JP3182048B2 - 超伝導線の製造装置 - Google Patents

超伝導線の製造装置

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JP3182048B2 JP25962794A JP25962794A JP3182048B2 JP 3182048 B2 JP3182048 B2 JP 3182048B2 JP 25962794 A JP25962794 A JP 25962794A JP 25962794 A JP25962794 A JP 25962794A JP 3182048 B2 JP3182048 B2 JP 3182048B2
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E40/00Technologies for an efficient electrical power generation, transmission or distribution
    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超伝導マグネット、超
伝導エネルギー貯蔵装置、超伝導変圧器等各種超伝導機
器に用いられる超伝導線の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】超伝導線には、金属パイプの中に超伝導
体を挿入した金属シース線、芯材に超伝導体を取り付け
たもの、テープ上の基体に超伝導体を積層したもの等、
多様な形態がある。金属シース線を製造する為には、金
属板を金属パイプ状に加工しながら超伝導体を内部に供
給し、これを圧延やダイスを利用した塑性加工により所
望の形状に成形することが行われており、これらについ
ては、例えば、特開昭63−264820号公報に連続
的に超伝導線を製造する方法と、それに使用される製造
装置の概要が示されている。又、芯材に超伝導体を取り
付けるものとしては、例えば、特開昭63−24182
6号公報では薄膜作成装置であるスパッタ装置を使用し
ている。テープ状の基体に超伝導体を積層する場合に
も、スパッタ装置やレーザー蒸着法等の薄膜作成装置を
使用することが出来ることは容易に推定することが出来
る。そして、イオンビームスパッタ法等、イオンビーム
を応用した薄膜作成法でも優れた特性の薄膜が得られる
ことが知られている。しかし、この方法で酸化物薄膜を
作成する為には、イオン化部の耐酸化性が課題となって
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
開昭63−241826号公報に示されている塑性加工
装置を使用した場合には、超伝導体に臨界温度の高い酸
化物超伝導体を使用すると、シース材である金属の材料
が限定されてしまうという欠点がある。これは、酸化物
超伝導体では材料中の酸素が脱離すると超伝導特性が低
下し、場合によっては超伝導性を失ってしまう為であ
る。従って、シース材として、高温で酸素の透過性があ
り酸素と反応しにくい銀が使用されている。この為、銀
の融点よりも高い温度では超伝導線を製造することが出
来ず、現実に、使用することの出来る超伝導体は、Bi
2212や2223構造の超伝導体等に限定されてしま
うという問題がある。又、特開昭63−241826号
公報に示されている様に、薄膜形成装置を使用する場合
には、上記の場合と異なり材料の制約は少ないが、酸化
物超伝導体の様に構成金属元素の種類が多いと、超伝導
体の場合には薄膜の形成速度が遅くなってしまうという
欠点がある。現状では、薄膜形成速度は通常、0.6〜
18nm/min程度、形成速度が速いレーザー蒸着法
でも30nm/min程度であり、産業用に使用する超
伝導線を製造する為には、更に速い薄膜形成速度での薄
膜作成が要望され、且つ酸化雰囲気中でも安定に動作す
る装置が必要である。
