JP2002097569A - 真空表面加工法 - Google Patents

真空表面加工法

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JP2002097569A
JP2002097569A JP2000307342A JP2000307342A JP2002097569A JP 2002097569 A JP2002097569 A JP 2002097569A JP 2000307342 A JP2000307342 A JP 2000307342A JP 2000307342 A JP2000307342 A JP 2000307342A JP 2002097569 A JP2002097569 A JP 2002097569A
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vacuum
magnetic field
evaporation source
surface processing
shield plate
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JP2000307342A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Takigawa
浩史 滝川
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Itoh Optical Industrial Co Ltd
Original Assignee
Itoh Optical Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 必要によりガスを導入した真空雰囲気下
で蒸発源12から蒸発させ、該蒸発物を被処理物14に
到達させて真空蒸着等により被処理物14の表面加工を
行なう真空表面加工法。ドロップレットDを、蒸発源1
2と被処理物14との間にシールド板16を配置して、
ドロップレットDが記被処理物14に付着するのを防止
する。この際、シールド板16によって被処理物14へ
の到達が防御(阻害)される蒸発荷電粒子等Cを、磁界
Mを利用してシールド板16を迂回させて被処理物14
に到達可能とする。 【効果】 蒸発源からドロップレットを発生するプラズ
マ中において成膜や注入などの表面処理を行なう際、ド
ロップレットが被処理物に付着するのを防止するために
シールド板を被処理物前面に配置したときに、成膜速度
を増加し、かつ均一成膜速度分布を実現することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真空中でターゲッ
ト(原料)を蒸発させ、薄膜形成(真空蒸着)や異種物
質注入(真空注入)などによる表面改質等の表面処理を
行なうのに好適な真空表面加工法に関する。
【0002】
【背景技術】電子デバイス、光学フィルタ、光・磁気記
憶媒体などの製造や各種機械材料の表面機能強化には、
薄膜創製技術が必要不可欠である。
【0003】薄膜創製技術を大別すると、湿式成膜法
(スピンコーティングやディップコーティング)、化学
気相蒸着法(CVD法:chemical vapor deposition
)、及び物理気相蒸着法(PVD法:Physical vapor
deposition )がある。
【0004】PVD法の場合、真空中において原材料を
蒸発させて、その蒸発物を基板に堆積させることで薄膜
を形成する。化合物薄膜を形成する場合には、真空中に
微量の反応性ガスを導入する(反応性蒸着)。原材料の
蒸発法には、抵抗加熱蒸発、スパッタ蒸発、電子ビーム
蒸発、イオンビーム蒸発、プラズマビーム蒸発、クラス
タビーム蒸発、レーザーアブレーション蒸発、真空アー
ク蒸発などがある。
【0005】PVD法における原材料の蒸発の際、副生
物(副生成物:バイプロダクト)として、蒸発物の原子
・分子(イオンを含む)レベルよりはるかに大きい直径
数百ミクロンからサブミクロン(0.1〜1000μ
m)の大きさの原材料微粒子(ドロップレット)が蒸発
源から発生し、飛散する場合がある。該ドロップレット
の発生は、真空アーク法において特に顕著であり、レー
ザーアブレーション法でも度々発生し、その他の手法で
も皆無ではない。該ドロップレットが被処理物に付着す
ると、表面の均一性、平坦性が失われ、被処理物に対す
