JP3180444B2 - プロピレン−エチレンブロック共重合体の製造方法 - Google Patents

プロピレン−エチレンブロック共重合体の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プロピレン−エチレン
ブロック共重合方法に関する。詳しくは、安息香酸化合
物の無水物を用いることによりブロック共重合時の重合
速度を制御することによる、剛性、耐衝撃性等のバラン
スの優れたプロピレン−エチレンブロック共重合体の製
造方法である。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレンは、優れた物理的性質の
ため、近年著しく需要が伸びている。
【0003】この需要の伸びと相俟ってポリプロピレン
の製造技術の進歩も著しく、重合用触媒に関しては従来
の三塩化チタン型触媒に対し、マグネシウム化合物にチ
タン化合物を担持した高活性触媒が開発されたり、プロ
セスに関しても、より合理化された塊状重合法や気相重
合法が採用されつつある。
【0004】また、結晶性ポリプロピレンは優れた剛性
および耐熱性をもつ汎用樹脂として注目されている。
【0005】しかしながら、結晶性ポリプロピレンは、
低温に於いて脆いという欠点があるため低温で耐衝撃性
の要求される用途には使用しにくい。
【0006】この点を改良すべく、種々検討がなされ改
良法が提案されている。中でも、工業的に有用な方法と
して、特公昭38−14834号、特公昭39−183
6号、特公昭39−15535号などが提案され、プロ
ピレンと他のオレフィン、特にエチレンをブロック共重
合する方法である。
【0007】しかし、これら公知の方法では、剛性と耐
衝撃性のバランス、製品の外観等が充分ではなく、多く
の改良方法が提案されているのは周知のことである。例
えば、特開昭55−115417号では、衝撃強度の向
上を図るべく滞留時間の短いまま移送される触媒粒子を
選択的に不活性化させる方法が提案されている。
【0008】さらに、特開昭59−120611号で
は、剛性と耐衝撃性のバランスを向上させるべく、3段
重合に於いて極限粘度と重合量を一定範囲に調節する方
法が提案されている。
【0009】しかしながら、これらの方法に於いても、
満足すべき結果は得られない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来技術
に鑑みなされたものであり、剛性、耐衝撃性バランスの
良好なプロピレン−エチレンブロック共重合体を提供す
ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる従
来技術の問題点を解決するべく鋭意検討を行った結果、
マグネシウム化合物にチタン化合物を担持してなる高活
性触媒を用い、プロピレンとエチレンをブロック共重合
するにあたって、重合の後半に安息香酸化合物の無水物
を、得られる最終重合体100重量部に対し0.001
〜1重量部となるように添加することにより剛性、耐衝
撃性バランスの良好なプロピレン−エチレンブロック共
重合体が得られることを見出し本発明を完成するに至っ
た。
【0012】すなわち、本発明は(A)マグネシウム化
合物とチタン化合物を必須とする触媒成分(B)成分と
して周期律表の第Ia,IIa,IIb,IIIbおよ
びIVb族金属の有機金属化合物から選んだ少なくとも
1種と、(C)成分として電子供与性化合物とから成る
触媒の存在下、プロピレンとエチレンをブロック共重合
するにあたって、工程(I)に於いて、プロピレン単独
または、エチレンとプロピレンの反応比が重量比で5/
95以下の共重合を実施、全重合体の55〜95重量%
を重合し、工程(II)に於いて、エチレンとプロピレ
ンの反応比が重量比で10/90〜90/10の共重合
を実施、全重合体の45〜5重量%を重合せしめるブロ
ック共重合体の製造方法であって、更に、工程(I)重
合後に下記一般式
【0013】
【化2】 で表される安息香酸化合物の無水物(ただし一般式中の
置換基、R〜R10は、水素、炭素数1〜8のアルキ
ル基、炭素数1〜8のアルコキシル基、ハロゲン基、ア
ミノ基、ニトロ基、フェニル基を示す)を、得られる最
終重合体100重量部に対し0.001〜1重量部とな
るように添加してから、重合を継続することを特徴とす
るプロピレン−エチレンブロック共重合体の製造方法に
関する。
【0014】本発明で使用される触媒は、マグネシウム
化合物とチタン化合物から構成されるものであれば特に
限定されない。触媒の一例として、特開昭63−300
7号,特開昭63−314210号,特開昭63−31
7502号,特開昭64−105号,特開平1−165
608号に開示された触媒などが挙げられる。具体例と
しては、(i)金属マグネシウムと水酸化有機化合物、
及びマグネシウムの酸素含有有機化合物からなる群より
選ばれた少なくとも一員と(ii)アルミニウムの酸素
含有有機化合物と(iii)チタンのアルコキシド等の
チタンの酸素含有有機化合物を反応させて得られた均一
溶液に(iv)ハロゲン化アルミニウムを反応させて得
られた固体生成物に(v)電子供与性化合物、(vi)
ハロゲン化チタン化合物を反応させて得られる触媒など
が挙げられる。
【0015】前記(i)において、金属マグネシウムと
水酸化有機化合物を用いる場合、金属マグネシウムとし
ては各種の形状、すなわち粉末、粒子、箔またはリボン
などいずれの形状のものも使用でき、また水酸化有機化
合物としては、アルコ−ル類、フェノ−ル類、有機シラ
ノ−ル類が適している。
【0016】アルコ−ル類としては、1〜18個の炭素
原子を有する直鎖または分岐鎖脂肪族アルコ−ル、脂環
式アルコ−ルまたは芳香族アルコ−ルが使用できる。例
としては、メタノ−ル、エタノ−ル、n−プロパノ−
ル、i−プロパノ−ル、n−ブタノ−ル、n−ヘキサノ
−ル、2−エチルヘキサノ−ル、n−オクタノ−ル、i
−オクタノ−ル、n−ステアリルアルコ−ル、シクロペ
ンタノ−ル、シクロヘキサノ−ル、エチレングリコ−ル
などが挙げられる。
【0017】更に、フェノ−ル類としては、フェノ−
ル、クレゾ−ル、キシレノ−ル、ハイドロキノンなどが
挙げられる。
【0018】また、有機シラノ−ルとしては少なくとも
1個の水酸基を有し、かつ有機基は1〜12個の炭素原
子、好ましくは1〜6個の炭素原子を有するアルキル
