型熱融着性繊維は、融点差を20℃以上有する生分解性熱可塑性重合体により構成されている。図1に、本考案における芯鞘型熱融着性繊維の横断面模式図を示すが、芯部には高融点の生分解性熱可塑性重合体、鞘部には低融点の生分解性熱可塑性重合体が配されている。生分解性熱可塑性重合体としては、脂肪族ポリエステルを好ましく用いることができる。
脂肪族ポリエステルとしては、例えば、ポリグリコール酸やポリ乳酸のようなポリ(α−ヒドロキシ酸)またはこれらを主たる繰り返し単位とする共重合体が挙げられる。また、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(β−プロピオラクトン)のようなポリ(ω−ヒドロキシアルカノエート)やポリ−3−ヒドロキシプロピオネート、ポリ−3−ヒドロキシブチレート、ポリ−3−ヒドロキシプロピオレート、ポリ−3−ヒドロキシブチレート、ポリ−3−ヒドロキシカプロネート、ポリ−3−ヒドロキシヘプタノエート、ポリ−3−ヒドロキシオクタノエートのようなポリ(β−ヒドロキシアルカノエート)や、これらの繰り返し単位とポリ−3−ヒドロキシバリレートやポリ−4−ヒドロキシブチレートの繰り返し単位との共重合体などが挙げられる。
また、グリコールとジカルボン酸の縮重合体からなるポリアルキレンアルカノエートの例としては、例えば、ポリエチレンオキサレート、ポリエチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンアゼレート、ポリブチレンオキサレート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンセバケート、ポリヘキサメチレンセバケート、ポリネオペンチルオキサレートまたはこれらを主繰り返し単位とするポリアルキレンアルカノエート共重合体が挙げられる。
脂肪族ポリエステルがポリ乳酸系重合体である場合は、ポリ(D−乳酸)、ポリ(L−乳酸)、D−乳酸とL−乳酸との共重合体、D−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、L−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、D−乳酸とL−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体との群から選ばれる重合体が挙げられる。ポリ乳酸のホモポリマーであるポリ(L−乳酸)やポリ(D−乳酸)の融点は約180℃であるが、ポリ乳酸系重合体として前記コポリマーを用いる場合には、実用性と融点等を考慮してポリマー成分の共重合量比を決定することが好ましく、D体/L体(共重合モル比)は、100未満/0を超える〜90/10、10/90〜0を超える/100未満であることが好ましい。乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体である場合におけるヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシオクタン酸等が挙げられる。これらの中でも特に、ヒドロキシカプロン酸またはグリコール酸を用いることが低コストの点から好ましい。
本考案において熱融着性繊維を構成する芯部および鞘部の重合体としては、上記脂肪族ポリエステルから20℃以上の融点差を有する2種の重合体を選択すればよい。融点差を20℃以上に設定する理由は、熱接着成分となる鞘部を溶融または軟化させる熱接着処理の際に、芯部が熱の影響を受けることなく繊維形態を維持することができるようにするためである。
本発明に用いる熱融着性繊維を構成する重合体として、生分解性能および融点、実用性等の点から、特に相互に融点を異にする2種のポリ乳酸系重合体を用いることが好ましい。
相互に融点を異にする2種のポリ乳酸について説明する。ポリ乳酸を構成する乳酸モノマーは光学活性の炭素を有しており、D体とL体の光学異性体が存在する。L体に2モル%未満のD体を共重合させることにより、融点165℃以上のポリ乳酸を得ることができる。そして、D体の共重合比率を上げて10モル%以上とすると融点は140℃以下となる。前者のポリマーを芯部に後者のポリマーを鞘部に配置した芯鞘型ポリ乳酸繊維を熱接着性繊維として使用することが好ましい。