る所望の表面処理、すなわち、所望の特性改善若しくは
機能付与・発現ができない。
【0006】ドロップレットの問題を解決する方法の一
つにシールド法がある(米国特許明細書第4,511,
593号明細書)。この手法は、蒸発源から発生するド
ロップレットが直進運動するのを利用し、蒸発源と被処
理物との間に防御体(シールド板)を配置して、該ドロ
ップレットが被処理物に到達(付着)するのを防止する
ものである。国内では、真空アーク法により硬質膜であ
るアモルファスカーボン膜を形成するために、該シール
ド法を応用する技術が提案されている(特開平10−2
5565号)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ドロップレッ
トの問題を解決するための上記シールド法では、シール
ド板はドロップレット(微粒子)だけでなく成膜に寄与
する蒸発源からの蒸発物質(イオン、原子・分子レベル
の)もシールドしてしまうため、該シールド板の影にあ
たる位置に配置した被処理物の被処理面における成膜速
度は通常1/3以下に減少する。また、シールド板の中
心軸上における成膜速度と中心軸から離れた位置におけ
る成膜速度が異なるため、被処理物における膜厚分布が
均一でないという問題点も発生し易かった。
【0008】
【発明の開示】本発明は、蒸発物質がプラズマ化してい
る場合、若しくはイオンを含んでいる場合の上記シール
ド法において、磁界を利用した手法により、成膜速度の
向上及び膜厚分布の均一化を実現するための方法及びそ
の方法に使用する装置を提供するものである。すなわ
ち、下記構成により、上記課題を解決するものである。
【0009】必要によりガスを導入した真空雰囲気下で
蒸発源から蒸発させ、該蒸発物を被処理物に到達させて
真空蒸着又は真空注入により被処理物の表面加工を行な
う真空表面加工法において、蒸発源から蒸発物とともに
副生する微粒子(以下「ドロップレット」という。)
を、蒸発源と被処理物との間にシールドを配置して、ド
ロップレットが被処理物に付着するのを防止するに際し
て、シールドによって被処理物への到達が防御(阻害)
される蒸発荷電粒子等を、磁界を利用してシールドを迂
回させて被処理物の被処理面に到達可能とすることを特
徴とする。
【0010】磁界によって容易に軌道を変化するプラズ
マ及びイオンの特性を利用し、装置内若しくは外部に配
置した磁界発生装置によって、蒸発荷電粒子等を被処理
物の被処理面に所望の形態で到達させるとともに、成膜
速度を向上させ、かつ、膜厚分布を均一にすることがで
きる。
【0011】上記構成において、通常、磁界発生装置を
基板及び/又は蒸発源の近傍に設けて磁界を発生させ
る。そして、磁界発生装置を少なくとも蒸発源近傍に設
けることが、本発明の効果を担保し易い。そして、磁界
発生装置を蒸発源の近傍にも設けた場合は、蒸発荷電粒
子等の蒸発源の横方向への拡散を阻止でき、結果的に基
板への蒸発荷電粒子等の到達量をさらに増大させること
ができる。
【0012】そして、被処理物及び蒸発源の近傍に設け
る磁界発生装置が少なくとも被処理物及び蒸発源の一方
側において複数個とすることが望ましい。被処理物に到
達する荷電粒子における量の増加及び均一化を図ること
ができる。
【0013】また、被処理物の被処理面側をマスキング
して表面加工を行なうことにより、成膜速度が一定の部
位のみを利用することが可能となる。さらに、マスキン
グを真空容器内に隔壁を設けて行なうことにより、被処
理物を面方向に順次移動させることにより、大きな被処
理面積に対しても対応可能となる。
【0014】被処理物の被処理面に向けてイオンを放射
するイオン銃によりシールド板を兼ねる構成にすること
により、結晶性の高い成膜を被処理面に形成可能とな
る。
【0015】蒸発源からの蒸発を、蒸発源を陰極とした
真空アーク放電により行なうことが、蒸発物に荷電性
(イオン性)のものが多く、本発明の磁界による蒸発物
の制御がより確実となる。
【0016】また、シールド板に反磁性体又は反強磁性
体を用いると、その内部に外部磁界と反対方向に磁界を
生じるため、外部から印加した磁界の一部はシールド板
を避けるように(迂回するように)分布する。このた
め、プラズマおよびイオンも磁力線に沿ってシールド板
を迂回するように輸送されるため、成膜効率の向上およ
び均一膜厚化が容易となる。
【0017】さらに、シールド板に完全反磁性体(超伝
導体)を用いると、マイスナー効果によって、外部磁界