基、シクロアルキル基、アリ−ルアルキル基、アリ−ル
基、アルキルアリ−ル基を有する化合物から選ばれる。
例えば、トリメチルシラノ−ル、トリエチルシラノ−
ル、トリフェニルシラノ−ル、t−ブチルジメチルシラ
ノ−ルなどを挙げることができる。これらの水酸化有機
化合物は、単独または2種以上の混合物として使用され
る。
【0019】加うるに、金属マグネシウムを使用して本
発明で述べる成分(A)の固体触媒成分を得る場合、反
応を促進する目的から、金属マグネシウムと反応した
り、付加化合物を生成したりするような物質、例えばヨ
ウ素、塩化第2水銀、ハロゲン化アルキルおよび有機酸
などのような極性物質を単独または2種以上添加するこ
とが望ましい。
【0020】次に、マグネシウムの酸素含有有機化合物
に属する化合物としては、マグネシウムアルコキシド
類、例えば、メチレ−ト、エチレ−ト、イソプロピレ−
ト、デカノレ−ト、メトキシエチレ−トおよびシクロヘ
キサノレ−ト、マグネシウムアルキルアルコキシド類、
例えば、エチルエチレ−ト、マグネシウムヒドロアルコ
キシド類、例えば、ヒドロキシメチレ−ト、マグネシウ
ムフェノキシド類、例えば、フェネ−ト、ナフテネ−
ト、フェナンスレネ−トおよびクレゾレ−ト、マグネシ
ウムカルボキシレ−ト類、例えば、アセテ−ト、ステア
レ−ト、ベンゾエ−ト、フェニルアセテ−ト、アジペ−
ト、セバケ−ト、フタレ−ト、アクリレ−ト、およびオ
レエ−ト、オキシメ−ト類、例えば、ブチルオキシメ−
ト、ジメチルグリオキシメ−トおよびシクロヘキシルオ
キシメ−ト、ヒドロキサム酸塩類、ヒドロキシルアミン
塩類、例えば、N−ニトロソ−N−フェニル−ヒドロキ
シルアミン誘導体、エノレ−ト類、例えば、アセチルア
セトネ−ト、マグネシウムシラノレ−ト類、例えば、ト
リフェニルシラノレ−トなどが挙げられる。これらの酸
素含有有機マグネシウムは、単独または2種以上の混合
物として使用される。
【0021】前記(ii)の反応剤であるアルミニウム
の酸素含有有機化合物としては、一般式Al(O
1´3−mで表される酸素含有有機化合物が使
用される。ただし、該一般式において、R1´は炭素数
1〜20、好ましくは1〜10の炭化水素基を示す。こ
のような炭化水素基としては、直鎖または分岐鎖アルキ
ル基、シクロアルキル基、アリ−ルアルキル基、アリ−
ル基およびアルキルアリ−ル基などを挙げることができ
る。mは、0<m≦3なる数を表し、Xはハロゲン原子
を表す。
【0022】アルミニウムの酸素含有有機化合物の具体
例としては、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシ
アルミニウム、トリ−n−プロポキシアルミニウム、ト
リ−i−プロポキシアルミニウム、トリ−n−ブトキシ
アルミニウム、トリ−sec−ブトキシアルミニウム、
トリ−tert−ブトキシアルミニウム、トリ(2−エ
チルヘキソキシ)アルミニウム、トリフェノキシアルミ
ニウム、トリベンジルオキシアルミニウム、ジクロロメ
トキシアルミニウム、クロロジメトキシアルミニウム、
ジクロロ(2−エチルヘキソキシ)アルミニウム、クロ
ロジ(2−エチルヘキソキシ)アルミニウム、ジクロロ
フェノキシアルミニウム、クロロジフェノキシアルミニ
ウムなどがあげられる。いくつかの異なる炭化水素基を
有するアルミニウムの酸素含有有機化合物の使用も本発
明の範囲に入る。これらのアルミニウムの酸素含有有機
化合物は、単独または2種以上の混合物として使用す
る。
【0023】前記(iii)の反応剤であるチタンの酸
素含有有機化合物としては、一般式[OTi(OR
2´で表される化合物が使用される。ただし、
該一般式において、R2´は炭素数1〜20、好ましく
は1〜10の炭化水素基を示す。
【0024】このような炭化水素基としては、直鎖また
は分岐鎖アルキル基、シクロアルキル基、アリ−ルアル
キル基、アリ−ル基およびアルキルアリ−ル基などを挙
げることができる。p,qおよびuはp≧0、q>0、
u≧1でTiの原子価と相容れる数を表し、nは整数を
表す。なかんずく、0≦p≦1、1≦u≦2で1≦n≦
6であるようなチタンの酸素含有有機化合物を使用する
ことが望ましい。
【0025】具体例としては、チタンテトラメトキシ
ド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラ−n−プロ
ポキシド、チタンテトラ−i−プロポキシド、チタンテ
トラ−n−ブトキシド、チタンテトラ−i−ブトキシ
ド、テトラ(n−ノニル)チタネ−ト、テトラ(2−エ
チルヘキシル)チタネ−ト、テトラクレジルチタネ−
ト、ヘキサ−i−プロポキシジチタネ−トなどが挙げら
れる。いくつかの異なる炭化水素基を有するチタンの酸
素含有有機化合物の使用も本発明の範囲に入る。これら
チタンの酸素含有有機化合物は、単独で用いてもよく、
また2種以上を混合あるいは反応させてから使用するこ
ともできる。
【0026】前記(iv)の反応剤であるハロゲン化ア
ルミニウム化合物としては、一般式AlR ´
3−rで示されるものが使用される。式中R3´は1〜
20個の炭素原子を有する炭化水素基を表し、Xはハロ
ゲン原子を表し、rは0<r≦2なる数を表す。R3´
は直鎖または分岐鎖アルキル基、アルコキシ基、シクロ
アルキル基、アリ−ルアルキル基,アリ−ル基及びアル
キルアリ−ル基から選ばれることが好ましい。上記ハロ
ゲン化アルミニウム化合物は、単独または2種以上の混
合物として使用する。
【0027】ハロゲン化アルミニウムの具体例として
は、例えば、エチルアルミニウムジクロライド、n−プ
ロピルアルミニウムジクロライド、n−ブチルアルミニ
ウムジクロライド、i−ブチルアルミニウムジクロライ
ド、セスキエチルアルミニウムクロライド、セスキ−i
−ブチルアルミニウムクロライド、セスキ−i−プロピ
ルアルミニウムクロライド、セスキ−n−プロピルアル
ミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライ
ド、ジ−i−プロピルアルミニウムクロライド、ジ−n
−プロピルアルミニウムクロライド、ジ−i−ブチルア
ルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムブロマイ
ド、ジエチルアルミニウムアイオダイドなどが挙げられ
る。
【0028】前記(v)の反応剤である電子供与性化合
