JP3179171B2 - 廃スレート材利用焼成体の製造方法 - Google Patents

廃スレート材利用焼成体の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、焼成工程によって廃ス
レート材中に含まれている石綿を無害化すると同時にそ
の有効利用ができる廃スレート材利用焼成体の製造方法
を提供することにある。
【0002】
【従来の技術・課題】従来、スレート廃材は、一般建築
廃棄物として処理された。しかし、最近では、産業廃棄
物の問題が社会的問題としてクローズアップされてい
る。また、石綿の健康障害への懸念からその無害化の処
理が研究されている。無害化処理の対象となる石綿は、
石綿を主成分とする吹付断熱材等ものである。その代表
的な方法としては高温焼成溶融化である。また、例えば
特開平1−261218号公報に記載されている鉱酸処理法の
ように化学的方法による方法も無害化処理に適用可能と
思われる。この鉱酸処理の場合は、鉱酸によって石綿を
分解し、有効成分としてシリカを抽出し、再利用するこ
とも考えられる。しかし、いずれの方法ともコスト的に
高価なもので、経済的な観点から廃スレート材の無害化
処理は実用性に問題がある。
【0003】従って、本発明の目的は、石綿がセメント
硬化体にブロックされた形態のスレートのように、石綿
が比較的飛散しにくい建築廃材を積極的に利用し、石綿
の無害化及び建築廃材の有効利用する方法を提供するこ
とにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明に係る廃ス
レート材利用焼成体の製造方法は、廃スレート材粉砕粉
末100重量部に対し、粘土質原料5〜15重量部、フ
リット5〜20重量部、長石5〜25重量部、珪砂0〜
30重量部を添加、混合したのち、必要とする水を加
え、成形または造粒後乾燥工程を経て焼成工程で焼結反
応を行うことを特徴とする。
【0005】
【作用】本発明を具体的に説明すると、粉砕したスレー
ト廃材を主成分とし、この廃スレート材粉砕粉末100
重量部に、成形体の形状維持及び焼成体の強度が得られ
るために粘土質原料5〜15重量部及び適宜30重量部
までの珪砂を加える。更に、比較的低温で焼結反応が進
むようにフリット5〜20重量部及び長石5〜25重量
部を添加し、得られた混合物に所定量の水を添加して成
形するか、造粒した後乾燥し、次に、焼成する。この焼
成工程における焼結反応に伴って廃スレート材中に含ま
れている石綿は、加熱により分解して無害化でき、焼結
反応を通じて焼成体の組織の一部となる。ここで、本発
明に使用するフリットは屈伏点が500〜700℃、好
ましくは575〜680℃の範囲内にあるものであれ
ば、組成その他は特に限定されるものではない。更に、
粘土質原料としてはベントナイト及び/またはカオリン
が好ましい。
【0006】なお、上記混合物は乾式プレス法によって
タイル状等の成形体に成形するか、または造粒して造粒
体とすることもできる。造粒体を得るために例えば転動
造粒機等を使用することができる。上述のようにして得
られた成形体または造粒体の焼成体はタイル、骨材等の
建築材料として再利用できるため、廃スレートの有効利
用にもつながる。
【0007】本発明方法において主原料となる廃スレー
ト材は粗砕したのち、更に微粉化したものを用いる。微
粉化に当たっては例えばインパクトミルまたはローラー
ル等を用い、粉末度が篩目の開き0.088mmの篩
が全通程度まで粉砕したものが好ましい。
【0008】また、成形または造粒された成形体または
造粒体は、焼成前に充分乾燥したのち、通常750〜1
100℃の焼成温度で焼成すると、充分な強度をもつ焼
成体を得ることができる。また、上述の焼成温度は廃ス
レート材中に含まれている石綿=クリソタイルの分解温
度650℃より高いため、石綿は完全に加熱、分解さ
れ、得られる焼成体の粉末X線回折からは石綿は検出さ
れない。
【0009】
【実施例】
実施例 以下の表1に配合、焼成温度及び得られた焼成体の特性
を記載する。
【0010】
【表1】
【0011】なお、廃スレート材粉末は、廃スレート材
を粉砕することにより得た粒径0.04mm程度のもの
である。また、フリットは日本フリット株式会社製、品
番EC−20(屈伏点575℃)である。また、本実施例
においては、上記配合割合を有する配合物に10重量部
の水を混練し、プレス機を用いて80mm×160mm
×10mmの形状に形成し、次に、105℃で15時間
乾燥し、次いで所定の焼成温度で2時間焼成した。
【0012】
【発明の効果】本発明によれば、廃スレート材中の石綿
の無害化が図れると同時に焼成体の具体的用途展開も可
能であるので経済的観点から見ても十分実用性がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−138147(JP,A) 特開 昭58−36969(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/00 - 35/22 B09B 1/00 - 5/00 JICSTファイル(JOIS)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 廃スレート材粉砕粉末100重量部に対
    し、粘土質原料5〜15重量部、フリット5〜20重量
    部、長石5〜25重量部、珪砂0〜30重量部を添加、
    混合したのち、必要とする水を加え、成形または造粒後
    乾燥工程を経て焼成工程で焼結反応を行うことを特徴と
    する廃スレート材利用焼成体の製造方法。
  2. 【請求項2】 焼成工程の焼成温度が750〜1100
    ℃である請求項1記載の廃スレート材利用焼成体の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 フリットとして屈伏点が500〜700
    ℃のものを使用する請求項1記載の廃スレート材利用焼
    成体の製造方法。
  4. 【請求項4】 粘土質原料としてベントナイト及び/ま
    たはカオリンを使用する請求項1記載の廃スレート材利
    用焼成体の製造方法。
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