相互に融点を異にする2種のポリ乳酸について説明する。ポリ乳酸を構成する乳酸モノマーは光学活性の炭素を有しており、D体とL体の光学異性体が存在する。L体に2モル%未満のD体を共重合させることにより、融点165℃以上のポリ乳酸を得ることができる。そして、D体の共重合比率を上げて10モル%以上とすると融点は140℃以下となる。前者のポリマーを芯部に後者のポリマーを鞘部に配置した芯鞘型ポリ乳酸繊維を熱接着性繊維として使用することが好ましい。
なお、本考案において、熱融着性繊維の形態は、短繊維であっても連続繊維であってもよい。所望とするモップコードの形態に応じて適宜選定すればよい。
本考案においては、上記した溶剤紡糸セルロース繊維と芯鞘型熱融着性繊維とを構成繊維とし、芯鞘型熱融着性繊維の鞘部が溶融または軟化することにより、鞘部の存在する箇所における構成繊維同士は熱融着している。この2種の繊維により構成される本考案のモップコードは、溶剤紡糸セルロース繊維の存在により吸水性、汚れ除去性を有し、また、使用による摩耗や摩擦によって毛羽や繊維くずを発生させることなく、繊維表面等にフィブリルを発生させて汚れ除去性を向上させる。一方、芯鞘型熱融着性繊維によって、糸条がばらけることを抑制でき、モップコードの形態を保持させることができる。溶剤紡糸セルロース繊維と芯鞘型熱融着性繊維との配合比率(質量%)は、80/20〜20/80が好ましい。
本考案のモップコードは、上記2種の繊維を用いて、2種の繊維を混合した紡績糸、あるいはそれぞれの繊維からなる紡績糸またはマルチフィラメント糸を適宜撚り合わせた合撚糸、また、これらの糸を用いて製紐した組紐等により構成される。モップコード中には、芯鞘型熱融着性繊維が存在するので、紡績糸とした段階、あるいは合撚糸とした段階、あるいは組紐とした段階の適宜の段階において熱処理を施し、鞘部を溶融または軟化させることで熱接着固定させ、混紡や加撚状態あるいは組まれた状態で熱固定することとなり、繊維のばらけや撚りが解けることを防止することができる。混紡や加撚、製紐の方法は特に限定されず、従来公知の方法により行えばよい。なお、合燃するにあたっては、5〜30本の紡績糸またはマルチフィラメント糸を集束し、加撚するとよい。加撚の撚り数は10〜800回/m程度がよい。
また、モップコードの横断面において、芯鞘型熱融着性繊維を含む層と芯鞘型熱融着性繊維を含まない層とが二層構造となるように配置され、最外層に熱融着性繊維を含まない層が配置されたものも好ましい。このような二層構造のものとして、具体的には、混紡糸、カバリング撚糸などが挙げられる。これらの糸の糸断面の芯の層に、熱融着性繊維のみを配置させ、あるいは熱融着性繊維と溶剤紡糸セルロース繊維とを混合させて配置させ、鞘の層には、熱融着性繊維は含ませずに溶剤紡糸セルロース繊維のみを配置させる。
また、別の具体例として、組紐や合撚糸が挙げられる。組紐としては、少なくとも熱融着性繊維を含む紡績糸またはマルチフィラメント糸、もしくは該紡績糸またはマルチフィラメント糸を複数本引き揃えまたは合燃したもの、もしくは該紡績糸またはマルチフィラメント糸を用いて作成した組紐等を芯材(芯の層)として用い、その外層(鞘の層)に熱融着性繊維を含まず溶剤紡糸セルロース繊維のみから構成される紡績糸またはマルチフィラメント糸を用いて組紐を作製し、熱融着性繊維を含む層と熱融着性繊維を含まない層とが二層構造となるように配置させた二層構造の組紐により構成されるモップコードが挙げられる。合撚糸としては、熱融着性繊維を含む繊維群に撚りをかけたヤーンと、溶剤紡糸セルロース繊維のみから構成される繊維群に撚りをかけたヤーンとを用意し、熱融着性繊維を含むヤーンが合撚糸の中心部(芯の層)に配するように、かつ溶剤紡糸セルロース繊維のみから構成されるヤーンが合撚糸の外層(鞘の層)を配するようにそれぞれ配置させて、ヤーンと反対方向に撚り合わせることにより複合ストランドを構成し、この複合ストランドをモップコードとする。あるいは、さらにこの複合ストランドを3本合わせてストランドと反対方向に撚り合わせることにより得られた合撚糸をモップコードとしてもよい。