物としては、エ−テル、エステル、ケトン、フェノ−
ル、アミン、アミド、イミン、ニトリル、ホスフィン、
ホスファイト、スチビン、アルシン、ホスホリルアミド
およびアルコレ−トが挙げられる。なかでもエステル類
が好ましく、有機酸エステル類が最も好ましい。
【0029】有機酸エステル類としては、芳香族カルボ
ンのモノまたはジエステル、脂肪族カルボン酸のモノま
たはジエステルなどが挙げられる。
【0030】その具体例としては、例えば、ギ酸ブチ
ル、酢酸エチル、酢酸ブチル、イソ酪酸イソブチル、ピ
バリン酸プロピル、ピバリン酸イソブチル、アクリル酸
エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メ
タクリル酸イソブチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジ
イソブチル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジブチル、コ
ハク酸ジイソブチル、グルタル酸ジエチル、グルタル酸
ジブチル、グルタル酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソ
ブチル、セバシン酸ジブチル、マレイン酸ジエチル、マ
レイン酸ジブチル、マレイン酸ジイソブチル、フマル酸
モノメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジイソブチ
ル、酒石酸ジエチル、酒石酸ジブチル、酒石酸ジイソブ
チル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、p−トルイル
酸メチル、p−トルイル酸エチル、p−tert−ブチ
ル安息香酸エチル、p−アニス酸エチル、α−ナフトエ
酸イソブチル、ケイ皮酸エチル、フタル酸モノメチル、
フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジ
ヘキシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジ2−エチル
ヘキシル、フタル酸ジアリル、フタル酸ジフェニル、イ
ソフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジイソブチル、テレ
フタル酸ジエチル、テレフタル酸ジブチル、ナフタル酸
ジエチル、ナフタル酸ジブチル等が挙げられる。電子供
与性化合物(v)は、単独またまたは2種以上の混合物
として使用される。
【0031】前記(vi)の反応剤であるハロゲン化チ
タン化合物としては、一般式Ti(OR4´
4−fで表されるチタン化合物が用いられる。式中R
4´は、1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基を表
し、Xはハロゲン原子を表し、fは0≦f<4なる数を
表す。R4´は直鎖または分岐鎖アルキル基、アルコキ
シ基、シクロアルキル基、アリ−ルアルキル基、アリ−
ル基およびアルキルアリ−ル基から選ばれることが好ま
しい。上記ハロゲン化チタン化合物は、単独または2種
以上の混合物として使用することができる。
【0032】ハロゲン化チタン化合物の具体例として
は、例えば、四塩化チタン、三塩化エトキシチタン、三
塩化プロポキシチタン、三塩化ブトキシチタン、三塩化
フェノキシチタン、二塩化ジエトキシチタン、塩化トリ
エトキシチタンなどが挙げられる。
【0033】本発明で得られる固体触媒成分は、上記の
反応剤(i)、(ii)及び(iii)を反応させて得
た均一溶液に、反応剤(iv)を反応させ、得られた固
体生成物に、次いで反応剤(v)、(vi)を反応させ
ることにより調製することができる。
【0034】これらの反応は、液体媒体中で行うことが
好ましい。そのため、特にこれらの反応剤自体が操作条
件で液体でない場合、または液状反応剤の量が不十分な
場合には、不活性有機溶媒の存在下で行うべきである。
不活性有機溶媒としては、当該技術分野で通常用いられ
るものはすべて使用できるが、脂肪族、脂環族または芳
香族炭化水素類もしくは、それらのハロゲン誘導体もし
くは、それらの混合物が挙げらる。
【0035】例えば、イソブタン、ペンタン、イソペン
タン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、1,2−ジ
クロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、塩化ベン
ジル、二塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,
3−ジクロロプロパン、1,4−ジクロロブタン、1,
1,1,−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロ
エタン、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,
1,2,2−テトラクロロエタン、テトラクロロエチレ
ン、四塩化炭素、クロロホルムなどを挙げることができ
る。
【0036】これらの有機溶媒は、単独で使用しても、
混合物として使用してもよい。ちなみに、ハロゲン誘導
体あるいは、その混合物を使用した場合、重合活性、重
合体の立体規則性に良好な結果をもたらす場合がある。
【0037】本発明で用いられる反応剤(i)、(i
i)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)の使用
量に特に制限はないが、マグネシウム原子(i)とアル
ミニウムの酸素含有有機化合物(ii)のモル比は、
1:0.01〜1:20、なかんずく3000μm以上
のペレット大の重合体粒子を得ることを意図するのであ
れば、1:0.05〜10の範囲を選ぶことが望まし
い。
【0038】また、マグネシウム原子(i)とチタンの
酸素含有有機化合物(iii)のモル比は1:0.01
〜1:20、好ましくは、粉体特性が極めて良好なペレ
ット大の重合体粒子を得るために1:0.1〜1:5に
なるように使用量を選ぶことが好ましい。
【0039】また、マグネシウム原子(i)とハロゲン
化アルミニウム(iv)中のアルミニウム原子の比は、
1:0.1〜1:100、好ましくは1:0.1〜1:
20の範囲になるように反応剤の使用量を選ぶことが好