は完全にシールド板をシールド板を避けるように(迂回
するように)分布する。したがって、成膜効率の向上お
よび均一膜厚化がより容易となる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は図示の構成
に限定されるわけではなく、さまざまな設計変更が可能
であることは勿論である。
【0019】図1は、本発明の一実施形態である真空蒸
着法に使用する装置の概略モデル図である。真空排気系
及び雰囲気ガス導入系は省略してある(以下同様であ
る。)。
【0020】本実施形態は、真空中(通常、100〜1
-6Pa)において、電子ビーム、イオンビーム、クラ
スタービーム、スパッタ放電(直流スパッタ、セルフス
パッタ、マグネトロンスパッタ、RFスパッタなど)、
レーザービーム(レーザアブレーション)若しくは真空
アークなどを用い、蒸発源から蒸発物質を発生させ、被
処理物の被処理面に薄膜を形成する若しくは被処理物表
層に蒸発物質を注入する装置である。
【0021】ターゲット(蒸発源)12から発生するド
ロップレットDが被処理物(基板)14の表面に付着
(到達)するのを防止(阻止)するために、シールド板
(通常、円板状)16が配置してある。
【0022】ターゲットからの蒸発に伴って、プラズマ
やイオンが発生する。すなわち、蒸発物質の中には、蒸
発源からのイオン、原子、分子、更には電子、場合によ
ってはそれらに加え雰囲気ガスのイオン、原子及び分子
が含まれている。以下、これらの粒子の内、荷電してい
るものを「蒸発荷電粒子等C」という。
【0023】図1のように被処理物14の近傍にリング
状(ドーナツ状)の第一磁界発生装置18を配置し、処
理空間に磁界(磁場)を形成すると、第一磁界M1が形
成する磁力線に絡むように蒸発荷電粒子等が被処理物
(基板)14の被処理面14aにが引き寄せられる。従
って、第一磁界M1がない場合に比して、蒸発荷電粒子
等Cの被処理物14の被処理面14aに対する到達量が
増して、成膜速度を増大させることができる。
【0024】ここでは、被処理物(被処理材、基材とも
いう。)の形態は平板状の基板14としたが、平板状に
限らず、湾曲状、さらには、立体成形物等であれば特に
限定されない。また、被処理物の材質も、鉄系、非鉄系
の金属(合金含む。)、セラミックス、プラスチック
ス、ゴム等、特に限定されない。
【0025】上記シールド板16の材質としては、通
常、非磁性のステンレスや金属(Al,Cu,真鍮な
ど)、ガラス、セラミックス、などを用いる。
【0026】このとき第一磁界発生装置の出力は、第二
磁界発生装置の有無、及び、蒸発荷電粒子等の密度、基
板までの距離等により異なるが、表面磁束密度で0.1
〜1000mT(テスラ)とする。
【0027】被処理物である基板14と磁界の位置関係
は特に厳密に限定されるわけではなく、個々の装置、磁
界の強さおよび磁界強さの分布、イオンの密度などによ
り、最適配置が異なる。
【0028】更に、リング状の第二磁界発生装置22を
ターゲット(蒸発源)12近傍に配置すると、ターゲッ
ト(蒸発源)12近傍で発生したイオン等を、シールド
板16を迂回して被処理物方向に導くことがより確実に
できる。第二磁界M2により蒸発荷電粒子等の横方向へ
の広がりを、図例の如く、円錐台状(テーパ状)Tに絞
り込むことができるためである。これにより、横方向へ
の蒸発荷電粒子等Cの逸散を抑制することができ、当該
磁界が存在しない場合に比して、被処理物に対する到達
量がより増大して、成膜速度が増加することとなる。
【0029】このとき、基板14及び蒸発源12の各近
傍に配置された第一・第二磁界発生装置18、22で形
成される合成磁界M1・M2を、通常、図例の如くミラ
ー形(第一・第二磁界発生装置18及び22の磁界の方
向が同じ)とする。これにより、直線状磁界がシールド
板16を迂回するように形成されて、蒸発荷電粒子等の
流れが蒸発源12と基板14との間に絞り込まれる結果
となり、被処理物に対する到達比率が増大する。なお、
カスプ形(第一・第二磁界発生装置18及び22の磁界
の方向が逆)としてもよいが、その場合は、磁界がシー
ルド板の部位で扁平筒状に広がり、結果として蒸発荷電
粒子等の逸散が若干発生するため、ミラー形に比しての
被処理物に対する到達比率が低減する。また、蒸発物質
の流れに対し、磁界(磁力線)の方向(N→S)は、順
方向でも逆方向でもよい。