【0004】従って、本発明の目的は、テープ、芯材等
の基体に超伝導体を形成した超伝導線を従来の2倍以上
の高速で、酸化雰囲気中でも信頼性よく製造することが
可能な優れた超伝導線の製造装置を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、下記の本
発明によって達成される。即ち、本発明は、超伝導線を
構成する各種材料の構成金属元素を含む物質を蒸発さ
、該構成金属元素の少なくとも1種をイオン化部で
オン化、加速して基体上に蒸発物質を付着させて上記各
種材料を形成する超伝導線の製造装置において、イオン
化部に設けられた電子引き出し用グリッドが電子放出フ
ィラメントから放出された電子の通過を可能とするスリ
ットを有し、且つ、該フィラメントの中心及び前記スリ
ットの中心点を通る直線と、蒸発物質をイオン化部へ供
給するための蒸発物質供給窓の中心と蒸発物質を付
着させるための基体の中心を結ぶ線との交点における挟
角θが、40°<θ≦90°の関係を満足し、更に、上
記電子放出フィラメントの周囲に蒸発物質の付着を防止
する為の囲いが設けられており、該囲いの電子飛翔側に
スリットが設けられており、該スリット(角型の場合
は、幅W 1 及び高さD 1 、楕円形の場合は、長軸W 1 及び
短軸D 1 、円形の場合は直径D 1 )と電子引き出し用グリ
ッドのスリット(角型の場合は、幅W 2 及び高さD 2 、楕
円形の場合は、長軸W 2 及び短軸D 2 、円形の場合は直径
2 )とが下記の関係を満足しており、且つ前記囲いに
負の電圧を印加することが出来るように構成されている
ことを特徴とする超電導線の製造装置である。0<D 1 ≦3.00D 2 1 ≦W 2 又、本願発明の別の態様は、超伝導線を構成する各種材
料の構成金属元素を含む物質を蒸発させ、構成金属元素
の少なくとも1種をイオン化部でイオン化、加速して基
体上に蒸発物質を付着させて上記各種材料を形成する超
伝導線の製造装置において、イオン化部に設けられた電
子引き出し用グリッドが、蒸発物質の拡がり角θ 1 に対
して0<θ 2 ≦1.5θ 1 の関係を満足する拡がり角θ 2
で傾斜していることを特徴とする超電導線の製造装置で
ある。
【0006】
【作用】本発明によれば、超伝導線の各種形成材料を構
成する金属元素をイオン化する部分の各種部品の配置と
構成を特定の関係とした超伝導線の製造装置を用い、超
伝導線を形成する材料、例えば、酸化物超伝導材料、芯
材と超伝導体の間に設けるバファー層、保護層等の材料
を構成する金属元素の少なくとも一種をイオン化、加速
して各種材料の薄膜を基体上に連続的に形成することに
よって、使用する材料が制限されることなく、しかも各
材料の特性を低下させることなく、超伝導線の製造を可
能となる。
【0007】
【好ましい実施態様】次に、本発明の好ましい実施態様
を挙げて本発明を詳細に説明する。図1に本発明の超伝
導線の製造方法で使用する製造装置の特徴部分であるイ
オン化部周辺の構成原理を示した。5は超伝導線を構成
する材料を加熱蒸発させる蒸発容器であり、蒸発物質を
基体6に供給する為の供給窓7が設けられている。3は
電子放出フィラメント、2は3からの電子を引き出す為
の引き出しグリッド、1は2から引き出された電子によ
りイオン化された蒸発物質を加速する為の加速電極であ
る。本発明で使用する超伝導線の製造装置は、上記の超
伝導線の形成材料を構成する金属元素をイオン化する部
分の各種部品の配置を、先ず、供給窓7の中心と基体6
の中心を結ぶ直線8と、電子放出フィラメント3と引き
出しグリッド2の中心を結ぶ線9との交点における挟角
をθとし、θが下記式の関係を満足する様に、2と3と
を配置する。 40°<θ≦90° (1)更に 、電子放出フィラメント3の周辺に囲い4を配置す
る。そして、この場合に、電子引き出しグリッド2に設
けられているスリットの大きさをD2、囲い4に設けら