ましい。この範囲をはずれてアルミニウム原子の比が大
きすぎると触媒活性が低くなったり、良好な粉体特性が
得られなくなったり、また、小さすぎても良好な粉体特
性が得られなくなる場合がある。
【0040】マグネシウム原子(i)と電子供与性化合
物(v)のモル比は1:0.05〜1:5.0、好まし
くは1:0.1〜1:2.0になるように使用量を選ぶ
ことが好ましい。これらの範囲をはずれた場合、重合活
性が低かったり、重合体の立体規則性が低いといった問
題を生ずる場合がある。
【0041】更にマグネシウム原子(i)とハロゲン化
チタン化合物(vi)のモル比は、1:1〜1:10
0、好ましくは1:3〜1:50の範囲になるように反
応剤の使用量を選ぶことが好ましい。この範囲を外れた
場合、重合活性が低くなったり、製品が着色するなどの
問題を生ずる場合がある。
【0042】反応剤(i)、(ii)、(iii)、に
より均一溶液を得る際の反応条件は−50〜300℃、
好ましくは、0〜200℃なる範囲の温度で、0.5〜
50時間、好ましくは、1〜6時間、不活性ガス雰囲気
中で常圧または加圧下で行われる。また、この際、前記
化合物(v)と同様の電子供与性化合物を添加すること
により、均一化をより短時間のうちに行うことができ
る。
【0043】更に反応剤(iv)、(v)、(vi)の
反応の際には、−50〜200℃、好ましくは、−30
〜150℃なる範囲の温度で0.2〜50時間、好まし
くは0.5〜10時間、不活性ガス雰囲気中で常圧また
は加圧下で行われる。
【0044】反応剤(iv)の反応条件は重要であり、
生成する固体生成物粒子、固体触媒成分粒子、それを用
いて得られる重合体粒子の粒子形状および粒径の制御に
決定的な役割を果たすため極めて重要である。
【0045】また、反応剤(vi)の反応は多段階に分
割して反応させてもよい。更に反応剤(vi)の反応の
際に、一般式R−CH=CH(式中、Rは1〜10
個、特に1〜8個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖
の置換・非置換アルキル基または水素原子を表す)で示
されるエチレンおよび/またはα−オレフィン共存下、
行なってもよい。これらの場合、結果的に重合活性およ
び重合体の立体規則性の向上をもたらすなどの効果が認
められる場合がある。
【0046】かくして、得られた固体触媒成分(A)
は、そのまま使用してもよいが、一般には濾過または傾
斜法により残存する未反応物および副生成物を除去して
から、不活性有機溶媒で充分な洗浄後、不活性有機溶媒
中に懸濁して使用する。洗浄後単離し、常圧または減圧
下で加熱して不活性有機溶媒を除去したものも使用でき
る。
【0047】更に、本重合に先立って、少量の有機金属
化合物成分を添加し、一般式R´−CH=CH(式
中、R´は1〜10個、特に1〜8個の炭素原子を有す
る直鎖または分岐鎖の置換・非置換アルキル基を表す)
で示されるα−オレフィンおよび/またはエチレンを少
量重合した予備重合物とした後、使用することもでき
る。
【0048】以上のようにして得られた成分(A)の固
体触媒成分は、成分(B)の有機金属化合物、および成
分(C)の電子供与性化合物と組み合わせることによ
り、オレフィン重合に使用する。
【0049】(B)成分の有機金属化合物としては、周
期律表の第Ia,IIa,IIb,IIIbおよびIV
b族金属の有機金属化合物から選んだ少なくとも1種の
もので、例えば、n−ブチルリチウム、ジエチルマグネ
シウム、トリエチルアルミニウム、トリ−i−ブチルア
ルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジイソ
ブチルアルミニウムクロライド等が使用できる。
【0050】成分(C)の電子供与性化合物としては、
有機酸エステル、ケイ素の酸素含有有機化合物、窒素含
有有機化合物などが好適である。
【0051】有機酸エステルとしては、芳香族カルボン
酸のモノまたはジエステル、脂肪族カルボン酸のモノま
たはジエステルなどが挙げられる。なかでも好ましく
は、脂肪族カルボン酸エステル、芳香族カルボン酸エス
テルが挙げられる。具体的に、脂肪族カルボン酸エステ
ルとしては、炭素数2〜18を有する、酢酸エチル、酢
酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、プロピ
オン酸ブチルおよび酪酸エチルなどを挙げることができ
る。芳香族カルボン酸エステルとしては、炭素数1〜2
4を有する、安息香酸メチル、安息香酸エチル、トルイ
ル酸メチル、トルイル酸エチル、アニス酸メチル、アニ
ス酸エチルなどを挙げることができる。上記の有機酸エ
ステルは、単独で用いてもよく、また2種以上を混合あ
るいは反応させて使用することもできる。
【0052】ケイ素の酸素含有有機化合物としては、一
般式R5´ Si(OR6´4−(s+t)で表
されるケイ素の酸素含有有機化合物が使用される。ただ
し、該一般式において、R5´、R6´は炭素数1〜2
0、好ましくは1〜10の直鎖または分岐鎖アルキル
基、シクロアルキル基、アリ−ルアルキル基、アリ−ル
基およびアルキルアリ−ル基などの炭化水素基または水
素原子を表し、sおよびtは0≦s≦3、1≦t≦4、
1≦s+t≦4なる数を表し、Xはハロゲン原子を表
す。
【0053】具体例としては、テトラメトキシシラン、
テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラ
ン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブト
キシシラン、テトラ−i−ペントキシシラン、テトラ−
n−ヘキソキシシラン、テトラフェノキシシラン、テト
ラキス(2−エチルヘキソキシ)シラン、テトラキス
(2−エチルブトキシ)シラン、テトラキス(2−メト
キシエトキシ)シラン、メチルトリメトキシシラン、エ
チルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラ
ン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシ
シラン、クロロメチルトリメトキシシラン、3−クロロ
プロピルトリメトキシシラン、4−クロロフェニルトリ
メトキシシラン、トリメトキシシラン、メチルトリエト
キシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピル
トリエトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、
フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラ
ン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、トリエト
キシシラン、エチルトリ−i−プロポキシシラン、ビニ
ルトリ−i−プロポキシシラン、i−ペンチルトリ−n
−ブトキシシラン、メチルトリ−i−ペントキシシラ
ン、エチルトリ−i−ペントキシシラン,メチルトリ−
n−ヘキソキシシラン、フェニルトリ−i−ペントキシ
シラン、n−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピ
ルトリメトキシシラン、i−ブチルトリメトキシシラ
ン、ジメチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメト
キシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルジメ
トキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジ
エトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチル
ドデシルジエトキシシラン、メチルオクタデシルジエト
キシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、メチル
ジエトキシシラン、ジベンジルジエトキシシシラン、ジ
エトキシシラン、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、ジ
メチルジ−i−ペントキシシラン、ジエチルジ−i−ペ
ントキシシラン、ジ−i−ブチルジ−i−ペントキシシ
ラン、ジフェニルジ−i−ペントキシシラン、ジフェニ
ルジ−n−オクトキシシラン、ジイソブチルジメトキシ
シラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキ
シシラン、ジメチルエトキシシラン、トリメチル−i−
プロポキシシラン、トリメチル−n−プロポキシシラ
ン、トリメチル−t−ブトキシシラン、トリメチル−i
−ブトキシシラン、トリメチル−n−ブトキシシラン、
トリメチル−n−ペントキシシラン、トリメチルフェノ
キシシランなどのアルコキシシランもしくはアリ−ロキ
シシラン、ジクロロジエトキシシラン、ジクロロジフェ
ノキシシラン、トリブロモエトキシシランなどのハロア
ルコキシシラン、もしくはハロアリ−ロキシシランなど
が挙げられる。上記ケイ素の酸素含有有機化合物は、単
独で用いてもよく、また2種以上を混合あるいは反応さ
せて使用することもできる。
【0054】窒素含有有機化合物としては、分子内に窒
素原子を有し、ルイス塩基としての機能をもつ化合物を
挙げることができる。具体的には、酢酸N,N−ジメチ
ルアミド、安息香酸N,N−ジメチルアミド、トルイル
酸N,N−ジメチルアミドなどのアミド系化合物、2,
2,6,6−テトラメチルピペリジン、2,6−ジイソ
プロピルピペリジン、2,6−ジイソブチルピペリジ
ン、2,6−ジイソブチル−4−メチルピペリジン、
2,2,6−トリメチルピペリジン、2,2,6,6−
テトラエチルピペリジン、1,2,2,6,6−ペンタ
メチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチル−4
−ピペリジルベンゾエ−ト、ビス(2,2,6,6−テ
トラメチル−4−ピペリジル)セバケ−トなどのピペリ
ジン系化合物、2,6−ジイソプロピルピリジン、2,
6−ジイソブチルピリジン、2−イソプロピル−6−メ
チルピリジンなどのピリジン系化合物、2,2,5,5
−テトラメチルピロリジン、2,5−ジイソプロピルピ
ロリジン、2,2,5−トリメチルピロリジン、1,
2,2,5,5−ペンタメチルピロリジン、2,5−ジ
イソブチルピロリジンなどのピロリジン系化合物、トリ
メチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、
トリベンジルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、
ジイソプロピルエチルアミン、tert−ブチルジメチ
ルアミン、ジフェニルアミン、ジ−o−トリルアミンな
どのアミン系化合物、N,N−ジエチルアニリン、N,
N−ジイソプロピルアニリンなどのアニリン系化合物な
どが挙げられる。上記の窒素含有有機化合物は、単独で
用いてもよく、また2種以上を混合あるいは反応させて
使用することもできる。
【0055】これらの電子供与性化合物は併用してもよ
い。
【0056】(B)成分の有機金属化合物は、反応器1
l当たり、0.02〜50mmol、好ましくは0.2
〜5mmolの濃度で使用する。
【0057】(C)成分の電子供与性化合物は、反応器
1l当たり、0.001〜50mmol、好ましくは
0.01〜5mmolの濃度で使用する。
【0058】本発明における3成分の重合器内への送入
態様は、特に限定されるものではなく、例えば、触媒成
分(A),(B)成分,(C)成分を各々別個に重合器
へ送入する方法、あるいは触媒成分(A)と(C)成分
を接触させた後に(B)成分と接触させて重合する方
法、(B)成分と(C)成分を接触させた後に触媒成分
(A)と接触させて重合する方法、予め触媒成分(A)
と(B)成分と(C)成分とを接触させて重合する方法
などを採用することができる。
【0059】プロピレンの重合は、重合体の融点未満の
反応温度で、気相重合,塊状重合、懸濁重合のいづれも
採用できるが、気相重合のほうが好ましい。さらに、工
程(I)および工程(II)は2段階以上の多段重合で
も実施できる。
【0060】重合反応条件は、重合体の融点未満の反応
温度で行われる限り特に限定されないが、通常反応温度
20〜110℃,圧力2〜50kg/cm・Gに選ば
れる。
【0061】重合工程において使用する反応器は、当該
技術分野で通常用いられるものであれば適宜使用するこ
とができる。例えば、撹拌槽型反応器,流動床型反応器