また、別の具体例として、組紐や合撚糸が挙げられる。組紐としては、少なくとも熱融着性繊維を含む紡績糸またはマルチフィラメント糸、もしくは該紡績糸またはマルチフィラメント糸を複数本引き揃えまたは合燃したもの、もしくは該紡績糸またはマルチフィラメント糸を用いて作成した組紐等を芯材(芯の層)として用い、その外層(鞘の層)に熱融着性繊維を含まず溶剤紡糸セルロース繊維のみから構成される紡績糸またはマルチフィラメント糸を用いて組紐を作製し、熱融着性繊維を含む層と熱融着性繊維を含まない層とが二層構造となるように配置させた二層構造の組紐により構成されるモップコードが挙げられる。合撚糸としては、熱融着性繊維を含む繊維群に撚りをかけたヤーンと、溶剤紡糸セルロース繊維のみから構成される繊維群に撚りをかけたヤーンとを用意し、熱融着性繊維を含むヤーンが合撚糸の中心部(芯の層)に配するように、かつ溶剤紡糸セルロース繊維のみから構成されるヤーンが合撚糸の外層(鞘の層)を配するようにそれぞれ配置させて、ヤーンと反対方向に撚り合わせることにより複合ストランドを構成し、この複合ストランドをモップコードとする。あるいは、さらにこの複合ストランドを3本合わせてストランドと反対方向に撚り合わせることにより得られた合撚糸をモップコードとしてもよい。
本考案のモップコードは、さらに必要に応じて染色加工を行ってもよい。
本考案によれば, 汚れ吸着剤を付着させることなく, 汚れ除去性に優れ、使用を繰り返しても、繊維屑が発生しにくく、また、モップコードを構成する繊維同士のばらけが抑制され安定した形態を保持できる。本考案のモップコードを構成する溶剤紡糸セルロース繊維は吸水性も有することから、乾燥状態および湿潤状態のいずれの状態でも良好に使用できる モップを提供することができる。
次に実施例に基づき本考案を具体的に説明するが、本考案は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
また、本考案における融点(℃)はパーキンエルマ社製の示差熱量計DSC−7型を使用して昇温速度20℃/分として測定し、得られた融解吸熱曲線における極値を与える温度を融点とした。
実施例1
溶剤紡糸セルロース繊維「LYOCELL」(レンチング社製、繊度2.2dtex、繊維長38mm)と、生分解性芯鞘型熱融着繊維として融点を異にする2種のポリ乳酸からなるポリ乳酸芯鞘型熱融着繊維(芯部:融点170℃、D体/L体(共重合モル比)=2/98、鞘部:融点130℃、D体/L体(共重合モル比)=8/92、芯鞘成分重量比率1:1、繊度1.3dtex、繊維38mm)を準備した。これらの繊維よりなるスライバーを、公知の紡績機械にかけて、溶剤紡糸セルロース繊維と、生分解性芯鞘型熱融着繊維との混率(質量比)が60/40になるように混綿し、カーディングした後に粗紡を行って粗糸を得た。この粗糸を通常のリング精紡機にて撚数14.3回/2.54cm(撚係数3.2)で混紡して20番手(英式綿番手)の混紡糸を得た。次いで該混紡糸を20本集束し、合わせてZ方向に撚り数140回/mで加撚した。次いで、この加撚糸をかせに巻き取り、巻き取った状態で、約140℃の飽和水蒸気中で熱処理した。この熱処理によって、該熱融着繊維が軟化又は溶融し、接着され、溶剤紡糸セルロース繊維間が固定されたモップコードを得た。
溶剤紡糸セルロース繊維「LYOCELL」(レンチング社製、繊度2.2dtex、繊維長38mm)と、生分解性芯鞘型熱融着繊維として融点を異にする2種のポリ乳酸からなるポリ乳酸芯鞘型熱融着繊維(芯部:融点170℃、D体/L体(共重合モル比)=2/98、鞘部:融点130℃、D体/L体(共重合モル比)=8/92、芯鞘成分重量比率1:1、繊度1.3dtex、繊維38mm)を準備した。これらの繊維よりなるスライバーを、公知の紡績機械にかけて、溶剤紡糸セルロース繊維と、生分解性芯鞘型熱融着繊維との混率(質量比)が60/40になるように混綿し、カーディングした後に粗紡を行って粗糸を得た。この粗糸を通常のリング精紡機にて撚数14.3回/2.54cm(撚係数3.2)で混紡して20番手(英式綿番手)の混紡糸を得た。次いで該混紡糸を20本集束し、合わせてZ方向に撚り数140回/mで加撚した。次いで、この加撚糸をかせに巻き取り、巻き取った状態で、約140℃の飽和水蒸気中で熱処理した。この熱処理によって、該熱融着繊維が軟化又は溶融し、接着され、溶剤紡糸セルロース繊維間が固定されたモップコードを得た。
実施例2