【0030】このとき第二磁界発生装置の出力は、第一
磁界発生装置の有無、蒸発荷電粒子等の密度、及び蒸発
源/基板間距離により異なるが、表面磁束密度で0.1
〜1000mTとする。
【0031】磁界発生装置18、22は、電磁コイルや
汎用の永久磁石を利用することができる。該磁界発生装
置18、22は、装置本体である真空容器(チャンバ
ー)24内に配置してもよいし、真空容器24外でもよ
い。ただし、真空容器24の外に配置する場合には、真
空容器24を透磁率の高い非磁性体(ガラス、セラミッ
ク、ステンレスなど)とする。
【0032】蒸発物質中の荷電粒子(イオン)を増大さ
せるため、蒸発空間において、直流プラズマ、交流プラ
ズマ、RFプラズマ、パルスプラズマ、パーストプラズ
マ、マイクロ波プラズマ、ヘリコン波プラズマ、表面波
プラズマなどのプラズマを発生させてやると、より効果
的である。
【0033】また、基板14に負のバイアス電圧を印加
すると、基板14に入射する陽イオンのエネルギーを増
加することができ、その結果、結晶形あるいは配向性の
制御、化学組成の制御、膜密度の向上、密着性の改善が
できる。バイアス電圧の印加は、例えば、図例の如く、
基板14に基板固定盤15を介して、バイアス電源17
により行なう。なお、図例中、20は絶縁導入端子であ
る。
【0034】なお、バイアス電圧は、RFバイアス、パ
ルスバイアス、バイポーラバイアス等であってもよい。
このときのバイアス電圧は、バイアス方式、被処理物の
種類、要求表面処理特性、磁場の強さ・分布等による
が、通常、5V〜10kVとする。
【0035】図2は、本発明を真空アーク放電(プラズ
マ)による蒸着装置に適用した一概略モデル図である。
図例では、陰極12が、蒸発源でありかつプラズマ発生
源である陰極アーク法である(陽極は不活性で蒸発しな
い。)。また、この陰極12の蒸発点からは大量のドロ
ップレットDが発生する。従って、この真空アーク蒸発
装置においては陰極(蒸発源)12と基板14との間に
シールド板(円板または矩形の)16が配置してある。
真空容器24Aは、導体で形成され陽極とされている。
なお、陽極を積極的に蒸発させる陽極アーク法にも本発
明は適用可能である。ここで、陽極アーク法とは、陰極
(第一電極)と陽極(第二電極)との間の真空放電によ
りプラズマを発生させて、該プラズマを利用して基板に
対して蒸着等の加工をする方法のことである(特願20
00−133720号参照、出願時未公開)。
【0036】真空アーク放電としては、通常、反応性ガ
ス導入・排出経路は省略してあるが、反応性ガスを導入
する反応性真空アーク放電とする。このときの真空雰囲
気の圧力は、10〜10-5Paとする。
【0037】上記、反応性ガスとして、N2 、O2 、H
2 、CH4 、C22 、C24 、C26 、CO、C
2 の群から選択される1種又は2種以上を使用する。
そして、それらと非反応性ガスとして希ガスを混合させ
てもよい。真空雰囲気の圧力を100〜10-6Paとす
る。
【0038】また、陰極としては、通常、金属固体、又
は炭素やシリコンなどの導電性固体、又はTiAlやA
lSiなどの合金固体、又はTiN、TiO2 、ZnO
などの導電性セラミックスのいずれか又はそれらの混合
物を使用する。
【0039】なお、シールド板16に、陽イオンが付着
しないように正のバイアス電圧を印加してもよいが、成
膜速度の増加に対してさほど効果は無い。このバイアス
電圧のシールド板16への印加により、シールド板16
に向かって真空容器(チャンバー)24A内の電子(電
離)が流れて、この電子の流れに誘因されて陽イオンが
シールド板16に向かうためである。すなわち、バイア
ス電圧の印加のための装置構成を複雑化するのに見合う
成膜速度の増加効果が期待できない。
【0040】この概略モデル図では、それぞれ棒状の第
一磁界発生装置18Aと第二磁界発生装置22Aとの間
に、蒸発源である陰極12、シールド板16、及び基板
14を挟んでいる。磁界が無い場合には、陰極12で発
生したはあらゆる方向に拡散するが、このような磁界下
では、蒸発荷電粒子等Cは、図示のようにシールド板1
6を迂回して基板14へ到達する。
【0041】従って、磁界が無い場合と比して、成膜速
度を増大させることができる。上記の場合と同様、第一
・第二磁界発生装置18A及び22Aの磁界との合成磁
界はミラー形となることが望ましい。また、磁界発生装
置18A、22Aは、装置本体である真空容器24Aの