れているスリットの大きさをD1(ここでは、スリット
は角型であり、その高さをD1、D2とし、それぞれの幅
をW1、W2とした)とする時、下記の関係を満足する様
に2と3のスリットの大きさを設定する。 0<D1 ≦3.00D2、 W1≦W2 (2) 尚、スリットの形状は上記の角型に限定されるものでは
なく、楕円形でも円形でもよい。この場合、楕円形の場
合は、長軸をW1及びW2、短軸をD1及びD2、円形の場
合は、直径をD1及びD2とする。
【0008】この様な構造にしたイオン化部を有する製
造装置を使用すると、蒸発物質は3からの電子により一
部分がイオン化され、このイオンのもつエネルギーを利
用して基体6上に緻密で優れた特性の薄膜を形成するこ
とが出来る。又、蒸発容器5に供給窓7が設けられてい
る為に、蒸発物質が高密度の状態で基体6に到達し、薄
膜の形成速度を速くすることが可能となる。更に、囲い
4に負の電圧を印加すると、電子放出フィラメント3か
らの電子を、効率よく電子引き出しグリッド2により引
き出すことが出来るから、蒸発物質のイオン化率を各物
質の最適値に制御することが出来る。
【0009】即ち、上記(1)の条件を満足することに
より、電子放出フィラメント3は、蒸発物質が付着する
ことによる電子放出効率や電子放出の安定性の低下が生
じにくくなる為、長時間にわたって安定な薄膜作成が可
能となる。更に、(2)の条件ることにより、安
定成膜はより確かなものとなる。これに対し、(1)及
び(2)以外の条件で装置の構成部品を配置、構成する
と、蒸発物質が電子放出フィラメント3に付着し易くな
り、フィラメント材料と蒸発物質が反応したり、フィラ
メントの表面に絶縁性の物質が付着したりする結果、薄
膜の作成条件が製造中に変化し、基体上に形成される薄
膜の各種特性が変動し、得られる超伝導線の特性が劣る
という問題がある。
【0010】供給窓7から基体6に供給される蒸発物質
は、図2に示す様に基体に到達するまでにある程度の広
がりを持つ。この為に、蒸発物質を均一にイオン化する
為には電子引き出しグリッド2と蒸発物質の拡がりの関
係も重要である。従って本発明の別の態様では、蒸発物
質の拡がり角θ1と電子引き出しグリッド2の拡がり角
θ2を下記の関係を満足する様に構成する。 0<θ2 ≦1.5θ1 (3) 即ち、この条件の範囲内では、電子放出フィラメント3
から放出された電子がほぼ均一に蒸発物質に照射される
為に、イオン化された蒸発物質の基体6上での分布も均
一になる。これに対し、(3)以外の条件で構成した場
合には、蒸発物質のイオン分布が不均一になったり、イ
オン化効率が低下してしまうという問題がある。尚、一
般的には、0<θ2≦1.5θ1の関係を満足する様にθ
1とθ2を設定すればよいが、例えば、酸化マグネシウム
の薄膜を形成する場合にはθ2=(1.05〜1.50)
θ1とし、Y−Ba−Cu−O超伝導体の薄膜を形成す
る場合にはθ2=(1.00〜1.40)θ1とし、ポリ
エチレンの薄膜を形成する場合にはθ2=(0.5〜
1.5)θ1に設定する等、形成材料に応じ、最も好まし
い状態となる様にθ1とθ2を適宜に設定すればよい。
【0011】本発明は、上述した様な特定の構成のイオ
ン化部を有する装置を使用し、基体上に連続して超伝導
線を構成する各種材料を形成するものである。例えば、
金属線の外周に、酸化物層、酸化物超伝導層、絶縁層を
順次形成した超伝導線を製造する場合には、図3に示し
た様に、金属線6を供給するローラー10、酸化物を形
成する装置16、酸化物超伝導層を形成する装置17、
絶縁層を形成する装置18を夫々空間13、14及び1
5に設けて、巻取りローラー11により超伝導線19を
巻取る。超伝導線を構成する材料が変化した場合には、
その材料の種類によって装置16、17及び18の数を
変化させればよい。この際、図1、2に示した様なイオ
ン化部は、16、17及び18の全てに使用してもよい