溶剤紡糸セルロース繊維「LYOCELL」(レンチング社製、繊度2.2dtex、繊維長38mm)を準備した。この繊維よりなるスライバーを、公知の紡績機械にかけて、80番手の紡績糸を得た。また生分解性芯鞘型熱融着繊維として融点を異にする2種のポリ乳酸からなるポリ乳酸芯鞘型熱融着繊維(芯部:融点170℃、D体/L体(共重合モル比)=2/98、鞘部:融点130℃、D体/L体(共重合モル比)=8/92、芯鞘成分重量比率1:1、繊度1.3dtex、繊維長38mm)を準備し、この繊維よりなるスライバーを、同様に公知の紡績機械にかけて、10番手の紡績糸を得た。次に鞘部用の糸条として上記溶剤紡糸セルロース繊維「LYOCELL」の80番手を製紐ボビンに巻き、芯部に上記ポリ乳酸芯鞘型熱融着繊維の10番手の紡績糸を給糸して16打の製紐機を用いて製紐した。得られた組紐は,1.4g/mで, 鞘部が0.45g/m(質量割合32%)、 芯部が0.95g/m(質量割合68%)であった。該上記溶剤紡糸セルロース繊維「LYOCELL」とポリ乳酸芯鞘型熱融着繊維との混率が32/68の組紐をかせに巻き取り、巻き取った状態で、約140℃の飽和水蒸気中で熱処理した。この熱処理によって、該熱融着繊維が軟化又は溶融し、接着され、溶剤紡糸セルロース繊維間が固定されたモップコードを得た。
溶剤紡糸セルロース繊維「LYOCELL」(レンチング社製、繊度2.2dtex、繊維長38mm)を準備した。この繊維よりなるスライバーを、公知の紡績機械にかけて、80番手の紡績糸を得た。また生分解性芯鞘型熱融着繊維として融点を異にする2種のポリ乳酸からなるポリ乳酸芯鞘型熱融着繊維(芯部:融点170℃、D体/L体(共重合モル比)=2/98、鞘部:融点130℃、D体/L体(共重合モル比)=8/92、芯鞘成分重量比率1:1、繊度1.3dtex、繊維長38mm)を準備し、この繊維よりなるスライバーを、同様に公知の紡績機械にかけて、10番手の紡績糸を得た。次に鞘部用の糸条として上記溶剤紡糸セルロース繊維「LYOCELL」の80番手を製紐ボビンに巻き、芯部に上記ポリ乳酸芯鞘型熱融着繊維の10番手の紡績糸を給糸して16打の製紐機を用いて製紐した。得られた組紐は,1.4g/mで, 鞘部が0.45g/m(質量割合32%)、 芯部が0.95g/m(質量割合68%)であった。該上記溶剤紡糸セルロース繊維「LYOCELL」とポリ乳酸芯鞘型熱融着繊維との混率が32/68の組紐をかせに巻き取り、巻き取った状態で、約140℃の飽和水蒸気中で熱処理した。この熱処理によって、該熱融着繊維が軟化又は溶融し、接着され、溶剤紡糸セルロース繊維間が固定されたモップコードを得た。
比較例1
溶剤セルロース繊維の代わりに綿繊維(繊度2.2dtex、繊維長38mm)を準備し、この繊維よりなるスライバーを、公知の紡績機械にかけて得られた20番手の綿糸を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でモップコードを得た。
溶剤セルロース繊維の代わりに綿繊維(繊度2.2dtex、繊維長38mm)を準備し、この繊維よりなるスライバーを、公知の紡績機械にかけて得られた20番手の綿糸を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でモップコードを得た。
〔評価〕
実施例1、2及び比較例1で得られたモップコードを用い、以下のようにして、清掃用モップを作成した。
まず、10cm×50cmのモップ基布を準備した。このモップ基布は、目の大きさが0.7mmのメッシュクロスを樹脂でコーティングしたものである。モップ基布の外縁には、長さ6cmのモップコードを、フレンジングマシーンで縫い着けた。モップ基布の中央部では、10mm間隔でループ長が5cmとなるように、タフティングマシーンでモップコードを縫着した。以上のようにして、実施例1、2で得られた清掃用糸条を用いた目付40gの清掃用モップ(以下、「実施例モップ」という。)、及び比較例1で得られた清掃用糸条を用いた目付40gの清掃用モップ(以下、「比較例モップ」という。)を得た。
これらのモップの評価として、 JIS−L−1096法のF−1法の工業洗濯を10回行った後に、下記ダスト捕集率試験による清掃性及び糸条のばらけについての比較試験を行った。結果を以下に示す。