外部へ配置してもよい。
【0042】シールド効果があり、かつ成膜速度が一定
である領域を利用するために、それ以外の部分をマスク
するか、図例の如く、あるいはマスク効果(ただし透磁
性を有する)を有するようなマスキング用隔壁26を装
置内に配備してもよい。ここで隔壁26の材質として
は、特に限定されないが、ステンレス、耐熱樹脂(熱可
塑性、熱硬化性)、セラミックス等を好適に使用でき
る。
【0043】隔壁26を利用した場合には、基板14を
二次元的(面方向)に動かすことにより、大きなサイズ
の、すなわち大きな被処理面を備えた基板14への蒸着
を、被処理面に対して部分的に順次行なうことにより、
マスキングをつけ替えることなく対応が可能となる。
【0044】基板14に電圧(特に高電圧)を印加(図
1のバイアス印加と同様であるので図示は省略する。)
することで、真空アークプラズマ中の蒸発荷電粒子等
(陽イオン)を基板14の表層へ注入することも可能で
ある。ここで印加する電圧の範囲は、通常、5V〜10
kVとする。
【0045】蒸発源12及び基板14における各第一・
第二磁界発生装置は、それぞれ複数個用いてもよい。
【0046】図3はそれぞれ2個ずつ用いた場合の概略
装置構成を示している。
【0047】第一・第二磁界発生装置を、それぞれ2個
(それぞれ、円筒状18、22及び棒状18A、22A
のものを1個づつ)複数個用いることで、第一磁界M
1,M1’及び第二磁界M2,M2’の存在により、タ
ーゲット(蒸発源)12から基板14へ到達するの量が
増加させることができるとともに、基板14の表面14
aに到達する蒸発荷電粒子等の量の分布の均一化が容易
となる。
【0048】通常、シールド板を配置すると、中心付近
の成膜速度が減少する。一方、磁界でイオンを収束する
と、中心付近の付近の成膜速度が増加する。そして、中
心付近の成膜速度を可及的に均一化するためには、複数
の磁界発生装置によりイオンの広がり角度及び磁束密度
の平準化が容易となる。なお、リング状の磁界発生装置
(電磁コイル)は、大型化が容易でありかつ広範囲にお
けるイオンの収束が容易であるのに対し、棒状の磁界発
生装置は、汎用の永久磁石が利用でき装置が簡単とな
る。
【0049】従って、従来のシールド法に比べて成膜速
度が向上し、かつ、均一な膜厚分布が得られる。
【0050】図4は、シールド板の位置に、薄型のイオ
ン銃16Aを配置した装置の概略モデル図である。磁界
発生装置、真空容器などの図示は省略した。
【0051】シールド板をイオン銃16Aで兼ねること
により、イオン銃自体がドロップレットを捕捉するシー
ルドの役目を果たしている。ターゲット(蒸発源)12
からとイオン銃から飛行するイオンは、基板(被処理
物)14の被処理面14aに対して略垂直に到達するた
め、結晶配向性の良い膜が得られるという利点がある。
【0052】図5は、シールド板として完全反磁性体
(超伝導体)16Bを用いた場合の作用モデル図であ
る。真空容器、ガス導入系、排気系などの図示は省略し
た。
【0053】図例においては、同軸で直列的に配された
蒸発源12、シールド板16B、および基板(非処理
物)14に対して、外部磁界発生器18Cによって印加
する構成である。この外部磁界発生器18Cは、第一磁
界発生装置を蒸発源12B側まで伸ばして、第二次磁界
発生装置を兼ねている構成である。図例中、Dはドロッ
プレットである。
【0054】シールド板16Bとして完全反磁性体を用
いると、マイスナー効果によって、外部から印加した磁
界はシールド板を避けるように(迂回するように)分布
する。その結果、プラズマおよびイオンも磁力線に沿っ
てシールド板を迂回するように輸送されるため、成膜効
率の向上および均一膜厚化が容易となる。ここで、「マ
イスナー効果(Meissner effect) 」とは、「超伝導状態
にある金属では臨界磁場Hc をこえない外部磁場を加え
ても内部では磁束B=0であり、磁力線が内部へ入らな
い。すなわち超伝導体は、磁化率が−(1/4)π(透
磁率が0)に等しいという完全反磁性体(perfect diam
agnetism) を示す現象。」のことである(長倉他編「岩
波理化学辞典第5版」(1998-2-20 )岩波、p1332参
照)。なお、上記説明ではマイスナー効果を金属につい
て説明してあるが、超電導状態が得られる金属酸化物に
ついても、当然、マイスナー効果が発生する。
【0055】シールド板16Bとして完全反磁性体を用