し、必要によりいずれかのものを省略してもよい。
【0012】又、例えば、超伝導体Y−Ba−Cu−O
の様な複数の金属元素を含む材料を使用する場合には、
夫々の元素を独立した装置によりイオン化、加速しても
よい。又、各材料を蒸発させる手段には制限はなく、電
気ヒーターによる加熱、電子銃、レーザー等を利用した
加熱、高周波加熱等どの様な手段でもよい。蒸発させる
物質は、個体物質であっても有機金属物質であってもよ
く制限はなく、蒸発させる手段等によって選択すればよ
い。
【0013】蒸発物質の供給窓7は、どの様な形状のも
のでもよいが、金属線6の大きさにより適宜決定すれ
ばよい。例えば、小さな穴を複数個配置したもの、1つ
の穴、或いは蒸発物質が大きく拡がらない様にノズルの
様にしたものでもよい。又、超伝導線の構成により、図
3の構成を適宜に変化させることが出来ることは言うま
でもない。
【0014】
【実施例】以下、具体的な実施例を挙げて本発明を更に
詳細に説明する。尚、超伝導線の構成と形成材料につい
ては、銀線に、酸化マグネシウム、Y−Ba−Cu−O
超伝導体、ポリエチレン樹脂を順次形成した場合を例に
挙げて説明するが、本発明の構成も使用する材料もこれ
に限定されるものではないことは言うまでもない。又、
各種酸化物膜を形成する場合、酸化剤として酸素ガスを
使用するが、これも本発明を限定するされるものではな
く、酸素ガス以外の、例えば、オゾン、活性酸素、酸化
窒素ガス等を使用してもよい。
【0015】実施例1 図3に本実施例で使用した装置の構成原理図を示す。装
置は、基体となる銀線6を供給する供給ローラー10と
超伝導線19を巻取る巻取りローラー11、各種材料を
基体上に形成する装置16、17及び18から構成され
ている。16、17及び18の基体周辺部は、図4に示
した様な断面構成をしている。即ち、イオン化部20
は、銀線6に均一に各材料が付着することが出来る様に
4ヵ所に設けられており、ヒーター21によって銀線を
必要な温度に加熱することが出来る。不図示の加熱手段
により蒸発物質が装置16、17及び18に供給され、
供給窓7より空間13、14及び15に送り出される。
【0016】図1にイオン化部20の構造を示した。加
速電極1は、最大+10kVまでの電圧(Va)を印加
することが出来、銀線6はアース電位である。又、電子
放出フィラメント3、引き出しグリッド2は、いずれも
タングステンを使用し、3には最大500mAまでの電
流(Ii) を、2には最大+2kVまでの電圧(Vg)
を印加することが出来る。囲い4には、最大−3kVま
での電圧(Vr)を印加することが出来る。酸化マグネシ
ウム及びY−Ba−Cu−O超伝導体を形成する際に
は、酸素ガスを蒸発物質と一緒に供給窓7から導入し
た。尚、酸素の導入には不図示のステンレス管を用い
た。供給窓7は1mm×200mmの四角形で、長辺と
銀線の長手方向が平行である。又、図1のθは75°、
引き出しグリッド2と囲い4のスリットは、長辺が21
0mmの四角形であり、D1=2.0D2(D1=10m
m)の関係を有している。加速電極1と銀線6までの距
離は100mmである。
【0017】以上の様な装置を用いて、超伝導線を以下
の条件で作成した。空間13、14及び15の真空度は
2×10-6Torrであり、16及び17に電子銃によ
り蒸発させられた酸化マグネシウムとY−Ba−Cu−
O超伝導体が、Y:Ba:Cu=1:2:3の組成で5
×10-5Torrまで供給され、更に、酸素ガスを50
ml/secの割合で導入して供給窓7より供給した。
酸化マグネシウムの場合には、Va=2.0kV、Ii
=150mA、Vg=0.5kV、Vr=1.0kV
で、超伝導体の場合には、Va=0.5kV、Ii=3
0mA、Vg=0.5kV、Vr=0.0kVで蒸発物
質をイオン化、加速した。
【0018】又、ポリエチレンは、電気ヒーターで加熱
し、Va=1.5kV、Ii=100mA、Vg=1.