実施例1、2及び比較例1で得られたモップコードを用い、以下のようにして、清掃用モップを作成した。
まず、10cm×50cmのモップ基布を準備した。このモップ基布は、目の大きさが0.7mmのメッシュクロスを樹脂でコーティングしたものである。モップ基布の外縁には、長さ6cmのモップコードを、フレンジングマシーンで縫い着けた。モップ基布の中央部では、10mm間隔でループ長が5cmとなるように、タフティングマシーンでモップコードを縫着した。以上のようにして、実施例1、2で得られた清掃用糸条を用いた目付40gの清掃用モップ(以下、「実施例モップ」という。)、及び比較例1で得られた清掃用糸条を用いた目付40gの清掃用モップ(以下、「比較例モップ」という。)を得た。
これらのモップの評価として、 JIS−L−1096法のF−1法の工業洗濯を10回行った後に、下記ダスト捕集率試験による清掃性及び糸条のばらけについての比較試験を行った。結果を以下に示す。
〔ダスト捕集率の試験〕
粒度分布が0.3〜30μmで、平均粒径が8μmのクレイ40%と、0.5デシテックスで繊維長8mmの繊維屑60%とからなる人工ダストを作成した。100cm角のアクリル板の中央部に、この人工ダストの2gを撒き、その上から、実施例モップ、比較例モップを5回往復させて捕集したダストの量を測定した。捕集したダストの量を撒いたダストの量で除してダスト捕集率を求めた。試験結果を表1に示す。
粒度分布が0.3〜30μmで、平均粒径が8μmのクレイ40%と、0.5デシテックスで繊維長8mmの繊維屑60%とからなる人工ダストを作成した。100cm角のアクリル板の中央部に、この人工ダストの2gを撒き、その上から、実施例モップ、比較例モップを5回往復させて捕集したダストの量を測定した。捕集したダストの量を撒いたダストの量で除してダスト捕集率を求めた。試験結果を表1に示す。
Claims (7)
- 溶剤紡糸セルロース繊維と、芯鞘型熱融着性繊維とによって構成され、芯鞘型熱融着性繊維は、鞘部の融点または軟化点が芯部の融点より20℃以上低く、芯部および鞘部は生分解性熱可塑性重合体により構成されており、構成繊維同士は、鞘部が溶融または軟化することにより熱接着していることを特徴とするモップコード。
- 溶剤紡糸セルロール繊維と芯鞘型熱融着性繊維との配合比率が、80/20〜20/80であることを特徴とする請求項1記載のモップコード。
- 溶剤紡糸セルロース繊維と芯鞘型熱融着性繊維との混紡糸が用いられていることを特徴とする請求項1または2記載のモップコード。
- 溶剤紡糸セルロース繊維からなる紡績糸またはマルチフィラメント糸と芯鞘型熱融着性繊維からなる紡績糸またはマルチフィラメント糸とが合撚してなる合撚糸により構成されることを特徴とする請求項1または2記載のモップコード。
- 溶剤紡糸セルロース繊維と芯鞘型熱融着性繊維とからなる組紐により構成されることを特徴とする請求項1または2記載のモップコード。
- モップコードの横断面において、芯鞘型熱融着性繊維を含む層と芯鞘型熱融着性繊維を含まない層とが二層構造となるように配置されてなり、横断面の最外層には芯鞘型熱融着性繊維を含まない層が配置されていることを特徴とする請求項4または5記載のモップコード。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のモップコードからなるモップ。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019015002A (ja) * | 2017-07-10 | 2019-01-31 | ユニチカトレーディング株式会社 | 清掃用糸条およびこの糸条を用いたモップ |
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2013
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JP2019015002A (ja) * | 2017-07-10 | 2019-01-31 | ユニチカトレーディング株式会社 | 清掃用糸条およびこの糸条を用いたモップ |
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