いると、シールド板16Bには磁力線が通過しないた
め、プラズマイオンの輸送効率が改善され、その結果、
成膜速度が向上する。
【0056】具体的な装置の部分概念図を図6に示す。
【0057】シールド板(超伝導材板材)16の超伝導
状態を維持するために、薄い円筒状のクライオスタット
(cryostat: 低温恒温装置)30に封入する。真空表面
加工(プロセス)を行う真空容器24Bの外部には、汎
用の液体窒素のデュワーびん(Dewar Vessel:低温液体用
魔法瓶) 32およびエバポレータ(Evaporator :蒸発
器) 34を設け、液体窒素蒸気をシールド板16をクラ
イオスタット30に供給し、超伝導材料をマイスナー効
果が生じる温度まで冷却可能としたものである。
【0058】上記超伝導材料としては、特に限定されな
いが、イットリウム系酸化物超伝導材料(YBa2 Cu
37 :Y123相(YBCO)、(Y,Ca)Ba2
Cu 48 :Y124相)、ビスマス系酸化物超伝導材
料(Bi2 Sr2 CaCu28 :Bi−2212相
(Bi,Pb)2 Sr2 Ca2 Cu310:Bi−22
23相(BSCCO))、タリウム系酸化物超伝導材料
(Tl22 CaCu28 :Tl−2212相、Tl2
2 Ca2 Cu310:Tl−2223相(Tl,P
b)1 (Sr,Ba)2 Ca2 Cu39 :Tl−12
23相)などを挙げることができる。
【0059】なお、反磁性体、反強磁性体についても、
その内部に外部磁界と反対方向の磁界が生じることか
ら、外部磁界の一部をシールド板を迂回するように変形
させることができ、その結果、成膜速度の改善に寄与で
きる。当然、改善効果は、外部磁界を迂回できる能力に
比例して、完全反磁性体>反強磁性体>反磁性体の順で
ある。反強磁性体や反磁性体を用いた場合には、シール
ド板を低温冷却しなくてもよいので、装置を簡便にする
ことができる。
【0060】上記反磁性体としては、Au,Ag,C
u,C等を、反強磁性体としては、Bi,Bi系合金、
MnO,Cr23 ,FeS,FeCl2 ,MnAs,
Cr,Co,CoO,NiO,RhMn,IrMn等を
それぞれ挙げることができる。
【0061】
【実験例】本発明の効果を確認するために行なった、実
験結果の一例を以下に示す。
【0062】図2に示す真空アーク蒸着装置を用い、T
iN膜を合成し、基板14の被処理面14aにおける成
膜速度分布を計測した。
【0063】なお、陰極(蒸発源)12A、基板14及
びシールド板16は、それぞれ下記仕様のものを使用し
た。
【0064】陰極…材質: Ti製、大きさ:64mmφ
×40mmt 被処理物…材質:ポリエステル製、20mm幅×140mm
長さ×0.1mmt シールド板…材質:ステンレス製、大きさ:64mmφ×
1mmt そして、陰極12とシールド板16との距離を100m
m、シールド板16と基板14との距離を100mmとし
た。導入ガスにはN2 を用いた。雰囲気圧力は0.8P
a、アーク電流は30Aとした。
【0065】第一磁界発生装置18Aとしてネオジウム
磁石(表面磁束密度:約300mT)を用い、基板14
をその表面磁束密度:8mTとなるような位置に配置し
た。第二磁界発生装置22Aとしてフェライト磁石(表
面磁束密度:約40mT)を用い、陰極(蒸発源)12
Aをその表面磁束密度:1mTとなるような位置に配置
した。
【0066】成膜速度分布を示す図7から、従来のシー
ルド法を用いた場合は、中心における成膜速度が約6n
m/min であり、シールド法を用いない場合の成膜速度
約20nm/min の約1/4しかない。これに対し、本
発明を適用した場合には、成膜速度は約23nm/min
となり、従来のシールド法の約5倍の成膜速度が得ら
れ、更には、シールドを用いない場合の成膜速度をも超
過していることが分かる。
【0067】また、本発明を適用した場合には、半径凡
そ20mmの範囲で均一な成膜速度分布が得られているこ
とも分かる。
【0068】
【発明の効果】本発明によれば、蒸発源からドロップレ
ットを発生するプラズマ中において成膜や注入などの表
面処理を行なう際、ドロップレットが被処理物に付着す
るのを防止するためにシールド板を被処理物前面に配置
したときに、成膜速度を増加し、かつ均一成膜速度分布
を実現する方法および装置を提供することが可能にな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の真空表面加工法における真空蒸着装置