0kV、Vr=0.4kVとした。銀線6は、酸化マグ
ネシウムを形成する時は350℃、超伝導体を形成する
時は600℃に加熱した。ポリエチレンを形成する時
は、空間14から15に銀線が移動する間に窒素ガスを
吹き付け(図3では省略)、60℃以下に冷却してから
ポリエチレン膜を形成した。この様な条件で作成され、
且つ巻取りローラー11で2m/minの速度で超伝導線を巻
取ることが出来た。得られた超伝導線からポリエチレン
を除去して電気抵抗の温度依存性を直流4端子法で測定
すると、図7の様であった。臨界温度は90Kであり、
臨界電流は77Kにおいて2×105A/cm2程度であ
った。本発明の装置によって1000m程度の長さの超
伝導線を製造することが出来た。
【0019】これに対し、図1において、引き出しグリ
ッド2をスリットを有する壁から格子状の金属線にし、
又、囲い4を使用しないで超伝導線を製造すると、電子
放出フィラメント3が断線したり、得られた超伝導線の
臨界温度や臨界電流密度が時間とともに大きく変化し
た。例えば、上記の製造条件において、全てのVrを
0.0kVとして200mの超伝導線を製造した場合、
本発明で製造した超伝導線の両端部における臨界温度は
90Kと変化しなかったが、本発明で使用する装置を使
用しない場合には、電子放出フィラメント3が断線する
ことが多く、断線しない場合でも、巻取り開始時点では
90Kであった臨界温度が最終端部では63Kとなり超
伝導特性が大きく変化してしまった。これは、本発明の
方法では、超伝導線が製造されるに際し、引き出しグリ
ッド2や囲い4によって、電子放出フィラメント3に対
する蒸発物質の付着が防止されている為であると考えら
れる。
【0020】参考 実施例1で使用した装置において、囲い4を取り外した
以外は同様とする装置を使用し、同様の材料を用いて超
伝導線を作成した。但し、酸化マグネシウムはVa=
3.0kV、Ii=150mA、Vg=1.0kVで、
超伝導体はVa=0.5kV、Ii=30mA、Vg=
0.5kVで夫々蒸発物質をイオン化、加速した。この
様に、作成条件を変化させることにより、囲い4を取り
外した本参考例の装置によっても、実施例1の超伝導線
と同様の優れた特性の超伝導線を製造することが出来
た。尚、本参考例の場合は、均一な特性の超伝導線が得
られる長さは、800m程度以下である。
【0021】実施例 実施例1で使用した装置において、酸化マグネシウムと
Y−Ba−Cu−O超伝導体を形成する場合の供給窓7
を、2mm×200mmとし、更に、酸素の導入口
(0.5mm×198mm)を供給窓から7mm離れた
線8上に配置して、蒸発物質と酸素を一緒に供給窓から
導入する以外は、実施例1と同様の装置を使用した。該
装置を使用し、実施例1と同じ製造条件で超伝導線を製
造すると、実施例1と同様に、優れた超伝導特性を有す
る超伝導線を5m/minの速度で製造することが出来
た。尚、図3では各材料を蒸発させる為の装置を夫々1
台ずつ使用したが、超伝導線を構成する材料によって、
各材料の膜厚により装置の台数を変化させることも出来
る。
【0022】実施例 図5に本実施例の製造装置の構成概念図を示す。芯材で
ある銀線6の外周に超伝導線を構成する各材料を形成す
る装置の数を、酸化マグネシウムでは2台、超伝導体Y
−Ba−Cu−Oでは4台、ポリエチレンでは3台とし
た。16、17及び18の銀線6周辺の断面構造図を図
4に示した。図5と図4では、ヒーター21の配置が異
なるが、図5ではヒーターの1部分しか図示していない
為である。又、図4ではイオン化部20を4箇所に配置
しているが、本発明では銀線6に対して均一な厚さで各
材料が形成されればよいので、例えば、16において
は、イオン化部を2所に配置し、銀線6の巻取り方向
に対して1台目と2台目とでイオン化部の配置を90°
ずらした位置に配置にしてもよい。
【0023】イオン化部の構造原理図を図2に示した。
蒸発物質の拡がり角θ1は、厳密に決定することが難し
いが、本実施例では、銀線6の位置に平板を置き、この
平板上に蒸発物質を蒸着して付着部分の面積からθ1
算出した。この方法により、角θ1は±30%程度の精
度で決定することが出来るものと考えられる。又、蒸発
物質の供給窓7が長方形であるが、通常は長辺、短辺方
向ともにθ1はほぼ同じであることが多いので、平均値
を採用すればよい。しかし、約10°以上拡がり角が異
なる場合には、引き出しグリッドの拡がり角θ2を方向
により変化させた方がよい。一般的には、0<θ2
1.5θ1の関係を満足する様にθ1とθ2を設定すれば
よいが、本発明では、酸化マグネシウムを形成する場合