または循環式反応器を用いて、重合操作を連続方式,半
回分方式および回分方式のいずれかの方式で行うことが
できる。
【0062】工程(I)では、プロピレン単独または、
エチレンとプロピレンの反応比が重量比で5/95以下
の共重合を、全重合体の55〜95重量%の範囲で実施
する。エチレンとプロピレンの反応比が本発明の範囲外
になるとプロピレン本来の剛性が失われる。また、重合
比率が範囲以下でも同様に剛性低下を起こし、重合比率
が範囲以上になると、耐衝撃性が低下するので好ましく
ない。工程(II)では、エチレンとプロピレンの反応
比が重量比で10/90〜90/10の共重合を、全重
合体の45〜5重量%の範囲で実施する。エチレンとプ
ロピレンの反応比が所定の範囲外になると、耐衝撃性が
不十分となり好ましくない。
【0063】本発明で使用される安息香酸化合物の無水
物は、下記一般式
【0064】
【化3】 で表される(ただし一般式中の置換基、R〜R
10は、水素、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜
8のアルコキシル基、ハロゲン基、アミノ基、ニトロ
基、フェニル基を示す)化合物であって、ここで上記一
般式における炭素数1〜8のアルキル基としては、メチ
ル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘ
キシル基、ヘプチル基、オクチル基等の直鎖状アルキル
基およびi−プロピル基、1−メチルプロピル基、t−
ブチル基、3−メチルアミル基、2−エチルヘキシル
基、2,4−ジメチルヘキシル基等の分岐を有するアル
キル基も含まれる。炭素数1〜8のアルコキシル基とし
ては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブ
トキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプ
チルオキシ基、オクチルオキシ基等の直鎖状アルコキシ
ル基およびi−プロピルオキシ基、1−メチルプロピル
オキシ基、t−ブトキシ基、3−メチルペンチルオキシ
基、2−エチルヘキシルオキシ基、2,4−ジメチルヘ
キシルオキシ基等の分岐を有するアルコキシル基も含ま
れる。また、ハロゲン基としては、フルオロ基、クロロ
基、ブロモ基、ヨ−ド基等を挙げることができる。この
中でも特に、i−プロピル基、t−ブチル基が好まし
い。また、置換基の位置は、カルボン酸のオルト位、メ
タ位、パラ位のいずれでも良い。
【0065】安息香酸化合物の無水物の具体例として
は、安息香酸無水物、m−メチル安息香酸無水物、p−
オクチル安息香酸無水物、p−i−プロピル安息香酸無
水物、p−t−ブチル安息香酸無水物、p−フルオロ安
息香酸無水物、o−アミル安息香酸無水物、2−メチル
−3−エチル安息香酸無水物、2,4−ジ−t−ブチル
安息香酸無水物、2,6−ジメチル安息香酸無水物、2
−メチル−4,6−ジエチル安息香酸無水物、2,4−
ジ−t−ブチル−5−メチル−6−i−プロピル安息香
酸無水物、2−メチル−4−プロピル−3,5,6−ト
リブチル安息香酸無水物、2,4−ジエチル安息香酸無
水物、2,4,6−トリメトキシ安息香酸無水物、2,
6−ジフルオロ安息香酸無水物、2,4,5,6−テト
ラヨ−ド安息香酸無水物、2,5−ジフェニル安息香酸
無水物、2,3,4−トリヒドロキシ安息香酸無水物、
2−メチル−6−フルオロ安息香酸無水物、2,4−ジ
ブトキシ−6−アミノ安息香酸無水物等を挙げることが
できる。この中でも、特にp−t−ブチル安息香酸無水
物、p−i−プロピル安息香酸無水物が好ましい。これ
ら安息香酸化合物の無水物は、単独で、または2種類以
上混合して使用することもできる。
【0066】安息香酸無水物の添加量は、得られる重合
体100重量部に対し0.001〜1重量部となる範囲
である。0.001重量部未満であると、得られる重合
体の剛性、衝撃バランスに対する向上効果が低く、1重
量部を越えても、その効果は変わらない。また、連続重
合において、滞留時間の短いまま移送される触媒粒子を
選択的に不活性化させることをも図るならば、好ましい
添加量は0.005〜0.4重量部である。
【0067】安息香酸無水物の添加方法としては、安息
香酸化合物を重合系にそのまま添加しても良いし、また
は、不活性有機溶媒に懸濁し添加しても良い。
【0068】安息香酸化合物の添加時期としては、工程
(I)の重合が終了してから、最終重合体の95重量%
の重合体が生成する間であればいつでも添加できるが、
工程(II)の重合を開始する前に添加するのが好まし
い。従って、具体的には、多段重合における最終重合段
階が始まる前までの適当な段階で添加することが好まし
い。また、安息香酸化合物を重合系内に添加する際、
(B)成分の有機金属化合物を同時に添加しても良い。
この場合の(B)成分の添加量は、反応器1l当たり、
0.01〜25mmol、好ましくは0.2〜3mmo
lの濃度で使用する。
【0069】
【実施例】以下に本発明を実施例により示すが、本発明
はこれらの実施例によってなんら限定されるものではな
い。
【0070】実施例および比較例に於ける重合体の性質
は下記の方法によって測定した。
【0071】MFR:ASTM D−1238条件Eに
よるメルトインデックス 重合体のエチレン含量:赤外スペクトルにて測定 日本分光(株)FT−IR5M型 結晶化温度:DSCにより測定 曲げ剛性率:JIS−K7203に準ずる アイゾット衝撃強度:JIS−K7110に準ずる 表面光沢(グロス):JIS−K7105に準ずる なお、物性測定値は、得られた重合体粒子に酸化剤等公
知の添加剤を添加し、25mm押し出し機にて溶融造粒
し、東芝IS−100E射出成型機に於いて成形した試
験片を用いて評価した。
【0072】安息香酸無水物:Journal of
American Chemical Society
74 4110 1952に準じ、市販の安息香酸化
合物を用い、調製を実施した。
【0073】参考例1 [触媒成分(A)の調製]撹拌装置を備えた2lのオ―
トクレ―ブに、金属マグネシウム粉末12g(0.49
mol)を入れ、これにヨウ素0.6g,2−エチルヘ
キサノ―ル319.1g(2.45mol)およびチタ
ンテトラブトキシド168.0g(0.49mol),
トリ−i−プロポキシアルミニウム198.3g(0.