の概略モデル図
【図2】同じく真空アーク蒸着装置の概略モデル図
【図3】同じく磁界印加装置を2個づつ配置した例を示
すモデル図
【図4】同じくイオン銃でシールド板を兼ねる例を示す
要部モデル図
【図5】シールド板として完全反磁性体(超伝導体)を
用いた場合の作用モデル図
【図6】同じくシールド板の具体的な配置概念図
【図7】本発明、従来例及びシールド板無しにおける成
膜速度分布を示すグラフ図
【符号の説明】 12…ターゲット(蒸発源) 12A…陰極(蒸発源) 14、14A…基板(被処理物) 14a…被処理物の被処理面 16…シールド板 18…第一磁界発生装置(被処理物近傍におけるリング
状の) 18A…第一磁界発生装置(被処理物近傍における棒状
の) 22…第二磁界発生装置(蒸発源近傍におけるリング状
の) 22A…第二磁界発生装置(蒸発源近傍における棒状
の) 24…縦形真空容器 24A…横形真空容器 26…マスキング用隔壁 28…イオン銃 D…ドロップレット C…蒸発荷電粒子等 M1,M1’…第一磁界 M2,M2’…第二磁界
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G075 AA24 BA05 BC01 BC02 BC04 BD14 CA42 CA47 FB02 FC13 4K029 AA11 BA60 CA01 CA10 DB17 DB20 5F103 AA01 AA02 BB14 BB15 DD30 HH04 HH05 NN05 RR10

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 必要によりガスを導入した真空雰囲気下
    で蒸発源から蒸発させ、該蒸発物を被処理物の被処理面
    に到達させて真空蒸着又は真空注入により被処理物の表
    面加工を行なう真空表面加工法において、 前記蒸発源から前記蒸発物とともに副生する微粒子(以
    下「ドロップレット」という。)を、前記蒸発源と被処
    理物との間にシールドを配置して、前記ドロップレット
    が前記被処理物に付着するのを防止するに際して、 前記シールドによって前記被処理物の被処理面への到達
    が防御(阻害)される蒸発荷電粒子等を、磁界を利用し
    て前記シールドを迂回させて被処理物に到達可能とする
    ことを特徴とする真空表面加工法。
  2. 【請求項2】 磁界発生装置を前記被処理物及び/又は
    前記蒸発源の近傍に設けて前記磁界を発生させることを
    特徴とする請求項1記載の真空表面加工法。
  3. 【請求項3】 前記磁界発生装置を少なくとも前記蒸発
    源の近傍に設けることを特徴とする請求項2記載の真空
    表面加工法。
  4. 【請求項4】 前記被処理物及び蒸発源の近傍に設ける
    前記磁界発生装置が少なくとも被処理物及び蒸発源の一
    方側において複数個とすることを特徴とする請求項2記
    載の真空表面加工法。
  5. 【請求項5】 前記被処理物の被処理面側をマスキング
    して前記表面加工を行なうことを特徴とする請求項1記
    載の真空表面加工法。
  6. 【請求項6】 前記マスキングを真空容器内に隔壁を設
    けて行なうことを特徴とする請求項5記載の真空表面加
    工法。
  7. 【請求項7】 前記被処理物に向けてイオンを放射する
    イオン銃により前記シールド板を兼ねることを特徴とす
    る請求項1記載の真空表面加工法。
  8. 【請求項8】 前記蒸発源からの蒸発を、前記蒸発源を
    陰極とした真空アーク放電又はレーザアブレーションに
    より行なうことを特徴とする請求項1記載の真空表面加
    工法。
  9. 【請求項9】 前記シールド板が反磁性体(反強磁性体
    ・完全反磁性体を含む。)ことを特徴とする請求項1記
    載の真空表面加工法。
  10. 【請求項10】 請求項1、2、3、4、5、6、7、
    8又は9記載の真空蒸着法に使用可能な構成若しくは設
    備を備えていることを特徴とする真空表面加工装置。
  11. 【請求項11】 真空蒸着装置がイオン注入装置を兼ね
    ることを特徴とする請求項10記載の真空表面加工装
    置。
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