にはθ2=1.16θ1、Y−Ba−Cu−O超伝導体の
場合にはθ2=1.02θ1、ポリエチレンを形成する場
合ではθ2=1.20θ1に設定した。
【0024】加速電極1は、最大+8kVまでの電圧
(Va)を印加することが出来、銀線6はアース電位で
ある。又、電子放出フィラメント3及び引き出しグリッ
ド2は、いずれもタングステンを使用し、3には最大5
00mAまでの電流(Ii)、2には最大+5kVまでの
電圧(Vg)が印加出来る。囲い4には、最大−2kVま
での電圧(Vr)が印加することが出来る。酸化マグネ
シウム及びY−Ba−Cu−O超伝導体を形成する時に
は、酸素ガスを蒸発物質と一緒に供給窓から導入した。
酸素の導入には、不図示のステンレス管を用いた。供給
窓7は、1mm×150mmの四角形で長辺と銀線の長
手方向が平行である。又、引き出しグリッド2と囲い4
のスリットは長辺が160mmであり、短辺の長さは、
引き出しグリッドが7mm、囲いが12mmとした。加
速電極1と銀線6までの距離(加速電極の作る平面と銀
線から下ろした垂線の長さ)は110mmである。
【0025】以上の様な装置を用いて、超伝導線を以下
の条件で作成した。空間13、14及び15の真空度
は、2×10-6Torrであり、16及び17に電子銃
により蒸発させられた酸化マグネシウムとY−Ba−C
u−O超伝導体が、Y:Ba:Cu=1:2:3の組成
で4×10-4Torrまで供給され、更に、酸素ガスを
50ml/secの割合で空間13、14に導入した。
酸化マグネシウムの場合には、Va=2.0kV、Ii
=100mA、Vg=1.0kV、Vr=1.0kV
で、超伝導体の場合には、Va=0.5kV、Ii=3
0mA 、Vg=0.5kV、Vr=0.0kVで蒸発
物質を夫々イオン化、加速した。又、ポリエチレンは、
電気ヒーターで加熱し、Va=1.5kV、Ii=50
mA、Vg=1.0kV、Vr=0.3kVとした。銀
線は、酸化マグネシウムを形成する時は350℃、超伝
導体を形成する時は600℃に加熱した。ポリエチレン
を形成する時は、空間14から15に銀線が移動する間
に12から窒素ガスを吹き付け、60℃以下に冷却して
からポリエチレン膜を形成した。
【0026】以上の様な条件により巻取りローラー11
で8m/minの速度で超伝導線を巻取ることが出来
た。この超伝導線からポリエチレンを除去して電気抵抗
の温度依存性を直流4端子法で測定すると、臨界温度は
90Kであり、臨界電流は77Kにおいて4×105
/cm2程度であった。又、本実施例によって、100
0m程度の長さの超伝導線を製造出来た。これに対し、
図2において、引き出しグリッドをスリットを有する壁
から垂直な格子状の金属線にし、又、囲いを使用しない
で超伝導線を製造すると、電子放出フィラメントが断線
したり、超伝導線の臨界温度や臨界電流密度が時間とと
もに大きく変化した。例えば、上述の製造条件におい
て、全てのVrを0.0kVとして1000mの超伝導
線を製造した場合、本実施例で得られる超伝導線の両端
部における臨界温度は、90Kと変化しなかったが、本
発明で使用する特定の構成を有する製造装置を使用しな
い場合には、電子放出フィラメントが断線したり、断線
しない場合でも、巻取り開始時点では臨界温度が90K
であったが最終端部では67Kとなり超伝導特性が大き
く変化してしまった。これは、本発明においては電子放
出フィラメント3が、θ1とθ2の特定の関係や囲い4の
存在により蒸発物質の付着が防止されており、各材料の
形成においてイオン化、加速条件が安定に制御されてい
る為であると考えられる。
【0027】実施例 本実施例では、図5に示した構成の装置を使用し、イオ
ン化部周辺の構造が図6に示したものを使用し、超伝導
線を作成した。尚、電子の引き出しグリッド2は、金属
棒を、3mm間隔で縦に配置した格子により構成してあ
る。又、22はステンレス製の防着板である。この様に
して製造された超伝導線は、実施例と同様に優れた特
性の超伝導線てあった。
【0028】実施例 本実施例では、実施例において使用した装置の囲い4
を取り外した装置を使用し、実施例と同様にして超伝
導線を作成した。但し、酸化マグネシウムの場合には、
Va=3.0kV、Ii=100mA、Vg=1.0k
Vで、超伝導体の場合には、Va=0.3kV、Ii=
20mA、Vg=0.5kVで蒸発物質を夫々イオン
化、加速した。この様に、作成条件を変化させることに
より、本発明の装置により、実施例の超伝導線と同じ
特性の超伝導線を製造することが出来た。本実施例にお
いて、均一な特性の超伝導線が得られる長さは600m
程度以下であった。これに対し、防着板を使用せず、