97mol)を加え、さらにデカン1lを加えた後90
℃まで昇温し、発生する水素ガスを排除しながら窒素シ
―ル下で1時間撹拌した。引き続き140℃まで昇温し
て2時間反応を行い、マグネシウムとチタンを含む均一
溶液(Mg−Ti溶液)を得た。
【0074】内容積500mlのフラスコにMg−Ti
溶液のMg換算0.048molを加え0℃に急冷後、
i−ブチルアルミニウムジクロライド14.7g(0.
095mol)をヘキサンにて50%に希釈した溶液を
2時間かけて加えた。すべてを加えたのち、2時間かけ
て70℃まで昇温したところ、白色の固体生成物を含む
スラリ―が得られ、その固体生成物を濾過分離したヘキ
サンで洗浄した。
【0075】かくして得られた白色固体生成物を含むス
ラリ―に四塩化チタン52g(0.48mol)をクロ
ロベンゼン52gで希釈した溶液を全量加え、ついでフ
タル酸ジイソブチル4.9g(0.019mol)を加
え、100℃で3時間反応させた。
【0076】生成物をろ過することにより、固体部を採
取し、再度、四塩化チタン52g(0.48mol)を
クロロベンゼン52gで希釈した溶液を加え、100℃
で2時間撹拌した。この生成物にヘキサンを加え遊離す
るチタン化合物が検出されなくなるまで、充分に洗浄操
作を行い、ヘキサンに懸濁した触媒成分(A)のスラリ
―を得た。上澄液を除去して窒素雰囲気下で乾燥し、元
素分析したところ、Tiは3.0重量%であった。
【0077】実施例1 内容積5lのステンレススチ−ル製電磁攪拌式オ−トク
レ−ブ内を充分窒素で置換し、成分(B)としてトリエ
チルアルミニウム1.44mmol,成分(C)として
ジフェニルジメトキシシラン0.72mmolおよび参
考例1で得られた触媒成分(A)をTi換算で0.01
8mmolを順次添加し、オ―トクレ―ブ内圧を0.1
kg/cmGに調節し、水素を0.4kg/cm
え、撹拌(600rpm)を開始した後、80℃とし
て、液体プロピレンを1.6kg加えた。同温度で27
分間プロピレンを重合させた。
【0078】撹拌停止脱圧後、p−t−ブチル安息香酸
無水物を0.60g加え、オ―トクレ―ブ内圧を0.1
kg/cmGに調節し、水素を0.6kg/cm
え、撹拌(600rpm)を開始した後、50℃とし
て、液体プロピレンを1.6kg加え、更に、エチレン
ガスを8.0kg/cmを連続に加え同温度で48分
間プロピレン−エチレン共重合を実施した。
【0079】重合反応終了後、攪拌を止めると同時に系
内の未反応プロピレンを放出し、生成重合体を回収し
た。その結果、生成重合体は1080gであった。触媒
成分(A)1g当たりの活性は37600g/gに相当
する。
【0080】この重合体のMFRは4.5g/10分、
また、最終重合体の1段目と2段目の生成割合は79/
21であった。重合体の割合は、本実験だけから算出す
ることは難しいので、実施例1と同じ条件で別途2段目
共重合を実施したのち、乾燥し、赤外スペクトルにより
エチレン含量を測定して、それが実施例の各重合におい
ても当てはまっていると仮定し、該エチレン含量とブロ
ック共重合体の測定値との割合から、間接的に測定した
ものである。以下、生成比率は、同様の方法で求めてい
る。
【0081】この重合体に、Irganox−1010
(チバガイギ−社製),Irgafos−168(チバ
ガイギ−社製),ステアリン酸カルシウムをそれぞれ1
000ppm配合し、25mm単軸押し出し機で造粒
し、東芝IS−100E射出成型機で成型を実施し物性
評価をした。結果は表1および表2に示した。
【0082】比較例1 内容積5lのステンレススチ−ル製電磁攪拌式オ−トク
レ−ブ内を充分窒素で置換し、成分(B)としてトリエ
チルアルミニウム1.44mmol,成分(C)として
ジフェニルジメトキシシラン0.72mmolおよび参
考例1で得られた触媒成分(A)をTi換算で0.01
8mmolを順次添加し、オ―トクレ―ブ内圧を0.1
kg/cmGに調節し、水素を0.4kg/cm
え、撹拌(600rpm)を開始した後、80℃とし
て、液体プロピレンを1.6kg加えた。同温度で25
分間プロピレンを重合させた。
【0083】撹拌停止脱圧後、オ―トクレ―ブ内圧を
0.1kg/cmGに調節し、水素を0.6kg/c
加え、撹拌(600rpm)を開始した後、50℃
として、液体プロピレンを1.6kg加え、更に、エチ
レンガスを8.0kg/cmを連続に加え同温度で3
5分間プロピレン−エチレン共重合を実施した。
【0084】重合反応終了後、攪拌を止めると同時に系
内の未反応プロピレンを放出し、生成重合体を回収し
た。その結果、生成重合体は1130gであった。触媒
成分(A)1g当たりの活性は39300g/gに相当
する。
【0085】この重合体のMFRは4.3g/10分で
あった。また、1段目と2段目の生成比率は78/22
であった。
【0086】この重合体に、実施例1と同様の添加剤を
配合し、25mm単軸押し出し機で造粒し、物性評価を
した。結果は表1および表2に示した。
【0087】比較例2 比較例1と同様の方法で、重合割合を変える条件を実施
した。結果は表1および表2に示した。
【0088】実施例2〜4 用いるp−t−ブチル安息香酸無水物の添加量を変更し
た以外は実施例1と同様の方法で重合した。結果は表1
および表2に示した。
【0089】実施例5〜8 用いる安息香酸無水物化合物の種類、添加量を変更した
以外は実施例1と同様の重合方法で重合した。結果は表
1および表2に示した。
【0090】実施例9 内容積5lのステンレススチ−ル製電磁攪拌式オ−トク
レ−ブ内を充分窒素で置換し、成分(B)としてトリエ
チルアルミニウム1.44mmol,成分(C)として
ジフェニルジメトキシシラン0.72mmolおよび参
考例1で得られた触媒成分(A)をTi換算で0.01
75mmolを順次添加し、オ―トクレ―ブ内圧を0.
1kg/cmGに調節し、水素を0.4kg/cm
加え、撹拌(600rpm)を開始した後、80℃とし
て、液体プロピレンを1.6kg加えた。同温度で27
分間プロピレンを重合させた。
【0091】撹拌停止脱圧後、p−t−ブチル安息香酸
無水物を0.30g、成分(B)としてトリエチルアル
ミニウム0.2mmol加え、オ―トクレ―ブ内圧を
0.1kg/cmGに調節し、水素を0.6kg/c
加え、撹拌(600rpm)を開始した後、50℃
として、液体プロピレンを1.6kg加え、更に、エチ
レンガスを8.0kg/cmを連続に加え同温度で3
6分間プロピレン−エチレン共重合を実施した。
【0092】重合反応終了後、攪拌を止めると同時に系
内の未反応プロピレンを放出し、生成重合体を回収し
た。その結果、生成重合体は1130gであった。触媒
成分(A)1g当たりの活性は40400g/gに相当
する。
【0093】この重合体のMFRは5.3g/10分、
また、最終重合体の1段目と2段目の生成割合は79/
21であった。
【0094】この重合体に、実施例1と同様の添加剤を
配合し、25mm単軸押し出し機で造粒し、物性評価を
した。結果は表1および表2に示した。
【0095】実施例10 用いるp−t−ブチル安息香酸無水物の添加量を変更し
た以外は実施例9と同様の重合方法で重合した。結果は
表1および表2に示した。
【0096】実施例11 内容積5lのステンレススチ−ル製電磁攪拌式オ−トク
レ−ブ内を充分窒素で置換し、成分(B)としてトリエ
チルアルミニウム1.44mmol,成分(C)として
ジ−i−ブチルジメトキシシラン0.72mmolおよ
び参考例1で得られた触媒成分(A)をTi換算で0.
0182mmolを順次添加し、オ―トクレ―ブ内圧を
0.1kg/cmGに調節し、水素を0.4kg/c
加え、撹拌(600rpm)を開始した後、80℃
として、液体プロピレンを1.6kg加えた。同温度で
30分間プロピレンを重合させた。
【0097】撹拌停止脱圧後、p−t−ブチル安息香酸
無水物を0.80g加え、オ―トクレ―ブ内圧を0.1
kg/cmGに調節し、水素を0.6kg/cm
え、撹拌(600rpm)を開始した後、50℃とし
て、液体プロピレンを1.6kg加え、更に、エチレン
ガスを8.0kg/cmを連続に加え同温度で55分
間プロピレン−エチレン共重合を実施した。
【0098】重合反応終了後、攪拌を止めると同時に系
内の未反応プロピレンを放出し、生成重合体を回収し
た。その結果、生成重合体は1060gであった。触媒
成分(A)1g当たりの活性は36500g/gに相当
する。
【0099】この重合体のMFRは5.0g/10分で
あった。また、1段目と2段目の生成比率は80/20
であった。
【0100】この重合体に、実施例1と同様の添加剤を
配合し、25mm単軸押し出し機で造粒し、物性評価を
した。結果は表1および表2に示した。
【0101】実施例12 (C)成分としてフェニルジメトキシシランを用いた以
外は実施例11と同様の重合方法で重合した。結果は表
1および表2に示した。
【0102】
【表1】
【0103】
【表2】
【0104】
【発明の効果】本発明の方法を用いれば、従来の一般的
プロピレン−エチレンブロック共重合体に比べて、剛
性、耐衝撃性に対して非常に良好なポリプロピレンが得
られる。すなわち、マグネシウム化合物にチタン化合物
を担持してなる触媒成分を用いてポリプロピレンを重合
する際、共重合段階で安息香酸化合物を添加することに
より、剛性、耐衝撃性等のバランスの優れたポリプロピ
レンが容易に得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 293/00 - 297/08 C08F 2/38 C08F 2/44

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項】(A)マグネシウム化合物とチタン化合物を
    必須とする触媒成分 (B)成分として周期律表の第Ia,IIa,IIb,
    IIIbおよびIVb族金属の有機金属化合物から選ん
    だ少なくとも1種と、 (C)成分として電子供与性化合物とから成る触媒の存
    在下、プロピレンとエチレンをブロック共重合するにあ
    たって、 工程(I)に於いて、プロピレン単独または、エチレン
    とプロピレンの反応比が重量比で5/95以下の共重合
    を実施、全重合体の55〜95重量%を重合し、 工程(II)に於いて、エチレンとプロピレンの反応比
    が重量比で10/90〜90/10の共重合を実施、全
    重合体の45〜5重量%を重合せしめるブロック共重合
    体の製造方法であって、 更に、工程(I)重合後に下記一般式 【化1】 で表される安息香酸化合物の無水物(ただし一般式中の
    置換基、R〜R10は、水素、炭素数1〜8のアルキ
    ル基、炭素数1〜8のアルコキシル基、ハロゲン基、ア
    ミノ基、ニトロ基、フェニル基を示す)を、得られる最
    終重合体100重量部に対し0.001〜1重量部とな
    るように添加してから、重合を継続することを特徴とす
    るプロピレン−エチレンブロック共重合体の製造方法。
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