又、グリッドの拡がり角がゼロの場合には、電子放出フ
ィラメント3が断線したり、製造した超伝導線の特性も
大きく変化してしまい、5m以上の長さでは特性の均一
な超伝導線を製造することは出来なかった。
【0029】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明によれば、テ
ープ、芯材等の基体に超伝導体を形成して製造する超伝
導線を従来の2倍以上の高速で、且つ酸化雰囲気中でも
信頼性よく製造することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明で使用する装置のイオン化部の
構成原理図である。
【図2】図2は、本発明で使用する装置のイオン化部の
構成原理図である。
【図3】図3は、本発明で使用する製造装置の構成原理
図である。
【図4】図4は、本発明で使用する製造装置にセットし
た基体周辺の構成原理図である。
【図5】図5は、本発明で使用する製造装置の構成原理
図である。
【図6】図6は、本発明で使用する装置のイオン化部の
構成原理図である。
【図7】図7は、本発明で製造した超伝導線の電気抵抗
の温度依存性を示す図である。
【符号の説明】
1:加速電極 2:引き出しグリッド 3:電子放出フィラメント 4:囲い 5:蒸発装置 6:基体 7:供給窓 8:供給窓の中心と基体の中心を結ぶ線 9:スリットの中心とフィラメントの中心を結ぶ線 10、11:ローラー 12:ガス供給管 13、14、15:空間 16、17及び18:薄膜製造装置 19:超伝導線 20:イオン化部 21:ヒーター 22:防着板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01B 12/00 - 13/00 C23C 14/32

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超伝導線を構成する各種材料の構成金属
    元素を含む物質を蒸発させ、該構成金属元素の少なくと
    も1種をイオン化部でイオン化、加速して基体上に蒸発
    物質を付着させて上記各種材料を形成する超伝導線の製
    造装置において、イオン化部に設けられた電子引き出し
    用グリッドが電子放出フィラメントから放出された電子
    の通過を可能とするスリットを有し、且つ、該フィラメ
    ントの中心及び前記スリットの中心点を通る直線と、蒸
    発物質をイオン化部へ供給するための蒸発物質供給窓
    の中心と蒸発物質を付着させるための基体の中心を結
    ぶ線との交点における挟角θが、40°<θ≦90°
    関係を満足し、更に、上記電子放出フィラメントの周囲
    に蒸発物質の付着を防止する為の囲いが設けられてお
    り、該囲いの電子飛翔側にスリットが設けられており、
    該スリット(角型の場合は、幅W 1 及び高さD 1 、楕円形
    の場合は、長軸W 1 及び短軸D 1 、円形の場合は直径
    1 )と電子引き出し用グリッドのスリット(角型の場
    合は、幅W 2 及び高さD 2 、楕円形の場合は、長軸W 2
    び短軸D 2 、円形の場合は直径D 2 )とが下記の関係を満
    足しており、且つ前記囲いに負の電圧を印加することが
    出来るように構成されていることを特徴とする超電導線
    の製造装置。0<D 1 ≦3.00D 2 1 ≦W 2
  2. 【請求項2】 超伝導線を構成する各種材料の構成金属
    元素を含む物質を蒸発させ構成金属元素の少なくとも
    1種をイオン化部でイオン化、加速して基体上に蒸発物
    質を付着させて上記各種材料を形成する超伝導線の製造
    装置において、イオン化部に設けられた電子引き出し用
    グリッドが、蒸発物質の拡がり角θ1に対して下記の関
    係を満足する拡がり角θ2で傾斜していることを特徴と
    する超電導線の製造装置。 0<θ2 ≦1.5θ1
  3. 【請求項3】 電子引き出しグリッドと、蒸発物質をイ
    オン化部へ供給する ための蒸発物質の供給窓の間に該
    グリッド及び/又は電子放出フラメントへの蒸発物質
    の付着を防止する為の防着板が設けられ、且つ電子放出
    フィラメントの周囲に蒸発物質の付着を防止する為の囲
    いが設けられていてもよく、且つ該囲いに負の電圧を印
    加することが出来るように構成されている請求項に記
    載の超電導線の製造装置。
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